アルミン「君の言葉も、態度も、全部…」
戦士のアニと兵士のアルミンの決して許されることのない恋の物語。
そこに、エレン、ミカサも加わり事態は複雑に…
アニ、そしてアルミンの恋の行方は…?
最近めっきりアニを見なくなりましたね…
結構、俺自身好きなキャラクターなのでもっと活躍してほしいのですが…
あと、気になるのが…
アニって死んでるんですかね?生きてるんですかね?
食事も日の光もないところにいますよね?
人間だとしたら、死んでますし…
巨人だとしたら眠ってるだけでしょう…
壁の中の巨人は光当てれば動きますもんね。
そこも、アニが人間なのか、巨人なのかによって変わってきそう…
んーどっちなんだろう?
俺的には、生きててほしいので、アニは巨人で眠っているだけだったらいいなあ〜と思いますw
さて長くなりましたw
そろそろ結びたいと思います。
是非作品に対する意見、感想等をコメントしてください!
君の言葉も、態度も、全部…
嘘だったの?
もう…わからない…
何が真実なの?
何が正しいの?
何が正義なの?
僕にはもう…わからないんだ…
ーー私にだってわからないさーー
訓練兵「…」タッタッタッタッタッ
アルミン「はぁ…はぁ…」タッ タッ タッ
キース「どうしたアルレルト!?遅れているぞ?」
アルミン「はぁ…はぁ…」タッ タッ タッ
キース「貴様にはその装備は重いか!?貴様だけ装備を外すか!?」
アルミン「くそっ…」タッ タッ タッ
足手まといは死んでもごめんだ!!!
アルミン「はぁっ…!」タッタッタッタッタッ
僕には体力がない。
でも、僕のせいで隊列を乱すわけには行かない。
アルミン「んっ!!」タッタッタッタッタッ
踏ん張れ!
今遅れたら、もう追いつけない…!
アルミン「くっ…」タッタッタッ
ダメだ…
追いつけないよ…
アルミン「はぁっ…はぁっ…」タッ タッ タッ
みんながどんどん離れていく…
嫌だ…
追いつかないと…!
アルミン「うわっ!?」ズシャー
石に…つまずいた?
アルミン「痛っ…!」
ダメだ、痛がってる暇はない!
みんなは…
アルミン「!!」
あんな…遠くに…
僕だけ置いてかれるのか…?
ズシン…
アルミン「!?」
ズシン…
アルミン「なんだ…?足音…?」
ズシン…
アルミン「あぁ…」
《奴》が姿を現した。
アルミン「嫌だ…や、やめてくれ…」
《奴》は僕に手を伸ばす。
アルミン「ひっ!?」
「アルミン…」
アルミン「…え?」
「アルミン…!」
アルミン「喋った…?」
ー
ーー
ーーー
アニ「アルミン!」トントン
アルミン「うわっ!?」ビクッ
そこに居たのはアニだった。
アニ「こんなとこで寝たら風邪引くよ」
アルミン「え…?ここは…図書館?」
アニ「もう消灯時間だし…早く戻りなよ」
アルミン「あ…」
さっきのは…夢か…
アルミン「ありがとう、アニ。教官に叱られるところだったよ…」
アニ「別に…あんたが教官に叱られるのは構わないけど、私に飛び火してきたら嫌だから」
アニは目を逸らしながら言った。
アルミン「それでも…僕は助かったんだ。お礼を言わせてよ」
アニ「…勝手に言ってな///」
少しうつむき、照れ臭そうにするアニ。
アルミン「ふふっ、ありがとう」
アニ「…ほら、早く出るよ」
アルミン「うん。出ようか」
アルミン「うわっ…寒いなぁ…最近あったかくなってきたと思ったのに…」
2月も終わるというのに、まだ寒さが残る。
冷たい風が吹いていた。
アニ「あんたは居眠りしてた所為もあると思うけどね」
アルミン「あはは…」
アニ「でもそんなに寒いならさ…」
アルミン「?」
アニ「私が温めてあげるよ」
アルミン「ブフォ!!!」
アニ「えっ」
驚きのあまり吹き出してしまった。
アルミン「な、な、何言ってんの!?///」
アニ「いや、軽い冗談なんだけど?」
アルミン「冗談に聞こえないよ!?」
アニ「そう?」
アルミン「てかアニって冗談言うキャラじゃ…」
アニ「うるさい」ゲシッ
アルミン「痛っ!?」
アニ「…まあでも、早く戻ってあったまりなよ」
アルミン「うん…その、なんだかアニ、いつもと違って…優しいね」
アニ「…は?」
アルミン「いや、いつもそんな風に振る舞ってれば、もっと周りと馴染めるんじゃ…」
アニ「…余計なお世話」
アルミン「ごめん」
アニ「別に私は、兵士の仲間なんていらないから」
アルミン「でも、一人じゃできないことだってあるし…」
アニ「…だとしても、ここで兵士ごっこしてる連中とつるむ気は無いよ」
アルミン「そっか…でも僕は!アニのこと、仲間だと思ってるから!」
アニ「勝手に思ってなよ」
アルミン「何かあったら力になるよ!」
アニ「劣等生のあんたに何ができるのさ」
アルミン「うっ…」
アニ「…ごめん、少し意地悪だったね。心配してくれてありがと」
アルミン「え…」
アニ「…なに?」
アルミン「アニってお礼言えるんだ」
アニ「…」ゲシッ
アルミン「痛っ!?」
アニ「あんた私をなんだと思ってるの?」
アルミン「ご、ごめん…」
アニ「けど…心配してくれてること自体は嬉しいから…」
アニは照れ臭そうにボソボソッと言った。
アルミン「!」
その瞬間だけ、暖かい風が吹いた気がした。
アニ「それじゃ、私帰るから」
アルミン「あ、うん!今日は本当にありがとね!おやすみ!」
アニ「あぁ…おやすみ」ニコッ
アルミン「!?///」
ー男子寮ー
ライナー「それじゃ灯消すぞ〜」
部屋が一気に暗くなる。
アルミン(ふぅ…今日も疲れたな…)
アニ…
可愛かったな…
アルミン(って、何考えてんの!?///)
でも…アニって意外と表情が豊かだ…
ただちょっと分かりにくいだけで…
よくよく見ればすぐ分かる。
アルミン(普段からあの笑顔、作ればいいのに)
ー女子寮ー
アニ「…」
周りから寝息が聞こえる。
この日ははなんだか眠れなかった。
無性に考え事をしてしまう。
…………あいつのことを考えてる。
私が図書館を出ようとした時、聞こえたんだ。
『や、やめてくれ』
その言葉が妙に心に刺さった。
ただの寝言なのに…
くだらない悪夢を見てるだけだろう。
なのにその言葉が、私に…
流石にそれは考えすぎかな…
でも、私《達》に向けられている気がしてならなかった。
こんな嫌な気持ちで寮に戻るなんてできない。
そう思って起こすことにした。
ただ、それだけなのに…
『ありがとね、アニ』
『優しいね』
『仲間だと思ってるから!』
あんな嬉しい言葉をかけられるのは初めてだった。
そんな言葉たちに、私は少しまいあがってしまった。
現に今も眠れないほど考えている。
アニ「私は戦士だ」
そう言い聞かせ、眠る努力をした。
ここは…
どこだろう?
あれ?目が開かない…
なんで…?
あ、もしかして今…
水晶化してるの…?
私…捕まったんだ…
でもなんとか、情報は守れたみたい。
拷問されるよりはマシだよね…
「アニ」
アニ(!?)
「聞こえてるの?」
アニ(…)
「返事をしてくれ…」
アニ(ごめん…それはできない…)
「…どうしてあんなこと」
アニ(…)
「君のせいでたくさんの死人が出た」
アニ(…ごめんなさい)
「この殺人鬼め」
アニ(ごめんなさい)
手に感触がある。
「うわっ、嫌だ!嫌だぁ!!!」
人を…握りつぶしていた。
ブチッ…
人を踏みつぶしていた。
グチャ…
人を殺していた。
アニ(ごめんなさいごめんなさい)
「コロシテヤル」
アニ(ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい)
ー
ーー
ーーー
アルミン「アニ!!」
アニ「!?」ハッ
アルミン「大丈夫?酷くうなされてたけど…」
夢…?
