2020-08-19 18:19:38 更新

概要

初投稿です!
自分の性癖に素直に書く予定です!
後半につれグロ描写あり
苦手な人はブラウザバック推奨です

完結済み


前書き

誤字脱字は遠慮なくコメント欄で言ってください!


提督になって早1年、ここまでよく頑張って来れたと思う。


俺は小学校〜高校の間、先生や全校生徒、保護者からもいじめを受けて人間不信になっていた。

先生からはまともに単位を貰えず、生徒からは暴行やものを隠されたりカツアゲ、保護者は根も葉もない噂を流し社会的地位を無くした。


親も仕事を辞めさせられ、俺を疎むようになった。

どこにも行くあてもなく彷徨っていると軍の募集が目に入り、お金が無くても寮に入れば生きていけるかなと思い入った。


試験などは体力テストと一般常識、面接のみだった。

体力テストはいじめのおかげか根性があったおかげで死にものぐるいで突破し、一般常識は平均以下だった。

道徳の授業なんてまともに受けたことがなかったからだ。


問題は面接だった。

いきなり「この手の上になにか見えるか?」と聞かれた。

そこには光る『何か』があった。

正直に「なにか輝くものが見えます」と言うとその質問のみで奥の部屋に通された。


何かやらかしたのだろうか…………?と思いつつ扉を開けるとそこには海軍の軍服を着た人が1人と黒服の人が3人居た。

いよいよ状況に頭が追いつかず1人でパニクっていると海軍の男が自己紹介をし始めた。


男「初めまして、私は〇〇。海軍元帥の息子で提督をやっている。」

男→元帥息子

正直早く立ち去りたかった。

上司や立場が上の人に良い印象が無いからだ。


元帥息子「君はこれが見えるんだね?」

そういうとそっと自分の肩の上の光る『何か』を指さした。


俺「はい、光っている何かが〇〇さんの肩の上で左右に動いています」

元帥息子「ふむ、嘘ではないようだね。妖精さんありがとう。」

妖精?形のない光が?

そんなことを思っていると


元帥息子「君、提督になって艦娘を指揮する気は無いか?」

唐突にそんなことを言われた


俺「その光っている『何か』が見えるから………ですか………?」

元帥息子「そうさ、これは妖精と言ってね、提督になる資質がある人にしか見えない。」

正直「は?」と思った。

なぜそんな『何か』が見えるだけで提督になれるのか?


