2023-03-13 00:55:55 更新

概要

日本中から嫌われた提督がやってきたのは、何もない孤島⁉︎この孤島で、彼は今後、仲間達とどのように生きていくのか…。


前書き

大変お待たせしました。捨てられた提督の生活録の第三期です。一期、二期を読んでいない方は、そちらからお読みください。


注意事項

この作品は二次創作作品です。

1.原作と違う作者独自の設定があったり、オリジナルキャラが出てきます。キャラ崩壊注意です。

2.作者は文才があるわけではないので、表現や文章がおかしなところがあるかもしれません。

3.このssの世界では、艦娘は当たり前のように酷使され続けられています。なので、ブラ鎮がたくさん出てきます。

以上が無理な方はブラウザバックを推奨します。


























それでは、お楽しみください。


孤島鎮守府。そこは、本土から少し離れた名もなき孤島に建っている鎮守府である。その鎮守府には、社会のゴミと言われ、忌み嫌われている男が居る。彼の名は一樹。この名前は世間には忘れ去られている。そんな彼にとって、孤島鎮守府での生活は最高であった。昔のように、誰からも後ろ指を刺されずに暮らせるのだ。それに、今では彼を慕ってくれる者が居る。今では結構増えた。今後彼らは、どう歩んでいくのか…。














??「……」



パリーン!

??「がぁ⁉︎…」



…殺すつもりはなかった…






??「はぁ…はぁ…はぁ…」タッタッタッ


??「ゼェ…ゼェ…」タッタッタッ



……だけど、死んでしまった…



??「はぁ…はぁ…」ザッザッザッザ


??「はぁ…はぁ…」ザッザッザッザ


逃げなきゃ…


憲兵「おい!居たぞ!とっ捕まえろ!」


??「っ!」


??「見つかった!走れ!」



…逃げなきゃ…



??「はぁ…はぁ…」


バン!バン!バン!(銃声)


??「っ!」


嫌だ…死にたくない!


??「はぁ…はぁ…」


走らないと…もっと…早く…


っ!


ザザーン‼︎


??「……」


??「あ⁉︎」


しまった…



憲兵「追い詰めたぞ!万事休すだなw」


??「……」ミオロス


??「ど、どうしよう…」


??「……!」


憲兵「さあ、大人しく来てもらお」


??「っ!」ツキトバシ


??「え…」ツキトバサレ


憲兵「おい⁉︎」



??「生きろ!」


え…




なんで…




バッシャーン!












第一章 捨てられた艦娘












少将との演習から、三ヶ月が経とうとしていた頃…


孤島鎮守府近海




桃華 ゴオオオオオオオオ



(我、鎮守府近海海域ニテ艦隊発見セリ)


飛龍「了解、そのままいつも通りに監視して」


(了解)




提督「…最近多いな…ここら辺の海域に入ってくる艦隊…」


飛龍「そうですね…」


コンコン


提督「ん?どうぞ」


ガチャ

青葉「失礼します」


提督「青葉か。どうした?」


青葉「えっと…つい先程、浜辺で倒れている艦娘を発見しました」


提督「何!今は?」


青葉「今は時雨さんに見てもらっています」


提督「…分かった。飛龍、すまんが、ここを任すぞ」


飛龍「分かりました」




医療室




提督「失礼する」


時雨「あ、提督。倒れてた娘はそっちで寝かせてあるよ」


提督「…意識は?」


時雨「まだ無いね」


提督「…そうか…」


時雨「…けど、誰かはわかったよ」


提督「本当か?」


時雨「うん。この娘の名前は…」


時雨「睦月型駆逐艦、10番艦の三日月だよ」


提督「三日月…睦月型……なあ、時雨」


時雨「なんだい?」


提督「こいつ…あまり目立った外傷がないな…」


時雨「…うん」


提督「これは戦いで轟沈…じゃなくて、逃げてきたって感じだ…」


時雨「…それで間違いないと思うよ…」


提督「…起きたら色々聞くとしよう…」




ある鎮守府…




??「……」


??「なんだ?たったこれだけしか持って帰れなかったのか?この不良品共が!」


??「……」


??「…オイ、なんか言うことあるんじゃねぇか?遠征艦隊旗艦」


??「…ごめんな「ごめんなさいじゃないだろォ!」っ……」


??「申し訳ございませんでしたって!頭床に擦り付けて謝るのが普通だろォ!そこんとこわかってんのか?オイ!」ドン!


??「……」


??「…やってみろ」


??「…申し訳ございませんでした…」土下座


??「もっと頭こすりつけろや!」


??「……」



廊下



<モットダ!ゴラァ!ジメンニソノアタマメリコムクライ‼︎


??「はわわわわわ…」涙目


??「あ…あ…」涙目


??「…嫌だ…」涙目


??「どうしてそんなに怒るの…?」涙目


??「うぅ…ひっく…うぅ…」ポロポロ



執務室



??「…はぁ…はぁ……おい憲兵」


憲兵達「は!」


??「そこで土下座をしているゴミと今廊下で突っ立ってるゴミを捨ててこい」


廊下にいる艦娘達「⁉︎」


??「廊下のやつは解体機、土下座しているやつは…深海共に喰わせておけ」


憲兵「は!」


??「……」


<イヤ!マダヤクニタテルカラコロサナイデ!


<オネガイ!ハナシヲキイテ!シレイカン!


<イヤ…イヤダヨォ…



憲兵「立て!」


??「……」


憲兵「来い」


??「……」


??→P提督「なんだ?気持ち悪い。こっちを見るな弱小艦娘風情が」


??「……」




憎い…あの男…




遠征艦隊艦娘「や…やめて…出して……いや…いや…」


「キャアアアアアアアアアアア!!!!!!!」




…見慣れた光景。


ああやって、何人…いや、何十人も殺して…


私たちはいつ死ぬかも分からない恐怖に耐えながら、必死に尽くしてやったのに…あの男は!


『なんだ?たったこれだけしか持って帰れなかったのか?この不良品共が!』


…憎い…おのれ……あの男……




何処かの海域




P憲兵A「どうだ?吊るされている気分は?」


??「……」←逆さに吊られている


最悪ね。


P憲兵B「やめとけ、頭に血が昇ってもうしゃべれなくなってるんだぞw」


P憲兵A「あーそっかw」


P憲兵B「と言うかパンツ丸見えw」


…今すぐ海に引きずり下ろしたい…


P憲兵A「それな」


P憲兵C「…と…そうしているうちにきたぞ」


イ級「……」


…ああ…死ねるのね…やっと…


イ級「…」オオキククチヲアケル


P憲兵A「そんじゃ、落とすか」


P憲兵C「じゃあなw深海でイ級と仲良くしろよw」


プチッ


パッシャン


??「……」ブクブクブク


イ級「……」アーーー…ガブ!


ああ…深海棲艦になるのか…


…なったら…あの男を…必ず…


…………


……









孤島鎮守府

岩場




伊168「ふんふふんふふーん…」←釣り中


イ級「…」ザバァ


伊168「わ⁉︎」


イ級「コンニチハ」


??「」←イ級に咥えられている


伊168「あ…こんにちは…って」


伊168「何咥えてるの⁉︎」


イ級「モラッタ!」


伊168「もも貰った⁉︎」


イ級「ヒドイヤツラニイジメラレテタ!」


伊168「うーん…ちょっと何言ってるか分からない」


イ級「アゲル!」


伊168「え?あ…ありがとう…。これ、代わりに」っ釣った鯛


イ級「ワァ!アリガトウ!」


伊168「うん。こっちこそありがとう…」


??「」


伊168「…って!急いで医療室に運ばなきゃ!」




数時間後…

医療室




??「う…あ…」


時雨「起きたよ」


提督「ん。そうか」


??「…ここは…」


時雨「医療室だよ」


??「あな…!」


時雨「僕は白露型駆逐艦、時雨だよ。そして…」


提督「ここの鎮守府の提督だ」


??「…そうですか…私は…」



安価を取ります。

この艦娘は誰がいいですか?駆逐艦か軽巡洋艦でお願いします。



→不知火



不知火「陽炎型駆逐艦、二番艦の不知火です」


提督「不知火か。よろしく」


不知火「…よろしく。早速だけど司令官」


提督「?」


不知火「死んでください」サッ!


時雨「⁉︎提督」


提督「…」


不知火「死ね」っナイフを構え


時雨「っ!…」メヲツムル


ドガッ!!ビシッ!……バタン…


時雨「…………?…」メヲアケル


不知火「」←気絶している


提督「……」


時雨「…え…」


時雨は目を瞑っている間、何が起こったのか分からなかった


提督「…こいつ縛っといてくれ」


時雨「…わ、わかった」


時雨は言われた通り、不知火を縄で縛った。


時雨「…で?何をしたの?」


提督「不知火のナイフを避けて、すれ違いざまに喉を潰して、首にチョップした」


時雨「…なるほど…」


提督「ま、簡単な脳震盪を引き起こさせただけだからすぐに目を覚ますだろう」


時雨「…ごめん…」


提督「いい。仕方ないさ」


時雨「…にしても…なんで急に提督を殺そうとしたんだろう…」


提督「…さあ…?」


不知火「うぅ…あ…」


時雨「…起きたね」


不知火「……」


提督「おはようさん。早速質問していいか?」


不知火「……」


提督「どうして俺を殺そうとした?」


不知火「…お前だから…」


提督「俺だから?」


時雨「千代田の一件のせいじゃない?」


提督「……」


時雨「あれは影響大きいよ…」


不知火「…まぁいいわ。解体なり処刑なりするんだったらさっさとして」


提督「…はぁ〜(溜息)…お前、前の所属は?」


不知火「P鎮守府よ」


提督「P鎮守府……どっかで聞いたことあるような………」


ドア<ガチャ


蒼龍「私の前の鎮守府ですよ…」


提督「ああ、そうだったな」


時雨「いつから聞いてたの?」


蒼龍「不知火ちゃんが提督に襲いかかった時から」


時雨「…ふーん」


不知火「…蒼龍…さん…?」


蒼龍「うん。久しぶりだね」


不知火「…生き…てた…?」


蒼龍「この通りピンピンしてる」


不知火「……」


不知火「……」ウル…


不知火「……そう…ですか…」ポロポロ…


蒼龍「……」ギュ…


時雨「…結構前から居たの?」


蒼龍「不知火ちゃんと私は同じ時期に建造されて、ずっとあそこを支えてきたからね…」


提督「…そうか…」


不知火「う…うぅ……グズっ……よがったぁ…いぎでてよがったぁ…」ボロボロ(大泣)


蒼龍「…よしよし…」ナデナデ


ドア<ガチャ


伊168「失礼しm……」


提督「イムヤか。どうした?」


伊168「…これどういう状況…」


時雨「説明するね」



時雨説明中



不知火「zzz」←泣き疲れて寝ている


蒼龍(…もう…あれから6年くらいになるのかな…)