アニ「…大丈夫」
アルミン「…本当に?前にも言ったけど、何かあったら力になるよ?」
アニ「平気…だから…」
アルミン「……誰に」
アニ「?」
アルミン「……謝ってたの?」
アニ「!」
アルミン「…」
アニ「ごめん…言えない」
アルミン「…そっか」
アニ「…」
アルミン「事情は人それぞれだもんね!野暮な詮索はしないよ!」
アニ「…うん、助かる」
アルミン「そういえば、アニも本好きなの?」
アニ「まあ、暇つぶしに読む程度だけど…」
アルミン「そっかぁ…僕は本が大好きなんだ」
アニ「へぇ…そう」
アルミン「うん…(あんまり興味なさそう…)」
アニ「それで?どんな本が好きなの?」
アルミン「!」
アニ「?」
アルミン「僕は色々知れる本が好きかな…王政のこととか、兵団のこと、それに…外の世界のこととか!」
アニ「外の世界?あんた、あの死に急ぎについて行く気?」
アルミン「それはなんだか僕が腰巾着みたいな言い方だけど…まあ、そうだね」
アニ「あいつに影響されたの?」
アルミン「ううん、むしろ逆なんだ。僕が最初に外の世界の話をしはじめたからね」
アニ「へぇ…」
アルミン「小さい頃は外の世界って言うだけで、異端だって言われてきた。なのにエレンだけは興味を持ってくれて…」
アニ「それで、友達になったの?」
アルミン「うん。僕もエレンも友達いなかったから、初めての友達なんだよ」エヘヘ
アニ「どうりであんたら仲良いんだね…気持ち悪いくらいに」
アルミン「気持ち悪いとか…酷いなぁ」
アニ「ごめん」クスッ
アルミン「でもね…」
アニ「?」
アルミン「最近のエレンは外の世界についてあんまり言わなくなったんだ」
アニ「そうかい?調査兵団がどうのこうのとかうるさい気がするけど」
アルミン「うん…そうなんだけどさ。それは外の世界の為じゃなくて、巨人の駆逐の為なんだ」
アニ「?」
アルミン「昔はもっと、僕と外の世界について語り合ってくれたのに…」
アニ「…」
アルミン「一緒に外の世界を探検しようって…約束したのに…」
アニ「…」
アルミン「今は全然話してくれないんだ」
アニ「あいつが…興味なくなった…ってこと?」
アルミン「そう、かもしれない…」
アニ「ふーん」
アルミン「…」
アニ「…」
アルミン「ていうか…この前と立場逆転だね」クスクス
アニ「そうだね…」クスッ
アルミン「寒くない?もう3月入ったけど、まだ寒いし…風邪ひかないようにね?」
アニ「…ありがとう」
アルミン「へへ…どういたしまして」
アニ「私なんかより、アルミンの方が優しいよ」
アルミン「そんなことないよ!アニだって十分優しいさ!」
アニ「そう…かな」
アルミン「そうだよ!って、もう消灯時間だ!早く帰ろう!」
アニ「ああ…じゃ、あんたも気をつけるんだよ」
アルミン「うん、ありがと!バイバイ!」
アニ「じゃあね」
ー翌日 対人格闘ー
エレン「よし、行くぞっ!」ダッ
アニ「はいはい」
『でもね…』
アニ「…」
エレン「ボサッとしてんなよ!」ブンッ
アニ「…(ちょっと危なかった)」スッ
『最近のエレンは外の世界についてあまり言わなくなったんだ』
エレン「くそっ、あたんねぇのかよ…」
『そうかもしれないね…』
あの時アルミンは、とても悲しそうな目をしていた…
エレン(アニのやつ…ボーッとしてやがる…そんなに余裕なのかよ…くそっ!!!)
エレン「おりゃぁぁあ!!」ブンッ
アルミンのあんな顔…見たくない!
アニ「…」ゴゴゴゴゴ
エレン「なんで当たんn…!?」
アニ「ふっ!」
バギッグルッドサッ
エレン「」
あ…
やりすぎたかも…
エレン「いててて…やっぱ強えな、アニは」
アニ「あんたが弱すぎるのさ」
エレン「くっ…」
アニ「そんなんで巨人に勝てるとは思えないけどね」
エレン「なんだと!?」
アニ「だいたいあんたは、なんでそんなに巨人を倒したいの?」
エレン「お前には言ってなかったか…?」
アニ「?」
エレン「俺の母さんは巨人に食われた。俺の目の前で…」
アニ「!」
エレン「俺は見ちまったんだ…でも、目を背けたりしない。俺は、あいつらを殺さなきゃならねぇ」
アニ「…」
エレン「そして…いつか、巨人を駆逐したら…外の世界を探検するんだ!」
アニ「!」
エレン「これが俺の…小さい頃からの夢だ」
アニ「…アルミンも」
エレン「?」
アニ「アルミンも同じことを…言ってた」
エレン「ああ…あいつか…」
アニ「でもあいつは、あんたが外の世界に興味がなくなったかもって心配してたよ」
エレン「は?」
アニ「なんで…話さないの?アルミンと。好きなんでしょ?外の世界が」
エレン「ああ、好きだ。でも、俺はあいつを外に連れて行きたくない。調査兵団に来てほしくないんだ」
アニ「それは…なんで?」
エレン「死んだら、元も子もねぇだろ」
アニ「それはあいつに力がないってこと?」
エレン「違う!あいつはちゃんと大きな力を持ってる!」
アニ「じゃあ、なんでよ?」
エレン「俺が死ぬのはいい…でもあいつはダメだ。外の世界を見せてやりたい」
エレン「だから、俺が巨人を駆逐するまで待ってて欲しいんだ」
アニ「…それは」
エレン「?」
アニ「あいつが、アルミンが望むことなの?」
エレン「え…?」
アニ「私は違うと思う」
エレン「…」
アニ「あいつは《あんたと一緒に》夢を追いかけたいんだ。誰かがくれた夢なんて望んでない」
エレン「…」
アニ「…部外者が何口出してんだって思うなら聞き流しな。でも私はそう思う」
アニ「いくら深い関係でも…いや、深い関係だからこそ、相手のことが分からなくなる時もあるんじゃないの?」
アニ「そういう時は私とか…第三者の方が分かるときもある…そう思うよ」
エレン「…」
カンカンカンカン!
キース「そこまで!全員今日の訓練は終わりだ!晩飯の配給がある!直ちに食堂に行ってろ!」
サシャ「やったー!ご飯です!!!」
コニー「今日はやらねぇからな!」
サシャ「えへへ、早い者勝ちです!」
コニー「は!?おいコラ!待ちやがれ!」
アニ「…」
エレン「…」
アニ「…変な説教垂れて悪かったね。それじゃ」
エレン「ま、待ってくれ!」
アニ「…何?」
エレン「その、ありがとう」
アニ「は?」
エレン「いや、なんて言うか…お前に気付かされた気がするからよ…」
アニ「…そう」
エレン「うまく言えないけど、とにかくありがとな!」
アニ「はいはい」
エレン「てかアニって、結構人のこと見てるんだな」
アニ「どういうこと?」
エレン「だって、俺とアルミンのこと、すごく考えてくれてるみたいだしさ」
アニ「別に…あんたのことなんか考えてないよ」
そうだ、あんたのことを見てるわけじゃない。
エレン「んー?でもよく見ててくれてるってのは分かったぜ!」
私もあんたに気付かされたよ、エレン。
アニ「どうも」
私は無意識のうちに…あいつのことを…
エレン「アニって意外と優しいんだな!」
アルミンのことを、考えてるんだ…
アニ「意外とは余計だよ」ゲシッ
エレン「いってぇ!何すんだよ!」
アニ「早く行きな。あんたの友達と保護者が待ってるよ」
エレン「あいつは保護者じゃねぇ!」
アニ「はいはい、分かったから。さっさと行きなよ」
エレン「くそっ…何でそんな言われようしなきゃいけねぇんだよ…」
アニ「ふぅ…」
あいつはちょっと疲れる。
エレン「おーい!アニ!」
大声で呼ぶな。
話があるならこっちに来なよ。
恥ずかしいじゃないか。
アニ「…」
エレン「今日は本当にありがとな!!!」
アニ「どうも…」クルッ
もうこの気持ちに、蓋は出来ないのかもしれない…
アルミン…
私、あんたのことが…
「アニ」
アニ「ひっ!?」
ベルトルト「っ!?」
アニ「…あ、あんたか…驚かせないで」
ベルトルト「僕だって驚いたんだけど…」
アニ「で?何?」
ベルトルト「今日…」
アニ「分かった。それ以上言わなくていい」
ベルトルト「…」
アニ「それじゃ」
ベルトルト「待ってアニ」
アニ「今度は何?」
ベルトルト「あんまり浮かれすぎないでよ」
アニ「!?」
ベルトルト「君までライナーみたいに…」
アニ「なるわけないでしょ!ふざけないでよ!」
ベルトルト「…ならいいんだけど」
アニ「…ごめん、取り乱した。あんまりこうやって会うのよくないから、じゃあね」
ベルトルト「…うん」
ライナー「おーい!ベルトルト!」
ベルトルト「ライナー…」
ライナー「ん?お前なんかあいつと話してたのか?」
ベルトルト「え…」
ライナー「ベルトルト、お前あんなのがタイプなのかー?」
ベルトルト「ライナー?」
ライナー「金髪青目は好きだが、どうもあいつは心を開いてくr…「ライナー!!!」
ベルトルト「はぁ、はぁ、」
ライナー「お、おい、そんな叫ばなくても分かるぞ…」
ベルトルト「アニは、僕たちの仲間だ…君は戦士なんだ」
ライナー「は?仲間?戦士?」
ライナー「別にあいつだけじゃなく、みんな仲間だろ?まあ、戦士ってのは兵士って言うよりもかっこいいかもな」
ベルトルト「君は戦士だ!使命がある!」
ライナー「あぁ?だから叫ぶな、分かってるよ。俺は戦士だ。使命も忘れちゃいねぇよ」
ライナー「ほら!早く飯行くぞ!」
ベルトルト「はぁ…本当に君は、《どっち》なんだ…」
アルミン「はぁ〜」
ミカサ「アルミン」
アルミン「ん?あぁ、ミカサか。お疲れ様」
ミカサ「お疲れ。アルミン大丈夫?」
アルミン「うん。なんとかね…あれ、エレンは?」
ミカサ「あそこ。またあの女狐と…」ギロッ
アルミン「そんなに睨んじゃダメだよ…あっ、蹴った」
ミカサ「…」ゴゴゴゴゴ
アルミン「み、ミカサ!落ち着いて!」
ミカサ「アニ、然るべき報いを…」ゴゴゴゴゴ
アルミン「ほらミカサ!エレン戻ってきたよ」
ミカサ「!」
ミカサ「エレ…「おーい!アニ!」
ミカサ「!?」
エレン「今日は本当にありがとな!!!」
アルミン「エレン…君ってやつは…どうしてそんなに間が悪いんだ…」
ミカサ「エレンに無視された…そしてアニがエレンを無視した…」
アルミン「ぼ、僕は食堂に…「アルミン」
アルミン「ひっ!?」
ミカサ「私はどうしたらいい?」
アルミン「え、え、あ、ひ、ひとまず、ご飯、たべ、よ?」
ミカサ「…分かった。そうする」
エレン「何してんだお前ら?」
アルミン「君のせいだよエレン」
エレン「は?」
アルミン「とにかく食堂に行こう」
ー食堂ー
エレン「今日のパンもスカスカだな」
アルミン「まあ、贅沢は言えないよ…」
エレン「母さんの飯食いてぇなぁ」
ミカサ「わ、私の手料理なら!」
エレン「いいよ、お前のは別に」
ミカサ「」
アルミン(酷いよエレン!酷すぎる!)
