2016-01-22 12:26:36 更新

概要

シガンシナ陥落…
それは少年にとって、途轍もなく大きなショックを与えた。
また、少女には大きな罪悪感、大きな責任という名の重圧を与えられる。

光を失った少年と心を閉ざした少女。

違う立場2人…だが次第に惹かれあう。
そんな彼らの切ない物語。


前書き

原作でのエレンとアニの絡みは本当に好きです!

色々語っちゃうアニと、鈍感エレンの絡みは見ててホンワカしてきますw

ミカサの心は穏やかじゃなさそうですが…w

原作で、アニはエレンのことが好きなんでしょうか?

少なくとも悪い印象を持ってる感じはしませんが…どうなんでしょう?

好きってのは無くても、ちょっと気になるって感じなのかな…

アルアニも自分的には好きなので…

ってそもそも俺の意見がブレブレですねw

話を逸らしすぎました…そろそろ本編に行きましょう!

結構長いですが…楽しんでいただけたら幸いです!



*注意
・途中グダグダ
・キャラ崩壊はできるだけしないように…してる…つもり…です。
・この作品は、体の不自由な方を馬鹿にしているわけでも、失明というものを軽く扱っているわけでもありません。もし、気分を害された方はすぐに閉じることをオススメします。
・ミカサは元々チート感がありますが、この作品のエレンは若干のチートです。
・作者に格闘技の知識はほとんどありません。戦闘シーンでおかしなところがあっても、笑ってください。
・誤字脱字は脳内補完お願いします。
・文字化け(?)で以前は途中までしか読めていなかったみたいです。気づくのが遅く修正かだいぶ遅くなってしまいました。申し訳ございません。














ー845ー


「おい!ハンネスさん!」


その日…


「何やってんだよ!?」


人類は思い出した…


「まだ母さんが!」


ヤツらに支配されていた、恐怖を…


「やめろぉぉぉおおお!!!!」


鳥かごの中に囚われていた、屈辱を…
















ーーそして少年はーー












「……ん…れん…エレン!」


エレン「!!」


ミカサ「大丈夫?ひどくうなされていた」


エレン「ああ、大丈夫だ…あれ?」


ミカサ「どうしたの?」


エレン「父さんに会ってた気がする…」


ミカサ「まさか。夢だよ」


エレン「そんなことより、ここ暗すぎやしねぇか?」


ミカサ「え…?」


エレン「まだ夜なのか?ちょっと灯りつけてくれよ」


ミカサ「エレン?今は朝。とても明るい」


エレン「はぁ?何言ってんだ?何も見えねぇぞ?」


ミカサ「??」


「エレーン!ミカサー!」


エレン「その声は、アルミンか?」


アルミン「ん?そうだよ?あ、二人とも!パン貰ってきたんだ!」


エレン「こんな時間に配給か?」


アルミン「こんな時間?もう9時だよ?」


エレン「はぁ?じゃあ、なんでこんなに暗いんだよ?」


アルミン「え?」


ミカサ「エレン、この指、何本に見える?」


エレン「何本って言われてもな…暗くて何も見えないぞ?」


アルミカ「!?」


ミカサ「エレン、もしかして…」


アルミン「失明…?」


エレン「…は?」













ーー光を失ったーー



























エレン「お、おい…失明って…」


アルミン「エレン、本当に何も見えないのか?僕の顔は?ミカサの顔は?」


エレン「み、見えない…」


ミカサ「…」


エレン「おい…嘘だろ?なんで見えねぇんだよ…」


ミカサ「エレン、落ち着いて。一時的なものかもしれない」


エレン「そんな証拠どこにあんだよ?」


アルミン「ひとまず落ち着こう。これからどうするか考えないと」


エレン「どうするもこうするもねぇよ…目が見えねぇんだぞ?巨人を駆逐するどころじゃねぇ…」


エレン「それに…」


アルミカ「?」


エレン「海…見れねぇじゃねぇか…」


アルミン「エレン…」


エレン「俺…何の為に生きてるんだよ…」


ミカサ「!」


エレン「生きてても意味がねぇ…」


パチンッ


エレン「いっ!?」


ミカサ「バカなこと言わないで!」


アルミン「そうだよエレン。諦めるなんて君らしくないじゃないか」


エレン「お前ら…」


ミカサ「ほら、立って」


エレン「ん…」スクッ


ミカサ「手、貸して…」ギュッ


エレン「な、何だよいきなり…」


ミカサ「あなたは一度死んだ私を生き返らせてくれた。あなたは私の光だった…」


エレン「…」


ミカサ「今度は私が、あなたの光になろう」


エレン「ミカサ…」


アルミン「ぼ、僕も!」ギュッ


エレン「アルミン?」


アルミン「僕だって、僕に何度も手を差し伸べてくれたエレンの光になる!」


エレン「うっ…ありがとう、お前ら」ポロポロ







俺は、こいつらとなら…


なんだって出来る気がした。













ー846ー


アルミン「今日もクタクタだよ…」


俺たちは3人で並んで歩いていた。


エレン「仕方ないさ、俺たちは言わば難民だからな…」


ミカサ「働かなければ、食べれない」


アルミン「うん…」


エレン「まあ、無理すんなよ?」


俺を真ん中にして、3人で手を繋いで歩いていた。


ミカサ「エレンこそ、無理しないで」


エレン「別に俺は平気だ」


ミカサ「またそうやって強がる…」


エレン「強がってねぇよ!」


アルミン「ははは…ん?」


エレン「どうしたよアルミン?」


アルミン「これ…」


エレン「これって言われても分かんねぇよ」


ミカサ「訓練兵募集要項」


エレン「なっ!?」


アルミン「訓練兵になるにはこの書類を書くみたいだ…」


エレン「おい!早く書こうぜ!」


ミカサ「私たちはまだ11歳。書くのは来年」


エレン「そ、そうなのか…」


アルミン「…僕はこのまま、開拓地で暮らしてもいいと思ってる」


エレン「は、はぁ!?」


ミカサ「…私も」


エレン「お、お前ら!?」


ミカサ「…エレンが訓練兵になりたいのはよく分かる。けど…」


アルミン「健常者でも死人が出るんだよ?エレンにはハンデがある。厳しいと思うんだけど…」


エレン「でも…でも!」


ミカサ「エレン、現実を見て」


エレン「うぐっ…」


アルミン「…」


ミカサ「…」


エレン「…俺は…俺は!」


アルミン「…」


エレン「それでも訓練兵になる!」


ミカサ「…」


エレン「もし死ぬことになっても、構わない。それまでの器だったってことだ」


アルミン「…」


エレン「だから俺は、お前らが何と言おうと…」


ミカサ「…」


エレン「訓練兵になる」














アルミン「それでこそエレンだね」


エレン「は?」


ミカサ「試すような真似をしてしまった。ごめんなさい」


エレン「??」


アルミン「エレンのハンデはやっぱり小さいものじゃない。それを背負った上で訓練兵になるのだから、とても覚悟がいるんだ」


ミカサ「そう。でも流石エレン。覚悟を強く持っていた」


アルミン「一緒に訓練兵になろう、エレン!」


エレン「な、何もお前らまでなる必要は…」


ミカサ「エレンは私達がいないと、早死にする」


アルミン「そうだよ!僕たちが光にならなきゃ!」


エレン「そうか…うん…ありがとな…」ポロポロ












ー847ー


キース「これより、第104期訓練兵、入団式を行う!」


俺たちは訓練兵に志願した。


エレン(やってやる…目が見えなくても関係ねぇ…巨人を一匹残らず駆逐してやる!)















エレン「こんな…はずじゃ…」


キース「光を失ってまでここに来た度胸だけは認めてやろう…」


キース「だが!立体機動すら扱えない様では囮にも使えん!開拓地に移ってもらう!」


エレン「嘘…だろ…?」


ー食堂ー


エレン「…」ズーン


ミカサ「エレン…食べて」


ジャン「チッ…あーあー情けねぇなぁ!初日あんだけ大口叩いてたのによぉ!」


マルコ「ちょっと、ジャン!」


ジャン「巨人なんか大したことねぇだっけ?それも、"立体機動を使いこなせれば"だったよな?」ケラケラ


エレン「笑いたきゃ笑え」


ジャン「ああ!大いに笑ってやるよ!ざまあねぇなぁ!」ゲラゲラ


エレン「くっ…」


ミカサ「ジャン」


エレン「お、おいミカサ…」


ミカサ「黙って、ジャン」


ジャン「…チッ、保護者がいねぇと何もできねぇんだな!この自意識過剰ヤローが!」


マルコ「よせ!ジャン!」


ジャン「…へいへい、わかったよ」


エレン「おいジャン」


ジャン「あ?なんだよ?」


エレン「…」ドガツ


ジャン「いっ!?てめぇ!やんのか?」


エレン「ああ、俺も黙ってるのは苦手だからな」


アルミン「よ、よしなよエレン!」


ジャン「ほんとてめぇは…自意識過剰なんだよ!」ブンッ


エレン「…」スッ


ジャン「なっ!?避けた?」スカッ


エレン「はっ!」ボガッ


ジャン「ぐっ!?」


エレン「あー、スッキリした」


ジャン「てめ…見えてねぇんじゃねぇのかよ…」


エレン「お前の単調な動きぐらいすぐ予測できる」


ジャン「は…?なめんなっ!」ブンッ


ミカサ「やめなさい」ガシッ


ミカサが割って入ってくる。


掴んだのはジャンの拳のようだ。


ジャン「み、ミカサ…///」


ミカサ「エレン、挑発的な態度をとってはダメ」


エレン「うるせぇな、わかってるよ」


マルコ「ジャンもだぞ?」


ジャン「うん、そうだな…」


マルコ「ジャン?」


ジャン「今日の飯、うまそうだな」


マルコ「いつもと変わらないだろ…」






??(あいつ、面白いかも…)













ー845ー


ライナー「よし、作戦を開始しよう」


ベルトルト「うん」


アニ「私は、巨人を連れてくるだけで良いんだよね」


ライナー「ああ、そうだ。ベルトルト、うまく壁を壊してくれよ?おれも続く」


ベルトルト「大丈夫、任せてくれ…」


アニ「何?まさか緊張してるの?」


ベルトルト「少し…ね」


アニ「はぁ…あんたが成功しないと私達は何も出来ないんだ。頼んだよ?」


ライナー「そんな言い方したらプレッシャー与えちまうだろうが…」


ベルトルト「でも、アニの言うとおりだ。頑張るよ」


ライナー「ああ、頼んだぞベルトルト」


アニ「よろしくね」


ベルトルト「うん、でっかい穴を開けてみせるさ!」








あの頃、私たちはまだ小さかった。


大人の言うことが絶対だった。


壁の中には悪魔が住んでいて…


奴らを駆逐しなければならない。


そう、教え込まれていた。


だからーー




「うわぁ!やめろ!やめてください!!!」


「おとうさーん!!!」


「いやだぁ!はなせぇ!!!」


「死にたくない!」


「助けてくれ!!!うわぁ!!!」










私はとんでもないことをした。


壁の中の奴らは私たちと大差ない、分別のある人間だ。


巨人化できるか、できないか。


ただ一つ、その違いだけだ。


彼らには1人ひとり家族がいる、友人がいる、恋人がいる…


そんな彼らの命をーー


「アニ!!!」


アニ「!」


ベルトルト「ひどくうなされていたようだけど…」


アニ「嫌な、夢を見たの」


ベルトルト「そっか…」


ライナー「おいお前ら、難民手続きしてきたぞ」


ベルトルト「お疲れ様」


ライナー「あとこれ、配給のパンだ」


アニ「あ、ありがと」


ベルトルト「訓練兵には志願するの?」


ライナー「今年度と来年度のは混乱が酷くて募集してないらしい、再来年度に3人で申し込もうか」


アニ「うん、じゃあまた3人一緒なんだね」


ライナー「ああ、そうだぞ?アニ」


ベルトルト「アニを一人ぼっちになんかしないよ!」


ライナー「元々お前はアニと同い年だから、一人ぼっちになるとしたら俺だろうが」


ベルトルト「そうだったね」アハハ


アニ「…」クスクス






ー847ー


あの頃は、3人で…笑ってた。


私もいっぱい笑ってた。


でも、今の私は?


いろいろ作戦を練ってるうちに、3人がいつも一緒なのはよくないってなって…


男と女…


単純に性別で分けた。


私は一人ぼっちになってしまった。


正直…寂しくない訳じゃない。


でも私は、戦士だから…





ミーナ「アニ、だよね?同室のミーナって言います!よろしくね?」


アニ「…よろしく」






ー食堂ー


ミーナ「やっと立体機動の訓練に入ったね〜」


アニ「まだ、ぶら下がってるだけだけど」


ミーナ「アニ上手かったよね!私はちょっとふらついちゃった…」


アニ「そうかい」


ミーナ「…ね、ねぇアニ!どうやったら上手く出来るの?」


アニ「ぶら下がるだけさ…コツがいるとは思えないんだけど」


ミーナ「うーん、やっぱり元の運動神経とかの違いなのかなぁ…」


「いっ!?てめぇ!やんのか?」


「ああ、俺も黙ってるのは苦手だからな」


ミーナ「あれって…ジャン?とエレンだよね」


アニ「確かね」


ミーナ「やっぱり目が見えないとバランス取りにくいのかな…」


アニ「そうかもね」


ミーナ「あ、危ない!」


アニ「?」


エレンに殴りかかるジャン。


そして、その拳をスッとかわすエレン。


アニ「!」


そして、重い一発をジャンに浴びせる。


「お前の単調な動きぐらいすぐ予測できる」


アニ「…」


アニ(あいつ、面白いかも…)







ミーナ「…」ニヤニヤ


アニ「…何?」


ミーナ「今エレンに見惚れてたでしょ?」


アニ「は?」


ミーナ「ずっとエレンのこと見てたもん!」


アニ「あぁ…」


ミーナ「もしかして、エレンのこと気になってる?」


アニ「…そんな訳ないでしょ?」


ミーナ「でも今のエレン、ちょっとかっこよかったよね〜。明日には開拓地かもしれないけど」


アニ「…ただの馬鹿だね」


ミーナ「え?」


アニ「目が見えないのに、訓練兵になろうとするなんて馬鹿のやることさ。健常者でも死人が出るんだ。ましてやここは巨人の餌の養殖場じゃない。あいつは…いや、あいつの側にいるあの2人もそうだ。馬鹿なんだよ。正真正銘のね」


ミーナ「…」


アニ「…ごめん、変に語っちゃったね」


ミーナ「…アニって喋り出すと止まらないタイプなんだね」


アニ「さぁ…ね」


ミーナ「へへ、でも、初めてそんなに話してくれた!もっとアニの話聞かせてよ!」


アニ「うるさい」


ミーナ「ひどっ!?」


アニ「はぁ…気が向いたらね」


ミーナ「うん!」ニコニコ





ー翌日ー


キース「エレン・イェーガー。覚悟はいいか?」


エレン「はい!」


やる…俺はやる…


俺には素質がないかもしれない…


目も見えないかもしれない…


けど、根性だけは誰にも負けない!


アニ(あいつは…成功する…)


昨日も消灯時間ギリギリまで練習してた。


噂によるとライナーたちに、コツを聞いて回っていたらしい。


それだけあいつは頑張れる奴だ。


だから私は思う。


アニ(あいつは、成功する)





キース「始めろ!」


トーマスがゆっくりとベルトを上げていく。


俺の体も次第に地面から離れていく。


理屈なんか知らん!


根拠もない!


でも俺にはこれしかねぇ!


これが…俺の武器だ!


「おぉ!!!」


歓声が上がる。


やった…出来た!


エレン「!」


グルンッドサッ


俺は頭から地面に落ちていた。


キース「!」


エレン「ま、まだだ、まだ俺は…」


キース「下ろせ」


エレン「…」ズーンッ


エレン「お、俺は…」


開拓地に移ってもらう。


その言葉だけが俺の中では流れていた。


しかし…


キース「ワグナー、イェーガーとベルトの交換をしろ」


トーマス「?はっ!」




ベルトを付け替えた俺は、バランスを崩すこともなく、空中に留まっていた。


な、何で…?


出来たぞ、急に…


エレン「これは、一体…?」


キース「装備の欠陥だ」


エレン「!?」


キース「貴様の使用していたベルトの金具が破損していた。ここが壊れるなど聞いたこともないが…新たに整備項目に加える必要があるようだ」


「じゃああいつ…一時は壊れた装備で…」


「すごいな…目も見えないのに…」


エレン「では…適正判断は…?」


キース「問題ない。修練に励め」


「うぉぉぉおおお!!!!!!」


やった!やったぞ!


どうだミカサ!


俺はやれる!


巨人とも戦える!


これでお前に世話を焼かれることもねぇなぁ!!!


アニ(ふっ…心配したじゃないか…)


え…?


しん、ぱい?


この私が?あいつに?


