少女「はあはあ、どうしてこんなことにっ！」タッタっタ

もうかれこれどのくらい逃げてきただろうか。暗い山の中を、ひたすら走り続けた。

家に帰って飛び込んできたのは血肉と化した家族の姿だった。瞬間悲鳴を上げそうになったが、暗闇の中で蠢く物の姿が月明かりに一瞬

照らし出され硬直した。

鬼だ...。

鬼が居る。

おじいちゃんから話では聞いたことがあったけど、うつつ他人事に思っていた。

長くこの山で暮らしてきたが鬼の欠片も感じたことが無かったからだ。

そこからは早かった。溢れんばかりの涙を流しながら一目散に道を辿った。

鬼が追ってくるかもしれぬ、けれどその恐怖と家族の死を目の当たりにした二つから、とにかくその場から立ち去りたかったのかもしれない。

少女「う...う。お母さん、お父さん...。」ポロポロ

少女「（なんで！なんで鬼が出たんだ！）」

少女「（しかもあの生き物...）」

少女「（とてつもなく嫌な感じがした！）」ビクビク

鬼「おいおい、そんなに逃げるなよ～。」

少女「っ！？」びくっ

ドガ

その瞬間不意に躓いてしまった。

鬼「たっっぷり可愛がって食べてやるぜ、かわいこちゃん。」じゅるり

暗闇から声が聞こえ、走ってきた後ろを振り返ると

そこには鬼が立っていた。見るからに異形な姿に背筋が凍り付く。

少女「あ...あ...。」ガクガク

少女「（死ぬんだ...。私ももうダメなんだ...。）」ひっぐ

少女「（やだよ...なんでいきなりこんな...）」ポロポロ

少女「く...来るな、化け物...。」

次の瞬間、鬼が少女目掛けて襲い掛かった。

少女「（ごめんなさい、お父さんお母さん）」

少女「（私もここで終わりみたい）」ぐでん

スヒンっ

鬼「っっ？？？！」ボタボタ

鬼は綺麗に切断された片腕を見て理解できずにいた。

鬼「いゃ？！いったい何が起こって？！」

？？「大丈夫かにゃ？さあ、立って凛の後ろにいくにゃ！」ばっ

少女「は、はい...！」ざざ

鬼「き、貴様その背中の”滅”の文字！！知っているぞ、貴様は！」

鬼「鬼殺隊！！！」ぐっ

凛「...。」

凛「人を喰らう悪鬼め、成敗してくれる！」すっ

鬼「人間如きがなにをい」

凛「全集中、”猫の呼吸”」スゥー

凛「壱ノ牙」

凛「招き猫...！！」

ズガシャっ！！

鬼「お...お...」グシャッ！

凛「鬼も元は人間。今わの際に少しでもあの頃の記憶を思い出して懺悔するにゃ...。」カチャ

少女「あ...あ...」

凛「もう大丈夫、立てるかにゃ？」スッ

少女「はい...！」すた

少女「（これがおじいちゃんが昔話してた、鬼と対になるもう一つの存在）」

少女「（鬼殺隊ッッ！！）」ゴクリ

私が立つと、その方はニコッと笑って言い放った。

凛「さ、ちょっと遠いけど一緒に行くにゃ。」

その時初めてまともにその少女のことを見た。歳は私より８つほど上だろうか。肩に届かないまでの短髪に、しなやかな体たち。

それ以上に凄いのはパット見で分かるその体から放たれるしたたかな強さ...。

これが鬼と戦うもの。

少女「...り..がと...」

凛「うにゃ？」

少女「助けてくれて、ありがとうございます...」シクシク

凛「...」

凛「ごめんね、私があと半日早く来ていれば...。あなたの家族は殺されずに済んだかもしれない。」

凛「本当にごめんなさい」ペコ

少女「そ、そんな！頭を上げて下さい！」

少女「私がいま生きてるの...まだ実感湧かなくて。絶対にダメだと諦めてた時にあなたが来てくれたから」

凛「いにゃ～凜はすべきことをしただけにゃ～」テレテレ

凛「それよりそろそろいｋ」

ッッッッ！！！！

ドゴオオおおおお！！

少女「けほけほっ、すごい砂煙。いったい何が」

瞬間二人の目に飛び込んできたのはまたしても異形の者。

しかしどこか違う、いや違うという表現よりは分からなかったというほうが正しいのか。

今までに感じたことのない生物としての攻撃力の塊、爆発的な嫌悪感。

凛「（っっ！！）」キリ

