2020-01-23 22:29:05 更新

概要

変化を嫌う提督と様子が変わってしまった金剛の物語


前書き

一話の続きです。駄文ですが楽しんでもらえたら嬉しい限りです。
インフルエンザにお気をつけて。


【1話のあらすじ】

どうも。黒ヶ崎鎮守府の提督です。

1話のあらすじを説明します。

・とんでもない過去を晒した提督

・様子がおかしい(テンションが低い)金剛

・突然始まる過去の振り返り

・3ヶ月前のケッコン指輪騒動

・川 内 許 す ま じ(血眼)

・始まりそうで始まらなかった1週間前の話

以上です。

私怨など混じっていない。いいね?

それでは本編をどうぞ。


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はっ!

どうしたんだ私は?

1週間前の話をしようと思っていたら、急に意識が遠くなったぞ。

病気にでもなったのか?

いや、これはどっちかというと、話の区切りが良かったから無理やり終わらせられたような感覚...。

かなり様子がおかしかったのだろう。

金剛が不思議そうな顔でこちらを見つめているのに気付いた。


「大丈夫デスカ?なんか動きと表情がすごいことになってましたケド...」


そんなキモい動きと酷い顔をしていたのか私は。


「な、なんでもないぞ〜。ちょっと考え事をな。」

「そうデスカ...ならいいデス...」


そう言って執務の続きをやり始める金剛。

さて、私も気を取り直して1週間前の話をしよう。

私の頭には1週間前の光景がポツポツと浮かび始めた。


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【1週間前】

「あーあー。聞こえるか〜?」

「聞こえます。感度は良好ですね。」

「よし。みんな、調子はどうだ?」

「悪くありません。久しぶりの出撃...気分が高揚します。」

「お腹いっぱい食べたのでとっても元気です!慢心はしません!」

「バッチリです。一航戦には負けません!」

「右に同じくです。戦果を期待してください。」

「very goodネ!がんばりマース!!」

「とっても良いです!お姉さまと一緒に...気合!入れて!行きます!」

「ごほん。それでは作戦海域偵察任務を開始する。準備はいいか?」

「「「「「「はい!」」」」」」


突然始まる謎の作戦。

何がなんだか分からないだろうから軽く説明しよう。

この日の少し前の日、大本営からある通達がきた。

その内容は、近々前線を上げるために大規模な作戦を実施するというものだった。

要は大攻勢だ。

12年前の第一回大規模攻勢、通称「村田攻勢」で日本海軍はかなりの海域を深海棲艦から取り戻した。

しかし最近はせっかく取り戻した海域が再び奪われつつある。

今の押され気味の戦況を変えるためのものだろうと思った。

私の黒ヶ崎鎮守府には2つの任務が与えられた。

大規模攻勢で攻撃を仕掛ける海域の偵察とある地点での作業だった。

そもそもこの鎮守府は、本土からの補給物資を前線の鎮守府に届けるのが主な仕事だ。

しかし後ろではあるものの前線に近いため、作戦に参加させられることがある。

今回の場合は、作戦には直接参加しないが、その手伝いをするといった感じだ。

偵察艦隊の編成と役割はこうなった。

旗艦及び偵察担当 加賀

偵察担当 赤城

     飛龍

     蒼龍

護衛及び運搬担当 金剛

         比叡

この編成を見て疑問に思った人もいるかもしれない。

なぜ空母による偵察任務なのに巡洋艦や駆逐艦ではなく戦艦がいるのか?

確かに多少の敵艦隊なら、空母機動艦隊で対処可能だ。

しかし最近、前線に深海棲艦の主力級の敵艦隊が確認されたという。

今回の作戦は少なからず深海棲艦が支配する海域に入る。

そこで空母機動艦隊が敵主力艦隊に遭遇でもしたら、結果は容易に想像できる。

それを防ぐために敵主力艦隊に対応できる艦が必要だ。(″あるもの”を運搬する艦が欲しいというのもあった)