6年前




蒼龍「二航戦の航空母艦、蒼龍です!」


不知火「駆逐艦、不知火です。ご指導ご鞭撻、よろしくお願いします」


P提督「…チッ…片方はあたりでもう片方はハズレか…」


蒼龍・不知火「え?」


P提督「…蒼龍…と言ったな」


蒼龍「はい…?」


P提督「お前の働きには…期待しているぞ」


蒼龍「あ、ありがとうございます!」


P提督「よし、お前は下がれ」


蒼龍「あ、失礼しました」


バタン


蒼龍「不知火ちゃん…何を話されるんだろう?」




その後、出てきた後に何を言われたのか聞いてみたけど、答えてはくれなかった…。


それからは、私は主力艦隊、不知火ちゃんは遠征艦隊で頑張ってきた。


私と不知火ちゃんは定期的に会って話をしていたけど…


…不知火ちゃんの話の内容は…暗いものばかりだったな…。


敵艦隊を沈めればどうにも言われない主力艦隊と違い、


遠征艦隊の娘達は、少しでも資源を多く持って帰らないと、処刑されたり、解体されたり…とにかく、タダでは済まなかった…


そのせいで、遠征艦隊の娘達は不知火ちゃん以外はコロコロと変わっていた。


次々に仲間が殺されていくのを見て、不知火ちゃんはどれほど辛かったのか…



…やがて…戦果を挙げて、大佐へと昇進した頃から、P提督はより一層私たちを酷使するようになった…。


そして、P提督が少将に昇進が決定した直後に私は沈んだ。




ー現在ー




提督「蒼龍?」


蒼龍「え?あ、はい!」


提督「どうかしたか?」


蒼龍「いえいえ、なんでもありません」


提督「?」




数時間後…




不知火「うーん……」


蒼龍「おはよう」


不知火「…おはようございます…」オキアガル


蒼龍「もうちょっと寝ないで大丈夫なの?」


不知火「いえ、大丈夫です。それよりも蒼龍さん」


蒼龍「何?」


不知火「今すぐここから逃げましょう!」


蒼龍「…ちょっと何言ってるかわからない…」


不知火「ですから!この鎮守府から脱走しましょう!」


蒼龍「なんで?」


不知火「ここの鎮守府に居たら、いずれ殺されます!ですから、早く!」


蒼龍「…なんでここに居たら殺されるの?」


不知火「あの司令官のことをご存知ないのですか⁉︎」


蒼龍「不知火ちゃんはあの提督について何を知ってるの?」


不知火「…たくさんの艦娘をこの孤島で様々な方法で惨殺しているサイコパス…と、聞いたことはあります」


蒼龍「えぇぇ…なにそれ…そんな噂が立ってるの…?」


不知火「他にも色々…」


蒼龍「…提督可哀想…」


不知火「はぁ⁉︎」


蒼龍「だって結構いい人だよ?」


不知火「…え?」


不知火「…どういうk」<ガチャ


時雨「あ、起きたみたいだね」


不知火「…時雨さん…?」


時雨「うん。合ってるよ」<バタン


不知火「……」


時雨「えーと…話…続けてくれていいよ」


蒼龍「ありがとう」


不知火「…ここの司令官は一体どんな人なんですか…?」


蒼龍「…何から話そうかな…」


時雨「うーん…」




三日後…

執務室




蒼龍「失礼しまーす」<ガチャ


不知火「…失礼します…」


提督「ん?どうした?」


蒼龍「不知火ちゃんの治療が終わったので、連れてきました」


提督「おお、そうか」


不知火「…この前は…本当に申し訳ありませんでした…」ペコリ


提督「ああ、別に気にしてない。顔をあげてくれ」


不知火「…ありがとうございます」


提督「…それで?何があったか、教えてくれないか?」


不知火「分かりました」←イ級に助けてもらったことはイムヤから聞いている



不知火、説明中…



提督「…なるほど…。まとめると、蒼龍がいなくなった後も不知火は延々と遠征に駆り出され、ついこの間に捨てられた…と言うわけだな?」


蒼龍「……」


不知火「それがあったこと全てです…」


提督「…そうか…よく頑張ったな…」


不知火「…ありがとうございます」


提督「…それで、どうしたい?」


不知火「…え…?」


提督「あのP提督を、お前はどうしたい?」


不知火「…私がどうしたい…ですか…」


不知火「…できるなら、縛って海に捨てて、鮫の餌にしてやりたいです」


提督「…そうか。蒼龍は?」


蒼龍「え?私?」


提督「どうしたい?あのP提督を…?」


蒼龍「…それは…」


蒼龍(…正直…考えたことなかったな…)


蒼龍「……不知火ちゃんと同意見です…」


提督「…分かった」


不知火「……」


提督「…正直、今すぐにでも実行したいところなんだが……奴の鎮守府はここからだと遠い…」


提督「うちにある船で行くには、本土で給油しながら行かないといけないんだが…生憎と、俺は本土には入れないからな…お前らだけで行かせるわけにもいかないし」


提督「…すまんが、今恨みを晴らすのは無理だ…」


不知火「…そうですか…」


提督「…だが、いつかはその恨みを晴らさせると約束しよう。それまで、待っていてくれ…」


不知火「…分かりました」


提督「…それじゃ、これからよろしく。不知火」


不知火「こちらこそ、よろしくお願いします」





その頃…

良野鎮守府正面海域では…




ヒュ〜…


イ級「」ドッカーン!


五月雨「駆逐艦イ級、轟沈!」


白雪「えい!」魚雷発射


シャーーー


ホ級「」バッシャーーーン!


白雪「敵艦隊殲滅完了です」


健四郎『よくやった!じゃあ気をつけて帰ってこいよ」


五月雨・白雪「分かりました!」


五月雨「…うん…?」


白雪「?どうかしましたか?」


五月雨「…あそこ…誰かいる?」ユビサシ


白雪「え?」


五月雨の指の先には、今にも沈みそうなボロボロの艦娘がいる


五月雨「行ってみよう」ザザッ



二人はその艦娘に近づいた



白雪「あの…」


??「……」


五月雨「あのー?」


??「……」


白雪「…すみません、あなたは誰ですか?」


??「……」


白雪(…全然反応しない…どう言うこと…?)


二人が問いかけても一切の反応を示さず、ただフラフラとその艦娘は進む。


ふと、ここで五月雨があることに気がついた。


五月雨「…この頭につけてるのなんだろう…?」


白雪「え?」


彼女の頭には、何かの機械らしきものが付けられていた。


五月雨「…とっちゃえ!」ヒョイ


白雪「あ」


??「……」クラ


白雪「え?」


??「」


五月雨「ちょ、ちょっと?」


??「」


白雪「…気を失ってる?」


五月雨「と、とにかく運びましょう!」




良野鎮守府

ドック




??「…う……うーん……」


五月雨「あ、起きた!」


??(…誰…?)


白雪「こんにちは」


??「…こんにちは…?」


白雪「私は吹雪型駆逐艦、二番艦の白雪です。そして…」


五月雨「白露型駆逐艦、6番艦の五月雨です!あなたは?」


??「…私は…」


安価を取ります。

??は駆逐艦です。

朝潮型

夕雲型

秋月型

以上の内、どれで、誰が良いのかお選びください

コメントされ次第更新します。


→秋月型



再安価を取ります。

??は秋月、照月、涼月、初月の内、誰が良いですか?


→涼月



涼月「秋月型駆逐艦、三番艦の涼月です…」


五月雨「へぇ〜。よろしくね!」


涼月「…あの…」


白雪「なんでしょうか?」


涼月「ここはどこですか…?」


白雪「ここは良野鎮守府のドックです」


涼月「…良野鎮守府…?私はJ鎮守府に居たはず…」


白雪「…J鎮守府…ですか…」


五月雨「聞いたことありますか?」


白雪「…いえ…」


涼月「…私…なんでここにいるのですか…?」


五月雨「それはこっちが聴きたいですよ…」


涼月「え?」キョトン


白雪「覚えてないんですか?あなたはここの鎮守府の正面海域を、一人で彷徨っていたんですよ?」


涼月「…え?」


涼月(…覚えてない…私は気がついたら海の上にいて…J鎮守府の艦隊に拾われて……J提督に挨拶をして…あれ…?)


白雪「?」


涼月「……」


五月雨「…どうしたの?」


涼月「…覚えてません…」


涼月「J提督に挨拶をした後からの記憶が…ありません…」


白雪「…そうですか…」


五月雨「…どう言うこと…?」


涼月「…分かりません…。だけど、その後からの記憶が無くなっているんです…」


白雪「……」


五月雨「えぇ…どう言うことなの…それ…?」


涼月「自分でもよくわからないんです…」


白雪(…もしかして、あの頭につけてた機械のせい…?)五月雨「何か断片的なことでも思い出せませんか?」←後ろの声


白雪(だとすると…あの機械は……)涼月「残念ながら…」


白雪「……」




その後も涼月は、必死に思い出そうとしたが、結局何も思い出せなかった。

三人は、一旦健四郎に話をするため、ドックを出た。


廊下




涼月「…静かですね」


白雪「ここは私と五月雨さんとイクさんしかいませんから…」(現在伊19は孤島鎮守府に行っている)


<うぉぉぉぉ!!


三人「⁉︎」


五月雨「て、提督⁉︎」タッタッタッ


白雪「何かあったのでしょうか⁉︎」タッタッタッ



執務室<誰か助けてくれー!



五月雨「提督!」ドア<バーン!


健四郎「さ、さみだぐお⁉︎」


長10cm砲ちゃん×2(><)←健四郎の背中の上でぴょんぴょん


健四郎「ぐえ⁉︎グハ⁉︎いて⁉︎誰⁉︎か⁉︎止め!て!く!れ!」


白雪「ええ⁉︎ど、どうやって…」


涼月「ふ、二人とも、ストーップ!」


長10cm砲ちゃん×2(・ω・)ピタ


健四郎「た…助かった…」


涼月「えっと…どうしてその人の背中の上で……」


長10cm砲ちゃん×2(´°̥̥̥̥̥̥̥̥ω°̥̥̥̥̥̥̥̥`)


涼月「…え…?どうして泣いて…」


長10cm砲ちゃん×2。゚(゚´Д`゚)゚。ピョン!