元帥息子「疑問に思っているようだね。でもここから先は提督にならないと教えられないんだ。機密だからね。」

俺「俺みたいな取り柄も実績も能力も無いやつがなっていいものなのでしょうか………?」

元帥息子「もちろん歓迎さ。君みたいな素直な人を海軍は欲している。何より海軍は万年人手不足だしね(笑)」


拍子抜けだった。

嫌々見えるからと言う理由だけでやらされると思った。

今までがそうだったように、これからも何も期待されず、虐げられ、ストレス発散のサンドバッグになると思っていた。

涙が出そうだった。

初めて人に必要とされた。

それだけでうれしいかった。

何年ぶりだろうか、人とまともに話そうと思ったのは。


俺「俺みたいなやつで良ければやります!」

元帥息子「いい返事だ!では早速色々説明させてもらうよ。」

その後トントン拍子で艦娘の概要、現在の戦況、着任する場所などが決まって行った。

大きなところはやはり学校みたいで苦手だったので小さなところにした。

その鎮守府の名前は『大湊警備府』

そこから地道に戦果を上げていった。


ー提督が鎮守府に着任しました!これより艦隊の指揮を取ります!ー


俺→提督



着任して1年、艦隊の練度も上がりようやく大将にまで上り詰めた。

しかし、艦娘たちとは未だに会話するので精一杯だった。

金剛などダイレクトに好意を伝えてくる者や朝潮みたいな真面目な子も居た。


その中で一際目立っていたのが『お断り勢』だった。

提督同士の情報網などで知ったのだがケッコンカッコカリなるものがあり、練度の限界が上がるらしい。

しかし、ケッコンと名の着くものなので相手にも決定権があった。


そのケッコンカッコカリを高確率でその『お断り勢』は断っていた。

その艦娘は山城や千代田、大井に満潮、そして『曙』だった。

中には危害を加えなければ何も言ってこないやつも居るが、そもそも提督という存在自体が嫌いなやつも居る。


そしてそんな『お断り勢』がうちの鎮守府にも着任していた。


提督「曙、そっちの書類を取ってくれないか………」

曙「はぁ?あんたが自分で取ればいいじゃない、このクソ提督!」

大淀の進言で秘書艦をつけることになり、その秘書艦は提督のサポートをしなければならないこととなっていた。

そして秘書艦はローテーションで回し、1人に負担がかからないようにしている。


提督「わかった、済まないな。」

曙「ふんっ、最初からそうすればいいのよこの役たたず」

中にはしっかり仕事をする者も居るが、邪魔したり、そもそも来なかったりと自由すぎる状況だった。


何となく察していた。

人付き合いの無かった俺が人並みのコミュニケーションが取れるとは思っていなかった。

だが少し期待してしまうじゃないか。

今までが酷かったんだ。

これから希望を持ったっていいじゃないか。

だがそれはあっさり裏切られた。

いや、俺が裏切ったのか。


提督「今日の分は終了だ。上がっていいぞ、曙」

曙「気軽に名前を呼ぶな!クソ提督の分際で!」バタン!

そういうと曙は勢いよく執務室を出ていった


いつもの事だ。

こいつは俺のことが嫌いなんだ。

そう言い聞かせてずっと耐えてきた。

仕方がないんだ。

そう言い聞かせながら提督は執務室の電気を消した。


ー曙sideー

今日こそは絶対に言うんだ!

そう思いながら執務室のドアを叩いた。

曙「曙よ、入るわ」コンコン

まず初めに見えたのは提督の顔だった。

いつもより幾分か不機嫌そうな顔だった。


なんか言いづらい………

そんな空気だった。

話しかけてくるなオーラ全開で隙がない。

それから無言のまま昼休憩に突入してしまった。

何か言おうと思ったが気まずくなって、そのまま執務室を出てしまった。

………何やってんだ私

自己嫌悪に陥りつつ食堂に向かった。


いつも通り食べ、いつも通り執務室に戻った。

その間周りとの会話がほぼ無かった。

そう、曙はこの鎮守府でも孤立していたのだ。

提督への不遜な態度、周りとコミュニケーションしようとしない。

学生時代の提督とかなり似ていた。


曙「曙よ、入るわ」

最早定型文だった。

棒読みに近かったかもしれない。

やっちゃった。

そう思ってももう遅い。

また気まずい執務が始まるだけだった。

ごめんなさい。

その一言が言えればどれだけ楽だろうか。

その一言がとても遠いのだ。

今までのやったことをその一言で無しになるとは思わない。

そもそも言う勇気がなかったのだ。

そんなことを考えていると提督から話しかけられた。


提督「曙、そっちの書類を取ってくれないか………」

ドキッとした。

咄嗟にいつもの毒が出てしまった。

曙「はぁ?あんたが自分で取ればいいじゃない、このクソ提督!」

提督「わかった、済まないな。」

曙「ふんっ、最初からそうすればいいのよこの役たたず」

違う、そんなことじゃない。

言いたいのはそんな上っ面な言葉じゃない。


こうして今日も執務をこなしていく。

提督「今日の分は終了だ。上がっていいぞ、曙」

曙「気軽に名前を呼ぶな!クソ提督の分際で!」バタン!