凛「（この感じ...）」

凛「（今まで会った鬼のどれよりも鋭さを肌で感じる！！）」

？？？「おや、何か物騒な覇気を近くに感じたから来てみれば」

？？？「小娘が2人...」スッ

スヒンっっっ！！！！！！！

少女「っっ？？？！！！」

少女「（え？？今なに？！いきなり何かが飛んできてそれで凛さんが...えっ...？？？」

凛「（早い！危うく殺されるとこだった！！）」すちゃ

？？？「ほう...。俺の攻撃が見えるとは。貴様ただの剣士ではないな。」

凛「（間違いない！）」

凛「（こいつは上弦の鬼にゃ！）」

凛「...。目を見たところ、上弦の参がなぜこんなところにいるのかにゃ？」

上参「なるほど、俺を突き動かした正体はこの娘か」

上参「久しいぞ、これほどまでの闘気は...！」ニヤリ

上参「お前、鬼にならないか？」ズオー

凛「なんの冗談にゃ。」

上参「人間は儚いほどに脆い、どんだけ自分を磨き鍛錬したところで不死ではなく不老でもない。」

上参「悲しくはないのか？それほどまでに己を昇華させても歳月が過ぎるほどに老いて弱っていく...。」

上参「その矛盾と勿体無さに見てるだけど虫唾が走るっ！」

凛「...」

凛「凜は...。家族を鬼に殺されたにゃ。家に夕方遊んでから帰ると、そこにあったのは変わり果てた両親の姿」

凛「なんの罪もない人を自己的に殺す鬼。」

凜「凜は絶対に許さない！！！！」スッ

凛「猫の呼吸、参の牙　”猫邪螺子”！！」ズガ

上参「ふ、これだから人間は分からず屋なんだ」ジャリ

上参「ふんっ！！」

凛「（速い！）」

凛「（でも凜は負けないよ！お母さん、お父さん、力を貸して！！！）」ズズズ

凛「肆の牙　”香箱車”っ！！」バンっ！

上参「（この身のこなし...只の剣士ではないな！）」ッガ

キーーーーーン

上参「......」ムクリ

上参「傷を負うのは50年ぶりだぞ...。」ピタ

上参「久々に会ったな。貴様、柱だろ？」

凛「答える必要はないにゃ！」

凛「凜は...凜は絶対に許さないっっ！！」

凛「今まで一体どれほどの人が悲しんだと思う？家族の骸を前に嗚咽するその姿を何回見てきたと思っている！！」ギリッ

凛「だからお前はここで凜が確実に殺す！！例え、刺し違えてでも！！」

ズバッッッッ！！！！

凛「..え？？？」ダラ

刹那...。ふと視線を落とすと赤い鮮血が目に映ると同時に鈍い痛みが腕を襲った。

凛「っっっ！」ギリギリッ

上参「これが...これが現実だ。」スタ

上参「俺に付けた傷はもう完治し、お前の腕はもう使えない。」

上参「見ろっっ！！これが人間の生物としての限界なんだ！」

凛「ま、まだにゃ....」ブルブル

凜「（凜はここで負けるまけにはいかないにゃ...）」

凛「（お父さん、お母さん...）」ウルウル

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凛「お母さん、見てみて！なんか変なの捕まえてきたきたにゃ！」

母「凜、それは蝉の幼虫よ。かわいそうだから逃がしてやりなさい。」

凛「え～。せっかく捕ってきたのに～。」

父「りん、その子はね、まだこれからやることがあるんだよ。」なでなで

凛「やること？？」

父「そうだ。今は地中で静かに暮らしているかもしれない。でも時が来たら地上に出て大きな役目を成し遂げるのさ」

凛「え～全然わかんないよ～お父さーん～」ジタバタ

父「ふっ。今は分からないかもしれないけど、いつかきっと....凜にも分かる時が来るよ」なでなで

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凛「...凜は」

凛「まだ戦えるにゃっっ！！！」ざざっ

上参「ならもう死ね」スヒン

上参「一撃で楽にしてやるよ....！！！」ニヤリ

キィーーーーーーーーーーーーーーーーーン

上弦の参は体を強張らせその右手に圧倒的な闘気を練りこみ集中させていく

周辺の空気が揺らぐ...