涼月「わ⁉︎わ、わ⁉︎」ストン←押し倒される


長10cm砲ちゃん×2。゚(゚´Д`゚)゚。


涼月「…どうしたの…?一体何があったの…?」


長10cm砲ちゃんニゲヨウ!ニゲヨウ!。・°°・(>_<)・°°・。


涼月「…逃げよう…?一体何を言って…」


五月雨「…提督、この子達に何かしたのですか?」


健四郎「いやいや!何もしてない!」


五月雨「ですよね…?」


白雪「……」





長10cm砲ちゃん×2(( _ _ ))..zzzZZ←ソファーでぐっすり中


健四郎「…覚えてない…?」


涼月「はい…」


健四郎「…どういうことだ…?」


白雪「…私なりに考えたのですが、」


白雪「発見した時、涼月さんの頭の上に、何か機械のようなものが取り付けられていました」


健四郎「……機械…?」


涼月「え…?」


五月雨「ああ!あの機械」


白雪「五月雨さん、持っていますか?」


五月雨「…ごめんなさい…。あの時涼月さんを連れて帰るのに必死で、落としてしまいました…」


白雪「…そうですか…」


健四郎「…で、その機械が怪しいと…」


白雪「はい」


健四郎「…そうか。なら、J提督と並行して調べてみることにする。…さて、問題は涼月の今後だが…」


涼月「……」


健四郎「…こんな怪しさ満点の鎮守府には返すわけいかない…」


健四郎「ここにそのまま着任でも良いが、どうしたい?」


涼月「…では、お言葉に甘えて…」


五月雨「!じゃあ!」


涼月「これからよろしくお願いします。提督」


健四郎「うん。こっちこそよろしく」


五月雨「やったー!」


良野鎮守府に、涼月が着任しました。




その後、健四郎は一旦皆を部屋に戻し、一樹に連絡をとった。



孤島鎮守府



プルルルル プルルルル プルルガチャ!

提督「はいもしもし」


健四郎『一樹さん、私です』


提督「ああ、健四郎くんか。どうした?」


健四郎『実は…』


かくかくしかじか…


提督「ふむふむ…J提督ね…」


健四郎『何か知っていればと…』


提督「ちょっと前に一回ここに来たな」


健四郎『ほ、本当ですか⁉︎』


提督「ああ。その時は…」


説明中…


健四郎『へぇ〜…そんなことが…』


提督「まあそんなわけで、白雪の予想は当たってはいるな」


健四郎『…そうですか…にしても、本当にひどいですね…洗脳とか…』


提督「ああ。全くだ…」


提督(…ってうん…?待てよ…?)


提督「……もしかして…」


提督「健四郎くん、涼月は本当に何も覚えてないのか?」


健四郎『はい』


提督「…そうか…」


健四郎『?どうかされましたか?』


提督「…今から話すことは、あくまで俺の仮説なんだが…」


提督「涼月はもしかすると、記憶を封印してしまっているのかもしれない…」


健四郎『…記憶を…封印…?』


提督「ああ。涼月自身の防衛本能で」


健四郎『…どう言うことですか?』


提督「…実は、うちにいる鳳翔なんだが…」


説明中…


提督「と言うわけで、あの機械をつけるのは鳳翔がいた頃は出撃時だけだったようだ」


提督「だから、非番の時の記憶は残っているはずなんだ。実際、鳳翔は非番の時の記憶はある」


健四郎『…なるほど…それは確かにあり得ますね…ですが』


提督「分かってる。他の可能性もある。例えば、休む間も無くずっと働かされていたとか、保護した時が、たまたま初めて出撃した時だったってのも…。だけど、これらは君からの話を聞く限りじゃ、無理がある」


提督「まず、ずっと働かされていただが、これは無理だ。洗脳装置の充電はどうしても鎮守府でやらなきゃいけないし、プログラムとか整備とかも考えると…少なからず休みはあったはずだ」


提督「そして、保護した時がたまたま初めて出撃した時だったってのも、もしそうならその…長10cm砲?って言う生きている砲塔が初対面である健四郎さんを攻撃するほど人間不信になるとは思えない」


健四郎『…確かに…』


提督「だから、非番の時に何か強い衝撃があった…と言うことだ」


健四郎『……』


提督「それか、J提督に捨てられる時に記憶を消されたかと、俺は思う。あくまで仮説だがな」


健四郎『…なるほど…そうですか。分かりました、そのことについても調べてみます』


提督「くれぐれも慎重にな。思い出した衝撃でパニックにならないように」


健四郎『分かりました、ありがとうございました!』


提督「じゃあ、また」


健四郎『失礼しました』


ガチャン(電話を切る音)


提督「……はぁ…」


飛龍「……」




岩場




伊168「……」


伊19「……」ウトウト…


伊19の釣り糸<グイッ!


伊19「!かかったのね!」


ザザッザザッザザーン‼︎


タケノコメバル「」ピチピチ


伊168「あ!タケノコメバル!」


伊19「食べられるの?」


伊168「煮詰めると美味しいよ」


伊168の釣り糸<グイッ!


伊168「お?こっちも来た!」ザパーン


小さなハオコゼ<ヤァ


伊168「……」


伊19「…それはどうなの…?」


伊168「海に返す」


伊19「え?」


伊168「食べられるところが少ない上に鰭の部分に毒があるからね…」


伊19「ど、毒⁉︎」


伊168「だから、釣り糸から取るときも気をつけないと…」


ポチャン…(逃す)


伊168「ふう…」


伊19「…本当にイムヤは色々なこと知ってるのね…」


伊168「ずっとやっていたら慣れるわ。それでも、わからないことがあったら調べるけど…」


伊19「…釣りは簡単そうに見えて奥が深いのね…」


伊168「使う餌や手法によって獲れるものも違うからね。それに、危険な魚も居るわけだし」


伊19「うん」



物陰



伊168<だけど、こう言うのがあるからこそ釣りは楽しいのよ


伊19<それは言えるのね


青葉「……」


青葉(イクさん、無事にやりたいこと見つけられたみたいですね)






涼月が良野鎮守府に着任してから一週間後…。


岸栗鎮守府




岸栗提督「…はぁ…クソ!」ドガッ!(??を蹴る)


??「いっ⁉︎」ドサッ(蹴り倒される)


??「ひっ⁉︎」ビクッ!


??「……」ガタガタガタ


岸栗提督「…弱ぇな…こんくらいでそのザマとは…」


??達「……」ガクガクブルブル


岸栗提督「…ま、所詮は遠征艦隊だ。弱くて当然かw」


岸栗提督「今回の遠征の失敗…本来なら吊るし首だが……ちょうど今俺はやりたいことがあるんだ。それを手伝ってもらう」


岸栗提督「…内容は、孤島鎮守府にこの首輪型の起爆装置をつけて突撃しろ」


岸栗提督「決行は三日後だ。やるよな?」


??達「……」


岸栗提督「返事は?」


??達「…はい…」


孤島鎮守府に、新たな魔の手が伸びていた…。






第二章 孤島鎮守府攻撃









二日後

孤島鎮守府近海海域




涼月「…そこです!」


長10cm砲ちゃん(><)ドン!


彗星改二<ドカーーン!!ブゥゥゥゥゥン………(墜ちていく)


赤城「上乗ね」


涼月「ありがとうございます」


赤城「少し休憩しましょう。あまり詰めすぎるのも良くはありません」



提督『どうだ?涼月の訓練は』


青葉「順調みたいです」


提督『そうか。青葉的に見てどんな戦い方が良いと思うか?』


青葉「そうですね…対空戦闘となると頼もしい限りですが、砲雷撃戦となると…いささか火力が足りませんね…」


提督『防空駆逐艦だからな…』


青葉「はい。できれば対艦戦闘は避けた方が無難かと…」


提督『…そうか…』


青葉「また帰ったらビデオ見せます」


提督『ありがとう』



涼月「…ん?」


赤城「?どうかしましたか?」


涼月「あそこ…」ユビサシ


深海艦載機×10


赤城「…ちょうどいい的ですね」


涼月「墜としましょうか…?」


赤城「やってみなさい」



少女撃墜中…



衣笠「…実戦でも文句なしね」


青葉「そうですね!」




執務室




健四郎「今日はありがとうございました」


提督「気にするな。これくらい」


提督「…どうだ?最近は」


健四郎「まあぼちぼちですね。ただ…」


提督「ただ?」


健四郎「…二ヶ月後くらいにまた大規模作戦があるそうです」


提督「またか…」


健四郎「…そのせいなのか…最近、建造命令書がよく来るんですよ…」


提督「ふーん…で?どうしてるんだ?それ」


健四郎「他の命令書と一緒にシュレッダー行きです」


提督「そこに慈悲は?」


健四郎「ありませんよ」


提督「流石w」bグッ


健四郎「w」bグッ


健四郎(まあ最近では五月雨達が紙飛行機にして涼月の対空訓練に使っているんだけどな…)


提督「…それで、次はどこだ?」


健四郎「南シナ海だそうです」


提督「南シナ海…遠いな…」


健四郎「また長い旅をさせそうです…」


提督「……」



南シナ海…東京から南西に約3000kmに位置する海域





吹雪の部屋



吹雪「最近楽しい?」


白雪「うん」


吹雪「それは良かった」


白雪「吹雪お姉ちゃんはどう…?」


吹雪「私も好きなようにやってるから、楽しいよ」


白雪「そう…」


初霜「…あの…吹雪さん…」


吹雪「何?」


初霜「…そろそろ、本題に…」


吹雪「…そうだね…」


白雪「?本題?」


吹雪「…深雪ちゃんのことでね…」







白雪「……」


初霜「……」


吹雪「……」


白雪「…そう…ですか…」ポロポロ


吹雪「……」ギュ…ナデナデ


初霜「……」




少し経って

医療室




三日月「……」


皐月「はい、あーん」←白米を食べさせている


三日月「あーん…」パク


三日月「……」モグモグ


時雨「…うん。順調に回復していってるね」


提督「それは良かった」


時雨「…ただ、まだ僕たちを警戒しているのか、何があったかは全く話してくれないんだ…」


提督「…そうか…」


時雨「…今はそんな感じだね」


提督「分かった。引き続きよろしく頼む」


時雨「うん」


三日月「……」




その頃…孤島鎮守府近海海域から少し遠く離れた海上…

岸栗提督の船の艦橋で…




岸栗提督「雪宮、隠岐、久しいな」


雪宮提督「岸栗!変わってないな!」


岸栗提督「おいそれどういう意味だコラ」


雪宮提督「そのまんまの意味だよw」ケラケラ


岸栗提督「はぁ⁉︎おい、ちょ、隠岐もなんとか言ってくれよ!」


隠岐提督「…変わってないと思う…」


岸栗提督「隠岐ィー⁉︎」


隠岐提督「…それより、準備はできているんだよな?」


岸栗・雪宮提督「あったりまえだ!」


隠岐提督「岸栗、突撃する駆逐艦は?」


岸栗提督「あそこに待機させてある。あいつらだ」


隠岐提督「ふーん…」


岸栗提督「爆薬も結構積んでいる。このボタンを押せば、あいつらもろともドッカーンだ!」


隠岐提督「雪宮、航空戦力は?」


雪宮提督「航空母艦6、軽空母12揃えた。これくらい居れば、孤島を焼け野原にするには十分だろう」


隠岐提督「そうか…準備万端だな。予定通り…」


雪宮提督「おいおい隠岐、お前の対潜駆逐艦隊は準備できてるんだよな?」


隠岐提督「準備できてなかったら準備万端とは言わない。もちろん、魚一匹でも通したらその場で海底に沈めると言ってある」


岸栗提督「おうおう…えげつないな…」


雪宮提督「流石この中で一番階級が高い分だけあるわ」


隠岐提督「お前らまだ少佐なのか?」


岸栗提督「ああ。そうだ」


雪宮提督「大佐なのはあなただけでっせ」


隠岐提督「…そうか…」


岸栗提督「…それはそうと、楽しみだな…孤島鎮守府が焼けるのは…」


雪宮提督「燃えている鎮守府をバックに飲む酒は格別だろうなw」


岸栗提督「クックック…明日が待ち遠しいぜ…」




安価を取ります。

岸栗提督に無理な命令をされている駆逐艦娘達は

夕雲型(夕雲、風雲、長波)

朝潮型(朝潮、大潮、霰)

吹雪型(初雪、薄雲、磯波)

綾波型(朧、漣、潮)

以上の内どれが良いですか?