早く出ていきたかった。

気まずかった。

そしてまた失敗した。

何度やっても学習しない。

今日は夕飯も食べずに自室に引きこもった。


ー提督sideー

早朝、大淀から大本営からの連絡の書類を貰った。

大規模作戦だった。

今までの大規模作戦は近海の哨戒だけだったが今回は本隊の護衛に着くことになったらしい。

そうなれば鎮守府を1週間ほど空けることになる。

早速みんなを集めて伝達することにした。


長門「起立!」ダッ

提督「あぁ、座ってていいよ。」

提督「さて、みんなを集めたのは大規模作戦が発令された。いつも通りなら近海の哨戒だが、今回は本陣の護衛をすることになった。」

艦娘ザワザワ

提督「元帥殿からの推薦でこのような機会を得られた。プレッシャーだろうが必ず成功させて欲しい。頼む。」m(*_ _)m

そう言って提督はみんなへ頭を下げた


長門「提督、顔をあげてくれ。私たち全員であなたの期待に答えよう。」

提督「ありがとう。戦闘に関しては何も出来ないが戦況分析くらいのサポートはできる。何かあったら言ってくれ。必ず力になる。」

そこまで言っていつもと違うことに気づいた。

曙が居ない。

昨日勢いよく飛び出して行ったがやはり俺のことが嫌いなようだ。

まあわかっていたことだ。

俺も曙のことは嫌いだ。

昔のいじめてたヤツらにそっくりだ。

だが蔑ろにすればこちらが裁かれるので今までは我慢して普通に接していた。


提督「以上。なにか質問は?無いようだな。期間は明後日から1週間。その間鎮守府を空けることになるがその間は憲兵が鎮守府に近づく者が居ないか巡回してくれる。安心して作戦に集中するように。以上、解散。」

