修造「話が見えないよ？」

不知火「でしょうね」

修造「というか君は誰なんだZO！？」

不知火「あぁ…申し遅れました。陽炎型駆逐艦二番艦の…」

修造「声が小さい！　もっとはっきり喋ってくれ！　腹から声を出せよ！」

不知火「」

不知火「コホン…。では改めまして…陽炎型駆逐艦二番艦の不知火と申します。以後、ご指導ご鞭撻をお願い致します」

修造「ふんふん…。つまり君は修造チャレンジに参加したい子なのかな？」

不知火「は？」

修造「そうか。ようこそ修造チャレンジへ！！　俺は厳しいからな！　覚悟しておけよ！！　さっそくフォームの方から…」

不知火「いや、修造チャレンジって…。不知火の話を聞いていましたか？」

修造「聞いてないZO！」

不知火「…」

不知火「ではもう一度お話いたしますね？　先の自己紹介からも分かるように、不知火は在りし日の船舶の生まれ変わりなんです。そしてそのような存在は艦娘と一般的には言われるのですが…」

修造「ふんふん」

不知火「私たち艦娘の役割はこの国を深海棲艦と呼ばれる脅威から守ることなんです。ご存じないのですか？　おそらくメディアを通してそのことは周知の事実だと思うのですが…」

修造「知らないなぁ」

不知火「そうですか…」

修造「それでその艦娘さんが僕に何の用かな？」

不知火「はい。申し上げたように私たち艦娘は基本的には深海棲艦と戦うのが使命なのですが…。四年に一度…四年に一度だけ、艦娘同士で争う時があるのです。それが冒頭でお話した『結婚指輪戦争』なんですけど…」

不知火「その戦いは艦娘が愛すべき人…この場合は提督・司令官と呼ばれる人が該当するんですが…その人に指輪を渡すためのものなんです。そしてもちろんその指輪は一つしかありません…複数あったらそもそも戦になりませんからね」

修造「ふんふん…。それで？」

不知火「修造さんには不知火と一緒に戦って欲しいのです！」

修造「」

修造「…小さい女の子」

不知火「？」

修造「だけれど僕は恵美子は裏切れない…！　ごめん！」

不知火「…何か勘違いされているようですね。不知火は修造さんと結婚したいわけではないんですよ？　それに不知火は修造さんが既婚者であることは存じています。ただ不知火は一緒に戦って欲しいんです！」

修造「」

修造「ますます意味が分からない。なんで僕が出てくるんだい？　君たちが好きな人に指輪を渡すために僕が必要なのかい？」

不知火「はい」

修造「」

不知火「詳しくお伝えしますね。『結婚指輪戦争』で実際に戦うのは艦娘なんですが、必ず人間のサポート役が一人いないといけないんですよ。いわばパートナーですね。それで指輪を勝ち取って本当にパートナーになりたい人物に渡すと…。要は修造さんは不知火が戦うためのパートナーなんです。あ、ちなみにそれについては軍が独自に行った抽選により決まりましたので」

修造「」

不知火「重要なのはここから…。この『結婚指輪戦争』は大好きな人に渡すための『結婚指輪』を巡って行われる艦娘同士の争いです。これはお伝えしましたね？　そしてその戦いには七機の艦娘が参戦することになるんですが、つまりは最後の一機が『結婚指輪』を手にすることが出来るんです」　

不知火「…参戦する艦娘にはそれぞれ称号が付与されます。『アーチャー(弓兵)』、『スナイパー(狙撃手)』、『ピエロ(道化師)』、『マッドドック(狂犬)』、『マザー(母)』、『エンジェル(天使)』、『ゴッド(神)』…とくに相性とかはないんですけど、軍がノリで付けたかったらしく…あ、ちなみに不知火は『スナイパー』です。そして不知火以外の艦娘は既に戦い始めています、出遅れてしまいました！」

不知火「なのでお願い致しますね？　修造さん」

修造「何が何だか分からないけどやるからには一所懸命だ！！！」

不知火「不知火も全力で行きます！　絶対に司令に指輪を渡すんですから…！」

？？「ほわあああああああああああああ…」

？？「うるさいわねぇ。少しは黙ったらどうなの？　眼鏡くん」

？？「眼鏡じゃねええええええええええ。アンリアルがあああああああああああ」

？？「…はぁ。足を引っ張るのだけはやめて欲しいわね。ドイツの誉れ高き戦艦であるこのビスマルクが後れを取るわけにはいかないのよ…！」

？？「タピオカパン！！！」

？？「あぁ、もちろんだ。同郷の者として君の足を引っ張らないようにするよ…」

ビス子「頼むわね…眼鏡くん」

ビス子「…いいえKBC」