エレン「お前のはこれからいつでも食えるだろ」
ミカサ「!!」
アルミン(上手いよエレン!上手すぎる!)
エレン「ところでよ、アルミン」
アルミン「何?エレン?」
エレン「たまには外の世界の話でも…しないか?」
アルミン「え…?え!?」
エレン「な、なんだよ…」
アルミン「な、なんでもないよ!うん、しよう!いっぱい!たくさん!」
エレン「お、おう…どうしたんだよいきなり…」
アルミン「エレン!君がどれくらい覚えているか分からないから、初歩的なことから話すね!」
エレン「おう!」
アルミン「まず外の世界は僕たちが思ってるよりずっと広くて…その大部分は海っていうーーー」
ー男子寮ー
アルミン「だから僕は「アルミン!」
アルミン「ん?」
エレン「そろそろ、寝ようぜ。明日も早いんだ」
アルミン「ああ、うん。そうだね。ごめん」
エレン「いや、謝らないでくれ。すげー楽しかった」
アルミン「ほ、本当に!?」
エレン「ああ、本当さ」
アルミン「僕はてっきり、エレンはもう外の世界に興味ないんだって…」
エレン「そんなことない」
エレン「確かにここにいる理由は、外に出るためというよりは巨人を駆逐するためだ」
エレン「母さんの仇だから、それだけは絶対する」
エレン「そして、巨人を駆逐したら、外の世界を探検する。もちろんお前と一緒にな。これが俺の夢だ」
アルミン「エレン…」
エレン「でも俺は、アルミンを調査兵団に行かせたくない。無理に俺について来させたくないんだ」
アルミン「そ、そんな!無理じゃない!」
エレン「ああ、そこを俺は自分で決めつけていた。ごめん」
アルミン「…つまりエレンは僕を調査兵団に行かせたくなかったから、外の世界の話をしなくなったの?」
エレン「ああ、そういうことだ。お前のことは死なせたくないからな」
アルミン「なんだかそれじゃ、ミカサみたいだね」クスクス
エレン「あいつと一緒にすんなよ」
アルミン「あはは、ごめんね」
エレン「…アニがさ」
アルミン「?」
エレン「教えてくれたんだ。お前が…俺のせいで悲しんでるって」
アルミン「え?アニが?」
エレン「ああ。俺、アルミンのこと、よく分かってると思ってたけど、全然わかってなかった」
エレン「本当に…ごめん」
アルミン「エレン…」
エレン「…」
アルミン「確かに僕はすごく不安だった。エレンが外の世界に興味がなくなったんじゃないかって…」
エレン「…」
アルミン「外の世界は、僕とエレンを結び付けてくれたきっかけみたいなものだから…余計に…」
エレン「アルミン…」
アルミン「…正直に言って僕は調査兵団に入る」
アルミン「君について行くわけでもないし、自棄になったわけでもない」
アルミン「僕は僕の判断で僕のために調査兵団に入る」
アルミン「エレン、君が僕のことを考えて止めてくれるのは嬉しい。でももう決めたんだ」
エレン「ああ。分かった。アルミンは人一倍根性あるし、何より正解を導く強い力がある」
アルミン「そ、そんなこと…」
エレン「もっと自信を持てよ」
アルミン「…うん、ありがとう」
エレン「お互い頑張ろうな、アルミン」
アルミン「うん。よし、そろそろ寝ようか」
エレン「おう」
アルミン「おやすみ、エレン」
エレン「ああ、おやすみ、アルミン」
エレアル(…ありがとう、アニ)
ー翌日 食堂ー
アルミン「アニ、ここいいかな?」
アニ「…別にいいけど」
アルミン「よいしょっと」
アニ「…どうしたの?いつもはあの2人となのに」
アルミン「へへ、今日はアニと食べたいんだ。ダメかな?」
アニ「べ、別に…勝手にしなよ」
アルミン「うん。そうするよ」
アニ「…///」ドキドキ
なんだろう…ドキドキする…
アニ「!」ハッ
なんでドキドキしてるの、私は?
アニ「…」
『アニと食べたいんだ』
アニ「…///」テレテレ
アニ「!」
バカッ!
なんでこんなやつで頭がいっぱいに…
アルミン「あはは、アニって表情がよく変わるんだね!」クスクス
アニ「は?」
アルミン「さっきから表情が忙しそうだったよ」アハハ
アニ「う、うるさい!」
アルミン「ごめんごめん」
アルミン「ところでアニ」
アニ「?」
アルミン「昨日は、ありがとう」
アニ「は?」
アルミン「アニがエレンに言ってくれたんだよね?」
アニ「あぁ…出過ぎた真似して悪かったね」
アルミン「いや、僕は感謝してるんだ!エレンと久々にたくさん話せたんだ!」
そう語るアルミンの目は、とても輝いて見えた。
アニ「…そう、良かったね」
私はそんなあんたの目が、好きだ
アルミン「本当に、アニのおかげだよ!ありがとう!!!」
好きなんだ。
アニ「わかったって」
自分の気持ちもわかった。
ーー私はアルミンが大好きだーー
でも、告白とかは絶対にダメだ。
私もアルミンも辛い。
私は戦士にならなければならないのだから…
ユミル「お前がこっちで食うなんて珍しいな」
ミーナ「だって〜アニがアルミンに取られたから…」
クリスタ「たまにはいいんじゃない?アニにとってもミーナにとっても!せっかくなんだし色々話そうよ!」
ユミル「別に私はクリスタ以外興味ない」
クリスタ「またそんなこと言って!」
サシャ「ミーナ!パンください!」
クリスタ「サシャもメッ!」
サシャ「はーい…」シュン
ミーナ「サシャ…?ちょっとならいいよ?」
サシャ「ほんとですか!頂きます!」パァア
ミーナ「うん…ってあれ?私のパンなくなってる」
サシャ「あみまもうもまいまむ(ありがとうございます)」ムシャムシャ
クリスタ「サシャ!女の子なんだから食べながら喋っちゃダメ!」
ユミル「サシャに飯やるなんて言っちゃダメだぜ?」
ミーナ「う、うん、気をつける…」
ー対人格闘ー
エレン「アニ、今日もいいか?」
アニ「…別に構わないけど」
エレン「じゃあ、頼む」
アニ「はいはい」
エレン「…昨日は本当にありがとな」
アニ「もう分かったって」
エレン「いや、感謝しても仕切れないぜ」
アニ「私はただ、思ったことを言っただけだよ」
エレン「…なぁアニ」
アニ「なに?」
エレン「お前が、その、迷惑じゃなければでいいんだけどさ…」
アニ「?」
エレン「お礼に、飯でも…奢らせてくれないか?」
アニ「…は?」
エレン「次の休日にでも…2人で…」
アニ「そんなお金あるならアルミンとでも行ってくればいいじゃないか」
エレン「それじゃ礼にならねぇだろ?それに…」
アニ「…それに?」
エレン「いや、まあとにかく行こうぜ!もしかして予定入ってるか?」
アニ「予定は、ないけど…」
エレン「本当か!?よっしゃ!じゃあ10時に門の前で集合な!」
アニ「…はいはい、分かったよ」
エレン「よし、じゃあ行くぞ!」ダッ
アニ「…はぁ」
バギッグルッドサッ
ー夕食ー
ミーナ「アニ!一緒に食べよっ!」
アニ「…いいよ」
ミーナ「やった!今日アニと食べれなかったからアニ分が足りないよー」
アニ「は?なにそれ、気持ち悪い」
ミーナ「それだけ淋しかったの!」
アニ「そうかい…」
ミーナ「あ、そうだアニ!次の休日さ!」
アニ「あ、ごめんミーナ。その日は予定がある」
ミーナ「えー!?前みたいに寝るのが予定とかじゃないの?」
アニ「あぁ、今回は、その、違う」
ミーナ「?」
アニ「ちょっとね」
ミーナ「えー!怪しい!まさか男か!?」
アニ「そ、そんなんじゃ…」
ミーナ「もしかしてアルミン!?」
アニ「いや、違う」
ミーナ「んー?じゃあ、エレン?」
アニ「…まあ、うん」
ミーナ「うそー!?あの子全然恋愛とか興味ないと思ってた!!」
アニ「べ、別に恋愛とか、そういうので誘われたんじゃないさ…」
ミーナ「適当な理由つけてデートしたかっただけなんじゃないの?」
アニ「あいつがそんなことすると思う?」
ミーナ「…無いか」
アニ「でしょ?お礼に奢りたいだけらしいよ」
ミーナ「そっか…でもいいなぁ、ほぼデートじゃん!」
アニ「そう…?」
ミーナ「そうだよ!いいなぁ!私もデートしてみたいなぁ!」
アニ「あんた、可愛いんだからなんとかなるんじゃない?」
ミーナ「あらもう!嬉し事言ってくれるわねぇ!」
アニ「…やっぱ撤回」
ミーナ「ごめん!調子乗った!」
アニ「…ふふっ」
ミーナ「えへへ…」
ミーナ「とにかくアニ!女の子なんだから、ちゃんとオシャレしていかないとね!」
アニ「え…めんどくさ…」
ミーナ「もー、めんどくさい禁止!」
アニ「はぁ…」
ー男子寮ー
エレン「〜♪」
ジャン「おい、アルミン」
アルミン「言いたいことはわかるよ、ジャン」
ジャン「そうか、だが言わせてくれ、すげぇ気持ち悪い」
アルミン「…確かにいつもとは違うね」
ジャン「何があったんだあいつ」
アルミン「ちょっと、聞いてみるよ」
アルミン「ね、ねぇ、エレン?」
エレン「なんだよアルミン?」
アルミン「その、なんかいいことでもあったの?」
エレン「え?あ、分かるか?分かっちゃうか?」
アルジャン(うざっ!)