そう言ってまず初めに駆逐艦の寮に向かった


ー曙sideー

寝起きは最悪だった。

悪夢を見た。

海の底で1人寂しく泣いていた。

隣にはたくさんの冷たくなった『艦娘だったもの』。

そして誰かもわからなくなったほど損傷の激しい提督。


あぁ、もうどうでもいいや。

そう思って放送の集合にも応じなかった。

それから少ししてからドアにノックされた。


提督「曙、居るか?」

曙「…………」

提督「明後日から大規模作戦が始まる。今回は本陣の護衛に着くことになった。1週間ほど鎮守府を空ける。参加するかはお前次第だ。」

曙「………」

提督「返事は無し……か……。参加の場合は0800に正門前に集合しろ。伝達は以上だ。」コツコツ

足音が遠ざかった。


何もやりたくなかった。

姉妹にさえ見放されここではただ1人。

そんな奴が1人加わったところで対して変わりはしない。

ましてやマイナス、お荷物だろう。

ならここでじっとしているのが得策だ。

考えることも辛くなっていた。

ただひたすら現実から逃げたかった。


ー提督sideー

提督「全員揃ったか?」

長門「曙以外全員集合だ。」

提督「やはり来なかったか。まあいい、あいつは自由参加と言ってある。1週間だがここに置いていく。」

長門「心配だがあいつも自分で決めたのなら大丈夫だろう。」

提督「では出発する!」


ー曙sideー

鎮守府が静かだ。

あぁ、そうか。

みんな大規模作戦に出たのだ。

そして私だけここに残ったのだろう。

なんて意気地無しだ。

挽回するチャンスはいくらでもあったはずなのに。

1歩歩み寄れば解決できた問題なのに。

明日でいいや、恥ずかしい、気まずい。

たったそれだけの理由でここまでこじれたのだ。

自業自得。

そう誰もが思うだろう。

だが当事者になれば誰でもこうなってしまう。

人間関係なんてそんなものだ。

私なんて………

やめよう。

そこまで考えてやめた。

この先は何かダメな気がする。

そうしてまた眠りについた。


ー提督sideー

そして時は少し過ぎ、作戦が始まった。


阿武隈「敵艦、発見です!」

提督「編成は?」

阿武隈「リ級1、ハ級2、ロ級3!」

提督「………護衛とはいえ弱いな。速攻で蹴散らせ!」

阿武隈「了解!皆さん、私の指示に従ってください!従ってくださいぃ〜(´;ω;`)」

護衛自体は順調だった。

見方本陣は無傷。

前衛、中衛艦隊は多少の被害はあるものの、小破すら出ていない。

おかしい。いくらなんでも弱すぎる。

上も気づき始めたようで、短期決戦に持ち込み、周辺警戒に力を注ぐつもりのようだった。


阿武隈「艦隊が帰投しました〜!」

提督「お疲れ様。損害の方は?」

阿武隈「響ちゃんが小破しただけで他の子は小破以下の子だけです!」

提督「入渠と補給を済ませて休んでくれ。」

そう言うと、大きなため息をつき深く椅子に腰掛けた。


榛名「提督、榛名です。」コンコン

提督「あぁ、入ってくれ。」

榛名「失礼します。大きなため息でしたがどうなさいました?」

提督「外まで聞こえていたか…………なに、今回の敵が弱くて、今後奇襲などが無いか少し不安なだけだ。」

榛名「そうでしたか………でも安心してください!榛名が提督を守ります!」

提督「ありがとな、榛名。」

そんな会話をしている時にはすっかり曙のことなんて忘れていた。


ー曙sideー

目を覚ませば静かな鎮守府と真っ暗な部屋だった。

今、何時だろ。

時計を見た。

2300

なるほど、暗いわけだ。

ここ2日まともに食べてない。

自炊する気力すらないのだ。

寝すぎたせいか頭が痛い。

軍連絡用スマホを取り出して見てみた。

現在の戦況は…………優勢

やっぱり私なんて要らなかったんだ………


全て私のせいなんだ………

艦娘になっても変わらない。

私が何をやっても誰も認めてくれない。

それならいっそ誰にも迷惑をかけないように…………


『死のう。これ以上迷惑をかける前に』


思い立ったが吉日、鎮守府の倉庫に向かった。


たしかここにあったはず………

あった。

曙が手に持っていたのは少し細めのロープだった。

潮風に晒されてか少しキシキシしていたが問題ない。

もしもそれだけじゃ足りなかった時のために刃物も持っていこう。

そして目の前にあった大きめのカッターナイフを手に取り自室に戻った。




部屋に戻り、天井の梁にロープをぶら下げた。




これで最後かぁ………




また碌でもない一生だったな…………




次なんていらないからどうかこのまま安らかに………




そんなことを思いつつロープに首をかけた。




心残り、無いとは言えないなぁ………




最後くらい翔鶴さんや漣、最上さん、そして提督達にごめんなさいって、あやまり、たかった、なぁ………



あれ、なんで、涙が出てるん、だろう………




もう、ここに居ては、いけない、のに………




ここから、自分の運命から、逃げるつもりでいたのに………



あぁ、やっぱり、どんなに嫌われようと、どんだけ嫌なことをされようと………



『どうしても、みんなのことが好きだったんだなぁ………』



そう思うと最後だけは、自分のやりたいことをしたいという感情が湧いてきた。


あんだけ絶望してたのに、都合のいいやつよね、わたしって。


自嘲気味にそう言いながらロープから頭を抜こうとしたその時。


《バキッ》


曙「ッグ……ァ………」


椅子の足が折れて首吊り状態になってしまった。


曙「……ぅぁ……たす……け………」

助けを求めても誰もいない。

大規模作戦にみんな出ているのだ。


死にたくない!みんなに謝るんだ!まだ死ねない!

何かない!?何でもいいから何か使えそうなものは!

っそうだ!


探しているうちにもしもの時のためのカッターナイフを持っていたのを思い出した。


これでロープを切ればっ!


ポケットからカッターを取りだし必死にロープを切り始めた。


グッ……意識がもう………!