そんなことする資格なんかないのに…


私は…


アニ「戦士だ」


ミーナ「??」









ー夜:食堂ー


「それにしても凄いじゃないか!」


エレン「やめてくれよ…」


「いや、でも…それほどのことをしたってことだよ!」


「ああ!そうだぜ!目が見えねぇのになぁ…」


「壊れた装備で一時は成功させるし…」


エレン「大げさなんだよ…お前らだって合格してんだろうが…」


ライナー「よくやったな、エレン。お前なら出来ると思ってたぞ」


エレン「ら、ライナー…お前まで…」


ライナー「よし、今日はエレンの適性検査合格祝いだ!乾杯!!!」


エレン「だから大げさなんだよ…」


アルミン「ははは…」





ジャン「クソッ…うるせぇヤローだ…」


マルコ「まあまあ、よしなよ」


ジャン「ただでさえミカサ連れてるくせに、いい気になりやがって…」


マルコ「もう、嫉妬心が凄いなぁ…」


ジャン「べ、別に嫉妬なんかしてねぇ!俺は、自分に正直なだけだ」


マルコ「はぁ…はいはい」







アニ「…」モグモグ


ミーナ「アニ、隣いい?」


アニ「別に…好きにしなよ」


ミーナ「分かった!」


アニ「…」モグモグ


ミーナ「ねぇねぇ!今日のエレン、すごかったね!」


アニ「…ああ、そうだね」


ミーナ「大きなハンデ抱えながら、あそこまで出来るなんて凄いよ!」


アニ「…そうだね」


ミーナ「エレン、かっこいいなぁ…でもミカサがいるしなぁ…」


アニ「ミカサ…?」


ミーナ「あの、黒髪の綺麗な女の子だよ。いっつもエレンと一緒にいるでしょ?」


アニ「ああ、あいつか」


ミーナ「そそ。んで、もう一人の金髪の可愛い子がアルミンだったかな」


アニ「よく覚えてるね」


ミーナ「えへへ、人の名前覚えるの得意なんだ〜」


アニ「そうかい」


ミーナ「今度さ!立体機動の本格的な訓練の前に班分けやるらしいよね!エレンと一緒だったらいいな!」


アニ「…そう」


ミーナ「アニは誰となりたいの?」


アニ「別に…誰でもいい」


ミーナ「…えー、つまんないのー」


アニ「…強いて言えば、ミーナかな」


ミーナ「え…?」


アニ「…」プイッ


ミーナ「アニ!!大好き!!!」ギュー


アニ「…離れろ」




ー翌日:対人格闘訓練ー


キース「これより、対人格闘訓練を行う!」


キース「毎年、点数にならないからという理由でこの訓練を甘く見る者が多い!」


キース「しかし、憲兵団を目指すならば、仕事柄、必要になってくる!」


キース「全員、心して励め!」


「ハッ!」


ジャン(対人格闘なんざ、点数にならねぇならやる気起きねぇよ…)


エレン「おい、ミカサ。いつも通り頼む」


ミカサ「分かった」


ジャン「な…くそッ」


マルコ「ほらほら、嫉妬しないで」


ジャン「嫉妬じゃねぇ!!!」


マルコ「ジャン、やるかい?」


ジャン「えー、お前バカみたいに真面目だからなぁ…」


マルコ「ジャンはこの訓練を流すの?」


ジャン「もちろん。ただでさえ、午前訓練で疲れてんだ。全部全力出してたら身体が持たねぇよ」


マルコ「恥を知れよ…」


ジャン「俺はこれでいいんだよ、お前は他の真面目なやつとでも組んでろ」


マルコ「えー…」


ジャン「ほら、あのエレンの金魚の糞でいいじゃねぇか」


マルコ「アルミンのこと?そんな言い方は無いんじゃないの?」


ジャン「なんだよ?本当のことだろうが」


マルコ「はぁ…本当にお前はクズだな」


ジャン「うるせぇ」


マルコ「じゃあ僕はアルミンと組んでくるよ」


ジャン「おーう」






ミーナ「アニ!組むよ!」


アニ「はいはい…」


ミーナ「ほら早く!」


アニ「あんたさ…友達いないの?」


ミーナ「…アニがいる」


アニ「はぁ…そうかい」


ミーナ「これから作っていくもん!」


アニ「そう、まあ頑張りな」







エレン「よし、ミカサ。行くぞ」


ミカサ「ええ、私の位置はここ」チャリン


私の腕には鈴が付いている。


この音を頼りにエレンは私の位置を探る。


私たちは短刀を奪う訓練ではなく、純粋な格闘訓練になっている。


鈴の使用、訓練内容については教官にも許可を取っている。


エレン「はぁ!」シュッ


ミカサ「くっ…」チャリチャリン


エレンの左ストレート。


日に日にスピードと精度が増している。


それを私は外に避ける。


エレンの身体の内に入ると、右フックが飛んでくる。


エレンの右フックは怖い。


威力、精度、スピード、どれを取っても脅威に値する。


エレンの必勝パターンの一つでもある。


エレン「くっ、左か!」ブンッ


エレンは無理やり右フックを打ってくる。


しかし、この距離があれば避けるのは容易だ。


私は身体を屈め、エレンの間合いに入る。


そして…


ミカサ「ふんっ!」ガッ


鳩尾に一発食らわせた。


エレン「かはっ!!」


ミカサ「…」


エレン「ゴホッ、ゴホゴホッ…くっ…効くなぁ…」


ミカサ「エレンのパターンは決まっている。馬鹿の一つ覚えでそればかりやられたら、私も慣れてしまう」


エレン「だよ…な!!!」シュッ


ミカサ「!!」チャリリン


唐突の右ストレート。


咄嗟に後ろに逃げる。


エレン「やぁ!」シュッ


間髪入れず左ストレート。


ミカサ「ふっ」パチッ


それを左手ではたき落とす。


ミカサ「…」チャリン


そして間合いを縮め…


ミカサ「…」シュッ


右ストレートを顔面に放つ。


エレン「くっ…」サッ


咄嗟に身体を屈め、避けるエレン。


アッパーが来たら危ない。


咄嗟に後ろに避けようとする私に、エレンは腰目掛けてタックルする。


私は尻餅をつき、エレンにマウントポジションを取られる。


エレン「っと!」シュン


私の顔面に拳を突きつける。


エレン「勝った!」


これ以上は暴力。


エレンはミカサに暴行を加えることはなく、ミカサの上からどく。


エレン「どうだミカサ!一本取ってやったぜ!」


ミカサ「エレン、だいぶ強くなったね」


エレン「これも、開拓地でずっとやってくれたおかげだな…ありがとう」


ミカサ「そんな…私は、別に…///」


エレンは開拓地にいたころ、少しでも感覚を鍛える為に、兵士として遅れをとらない為に、私と訓練をしていた。


この対人格闘訓練の方法はその時にアルミンが考えたものだ。


でも、一つ謝らなくてはいけないことがある。


私が本気を出せば…




鈴 は 鳴 ら な い









アニ(あんな訓練してるのか…だから、あの時も…足音とかで分かったのか)


ミーナ「はぁ!はぁ!(アニ、余所見してる…けど、勝てない…)」






ー夜:食堂ー


ライナー「おい、エレン」


エレン「その声はライナーか?」


ライナー「ああ。お前あの訓練、前からやってるのか?」


エレン「開拓地にいた頃からな。目が見えないからって兵士として遅れをとるわけには行かない」


ライナー「お前の、その意志の強さだけは、絶対に勝てる気がしないぜ…」


エレン「だけ、ってなんだよ?ライナーくらいなら一捻りだぜ?」


ライナー「あ?行ったなエレン?今度の格闘訓練、俺と組まないか?」


エレン「ああ、構わないぜ?」


ミカサ「エレン、それはやめた方がいい」


エレン「なんでだよ?せっかく訓練兵団に入ったんだ。いろんな奴らと訓練してぇよ」


ミカサ「しかし…エレンの貞操が…」


エレン「何言ってんだお前」


ミカサ「ライナーは、見た目からして、ホモ…」


ライナー「おい、酷くねぇか?」


エレン「そうだぞミカサ。確かにライナーはホモかもしれないが、狙いはアルミンだ」


ライナー「え、ちょっと、お前…」


アルミン「なんで僕が出てくるんだよ〜」


ミカサ「アルミン、気をつけて」


アルミン「え、うん…でも、僕はライナーがそんな人じゃないって信じてるから!」ニコッ


ライナー「!!」


アルミン「…ライナー?」ウワメヅカイ


ライナー「くっ…(新たな扉が…)」


ベルトルト(ライナー…)






アニ「…」ジー


ミーナ「ーーなんだ!すごくない?」


アニ「え?あ、そう、だね…」


ミーナ「もー、アニ聞いてなかったでしょ?」


アニ「…」


ミーナ「そんなにエレンが気になるの?」


アニ「は?」


ミーナ「だって、ずっとエレンのこと見てたでしょ?」


アニ「…別に」


ミーナ「アニがエレン好きだったら、私のライバル増えちゃうよ〜」


アニ「好きとかじゃない」


ミーナ「ん?でも気になるんだ?」


アニ「気になる…とは違う」


ミーナ「??」


アニ「強いて言うなら、好奇心かな」


ミーナ「それって気になるってことじゃないの?」


アニ「あんたが言ってるのは、あいつを男として気になってるってことでしょ?私は人間として、だから。同じようで違う」


ミーナ「ふーん、そっか。つまんないのー」


アニ「別に、あんたに楽しんでもらう必要はないだろ」


ミーナ「そーだけど!そーだけどさ!」


アニ「…何?」


ミーナ「恋バナとかしてみたいじゃん!」


アニ「…は?」


ミーナ「恋バナだよ!恋バナ!アニに好きな人いたら応援したいし!あ、エレンだったら別だよ?」


アニ「…もし仮に、私がエレンを好きになったとしても、打ち明けたりする気はないよ。エレン以外の奴でもね」


ミーナ「えー、それじゃあつまんないよー」


アニ「私たちはここに訓練をしに来てるんだ。色恋沙汰に惑わされてる余裕なんてないんじゃないの?」


ミーナ「…ごもっともです」


アニ「…でも、あんたアタックすればいけるんじゃない?顔、悪くないし」


ミーナ「え、ほ、本当に?」


アニ「少なくとも、私やあのミカサ?よりは可愛いんじゃない?」


ミーナ「んー、二人とも可愛いというよりは美人の類だからでしょー」


アニ「私が美人?笑わせないでよ」


ミーナ「笑わせてないし、アニ笑ってないじゃん」


アニ「はぁ…そうかい。まあでも、ミカサは美人だね。疎い私でも分かるよ」


ミーナ「だよねぇ…エレンって、可愛い子と美人な子、どっちが好きなんだろー?」


アニ「さあ?聞いてみれば?」


ミーナ「まだ、ちゃんと話したこともないのに!聞けるわけないじゃん!」


アニ「…なら諦めな」


ミーナ「うぅ…」


アニ「…言っとくけど、私は興味ないから。そんなこと聞かないよ」


ミーナ「…だよねー」


アニ「…」モグモグ






ー翌日:対人格闘ー


ライナー「よし、やるかエレン!来いっ!」チャリ


エレン「ああ、行くぞ!」シュッ


ライナー「おい、エレンそんなストレーt…!?」チャリリン


エレン「ふんっ!」ドガッ


ライナー「ぐはっ!!」ドサッ


エレンの必勝パターンが決まった。


エレン「その程度かよ、ライナー?」


ライナー「くそっ…こんなに簡単にやられるとはな…」


エレン「舐めてると痛い目見るぞ?」


ライナー「そうらしい。俺も本気で行くぞ!」


エレン、ライナー、互いに譲らず、ほぼ互角の戦いをしていた。


エレン「くっそ、なんで倒れねぇんだよ…」


ライナー「俺の体は頑丈なもんでな…」


ライナー「お前こそ、本当に見えてないのか?」


エレン「ああ、真っ暗だ」


ライナー「はっ…信じられねぇな…ん?」


エレン「どうした?」


ライナー「あれ、見てみろよ」


エレン「あれって…俺見えねぇんだよ」


ライナー「ああ、悪いな。アニが訓練をサボってるんだ」


エレン「アニ?」


ライナー「なんだお前、知らねぇのか?」


エレン「喋ったことないと、名前なんて覚えられねぇんだよ。顔見えねぇし」


ライナー「そうか…あいつ、割と美人な女なんだが、普段から面白くなさそうな顔しててな…」


エレン「へぇ…で?説教でもしに行くのか?」


ライナー「まあ、そんなところだ。ああいう奴が居ると、他の奴らの士気にも関わるだろ」


エレン「流石だな、ライナー」


ライナー「何がだ?」


エレン「いや、お前らしいよ。本当に周りが見えてる」


ライナー「まあ、実際に見えてるからな、お前と違って」


エレン「なんだよ、バカにしてんのか?」


ライナー「冗談だ」


エレン「そうかよ…」


ライナー「兵士としての責任ってのを教えてやろうじゃねぇか」チャリッチャリッ


エレン「おまっ…待てよ…」






アニ(はぁ…めんどくさ…)スタスタ


ライナー「…」チャリッ


アニ(ん…?ライナーか…)


ライナー「教官の頭突きは嫌か?それ以上、身長を縮めたくなかったら、ここに来た時を思い出して真面目にやるんだな」


アニ(やっときたか…随分と待たせてくれたね)ギロッ


ライナー(…なんかめっちゃ睨まれてる…要望通りエレン連れてきたのに…)


ーーーーー

ーーーー

ーーー

ーー



〜昨晩:食堂裏〜


ライナー『いきなり呼び出してなんだ?』


アニ『ちょっとお願いがあるのさ』


ライナー『お願い?珍しいな』


アニ『あんた、明日エレンと組むんだろ?』


ライナー『ああ、聞いてたのか』


アニ『あんたの馬鹿でかい声のせいで聞こえてくるんだよ』


ライナー『そ、そうか…それで?』


アニ『あんたの好きなタイミングでいいから、私のところにエレンを連れてきて』


ライナー『はぁ?なんで…あ、もしかして』ニヤニヤ


アニ『…』ゲシッゲシッ


ライナー『痛っ!蹴るな!まじで痛い!』


アニ『はぁ…本当にそういうのじゃない。ちょっと、あいつと組手してみたいだけ』


ライナー『お前…本気出してやるなよ?』


アニ『ミカサみたいに手を抜けっての?』


ライナー『え、ミカサ手抜いてるのか?』


アニ『明らかに余裕そうにやってる。必死なエレンとは大違いだよ。分からないの?』


ライナー『気がつかなかった…流石だな』


アニ『ふんっ…』


アニ『とりあえず、頼んだから。上手くやってよ』


ライナー『了解』



ーー

ーーー

ーーーー

ーーーーー


ライナー「そら!始めるぞエレン!」


エレン「…は?俺がやんのかよ?」


ライナー「ああ。そうだ」


エレン「アニ、やり方は知ってるか?」


アニ「この鈴付ければいいんだろ?」チャリ


エレン「…」


アニ「…何?違うの?」


エレン「あ、いや、なんでもない」


アニ「は?」


エレン「ほ、ほら、始めようぜ!(声が綺麗だったなんて言えねぇ…///)」


アニ「…いつでも来なよ」チャリンッ


エレン「行くぞっ!」シュッ


アニ(左ストレートか…)チャリ


エレン(掛かった!)ブンッ


エレンの必勝パターン。


左ストレートからの、右フック。


完全に型にはまっていた。


アニ(速い!でも…!)ドンッ


エレン「なっ!?」ドサッ


アニの前蹴りがエレンの胸を捉え、エレンは尻餅をついていた。


アニ「あんたのフックは速かった。でも回り込むように殴るせいでどうしても軌道が長くなる。だから、咄嗟に出した私の足の方が速かったのさ」


エレン「でも、間合いは完全に詰めていた!足技の弱点である、接近戦に弱いところを着いてるはずだ!」


アニ「そんなの、膝を曲げながら足を上げて、伸ばす力で相手を押せば、威力は出なくても距離は取れるよ」


エレン「くっ…」


アニ「あんたは一発で決めようとして、余計に軌道が大きくなってるってのもあるけど」


エレン「なら、小さめのフックだったら入ってたのか?」


アニ「そしたら、私の膝があんたの顎を捉えてただろうね」


エレン「な!?」


アニ「それやったら一発で終わっちゃうし、今回は距離取るだけにしたけど」


エレン「くっそ…」


アニ「てかさ、もう終わりなの?」チャリッ


エレン「いや、まだだ!」シュッシュッ


エレンの軽いジャブ。


アニは軽いステップで左右に動き、手でエレンの拳を叩きながら避ける。


エレン(さっきの感じからして、足技が得意なんだろう…ならこうして間合いを詰めれば、重い一発はなかなか打てないはず!)シュッシュッ


アニ(チッ、距離が取れない…あれしかないか…)チャリッチャリッ


エレン(そろそろ、振り抜いてみるかな…)シュッシュッ


アニ「ふんっ」ガシッ


アニ右手ではエレンの右手を掴む。


エレン「なっ!?」


アニ「…」グイッ


そして、自らの右側にエレンを引き寄せた。


さらに左手でエレンの首元に軽く手を添える。


そして、エレンの両足を刈り取るように、アニは左足を振り抜いた。


バキッグルッドサッ


エレンは空中で一回転し、そのまま地面に叩きつけられた。


エレン「」


ライナー「…」


一部始終を見ていたライナーは、唖然としていた。


本当に一瞬の間に地面に叩きつけられたエレンは何が何だか分からなかった。


エレン(俺、今どうなってたんだ…?)