そういうことで、護衛兼運搬担当で戦艦を入れたのだ。


「周りの様子は大丈夫か?」


私は指揮管理室にある通信機で偵察艦隊に呼びかける。


「今のところ変わった様子はありません。」

「目標地点まではあとどのくらいだ?」

「そうですね。あと25キロといったところでしょうか。」

「大体30分ぐらいか。」


なんとか無事に目標地点に着けそうで少し安堵する。

その目標地点は島である。

偵察艦隊は偵察をしながらそこまで行って、先ほどもでてきた″あるもの″を設置する。

それは遠隔起動式の爆弾だ。

大規模攻勢の際、敵艦隊が島に隠れ待ち伏せをする可能性がある。

その時のために、少しでも損害を与えられるように島とその周辺に爆弾を設置しておけとのことだ。(島には埋めるタイプ、周辺には機雷のように水中に浮かべるタイプの爆弾を設置する)

比叡と金剛は背中に巨大な鉄の箱を背負っている。

その中に爆弾が入っているのだ。


「おい比叡。間違っても爆発させるなよ。かなりの量だからな。

お前を含め艦隊全員が木っ端微塵になるぞー。」クックック

「ひぇ〜...。冗談きついですよ提督...」

「む?おかしいな。リラックスさせようとしたんだが。」

「寧ろ緊張しますよそんなのじゃあ。」

「heyテートクゥー!あんまり比叡をいじめないでクダサーイ!」

「いじめてるつもりは...」

「そろそろ目標地点に到達します。お二人は準備を。」


加賀が私の言葉を遮る様に言った。


「了解デスヨー加賀!」

「気合!入れて!行きます!」

「提督はもう少し緊張感を持ってください。偵察任務だからと言って何が起こるかわかりませんので。」

「りょ、了解です...」


通信越しでも伝わってくる気迫にたじろいでしまう。

加賀さんまじ半端ない(小並感)

そのあとすぐに、艦隊は目標地点に到達した。


「赤城さん。飛龍さん。蒼龍さん。異常はありませんか?」

「大丈夫ですよ加賀さん。今のところは。」

「こちらも特には。」

「何も見えないですね。」

「分かりました。私の方にも敵艦影は確認されません。提督、指示を。」

「うむ。それでは当初の予定通り島には金剛と飛龍、周辺には比叡と蒼龍が爆弾設置作業に移り、加賀と赤城は周辺の警戒にあたれ。」

「「「「「「了解!」」」」」」


爆弾設置作業は特に問題も起きず、スムーズに進めることができた。


「これでfinish!こっちは終わったデース!」

「こっちも設置し終わりましたー!」

「全ての爆弾の設置を確認しました。次の目標地点に移動します。」

「残る目標地点は2つか...。よし。周囲の警戒を厳とし、慎重に進め。」

「了解です。」


こんな感じで残りの目標地点にも爆弾を設置し終えることができた偵察艦隊。


「全ての目標地点での爆弾設置が終わりました。これより艦隊は帰投します。」

「とりあえずお疲れ様だ。だが油断はするな。いつ主力級の艦隊が現れてもおかしくはないからな。」

「はい。」


偵察艦隊が鎮守府に向けて移動している途中、金剛と赤城が何かを話しているのが聞こえてきた。


「金剛さん。いつも思うんですけど。そのネックレス、本当に大事になさっているんですね。」

「へ!?どうしてデスカー!?」

「だって、金剛さんがそのネックレスを外したところを見たことありませんし。金剛さんがそれを外すのって、お風呂に入る時と寝る時だけらしいですね。比叡さんから聞きました。」