気づくのが少し遅かった。

ロープがもう少しで切れるところで意識が無くなった。


カチャン


カッターが手から離れ床に落ちた。

それと同時にロープが自重と少しの揺れで切れ、曙は床に落ちた。


グサッ

曙「ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!!!!」


カッターが落ちたところにちょうど曙が落ちてしまったのだ。


曙「い”た”い”い”た”い”い”た”い”い”た”い”」

カッターが胸の、しかも心臓の辺りに深深と刺さっている

刺さったところが悪かった。

血が溢れて止まらない。


曙「あ 、くッ、かはッ………!」

悶え苦しむ。

転がった拍子にカッターの刃は折れているがまだ刺さったままの刀身が残っている。


曙「あぎっ……クッ……!ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!!!」

やっとの思いで刀身を抜いた。


なんで、なんで、なんで!

なんでいっつもそうなの!

大事な時にいつもそう!

何かに邪魔されて守りたいものが守れず、目の前で無くしてきた。

裏切られ、罵倒された。


やだやだやだ、まだ生きたい、今度こそ素直になる。

言いたいこともいっぱいある。

お願い、お願いよ。

まだ死ねないの………!


幸い曙の部屋から入渠ドッグまでは近かった。

まだ助かるかもしれない。

いや、助かるんだ!


立とうとするが血が流れ、酸素も足りてないからか、まともに立てなかった。

意地でも助かってやる!

そう思い、床を這いずって進んだ。



ー提督sideー

提督「さて、かなり強行軍だったが無事最終回域のボスを倒すことが出来たと今連絡が入った。」


艦娘「おぉ!」


提督「しかし今回の敵は弱すぎた。だから第二波があるのでは?というのが大本営の見解だ。よってこれから各鎮守府に戻り哨戒装備に換装後、全艦娘で近辺哨戒をすることになった。」


大淀「なのでみなさん、休み無しですがあと少しの辛抱ですので踏ん張りましょう!」


艦娘「おー!」


提督「ここからは、大本営が出してくれるバスに乗って帰ることとなった。ここから1日かかるがその間ゆっくり休んでくれ。では艦種ごとに乗り込んでくれ。」

そうして提督たちは帰路に着いた。


ー曙sideー

痛みが抜けない。

上手く前に進めない。

でも、進まないと。

そう思い朦朧となる意識の中入渠ドッグの扉に手をかけた。

そしてそこにふと頭の中に声が響いた


?「イキタイカ?」


当たり前じゃない。

じゃなきゃこんなに醜く足掻いてない。


?「ソンナニヒッシニナッテナニガシタイ?」


みんなに謝りたい。

笑いながら話をしたい。


?「ソンナコトニカチハアルノカ?」


あるに決まってるじゃない!


?「ナライカシテヤロウカ?」


…………いらない

誰かも分からないやつの力は借りたくない


?「ゴウジョウダナ、ソンナコトダカラセイゼン、サンザンイジメラレタンダロ?」


うるさいうるさいうるさい!

黙ってよ!


?「ワメケバナントカナルトオモッテイルノカ?」


黙れって言ってんのよ!