アニ「…気、失ってないよね?」


エレン「あ、あぁ…いててて…なんとかな」


アニ「ならいい、もう行っていいかい?」


エレン「待ってくれ!」


アニ「何?」


エレン「すげえ技術だな…誰からか教わったのか?」


アニ「…お父さんに」


エレン「親父さんがこの技術の体現者なのか?」


アニ「どうでもいい。こんなことやったって、意味なんかないよ」


エレン「意味ないって…だからお前も教官が言ってたみたいに流してるのか?」


アニ「ああ。そうだけど?内地に勤務する為に、この点数にならない訓練をやる意味なんてないと思うんだけど?」


エレン「そんなんじゃ、憲兵になっても…」


アニ「別に、立派な憲兵になりたいなんて思ってない。ただ内地に行ければいい、それだけ」


エレン「…で、でも…」


アニ「あんたはどう思う?」


エレン「は?」


アニ「巨人に対抗する力を高めた者ほど巨人から離れられる。どうしてこんな茶番になると思う?」チャリッ


エレン「さあ?なんでだろうな!!」ブンッ!


アニ「…」スッゲシッ


エレン「うぉっ」ドサッ


エレンは足払いを受け、地に倒れ簡単にマウントポジションを取られる。


アニ「それが、人の本質だからでは?」


エレン「…」


アニ「私の父もあんたらと同じで…何か現実離れした理想に酔いしれてばかりいた…幼い私は心底下らないと思いながらも…この無意味な技の習得を強いる父に逆らえなかった…」


エレン「…」


アニ「とにかく私は、この下らない世界で兵士ごっこに興じられるほど…バカになれない」


エレン「おい、待てよ」


アニ「…何?」


エレン「お前、嘘ばっか言ってんじゃねぇぞ?」


アニ「は?」


エレン「下らないだと?俺にはそうは思えない」


エレン「お前は、俺と組手してて、楽しかっただろ?」


アニ「…は?」


エレン「分かるんだよ。なんとなくな」


エレン「表情とか、姿とか見えなくても分かるんだ。お前は生き生きしていたよ」


アニ「な…」


エレン「バカになれない…ってことはなりたくない訳じゃないんだろ?」


アニ「くっ…」


エレン「お前、もっと自分に正直になっていいんじゃねぇの?なんか自分を押さえつけようとしてる風にしか思えねぇんだけど」


アニ「…あんたに何がわかる?」


エレン「ん?」


アニ「あんたに何がわかるんだよ!!」


エレン「!?」ビクッ


アニ「…!す、すまない。」


エレン「いや、こっちこそお前の気持ちを考えてなかったみたいだな…悪い」


アニ「…」


エレン「…」


ライナー「…おい、お前らそろそろ訓練終わるぞ」


エレン「ん?もうそんな時間か…とにかくアニ、ありがとな」


アニ「どうも」


〜〜〜

ミーナ『エレンって、可愛い子と美人な子、どっちが好きなんだろー?』


アニ『さあ?聞いてみれば?』


ミーナ『まだ、ちゃんと話したこともないのに!聞けるわけないじゃん!』

〜〜〜


アニ「…あ、ちょっと待って」


エレン「ん?なんだ?」


アニ「エレンは、可愛い子と美人な子、どっちが好き?」


ライナー「ブフッ!」


エレン「ちょ、汚ねぇな…んで、可愛い子と美人な子だっけ?別に関係ないぞ?」


アニ「そうなの?」


エレン「俺、目見えないし」


アニ「あ…」


エレン「それに、見えてたとしても、顔より中身だろ」


アニ「へぇ…どうも」


エレン「ああ、またな」


ライナー「…」ニヤニヤ


エレン「…気持ち悪い」


ライナー「酷いな、オイ」


エレン「吐き気がしてくんだよ」


ライナー「泣きそう」


エレン「勝手に泣いてろ、面白いだけだから」


ライナー「なんかすごく当たりが強いな」


エレン「悪い、なんとなくな」


ライナー「なんとなくか、安心した」


エレン「安心したなら死ねるな、おやすみ」


ライナー「おいてめぇ…」


アルミン「エレーン!」


エレン「おお、アルミンか」


アルミン「あ、ライナーもいたんだね!」


ライナー「おう」


アルミン「あれ、エレン。服が泥だらけだよ?そんなにライナーにやられたの?」


ミカサ「違う。犯人は女」


エレアルライ「!?!?」ビクッ!!


エレン「お前、いきなり出てくるなよ…」


アルミン「びっくりした…」


ライナー「気配感じなかったぞ…」


ベルトルト「僕の気配も、みんな感じてないでしょ。ずっと居るんだけど」


アルミン「ところで犯人が女って?」


ベルトルト(え、無視…?)


ミカサ「…あの、金髪チビ根暗女」


アルミン「酷い言いようだね…」


エレン「根暗ってのは、お前も人のこと言えねぇだろ」


ミカサ「な…わ、私は根暗なんかじゃ…」


アルライ「…」


ミカサ「…仕方ないから金髪チビ女にしておく」


エレン「いや、アニって名前あるんだぞ」


アルミン「あ、アニってあの子なんだ!」


エレン「?」


アルミン「いや、今日の水汲み担当で一緒なんだよ」


エレン「そっか。無駄に強いから気をつけろよ」


アルミン「まあ、エレンがやられちゃうんだもんね…あはは…」


エレン「ミカサより強いんじゃねぇか?」


ミカサ「それはない」


エレン「だって、ミカサには時々一本取れるけど、アニには手も足も出ない感じだったぞ?」


ミカサ「私が本気を出せば…あっ」


エレン「は?」


ミカサ「いや、エレン!これは違うの…」


エレン「お前、今まで手を抜いてたのかよ…」


ミカサ「いや、その…ごめんなさい」


エレン「はぁ、まだまだ強くならなきゃいけねぇのか…」


ミカサ「いや、エレンは十分強い!」


エレン「女のお前に負けてるじゃねぇか」


ミカサ「う、それは…」


エレン「それに俺は守りたいんだよ、お前を」


ミカサ「!!///」ボンッ


アルライ(恥ずかしすぎて、湯気出てる…)


エレン「もちろん、アルミン、ライナー。お前らもな」


アルミン「もうすでにいっぱい守ってもらってるよ…」


ライナー「ははは、ありがとなエレン」




ライナー「というよりアルミン。あいつら付き合ってんのか?」ボソボソッ


アルミン「付き合ってはない。お互い、好きなのかも分からないよ」ボソボソッ


ライナー「は?どう見てもミカサはエレンが…」ボソボソッ


アルミン「男として…というよりは家族愛に近い気がするよ…ミカサの目的はエレンを守ることだから」ボソボソッ


ライナー「それって、好きってことなんじゃないのか?今もすごい照れてたし」ボソボソッ


アルミン「んー、使命感が強い気がする。それにさっきのは照れるでしょ、普通。僕もキュンとしたもん」ボソボソッ


ライナー「アルミン可愛い」ボソボソッ


アルミン「ライナー怖い」サッ


ライナー「だから俺はそっちの気はない!!」


エレン「お前ら、何の話してるんだよ…」







ー食堂ー


ミーナ「アニ!またまた隣座るね!」


アニ「はいはい」


ミーナ「そういえば、アニ!今日はサボるとか言って私と訓練組まなかったくせに!なんでエレンと組んでたの!?」


アニ「あっちが来たから」


ミーナ「なんでよ!?」


アニ「知らない。ライナーのバカが絡んできた」


ミーナ「あー、そういえばライナー近くで見てたよね」


ミーナ「それにしても羨ましい!!」


アニ「…まあ、面白かったよ」


ミーナ「いいな!いいな!」


アニ「今度お願いしてみれば?」


ミーナ「きっかけないよぉ〜」


アニ「じゃ、諦めな」


ミーナ「…意地悪」


アニ「はぁ?」


ミーナ「エレンと知り合いになったんでしょ?なら、お願いしてみてよ!」


アニ「やだよ、めんどくさい」


ミーナ「アニの意地悪!けちんぼ!」


アニ「はいはい、勝手に言ってな」


ミーナ「もー!」


ミーナ「まあ、その話は置いといてさ」


アニ「あんた、切り替え早いね…」


ミーナ「だっていくらお願いしても、アニ聞いてくれないでしょ」


アニ「…まあね」


ミーナ「だから、仕方ないから諦めた!」


アニ「そ、そうかい…」


ミーナ「んで、今日私、クリスタってこと組んだんだけどさ」


ミーナ「それはそれは可愛い天使みたいな子だったんだよ!」


アニ「へぇ…」


ミーナ「私もあのくらい可愛かったら、エレンにアタックできたかもなぁ…」


アニ「あ、そのことだけどさ」


ミーナ「?」


アニ「顔関係ないって」


ミーナ「え?」


アニ「見えないから」


ミーナ「ん?待って、まさか聞いてくれたの?」


アニ「そうだけど…」


ミーナ「うそ!?本当に??」


アニ「ああ」


ミーナ「え、なんで?」


アニ「なんとなく、思い出したから」


ミーナ「アニ優しい!大好き!」ギュー


アニ「離れろ」


「このクズ野郎が!」


ミーナ「あ、エレンとジャン…またやってるね」


アニ「バカな奴らだな、本当に」


エレン「離せよ!服が破けちゃうだろうが!」


ジャン「服なんてどうでもいいだろうが!羨ましい!」


エレン「はぁ?何言ってんだ?お前いい加減に…」


アニ「!」


エレンの表情が一瞬変わったのが分かった。


そしてエレンは胸ぐらを掴んでいたジャンの右手を掴み、自らの右側に引き寄せる。


そして胸あたりに左手を添え、ジャンの両足を刈り取った。


ジャンはバランスを崩し、大きな音を立てて床に倒れた。


ジャン「てめぇ!今何しやがった!!!」


エレン「今の技はな、お前がチンタラやってる間に、痛い目に遭って学んだ格闘術だ。楽して感情任せに生きるのが現実だって?お前…それでも兵士かよ」


アニ(ふーん、ほんと面白いね、あいつ)


ギィィイイイ…


キース「今しがた大きな音が聞こえたが…誰か説明してもらおうか…?」


全員「…」


ミカサ「サシャが放屁した音です」


サシャ「!?」


キース「また貴様か…」


サシャ「!?!?」


キース「少しは慎みを覚えろ」





ミーナ「…くっ…くくっ…」


アニ「…」


アニ「…はぁ、なんて顔してんの」


ミーナ「だって、だって…くくっ…」


アニ「…まあ、ちょっと面白かったけど」





サシャ「ミカサ!酷いですよぉ!」


ミカサ「すまない。私にはあれしか思いつかなかった」


サシャ「せめてもっとマシなものに…放屁だなんて…私だって乙女なんdむぐっ!?」


ミカサ「パンあげるから、許して」グイグイ


サシャ「えへへ、ふぁい」モグモグ




ー消灯直前:水汲み場ー


アルミン「よいしょっと…う、うわっ!」バシャッ


アルミン「あ、あ…やっちゃったよ…」


アニ「…あんた、なにやってんの?」


アルミン「ちょっと…ひっくり返しちゃって…あはは」


アニ「はぁ情けないね…貸しな」


アルミン「いや、それはダメだ!」


アニ「…変に強がってもいいことないよ」


アルミン「強がってるわけじゃないさ…強くありたいんだ」


アニ「そう…勝手にしな」


アルミン「ぐっ…」





アルミン「はぁ、はぁ、はぁ…」


アニ「…やっと終わった?」


アルミン「え、アニ!?待っててくれたの?」


アニ「別に…あんたになんかあったら、私が迷惑を被るでしょ?」


アルミン「ははは…そっか。でもありがとう」


アニ「…あんた弱いくせに根性あるんだね」


アルミン「弱いだなんて…酷いな…」


アニ「他の奴だったら投げ出してる。それを最後まで自分一人でやり遂げた」


アニ「悪く言っちゃえば、頑固なだけだけど…それだけ根性があるってこと」


アニ「なんか、あいつと似た者同士なんだね…だから仲良いのか」


アルミン「あいつ…って、エレンのこと?」


アニ「…ああ、そうさ。あんたと同じ馬鹿だよ」


アルミン「褒められたり、貶されたり…いったいどっちなの?」


アニ「…さあね。でも少なくとも私は、貶してるつもりはないんだけど?」


アルミン「そっか…アニは優しいんだね」


アニ「は?」


アルミン「自分では気づいてないんだろうけどさ…ありがとう。もう遅いし戻ろう」


アニ「ああ…そうだね」


アルミン「おやすみ、アニ」


アニ「…おやすみ」










ー翌日:対人格闘訓練ー


ミカサ「エレン、早く私と…」


エレン「…お前とはやらねぇ。お前が手を抜かなくてもいいくらい強くなってからにする」


ミカサ「え?」


エレン「おいアルミン、アニのところまで連れてってくれ」


アルミン「あ、ああ、うん…」


ミカサ「あ、エレン!…行かないで…」


ライナー「おい待てミカサ」ガシッ


ミカサ「離して」


ライナー「…男ってのはな、手を抜かれて勝っても嬉しくないんだ」


ライナー「ましてや、それを女にやられたんだ。あいつのプライドはズタズタにやられたんだろうよ」


ミカサ「…」


ライナー「それじゃ、俺は行くぜ」


ミカサ「…ライナー、私と組もう」


ライナー「え?ああ、構わんが」


ミカサ「あなたは随分と…丈夫そうな体をしてる」ニコォ


ライナー「!?」ビクッ







エレン「おいアニ、組もうぜ」


アニ「ん?あんたか。懲りないね」


エレン「いや、まあ、お前と話したいこともあったしな」


アニ「え?」


エレン「いや、昨日の夜さ…」


「おりゃぁあ!!」


エレン「今の声…ジャンか?」


アニ「そうみたいだね」


エレン「なあ、アニ。ジャンは今この訓練、流してるのか?」


アニ「…そうは見えないけど…何も立派な兵士になりたいわけじゃない」


アニ「あんたに一泡吹かす為さ」


エレン「そうだろうな…でも、本気で技術を覚えようとしている」


アニ「…」


エレン「それより、さっきの話の続きだか…どうだ俺の足技は?お前の真似だが、うまく決まったよな」


アニ「は…?」


エレン「…」


アニ「全然ダメ。全くなってない」


エレン「なんだよ…どこが悪いってんだ」


アニ「そんなにこの技が気に入ったんなら…教えてやってもいいけど」


エレン「え、やだよ。蹴られんの痛いし」


アニ「…」


アニ「遠慮なんか…しなくていいって」


バキッグルッドサッ










ー翌朝:座学ー


眼鏡教官「これより、立体機動装置の基本的な使い方について説明する」


眼鏡教官「先日、巨人の弱点と討伐方法について話したな」


眼鏡教官「それを踏まえて、説明していくから、そのノートを見ながら話を聞くといいだろう」


眼鏡教官「朝早い時間だが、居眠りなどしないように」










眼鏡教官「以上で説明を終わりにする」


眼鏡教官「よく分からなかった者も多いだろう。これから実技を交えて学んでもらう」









ー外ー


エレン「これが、立体機動装置か」


アルミン「結構、重いんだね…」


マルコ「装備だけで10キロくらい、これに刃の重さも入れたら、もうちょっと重くなりそう…」


ジャン「そんなに重いか?」


マルコ「考えてもみろよ、これを付けて走って飛んで…相当な筋肉がつくよ?」


ジャン「あぁ…そう言われるとそうかもな…」


エレン「でもこれで…これを使えば巨人に…」


ジャン「お前、頭沸いてんじゃねぇの?巨人は鈴ついてねぇんだぞ?」


エレン「うるせぇな、足音とかで分かるんだよ」


ジャン「はいはい、そうですか」


エレン「…ムカつく」


ジャン「ああ?」


マルコ「よせよ二人とも!教官がいらっしゃったぞ!」


エレジャン「!」


キース「これより、実技訓練を行う!内容は至って簡単だ。その腰から出るアンカーを、あそこに設置した的に当ててみろ!」


キース「間違ってもガスを噴射するなよ?貴様らの命は保証できないからな」


キース「それでは全員始めろ!!」


全員「ハッ!」




エレン「あ、あの、教官…」


キース「なんだ?」


エレン「的が、見えません…」


キース「今回は的に鈴をつけておいた。ありがたく思え」


エレン「ハッ!」


キース「実際の森や建物には、鈴などついてないがな…」


エレン「うっ…」




アルミン「なかなか、当たらないな…」バシュッ


ミカサ「…簡単」バシュッバシュッ


ジャン「くそっ、なんでこんな難しいんだ…」バシュッ


マルコ「でも、ジャン、君は当たってる方だよ?」バシュッ


ライナー「お前ら、苦労してるみたいだな」


アルミン「相当ね…ライナーもとってもうまいんだね」


ライナー「まあな、でもあれを見てみろよ」



エレン「…」バシュッバシュッ


エレン「…」ギュルルルカッ


エレン「…」バシュッバシュッ



アルミン「す、すごい…ミカサ並みなんじゃない?」


ジャン「あいつ、本当に見えてないのか?」


マルコ「…すごいなぁ」


ミカサ「…」ドヤッ


ライナー(なんだあの顔…我が子を褒められた親みたいなドヤ顔だな)


ジャン「くそっ!負けてられっか!」バシュッ


ジャン「当たった!」


マルコ「おお!」


ジャン「よっしゃあ!!」カチッ


アルミン「あ、そのトリガーは!!」


ジャン「うわぁ!?」ブシュゥゥウウ


マルコ「ジャンがとんだ!?」








ー夜:食堂ー


ジャン「いってぇ…」


マルコ「バカだなぁ…あれほどガスを噴射するなって言ってたじゃないか」


ジャン「だってよ…一発で当たるとは思わなくて…嬉しくてつい、な」


マルコ「はぁ…それで手に力が入って、トリガーを引いてしまったと?」


ジャン「まあ、そんなところだ。教官にこっぴどく叱られたぜ」


マルコ「そうだろうな…」



バタン!