アルミン「…うん、そんな鼻歌とか歌ってたら誰でもわかるよ」
エレン「へへへ〜、俺次の休日デートするんだぜ?」
アルミン「え!?」
ジャン「は!?」
男子一同「なんだって!?!?!?」
ライナー「おいエレン、それはクリスタなのか?あぁん?」ギロッ
エレン「い、いやちげぇよライナー…てか、いつものライナーじゃねぇ」
ライナー「そうか、なら良い」
ジャン「ミカサじゃねぇだろうなぁ!?」
エレン「ちげーよ、なんであいつと」
ジャン「ほっ…」
アルミン「じゃあ誰と?(もしかして…)」
エレン「アニとだぜ!」
アルミン「そ、そうなんだ…(やっぱり…)」
ベルトルト「!?!?」アワワワワ
ライナー「ベルトルト落ち着け」
ー休日 門前ー
エレン「9:50か…少し早かったかな」
エレン「ん?あれ、アニか?」
エレン「おい、アニ!」
アニ「!?」
エレン「お前もちょっと早く来たんだな」
アニ「あぁ、まあね」
アニ(ミーナうるさかったし)
エレン「よし、じゃあ行こうぜ」
アニ「ねぇ…」
エレン「なんだ?」
アニ「なんか言うことないの?」
エレン「へ?」
アニ「私、私服なんだけど?(まあ、借り物だけどね)」
エレン「ん?あぁ、珍しいな」
アニ「…はぁ、行くよ」
アニ(こいつに期待した私がバカだったよ)
アルミンなら…
なんて言ってくれたのかな…?
エレン「ほら行こうぜ!美味い店があるんだ」
アニ「ふーん」
エレン「アルミンと行った時に見つけたん」
アニ「へぇ…そんなに美味しいの?」
エレン「ああ!俺もアルミンも大満足だったぜ!」
アニ「そっか…ちょっと興味あるかも」
エレン「まじか!よっしゃ!」
アルミンの好み、分かるかな…
エレン「ここだ!」
自信満々という風に店を紹介する。
アニ「…本気で言ってる?」
けど、私にはどうしてそんなに自信があるのか理解できない。
エレン「あぁ!すごく美味いんだぜ!ここのミックスフライ定食!」
アニ「はぁ…あんたさ、もし好きな人ができて、デートすることになったら」
アニ「大衆食堂はやめときな」
エレン「え…?」
アニ「まあ、別にあんたはデートのつもりじゃないだろうからここを選んだのかもしれないけど」
アニ「乙女を連れて行く場所じゃないよ」
エレン「その…ごめん!アニが嫌なら、場所変えようぜ!」
アニ「別に…嫌とは言ってないけど」
エレン「でも…女の子を連れて行くようなところじゃないんだろ?なんか申し訳ねぇよ…」
アニ「…ここでいいって、ここ安くて美味しそうだし、今更探すとしたら時間かかりそうだし」
エレン「…ごめん」
アニ「だからいいって」
エレン「でも、俺は!」
アニ「…?」
エレン「…デートのつもりなんだ」
アニ「は?」
こいつ、何を言って…
エレン「俺、なんも分かってなくて…その、本当にごめん。だけど、これだけは分かっていてほしい」
アニ「…」
エレン「俺は、アニとデートのつもりで来てる」
アニ「…」
沈黙が訪れた。
エレン「…」
それはとてつもなく長かった。
アニ「…」
いや、ほんの数秒だったのかもしれない。
エレン「…」
でも私には、日が暮れてしまうのではないかと思わせるほど長かった。
アニ「…」
そして、沈黙を破ったのはエレンだった。
それも、唐突に、突拍子も無いことを言い出した。
エレン「…アニ、俺はお前のことがs「ごめん」
エレン「えっ…」
アニ「…ごめん」
エレン「そっか…でも、最後まで言わせてくれよ。俺は…」
アニ「やめて」
エレン「…そんなに嫌か?」
アニ「嫌…って訳じゃない。気持ちは嬉しいけど…答えてあげられないから…」
嬉しいのは本当だった。
エレン「…」
私なんかのことを女扱いしてくれているわけだから。
でも…
アニ「…ごめん」
エレン「…いや、俺もいきなり悪かったよ」
アニ「…」
エレン「今日はもう帰ろう。お互い、気まずいだろ」
こいつにしては空気の読める発言だと、少し感心した。
アニ「…そうだね」
そんなことに感心するほど余裕がある私にも、少し驚いた。
エレン「今日は、ごめん。そしてありがと」
アニ「えっ…あ、うん」
エレン「…」
アニ「…」
エレン「…なぁ、アニ」
アニ「?」
エレン「また対人格闘、組んでくれるか?」
これは、こいつなりの『今まで通りの関係でいてくれ』ってことだろう。
アニ「…あんたまだ弱いから、組んでやるよ」
私にとってもその方が好都合だ。
エレン「くっ…絶対一本取ってやる!」
アニ「…楽しみにしとくよ」
そんな会話をしていたら、兵舎前に着いた。
エレン「じゃあ、またな」
アニ「…じゃあね」
ー女子寮ー
アニ「ふぅ…」
ミーナ「あ、アニ!お帰り!ずいぶんと早かったんだね?まだお昼になったばかりだよ?」
アニ「うん、まあ、ちょっとね」
ミーナ「なに?なんかエレンやらかした?」
アニ「まあ、そんなとこだよ」
ミーナ「えー!?きーにーなーるー!」
アニ「…大衆食堂に連れて行かれた」
ミーナ「うわっ…ちょっと嫌だなー」
アニ「とりあえず、なんか食べるものないかい?」
ミーナ「うーん、さっき配給終わっちゃったからなぁ…今から街行ってみる?」
アニ「…じゃあそうする。気晴らしになりそうだし」
ミーナ「やった!アニとデートだ!大衆食堂行こっ!」
アニ「…やめて」
ミーナ「もう!冗談だよ!この前、美味しいパン屋さん見つけたから、そこでコーヒーでも飲みながらパン食べよ!」
やっぱり、ミーナといると落ち着く。
アニ「分かった」
…気がする…してしまう。
ー男子寮ー
エレン「はぁ…」
アルミン「ん?エレン?早かったね?」
エレン「振られてきた」
アルミン「え!?告白したの!?」
エレン「いや、好きとは言えなかったけどさ…」
アルミン「というか、好きだったんだ…」
エレン「え?あぁ。じゃなきゃデートになんか誘わねぇよ」
アルミン「そーだよね…あはは」
コニー「なぁ、ジャン。あの2人の空気、なんか重くねぇか?」
ジャン「察してやれ、バカ」
マルコ「今日はつっかからないんだね?」
ジャン「はぁ?あたりめぇだろ。そんなことするほど性根腐ってはねぇよ」
ー翌朝 食堂ー
ミカサ「エレン、元気がない。どうしたの?」
エレン「なんでもねぇよ…」
ミカサ「アルミン、知ってる?」
アルミン「…ごめん」
ミカサ「???」
ミカサ「…私には、言えないことなの?」
エレアル「…」
ミカサ「どうして?どうして言ってくれないの?」
エレン「…うるせぇな。なんでもいいだろ」
ミカサ「よくない」
エレン「いちいちうるせぇな!黙ってろよ!」
ミカサ「…」ガタッ
アルミン「み、かさ?」
ミカサ「私は一人で食べる」
アルミン「え?」
ミカサ「…」スタスタ
ジャン「!」
ジャン(ミカサが1人?こ、これはチャンスか!?誘うか?誘わないか…いや、迷ってる暇はねぇ!)
ジャン「な、なあミk…!!」
ミカサ「…」ウルウル
ジャン(な、泣いてる…?くそっ!)