凛「（最後にまだ、完成しかけだけど出してない技がある）」

凛「（なりふり構ってはいられない、イチかバチかやるしかないにゃ！！）」ぐぐ

上参「いくぞおおお！！！！柱の小娘よっっっ！！！！！我が必殺の一撃を受け止められるかなあああああ？？？？？！！」

凛「全　集　中」

凛「猫の呼吸　　秘奥義っっっっっ！！」ギリギリ

凛「喪麩喪麩無限地獄（モフモフむげんじごく）！！！！」ズバァっっっ

ドゴーーーーーーーーーン！！！！！！！

その落雷のごとく衝撃音に山の生物たちは驚き逃げ去る

四方が見えなくなるくらいの土煙が舞い上がり

やがては消えていく

上参「......」

上参「腕一本落とすのに割りに合わぬ怪我だな」むくり

上参「しかしまあこの１００年俺の四肢を切断したものは皆無、お前が初めてだ。」

凛「はあ、はあ。」

凛「これでもハア、ハア、ダメなの？」ずず

凛「うっ....」ウルウル

上参「ははははははっ！見事だったぞ、人間の小娘っ！！ここまで俺を高ぶらせたのは称賛に値するぞっっ！」ゾクゾク

上参「そしてもう.....死ねぇっ....！！！！」スっ

凛「（お父さん、お母さん）」

凛「（ごめんね...仇打てなかった）」グス

凛「（凜ももうダメみたい....もう体が言う事聞かないくらい痛くて）」ポタポタ

瞬間、頭を傾けて視線を横にすると助けた少女の悲しみに染まる泣き顔

凛「（に、逃げて....）」

そして鬼が、その手を無慈悲に振り下ろすまでに時間は掛からなかった

パキーーーーーーーン

凛「（.......）」

凛「っっ！！？？」

？？？「遅くなってごめんね、凜ちゃん。でもダメだよ。私の知ってる凜ちゃんは最後の最後まで諦めたりしないし、」

上参「な、なんだお前はっ？？！」ザっ

ザシュっ！！

上参「（何っ！！いとも簡単に俺の体を切り裂いただと？！）」

？？？「笑顔を絶やしたりしない、優しい子」スっ

凛「ひっぐ....あ.....ひっぐ....あ」ポロポロ

凛「かよちん.....っっ！」

花陽「凜ちゃん、ちょっと待ってってね」なでなで

花陽「すぐに終わらせる....！！」ガチャ

花陽「それにね、私だけじゃないんだよ？」クルリ

？？「ええ、そうですよ凜。あなたは一人で戦っている訳ではありません」

？？「ほんっっっっと、世話の焼ける後輩を持つと大変だわ」

？？「凜ちゃんが助かるってのは必然なことなんや...カードもウチにそう告げとる！！」

？？「もーあなたひとりでやろうなんて考えてんじゃないわよ」イミワカンナイ

？？「上弦の鬼に単独で挑むなんて...認められないわあ」

？？「やんやん、悪い鬼さんはすぐに退治です！」ちゅーん

？？「遅くなってごめんね！でももう大丈夫！私たちが来たからには...ファイトだよ！」

上参「な....なんだお前たちは！！？」

凛「言うのが遅れたにゃ...」

凛「そう、凜たち９人鬼殺隊最高位の剣士。」

凛「柱にゃっ！！！！」ドドン

｛｛｛｛｛鬼殺隊を支える９名の柱、その名もμ'sここに集結｝｝｝｝｝

米柱...それは誰よりも白米を愛し、癒しの斬撃を浴びせるもの　　米柱　小泉花陽！！！

鳥柱...それは誰よりも鳥の如く軽やかに舞い、鬼を穿つもの　　　鳥柱　南ことり！！！

海柱...それは母なる海の如く冷静で、時に激しくしたたかに鬼を討つもの　海柱　園田海未！！！

笑柱...それは誰よりもアイドルを愛し、にこにー笑顔を届けるもの　笑柱　矢澤にこ！！！

運柱...それは誰よりも運勢に長け、スピリチュアルに戦うもの　　運柱　東條希！！！

猫柱...それは猫の如く可憐に舞い、俊敏に相手を仕留めるもの　　猫柱　星空凜！！！

認柱...それは誰よりもハラショー、相手を認めずに切り刻むもの　認柱　綾瀬絵里！！！

音柱...それは誰よりも音をイメージし、音速に敵を屠るもの　　　音柱　西木野真姫！！！

歌柱...それは誰よりも歌って踊ることを愛し、今日もパンがうまい　歌柱　高坂穂乃果！！！

柱、集結！！！

穂乃果「さあ、凜ちゃんの分まで私たちが相手してあげるよ！！」

....

その後は指で数えるほどにもなかった。

上弦の参の体は木っ端微塵に切り刻まれ、後日上弦の参が欠けた事に気づいた無惨は無限城に柱を閉じ込めた。

が、これが完全な悪手となり上弦の残りの鬼もマカロンの如くことりのおやつにされ、戦闘後の炊き立てごはんを頬張る花柱...

最終形態となった無惨ではあったが、希のカードのお告げに体の特質全てを見抜かれ

にっこにっこにー

その寒さに完全に身動きを封じ込まれ

真姫のツンデレ

凛の身体能力

絵里のポンコツ具合に頭も混乱し始める

最後は穂乃果の太陽の如く明るい笑顔に焼かれ、

もがき苦しんでいるところを園田の一矢がすべてを終わらせた。

鬼がこの世から消え去ったのである。

そんなこんなで平和な世が始まりを告げた

彼女たちの子孫が数世代後にまた引き寄せあいスクールアイドルとして廃校をそしするのはまた後のおはなしである.....

完