?「スコシゴウインダガ、ユルセヨ?」


その声が聞こえた瞬間、曙は意識から手を離した。


ー提督sideー

提督「みんな居るな?久々の鎮守府だがすぐに出る。すぐに工廠に向かうぞ。」

みんなに号令をかけつつ鎮守府に入っていった。

1歩、鎮守府に入ると寒気がして立ち止まった。


長門「どうした?提督。」

提督「いや、少し寒くてな。」

長門「そういえば曙が残っていたはずだが、居ないのか?」

長門に言われて提督は嫌な汗をかき始めた。


長門「大丈夫か?顔色が悪いぞ。」

提督「いや、大丈夫だ。あと少しなんだ。それが終わったらゆっくり休むよ。」

長門「無理だけはしてくれるなよ?」

提督「ああ、わかった。」

そう言い一行は鎮守府に入っていく。

そして工廠の前の一直線の廊下に差し掛かったところで『それ』はそこに居た。


長門「提督下がれ!」

提督「ッ!」

長門が提督の前に割って入った。


艦娘「まさか深海棲艦!?」

提督「そういう事か!作戦の敵はおとりでこっちが本命か!」

長門「なるほど、合点がいった。それならばここでたおs」

漣「待って!!」

艦娘&提督「!?」

漣「よく、見て欲しいです、ご主人様………」

提督「………………?」

漣「分からない…………ですか…………」

提督「あぁ、新型の深海棲艦じゃないのか?」

漣「そうなんですけど………あの顔と偽装………見たことないですか………?」

提督「……………!?まさか!」

漣「はい、あれは多分駆逐艦『曙』です………」

艦娘「!」ザワザワ

確かにサイドテールの長い髪だった。

しかしその髪はボサボサで以前の影も形も無いほどに荒れていた。


提督「本当………なのか……?嘘じゃない………よな………?」

提督(嫌いな奴が闇に堕ちて清々するはずなのになぜこんなに動揺している………?)

漣「はい……間違いないかと………。あんなんでも一応……姉妹なので………。」

艦娘全員が動揺していた。

なんで艦娘が深海棲艦に?

どうやったら深海棲艦になるの?

あの深海棲艦は曙なの?

様々な疑問とともに不安が漏れ出ていた。


提督(まずいな………動揺が伝播して収集がつかなくなる!)

提督「おい!そこの!お前は曙なのか!?」

深海曙「う”あ”………」

こんな声が、いやうめき声だろうか、それが人が出せるのだろうか。

そんなことを考えながら現状の打開策を提督は練らねばならなかった。


提督「長門。今からあいつのところに行って話をしてくる。」

長門「ばかか!?曙だという確証はないんだぞ!?」

提督「だがここに残っている曙はどこへ行った?認めるしかないだろ………」

何かあったらあとは頼む。

そう言って提督は歩き出した。


提督「おい、今からそっちに行く。話をしよう。」

深海曙「あ”………」

お互いが距離をつめ、普通の声でも届くような距離まで近づいた。


提督「曙か?」

深海曙「…」コクン

うなづいた、少なくとも話す気はあることがわかった。

そしてこの化け物が曙だと言うことも。


提督「何があった?どうしてその姿になった?」

深海曙「お”え”ん”あ”あ”い”………」

提督「もしかして喋れないのか?」

深海曙「…」コクン

提督「そうか…………ならばこちらの言うことを少し聞いてもらおう。」

深海曙「!!」

少しビクっとしたようだった。

何か怯えてるのか?

だが喋らないと進まない。

このまま話すことにした。


提督「最初に着任した時、まず言った言葉を覚えているか?」

深海曙「………」

提督「特型駆逐艦「曙」よ。って、こっち見んな!このクソ提督!………確かそうだったな………」

深海曙「…………」フルフル

曙が震えている。

怒っているのだろうか。


提督「第一印象は最悪だったよ………ここからは私情になるが、俺は学生の頃いじめられていたんだ。それは確か大淀から聞いていたな?」

深海曙「………」

提督「そのせいか俺は人が信じられず、嫌いだった。また虐められるんじゃないか。そう思いながら毎日暮らしていた。親からも捨てられ、最終的には軍に入って死のうと思った。さて、ここまで言ったら俺の言いたいことはだいたいわかるな?」

深海曙「………」コクン

曙は小さく頷いた。


提督「なぁ………なんで俺の事を嫌いになった?」

深海曙「い”あ”う”!あ”あ”い”あ”!」

提督「…………済まない、何を言っても分からないんだ。」

深海曙「!」ポロポロ

曙は、悲痛に顔を歪めて泣いていた。


提督「泣きたいのは俺の方なんだよ………」

深海曙「お”え”ん”あ”あ”い”お”え”ん”あ”あ”い”」

提督「なんだ?また罵倒してるのか?まあいい、これが最後だ。」

そう言い、提督はすっと息を吸った




提督「お前のこと嫌いだよ…………」


深海曙「」ポロポロ



そこには静寂が訪れた。


少し疲れたような提督と、涙を流す曙。


そしてかたずを飲む艦娘たち。


提督は言った。



提督「さようなら…………」スッ




パァン!!