マルコ「ジャン?」
ジャン「俺には…何も出来ない」
マルコ「?」
ジャン「…」スタスタ
マルコ「ちょっとジャン?どこに…」
ジャン「おいエレン」
エレン「…なんだよジャン」
ジャン「一発殴らせろ!」ドガッ
エレン「いっ!?何しやがる!」
ジャン「てめぇミカサ泣かせてんじゃねぇぞ!?」ガシッ
胸ぐらを掴みながら言う。
エレン「は?」
ジャン「お前のせいで…あいつ泣いてたんだぞ?」
エレン「あ、あいつが…?」
ジャン「俺には…何も出来ない」
エレン「…」
ジャン「お前にならできるだろ?」
エレン「…」
ジャン「俺はあいつの泣いてる顔は見たくない」
エレン「…あぁ、俺もだ」
ジャン「…」スッ
ジャンは手を離す。
ジャン「てめぇはあいつが居るのが当たり前だと思ってるかもしれねぇが、知ってるはずだ。当たり前なんてない」
エレン「!」
エレンの脳裏に、一瞬だけカルラの姿が浮かぶ。
ジャン「いつあいつが、てめぇの前から居なくなるかなんて分からない」
いつ日常が破壊されるかなんて分からない。
ジャン「うるさくしてもらってるうちが華だと思えよ」
エレン「そうだ…そうだよな。俺、みんなに気付かされてばっかだ。ミカサやアルミンのことなんもわかってねぇんだな、俺は…」
ジャン「お前も落ち込んでるかもしれねぇが、それはお前の勝手な都合だ」
ジャン「ミカサはてめぇのせいで落ち込んでる。優先すべきは分かるよな?」
エレン「あぁ…ありがとな、ジャン」
ジャン「礼なんてすんな、気持ち悪りぃ」
マルコ「ジャン…」
ジャン「俺はどうも、駆け引きが出来るような人間じゃねぇらしいな」
マルコ「うん。そうかもね」
ジャン「けっ…」
マルコ「でも、状況判断は誰よりもできる。だから結果として、ミカサにとっても、エレンにとってもいい方向に向かってる」
ジャン「自分を犠牲にしてな」
マルコ「あぁ、そうだったね」アハハ
ジャン「くそっ…面白くねぇ…」
エレン「な、なぁミカサ」
ミカサ「…なに?」
エレン「さっきは、その、ごめん」
ミカサ「別に気にしてない。では、私は訓練の準備があるから」
エレン「ちょっ、ちょっと待てよ!」ギュッ
エレンはミカサの手を取る。
ミカサ「!」
エレン「話すから、ちゃんとお前にも。だから、仲直り、しようぜ」
ミカサ「う、うん!」ウルウル
エレン「おまっ、な、泣くなよ!」アタフタ
ミカサ「ごめんなさい…それで、なんで元気がなかったの?」
エレン「あ、んー、その、それがーー」
エレン「ーーってわけで…」
ミカサ「…」ゴゴゴゴゴ
エレン「み、ミカサ?」
ミカサ「あの女狐…」ギロッ
エレン「あ、アニは悪くないぞ!?俺が勝手に自滅しただけで…これからの対人格闘も組んでくれるし!」
ミカサ「…然るべき報いを」ボソッ
エレン「ん?」
ミカサ「なんでもない。そろそろ訓練の準備をしよう」
エレン「あ、あぁ。そうだな」
ー午後 対人格闘訓練ー
エレン「あ、アニ…」
アニ「…組むんだろ?」
エレン「あ、あぁ」
アニ「あんた、まだ引きずってんの?意外と女々しいとこあるんだね」
エレン「…べ、別に引きずってねぇ!ほら!やるぞ!」
アニ「はいはい、さっさとかかってきな」
エレン「はっ!」
アニ「まだまだだね」ゲシッ
エレン「いっ!?」
アニ「…」カチャッ
エレン「!」
アニ「今日は模擬銃を使った訓練だ。あんたは今の一撃で膝まづき、隙を見せた。あんたの負け」
エレン「も、もう一度!」
エレン「やぁっ!!」
アニ「…」
エレン「くそっ!」
アニ「ふっ!」バキッグルッドサッ
エレン「いっ…ってぇな、手心ってもんが人にはあるだろ」
アニ「私も同じことをあんたに言いたい。あんたが力いっぱいぶつかってくるもんだから、こっちもそれ相応の返し方をしなくちゃいけないんだよ」
アニ「単純に力じゃ敵わないんだ、あんたも男ならさ…私の…このか弱い体をもっと労るべきなんじゃないの?」
エレン「は?お前の冗談は面白くねぇな、力で敵わなきゃ何で俺は倒れててお前は立ってんだ」
アニ「……私の使った技術ってのは、ここで教えられているもんとは違うんだよ」
エレン「?」
アニ「力で投げたわけじゃないんだ、相手より力で劣る者が自分を守るための技術だったりするからね。あんたも知ってて損はしないよ」
エレン「分かった、少し休憩しよう」
アニ「…」ブンッ
アニが殴りかかる。
エレン「うおっ!?」
しかしその拳はフェイクでエレンの懐に入り込む。
アニ「…」ガシッ
エレン「ッ!?」
アニはエレンの背後を取りそのまま投げる。
アニの肩固めが決まる。
エレン「アニ、降参だ…降参する」
アニ「降参?降参なんかしてないで学習しなよ。力の使い方と、女の子との話し方を」
エレン「わ…わかった!覚えるから放せって!」
アニ「…そう、そんなにもっと知りたいの?」
背後から急に迫り来る何かを感じ、とっさに避ける。
ライナーがエレンに降りかかってきた。
こんな芸当ができるのは一人だけ。
ミカサ「ねぇアニ、私にもそれ教えて」
主席、ミカサ・アッカーマンだーー
アニ「どうかな…この技は人間用なんだ。あんたに必要あるとは思えないけど、ただ…猛獣に通用するかどうか興味はある」
エレンの好意を無駄にしたこの女狐には然るべき報いを…
いや、違う。
多分私は嫉妬しているのだ。
エレンの好意が、私に向けられなかったことで。
なんて醜いのだろう。
自分でもそう思う。
でもこの感情は抑えきれない。
自分の身体は支配できても、感情は支配できないのだ。
ミカサ「…」ザッ
アニ「…」スッ
お互いがそれぞれの構えを取る。
うるさかったガヤが静まってきた。
睨み合いが続く。
先に仕掛けたのはアニだった。
アニの右フック。
ミカサは咄嗟にガードをあげる。
しかしアニのそれはフェイク。
懐に潜り込み背後を取り、投げた。
そして肩固めを決める。
アニ「これが教えてもらいたかった技でしょ?」
ミカサ「くっ…」
ミカサは力を込めるも、抜け出せない。
アニの肩固めはがっちりと決まっていた。
ミカサ「ぬあっ…!!」
ミカサはさらに力を込める。
アニ「くっ!?こいつ…」
ミカサは人間離れした腹筋力で上体をおこした。
こうなってしまっては、いとも簡単に外れる。
アニは咄嗟に逃げる。
その時だった。
ミカサ「ふっ!」ガシッ
アニ「なっ!?」
ミカサはアニの右足首をつかんだ。
ミカサ「はぁぁぁ!!」
そしてそのまま投げ飛ばす。
アニ「!!??」
アニはなんとか受け身を取る。
しかし、かなりのダメージだ。
いくらそこまで体重のないアニとはいえ、片手で投げ飛ばすミカサは、相当な腕力を持っている。
アニは少し不安になった、
こいつは…人間じゃない。
技には限界がある。
特にこの技は人を封じ込めるためのもの。
猛獣には効かない。
こいつは…人間じゃない。
アニは敗北を悟った。
その時だった。
キース「おい貴様ら、何をしている?」
訓練内容とは明らかに離れたことをしている二人と、それを集まって見ている野次馬たち。
教官方が気がつかない訳がなかった。
私たちは全員走らされた。
アニ「ふぅ…」
20周で済んで良かった…
晩飯抜きにもされてないから、これから配給のパンを食べれる。
その前に汗を流すため、私はタオルと着替えを持って、風呂場に向かった。
脱衣所に入ると、タオルで髪を拭いている主席様がいた。
圧倒的なスピードで20周を終わらせた彼女は、すでに水浴びを終えたようだ。
アニ「…」
ミカサ「…」
沈黙が2人を包む。
ミカサ「…アニ」
ミカサがその沈黙を破る。
アニ「なに?」
ミカサ「さっきは、冷静じゃなかった。ごめんなさい」
アニ「え?あ、うん。こっちこそ悪かったね」
ミカサ「ところでアニ」
アニ「?」
ミカサ「どうしてエレンを振ったの?」
アニ「…聞いたのか」
ミカサ「ごめんなさい」
アニ「別に、なんだっていいでしょ?」
ミカサ「何か理由があるはず」
アニ「…どうしてそう言い切れるの?」
ミカサ「勘」
アニ「はぁ…私にはね、柄にもなく好きな人がいるんだ」
ミカサ「そう…何故それをエレンに言わなかったの?」
アニ「…もし、その好きな人が誰か聞かれたら、あいつが悲しむ…いや、悩むと思うから」
ミカサ「どういうこと?あ、まさか…」
アニ「…え、分かったの?」
ミカサ「あなたの好きな人って、ジャン?」
アニ「…は?」
ミカサ「エレンとジャンは仲が悪いから…」
アニ「ちがう、誰があんな自己中野郎を…それに、私の好きな人はエレンと仲が良い。いや、良すぎて気持ち悪いくらいさ」
ミカサ「!」
アニ「もう、分かっただろ?」
ミカサ「もしかして…」
アニ「…」
ミカサ「…わ」
アニ「ん?」
ミカサ「…私?」
アニ「違うわっ!!バカッ!」
ミカサ「ごめんなさい。冗談」
ミカサ「でもまさか、アルミンが好きだなんて…」
アニ「あぁ…なんで、だろうね?」
ミカサ「…アルミンは優しくて、みんなに気を使ってくれて、とても頭がいい。そして何より、根性があって正解を導く力がある」
アニ「知ってるさ」
ミカサ「アニ、私に協力できることがあれば言って欲しい」
アニ「え?協力?」
ミカサ「必要ない?」
アニ「いや、そのありがたいんだけどさ…告白とかはする気ないんだけど」
ミカサ「ど、どうして?」
アニ「…私なんかじゃ、アルミンが幸せになれない」
ミカサ「そ、そんなことない!」
アニ「いや、ある。あんたには分からないよ」
ミカサ「…」
アニ「…じゃ私、お風呂入ってくるから」
ミカサ「ねぇアニ」
アニ「何?」
ミカサ「私たちは、仲直り…できた?」
アニ「…さぁね。でも、あんたができたと思ってるなら、それでいいんじゃない?」
ミカサ「!」
仲直り…か。
…初めてかも。
ー夜 食堂ー
まだ髪は濡れている。
いつものように束ねずに食堂に向かった。
ギーっと音を鳴らしながらドアを開ける。
空いてる席に適当に座り、配給の時間を待つ。
まだ、10分ほど早かった。
「ま、間に合った!」
唐突に声がした。
アルミン「つ、疲れたぁ…」