大きな音を立て、一人の訓練兵が食堂に入ってきた。


「おい!班分けが発表されだぞ!」


その知らせに沸いた104期生たちは、一斉に掲示板へ向かう。


そして、食堂に戻ってきた。



アルミン「エレン!一緒の班だったね!」


エレン「教官が、気きかせてくれたんだろうな」


ミカサ「なぜ私がエレンと離れる…」


アルミン「まあまあ…これから班が変わることだっていっぱいあるだろうし、同じ班になるチャンスはあるかもよ?」


ミカサ「そうね…」





ミーナ「えへへ〜♪」


アニ「…気持ち悪い」


ミーナ「ひどっ!?」


アニ「気持ち悪い」


ミーナ「ううっ…だって仕方ないでしょ!?まさか本当に、エレンと、同じ班だなんて…うへへ///」


アニ「はぁ…本当に気持ち悪い」






エレン「いよいよ、本格的に始まるんだな。立体機動の訓練が」


アルミン「うん。そうだね」


エレン「やっと、巨人を殺す術を身につけられる…」


ミカサ「エレン…どうか、死なないで…」


エレン「はっ、俺が死ぬかよ…こんなとこで死んでられねぇしな。ミカサ、お前こそ怪我すんなよ?もちろんアルミンもな」


ミカサ「もちろん」


アルミン「うん!」














それから…約2年の時が過ぎた。













エレン「…」バシュッゥゥウウウウ


ミカサ「…エレン、ガスを吹かしすぎ」バシュッゥウウ


エレン「うるせぇな!」バシュッゥゥウウウウ


エレン「次の巨人は…」


ギシッギギィィイ


エレン「そこだ!」バシュッゥゥウウウウ


エレン「はぁ!」ザシュッ


エレン「よっしゃあ!」







アルミン「お疲れエレン」


エレン「おお、アルミンもな」


アルミン「あはは、それにしてもエレン、すごいね…僕よりも多く巨人を狩っちゃうなんて」


エレン「いや、まだまだだよ…ミカサやライナー、それにジャンには到底及ばないさ」


アルミン「彼らはみんな成績上位者。比べる相手が悪いよ…」


エレン「実践ではそんなこと言ってられないだろ」


アルミン「んー、まあ、そうだけど…」


ライナー「よお、エレン。今日も飛ばしてたな」


エレン「ライナーか。でもお前には敵わねぇさ」


ライナー「いや、目が見えないのによくやるぜ…本当、どうやってんだよ」


エレン「だから、機動装置のガスの音が木とか壁とかに反射して聞こえてくるから、それで大体分かるんだよ」


ライナー「俺とは耳の出来が違うんだろうな…」


エレン「訓練の成果なんじゃねえか?最初はやっぱ苦労したぜ…」


ライナー「訓練…って、自主的に何かやってたのか?」


エレン「まあな」


ライナー「どんな訓練なんだ?」


エレン「部屋に入って、鈴を鳴らすんだ。それで何がどこにあるかを感じる訓練だ。アルミンに手伝ってもらってたよ」


ライナー「そりゃすげぇな…本当、お前の根性は計り知れないものがある」


エレン「目標と夢があるからな」


ライナー「そうか…まあ頑張れよ。俺にはそれしか言えん」


エレン「ああ。ありがとな」


ミーナ「ねぇエレン!」


エレン「ん?ミーナか?」


ミーナ「そうだよ!今日の班員の討伐数まとめてきたよ!」


エレン「おお、サンキュー」


ミーナ「あとはエレンとアルミンのだけ書けばいい感じになってるから!じゃあまたね!」


エレン「おーう。お疲れ〜」






ミーナ「ぷはぁ!緊張した!」


アニ「…早かったんだね」


ミーナ「そんなに長く話してたら、私の心臓がもたないよ!」


アニ「そうかい」


ミーナ「そういえばさ、アニ」


アニ「なに?」


ミーナ「エレンが目を開けたところって、見たことないよね」


アニ「開けても見えないんだから、開けることなんてないんじゃないの?」


ミーナ「まあ、そうなんだろうけどさ。瞳の色とか、目つきとか、目の大きさとか…いろいろ気になるんだよねぇ…」


アニ「頼んで、開けてもらえばいいじゃないか」


ミーナ「変に思われたら嫌だよぉ」


アニ「別に、思わないと思うけど」


ミーナ「じゃあアニは、男の子に『パーカー見せて』とか聞かれたらどう思う?」


アニ「え…それは、なんかヤダ」


ミーナ「それと一緒だよ!」


アニ「そうなの…か?」


ミーナ「そうだよ!」


アニ「はぁ…じゃあ諦めるんだね」


ミーナ「嫌だぁ!見たい見たい見たい!!」


エレン「なにが見たいんだ?」


ミーナ「ひょっ!?!?」


エレン「うわっ!なんだお前、変な声出すなよ…」


ミーナ「ご、ごめんなさい…」


アニ「いきなり何の用?」


エレン「いやちょっと、次の班別訓練についてさ…」


アニ「なるほどね」


エレン「ところで、なにがそんなに見たかったんだ?」


ミーナ「え、あの、その、んーと、ははっ」


アニ「…あんたの目が見てみたいんだとさ」


エレン「はぁ?目?なんで???」


アニ「あんた、人前で目開けないだろ?気になる人間が出てきてもおかしくないじゃないか」


エレン「そうか?まあ別にいいけど」


エレン「ほらよ」パチクリ


ミーナ「うわぁ…///」


アニ「…」


エレン「なんだよ、うわぁって、そんなこと言われるなら見せなきゃよかったぜ」


ミーナ「いや、そうじゃなくて!その、なんていうか、意外だったから」


エレン「意外?」


ミーナ「うん!結構鋭い目つきで、でも大きな目で…なんといっても、瞳が緑色!びっくりしたよ!」


アニ「確かに、ちょっと意外だったかもね」


エレン「え、俺の目って緑色だったんだ…」


アニ「知らなかったの?」


エレン「ちっちゃい頃しか、自分の顔見てなかったし…見てなかったというか、見れなかったんだけど」


アニ「ちっちゃい頃なら、鏡なんてそんなに見ないだろうしね。覚えてなくて当然か」


ミーナ「え?私は結構、鏡で確認してたよ?」


アニ「そう、なんだ…」


ミーナ「え、私がおかしいの??」


アニ「さあ?」


ミーナ「まあ、男の子はあんまり見ないだろうけどね」


エレン「まあそうだな」


エレン「ところで、お前らの目はどんな色なんだよ?」


ミーナ「え?」


エレン「いや、俺だけ教えてお前ら教えてくれないのか?」


ミーナ「いや、別にいいんだよ?ただ、聞かれると思ったから驚いただけ!」


エレン「そうか」


ミーナ「んで、私は黒髪黒目!」


エレン「髪の色までは聞いてねぇけど…ミカサと一緒なのか」


ミーナ「え?ああ…うん、そうだね」


エレン「で、アニは?」


アニ「…金髪、眼は青いよ」


エレン「金髪碧目か…アルミンと一緒なのか」


アニ「ああ、そうだね」


エレン「へぇ…」


アニ「…何?」


エレン「いや、別に…なんでもねぇよ」


アニ「…あんたは金髪はタイプじゃないのかい?それとも青い目が嫌い?」


エレン「べ、別にそんなんじゃねぇって!」


アニ「ふーん。ならいいけど」


エレン「…なんか調子くるうなぁ」


ミーナ「むー…」


エレン「ん?ミーナ?どうかしたのか?」


ミーナ「べっつに!なんでもないです!」


エレン「なんで怒ってんだ??」






ー午前:立体機動訓練ー


エレン「全員そろってるよな?今日は班で陣形を作っての訓練だ。俺が指揮をとるからこの前説明した通り頼むぜ?」


班員「了解!」


エレン「よし、行くぞ!」


班員「おぉ!!」





エレン「アルミン!目標は見えるか?」


アルミン「まだだ!確認できていない」


ナック「エレン!2時の方向に7メートル級3体、固まってるぞ!」


エレン「よし、アルミンとミリウスは近いところで索敵!俺とトーマス、ミーナで狩るぞ!ナックは援護だ!」


班員「了解!」


エレン「はぁぁああ!」ザクッ


エレン「よし、深い!他の2体は?」


トーマス「おりゃ!」サクッ


ミーナ「きゃっ!?」ドンッ


ナック「ああ!ミーナが木に!」


ミーナ「…」ヒュゥゥウウ


トーマス「落ちるぞ!危ない!」


エレン「くそッ!間に合え!」バシュッ


ミーナ「…」ヒュゥゥウウ


エレン「よっと!」ガシッ


ミーナ「んん…」


エレン「大丈夫か?ミーナ?」


ミーナ「…え、エレン…?」


エレン「ナック!援護!」


ナック「分かってる…よっ!」サクッ


エレン「よし、なんとか討伐したな」


アルミン「エレン!こっちに巨人を見つけた!僕の方に向かってきてくれ!」


エレン「ミーナ、動けるか?」


ミーナ「うん…その、ありがとう」


エレン「気にすんなよ、ほら行くぞ」


ミーナ「う、うん!」


エレン「よし、みんなも行くぞ!」


アルミン「正面、約500メートル先に見えるんだ!数は…15メートル級1体!」


エレン「俺に任せろ!!!」バシュッゥゥゥウウウウ


アルミン「え?エレン!?」


エレン「おりゃぁぁぁああああ!!!」ザクッ


トーマス「あいつ、やりやがった…本当に見えてないのか?」






エレン「今日は、みんな調子良かったな!」


ミーナ「私、迷惑かけちゃったけど…」


エレン「結果的に討伐成功。お前が無事で良かったよ」


ミーナ「エレン…///」


エレン「他のみんなも上手くやってくれたな!今までで一番、合計討伐数多かったぜ!」


トーマス「ああ!エレンのおかげさ!」


エレン「ははっ、ありがとな」


ミカサ「エレン、午後の訓練に備えよう」


エレン「ん?ああそうだな…って、なんでお前がいんだよ!?」


ミカサ「私はエレンが心配で…」


エレン「はぁ…俺はお前の子供じゃねぇんだぞ…いい加減世話焼きすぎんなよな」


アルミン「ははは…いいじゃない」


トーマス「お前ららしいぜ!」


ミリウス「だな!」


ナック「いつ、くっつくんだろうなぁ…」








ミーナ「…///」








ー午後:対人格闘訓練ー


アニ「は?またやるの?」


エレン「頼むよ!いいだろ?もうお前じゃないと相手にならねぇんだ」


アニ「…ミカサが居るじゃないか」


エレン「…だって、あいつーーー


ーーーーー

ーーーー

ーーー

ーー



エレン『よし、今日こそは本気出せよ?それが約束でお前と組むんだからな』


ミカサ『…仕方ない、本気を出そう』


エレン『鈴は付けたか?』


ミカサ『ええ、もちろん』チャリッ


エレン『じゃあ、行くぞ!』シュッ


エレン『ん?手応えがない…?』


エレン『はっ!はっ!』シュッシュッ


エレン『あれ?距離感は掴んでたんだけど…』


タタッ


エレン『!?足音…?』


エレン『どこに、居るんだ…うぐっ!?』


ミカサ『ごめんなさいエレン…あなたが本気を出せというから…』


エレン『』チーン



ーー

ーーー

ーーーー

ーーーーー


エレン「ーーってな感じでさ。相手にならねぇんだよ」


アニ「…鈴、本当にならないの?」


エレン「ああ、耳がいい俺でも聞こえなかった」


アニ「…」


エレン「とりあえず、始めようぜ!」


ミーナ(あ、またエレンとアニがやるんだ…)


アニ「ああ、わかったよ」チャリッ


エレン「よし、行くぞ!」シュッ


アニ「くっ…」チャリ


エレンの右ストレート。


それをアニは、左の頬に擦りながらなんとか避ける。


アニはすかさず、エレンの足目掛けてローキック。


エレンも負けじとストレートを交えたジャブを放つも、ギリギリのところでかわすアニ。


そしてかわしたところでローキック。


エレン(くそッもうローキックはごめんだ!次のストレートを囮に、足を掴んでやる!)


そしてエレンの右ストレート。


アニは、またしてもかわす。


エレン(よし、来い!ローキック!)


アニはローキックの構え。


エレンはすかさずその足を掴もうとする。


だがアニはハイキックをお見舞いした。


蹴る動作の中で、ローキックの軌道からハイキックの軌道に移したのだ。


エレン「かはっ!?」ドサッ


エレンはたまらず、地面に倒れる。


エレン「げほっ!げほげほっ!」


アニ「へぇ…このハイキックを食らって、失神しないとはね…」


アニ「ちょっと傷つくよ…」ガシッ


エレン「な、なんだ!?」


アニ「寝技…あんたに教えてあげるよ…」ギギギッ


エレン「うぁぁああ!いてぇ!ギブだ!離せ!」


アニ「ふぅ…弱っちいね」


エレン「いっ…ってぇな、手心ってもんが人にはあるだろ」


アニ「私も同じことをあんたに言いたい、あんたが力いっぱいぶつかってくるもんだから、こっちもそれ相応の返し方をしなくちゃいけないんだよ」


アニ「単純に力じゃ敵わないんだ、あんたも男ならさ…私の…このか弱い体をもっと労るべきなんじゃないの?」


エレン「は?お前の冗談は面白くねぇな、力で敵わなきゃ何で俺は倒れててお前は立ってんだ」


アニ「……私の使った技術ってのは、ここで教えられているもんとは違うんだよ。力で投げたわけじゃないんだ、相手より力で劣る者が自分を守るための技術だったりするからね。あんたも知ってて損はしないよ」チャリッ


エレン「わかった、少し休憩しよう…うわっ!?」


アニが突然殴りかかる。


気配を察知したエレンはすかさずガードをあげるも、アニのその拳は囮だった。


エレン「!?」


足をかけられ、肩固めを決められる。


エレン「…アニ、降参だ…降参する」


アニ「降参?降参なんかしてないで学習しなよ。力の使い方と、女の子との話し方を」


エレン「わ…わかった!覚えるから放せって!」


アニ「…そう、そんなにもっと知りたいの?」


ヒュゥゥウウウ


アニ「!?」ササッ


ドサッ!!


エレン「!?!?」


エレン「な、なんでライナーが降ってくんだよ!?」


ライナー「」









ミカサ「ねぇアニ、私にもそれ教えて」


アニ「…」


アニ「どうかな…この技は人間用なんだ。あんたに必要あるとは思えないけど」


アニ「ただ…猛獣に通用するかどうか興味はある」スッ


ガヤが騒ぎ始める。


エレン「…」


ライナー「お前はどっちだ…エレン?」


エレン「え、俺は…」


エレン("どっち"だ?)