深海曙「」バタ




提督は懐から出した明石お手製の拳銃型小型主砲で曙の頭を打った。


脳を狙ったのはせめて苦しまないようにするためだ。


提督の甘さだろうか。


そしてあけぼのの顔を見ると。


優しいそうな顔で倒れていた。


提督「終わった…………か…………さて、みんなのところに戻るか……。」

その時だった。




ありがとう。そして、ごめんなさい。




とても優しい声だった。

そして聞き覚えのある声だった。


提督「曙!?」

曙「」

振り返ると曙の深海化は解けていた。


まさかこいつ、俺に謝りたかったのか!?

…………まさかな

あれ、おかしいな、なんで涙が止まらないんだ?

俺はあいつのことが嫌いなのに、なんで。




泣かないで、笑って。そして生きて。




言われるまでもない、俺は生きてこの戦争を終わらせるんだ。

そしてみんなと笑うんだよ。

だから終わったらお前も…………


そして提督は艦娘たちの方に向かって歩き出した。





その後曙は戦死と処理され、追悼式も少人数でだが行われた。

艦隊の運営のもいっそう力を入れどんどん海域を解放していき、最後には深海棲艦を駆逐した。



そして終戦後、提督は大本営にある轟沈艦の慰霊碑の前に立っていた。


提督「終わったよ………ようやくだ…………」



提督「見ていてくれたか?結構これでも頑張ったんだぞ?」


提督「本当に済まないことをした。それこそ謝っても済まないことだ。」


提督「なぁ、本当は何を言いたかったんだ?」


当然答えはない。


憲兵「提督殿、そろそろお時間です。他の提督も待っています。」

提督「あぁ、済まないな。」スッ

立ち上がり、立ち去ろうとしたその時




やるじゃないの、提督。褒めてあげるわ。




提督「………曙?」


今度は振り返らなかった。

振り返ると情けない顔を晒すような気がして。


提督「あぁ、最後まで見ててくれて、ありがとな………」

その言葉を最後に、涙を必死にこらえ提督は立ち去った。




~完~


後書き

こんにちは、こんばんは、おはようございます!
初めましてですね!芳乃ノエルと申します!
初投稿でかなり拙い文章だったと思いますが許してくださいw

さてここからが本題ですが、誤字脱字などがありましたら遠慮なく言ってください!
あと感想とか書いてもらえると嬉しいです!
未完結にも関わらず評価してくれた人もほんとにありがとうございまm(*_ _)m
やる気がかなり出ました!

次回のネタもいくつかあるので近日中に描き始めると思います!
次回はグロ鬱ストーリーじゃなくて日常系にしようかなと思ってます!
良ければ次回作も呼んでください!それでは!




(最後ドタバタで終わってしまって申し訳ないです…………)


このSSへの評価

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SS好きの名無しさんから
2023-04-09 05:23:52

SS好きの名無しさんから
2021-08-07 22:44:27

歩提督さんから
2020-08-19 21:24:29

SS好きの名無しさんから
2020-06-23 00:18:11

T提督さんから
2020-06-21 12:50:29

SS好きの名無しさんから
2020-06-20 08:28:27

マカロニさんから
2020-06-19 12:52:29

桃蜘蛛さんから
2020-06-18 02:55:55

SS好きの名無しさんから
2020-06-17 23:11:26

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2020-08-19 21:24:30

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桃蜘蛛さんから
2020-06-18 02:55:53

SS好きの名無しさんから
2020-06-17 23:11:26

このSSへのコメント

3件コメントされています

1: T提督 2020-06-28 17:49:42 ID: S:_fS0Ha

うぅぅ…泣けるよぉぉぉぉぉ!

2: 芳乃ノエル 2020-06-30 22:16:29 ID: S:O0RkRP

コメントありがとうございます!
拙い文章ですがこれからも精進したいと思います!

3: 歩提督 2020-08-19 21:25:24 ID: S:HPQMjX

なっ涙がでっ出てます。


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