「ちょっと比叡!なんでもかんでも喋っちゃNOデスヨ!」

「ひぇ〜。ごめんなさい金剛お姉さま〜。」

「それで、前から疑問に思っていたのですが。そのネックレスは誰からもらったんです?」

「ぜぜぜ全然違いマスヨ!?別に誰かに貰ったわけではないデース!自分で見つけて買ったんデース!」

「?そうなんですか?」

「こいつら楽しそうだな...。任務中だって分かっているのか?」ズズズ


かく言う私も、マイクを切ってコーヒーを飲みながら休憩しているのだが...。

すると赤城がとんでもない事を言い始めた。


「でも金剛さん。この前一緒にお酒を飲んだ時...」


『hey赤城!このネックレス見テヨ〜!すっごく綺麗だと思いまセンカ〜?』ベロンベロン

『ええ、とっても綺麗ですね。いつも着けていますが、どこで手に入れたのですか?』

『えへへ〜。実はこれ。ある人から貰ったんデース。』ニヤニヤ

『ある人というのは?』

『えへへへ〜。秘密デース!』


「...って言ってましたよ。」

「ぶふぉ!?」


それを聞いた私は思わず飲んでいたコーヒーを吹き出してしまった。

それではまるで...。


「そそそそれじゃあまるで、私とその人が愛し合ってるみたいじゃないデスカー!!??」


いや、俺のセリフ〜。


「え?違うんですか?」

「違いマスヨ!その人はただの友人みたいなものですから!」

「人に貰ったことはもう否定しないんですね...」


ここでちょっとした小話を。

あのケッコン指輪騒動が金剛に指輪を渡したすぐ後に終息したことは知っていると思う。

ケッコン指輪の存在を知った艦娘(別名猛烈アピール艦)は金剛がケッコン指輪を持っているのを見て、あっ(察し)ふーん(諦め)となったらしい。

大体なにを察したのかは予想できるが、もう誤解を解くのも面倒なので放置してある。

ちなみにケッコン指輪を知らない艦娘はまだいる。

というか減ってない。

知っている艦娘が知らない艦娘にケッコン指輪の存在を伝えることもないようだ。

その心内は知らないが。

私も知らない艦娘は知らないままでいて欲しいのでこれも放置。

金剛ようにうっかり口を滑らせない限り、広まることもなさそうだ。

それにしても...


「...」

「...」

「...」


元猛烈アピール艦(加賀、飛龍、蒼龍)の前でケッコン指輪の話はやめてくれ。

心臓に悪い。


「お二人とも。楽しそうに会話をするのは鎮守府に帰ってからにしましょう。」


ほら、痺れを切らしたよ加賀さん。


「そうですね。この話の続きは鎮守府でしましょう。」

「勘弁してクダサーイ...」


あの金剛が完璧に疲れ切っていた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「みんな、ちょっと止まってくれ。」


それから10分後、あともう少しで日本海軍の海域に到達するというところで私は艦隊を止めた。


「どうしたんですか提督?あと少しで深海棲艦の海域から出れるというのに...」


飛龍が不思議そうに聞いてくる。


「いや、なんか引っかかってな。」

「またご自慢の勘ですか?」

「うむ。」


そうだ。ご自慢の勘だ。

自分で言うのもなんだが、私は昔から勘だけはいい。

この時、とても嫌な予感がした。

私は自分の勘を信じ、その予感の元凶を考える。

そこで一つおかしなことに気づいた。


「あまりにも敵艦隊に遭遇しなさ過ぎではないか?」

「え?」

「ここはあくまでも最前線。深海棲艦の艦隊と一つ二つ遭遇してもおかしくはない。だが、今回は全く遭遇しない。」

「運が良かっただけじゃないデスカー?」


金剛が話に入ってくる。


「いや、それはないだろう。そもそも深海棲艦は前線に主力級の艦隊を展開するほど警戒しているんだ。しかも今回の偵察艦隊は大型艦だけの構成。主力艦隊から捉えられなかったとしても、哨戒中の駆逐や軽巡に捉えられるのが普通。運がいいで済まされるものではない。」

「でも実際、攻撃は受けていませんよ?」


比叡が当然の疑問を抱く。


「そうなんだ。そこが問題だ。敵が我々を捉えているのだとして、何故攻撃をしてこないのか?そこがわからん。」

「ここに留まっておくのは危険です。提督。ご指示を。」


加賀が指示を催促してくる。

加賀がいうことはもっともだ。

だがダメだ。ここで進めるのは危険だ。

本能がそう訴えてくる。


「どうすれば...?」


私が葛藤していると一つの電文が届いた。

前線付近の鎮守府からのものだった。

内容は、敵の主力艦隊を確認した。

東方向に移動していったというものだった。


「...!まさか!」


私は手元にあった地図で、電文を送った鎮守府の位置と主力艦隊が向かった方向を確認する。

...間違いない!