エレン「危なかったな!アルミン」
アルミン「うん…でも、待っててくれなくても良かったのに」
エレン「お前が居ねぇと食ってても楽しくねぇんだよ」
アルミン「そっか、へへ」
その時配給が始まった。
エレン「お前走ったばっかで疲れてんだろ?俺が取ってきてやるよ」
アルミン「うん、ありがとう」
エレン(今日も固いパンとスープか…)
エレン「ん?お前…アニか?」
アニ「え?そうだけど?」
エレン「なんか…髪おろしてるの、新鮮だな」
アニ「あんまりおろしてないからね」
エレン「なぁ、アニ。気になってたんだけどさ」
アニ「?」
エレン「なんで俺、振られたんだ?」
アニ「え?」
エレン「そういえば、理由。聞いてないと思って」
アニ「…言わなきゃダメ?」
エレン「言いたくないなら、いいけど…」
アニ「…けど?」
エレン「…聞かせてほしい」
アニ「はぁ…」
エレン「…」
アニ「私、好きな人がいるのさ」
エレン「好きな、人?」
アニ「あぁ…だから、あんたの気持ちは嬉しかった。でも、受け入れてしまったら、私自身に嘘をつくことになるし、何よりあんたに申し訳ない」
エレン「だからなのか…」
アニ「もう、行っていいかい?」
エレン「待ってくれ!俺はアニに協力したい!」
アニ「はぁ…あんたらは揃いも揃って…」
エレン「?」
アニ「なんでもない。けど、私は告白とかする気ないから」
エレン「え?な、なんでだよ!?」
アニ「…あいつに迷惑だ」
エレン「あいつ…?」
アニ「…私の好きな人」
エレン「あ、あぁ…」
アニ(バカなのか、こいつは。分かりなよ)
エレン「いや、なんで迷惑なんだよ!」
アニ「あんたには分からないだろうさ」
エレン「は、はぁ!?」
アニ「ほら、理由も言ったんだし、行っていいだろ?」
エレン「ちょっと待てって!」
「これ以上の詮索は野暮じゃない?」
エレン「あ、アルミン…」
アルミン「あまりにも遅いから見に来てみたら…エレン、事情は人それぞれだよ」
アルミン「でも、アニ。その好意、無駄にしないためにも言ってみるべきだと思うよ。もし、僕が言われたら…その、嬉しいし…」
アニ「!」
エレン「俺も言うべきだと思うぞ!俺も嬉しい!」
アニ「そう…かな?」
アルミン「うん!大丈夫だよ」ニコッ
アニ「!…じゃあアルm「さっさとしてくれないか?」
エレアルアニ「!?」
ライナー「ずっとそこにいるから、パンが取れないんだが?」
ベルトルト「何を話していたのかは分からないけど、ちょっと邪魔だよ」
エレン「ご、ごめん!アルミン、行くぞ!」タタッ
アルミン「う、うん」タタッ
アニ「はぁ…」
ベルトルト「アニ、今日…」
アニ「はいはい」
ベルトルト「あと、前にも言ったけど浮かれすぎないで」
アニ「うるさい、黙って」スタスタ
ベルトルト「あ、アニ…」
ライナー「おい行くぞベルトルト」
ベルトルト「うん…」
ありがとう、ベルトルト。
決心が揺らぐところだった…
私はアルミンが大好き。
でも、告白とかは絶対にダメ。
私は戦士。あいつらは敵。
立場が違うんだから…
エレン「ここのパンはやっぱ固いなぁ」
アルミン「でも貰えるだけありがたいよ」
ミカサ「アルミンの言う通り」
エレン「まあ、そうなんだけどさ…」
エレン「ところでアルミン」
アルミン「ん?」
エレン「さっきの話の続きなんだけどさ、誰だと思う?」
アルミン「んー、誰だろうね?見当もつかないや」
ミカサ「誰…とは?」
エレン「あー、こいつには言ってもいいかな」
アルミン「言いふらしたりしないだろうし、いいんじゃない?」
エレン「あのな、アニには好きな人がいるらしいんだ」
ミカサ「!」
エレン「協力してやりたいんだけどさー」
アルミン「アニ自身が、告白する気ないとか言ってるしね」
エレン「説得してる途中でライナー達きたもんな」
アルミン「うん」
ミカサ「…」
エレン「ん?ミカサ?」
アルミン「どうしたの?」
ミカサ「ど、どうもしない。私は何も知らない。アニの好きな人なんてこれっぽっちも」
アルミン「…」
エレン「だよなー」
アルミン(うわー、ミカサ絶対知ってるじゃん。てか気づかないエレンもクソーー)
エレン「アルミン?どうした?」
アルミン「え!?あ、なんでもないよ」
エレン「そうか?」
アルミン「ところでミカサ、いつ何処でアニの好きな人を聞いたの?」
ミカサ「私は聞いてないと言っている」
エレン「おいどうしたんだアルミン?」
ミカサ「私は走り終えた後お風呂の脱衣所でアニの好きな人なんて聞いていない」
アルミン(うわぁ…丸々言っちゃったよ…)
エレン「ほら、ミカサは聞いてないって言ってるぞ!」
アルミン「ソウダネー」
アルミン「因みに、アニの好きな人って誰?」
ミカサ「だから私は知らない」
エレン「アルミンしつこいぞ?」
アルミン「…」
ミカサ「…知らない」
アルミン(今回ばかりは言ってくれないか)
ミカサ「あ、アルミンは好きな人…いる?」
アルミン「え?ぼ、ぼく?」
ミカサ「そう、アルミン」
エレン「あ、ちょっと気になるな!」
アルミン「ぼ、僕は…いないよ」
ミカサ「…」
エレン「なーんだ、居ねぇのかよ」
アルミン「う、うん」
ミカサ「…」ジーッ
アルミン「なにかな?ミカサ?」
ミカサ「…アルミンは好きな人がいる」
アルミン「え!?」
エレン「おい、アルミンは居ないって…」
ミカサ「いる」
アルミン「な、なんで?」
ミカサ「勘」
アルミン「勘なんだ…」
ミカサ「誰?」
アルミン「いや、だから僕は…」
ミカサ「誰なの?」
アルミン「ぼ、ぼくは…」
ミカサ「だ れ な の ?」
アルミン「…あ…」
ミカサ「あ…?」
アルミン「…したも早いし寝るね!おやすみ!」
ミカサ「その前に食べ終えて」
アルミン「あの、その、食欲が…」
サシャ「なら私が!!!」
ミカサ「サシャ、メッ!」
サシャ「うぅ…」シュン
ミカサ「アルミン、食べて答えて」
アルミン「…ぼ、僕もアニが好きなんだ」
エレン「!?」
ミカサ「!?!?」
エレン「お前…そうだったのか…」
アルミン「う、うん…」
ミカサ「…」アワワワワワ
アルミン「ミカサ?」
エレン「…」
エレン(悪いことしたな…なんか見せつけるようにデートして、振られて好きな人がいるって事実まで分からせちまって…)
ミカサ「…」
ミカサ(アニはアルミンが好きで、アルミンはアニが好き…つまり、アニがアルミンでアルミンがアニ?違う違う。アニとアルミンは2人でひとつ?あれ何を言っているの、私は…)
アルミン「…」
エレン「…」
ミカサ「…」
アルミン「だ、だから言いたくなかったんだよ…」
ー兵舎裏ー
ミカサ「…」
エレン「おい、なんだよ話って?」
ミカサ「今から言うことは誰にも言わないでほしい」
エレン「ん?あ、ああ…」
ミカサ「アルミンとアニが両思い」
エレン「…は?」
ミカサ「アニはアルミンが好き」
エレン「え、ちょ…マジかよ…」
ミカサ「私は2人を応援したい。でも、どうすればいいか分からなくて…」
エレン「アニは告白する気ないし、アルミンはアニが自分以外の誰かを好きだと思ってるはず…」
ミカサ「そう。でも、2人に私たちから両思いっていうのは違う気がする…」
エレン「ああ、良くないな」
ミカサ「どうすれば良いだろうか…」
エレン「んなこと俺に聞かれても…」
ミカサ「でも、1人で悩むのも辛かったし、エレン以外に言う人がいなかった…」
エレン「おう、そーだな…ひとまず2人を告白させるように説得してみないか?」
ミカサ「ええ、分かった」
エレン「ただ、無理にはダメだ。下手に刺激しすぎない方がいいと思う」
ミカサ「うん。それにしてもエレン…」
エレン「?」
ミカサ「今日はいつもより、ちょっとばかし頭が冴えている」
エレン「え?」
ミカサ「いや、うまく言えないのだけど…頼りになる…」
エレン「い、いつもの俺が頼りねえってことかよ!?」
ミカサ「そ、そうじゃなくて!その…」
エレン「…嬉しかったんだよ」
ミカサ「?」
エレン「アルミンとアニが幸せになれそうなことがさ…どうしても結ばれて欲しいんだ…」
ミカサ「そうね」
エレン「それに、お前が珍しく俺を頼ってくれたから…」
ミカサ「えっ///」
エレン「いつも、お前の相談相手はアルミンだったからさ」
ミカサ(それはあなた関連の悩みが多いからなのだけれども)
エレン「だから、その…嬉しかったぜ!もっと頼ってくれよな!俺たち、家族なんだぜ?」ニカッ
ミカサ「う、うん…///」
ー男子寮ー
ライナー「そろそろ灯り消すぞ〜」
ジャン「おーう」
アルミン「おやすみー」
エレン「なぁ、アルミン」
アルミン「どうしたの?エレン」
エレン「お前さ…言う気ないのか…?」
アルミン「え?」
エレン「いや、その…アニに」
アルミン「だ、だってアニは…好きな人が…」
エレン「そうかもしれないけどさ…お前だって言ってたじゃねぇか、それもアニに…想いを言われたら嬉しいって」
アルミン「そ、それはそうだけど…」
エレン「俺が告白した時も…嫌とは言ってなかったぞ?」
アルミン「で、でも僕なんかに言われても…」
エレン「それ、お前の悪い癖だぞ?」
アルミン「え?」
エレン「すぐ、僕なんかとか僕なんてとか自分を卑下するじゃねぇか」
アルミン「う…」
エレン「もっと自信持てよ?アルミンにはアルミンにしかない良いところがたくさんあるんだぜ?」
アルミン「うん…ありがとう」
エレン「だから、言った方が…その…スッキリするんじゃないか?少なくとも俺はそう思う」
アルミン「うん…考えてみるね」
ー女子寮ー
クリスタ「じゃあ電気消すよ〜」
ミーナ「おやすみ〜」
サシャ「おやすみなさ〜い」
カサ…ゴソゴソ…
アニ「…?」
ミカサ「ねぇ、アニ」
アニ「!?」
ミカサ「驚かせてしまっただろうか…?」
アニ「突然気配もなく寝床に潜り込まれたら、そりゃ驚くよ」
ミカサ「ごめんなさい」
アニ「…で、何?なんか用でもあるの?」
ミカサ「寝顔を見ようと…」
アニ「嘘つけ」
ミカサ「寝込みを襲おうと…」
アニ「怖いわ」
