カチッ──────────

これ、ちゃんと撮れてるのかな………？

えーっと、あっ！カメラが写ってない！

やっぱり中古だとダメなのかな…………ｸﾞｽﾝ

けどお金もないし…………音だけでも残しておこうっと！

え〜、こほん！

司令官、お久しぶりです、吹雪です！

お元気でしたか？

私たちは…………まあ元気です！

少し寂しいですが、みんな司令官が帰ってくるのを信じて待ってます！

勉強したり、訓練したり、本を読んだり

みんなそれぞれですが、まだまだ私たちは戦えますよ！

そうそう！この前海外艦の皆さんに外国語を教えてもらったんです！

簡単なのなら少しは話せるようになったんですよ？

あとは鎮守府の裏手に畑を作って、そこで野菜を育てて自給自足をしています！

そこで取れた野菜で作ったカレーは美味しかったなぁ〜！

しかも、作ったのはなんと比叡さんなんですよ！

司令官のためにって、料理の腕を磨いて、上手になったんです！

あとは夕立ちゃんがテストで満点を取って、司令官に褒めてもらうんだ！って張り切ってたり。

大晦日には…………みんな、で………鎮守府を………綺麗に……して………

司令官…………お願い………です…………

ﾋｯｸｸﾞｽ…………

帰って…………来て……………

このままだとみんなバラバラになっちゃう……………

鎮守府が……………解体されちゃう……………

昔みたいに……………泣いて、笑って、怒って…………

楽しく過ごしましょうよ……………

私もなんだって頑張るから……………

お願いですから………………

帰ってきてくださいよぉ…………………………

ごめんなさい……わがまま………ですよね……………

司令官にも事情がありますもんね……………

これ、送るつもりでしたが、執務室の机の上に置いておきます

もしこれを見て気が向いたら、また｢司令官｣、やってみてくださいね？

次の私を泣かせちゃダメですよ？

それでは……………………

さようなら、司令官…………………

カチン──────ガー──────────

そんな音がみかん箱と小型のテレビ以外無くなった執務室に響いていた

別の部屋では、真っ暗な中、一人の少女が泣き腫らした顔で感情もなく、ただそこに座っていた