心の中でそう確信する。

そしてマイクに向かって叫ぶ。


「加賀!赤城!飛龍!蒼龍!すぐに偵察機の偵察範囲を広げろ!」

「急にどうしたんですか?それに、偵察範囲を広げると敵に捕捉される可能性が...」


蒼龍が困惑したように言った。


「そんなことを気にしている場合ではない!すでに我々は敵に捕捉されている!いいから急げ!」

「捕捉されている?そんなことが...」

「なんだかよくわかりませんが、指示に従いましょう蒼龍。」

「...分かりました加賀さん。」


指示通りに偵察範囲を広げる空母達。

それから間もなく、赤城、蒼龍、加賀が叫んだ。


「右舷方向に敵の空母機動艦隊を確認しました!」

「こちらも空母機動艦隊を確認!左舷方向です!」

「正面方向に敵艦影...これは!敵の主力艦隊!?」


気づかないうちに偵察艦隊は三つの敵艦隊に囲まれていた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「これは一体どういうことデスカー!?」


金剛が困惑する。


「おそらく最初の島に着くより前に我々は捕捉されていた!今まで攻撃してこなかったのは、我々を殲滅できるのに十分な戦力がなかったからだ!そして、必要な戦力が集まった今、こうして三方向からの攻撃を始めたんだ!」


要はこういうことだ。

さっきも言ったように、最初の島に着く前に我々は敵の哨戒に捕捉されていた。

水雷戦隊や空母機動艦隊だったのならば、この時点で攻撃されていただろう。

しかし今回は大型艦ばかりで構成された偵察艦隊。

そんなものを相手にできるのは、同じく大型艦で編成されている主力艦隊ぐらいだ。

空母機動艦隊はいつ編成されたものかは分からない。

我々を捕捉した直後か、あるいは主力艦隊のように別の場所からきたのか。

いずれにしても、主力艦隊無しでは我々の艦隊を相手に快勝は難しい。

だからこそ敵は我々を様子見した。

いや、泳がせたと言った方が正しいだろう。

その目的は二つ。

一つ目は主力艦隊が来るまでの時間稼ぎ。

敵にとっては幸いにも、偵察艦隊は大型艦ばかりなので速力はそこまでない。

主力艦隊が到着するまでに偵察艦隊が自分達の海域から出ることはないと踏んだのだろう。

実際、間に合わなかった。

二つ目は爆弾の確保。

最初に我々を捕捉した時点で爆弾を運搬していることは分かっていたはずだ。

しかしそれは、撃ち抜いて爆発させてしまうにはもったいない代物だ。

なぜなら火薬の塊なのだから。

設置した爆弾は全て、遠隔起動装置を解除されたようだ。

その証拠に全ての装置の信号が消えている。

ここまでの敵の行動で分かるのは、我々を絶対に生きて返そうとしないその執念。

これが人類あるいは艦娘への憎悪に心を満たされた深海棲艦のやり方。

あまりにも恐ろしい。

だが、こんなことで諦めるわけにはいかない!


「詳しい説明はあとだ!空母の4人は右舷、左舷の敵空母機動艦隊に向けて艦載機を飛ばして足止めだ!戦艦の2人は正面の主力艦隊に向けて主砲での牽制射撃を開始しろ!同じところに留まらず、少しずつ後退していけ!稼げるだけ時間を稼ぐんだ!」

「「「「「「了解!」」」」」」


そのあとすぐに通信相手を偵察艦隊からこんなこともあろうかと緊急用に編成してあった艦隊に切り替える。


「こちら提督!救援艦隊、応答せよ!」

「こちら第一救援艦隊旗艦の天龍だ。いつでも出撃可能だぜ。」

「第二救援艦隊旗艦の木曾だ。こちらも同じく。場所と状況を教えてくれ。」

「場所は高登島(最後に爆弾を設置した島)より南西に15キロ地点だ。現在偵察艦隊は敵の主力艦隊一つ、空母機動艦隊二つの計三つの艦隊に攻撃を受けている。第一・第二救援艦隊の目的は敵主力艦隊の撃破と偵察艦隊の退路の確保だ。それでは第一・第二救援艦隊!出撃せよ!」