<<吹雪型(初雪、薄雲、磯波)



岸栗提督の船のデッキ




初雪「……怖…い…」ガクガクガク


磯波「う…うぅ…ひっく…まだやくにたてますからぁ…」ポロポロ


薄雲「……」




翌日

早朝




岸栗提督「…5時30分…時間だ。雪宮」


雪宮「おう、」ガチャ(マイクを取り出す)


雪宮提督『全員、艦載機を速やかに発艦させろ!6時までに孤島近海海域に全機入らなかったら解体機行きと思え!』


キリキリキリ…ピシュ!


九九式艦爆隊<ブーーン


雪宮加賀「…ごめんなさい…貴方達にまた無理をさせてしまうわ…」キリキリ


雪宮赤城「……」ピシュ!


雪宮の空母達から一斉に艦載機が飛び立った。




a.m.6:00




零戦五二型<ワレ、孤島鎮守府近海海域二到着セリ


岸栗提督「時間ピッタリだな」


雪宮提督「ああ」


隠岐提督「…そろそろ、岸栗の自爆兵器を行かせるとしよう」


岸栗提督「おう、任せておけ」



岸栗は船の側に待機させている薄雲達に発光信号を送った



薄雲「…合図です…」


初雪「……分かった…」フラ…


磯波「……」


薄雲「……」


岸栗提督『とっとと行け』


薄雲「…行きますよ…」


初雪「…うん…」


磯波「……」




艦載機隊<ブーーーーーーー


進む艦載機隊。その下方に…



夜天改妖精1「なんだあれ⁉︎報告しなくては…」


夜天改<我、鎮守府ニ向カウ艦載機大編隊ヲ発見セリ。数多シ


夜天改妖精1「これで良し」


夜天改妖精2「!後方より敵機!」


夜天改妖精「何!」


零戦五二型<ブーーーーン…


零戦五二型<ズダダダダダダダ





孤島鎮守府

提督の部屋




ドア<コンコン


飛龍「提督、よろしいですか?」


提督「…ん?入れ」


ガチャ


飛龍「失礼します」


提督「どうした?」オキアガル


飛龍「哨戒中の夜天改からの通信です。ここに、艦載機の大編隊が向かっているようです」


提督「深海棲艦のか?」


飛龍「いえ…分かりません…。ですが、この通信を聞いた後すぐに通信が切れたので、敵の可能性は大でしょう」


提督「…そうか…」


提督「…方角は?」


飛龍「南西の方角です」


提督「分かった」


<ウーーーーー


提督「ん?」


飛龍「妖精がサイレンを鳴らしたようです」


提督「サイレンなんてあったのか…」






リヴァイアサン「う…ん…」


クラーケン「…あーもう!うるさい!」


リヴァイアサン「…何かあったのかしら…」





川内「何事⁉︎何事⁉︎」


神通「…緊急事態…でしょうか…?」川内「え⁉︎何か私した⁉︎え⁉︎どういうこと⁉︎」


神通「あと落ち着いてください姉さん」←怖い顔(ご想像にお任せします)


川内「はい」シュン




暁「びっくりしたぁ…」


ヴェールヌイ「やれやれ…今回もまた厄介ごとかい?」


電「今度はなんなのです…」メヲコスリコスリ


雷「たくさんの艦載機が襲撃してきたりして…」←当たってる


暁「それはないと願いたいわ…」




吹雪「ふわぁ〜…」アクビ


初霜「何事ですかぁ…?」アクビ


衣笠「眠そうね…」


青葉「無理もありませんよ…」




飛行場




桃華改妖精隊長「全員、機体に乗り込め!さっさとしろ!」


桃華改妖精達「はい!」




a.m.6:20

岸栗提督の船




隠岐提督「…この調子でいけば…7時半には攻撃が開始できそうだ」


岸栗提督「7時半か…できればもっと早く…そうだな、7時に攻撃ができれば良いんだが…」茶を飲む


隠岐提督「それは流石に無理だ。艦載機は陽の光がないと飛んでいられないからな」


雪宮提督「仕方ねぇさ」


岸栗提督「…残念だな…」




その頃…薄雲達は…




薄雲「……」


初雪「…ねぇ」


薄雲「は、はい?」


初雪「…この首輪、どう言う仕組みになってるのかな…?」


薄雲「…恐らく、起爆装置の役割かと…」


初雪「…ふーん…」


磯波「…どうしてそう思うのですか?」


薄雲「今、私たちの艤装の中には大量の爆弾が積まれています…恐らく、首輪はその爆弾を起爆させるための装置かと…」


磯波「…なるほど…です…」


初雪「…薄雲」


薄雲「なんですか?」


初雪「…どうにかして外すことはできないの?」


薄雲「……」


初雪「…どうなの…?」


薄雲「……無理です…」


3人のすぐ近く


海から出る潜望鏡<ジー


小型潜水艇妖精「…へぇ〜…」



一方…サイレンを聞きつけ、発進した桃華隊は…



桃華妖精隊長「いたぞ!敵だ!」



執務室



飛龍「提督、先程発進した桃華隊が編隊を発見したそうです。いつでも攻撃可能とのこと」


提督「いや。待て」


飛龍「え?」


提督「もっと近づけてからにしよう」


飛龍「…?」


提督「さっき、長良から連絡があった。爆弾を積んだ駆逐艦娘3人がここに向かってきていると」


飛龍「え⁉︎ど、どういう…」


提督「…恐らく、敵の作戦はこうだ」


提督「まず、ここを艦載機で攻撃する。そして焼け野原にし、次に、俺を殺すために爆弾を積んだ駆逐艦を混乱の隙を突いて島に侵入させ、最後に俺ごと自爆させる…」


飛龍「……」


提督「…胸糞ひでぇ作戦だ…他の可能性もあり得るが、俺の推測じゃこうなった」


飛龍「…分かりました。しかし、もしその作戦が本当だとしても、それだと尚更早く迎撃したほうが…」


提督「今迎撃してしまうと、奴らは撤退するかもしれん。そうなると、あの駆逐艦達を救えなくなる」


飛龍「…ではどうすれば!」


提督「落ち着け…俺の作戦はこうだ」




提督「…分かったか?」


飛龍「…はい」


提督「よし、皆を会議室に集めてくれ」


飛龍「分かりました!」


ガチャン(飛龍、退室)


提督「…全く…どうして海軍の連中はこぞって俺を狙ってくるかな…」


少し明るくなった空を見ながら、提督はそう呟いた。




a.m.7:10




提督「…もうそろそろだな…青葉、衣笠、準備はいいか?」


青葉『はい!いつでもどうぞ!』


提督「皐月」


皐月『いつでもOKだよっ!』


提督「飛龍、そっちは?」


飛龍『全員準備は整っています』


提督「よし…じゃあ始めるぞ…」


「作戦開始!」







敵艦載機隊<ブーーーー


九九式艦爆A隊1番機隊妖精「…見えてきた…」


遠くに孤島鎮守府が見える。


九九式艦爆A隊長妖精「…我、作戦空域に到達せり…風向き60、風速40ノット…雲量8…と…」


シィーー


九九式艦爆A隊長機銃座妖精「うん…?何か聞こえて…」


零戦五二型妖精『!上から敵機!』


九九式艦爆A隊長妖精「何⁉︎」


桃華改隊長機<シィーー(エンジン音)

桃華改隊長機<ズダダダダダダダダダ


九七式艦攻C隊長機<ヒュンヒュンヒュンヒュン…ドカーン!(発火)


九九式艦爆A隊2番機妖精「ああ!…」


九七式艦攻C隊3番機妖精「クソ!隊長機がやられた!」


零戦五二型A隊長妖精「各自散開し、迎撃に当たうわああああああああああ!!!!!!」


零戦五二型B隊長妖精「つ、つけられう、うわああああああ!!!」


九九式艦爆A隊長妖精「なんだあの戦闘機はぶっ⁉︎」ヒュンヒュン


九九式艦爆A隊長機<ドカーン!(発火)ブゥゥゥゥン…(墜ちていく)


桃華改<ゴオオオオオ!(エンジン音)


九九式艦爆B隊2番機妖精「ああ…隊長機が…」


通信<全攻撃機に告ぐ!敵の戦闘機を振り切り、なんとしてでも鎮守府を攻撃すザーーー


九九式艦爆B隊2番機妖精「…通信が切れた…」



作戦フェーズその1

敵艦載機隊の撃滅


内容

敵艦載機隊よりもさらに上空に待機させていた桃華改150機が満を辞しての攻撃を始める。

まず、敵艦載機の隊長機全機を撃墜する。これには、二つの意味がある。

一つ目は、隊長機を撃墜することで、被害を最小限に抑えること。

隊長機に選ばれている妖精は、他の妖精と比べ練度が高いので、少しでも被害を抑えることができる。しかし、重要なのは二つ目である。

二つ目は、艦隊との通信を出来なくすることである。

遠く離れた艦隊と通信を取るには、高性能な通信機が必要である。しかし、それは基本的に隊長機にしか積まれていない。

何故なら、他の通信機と比べて重い上、コストも結構掛かるからである。

そのため、提督は艦隊と通信できるほどの通信機を搭載しているのは隊長機だけと踏んだ。



九七式艦攻C隊2番機妖精「…隊長機が…全機墜とされた…」


提督の作戦開始の合図と共に上空から攻撃した桃華隊は、5分もたたずとして隊長機を全機撃墜せしめた。


九七式艦攻C隊2番機銃座妖精「…それって…」


九七式艦攻C隊2番機妖精「……」


九七式艦攻C隊2番機妖精「っ⁉︎」ドンドン!


機体が揺れる。


九七式艦攻C隊2番機銃座妖精「対空砲だ!」




海上




霧島「一番二番砲塔、仰角40度、てぇー!」


36.5cm砲<ドーーン!