アニ「…」


ミカサ「…」


アニ「来なよ、やるんだろ?」


ミカサ「あなたから来ればいい」


アニ「はっ、喧嘩をふっかけてきたのはあんたじゃないか」


ミカサ「あなたこそ、怖いんじゃないの?」


アニ「なんだと?」


ミカサ「私が怖くて足が動かないのね」


アニ「ちっ…勝手に言ってろ。あんたこそ動いてないじゃないか」


ミカサ「くっ…」


お互いにわかっているのだ。


この戦いは激しいものになると。


力と技のぶつかり合い。


ミカサ「…」ギロッ


アニ「…」ギロッ


エレン(俺は…俺は!)


エレン「アニ!お前なら勝てる!ミカサをぎゃふんと言わせてやれ!」


ミカサ「え、エレン!?」


アニ「…ふっ、ふふっ」


ミカサ「な、何がおかしい!?」


アニ「この勝負、完全にあんたの負けだね」


ミカサ「…何故?まだ戦っていない!」


アニ「分かってるんだろ?この勝負の意味が。そして、たった今、その勝負がついたことも」


ミカサ「…くっ、み、認めない!」


アニ「私に駄々をこねる子供の面倒を見る趣味はないよ」


ミカサ「この、泥棒狐!!」ダッ


アニ「そんな力任せの単調な攻撃、通用すると思ってんの?」ガシッ


バキッグルッドサッ


ミカサは地面に突っ伏していた。


アニ「あんた、受け身すら取れてないじゃないか。笑わせないでよ」スタスタ


ミカサ「ま、待て…」


アルミン「動いちゃダメだミカサ!早く医務室に!」


ミカサ「だめ!離して、アルミン!いやぁぁぁあああ!!!」




エレン「…アニが勝ったのか?」


アニ「…まあそうだね」


エレン「お前、凄いんだな…本当は俺の相手の時、手抜いてんのか?」


アニ「いや、そうじゃない。さっきも言ったけど、相手の力を利用してる。相手の力が強ければ強いほど、私の技の威力は増すんだよ」


エレン「な、なるほど…」


アニ「さあ、覚えるんだろ?」


エレン「え?」


アニ「…女の子との喋り方だよ」ギギギッ


エレン「うわぁぁぁああ!」





ミーナ(…)









ー夜:食堂ー


サシャ「やっとご飯です!!」


コニー「ほんとお前はそれしかねぇよな」


エレン「それがサシャの取り柄でもあるぜ?」


コニー「はー?こんなののどこが取り柄なんだよ」


エレン「落ち込んでても、励みになるだろ?サシャを見れば悩みなんて忘れるじゃねぇか」


コニー「あー、そうかもな!」


サシャ「2人とも、褒めてませんよね?」






アニ「…」モグモグ


ミーナ「あーにっ!お疲れ様!」


アニ「…おつかれ」


ミーナ「今日は大変だったね?ミカサと…」


アニ「ああ、そうだね」


ミーナ「でもあのミカサに勝っちゃうなんて、さすがだね!アニ!」


アニ「あいつが冷静に来たら…私は勝てないよ」


ミーナ「え?」


アニ「今日勝ったのは、エレンのおかげなんだ…」


ミーナ「エレンの?」


アニ「そう」


ミーナ「へぇ…」


アニ「…」モグモグ


ミーナ「…」


アニ「…」ゴクッ


ミーナ「…ねぇ、アニ。私、エレンに告白しようと思ってるんだ」


アニ「!」


ミーナ「なんで…そんなに驚くの?アニは知ってるでしょ?私はエレンが好きだって」


アニ「ああ、知ってる」


ミーナ「アニは私を応援してくれる?」


アニ「…」


ミーナ「…」ジー


アニ「…」


ミーナ「…」ジー


アニ「…」プイッ


ミーナ「…やっぱり」


アニ「何が?」


ミーナ「アニも、エレンが好きになっちゃったんだね」


アニ「…別に」


ミーナ「ふふっ、嘘はよくないぞ〜?」ギュー


アニ「やめろ、うざい」


ミーナ「…でも私言うから」


アニ「…」


ミーナ「私の気持ち、全部」


アニ「…勝手にしなよ」









ー消灯直前:食堂裏ー


ミーナ「…」


私、ミーナ・カロライナは…


今日、人生初の…


告白をします。


ミーナ「…まだかな、エレン」


でも、私にはわかっています。


彼には…私の想いなんて…


エレン「遅くなって悪いな、ミーナ?」


ミーナ「あ、え、エレン…」


エレン「なんだよ?いきなり呼び出して…訓練の班についてか?」


ミーナ「違うの」


エレン「?」


ミーナ「私、好きな人がいるんだ」


エレン「は?」


ミーナ「だから、好きな人がいるの」


エレン「…?」


ミーナ「今までは訓練の邪魔になるかもしれないし、想いを打ち明けて気まずくなるかもしれないし…ずっと言わずにいたんだ…」


エレン「…」


ミーナ「でも、今言う。私は決めた」


ミーナ「私はエレンが大好きです!」


エレン「ミーナ、お前…」


ミーナ「でもダメだよね…エレン、好きな人いるでしょ?」


エレン「え?…は!?」


ミーナ「…それは、アニ。そうでしょ?」


エレン「…分からない」


ミーナ「え?」


エレン「俺の中でも分からないんだ。この気持ちがなんなのか」


エレン「あいつ…普段は冷めてるけど、格闘訓練の時は生き生きしてるんだぜ?」


エレン「それにあいつは俺以外とは真剣に組んでない」


エレン「あの、生き生きとしてるアニを感じてるのが俺だけだって思うと…なんだか嬉しいんだ」


ミーナ「馬鹿だね…エレン」


エレン「はぁ?」


ミーナ「それって、好きってことじゃん」


エレン「!」


ミーナ「…よかった」


エレン「え?」


ミーナ「…エレン、一つだけお願い。約束してほしい。アニにエレンの気持ちを伝えてあげて」


ミーナ「きっとアニは…それを待ってる。あの子、否定してるけど…ずっと一緒にいる私には分かるの」


ミーナ「あの子の目は、いつだってエレンを追ってる」


ミーナ「おかしいよね…私の方がエレンのこと先に好きになったのに…途中でエレンとアニが両思いだって、気付いちゃったんだ」


ミーナ「でも…だからこそ、私は2人を応援してる。これは負け惜しみなんかじゃないよ?私は2人とも大好きなんだから」


ミーナ「好きだって、その一言だけでいいの。アニに伝えて。こういうのは男の子が言わなきゃダメなんだよ?」


エレン「…ああ、そうだな」


ミーナ「でも本当によかった!私、伝えたくてずっとウズウズしてたんだよ?ちゃんと伝えられてよかった!」


そうだ、これでよかったんだ…


エレン「ミーナ…」


ミーナ「もう、遅くなっちゃったね…」


エレン「え、ああ、もう消灯の時間だ…!」


ミーナ「おやすみ、エレン。また明日ね」クルッ


帰ろうとする私をエレンが引き止める。


エレン「ちょ、ちょっと待てよ!」


ミーナ「…何?」


エレン「お前は本当にそれでいいのか…?」


ミーナ「…決心したんだから、揺らぐようなこと言わないでよ」ポロポロ


私は我慢できず涙を流す。


でも、エレンには見せない。


はぁ…泣かない、って決めてたのになぁ…


エレン「…そうか。ありがとな、ミーナ」


ミーナ「うん、約束忘れないでね」


エレン「ああ、分かった。おやすみ」


ミーナ「うん、バイバイ」


さよなら、私の初恋…










ー女子寮ー


ガチャ


ミーナ「…」グスッ


アニ「…!」


いつも元気な…うっとうしいほど元気なミーナが…


泣いていた。


掛ける言葉なんて見つからなかった。


ミーナ「…」


布団を被り丸くなるミーナ


アニ「…」


中から、鼻をすするような音が聞こえてくる。


アニ「…」


私には分からない。


私にとってエレンはなんだろう。


兵士にとっては仲間。


戦士にとっては敵。


私は戦士だ。


そうだ、エレンは私の敵なんだ…


こうして、何度私自身に言い聞かせただろうか。


いつか裏切らなくてはいけない。


いつか戦わなくてはいけない。


いつか…殺さなきゃいけない。


私は戦士だ。


私は戦士だ。


そう…私は戦士なんだ。


でも、なんで…


エレンが敵じゃないだなんて…


此の期に及んで考えてしまうの?


アニ「…」


もう抑えつけられないのか…


自分自身の気持ちを…












目の不自由な訓練兵。


誰がどう見ても死に急いでるとしかおもえない。


でもあいつは健常者に混じって、同等のレベルの訓練を受けている。


そんな、あいつに…段々と興味が湧いていった。


あいつと訓練をやり始めて…


少し経った頃。


『アニさ、嘘つくの下手だよな』


唐突に言われた。


『本当はお前…その格闘術好きだろ』


正確には格闘術じゃないけど…


でも、見抜かれた気がして一瞬怖くなった。


『本当の自分、隠してんだろ?』


本当の私…


泣き虫で寂しがりやな私…


『強がってんじゃねぇよ』


私は全力で投げ飛ばした。


その頃からだろうか…


こんなに悩むようになったのは…


アニ「…バカ」



















ー翌朝:食堂ー


エレン「ふぁああ」


アルミン「ねむいねー」


ミカサ「…おはよう」


エレン「おうミカサ」


ミカサ「私はもう吹っ切れた。2人を応援してる」


エレン「は?」


アルミン(ミカサ、成長したんだね…)


ミカサ「でも、エレンが私から離れてしまいそうで怖い…」


エレン「…お前が何言ってんのか分かんねぇけど、俺たち家族だろ?ずっと一緒に決まってんだろうが」


ミカサ「エレン…!」ウルウル


エレン「もちろんアルミンもな!お前も家族みたいなもんさ!」


アルミン「うん!」


ミーナ「あ、エレン!」


エレン「ん?あ、ミーナ…?」


ミーナ「私、一晩泣き明かして、けじめつけたから!エレンももう忘れてね!」


エレン「そうか…おう、分かった」


ミーナ「あ、でもあの約束は忘れないでね!」


エレン「あの約束…?」


ミーナ「もー、忘れたの?」


エレン「…あっ!」


ミーナ「思い出したんだね。ならいいけど、ちゃんと忘れないでよ!」


エレン「わかったよ…」


ミカサ「約束…?」


エレン「ちょっとな」


アルミン「なんだろう…?」


エレン「まあ、なんでもいいだろ!食べようぜ!」










アニ「…」モグモグ


ミーナ「アニ!食べよ!」


アニ「!」


ミーナ「どうしたの?」


アニ「な、なんでもない…食べるなら座りなよ」


ミーナ「うん、ありがと!」


アニ「…」


ミーナ「…」


アニ「…」


ミーナ「…結果、分かってるよね」


アニ「…うん」


ミーナ「エレン、好きな人がいるんだってさ」


アニ「…」


ミーナ「私、その人のことも大好きだから…」


アニ「…!」


ミーナ「2人のこと、応援するつもりなんだ!」


アニ「…そう」


ミーナ「さあ、食べよっ!」


アニ「…ミーナ」


ミーナ「ん?」


アニ「…私もあんたのこと………きだよ」ボソッ


ミーナ「ん?聞こえないぞ??」


アニ「私食べ終わったから」ガタッ


ミーナ「え、まだ半分くらい残って…」


アニ「サシャ、あげるよ」


サシャ「かみぃぃぃいいい!!!!」











ー翌日:立体機動訓練ー


キース「これより、立体機動訓練を開始する!」


キース「余談ではあるが、貴様らの卒業検定試験まだ残り僅かとなってきた!最後に追い込め!気をぬくな!」


全員「はっ!」





エレン「今日は個人戦か…」


俺の索敵は、どうしても他の奴と比べると音だけで判断してる分、劣ってしまう。


それを克服するためにも、出来るだけ速く動く!


短い時間に広い範囲を索敵すればいい!


俺にできるのはそれだ!


エレン(よし、行ける!)バシュッゥゥゥゥゥウウウウ


ミカサ「…エレン?」


コニー「くそっ、あいつなんであんなに速いんだよ」


アルミン「いや、あれじゃ…ガスを吹かしすぎだ」









エレン「…」バシュッゥゥゥゥゥウウウウ


ギギッ


エレン「あった!」バシュッザクッ


エレン(次は…)バシュッゥゥゥゥゥウウウウ







アニ「…ん?あれは…」バシュッ


あいつなんであんなにガスを吹かして…


アニ「!!」











エレン「くそっ、どこだよ…」バシュッゥゥゥゥゥウウウウ


エレン「…ねぇな」バシュシュシュッ


エレン「ん?…もしかして、ガスが!?」


エレン「やばい!どっかに…!!」プシュッ


アニ「!!」


エレン「…お、落ちる…!」


アニ「くっ…」バシュッ


間に合え!


エレン「うわぁぁぁああ!!」


間に合ってよ!


アニ「エレン!!!!!」

































エレン「…!」


ここは…?


今は朝なのか?それとも夜?


俺、どうしたんだっけ…


エレン「…」


あ、そうだ…


立体機動でガスが切れて…


あれ?そのあとはどうしたんだ?


覚えてねぇな…


「…」スースー


寝息?


誰か寝てるのか?


エレン「!」


音のなる方に手を伸ばすと、人の頭があった。


ベッドにもたれかかりながら、寝ているようだ。


エレン「…」


ミカサか…?