「「了解!」」

「天龍水雷戦隊、出撃するぜ!」

「出撃だ!本当の戦いってヤツを教えてやるよ!」


救援艦隊が到着するのは大体10分後。

つまり10分時間を稼げばこの状況を打開できる。

艦娘と深海棲艦の戦いが幕を開けた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「きゃあ!」ダダダダダダ

「大丈夫ですか赤城さん!?」


赤城が敵艦載機の機銃掃射を喰らった。

加賀が赤城を心配する。


「うう...。損傷軽微。まだやれます!」小破

「hey赤城!無理はNOヨ!」

「いいえ!ここで手を止める訳にはいきません!4人でもギリギリの状態ですから!」


戦況は最悪と言えるだろう。

そもそも物量差がある。

こちらが牽制を行っていても、その倍の艦載機と砲撃が艦娘達を襲う。


「!蒼龍!危ない!」

「え!?」


飛龍が危険を知らせるために叫んだが一歩遅かった。


「きゃあああ!!」ドカーン!

「蒼龍ー!」


敵の砲撃が蒼龍に直撃する。

無事を確認するために蒼龍に駆け寄る飛龍。


「くぅぅ...。やられたわ...」大破

「蒼龍が!蒼龍が!」

「不味いですね...!皆さん!蒼龍を囲むように陣形を組み替えてください!」


加賀の指示で陣形を組み替える偵察艦隊。

時間が経つにつれて悪化する戦況。

私も流石に焦り始める。


「救援艦隊!まだ着かないのか!?」

「あと少しだ!耐えてくれよ...頼む!」


天龍が祈るように言った。


「なかなかに厳しい状況ネ...!」

「!?金剛お姉さま!!」

「!?」


金剛は反射的に背後に体を向ける。

そこには接近してくる一機の敵艦載機があった。


「shit!!これでも食らうデース!!!」ブン


金剛が投げたのは爆弾が入っていた巨大な鉄の箱だった。

見事、鉄の箱が直撃。

敵艦載機は金剛の目の前で爆発四散した。

その時!



パキーン



爆発した敵艦載機の破片が宙を舞い、金剛のネックレスのチェーンに直撃。

そのまま、千切れたチェーンと共にケッコン指輪は海に落ちていった。

しかし周りの状況からして、金剛がそれに気づくはずもなかった。


「大丈夫ですか!?金剛お姉さま!?」

「全然大丈夫デース!それより今は目の前の戦いに集中しなサーイ!」

「はい!」

「!あれを見て!」


赤城の指刺す方向に全員が顔を向ける。

そこには煙を上げる敵主力艦隊の姿があった。


「おっしゃあ!!ありったけの魚雷と弾をぶち込め!!」

「総員一斉攻撃!一隻も逃すなよ!」


救援艦隊が到着し、敵主力艦隊に攻撃を開始したのだ。


「みんな!無事か!?」

「提督!蒼龍が大破しましたがなんとか全員無事です!」


提督が状況を確認し、旗艦の加賀が説明する。


「よし!これから簡潔に強行突破作戦を説明する!救援艦隊が主力艦隊を殲滅後、合図を出す!お前達は合図を確認したら全速力で駆け抜けろ!まだ敵空母機動艦隊の攻撃が続くが合図が出るまで耐えられそうか!?」

「ここまで来たんです...沈むのはごめんですね!」


赤城が自らを奮い立たせるように言った。


「その意気だ!あともう少し踏ん張ってくれ!」

「「「「「「了解!」」」」」」


絶えず続く敵艦隊の攻撃。

ギリギリで耐え凌ぐ偵察艦隊。

数分後、ついに主力艦隊が全滅した。


「こちら天龍!敵の主力艦隊を殲滅完了したぜ!」

「良くやった!すぐに敵空母機動艦隊への攻撃準備に移れ!用意ができたら教えろ!」

「そんなものはなっから出来てんぜ!なあ、木曾!」

「ああ!いつでもいけるぞ提督!」

「!さすがだお前達!合図を待て!」


すぐさま通信相手を偵察艦隊と第一・第二艦隊の両方にセットする。


「いくぞお前達!」


「行動開始!」


私の合図で偵察艦隊は主力艦隊があった真正面に向かって全速力で駆け抜け始めた。

救援艦隊も一斉に砲撃を開始する。



「いっけーー!!!」



私は人生で一番、大きな声で叫んだ。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「あぁ、早く帰ってこないものか...」カツカツ