三式弾改<ヒューーーーー


ドーン!ドーン!(炸裂音)


電・雷「対空ミサイル、全弾発射!(なのです!)」


プシュー(発射音)



上空



九九式艦爆D隊4番機妖精「な、何か飛んでくる!」


零戦五二型C隊5番機妖精『振り切れ!』


九九式艦爆D隊4番機<ブゥゥゥン(回避行動)


九九式艦爆D隊4番機妖精「だ、だめです!うわああああ!!」ドカーーン!(ミサイル命中)


零戦五二型C隊5番機妖精「お、おい!応答しろ!おうt『C隊5番機、後ろつかれてる!』なに⁉︎」


桃華改58番機妖精「逃しはしないぞ!」カチ!(引き金を引く)


桃華改58番機<ズダダダダダダダ


零戦五二型C隊5番機妖精「うぐ!ガハ!……」


零戦五二型C隊5番機妖精「」気絶


桃華改58番機妖精「やったか?」


零戦五二型C隊5番機<ブゥゥゥゥン…(高度を下げていく)


桃華改58番機妖精「…どうやら操縦手が気絶したみたいだな…」



こうして、敵の艦載機は次々と墜ちて行き、8時になる頃には千機は居たであろう敵機は残り30機程度となっていた。



執務室




提督「…もうそろそろいいだろう…」双眼鏡


縁羅「…では」


提督「縁羅、時雨達と準備をしてきてくれ」


縁羅「分かりました」


カチ!(通信を繋ぐ音)


提督「青葉、俺だ」


青葉『はいはい!作戦通り送ればいいんですよね!』


通信室


提督『ああ。頼む』


青葉「任せてください!」


ピ!(通信を切る音)


青葉「衣笠、指示が来ましたよ!」


衣笠「待ってたわ!」





同時刻、岸栗提督の船

艦橋




岸栗提督「…まだか?」


隠岐提督「まだみたいだ」


雪宮提督「はぁああ…退屈だな…」屈伸


岸栗提督「俺は…普通に眠い…」


隠岐提督「今日は結構早起きしたからな。日頃から生活リズム整えてるお前に5時起きはキツかったか…」岸栗提督「フワァ…」アクビ


岸栗提督「6時なら、まだいけるんだけどな…」


ドア<コンコン


隠岐提督「ん?入れ」


岸栗憲兵「失礼します!」<ガチャ


岸栗提督「どうした?」


岸栗憲兵「攻撃隊からの入電です!」


岸栗提督「!聞かせろ!」


岸栗憲兵「は!我、孤島鎮守府攻撃完了せり。鎮守府は被害甚大。大きく黒煙を上げて燃えている…とのことです」


岸栗提督「そうか!」


雪宮提督「よし!」


隠岐提督「フ、作戦通り…」



もちろん、この情報は青葉と衣笠によって送られた偽の情報である。





孤島鎮守府

執務室




青葉『無事偽造文は送れました!』


提督「よくやった。ひとまず、お疲れさん」


青葉『いえいえ』


霧島『提督、聞こえますか?』


提督「ん?霧島か。どうした?」


霧島『襲撃に来た敵機を全機殲滅しました』


提督「そうか!よくやってくれた!」


霧島『これより、生存者の救助にあたります』


提督「分かった。よろしく頼む」


ピ!(通信の切れる音)


提督「…さて…」カチ!(通信を繋ぐ音)


提督「皐月、準備はいいか?」


皐月『うん!』


提督「よし、じゃあ…」


提督「第二フェーズ開始だ!」




第二フェーズ開始後…

鎮守府の外




ユンボ<キュルキュルキュルキュル←何か大きめの機械を運んでいる


妖精C「オーライ、オーライ…ストップ!」


妖精D「ふぅ…ユンボを動かすの大変…」


妖精F「5人係で動かしてるからね…」


提督「どうだ?順調か?」


妖精E「あ、提督!」


提督「おお、お疲れさん」


妖精C「確かこれが最後だったと思います」


提督「ん。お疲れさん」


提督「…にしても…これが長良と明石と夕張が作った発煙装置か…」


発煙装置<デーン!←高さは三メートル弱


提督「…結構でかいな…」


明石「そりゃあまあ白い煙や黒い煙、さらには赤、青、黄色、緑など、カラフルな煙を空高くまで好きな量上げることができますので!」


提督「一種の狼煙をあげる装置だな…」


明石「最初はそう言うのに使おうと思って作ったんですけど…まさかこんな形で使うことになるとは…」


提督「はは…」苦笑い


明石「…と、設定をしなきゃ…」


明石「提督、色は何がいいですか?」


提督「黒に…少し灰色を混ぜた感じがいいな」


明石「量はどれくらいですか?」


提督「最大」


明石「分かりました!」


十分後…


明石「十二機すべて設定し終わりました」


提督「早いな」


明石「長良さんと夕張にも手伝ってもらいましたから」


提督「…ちなみに聞くが、これ大気汚染とか大丈夫なのか…?」


明石「そこは害のないように作られているのでご心配なく」


提督「そ、そうか」


明石「ではいきますよ!発煙装置…全機稼働!」ポチッ!


そう言いながら、明石は手に持っているボタンを押した。


発煙装置<カ!ガガガガガガガガガガガガ(機械音)


提督「…大丈夫なのか…これ…?」


明石「まあまあ見ていてください」


待つこと2分。発煙装置は機械音を立てながら煙を出し始めた。


提督「おお。結構リアルな煙だな」


明石「でしょ?」



因みに配置場所は鎮守府の周りを囲むように九機、屋上に二機、飛行場に一機である。





比叡「うん?」


霧島「どうかしましたか?比叡姉様」救助作業中


比叡「鎮守府から煙が…」救助作業中


霧島「…本当ですね…」


比叡「あれが発煙装置か…」





明石「うまくいきました!あとは…」


提督「…皐月と青葉と衣笠頼みだ…」





その頃…薄雲達はと言うと…




初雪「…あとどのくらい?」


薄雲「あと…距離にして3分の1くらいかと…」


初雪「…もう孤島鎮守府まで半分はとっくに過ぎてたのね…」


磯波「…いや…です…(小声)」ブルブル


初雪「…?何か言った?」


磯波「…まだ…死にたくないです…」ブルブル


初雪「……」


薄雲「……」


初雪「…気持ちはわかるよ…私も怖いもん…」


薄雲「……?」


薄雲「前方から誰かがこちらに向かってきます!」


初雪「え…」


皐月「た、たすけてー!」


初雪「…本当だ…」


磯波「誰ですか!」ジャキ(砲塔を向ける)


皐月「まっ待って!敵じゃないから!」テヲアゲル


3人「……」


皐月「…その…さっきの空襲の騒ぎに紛れて逃げてきたんだ…」


薄雲「…本当ですか?」


皐月「ほ、本当だよ!」


薄雲「……」


薄雲は少し悩んだあと、


薄雲「…分かりました。提督に連絡します…」


皐月(ホ…)



通信室



青葉「!よし!皐月ちゃんは成功したみたい!これで首輪を外せます!」


衣笠「早速取り掛かりましょ!」




実を言うと、この第二フェーズ、最初は無かったのだ。

しかし、ある事実が判明したのだ…。




時は遡り、第一フェーズが始まる三十分程前…



提督「…ハッキング出来ない?」


青葉『はい。早速、あの首輪のハッキングを試みたのですが…』


青葉『…何かに妨害されて、出来なかったんです…』


提督「…電波妨害か?」


青葉『恐らく…』


提督「…何か他に手は?」


青葉『あるにはありますが…』


提督「言ってくれ」


青葉『…ハッキング対象である首輪まで、今私の手元にある通信機械を持って行ってくれれば、出来るかと…』


提督「…そうか…」


青葉『……』


皐月「その機械、ボクでも持てるかな?」


提督「うお⁉︎いつからいたんだ?」


皐月「電波妨害か?のところから」


提督「そ、そうか…(気づかなかった…)」


皐月「ドアも開きっぱなしだったから静かに入れたしね」


提督「あ…本当だ…」


皐月「…で?どうなの?」


青葉『まあ…さほど重くはないので大丈夫かと…』


皐月「じゃあ決まり!」


提督「…大丈夫…なのか…?」


皐月「平気平気!任せてよ!」


提督「……分かった。頼んだぞ」


皐月「うん!」




そして現在に至る。




青葉「…よし……」カタカタカタカタ←ハッキング中


青葉「……な⁉︎」


衣笠「どうしたの?」


青葉「…パスワード式ですか…」苦い顔


衣笠「え?」


青葉「どうやらあの首輪を外すにはパスワードがいるそうです…」


衣笠「……」


青葉「…そう世の中簡単にいきませんよね…。急がないと!」


衣笠「私も手伝うわ!」




再び海上…




岸栗提督『…皐月と言ったな?』


皐月「う、うん…」


隠岐提督『…ちょうどいい。お前、孤島鎮守府の内部には詳しいか?』


皐月「…まあまあ…」


隠岐提督『よし。じゃあ薄雲達を孤島鎮守府の提督の元まで送れ』


皐月「え…」


隠岐提督『これは命令だ。やるよな?』


皐月「……」


皐月は少し悩んだ後、


皐月「…分かったよ…」




通信室




青葉「……」カタカタカタカタ


[2837364732]


ブー!


青葉「くぅ…」


[2937364539]


ブー!


青葉「う…」


[1355445434]


ブー!