あいつ、本当にお節介だな…


エレン「…」ナデナデ


「…んん」


思えばこいつには…酷いことをしてきたかもな…


お前が心配してくれること、本当は嬉しいんだ…


でも俺は、つい強がっちまって…


ごめんな、ミカサ。


エレン「おいミカサ、そんな風に寝てたら風邪ひくぞ?」


「…!」


エレン「…ありがとな、看病してくれて」


「…」


エレン「…なあ、手、握ってくれ」


「!」


エレン「ほら…ミカサ?」


「…」ギュッ


エレン「はは…あったけえな…」


「…」


エレン「お前、覚えてるか?俺が失明したときのこと…」


「…」


エレン「シガンシナが巨人に攻められて、母さんが食われて…」


「…」


エレン「そのショックで、俺の目は見えなくなっちまった」


「!!」


エレン「そんな中、お前とアルミンがエレンの光になるって言いながら、俺の手握って…」


エレン「お前らの手、すごく温かかったんだぜ?」


エレン「訓練兵になる前はずっと3人で、手繋いでたよな…なんか、思い出しちまったぜ」


「…」


エレン「…なんだか、お前の手、ちょっと小さくなったか?」


「!」


エレン「ああ、俺が大きくなったのか?」


エレン「見てろよ?いつか俺はお前を超えてやるからな」


「…」


エレン「…そろそろ戻れよ、俺もう平気だ」


「…」


エレン「じゃあな。おやすみ」


ガラガラ


ミカサは部屋から出たみたいだ…


はあ、もう一眠りするかな…














ガラガラ


アニ「…」


アニ「…」グスッ


あいつの家族を奪ったのも…


あいつの日常を奪ったのも…


あいつの…光を奪ったのも…


全部、私達だ。


アニ「…」ポロポロ


突然あんなの聞かされて…


私に、私に…


どうしろっていうのさ…


アニ「ごめんなさい」















エレン「謝って許されるとでも思ってんのか?」


アニ「ごめんなさい」


エレン「お前らのせいで、母さんが!」


アニ「ごめんなさい」


エレン「お前らのせいで、視力を失った!」


アニ「ごめんなさい」


エレン「お前らのせいで、全部壊された!」


アニ「ごめんなさい」


エレン「もういい…死ねよ、クズが」












アニ「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい」













アニ「!!!」


ミーナ「よかった…やっと起きた!ずっとうなされてたんだよ?」


アニ「…」


ミーナ「アニ…?」


なんだ…夢、か…


アニ「…」


ミーナ「体調よくないの?」


アニ「…あまり、よくない」


ミーナ「そっか…今日は休日だから、ゆっくり休んでね?」


アニ「…ああ」









ー医務室ー


ガラッ


ミカサ「エレン!!!」


エレン「うおっ!?びっくりさせんなよ…」


ミカサ「大丈夫?痛いところはない?」


エレン「ああ、なんともねぇよ」


アルミン「ミカサ、エレンは怪我人なんだから…」


ミカサ「そ、そうだった…私は冷静じゃなかった」


エレン「別にいいさ…昨日も夜中まで看病してくれたんだし」


ミカサ「え?アルミン、看病したの?」


アルミン「いや、するわけないじゃないか!」


エレン「どういうことだ??」


ミカサ「あの訓練でエレンは事故を起こした」


アルミン「エレンに怪我はないよね?落ちて何かにぶつかる前にアニが助けてくれたんだよ」


ミカサ「そして訓練の後、アニがエレンを連れて医務室に行った」


アルミン「それで、一度はここに来たんだけど…2人の邪魔しちゃ悪いかなって…」


ミカサ「私達は今日の朝に来ようと決めた」


エレン「え?じゃあつまり…昨日看病してくれたのは…アニってことか?」


ミカサ「そう」


エレン「ま、マジかよ…」


エレン「昨日俺、ミカサだと思って…///」


アルミカ「??」


エレン「とりあえず、俺もうここにいる必要ないし、飯でも食うか」


アルミン「そうだね」







ー食堂ー


エレン「あー、昨日全然食ってないから腹減ったぜ」


アルミン「そっか!僕のも食べる?」


エレン「そ、そういう意味で言ったんじゃねぇよ!」


ミカサ「な、なら私の食べかけを!」


エレン「な、なんだよそれ!」


ジャン「チッ…おい、死に急ぎ野郎!」


エレン「…あ?なんだよジャン」


ジャン「お前、立体機動の事故とは情けねぇなぁ!しかも女に助けてもらうとはなぁ!」


エレン「…くっ」


ジャン「そんなんで巨人なんか倒せんのかよ?守ってもらいっぱなしのお前なんかによお!」ガシッ


エレン「離せよ…破けちゃうだろ…」


ジャン「おいおい、いつもの威勢はどうしたんだよ?俺の言ってることが図星すぎて何も言い返せないってか?ああ?」


エレン「…ああ、そうだよ。確かに俺は守ってもらってばっかだ。でもよ、ジャン…守ってもらうことって悪いことなのか?」


ジャン「は?良し悪しの問題じゃねぇよ」


エレン「じゃあお前は、誰からも守られず生きていけるのか?お前一人だけで生き抜けるのか?」


ジャン「…」


エレン「お前だって、いろんな奴に守られながら生きてんだろ?だったら、その人たちを守ってやれるくらい強くなるために、努力するのが当然じゃねぇのか?」


ジャン「…」


エレン「少なくとも俺はそう思う。お前は何の不自由もない体なんだぞ…もっと他にやるべきことがあるだろ」


ジャン「チッ、シラけちまった…くそッ」


エレン「ふぅ…」


アルミン「エレン…」


エレン「なんだよ?」


ミカサ「エレンは成長した。おそらくアルミンもそう思ってる」


アルミン「うん。前のエレンなら絶対ケンカ買ってたもん」


エレン「ははっ…そうだな」


エレン「あ、そういや、アニはどこだ?」


ミカサ「アニは…分からない」


アルミン「ミーナがいるから聞いてみるかい?」


エレン「ああ!連れて行ってくれ」





エレン「おい、ミーナ?」


ミーナ「ん?あ、エレン!」


エレン「アニはどうしたんだ?」


ミーナ「なんだか調子が悪いらしくて…部屋で寝込んでるよ」


エレン「本当か?医務室に連れてった方が良いんじゃ…」


ミーナ「あー、そうかも。じゃあエレン一緒にアニを連れて行こう?」


エレン「え?あ、ああ…悪いのは俺だしな…」


ミーナ「じゃあまた、食べ終わったらね!」


エレン「おう」











ー女子寮ー


エレン「本当に、入って大丈夫なのか??」


ミーナ「ここは私とアニの部屋だから。それに教官も見回ってなかったし」


エレン「んーでもなぁ…」


ミーナ「あ、アニ?起きてる?」


アニ「…うん」


エレン「大丈夫か?」


アニ「!?!?」ビクッ


エレン「ごめん、驚かせたか?」


アニ「なんであんたがここにいるのさ?女子寮なんだけど?」


ミーナ「アニが心配で来てくれたんだよ!」


エレン「いや俺は…ぐはっ!」


ミーナ(話し合わせろ)ギロッ


エレン「…そ、そうだ、お前が心配で…」


アニ「…ふーん」


エレン「医務室、行こうぜ?」


ミーナ「アニ、動くの辛いよね?エレンに抱っこしてもらいなよ!」


エレアニ「は!?」


ミーナ「ほら早く!エレン!アニに助けてもらったんでしょ?」


エレン「あ、ああ、そうだな。アニ、ちゃんと捕まれよ」


アニ「え、ちょっと…な、なんで…///」


ミーナ(うわぁ…お姫様抱っこだ…///)


エレン「じゃあ、行こうぜ」










ー医務室ー


エレン「寝かせるぞ…」


アニ「…は、早くしなよ」


エレン「よいしよっと…」


アニ「はぁ…///」


エレン「アニ、案外軽かったな」


アニ「何?そんなに重いと思ってたの?」


エレン「あ、いや、そういうわけじゃなくてさ…その、アニも女の子なんdぐはっ!!!」


アニ「私みたいなか弱い乙女に…失礼だね」


エレン「い、痛い…」


ミーナ「あ、私、ちょっと用事があるから!ちょっと抜けるね!エレンよろしく!」


エレン「え?あ、おう」


ガラガラ


エレン「…」


アニ「…」


エレン「その、昨日の夜、お前だったんだな…」


アニ「…」


エレン「ごめん、変な話しちゃってよ…忘れてくれ」


アニ「…無理」


エレン「ははっ…そうだよな、忘れるなんて無理か…でもまあ、気にしないでくれ」


アニ「…」


エレン「…ありがとな。助けてくれて。それに看病もしてくれて」


アニ「…別に」


エレン「…」


アニ「…」


エレン「アニは、憲兵団に行くんだよな」


アニ「行けたらね」


エレン「アニなら、いけるだろ」


アニ「…そうだといい」


エレン「…俺は、調査兵団に行く」


アニ「…知ってるよ」


エレン「そうだよな…」


アニ「あんた、いっつも騒いでるから」


エレン「あ、あれはジャンの野郎が…いや、そんな話をしたいんじゃない…」


アニ「え…?」


エレン「俺たち、訓練兵団を卒団したら、会えなくなるのかな」


アニ「…そう、かもね」


エレン「…嫌だなぁ」


アニ「…」


エレン「そういえば、なんとなく覚えてるんだけど…」


エレン「俺が事故ったとき、初めて『エレン』って呼んでくれたよな」


アニ「!」


エレン「あれ、すごく嬉しかったんだぜ?」


アニ「…」


エレン「アニ、俺さ…」


アニ「…」


エレン「お前の事が…アニ・レオンハートが大好きだ」


アニ「…」


エレン「俺と…付き合ってください」


アニ「…」


エレン「…」


アニ「…私もあんたが、エレン・イェーガーが大好きだ」


アニ「自分でも、不思議なくらい…好きで好きでたまらないんだ…」


アニ「でも…今は付き合えない」


エレン「…」


アニ「私には使命がある。これには逆らえない」


エレン「…」


アニ「1ヶ月後に卒団だから…その、卒団してから3ヶ月後。そのときもエレンが私の事を好きでいてくれたなら…付き合ってほしい」


エレン「嫌いになんて、なれねぇよ」


アニ「ふふっ…私も」


エレン「…」ポカーン


アニ「なんだい?」


エレン「お前、初めて笑っただろ?」


アニ「失礼だね…」


エレン「なんか新鮮だな。可愛いよ」


アニ「うるさい、バカ…///」


エレン「お前は本当に、分かりやすいな!」


アニ「…///」プイッ


エレン「…約束だぞ?卒業してから3ヶ月後…付き合ってくれよ」


アニ「ああ、もちろんさ…エレンが嫌いにならなければね…」


エレン「だから俺は!」


アニ「はいはい、分かったから…もう言わないで…」









最終成績


主席:ミカサ・アッカーマン


次席:ライナー・ブラウン


3番:ベルトルト・フーバー


4番:アニ・レオンハート


5番:ジャン・キルシュタイン


6番:マルコ・ボット


7番:コニー・スプリンガー


8番:サシャ・ブラウス


9番:クリスタ・レンズ


10番:エレン・イェーガー







ー解散式の夜ー


エレン「アニ、こんなところにいたのか」


アニ「ここからだと、月が見やすいんだよ」


エレン「へぇ…」


アニ「あんた、またジャンと喧嘩してたね」


エレン「仕方ねぇだろ…あのクズ野郎め…」


アニ「でもまあ、それも普通の人間なんじゃない?」


エレン「ああ…そうかもな」


アニ「…」


エレン「…この3年間、長かったけど、あっという間だったな」


アニ「…」


エレン「でもすごく充実してた。毎日が楽しかったよ…もちろん辛かったし、もう一回やり直しとかになったら、本当に嫌だけどさ…」


アニ「ああ、そうかもね…」


エレン「結局、アニからは一本も取れなかったな…」


アニ「あんたが弱すぎるから」


エレン「な、なんだと!?よし、最後の一本勝負!やろうぜ!」


アニ「はぁ…仕方ないね」チャリ


エレン「よし、行くぞ!」シュッ


エレンの左ストレート。


アニは内側に入るようにかわす。


そして飛んでくるのは、やはり右フックだった。


アニはそれを後ろに転びながら避ける。


エレン「くそ、やっぱ通用しねぇか…」


アニ「私以外なら、今の1発で終わってただろうね」


エレン「くっ…まだまだ行くぞ!」シュッ


エレンが軽くジャブを入れる。


アニはそれを上手く流しながら、ローキックを与える。


すかさず距離を取るエレン。


しかし、アニにとっては好都合。


スヒードに乗ったハイキックが飛ぶ。


エレンはなんとか、屈みながら避ける。


そして一気に間合いを詰め、アニの左手を掴んだ。


そして自らの方に引き寄せながら…


バキッグルッドサッ


アニは地面に倒れた。


エレン「やった!初めて一本取った!!!」


アニ「はぁ…強くなったね、エレン」


エレン「ああ、アニのおかげだ。ありがとな」


アニ「いや、あんたが頑張ったからさ」


アニ「それにしても、この技でやられるなんてね…」


エレン「俺がアニに最初にやられた技だな」


アニ「ああ、そうだね」


エレン「…」


アニ「…」


エレン「アニ、憲兵団に行っても頑張れよ」


アニ「エレンこそ…死なないで」


エレン「ああ、死なないさ。巨人を駆逐するまでは死ねねぇんだよ」


アニ「…」


エレン「…じゃあ、おやすみ。アニ」


アニ「おやすみ、エレン」













ーー大好きだよーー







明るい月の光が、抱き合う二人を優しく包み込んだ…


















ー翌日:トロスト区壁上ー


エレン(人類の反撃は、これからだ!)


ピカッ!!!!!


超大型巨人「…」


エレン「…!!!」




その日、再び現れた超大型巨人によって、トロスト区前門が破壊された。


トロスト区内に巨人が入ってくる中、エレンたち104期訓練兵は中衛を任されることとなった。




エレン「なあアルミン…これはいい機会だと思わねぇか?


アルミン「?」


エレン「調査兵団に入団する前に…この初陣で活躍すれば…俺たちは新兵にて、スピード昇格間違いなしだ!」


アルミン「!」


アルミン「ああ、間違いない」


ミーナ「言っとくけど、今季の調査兵団志願者はたくさんいるんだからね?」


トーマス「さっきはエレンに遅れを取ったけど、今度は負けないぜ」


エレン「行ったな?トーマス!」


トーマス「誰が巨人を多く狩れるか勝負だ!」


エレン「ああ、数をちょろまかすなよ!」


「34班前進!前衛の支援につけ!」


エレン「よし、行くぞ!」


班員「おお!!!!」





ミーナ「巨人がもうあんなに!」


トーマス「前衛部隊が総崩れじゃないか!」


ナック「何やってんだ…普段威張り散らしてる先輩方は!」


エレン(決して楽観視していたわけじゃなかったが…これは、あまりにも…)


アルミン「!!奇行種だ!」


エレン「止まれ!!」


ドンッ


奇行種の口の中には、トーマスがいた。


アルミン「と、トーマス…!」


エレン(トーマスだと?あいつが…?)


俺たち全員、唖然として何もできなかった。


そして奇行種はトーマスを飲み込み、その場を立ち去る。


エレン「…何しやがる!!!」


アルミン「エレン!!」


ミリウス「よせ!単騎行動は危険だ!!!!」







エレン「よくもトーマスを!」


エレンは完全にブチ切れ、我を忘れていた。


エレン「絶対に!絶対に逃がさん!」


そのせいか、普段ならわずかな音で気づく巨人の気配にも全く気づかず…


エレン「うぉぉぉおおおお!!!!」


右足を食われてしまった。


エレン「!!」


そしてエレンは屋根の上に投げ出される。


エレン(くそっ…こんな、ところで…終われねぇんだよ…)


アニ『死なないで』


エレン「!!」


アルミン「うわぁぁぁぁああああ!!!」


エレン「…」ガシッ


アルミン「!」


エレン「うぉぉりゃあ!」ブンッ


アルミン「うぐぅ」ドサッ


アルミン「エレン!」


エレン「こんなところで…死ねるか…」


エレン「なあアルミン…お前が、教えてくれたから…俺は、外の、世界に…」


アルミン「エレン!早く!」


ガブッ


アルミン「うわぁぁあぁぁああぁぁあぁああぁぁああ!!!」









エレン「う、あわぁ!!こんな、こんなはずじゃ…」


俺たちは五年前とは違うんだ。


必死に訓練した…必死に考えた!


こいつらに勝つために。


こいつらな奪われないために!


どうしてこうなる?


どうして俺たちは奪われる!?


命も…夢も…!


エレン「諦めて、たまるか!駆逐…してやる!この世から、一匹残らず…俺が…この手で!!!」


ピカッ!!!!


エレン巨人「うぉぉぉおおお!!!」


駆逐…してやる…


この世カラ…一匹残ラズ…


モットダ!モットコロス!


モットコロシタイ…


モット、イッパイ…


エレン「殺してやる」


あたりが、一気に静かになった。


エレン「!!」


ここは?どうなってんだ?


周りには兵士がたくさんいて…


あれ?


俺の目…


見えてる…!?