ここは出撃港。

ここから艦娘は出撃し、またここに帰ってくる。

あの強行突破作戦からすでに30分が経過していた。

私は気持ちが落ち着かず、先ほどから同じところを行ったり来たりしている。


「提督〜。落ち着いて下さい〜。無事に帰って来ますから〜。」

「分かっている。分かってはいるのだが...!この目で無事を確認しないと気が済まない!」

「気持ちはわかりますけど〜。あなたはこの鎮守府の最高責人者ですから〜。もっとシャキッとしてもらわないと〜。」

「た、確かにそうだな。少し落ち着かなければ...」フゥー


龍田の指摘を受け入れ、気持ちを落ち着かせようとする私。

龍田は今回の任務において、私のサポートをしてくれた。

偵察艦隊や救援艦隊に通信機器を配ってくれたのも。

珈琲を入れてくれたのも。

電文を届けてくれたのも龍田だ。

なにかと仕事をしっかりしてくれるので、最近は秘書艦にすることが多い。(金剛が拗ねることも多くなったが...)


「ほら提督〜。見えてきましたよ〜。」

「本当か!?どこだ!?」


少し遠くにいくつもの人影が見えた。

その姿は皆ボロボロで、疲れ切っているのが分かる。


「私は入渠の準備をしておきますね〜。」

「ああ。頼む。」


そう言って龍田は鎮守府の中に入って行った。

あいつ、気を使ってくれたのか。

そう心の中で思う。

本当に龍田はすごいヤツだ。

心の底から感心する。


「情けねぇなぁ...。こんな歳にもなって...」グス


目から思ったより大量の涙が流れ出てきた。

本当に今回はダメかと思った。

だが、みんなは乗り切ってくれた。

今はただ感謝の気持ちでいっぱいだ。


「偵察艦隊及び第一・第二救援艦隊。鎮守府に帰投しました。」


加賀が全員を代表して宣言する。


「本当にお疲れ様だ。怪我をしたものはすぐに入渠に行くように。報告書については明日の午後に提出してくれ。今日はゆっくり休むように。それと...」

「今回も全員生きて帰ってきてくれて、ありがとう。」


ここは戦場だ。


「あれ?提督。さっきまで泣いてました?目が赤いですよ。」

「な、何を言っているだ赤城。私は泣いてなんかない。」


何も失いたくないという考えは甘いのかもしれない。


「嘘ですね。絶対泣いていましたね。」

「加賀まで...。だから泣いてなんかいないぞ!」


でも私は誰も失わないように努力し続ける。


「いいじゃねぇか別に。泣くのは悪いことじゃねーだろ。それぐらい心配してくれたってこった。」

「天龍...お前...」


これからもずっと。


「心配するな提督。オレらはどんなことがあってもここに帰ってくる。」

「木曾...」


この戦争に終わりが来るまで。


「「「「「「「「「「「「「提督。」」」」」」」」」」」」」

「テートク。これからもよろしくお願いしマース。」ニコ

「!ああ...。みんな。これからもよろしく頼む!」


私は改めてそう決意した。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


【2日後】

最悪だ。

執務室の窓の外の青空を眺めながらため息を吐く。

実は、昨日の男泣き。

どうやったのか知らないが、地下から脱出した川内によって隠し撮りされていたのである。

しかもその写真が鎮守府中に出回り、挙句に「号泣提督」というあだ名がついてしまった。

あのくそボケ忍者が!ぶっ○してやる!!