青葉「……不味い…」


[後一回間違えると1時間操作できなくなります。]


青葉「…どうすれば…」


衣笠「…ねぇ…青葉…」


青葉「…何ですか?」


衣笠「パソコンの中にあるメモ帳にパスワードを忘れた時にって言うのを見つけたんだけど…」


青葉「!見せてください!」


衣笠「…これよ…」


メモの内容[9,542,655,632+6,321,165,599+3,589,654,721+5,625,457,552+8,541,230,258×5から稲を刈る]


青葉「…何これ…」


衣笠「稲を刈るって…」


青葉「…とりあえず、稲を刈るは置いといて、計算してみましょう…」




海上




皐月「こっち…」


薄雲「……」


初雪「……」


磯波「…分かりました…」


皐月(…まだかな…)


薄雲「…皐月さん…」


皐月「何?」


薄雲「…孤島鎮守府の提督は…どんな方ですか…?」


皐月「……」


皐月(どう答えるべきだろう…)


皐月「…他の鎮守府と同じような感じ…かな…?」


薄雲「…そうですか…」


皐月(ふう…こう言うのって意外と大変なんだね…)




通信室




ドア<ガチャ


提督「どうだ?」


青葉「あ、提督」


提督「結構梃子摺っている様だな…」


青葉「首輪を外すためのパスワードがまだなんです…」


提督「…何かヒントとかは掴んでないのか?」


青葉「ヒントらしきものは見つけました。これなんですが…」例のメモを見せる


提督「…どれどれ…」


提督「…稲を刈る…?」


青葉「何か分かりませんか…?」


提督「…分からんな…一回この計算の結果を聞かせてくれ」


青葉「結果は67,785,084,794でした」


提督「6億……」


提督「…衣笠、紙とペンを取ってくれ」


衣笠「分かったわ」



提督「…67,785,084,794から稲を刈る…か…」←計算結果をメモに書き出した


青葉「…こう見てみると、数字の数は11個ですね…」


提督「…パスワードは何文字だ?」


青葉「10文字です」


提督「…じゃあこの中からどれか1文字消えるってことだな?」


青葉「…はい…」


提督「じゃあ一つずつ試してくれ」


青葉「…それが…」


提督「?」


青葉「次失敗すると一時間操作できなくなるんですよ…」


提督「…何…」


青葉「…ですから、一発勝負です」


提督「…そうか…」


衣笠「…ちなみに、その駆逐艦達は今ここからどれくらいのところにいるの?」


提督「後15分もしないうちに到着するところまでだな…」


衣笠「もう時間がないわね…」


提督「ああ。急がなければ…」


提督(…この数字の中から稲に関係する数字か…)


三人「うーん…」頭を捻らせる


提督「……いや…違うな…」


青葉「……稲…」


衣笠「…稲に関係する数字って…」


提督「…待てよ…」


提督「………あ!」


青葉「何か分かりましたか⁉︎」


提督「分かったぞ!5だ!」


衣笠・青葉「5?」


提督「二人とも、五円玉見たことあるか?」


青葉「五円玉…?」


衣笠「…お金?」


提督「そうだ。見たことないのか?」


青葉「はい…そもそも私たち、お金なんて持ったことありませんよ…」


提督「…そうか…。まあ五円玉硬貨には稲が彫られているんだ。こんなふうに」


そう言うと、提督はポケットから五円玉を取り出し、二人に見せた


青葉「…これが…五円玉…」


衣笠「…確かに…稲が彫られてるわね…」


提督「と言うわけだ。さ、これでパスワードを」


青葉「分かりました!」


[6778084794]


青葉「お願いします!合っていてください!」


カチッ!(スペースキーを押した)


提督(…頼む…)


画面<送信中…



画面<変更が完了しました


三人「!」




皐月side




首輪<ピ!


薄雲「え?」


首輪<ピピピピピピピピピピピピピピ


初雪「あ…」


磯波「な…何ですか…?」


首輪<ピピピピピピピ!……カチャ!(首輪が外れる音)


初雪「…え…」


ポチャンポチャンポチャン…


薄雲「…え…?」


初雪「首輪が…」


磯波「外れ…た…?」


皐月(…やっと…か…)信号拳銃を取り出す


薄雲「…皐月さん…?」


皐月「うまく行ったみたいだね…」プシュー!(彩光弾発射)


信号弾は空高く登って行き…


ヒュ〜  バン!


赤い色素をばら撒いた。


飛龍「!合図です!」


提督『よし!じゃあ第三フェーズ開始だ!』




それから10分後…岸栗提督の船の艦橋では…




岸栗提督「おーい、雪宮、こいつを見ろ」っ大きめの箱


雪宮提督「あ?」


雪宮提督「……こいつは…天恵の美酒、大信州 香月じゃねぇか!どこで手に入れたんだ⁉︎」


岸栗提督「俺が見つけた特殊なルートでさ」


雪宮提督「お、教えろ!」


岸栗提督「えー…どうしよっかな…」


雪宮提督「勿体ぶるなよ!」


隠岐提督「うるさいぞ。酒のことでいちいち騒ぐな」


岸栗提督「…はぁ…隠岐は本当に酒には無知だよな…」


隠岐提督「…必要性がない…」


岸栗提督「相変わらずお堅いことで…」


ドア<ガチャ

岸栗憲兵「失礼します!」


岸栗提督「うぉ⁉︎……何だ君か…何用だ?」


岸栗憲兵「は!薄雲からの通信です!我、孤島鎮守府提督ヲ拘束セリ!です!」


雪宮提督「やっとか!」


隠岐提督「よし。岸栗、あとは頼む」


岸栗提督「おう、任せとけ」


岸栗提督「地獄で死んだママと一緒に業火で焼かれな!」ポチ(起爆スイッチオン)



海中



首輪<ピーーーーーー


ボーーーーン!!!(水中で爆発した音)



海上



バシャーーーーン!!!


海に大きな水柱が上がった。


皐月「…ふう…」


暁「何とか成功したわね…」


ヴェールヌイ「…爆薬どれくらいだったんだろう…?」


薄雲「…皐月さん」←皐月におぶられている


皐月「何?」


薄雲「…そろそろ説明してくれませんか…?どう言うことなのかを…」


ヴェールヌイ「説明してって…もう大体わかってるんじゃない?」


薄雲「…はい…しかし、確証は得てないので…」


初雪「…私は…何も分からない…」←暁におぶられている


磯波「同じく…」←ヴェールヌイにおぶれれている


皐月「うーん…それは全部終わった後で説明するよ」




再び岸栗提督の船の艦橋




雪宮提督「…どうだ?」


岸栗提督「…あいつらの信号が消えた。成功だ!」


雪宮提督「よっしゃ!」


隠岐提督「ふ…孤島の悪魔…あっけなかったな…」


雪宮提督「よし!じゃあ燃える鎮守府を見ながら呑むとしよう!」


岸栗提督「機関始動!孤島鎮守府に向かうぞー!」


岸栗の部下達「「了解!」」


隠岐提督「おい、聞こえるか?朝潮」


隠岐朝潮『は、はい、何でしょうか…?』


隠岐提督「これから孤島に向かう。しっかり護衛しろよ」


隠岐朝潮『もも、もちろんです!護衛させていただきます!』


隠岐提督「…もし、俺たちの身に何かあったら…分かってるよな…?」


隠岐朝潮『そ、そのようなことが無いようにします!』


隠岐提督「それでいい」




同時刻、船団の上空10,000mでは…




桃華改妖精「およ?動き出した…」


桃華改妖精「…ま、いっか…作戦には支障ないし…」


桃華改妖精「…一応報告はしておこう…」




孤島鎮守府近海海域




飛龍「…分かったわ。引き続きよろしく…」


蒼龍「何かあったの?」キリキリキリ


飛龍「敵の船団がこっちに向かってきているみたい」


蒼龍「ふーん…」ピシュ!


赤城「まあ作戦には支障はないでしょうから気にすることはありませんね」ピシュ!


加賀「…おっと、艦載機がなくなっちゃいました…」


蒼龍「あ、私も」


千代田「私はとっくに無くなってます」


赤城「私もこれが最後ね」ピシュ!


飛龍「私も」ピシュ!


加賀「…ふう…」


赤城「ちょっと疲れましたね…」ノビー


飛龍「あとは航空隊の皆さんに任せて、一休みしましょう」


蒼龍「賛成!」




それから1時間程経ち、岸栗提督達の船団では…


異変を感じている者がいた。




雪宮瑞鳳「…おかしい…」


雪宮祥鳳「…ええ…」



雪宮翔鶴「…瑞鶴、そっちはどう?」


雪宮瑞鶴「……ダメ…応答がない…」


雪宮翔鶴「こっちもよ…」



雪宮加賀「…こうも通信が悪いと嫌な予感がするわ…」


雪宮赤城「…本当に通信が悪いのでしょうか…?」


雪宮加賀「…それ以外、想像したくもありません…」


雪宮飛龍「…!帰還機です!」


雪宮加賀「え?」


雪宮赤城「何機ですか?」


雪宮飛龍「っ⁉︎……一機のみ…」


九七式艦攻F隊2番機<ブーーーーーン…←穴だらけ傷だらけでフラフラと飛んでいる


雪宮加賀「…飛行しているのがやっとみたいね…」スッ…(飛行甲板を伸ばす)


九七式艦攻はフラフラと飛びながらも雪宮加賀に着艦しようと体制を立て直す


雪宮加賀「その調子…」


九七式艦攻F隊2番機<ヒューヒューヒューヒュゥゥ…(エンジンが止まる)


雪宮加賀「っ!」


だが、ここでエンジンが止まり、着艦コースを外れ、墜ちていく…


パシャン!(海に落ちる音)


最後は雪宮加賀の足元に墜ち、そのまま沈んでいった…


雪宮加賀「……」


雪宮赤城「…そんな…」


雪宮飛龍「…どう言う…こと…?」


雪宮蒼龍「何があったの…」


雪宮加賀「……」シャガム


雪宮加賀はそっとその九七式艦攻に乗っていた妖精を掬い上げた。


雪宮加賀「大丈夫?」


妖精「な、なんとか…」


雪宮加賀「一体何があったの?あなた以外の艦載機達は…?」


妖精「…みんな…やられた…」


雪宮飛龍「え…」


妖精「みんな、みんな墜とされた…」


雪宮加賀「…何に…?」


妖精「みたこともないくらいものすごい速さで飛ぶ戦闘機に…」


雪宮蒼龍「…零戦よりも早いの…?」


妖精「うん…。零戦よりも早かった…なすすべもなく墜とされたよ…」


雪宮赤城「零戦よりも早く飛ぶ戦闘機……」


妖精「…あと、対空砲火…」


雪宮加賀「…敵の艦隊を見たの…?」


妖精「…いや…もうその時にはボロボロだったから逃げるのに必死で…」


雪宮加賀「…そう…」


妖精「…もう疲れた…休んでもいい?」


雪宮加賀「ええ。ゆっくりやすみなさい…」


妖精「ありがとう…」


妖精はそう言い終わると、静かに寝てしまった。


雪宮加賀「……」


雪宮赤城「…どうしましょう…」


雪宮飛龍「提督に報告する…?」


雪宮蒼龍「いやいや!こんなこと報告したら何されるか分からないよ!」


雪宮加賀「…それでも、黙っていてもどうせバレます。報告しましょう」


雪宮蒼龍「えぇ⁉︎加賀さん本気ですか⁉︎」


雪宮加賀「なってしまったものは仕方ありません。ここは腹を括ってください」


雪宮蒼龍「むむむむむ………分かったよ…」


雪宮赤城「では、私が報告します」




同時刻、前方を先導中の駆逐艦隊にて…




隠岐朝潮「……」


隠岐大潮「…大丈夫…?」


隠岐朝潮「…うん…大丈夫…。それより見張りをしないと…」双眼鏡を覗く


隠岐大潮「…無理はしないでね…」


隠岐朝潮「……」


隠岐大潮「……?」


隠岐朝潮「…あ…あ…」ガタガタガタガタガタガタガタ


隠岐大潮「え?どうしたの?」


隠岐朝潮「て…」


隠岐大潮「て?」


隠岐朝潮「敵機…」


隠岐大潮「え⁉︎」双眼鏡を覗く


隠岐大潮「……あ…」


大潮の双眼鏡に、数え切れないほどの艦載機が写った。




岸栗提督の船の艦橋




雪宮提督「あ?帰還機が一機だけだと?」


雪宮赤城『帰ってきた妖精曰く、敵の戦闘機と対空砲で墜とされたそうで…』


雪宮提督「…はぁ?」


隠岐提督「おいおい雪宮、お前のところの艦載機の実力はその程度か?」


岸栗提督「孤島鎮守府の対空砲と戦闘機に墜とされるって…相当だぞ?」


雪宮提督「お、お前ら…」


ピ!(通信が入る音)