ミカサ「そして私のミカサがアッカーマンして…」
アニ「なんの話?」
ミカサ「アニのレオンハートを…」
アニ「ちょっとミカサさん?」
ミカサ「ごめんなさい、調子に乗った」
アニ「んで?何?」
ミカサ「…アニは告白、しないの?」
アニ「…随分と直球な質問してくるんだね」
ミカサ「回りくどいことは嫌いなので」
アニ「それにしてはボケが多い」
ミカサ「てへぺろ」
アニ「無表情で言わないで」
ミカサ「…話をそらすのはよくない」
アニ「チッ…」
ミカサ「しないの?」
アニ「しない」
ミカサ「何故?」
アニ「…なんでも」
ミカサ「質問の答えになってない」
アニ「私にはやる事があるから」
ミカサ「ヤること…?」
アニ「なんか卑猥だからやめて」
ミカサ「ごめんなさい」
アニ「私は、やらなきゃいけない事がある。だから、しない」
ミカサ「それをするのにアルミンは邪魔なの?」
アニ「…ああ、邪魔だ」
ミカサ「…そう」
アニ「もし私がやる事やって、それでもまだ好きで、あいつに相手がいなかったら…告白する、かもね」
ミカサ「あなたは私達に何か隠している?無駄な詮索はしないけど…」
アニ「隠してる、かもね」
ミカサ「…分かった。それぞれ事情があると思うから詳しくは聞かない」
アニ「助かるよ」
ミカサ「でも一つだけ聞きたい」
アニ「?」
ミカサ「あなたの言う《やる事》というものをやった後、あなたはアルミンに…私やエレン、みんなに嫌われてしまうかもしれないの?」
『この世のすべてから、お前が恨まれることになっても、父さんだけは、お前の味方だ』
アニ「…さぁ、どうだろうね?」
アニ(どうして…こんな時に思い出す…)ウルッ
ミカサ「!」
アニ「…」
ミカサ「…おやすみ」
アニ「ああ、おやすみ」
ミカサ「…」
アニ「…」
ミカサ「…」
アニ「…」
ミカサ「…」
アニ「…いや、戻りなよ」
ミカサ「今日はここで寝ようかと」
アニ「はぁ…じゃあ私がむこうにいくよ」
ミカサ「それでは意味がない」
アニ「は?」
ミカサ「もしあなたがやる事をやったら、もうこんな事出来ないかもしれない。ので、一緒に寝よう」
アニ「…意味がよくわからないけど、まあいいよ。まだ夜は寒いしね」
ミカサ「うん」
アニ「おやすみ、ミカサ」
ミカサ「おやすみ、アニ」
ミカアニ(あったかい///)ポカポカ
ー翌朝ー
クリスタ「それにしても…ねー?」
ミーナ「私だってアニとそんな事した事ないのに…ねー?」
ユミル「おもしろすぎんだろwww」ケラケラ
サシャ「2人ってそんなに仲よかったんですねー」
アニ「いや、だから、こ、これは…///」
ミカサ「…んん〜、あにぃ…」ギューッ
クリスタ「あんなにくっついてるよー?」
ミーナ「ちょっと苦しそうに照れてるアニちゃん頂きました」
ユミル「だめだ、ニヤニヤが止まんねぇwww」
サシャ「あのー皆さーん?早く食堂行きません?お腹すきました」
アニ「うぅ…///」
ミカサ「…あにぃ…ありゅみん…」ギューッ
ー立体機動訓練ー
キース「各自で四人のグループを作って行ってもらう!」
エレン「アルミン組もうぜ!」
アルミン「うん!」
ミカサ「アニ、組もう」
アニ「…別にいいけど」
ミカサ「エレン」
エレン「ああ、分かってる。組もう」
アルアニ(!?)
アルミン(エレンもミカサもおせっかいだなぁ…)
アニ(ミカサ…世話焼きすぎ…)
ミーナ「アニが構ってくれない件について」
サシャ「最近、アニはあの3人と仲良いですね」
クリスタ「何があったんだろ?」
ユミル「おい、さっさと行かねぇと教官がうるせぇぞ」
マルコ「よろしくね二人とも」
ベルトルト「うん」
ライナー「ああ。マルコ、指揮は頼んだぞ」
ジャン「でかい図体で俺様の邪魔すんじゃねぇぞ?」
コニー「…あれ、俺余ったんじゃね?」
トーマス「俺たちが!」
サムエル「いるだろ!」
ナック「行くぞコニー!」
コニー「モブ共め…(お前ら!ありがとな!)」
私は…
エレン「…」バシュッ
戦士だ。
アルミン「エレン!右に一体いるぞ!」
迷うことなんてない。
エレン「OK!」ギュイン ザシュッ
こいつらは敵。
アルミン「ナイスエレン!」
いずれ…殺さなくてはいけない。
エレン「お前こそな!」
情が移ったら、自分が苦しむ。
ミカサ「ふんっ!」ザクッ
だから割り切るんだ。
アルミン(ミカサは援護いらないなぁ…)
『僕は、アニのこと、仲間だと思ってるから!』
エレン「くそっ!ミカサになんで負けるかってんだ!」バシュゥゥウウ
いつか、アルミンがそんなこと言ってくれたっけ…
アルミン「エレン!ガスを吹かしすぎだ!」
アルミン…
エレン「くっ…」
こんな私を仲間だと思ってるなんて…
アルミン(すぐに頭に血がのぼるんだから…あれ、アニは…?)
申し訳ない…けど…
アルミン(やばい!見失ったか?でも、アニならなんとかな…!!)
嬉しい…
アルミン「アニ!ぶつかる!!!」
目の前には木があった。
アニ「!?」
私は避けきれず、ぶつかってしまった。
アルミン「アニ!!」
エレン「!?俺も行く!」
ミカサ「わ、私も!」
アルミン「2人は続けるんだ!2人が行けば倒せる巨人がいるだろ!全員で止めてしまったら、班の得点に響く!ここは僕に任せろ!」
エレミカ「…!」コクッ
アルミン「アニ!アニ!しっかりしろ!」
アニ「…」
薄れゆく意識の中、アルミンが必死に私に声をかけているのがわかった。
アルミン「アニ!おき…!し……り…ろ!ア……………」
私は、安心したように…意識を失った。
ー大好きだよ、アルミンー
アニ「…」
医務官「なんとか一命は取り留めています。奇跡としか言いようがありません」
アルミン「!」
エレン「よかった…」
ミカサ「…」
医務官「残念ながら、頭蓋骨が陥没しています。意識が戻ったところで、元通りに戻るかどうかは…」
アルミン「そ、そんな…」
エレン「な、何か方法はないのかよ!?」
医務官「残念ですが、現在の技術ではなんとも…」
ミカサ「アニ…」
ライベル「…」
ミーナ「アニ!アニー!!!」ポロポロ
クリスタ「…アニ、嘘でしょ…」
ユミル「…訓練での事故死か、珍しくもねぇ」
医務官「では、失礼します」
ガチャ
アニ「…」
アルミン「くそっ、僕が、周りをよく見てなかったから…」
エレン「アルミン、自分を責めるなよ」
アルミン「でも、僕が!僕が見ていればこんなことには!」
ミカサ「落ち着いて、私やエレンだって同じ班だった。責任は私たちにもある」
ユミル「いや、お前らには責任なんてねぇだろ。事故ったのはこいつの…アニ自身の問題だ」
クリスタ「ユミル、なんてこと言うの?」
ユミル「…事実を行ったまでだろ?私は寮に戻るぞ」
クリスタ「ちょっと!ユミル!」
ガチャ
ミーナ「うぅ…」
ミカサ「…ミーナ、ごめんなさい」
ミーナ「ぐすっ、謝らないで、ミカサは悪くないよ」
ミカサ「私たちも今日はもう戻ろう」
ミーナ「…うん」
ガチャ
エレン「俺たちもひとまず戻るか、そろそろ配給の時間だ」
アルミン「うん、あれ?2人は?」
ライナー「俺たちは…そこにある、リンゴをむいてから行く」
アルミン「リンゴ?」
ライナー「ああ、俺たちがいなくなった途端に、起き上がるかもしれんからな」
アルミン「うん、そうだね…僕も手伝うよ」
ライナー「いや、むくのは一つだけでいいだろう。俺一人でやる。2人は戻ってろ」
エレン「ああ、わかった。行こうぜ、アルミン」
アルミン「うん…」
ガチャ
ライナー「…」
ベルトルト「…」
アニ「…」
ライナー「…おい、起きてるんだろ?アニ」
アニ「…まあね」
ライナー「ゆっくり治せよ?バレないように尽くせ」
アニ「分かってるよ」
ライナー「よし、むき終わった。そろそろ行く」
アニ「ずいぶんと早いんだね」
ライナー「慣れてるからな。腹空いたら食べろよ」
アニ「ああ。ありがと」
ライナー「じゃあな、アニ」
ベルトルト「バイバイ」
アニ「じゃあ、ね」
ガチャ
アニ「…」
アニ「…」
アニ「…」
アニ「…」
アニ「寝よう…」
ガチャ
アニ「…?」
誰だ…?
「…」
こっちに向かってきた
アニ「…」
私が寝ているベッドのそばに椅子を持ってきて腰掛けた。
「…アニ」
アニ「!」
「…目を、覚ましてくれ」
アニ「…」
この声は、私の大好きな…
アルミン「頼むよ…」
アニ「…」
アルミン「お願いだ、アニ…」
アニ「…」
アルミン「…」
アニ「…」
アルミン「あれは、いつだったかな?」
アニ「?」
アルミン「僕が、図書館で居眠りしちゃっ出たとき…」
ああ、あのときか。
アルミン「僕はね、あの日恋をしたんだ」
アニ「!」
アルミン「そう…君に」
どくんっと胸が鳴る。
聞こえていないだろうか。
アルミン「照れ臭そうにしてた君の笑顔に、僕はドキドキが止まらなかったよ」
私だって、あのとき…
アルミン「アニは、好きな人がいるんだろ?」
ああ、いる。
アルミン「…誰なのかなぁ、羨ましい」
あんたなんだけど…
アルミン「少し、いや、結構嫉妬しちゃうな…」
アニ「…」
アルミン「アニ…」
名前を呼ばれると、どくんと胸が鳴る。
アルミン「目を覚ましてくれ…」
アニ「…」
アルミン「頼む、頼むから…」ウルウル
アニ「…」
アルミン「もう一回、笑って見せてくれよ…」ポロポロ
アニ「…アルミン」
アルミン「…え?」
アニ「…」
アルミン「アニ…?」
アニ「…キス、して」
アルミン「…へ?」
アニ「早く」
アルミン「いや、でも…」
アニ「いいから。眠りから覚めるには王子様のキスが必要なんだよ」
アルミン「…う、うん」
アニ「…」
アルミン「…」ゴクッ
アニ「…」
初めて触れたその唇は弱々しく、でも、温もりを感じたーー
ー翌日早朝ー
アルミン「zzZ」
アルミン「z…!」
アルミン「あれ?いつの間に寝ちゃったんだ!?」
アルミン「…!!!!」
アルミン「〜〜///」プシュー
アルミン「あ、アニ!」
アニ「…」スースー
アルミン「寝てる…のか?いや、まだ目を覚ましてないのか」
昨日のは夢…?