といった感じで再度地下にぶち込んでやった。

次はもっと厳重に。

問題はそれだけではない。

任務の翌日、つまりは昨日の話。

金剛がケッコン指輪をなくしたと言って、顔をぐしゃぐしゃにしながら謝ってきた。

大本営に問い合わせてみたところ、代わりをすぐには用意できないらしい。

それを金剛に伝えると、彼女はひどく落ち込んでしまった。

目に生気がなくなっていた。

あんな金剛を見るのは初めてだった。

それからずっと部屋に閉じこもっているらしい。

比叡、榛名、霧島が私達に任せてくれと言ったので任せることにした。

私では金剛を元気づける自信がない。

なんとか元気になってくれればいいのだが...。

そうそう。あと一つ報告がある。

計画されていた大規模攻勢についてだが...。

中止になった。

というのも、深海棲艦に今回の大攻勢の情報を横流ししている奴が見つかったらしい。

つまりは筒抜け状態だったようだ。

偵察艦隊がすぐに敵の哨戒に見つかったのも情報が流れていたからだとか。

どういう経緯でそうなったかは知らないが、横流ししていた奴はかなりの厳罰を受けることになるだろう。


「さーて、続きをやりますか。」


軽く体を伸ばし、私は大本営に提出する書類の続きを書き始めた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


はい。

これで一週間前の話は終わり。

長すぎじゃない?

ていうか最後の方なんか最終回みたいな流れになってたよね?

そんなことを思った方。

気にしないでください。

それよりも金剛だ。

やっと落ち込んだ原因がわかったと思う。

ケッコン指輪をなくしてしまったのだ。

あの後結局、部屋から出てきたのはさらに3日後。

部屋を出てきてからの調子はずっとこんな感じだ。


「テートク...書類の整理が終わったので今日はこれで失礼シマス...」

「おう、お疲れ様。またよろしく頼むぞ。」

「...ハイ...」ガチャバタン


執務を終えた金剛はさっさと部屋を出て行った。

さて、どうしたものか。

正直何をすればあいつが元気になるのかがわからない。

何も考えが浮かばず、頭を抱える。


「あいつに聞いてみるか...」


席を立ち執務室を出る。

今日の執務は終わらせたため、午後は特にすることはない。

あいつも今日は空いていたはずだ。

私は、彼女の部屋に向かって歩き始めた。



次回に続く!



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


【後書き】

少し遅くなると言ったな。

あれは嘘だ。

ということでこんにちは。ハッチです。

今回の、貴方の心を知りたい 2話「提督の原因確認・後編」はいかがでしたか?

長かった過去の振り返りもこれで終わりです。

次の話からは提督が金剛の元気を取り戻すために奮闘する...はず!

途中から気分が盛り上がってしまい、ぐあーと書きたいことを書いていたら10000文字を超えていてびっくりしました。

最後はなんか最終回みたいな流れになっていましたね笑

今回は結構な量の難しい言葉を使いました。

もし使い方や意味が間違っていましたら、コメントなどで教えてくれたら嬉しいです。

あと説明が下手すぎですね。

語彙力のなさを痛感...。

意味がよくわからないところは、うまく感じ取ってください(無茶振り)。

それでは皆さん、次の話でお会いしましょう。

さようなら〜。





























































































後書き

少し遅くなると言ったな。
あれは嘘だ。
ということでこんにちは。ハッチです。
今回の、貴方の心を知りたい 2話「提督の原因確認・後編」はいかがでしたか?
長かった過去の振り返りもこれで終わりです。
次の話からは提督が金剛の元気を取り戻すために奮闘する...はず!
途中から気分が盛り上がってしまい、ぐあーと書きたいことを書いていたら10000文字を超えていてびっくりしました。
最後はなんか最終回みたいな流れになっていましたね笑
今回は結構な量の難しい言葉を使いました。
もし使い方や意味が間違っていましたら、コメントなどで教えてくれたら嬉しいです。
あと説明が下手すぎですね。
語彙力のなさを痛感...。
意味がよくわからないところは、うまく感じ取ってください(無茶振り)。
それでは皆さん、次の話でお会いしましょう。
さようなら〜。


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SS好きの名無しさんから
2020-02-11 23:28:57

SS好きの名無しさんから
2020-02-02 12:57:02

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1件コメントされています

1: SS好きの名無しさん 2020-01-24 17:34:31 ID: S:Ylt_Lp

艦これ寸劇『八墓村』

映画『八墓村』(松竹)に準拠

最後、犯人の女が洞穴内、主人公の青年を『夜叉』の形相で追いかけ回すシーン

艦これパロディ

足柄が『提督』を『私と結婚しろ!!!!』と『夜叉』の形相で追いかけ回す。鬼気迫るシーンである。


このSSへのオススメ


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