隠岐大潮『隠岐提督!敵襲です!』


三人「は?」


隠岐提督「…深海棲艦か…」


隠岐大潮『いえ!深海艦載機ではありません!あr『大潮、危ない!』』ドカーーン!(爆発音)


ブツッ! ザーーーーーー


隠岐提督「……は?」


岸栗提督「…深海の奴らじゃない…?」


雪宮提督「…どう言うことだ?」


外<ブーーン ブーーン


岸栗提督「⁉︎おい!外を見ろ!」






飛龍「提督、艦載機隊が攻撃を開始しました!」


提督「よし、作戦通り頼む」



ここで、第三フェーズについて説明しよう。

まず、薄雲達を助けるため、彼女らの艤装を外し、海に捨てる。

そしてある程度離れた後、偽の文章を送って爆破させる。

ここまではうまく行った。

次に、航空隊による反撃作戦が始まる。



天山改二<ブーーーン パシャン(魚雷投下)


魚雷<シィーーーーー


隠岐提督の船<バッシャーーーン!(命中)


隠岐水兵A「左舷に避雷!機関室浸水!」


隠岐水兵B「続いて左舷!雷跡二つ!」


隠岐水兵C「面舵いっぱーい!」


隠岐提督の船は魚雷を避けようと右に船首を向ける。


だが、遅かった


バッシャーーーーン!!(命中)


二つのうち一つが船首に命中。さらに…


天山改二<ブーーーン! パシャン(魚雷投下)


投下された魚雷は船尾に向かい…


バッシャーーーーン!!(命中)


隠岐水兵D「クソ!今の避雷で舵が壊れた!」



一方、雪宮提督の船は…



雪宮提督『おい!聞こえるか⁉︎』


雪宮水兵A「はっはい!聴こえております!」


雪宮提督『いいか!奴らを叩き落とせ!全力で船を守るんだ!』


雪宮水兵A「りょ、了解しました!」


プツッ!


雪宮水兵A「……はぁ…」


雪宮水兵B「!おい、A、避けろ!」


雪宮水兵A「え?」


彗星改二<ブーーーン ヒュ~(爆弾投下)


雪宮水兵A「うおおおおお⁉︎」


ドカーーーン!!




攻撃隊はその後も雪宮提督と隠岐提督の船を狙った。攻撃隊にも多少被害は出たものの、攻撃は成功し、海上に残ったのは岸栗提督の船と、隠岐艦娘達、雪宮艦娘達になった。


戦闘が始まって数分経過した頃…


岸栗提督の船の艦橋




隠岐提督「…なんてことだ…」


隠岐水兵C『現在、駆逐艦に対空戦闘をやらせていますが……この船の沈没は免れません…』


隠岐提督「…分かった…全員に通達、総員退艦せよと…」


雪宮水兵B『雪宮提督、船はこれ以上持ち堪えそうにありません…』


雪宮水兵B『総員退艦の決断を…』


雪宮提督「…ああ。分かった。総員退艦せよ…」


ピ!(通信の切れる音)


雪宮提督「……」


隠岐提督「…やられたな…」


雪宮提督「奴らはどうやら一通り攻撃し終わったみたいだ。帰っていってる…」


隠岐提督「だが、すぐに第2波がくるだろう…」


岸栗提督「次はこの船だ…。どうする?」


隠岐提督「……」


雪宮提督「…俺は今回は退くべきだと思う。流石にこれ以上の被害はごめんだ」


岸栗提督「俺も賛成だ…」


隠岐提督「…そうか…」


雪宮提督「ま、目的は果たせたし、これで満足じゃねぇか?岸栗」


岸栗提督「…まぁ、そうだな。退くとしよう。隠岐、お前もそれでいいな?」


隠岐提督「二人がそれでいいなら」


岸栗提督「よし、じゃあ撤収するか」




孤島鎮守府




飛龍『提督、敵が撤退し始めました』


提督「…そうか」


飛龍『攻撃を続行しますか?』


提督「…いや、もう十分だろう。第二次攻撃を取りやめてくれ」


提督「全員に告ぐ、作戦終了、ご苦労様だった。あとはゆっくり休め」


皆『『はい!』』


ピッ!(通信を切る音)


提督「…ふう…」


縁羅「お疲れ様です。はいどうぞ」っ水


提督「ああ、ありがとう縁羅」


縁羅「いえいえ」




少し休憩して…




提督「そういえば縁羅」


縁羅「なんですか?」


提督「皐月が連れて帰ってきた艦娘達はどうしてる?」


縁羅「医療室で時雨ちゃんから検査を受けていますよ」


提督「そうか」




医療室




時雨「うーん…みんな疲労が目立つね。それ以外は特に無いよ」


時雨「だからしばらく休むことだね」


薄雲「ありがとうございます」


初雪「…でも…休ませてくれるかな…」


時雨「そこは大丈夫だよ」


三人「…え…」


時雨「ここの提督は優しいからね」


初雪「…ここの司令官が…」


磯波「優しい?」


時雨「うん」


薄雲「…どういうことですか…?」


時雨「…何から話そう…」


ドア<ガチャ


吹雪「失礼し…」


初雪「……」( ゚д゚)


磯波「え…」( ゚д゚)


薄雲「……」( ゚д゚)


吹雪「……」( ゚д゚)


時雨「…いいタイミングだね…」


四人「「「「えええーーー⁉︎⁉︎⁉︎」」」」




翌日

執務室




コンコン


提督「いいぞ」


吹雪「失礼します」ガチャ


薄雲「失礼します…」


初雪「し、失礼します…」


磯波「失礼します…」


提督「…もしかして君たちは…」


薄雲「はい。昨日は助けていただきありがとうございました」


提督「もう大丈夫なのか?」


薄雲「はい。おかげさまで」


提督「それは良かった。早速だが、名前を教えてくれ」


薄雲「はい。私は特型駆逐艦、7番艦の薄雲です」


初雪「初雪…です…」


磯波「磯波と申します。よろしくお願いします…」


提督「…特型駆逐艦…?てことは…」


吹雪「はい!三人とも私の妹達です!」


提督「三人ともか!」


吹雪「はい!」


提督「…そうか。それは良かったな」


提督「…さて、三人ともここに着任した…ということでいいんだよね?」


薄雲「はい…」


提督「よし、じゃあ早速だが、三人に任務を与える」


提督「自分のやりたいことを見つけろ」


提督「なんでもいい。どれほど時間をかけてもいいから、必ず見つけてくれ」


提督「分かったか?」


薄雲達「はい!」




こうして、また孤島鎮守府に新たな仲間が加わったのであった。




それから三日後…

良野鎮守府




健四郎「……」カリカリカリ


五月雨「…ん?」ペラ…


健四郎「どうした?」


五月雨「これ…」っ封筒


健四郎「ん?」


健四郎は早速封筒の中身を取り出し、入っていた書類に目を通す。


健四郎「……」


健四郎「…マジか…」


五月雨「司令官?」


健四郎「どうやら明日、雛吹中佐が視察に来るみたいだ」


五月雨「え…」







第三章 良野鎮守府視察






翌日

良野鎮守府近くの町中の広場



??「…何もない場所だな」


??「そうですね」


??「…と、来たか…」


??達の側に一台の車が止まる


その中から、白い軍服を身に纏った人が出てきた。


白い軍服「…少し早すぎたか…」


部下A「まだ約束の時間まで1時間はありますよ…」


白い軍服「軍部の出ならこれくらいに来ている奴もいるんだが…彼は確か民間の出だったか…?」


部下B「はい。そうですね」


白い軍服「ならしょうがない…待とう…」


??「……」ザッ…


白い軍服「ん…?」


??「雛波中佐か?」


白い軍服→雛波「ああ。俺だ」


??「そうか…なら…」


??「死んでもらう!」チャキ(銃口を向ける)


部下A「中佐!」


バキューン!バキューン…




約1時間後…




健四郎「確かこの辺りだったはず…」


白い軍服「ちょっといいか?」


健四郎「はい?」クルッ


白い軍服「貴様が良野鎮守府の提督か?」


健四郎「はい。そうです」


雛波「そうか。私が雛波中佐だ」


健四郎「あ、貴方が…。はじめまして」


雛波「うん。早速だが、貴官の鎮守府に案内してくれ」


健四郎「はい。こちらです」


部下A「……」チラ


??達「」(死亡)←健四郎からは見えないよう茂みに隠してある


部下A(奴らは銃をもってなおかつ五人も居たというのに、あんなにいとも簡単に鎮圧するとは…)


部下A(雛波中佐、絶対に敵にしたくないお方だ…)




良野鎮守府




雛波「ここが良野か」


健四郎「はい」


ガラガラガラガラガラガラガラガラガチャン!(門が開く音)


健四郎「どうぞ」


雛波「ん…」


雛波「…随分と小さい鎮守府だな。戦力はどのくらいだ?」


健四郎「駆逐艦五月雨、白雪、涼月、潜水艦伊19。以上です」


部下達<ザワッ


部下C「小規模だな…」ヒソヒソ


部下A「資材が回ってきてないってわけでもないだろ?孤島鎮守府じゃあるまいし…」ヒソヒソ


部下B「もしかして、建造ドックが壊れてるのか?」ヒソヒソ


雛波「少ないな。建造ドックは…壊れてはないようだな?」


健四郎「はい。壊れてはいませんよ」


雛波「そうか。今まで何回建造してきたんだ?」


健四郎「いえ。建造したことはありません」


部下達<エ!?


雛波「…やったことがない…?」


健四郎「はい」


雛波「どういうことだ?貴官はこの鎮守府に着任してから数ヶ月は経っているはず…。にもかかわらず、その数ヶ月間、貴官は建造を一度も行わなかったのか⁉︎」


健四郎「はい」


雛波「…その数ヶ月間、貴様は何をしていた?」


健四郎「最低限度の出撃任務しかしていませんでしたよ」


雛波「最低限度って…どれくらいだ?」


健四郎「一週間に出撃は3、4回程度、遠征は…やったことがありませんね」


雛波「っ!何故だ!何故貴様はここにいる!国を守りたいという意思がないのか⁉︎」


健四郎「…私自身、軍役に自ら就いたわけでもなく、それどころか軍隊というのを嫌ってさえいました」


健四郎「そんな私は幸か不幸か、妖精が見える体質に生まれてしまいました。それが原因で、私はあの日、強制徴兵されました」


健四郎「私は強制的にここに連れてこられたのであって自分の意思でここにいるわけではありません。それだけは、勘違いしないでいただきたいです!」


雛波「っ!…」


雛波「……そうか…」




執務室




健四郎「どうぞ、そちらにお座りください」


雛波「分かった」


そう言うと、雛波は健四郎から見て、向かい側のソファーに座った


ドア<ガチャ


五月雨「失礼します。お茶を持ってきました」


健四郎「おお、ご苦労様」


五月雨「いえいえ」ニコ


雛波「⁉︎」


雛波(艦娘が…笑った…?)