『…キス、して』
アルミン「〜〜///」ワシャワシャ
思い出し、頭を掻き毟った。
アルミン「とりあえずここから出ないと!」
幸い、まだ誰も起きておらず、布団にさっと潜り込んだ。
抜け出したのも消灯後だから、誰も気づいてないだろう。
アルミン(夢…じゃなかった…よね?)
エレン「はぁー!今日も頑張った!」
ミカサ「お疲れ様、エレン」
エレン「そうだ!アニのお見舞い行こうぜ!」
ミカサ「ええ」
エレン「ほら、アルミンも行くぞ!」
アルミン「…えっ?」
エレン「何ボサッとしてんだよ!アニのお見舞い行くぞ!」
アルミン「あ、うん!待ってよ!」
ー医務室ー
医務官「これは…」
ガチャ
エレミカアル「失礼します」
エレン「…アニの容態はどうですか?」
医務官「信じられないことが起こっている」
エレン「え?」
医務官「傷が、ほとんど治っている…」
エレミカアル「!?!?!?」
医務官「あれほどの大怪我だったのに…この調子なら、そろそろ目を覚ましてもおかしくはありません」
エレン「ほ、本当ですか!」
ミカサ「アニ、良かった…」
アルミン「…」
医務官「では、私はこれで失礼します。あと、目を覚ますには声かけなどが有効ですので声をかけてあげて下さい。しかし、決して動かして、頭を揺らさないように」
ガチャ
エレン「…アルミン。声かけてやれよ」
ミカサ「うん、あなたがいい」
アルミン「え?うん、分かったよ」
アニ「…」
アルミン「アニ?聞こえる?目を覚ましてくれないか?」
アニ「…」
アルミン「アニ、聞こえてない?」
アニ「…」
『眠りから覚めるには王子様のキスが必要なんだよ』
アルミン「!」
アニ「…」
アルミン「…」
やるのか?やるのか!?僕!?!?
アニ「…」
アルミン「…エレン、ミカサ」
エレミカ「?」
アルミン「ちょっと、席を外してくれないかな?」
エレン「え?」
アルミン「ちょっと、ね」
ミカサ「エレン、行こう。アルミンには何か考えがある」
エレン「ああ、そうだな。アニを頼んだぞ、アルミン」
アルミン「うん、任せてくれ」
ガチャ
アルミン「アニ、目を覚ましてくれ」
ガチャ
アルミン「…」
エレン「アルミン!どうした!?」
ミカサ「アニはどうなったの?」
アルミン「目を、覚ましたよ!」
エレミカ「!!!!」
エレン「よっしゃー!!!」
ガチャ
エレン「アニ!!!」
ミカサ「アニ!」
アルミン「へへ…」
アニ「うるさいんだけど…」
アルミン「ごめんね」
アニ「あんたじゃないよ」
エレン「悪い悪い、でも本当に良かった!」
ミカサ「私はもう、アニと話すことができないのではないかと…」ウルウル
アニ「ミ、ミカサ…」
アルミン「意外とミカサって涙もろいもんね」
エレン「俺、みんなに教えてくるぜ!」
ミカサ「私も、行こう」
ガチャ
アニ「やっと静かになったね…」
アルミン「…うん」
アニ「…」
アルミン「おかえり、アニ」
アニ「!」
アルミン「…」
アニ「ただいま」
アルミン「…あはは」
アニ「…くすっ」
二度目の唇は、逞しく、且つ柔らかかったーー
あれから僕たちは、いつも通りの厳しい訓練に耐え、いつの間にか卒団になった。
僕とアニは付き合うとかそういうこともなく、エレンとミカサのお節介も無駄に終わった。
でも、お互いに分かっていた。
両思いであること、そして…
結ばれてはいけないということ。
アニは明確に理解している。
僕は、うっすらとではあるが、アニが僕とそういう関係を望んでないということはわかった。
もし、僕が告白などしてしまったら、おそらく僕はアニを困らせてしまうのだろう。
そう、思っていた。
しかし、いよいよ卒団式が行われる今日。
思い切って僕は…
アルミン「…ここに居たんだね」
アニ「ああ、星が綺麗なんだ」
アルミン「あ、本当だ…」
アニ「…」
アルミン「アニは憲兵団に行くんだよね?」
アニ「…そうだよ」
アルミン「…」
アニ「もしもあんたが駐屯兵団に入るなら、そっちでもいいけど」
アルミン「…それは、ごめん。出来ない」
アニ「…ああ、知ってる。私が憲兵団に行かない確率は、あんたが調査兵団に行かないのと同じようなものなんだよ」
アルミン「そっか…じゃあ、離れ離れになるね」
アニ「そう、だね…」
アルミン「…寂しくなるなぁ…」
アニ「…そう、かも…ね」
アルミン「アニはさ、好きな人がいるんだよね…」
アニ「…ああ」
アルミン「それは訓練兵の誰かなんでしょ?」
アニ「…ああ」
アルミン「告白、しないの?」
アニ「…しない。私のためにも、そいつのためにも」
アルミン「僕は、言いたいかな」
アニ「…なんで?」
アルミン「次いつ会えるか、分からないじゃないか」
アニ「…」
アルミン「アニ、よく聞いてくれ」
アニ「…」
アルミン「…僕は、君のことが、好きだ」
アニ「…そう」
アルミン「僕と、付き合ってください…!」
アニ「…」
アルミン「…」
アニ「私も、あんたが大好きだよ」
アルミン「…」
アニ「好きで、好きで、たまらない」
アルミン「僕だって…」
アニ「でも私にはやらなきゃいけないことがあるの」
アルミン「…」
アニ「…もし、やることやり終えて、あなたがまだ私のことを好きでいてくれるなら…」
アルミン「…」
アニ「…」
アルミン「…」
アニ「…おやすみ、アルミン。また明日ね」
アルミン「うん…返事、待ってるからね」
アニ「…」
アルミン「ずっと…待ってるから…」
アニ「ありがとう」
アルアニ(いつまでも愛してる)
僕はどうかしてる…
愛する人を疑うなんて…
でも、でも…
見間違いじゃない、あれはマルコの立体機動装置だ。
そして、死に急ぎ野郎に反応した。
さらに言えば…
あの顔は、忘れもしない…
巨人体になっててもわかる。
分かってしまう。
あれは…
…アニだ。
アルミン「エルヴィン団長、女型の中身に関して、お話よろしいでしょうかーー」
分かってるんだ。
一番辛いのはアルミンだ。
なのにどうして…
あいつはあんなに割り切れるんだよ…!?
でも、あの格闘術はアニのものだ。
それに中身がアニであれば、アルミンの推測も納得いく。
そうだ。
分かってるんだ。
でも俺は、認めたくない…!
アニ『あんた、まだ引きずってんの?意外と女々しいとこあるんだね』
あぁ…
俺はまだ引きずってるのかもしれない。
まだ、お前が好きだ…アニ。
エレン「アニを…疑うなんて…どうかしてるーー」
この世界は…残酷だ…
アニ…
まさか貴方と戦うことになるなんて…
思ってもなかった。
最初の頃は敵対してたけど…
《仲直り》してから、私は貴方を信用していた。
私は、同期の女子の中では貴方が好きだった。
貴方の恋を、応援していた。
だからだろうか…
戦うことに躊躇してしまう自分がいる。
でも、私は戦う。
私は容赦しない。
それが、貴方のためだと思って。
ミカサ「仕方ないでしょ?世界は…残酷なんだからーー」
私は、負けた。
アルミンを殺すなんてできなかった。
もしあの時、戦士になりきれていれば…
こんなことには、ならなかったかもしれないのに…
でも、これで良かったと思う私がいる。
私は本当にどっちなんだろう…
私は、誰、なんだろう。
アニ「私が賭けたのは、ここからだからーー」
アルミン「…」
アルミン「…アニ、答えてくれ」
アルミン「君の言葉も、態度も、全部…」
アルミン「嘘だったの?」
アルミン「もう…わからない…」
アルミン「何が真実なの?」
アルミン「何が正しいの?」
アルミン「何が正義なの?」
アルミン「僕にはもう…わからないんだ…」
ー私にだって分からないさー
ー完ー
どうだったでしょうか?
すこし分かりにくく書いてしまった気がしますw
できるだけ分かりやすく!と思って書いたのですか…(^_^;)
ところで、作中でエレンとアルミンが、言い方は違えど、『想いは伝えるべき』と言っています。
また、ジャンが『当たり前なんてない』『いつあいつが、てめぇの前から居なくなるかなんて分からない』と言っていました。
その通りですね。
"想い”っていうのは恋だけではありません。
感謝なども含まれます。
言えなくなってしまう前に、家族、恋人、友達、そして好きな人に…
勇気を出して想いを伝えて見てください。
きっと何かあなた自身、買われると思います。
これにて終わりの挨拶も終了させていただきます。
読んでくださった方々、どうもありがとうございました!
作者さん、ストーリーが良すぎる(。´Д⊂)クリスタのほうも頑張ってください!
応援してます!!
>>1
ありがとうございます!
クリスタの方も、頑張ります(=゚ω゚)ノ