アルミン「エレン!ちゃんと体は動くか?意識は正常か?知ってることを全部話すんだ、きっと分かってもらえる!」


エレン「アルミン?アルミンなのか!?」


アルミン「え、エレン!?」


エレン「見える!見えるぞ!そこにいるのはミカサか?」


ミカサ「エレン…?」


エレン「やった!見えるぞ!お前らの顔みんな見える!空も!雲も!この壁も!家も!全部だ!!!」


アルミン「エレン!落ち着いてくれ!!!今は状況が悪い…」


エレン「!?」


エレンは周りの兵士の殺伐とした雰囲気を感じ取った。






その後エレン達は砲弾を打たれるというアクシデントはあったものの、ピクシス司令の登場により、その場は収まった。




ートロスト区壁上ー


エレン「なんとか…なったな…」


アルミン「…」


ミカサ「…」


エレン「なんだよお前ら?」


アルミン「さっきは…あんな状況だったから…全然考えられなかったけど…」


ミカサ「本当に、見えるの?」


エレン「ああ!もう全部見えるようになったぜ!」


ミカサ「これ、何本?」ピース


エレン「二本」


アルミン「ほ、本当に見えてる!よかった…!!」ギュッ


ミカサ「エレン…よかった…本当に!!」ギュッ


アルミンとミカサは、涙を浮かべながら、俺の手を握る。


エレン「お前ら、容姿も中身も…全然変わってねぇなぁ!」ウルウル






その後、エレンの活躍によりトロスト区を奪還。


人類は初めて巨人に勝利した。


その後、審議にかけられたエレンも調査兵団入りを決める。


そして、リヴァイ班の一員として兵団の生活を送っている頃…




エレン「ふぅ…!あいつら!」


エレン「オルオさん!ちょっと同期と話してきていいですか!?」


オルオ「…チッ、さっさと行けよ」


エレン「おい!ミカサ!アルミン!」


アルミン「…!」


ミカサ「エレン!」


エレン「しばらくぶりに会った気がするぞ!」


ミカサ「エレン、何かひどいことはされてない?体の隅々まで調べられたとか…精神的苦痛を受けたとか…!」


エレン「ねぇよ、そんなこと…」


ミカサ「あのチビは調子に乗りすぎた…いつか私が、然るべき報いを…」


エレン「お前…もしかしてリヴァイ兵長のこと言ってんのか?」


アルミン「まだ、目は見えてるみたいだね!」


エレン「ああ!全部見えるぜ?」


コニー「よっ、エレン」


サシャ「久しぶりです!」


エレン「お前ら…コニーとサシャか?」


ライナー「俺たちもいるぞ」


エレン「ライナー?隣はベルトルトか!」


ベルトルト「!!」


エレン「そっちにいるのは、クリスタとユミルか?」


クリスタ「そうだよ!」


エレン「みんな…ははっ、お前らの顔が見れるなんてな…」


コニー「アルミンたちが言ってたのは本当だったんだな!」


ライナー「見えなくなった目が見えるようになるなんてな…」


エレン「本当にお前らの顔が見れてよかったぜ!」


サシャ「でもエレンが本当に見たいのは、アニなんじゃないですか?」


エレン「は!?///」


クリスタ「みんな気づいてるんだからね!」


ユミル「逆に気づかないほうがおかしいだろ…」


エレン「まあ、仕方ねぇよ、あいつは憲兵…って、お前らここにいるってことは…もしかして、調査兵になったのか?」


コニー「ここにいる理由が、他にあるか?」


エレン「じゃあ、憲兵団に入ったのは…アニとジャンとマルコだけか…」


ジャン「マルコは死んだ」


エレン「!!」


ジャン「…」


エレン「まさか、お前…ジャンか?」


エレン「お前までここに…それにしても今、なんて言った?」


エレン「マルコが…死んだって…言ったのか?」


ジャン「誰しも劇的に死ねるってわけでもないらしいぜ…どんな最期だったのかも、分かんねぇよ…」


エレン「…」


ジャン「あいつは誰も見てないところで…人知れず死んだんだ…」


エレン「マルコ…」


アルミン「…」


コニー「…」


ネス「おい、新兵!制服が届いだぞ!!」





エレン「お前ら…本当に…」


ミカサ「そう。私たちも今度の作戦に参加する」


ジャン「なあ、エレン」


エレン「!」


ジャン「お前、巨人になった時、ミカサを殺そうとしたらしいな…それは一体どういうことだ?」


ミカサ「違う、エレンは蝿を叩こうとして…!」


ジャン「お前には聞いてねぇよ」


エレミカ「!」


ジャン「なあミカサ…頰の傷はかなり深いみたいだな…それはいつ負った傷だ?」


ミカサ「くっ…」


エレン「…本当らしい。巨人になった俺は、ミカサを殺そうとした」


ジャン「らしい…ってことは記憶にはないんだな?つまりお前は、今まで巨人の力の存在を知らなかったし、それを掌握するすべも持ち合わせていないと?」


エレン「ああ、そうだ」


ジャン「…」


ジャン「はぁ…お前ら聞いたかよ?これが現状らしいぞ?俺たちと人類の命がこいつにかかってる」


ジャン「俺たちはマルコみたいに…エレンの知らねぇうちに死んでいくんだろうな」


ミカサ「ジャン、今ここでエレンを追い詰めるのに、なんの意味があるの?」


ジャン「あのなあ、ミカサ。誰しもエレンのために無償で死ねるってわけじゃないんだぜ?」


ミカサ「!」


ジャン「知っておくべきだ!俺たちは何のために命を使うのかを…」


ジャン「じゃねぇと、いざという時に迷っちまうよ…」


ジャン「俺たちはエレンに、見返りを求めてる」


ジャン「きっちり値踏みさせてくれよ…自分の命に、見合うのかをな…」


ジャン「…」ガシッ


エレン「!」


ジャン「だからエレン!お前…本当に、頼むぞ?」


エレン「…あぁ…!」





そして、運命の壁外調査の日が訪れた…




エルヴィン「進め!!!!」


エルヴィン「第57回壁外調査を開始する!前進せよ!!!」





エレン(この目で…外の世界を見るんだ!これが、その第一歩だ…!)










一方、その頃…















私の使命…


それは、あんたを…


エレンを連れ去ること。


アニ「…」シャキンッ


指輪から、鋭い刃物が出てくる。


お父さんからもらった、大事なものだ。


アニ「エレン…」


ふと、頭によぎる。


アルミンから、エレンの視力が戻ったという話を聞いた。


アニ(まさか、エレンに最初に見せる顔が、巨人体だなんてね…)


エレンは、そんな醜い私の顔も好いてくれるかな…


アニ「…私は戦士だ」


今はエレンのことを考えるな。


正確にはエレンを連れ去るのではない。


座標を私たちの手に収めるのだ…


エレンはただの器。


この作戦に、集中しろ…


『お前のことが…アニ・レオンハートが大好きだ』


アニ「…ごめん」ザシュッ


ピカッ!!!!!























その後、エルヴィン団長率いる調査兵団は、右翼側から来た謎の脅威に追いやられる形で、巨大樹の森に差し掛かる。


しかしこれも…エルヴィン団長の作戦のうちだった。


謎の脅威…女型の巨人を捉えることに成功した。


しかし、皮膚の硬質化により、中身を割り出すことは不可能。


さらに、女型の巨人は周りの巨人を一気に呼び、自らを食わせることによって、情報を守った。





エルヴィン「…君は中身が食われるところを見たか?」


ハンジ「!」


エルヴィン「私は見てない」










撤退の命令が出たのち、本部に合流しようとしていたリヴァイ班に、謎の人影が迫り来る。


それは女型の巨人の、中身だった。


その後リヴァイ班は女型の巨人と交戦。


善戦するも、女型の巨人の反撃をくらい全滅してしまう。


それを見たエレンは、巨人化して女型の巨人と戦うことを決意する…








エレン「お前を…殺す!!!」


ピカッ!!!


エレン巨人「ウォォォォオオオオ!!!!!」


女型「!」


巨人化したエレン。


かなり、怒りが込み上げているようだ。


私に対して…こんなに敵意を剥き出しにしている。


分かっていたが、正直、ショックだ。


そんなことを考えていたら、マウントポジションを取られてしまった。


今はこの目を治さなくては…


エレン巨人「オアェ!!ガアッ!!オアエア、ガアッ、オグアァ!!ガァ、オ、オオグェ、ガアアア」


お前が…?


お前が、悪い…って言いたいの?


はぁ…傷つくよ…


大好きって…言ってくれたのに…


女型「!!」


私はすぐに、マウントポジションを逃れる。


エレンも、すぐにファイティングポーズを取った。


私も、普段の構えをする。


エレンが見えてない頃にしていたものだ。


見せてもバレないだろう…


エレン巨人「ガァッ!」シュッ


エレンの左ストレート。


女型「…」スッ


パターン通り、避けたところに右フックが来る。


でもこれは、私には通用しない。


私は後ろに転びながら避ける。


エレン巨人「!」


エレン(なんだと?俺の必勝パターンが…)


アニ『私以外なら、今の1発で終わってただろうね』


エレン(それに今の動き、なんとなく…)


エレンは何かを考えているようだ。


気を取られていうちに反撃する。


私はエレンの溝に飛び蹴りをかます。


エレン巨人「グアッ!!」


しかし、エレンは倒れない。


ギリギリのところで踏ん張り、その反動で飛び、パンチを繰り出す。


私はそれを手のひらで受ける…が、勢いを殺しきれず、ダメージを食らう。


だが、ただやられるわけにはいかない。


ローキックを放つ。


エレンはジャブを打ってくる。


それを避けながら私は執拗にローキックを繰り出す。


エレン(こいつ、なんでこんなにローキックを…この戦い方、まるで…)


再びローキックをしようとすると、エレンはその足を掴みにかかった。


それを見て、私は蹴りのコースを変え、ハイキックを食らわせる。


エレンのこめかみに命中した。


エレン巨人「!」


エレン(いってぇな…でもこのキック、前にも…食らった気がする…)


アニ(だから、これを食らって…なんで意識があるのさ!!)


私は先ほどの回し蹴りの動きの流れのまま、後ろ回し蹴りを繰り出す。


またしても、こめかみに命中…


私の勢いのついた蹴りをもろに食らったエレンは頭が吹っ飛んだ。


アニ(ふぅ…あとは、エレンを連れ去れば…)


私は、エレンを口に含んで逃走した。


アニ(エレン…私はあんたが考え事しながら勝てるほど、弱くない)







ミカサ「ま、待って…エレン……行かないで…!」
















ーーーーー

ーーーー

ーーー

ーー



シャー


アニ『…』


キュッキュッ


アニ『はぁ…』


アニ『…』フキフキ


ガチャッ


アニ『!』


ミカサ『…!』


アニ『ああ、あんたか』


ミカサ『あなたはもう、浴び終わったのね』


アニ『ああ』


ミカサ『アニ…濡れてる…』


アニ『は!?』


ミカサ『髪が』


アニ『あ、ああ…』


ミカサ『アニ、なんだかエロい』


アニ『なんだい、いきなり…あんたそんなキャラだった?』


ミカサ『アニは水も滴るいい女』


アニ『シャワーした後だから濡れてるだけじゃないか』


ミカサ『アニは隠れ巨乳』


アニ『本当なんなの?今日のあんたおかしいよ…』


ミカサ『アニは、案外優しい』


アニ『案外、は余計だけど?』


ミカサ『アニは…強い』


アニ『あんたほどじゃないさ。力では勝てない』


ミカサ『エレンよりも、強い』


アニ『…』


ミカサ『エレンを守ってくれる』


アニ『…』


ミカサ『…』


アニ『…つまりあんたは何が言いたいの?』


ミカサ『私は、あなたたち2人を応援してる』


アニ『…そう…決めたんだね』


ミカサ『でも、認めたわけではない』


アニ『え?』


ミカサ『もしあなたが、エレンを悲しませるようなことをたら…その時は…』


アニ『…』ゴクッ


ミカサ『その綺麗な体を掻っ捌いてやる』ギロッ


アニ『…』ゾクッ



ーー

ーーー

ーーーー

ーーーーー





















ミカサ「どこにいたって、その女殺して…体中掻っ捌いて、その汚い所から出してあげるから……ごめんねエレン、もう少しだけ…待ってて…!」


女型「!!」ダッ


ミカサ「待て!!…ぐっ」


リヴァイ「同じだ、一旦離れろ。この距離を保て、ヤツも疲弊したか、それほど速力はないように見える。うなじごとかじり取られていたようだが、エレンは死んだのか?」


ミカサ「エレンは生きてます。目標には知性があるようですが、その目的はエレンを連れ去ることです。殺したいのなら潰すはず…目標はわざわざ口に含んで戦いながら逃げています」


リヴァイ「エレンを食うことが目的かもしれん。そうなればエレンは胃袋だ…普通に考えれば死んでるが…」


ミカサ「生きてます!」


リヴァイ「…だといいな」


ミカサ「…そもそもあなたが、エレンをちゃんと守っていれば…こんなことにはならなかった」


リヴァイ「…お前は、あの時のエレンのなじみか」


ミカサ「…」


リヴァイ「…」


リヴァイ「目的を一つに絞るぞ、まず…女型を仕留めることは諦める」


ミカサ「奴は、仲間をたくさん殺しています!」


リヴァイ「あの硬化させる能力がある以上は無理だ、俺の考えに従え。エレンが生きてることにすべての望みを懸け、奴が森を抜ける前にエレンを救い出す。俺が奴を削る、お前は奴の注意を引け!」






アニ(またミカサ…でも戦う気はない…?)


アニ(あれは…リヴァイ兵士長…)


人類最強の兵士、か…


だとしても私は、負けるわけにはいかない。


ここで負けたら、ただただエレンを裏切っただけの…


アニ(…死ね!)


リヴァイ「…」バシュッグルグル


女型「!」


速い…速すぎる…


回復も硬化も追いつかない…


や、やられる…!


うなじだけは…守らないと…


だめだ、首も腕も上がらない…


バシュッ


うなじにアンカー?


嫌だ…死にたくない…!


リヴァイ「よせ!」ガシッ


女型「…」ブンッ


ミカサ「!」


リヴァイ「ぐっ!」グキッ


リヴァイ「はぁ!!」バシュッグルグルザシュッ


口が…


エレンが…


リヴァイ「オイ!!ずらかるぞ!!」


ミカサ「エレン!」


リヴァイ「多分無事だ、生きてる。汚ねぇが…」


ミカサ「!」


リヴァイ「もうヤツには関わるな…撤退する。作戦の本質を見失うな。自分の欲求を満たすことの方が大事なのか?お前の大切な友人だろ?」


ミカサ「違う…私は…」


リヴァイ「…」




私は…エレンを裏切って…


ミカサや死んでいったミーナ達をも裏切って…


何もできなかった。


私は何のために…こんな…


なんで…こうなるの…?


女型「…」ポロポロ


リヴァイ「?」






















エレン「‼︎」


ミカサ「…エレン」


エレン「…」


ミカサ「まだ起きてはいけない。安静にして」


エレン「…女型は?」


ミカサ「…逃した」


よかった…


エレン(え?)


なんで俺、よかっただなんて…


作戦は失敗したのに…


エレン(ああ、そうか…俺は…)













ー旧調査兵団本部ー


リヴァイ「おっせーな…エルヴィンの野郎…待たせやがって…迎えの憲兵団が先に来ちまうじゃねぇか」


リヴァイ「大方、糞がなかなか出なくて困ってんだろうな」


エレン「はは…兵長、今日はよく喋りますね」


リヴァイ「馬鹿言え…俺は元々結構喋る」


エレン「…」


部屋が沈黙に包まれる。


いつもなら…オルオさんとペトラさんが言い合って…


エルドさんがそれをからかって…


グンタさんが面白がりながら、兵長のいる手前止める…みたいな…


そんな、なんでもない日常があった。


でも日常は日常じゃない。


常に壊される危険性がある。


この世界は、残酷なんだ…


リヴァイ「…チッ」


エレン「すみません…俺があの時選択を間違えなければ…こんな事には…」


リヴァイ「言っただろ?結果は誰にも分からんと」


ガチャ…


エルヴィン「遅れて申し訳ない」


エレン「いえ…!」


アルミン「…」


ミカサ「…」


ジャン「…」


エレン「お前ら…」


エルヴィン「…」


エレン「あ、あの…」


エルヴィン「女型の巨人と思われる人物を特定した」


エレン「!!」


エルヴィン「次こそ、確実に捉える」





エルヴィン「作戦の決行は明後日。場所は我々が王都に召還される時に通るストヘス区だ」


ストヘス区…?


エルヴィン「ここが最初で最後のチャンスだ。ここを抜ければエレンは王都に引き渡され壁の破壊を企む連中の追及も困難になるだろう」


アニの勤務先って、確かストヘス区じゃ…


エルヴィン「引いては人類滅亡の色が濃厚となる。我々はこの作戦に全てを掛ける」


エレン「…」


エルヴィン「作戦はこうだ。エレンが囮となってこの地下通路に目標をおびき出す」


エルヴィン「最下層まで連れ込めばサイズと強度から考えてたとえ目標が巨人化しても動きを封じることは可能だ」


エルヴィン「しかし、万が一その前に巨人化した場合、エレン、君に頼むことになる」


エレン「…はい!それで、肝心の目標はストヘス区にいることは確実なんですか?」


エルヴィン「ああ、目標は憲兵団に所属している」


エレン「憲兵団に?」


やっぱり…


もう、分かってるのか…


エルヴィン「割り出したのはアルミンだ」


エレン「!」


エルヴィン「曰く女型は、生け捕りにした二体の巨人を殺した犯人と思われる。君たち104期生の同期である可能性がある」


エレン「ちょっと、待ってください!104期って!」


エルヴィン「その女型の巨人と思わしき女性の名は…」


エレン「ちょっと!」


エルヴィン「アニ・レオンハート」


エレン「…」


エレン「…アニが女型の巨人?なんで!なんでそう思うんだよ!アルミン!」


アルミン「女型の巨人は最初からエレンの顔を知っていた。それに同期しか知らないエレンのあだ名、死に急ぎ野郎に反応を見せた」


アルミン「それに何より大きいのが、実験台のソニーとビーンを殺したのがアニと思われるからだ」


エレン「なんでそんなことが分かる?」


アルミン「殺害には高度な技術が必要だから、立体機動は使い慣れた自分のを使ったはずだ」


エレン「だから装置の検査があったろ?アニは引っかかってない!」


そうだ、アニは不可能だ!


アルミン「あの時、アニが出したのはマルコのだ。だから追及を逃れることができた」


エレン「は、はぁ!?何言ってんだ!どうしてマルコが出てくる!?」


アルミン「…分からない」


エレン「…見間違いじゃ、ねぇのか?」


こいつの洞察力は知ってる。


見間違いじゃないんだろうな…きっと…


アルミン「いや…あれは確かに見覚えが…」


リヴァイ「おい、ガキ。それはもうわかった。他に根拠はないのか?」


アルミン「…ありません」


ミカサ「アニは女型と顔が似てたと思います」


エレン「はぁ?何言ってんだ!そんな程度の根拠で…」


リヴァイ「つまり、証拠がねぇがやるんだな?」


エレン「証拠がない?なんだそれ、なんでやるんだ?どうすんだよ、アニじゃなかったら!」


ミカサ「アニじゃなかったら、アニの疑いが晴れるだけ」


アルミン「そうなったらアニには悪いと思うよ…でも!だからって何もしなければエレンが中央の奴らの生贄になるだけだ!」


エレン「…アニを疑うなんてどうかしてる」


ミカサ「エレン、アニと聞いた今、思い当たることはないの?」


エレン「…!」


ミカサ「女型の巨人と格闘戦を交えたのなら、アニ独特の技術を感じたりはしなかったの?」


エレン「…」


あの、アニの戦い方…


実際に見たことはない。


でも、あれは…あの感じは…


アニだ。アニしかありえない。


ミカサ「分かってるんでしょう?女型の巨人が…アニだってこと…」


エレン「…」


エレン「…ふ、ふざけんな!」


エレン「アニが…あのアニが…敵だなんて…!」


アルミン「エレン、僕だって信じられないよ…」


エレン「じゃあ、なんで!?」


アルミン「…エレンは、アニのことを信じてないの?」


エレン「!?」


アルミン「アニを信じてるなら、自信を持ってこの作戦が出来るはずだ」


エレン「…」


アルミン「エレン、辛いと思うけど…アニの疑いを晴らすためだ」


エレン「…くっ」


エルヴィン「もう一度言うが、作戦決行は明後日だ。しっかりと準備しておいてくれ」


ジャンアルミカ「はい」


エレン「…はい」


リヴァイ「…」









エレン「…」


アニが…巨人…


嫌だ…


そんなはずない。


だってアニは…アニは…


リヴァイ「おいエレン」


エレン「!」


リヴァイ「納得いかないみてぇだな」


エレン「そりゃ、そうですよ…3年間一緒に訓練してきた仲間を疑うなんて…あいつらどうかしてる…」


リヴァイ「馬鹿野郎、どうかしてるのはテメェだ」


エレン「!?」


リヴァイ「女型を野放しにして、その上お前は処刑される。これがどういう意味か分からねぇのか?」


エレン「…分かります」


リヴァイ「分かってるのに、テメェの下らない都合を押し付けるつもりなのか?」


エレン「!!」



これじゃあ俺は…


エレン『オイ!いい加減にしろミカサ!人類滅亡の危機だぞ!!なにテメェの勝手な都合を押しつけてんだ!!』


ミカサ『ごめんなさい、私は冷静じゃなかった…』


あの時のミカサと同じだ。



エレン「…俺…俺は!」


リヴァイ「さっきよりはマシな面になったな…」


リヴァイ「もう遅い。クソして寝ろ」


エレン「はい!」













ーストヘス区ー


ミカサ「私たちはここで待ってる」


アルミン「うん。僕はアニのところに行ってくるよ」


ミカサ「ええ。上手く連れてきて」


アルミン「うん、任せてくれ」


エレン「なあ、アルミン」


アルミン「?」


エレン「俺も…行っていいか?」


アルミン「ええ?エレンも?」


エレン「ああ」


アルミン「うーん…エレンを逃がすためにコソコソ隠れてるハズなのに、エレンをむやみに憲兵団に近づけるのは無意味だと思う。怪しまれちゃうよ」


エレン「…そうか」


アルミン「でも、エレンが来てくれた方が、アニを連れてこれる確率は上がるかもしれない」


エレン「!」


アルミン「…エレン、無駄なことは言わないでくれよ?」


エレン「ああ、わかってるよ」


アルミン「…じゃあ行こう」


エレン「おう!」


ミカサ「行ってらっしゃい、二人とも」










アニ「…」タッタッタッ


????「アニ!」


アニ「!?」


裏路地の方から声がする。


聞き覚えのある声だった…


行くか…


アニ「アルミン…」


裏路地に行くと、アルミンがいた。


アルミン「やあ、アニ。もうすっかり憲兵団なんだね」


隣にもう一人…


あ、あれは…


エレン「お前が…アニか…」


アニ「エレン!?あんた、今…馬車の中なんじゃ…」


エレン「ちょっとな」


アニ「…!あんた、本当に目が見えてるんだね…」


エレン「ああ、お前の顔もしっかり見えてる。綺麗な顔してんな…アニ」


アニ「う、うるさい…バカ」


アニ「…そんなことより、その格好は…?」


アルミン「荷運び人さ…立体機動装置を雨具で見えないようにしてるんだ」


アニ「…どういうこと?」


アルミン「アニ、エレンを逃がすことに協力して欲してくれないかな?」


アニ「逃がすって…どこに?王政に逆らって、この壁の中のどこに逃げるの?」


アルミン「一時的に身を隠すつもりだ。王政に真っ向から反抗する気はない」


アルミン「一時的に身を隠すだけさ、王政に真っ向から反発するつもりじゃない」


アルミン「調査兵団の一部による犯行行為って体だけど…時間を作ってその間に審議会勢力をひっくり返すだけの材料を揃える!必ず!」


アニ「ひっくり返す材料…?そんな都合のいい何かがあるの?根拠は?」


アルミン「ごめん…言えない…」


アニ「はぁ…悪いけど、話にならないよ…黙っといてやるから勝手に頑張んな」


エレン「アニは俺が死んでもいいのかよ…?」


アニ「…」プイッ


エレン「アニ…お前、俺の夢知ってるか?」


アニ「…巨人を駆逐することじゃないの?」


エレン「ははっ…実はそれ、ただの通過点に過ぎねぇんだよ」


アニ「?」


エレン「…俺は海を見たい。でっかい塩水の湖らしい。この世界の大半を覆ってるんだ」


エレン「ほかにも炎の水、氷の大地、砂の雪原…俺は見たいものがたくさんある。巨人化のせいか…目も見えるようになったしな」


アニ「…」


エレン「そしてそれを見るとき…アニ、お前も一緒にいて欲しい」


アニ「!」


エレン「…もちろん、お前だけじゃなくて、アルミンやミカサ、みんなもだけど…」


エレン「だから、その為にも俺はこんなところで死ねない…死んでたまるか…」


アルミン「アニ、お願いだ…このままじゃエレンは殺される…」


アニ「いいよ…乗った」











結局、私はこの作戦に乗った。


明らかに怪しいところがある。


だが、さすがアルミンだ。


上手く流している。


私はアルミンに連れられるまま、私の力が必要な関所に向かっていた。


エレン「おい、アニ」


アニ「なんだい?」


エレン「…お前、覚えてるか?俺との約束…」


アニ「…忘れるわけないだろ」


エレン「あと、2ヶ月もねぇな…」


アニ「ああ、そう…だね…」


エレン「俺は今でも、大好きだぞ」


アニ「…うるさいよ」


エレン「アニ、大好きだからな…」


アニ「…バカ…私だって…」


アルミン「ああ、あそこだ!」


アニ「…!」


アニ「…ここ?」


アルミン「うん…ここを通る…」


アルミン「昔計画されていた地下都市の廃墟が残ってるんだ」


アルミン「これがちゃんと、外扉の近くまで続いている」


エレン「本当か?すっげぇな…」


アニ「…」


エレン「…アニ?なんだお前、まさか暗くて怖いとこが苦手とか言うなよ」


アニ「あぁ、怖いんだ…」


エレン「!」


アニ「きっとあんたみたいな勇敢な死に急ぎ野郎にはか弱い乙女の気持ちなんて…分からないだろうさ…」


エレン「…くっ」


エレン「大男を空中で一回転させるような女はか弱くねぇよ…馬鹿行ってねぇで急ぐぞ」


アニ「いいや、行かない…そっちは怖い…」


アニ「地上を行かないなら…協力しない…」


エレン「何言ってんだよてめぇ!さっさとこっちに来いよ!ふざけてんじゃねぇ!」


ミカサ「エレン、叫ばないで…」


アニ「大丈夫でしょ?ミカサ…だってさっきからこの辺には…何故か…全く人がいないから…」


エレン「…」


アルミン「…」


アニ「まったく…傷つくよ…一体いつから…私をそんな目で見るようになったんだい?………エレン」


エレン「ぐっ…」


アルミン「アニ…なぜマルコの立体機動装置を持っていたの?」


アニ「…」


エレン(なんで…否定しないんだよ…)


アルミン「僅かな傷やへこみだって…一緒に整備した思い出だから…僕には分かった」


アニ「…そう……あれは…拾ったの」


アルミン「…じゃあ、生け捕りにした二体の巨人はアニが殺したの?」


アニ「さあね…」


アニ「でも一ヶ月前にそう思っていたんなら、なんでその時、行動しなかったの?」


アルミン「今だって信じられないよ!きっと何か…見間違いだって…思いたくて…そのせいで!」


アルミン「でも、アニだって…あの時…僕を殺さなかったから…今、こんなことになっているんじゃないか!」


アニ「…………あぁ…心底そう思うよ…あんたに…ここまで追い詰められるなんてね……あの時…なんで………だろうね?」


エレン「おいアニ!お前が間の悪い馬鹿で、糞つまんねぇ冗談で適当に話を合わせてる可能性が…まだあるから!」


エレン「とにかくこっちに来い!この地下に入るだけで証明できることがあるんだ!こっちに来て証明しろ!」


アニ「そっちには行けない…私は戦士になり損ねた…」


エレン「だから!つまんねぇって言ってんだろ!」


アルミン「話してよアニ!僕たちはまだ話し合うことが…」


ミカサ「もういい!これ以上聞いてられない!」バサッ


ミカサ「不毛」


ミカサ「もう一度ズタズタに削いでやる!女型の巨人!」シャキン


アニ「んっははは///」


エレン「…!」


アニ「あはっ!はははっ!」


アルミン「…」


アニ「あははははは…」


ミカサ「…」


アニ「エレン…あんたとの約束、果たせそうにないね…」


エレン「!!」


アニ「…さっきは、遮られて言えなかったけど…こんな私でも…エレンのこと大好きだよ?」


エレン「…お、俺だってお前が!」


アニ「…それ、こんな姿の私にも…言ってくれるかな?」スッ


エレン「!!」


アルミン「!」バンッ


アルミンの合図で一斉に取り押さえる。


アニ「…」カチャンッ


ミカサ「!!!」


指輪の仕掛けに気づいたミカサがエレンとアルミンを引っ張る。


ミカサ「遅かった…!」


ピカッ!!!


ミカサ「二人とも怪我は!?立てるなら走って!」


アルミン「しまった…!舌を噛んでいたのか?一体…どうやって傷をつけたんだ!?」


ミカサ「指輪に刃物が仕込まれていた…アニはそれで指を切った」


アルミン「そんな単純なことに…くっそ…やっぱり僕たちの嘘は最初から気付かれていたんだ…地下深くで待ち伏せしてるのもバレバレだった!!もっとやり方が、他にあったはずだ…」


ミカサ「反省はあとにして…教えて!私たちはこれからどうすればいい?」


アルミン「これから…とりあえず、三班と合流して地上に出て、後は二次作戦の通りに…アニと、女型の巨人と戦う!エレンは、予定通り巨人になって捕獲に協力してもらう…いいよね?」


「おーい!作戦は失敗したのか!?」


アルミン「三班だ!…失敗しました!次の作戦に移行して下さい!」


ドンッ!!!


アルミン「なっ…!?踏み抜いた!?」


エレン「助けなきゃ!」


ミカサ「エレン、下がって!」


ミカサ「あいつは…エレンが死んでもいいっていうの!?」


アルミン「賭けたんだ、エレンが死なないことに賭けて穴を空けた。めちゃくちゃだけど、こうなったら手強い。アニは死に物狂いで、エレンを奪うつもりだ!」







アルミン「ど、どうしよう、退路を塞がれた…あの穴や元の入口から立体機動で素早く出たとしても、その瞬間を狙われる。かといってずっとここにいても、いつ踏み潰されたっておかしくない…」


エレン「俺が!俺がなんとかする!あの時、大砲を防いだみたいに!」


エレン「こっちに来い!離れんなよ…」ガブッ


アルミン「…」


エレン「うっ…ああ!」ガブガブッガブッ


ミカサ「…」


エレン「…またかよ!そんな…こんな時に…!」


エレン「くっそ、いってぇ!!!」


アルミン「目的がしっかり無いと巨人になれないんだっけ?もう一度…イメージしよう、強く!」


エレン「やってる!!けど…なんで…」


ミカサ「本当に?まだアニと戦うことを、躊躇してるんじゃないの?」


エレン「!」


ミカサ「まさかこの期に及んで…アニが女型の巨人なのは気のせいかもしれないなんて思ってるの?」


エレン「くっ…」


ミカサ「あなたはさっき目の前で何を見たの?あなたの班員を殺したのは、あの女でしょ?まだ違うと思うの?」


エレン「…」


ミカサ「わかっているんでしょ? 女型の巨人がアニだってこと…じゃあ、戦わなくちゃダメでしょ?それとも、まだ、アニが好きだから戦えないの?」


エレン「仕方ないだろ!アニが好きで…あの憎い巨人になっても…好きなんだよ!!」


ミカサ「…チッ」


アルミン「作戦を考えた。僕とミカサがあの穴と元の入口から同時に出る、そうすればアニはどちらかに対応する」


アルミン「その隙にエレンはアニがいない方から逃げて!生身で戦闘に加わってはダメだ、女型の巨人は兵士で何とかするから。いくよ!」


エレン「は?待てよアルミン!それじゃあお前らどっちか、死んじゃうじゃないか!」


アルミン「そこにいたって3人共死ぬよ。ミカサ、位置について」


ミカサ「分かった」


エレン「なんで…なんでお前らは戦えるんだよ!!」


ミカサ「仕方ないでしょ…?世界は…残酷なんだから」


エレン「!」


そうだ。


俺は昨日誓ったんだ。


もしアニが、女型の巨人だったら…


俺がこの手で…


エレン「だよな」


殺 し て や る


ピカッ!!!!







































なんで…こうなっちまったんだ…


巨人なんていなければ…


俺とアニは普通の人間として…愛し合っていたのだろうか?


それとも、巨人がいたからこそ…


こうして俺たちは巡り会えたのだろうか…


それにしても…なんで…


この世界は残酷だ。


エレン「なあ、アニ…俺の声聞こえてるのか?」


アニ「…」


エレン「この、固い水晶は、俺たちにはどうしても破れないんだ…」


アニ「…」


エレン「…寝てる顔も綺麗だよ、お前は」


アニ「…」


エレン「ははっ…あの頃とは真逆だな…」


アニ「…」


エレン「お前のことを見ることはできなくても…感じることはできた」


アニ「…」


エレン「今はもう…お前を感じることはできない…」


アニ「…」


エレン「あの頃は…どれだけお前のことを見てみたかったか…」


アニ「…」


エレン「…でも、今見ることしかできなくなって…思い知らされたよ。感じられたあの頃がどれだけ幸せだったか…」


アニ「…」


エレン「俺って、ワガママなのかな…?」


アニ「…」


エレン「…なぁアニ、卒団から…もう3ヶ月経ったんだぜ?」


アニ「…」


エレン「明日、ウォール・マリア奪還作戦が始まるんだ」


アニ「…」


エレン「きっと…ライナーやベルトルトも居るんだろうな」


アニ「…」


エレン「なあ、アニ…」


アニ「…」


エレン「俺は…俺は!」


アニ「…」


エレン「アニ・レオンハートが大好きだ!俺と、付き合って下さい…!」


アニ「…」


エレン「…」


アニ「…」


エレン「はっ、返事なんてあるわけないんだけどな…」


アニ「…」


エレン「正直、お前らのことを許せたわけじゃねぇ」


アニ「…」


エレン「でも…それでも、俺には…」


アニ「…」


エレン「…」


アニ「…」


エレン「今度、お前が出てきた時…返事聞かせてくれよな…」


アニ「…」


エレン「じゃあな、アニ…」


アニ「…」


バタン


硬い地下室の扉が塞がれた。




アニ「…」




アニ「…」




アニ「…」




アニ「私も大好きだよ、エレン」


































アニ(もし生まれ変われるなら…今度は…)


エレンと同じ側がいいな…













ー完ー


後書き



















どうだったでしょうか?

自分的には訓練兵時代を長く書きたかったので、ちょっと量が多くなっちゃいましたw

読み応えのある作品になっていればなーと思います!


作中でミーナがエレンに告白した後、アニに想いを伝えろって約束させていました。

実際にあんないい子がいたら、すごいですねw

女子って絶対もっとドロドロしてる…はず…


ここで書く作品としては4作目になるのですが、どうも自分は立場の違う恋が好きみたいですねw

エレヒスもアルアニも、このエレアニも…

全部立場が違いましたw

ぜひ俺の他の作品も読んでくれると嬉しいです!

感想をコメントで書いてくれると嬉しいです!

ここまで読んでくださり、ありがとうございました!!!


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このSSへのコメント

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1: SS好きの名無しさん 2017-06-25 21:53:31 ID: Qltj7iPp

視力を失うというのはまた新しい発想。

2: SS好きの名無しさん 2018-06-16 16:30:34 ID: d9eOrv80

この続きは無いの?

3: SS好きの名無しさん 2020-03-26 13:59:09 ID: S:XpoESZ

いい作品

4: SS好きの名無しさん 2021-08-03 11:53:48 ID: S:izCJfl

付き合わせたい続きないの? キスシーン欲しかった というか       この作品書いてありがとう


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1: SS好きの名無しさん 2016-01-21 21:46:50 ID: qIvK_fQb

最高だな

2: SS好きの名無しさん 2016-02-02 23:25:46 ID: 8arYjfzr

最高!

3: SS好きの名無しさん 2017-03-18 20:02:10 ID: BTn2KDfo

この作品は神作で泣ける人ならマジ泣きできる

4: SS好きの名無しさん 2021-08-03 11:46:04 ID: S:K9ydCl

この作品は スウウウウウッゴイ    感動                                                          


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