雛波(今まで見たことがない…艦娘が笑った所など…)


雛波(一体彼は、ここの艦娘達に何をしているのか…?)


健四郎「?雛波中佐、どうかしましたか?」


雛波「!い、いや…なんでもない…」


健四郎「…?」



それから少し雑談した後…(五月雨は退出)



雛波「…一つ質問いいか?」


健四郎「はい?なんでしょうか?」


雛波「君は普段、艦娘達にどのように接しているのだ?」


健四郎「…どのように接している…ですか……」


健四郎「うーん…」


健四郎は少し考えた後


健四郎「…仲間として…ですかね…」


雛波「仲間として?」


健四郎「私にとって彼女らは大切な部下であり、また、大切な仲間でもあります」


雛波「…なるほど…つまり、貴官は艦娘を“兵器”としてで無く、“人”として接しているのだな?」


健四郎「はい」


雛波「ほう…」


雛波は少し間を置いた後…


雛波「…はっはっはっはっは!面白い、実に面白い!」


そう高らかに笑った


健四郎「…?」


雛波「正直、貴官のような異端な人間に会うのは何年ぶりだろうか」


健四郎「…異端…」


雛波「ああそうだ。だから、面白い」


健四郎「…はぁ……そうですか…」


雛波「…まあ、貴官のやり方がどうであれ、妖精が見えない俺が口を出す権限は無い」


雛波「これからも頑張ってくれ」


健四郎「はい!」


雛波「…さて、そろそろ俺はお暇させてもらうとしよう」


健四郎「もう行かれるのですか?」


雛波「ああ。生憎と、今日は予定が一日中ぎっしり詰まっているのでね」


健四郎「大変ですね…頑張ってください」


雛波「ん。ありがとう」


その後、雛波中佐は、部下達を引き連れて良野鎮守府を去っていった。




同日

孤島鎮守府

通信室




衣笠「……」


ドア<ガチャ


青葉「ただいま…ってあれ?」


衣笠「……」


青葉「どうしたんですか?衣笠、そんな顔して…」


衣笠「…青葉…」


青葉「?」


衣笠「…ちょっとこれ…聞いてくれる?」


青葉「?いいですけど…」


ラジオ『比良海鎮守府の提督が殺害されてから13日目の今日、とうとう、容疑者の処刑が行われることになりました』


青葉「へぇ…」


ラジオ『容疑者は、球磨型軽巡洋艦、五番艦の木曽』


青葉「⁉︎」




処刑場




木曽「……」←目隠しをされている


執行長「構えろ」


執行官「……」チャキチャキ(銃を構える)


執行長「よーい…」


木曽「……」


執行長「撃てぇー!」


バキュン!バキュン!バキュン!……






第四章 死闘の先に…






執務室




提督「…そうか…」


青葉「…はい…」


提督「…動機は?分からなかったか?」


青葉「はい…。放送では伝えられていませんでした…」


提督「…そう…」




医療室




時雨「……」


三日月「……」


時雨「…うん、もう大丈夫だと思うよ」


皐月「本当!良かったぁ…」


三日月「…あの…」


時雨「ん?なんだい?」


三日月「…私は…これからどうなるのでしょうか…?」


時雨「それは君次第だよ。先ずは、ここの提督に挨拶しないとだね」


三日月「…そうですか…」


皐月「大丈夫、ボクも一緒に行ってあげるから!」


三日月「…あ、ありがとう…」




執務室





提督「……」


ドア<コンコン


提督「ん?いいぞ」


ガチャ

皐月「失礼しまーす!」


三日月「…失礼します…」


提督「お?もう大丈夫なのか?」


三日月「はい…おかげさまで…」


提督「そうか、それは良かった。だが、まだ病み上がりだから無理はするなよ」


三日月「はい…お気遣いありがとうございます…」


提督「…さて、早速だが三日月」


三日月「は、はい」


提督「ここに来る前、何があったか…教えてくれるか?」


三日月「…分かりました…」


三日月「私の前の鎮守府は、舞鶴鎮守府でした…」


提督「舞鶴か…有名な所だな…」


三日月「…はい…」


三日月「そこでは、捨て艦戦法と言う戦法がありました」


提督「……」


三日月「…もう…お分かりでしょう…?」


提督「…ああ…」


皐月「うん…」


三日月「……」


提督「……」


三日月「…司令官」


提督「ん?」


三日月「司令官はこれから、三日月をどうするおつもりですか?」


提督「いや、どうするもこうするも…どうにもしねぇよ…」


三日月「え…」


提督「逆に聞くけど、お前は俺にどうされると思ってるんだ?」


三日月「そ…それは……解体…」


提督「いやなんでだよ、なんでお前を解体するの?俺」


三日月「じゃ、じゃあ…処刑…?」


提督「しねぇよ…」


三日月「…じゃあ…沈むまで…遠征ですか…?」


提督「…はぁ〜(溜息)…そんなことしねぇよ…」


三日月「じゃあ何をするんですか!」


提督「いやだから、何もしないって言ってるだろ…」


三日月「……」


提督「…じゃあ、命令を下そうか…」


三日月「…何ですか…?」


提督「…自分のやりたいこと、好きなことを見つけて自由に生きろ。分かったか?」


三日月「え…」


提督「別にお前の人生なんだからお前の好きなように生きるのが良い。俺はお前も含め、この島にいる艦娘達が自由に生きるために、出来る限りフォローするだけだ」


三日月「…自由に…生きる…?」


提督「ああそうだ。自分の好きなことを思う存分やれば良い。逃げたいと思ったなら逃げても良い。嫌なことははっきりと嫌と言え」


提督「この先の人生、誰にも捉われずに自由に生きろ。命令は以上だ」


三日月「……」


三日月「……」ウル…


すると三日月は、ボロボロと泣き始めた。


三日月「あ…ありがとう…ございます…ありがとうございます…!」


提督「……」


提督は泣きじゃくる三日月の頭を、そっと撫でた。




食堂




吹雪「…静かですね…」


鳳翔「今、殆どの娘達は資源採集やら特訓やらで海に出ていますからね。そういえば磯波ちゃんと初雪ちゃんは?」


薄雲「二人とも部屋でのんびりしていますよ」


鳳翔「そうですか」


吹雪「…ねぇ、薄雲ちゃん」


薄雲「何でしょうか?」


吹雪「薄雲ちゃんは…また海に出るの?」


薄雲「え…」


吹雪「艤装が直ったら、また海で戦うの?」


薄雲「……」


薄雲(…そういえば…考えたことも無かったな…)


薄雲(人々を守る為、深海棲艦を倒す…それが、私達艦娘の使命…)


薄雲(…そう…教え込まれてきた。…小さい頃から…)


吹雪「…薄雲ちゃん?」


薄雲「あ、はい。何でしょうか?」


吹雪「どうしたの?さっきから固まって…」


薄雲「何でもありません。気にしないでください」


吹雪「?」


鳳翔「…まあ薄雲さん、これからのことはまた今度考えましょう。今はゆっくり休むことに専念してください」


薄雲「はい!」




皐月の部屋




皐月「ここがボクの部屋だよ」


三日月「わぁ…広い…」


皐月「でしょ?」


三日月「こんなに広い部屋…本当に使っても良いの?」


皐月「うん」


三日月「…すごい…」


それから少しした後、三日月は皐月にこう問いた


三日月「…皐月姉さんは…どう言う経緯でこの鎮守府に来たの?」


皐月「…聞きたい?」


三日月「…うん…」


そして、皐月は、自分が元は人間で、孤児院に居たこと。睦月と望月のこと。施設で艦娘に変えられ、数年間そこで地獄のような日々を送ったこと。V提督に睦月と望月を殺された事…など、今まで自分の身に降りかかった事全て話した。


三日月「そんな事が…」


皐月「……」ポロ…


三日月「…皐月姉さん?」


全てを話し終えると、皐月は涙を流していた。


皐月「…ごめん…いまだに思い出すと、耐えられないんだ…ごめん…」ポロポロ


三日月「……皐月姉さん…」ギュ…


三日月は、涙を流す皐月に掛ける言葉が見つからず、ただ抱きしめることしか出来なかった…。






それから数時間経ち、日も落ちた頃…


ある町の人目につかない路地裏で、四人の男が集まっていた。




??1「おい、ここ本当に誰にも見られてないよな?」


??2「大丈夫だ。俺たち以外誰もいない…はず…」


??1「よし……お前ら、比良海の木曽がさっき処刑された事はもう知ってるよな?」


??2「ああ。聞いた聞いた」


??4「俺も」


??3「うちも聞いた」


??2「…全員知ってるな?」


??1「よし。ひとまず??3、よくやってくれた。報酬だ」っ三百万


??3「ありがとう、受け取らせてもらう。だけど、予定とは全く違うようになっちまったが、良かったのか?」


??1「なーに、計画には何ら影響はなかったから別に良い」


??3「…そうか」


??4「何だ?その顔は。今更罪悪感が湧いてきたってか?」


??3「んなわけねぇだろ。…だが……」


??4「だが?」


??3「…??4、これはお前に返す。もう二度と使いたくない」


そう言うと??3は液体の入った瓶を??4に渡した。


??4「…おいおい…残りも使っても良いんだぞ?」


??3「いや…。もう良い…それを使うのはこれっきりにさせてくれ…」


??4「…そうか…分かった」


??1「…そうだ、気晴らしに飲みに行こう。良いとこ知ってるぞ」


??2「おお!それは楽しみだ!」


??4「いつにする?」


??1「今からに決まってるだろ!そうとなれば行くぞ!」


??3「……」


??3→追い詰めた憲兵(…あんなに恐ろしい薬品とは思ってもなかった…。もし…あんなのが世に出回ってしまったら…………いや、考えるのはやめよう…)




翌朝…a.m.3:00


皐月と三日月の部屋




三日月「…さて…と…」


皐月「zzz」


三日月「…ごめんなさい…皐月姉さん…」


ギィィ……ガチャン…




桟橋




三日月(…あの司令官、とても良い人だったな…)


三日月(きっと皐月姉さんのことも、守ってくれるはず…)


三日月(…木曽さん…今助けに行きます!)






クラーケン「…ふわぁ…」アクビ


クラーケン(変な時間に起きちゃった…もう一回寝よう…ん…?)←窓際にベットがある


クラーケンは海の上を進む何かを発見した。


クラーケン(…海の上に誰かいる…?まさか、敵襲⁉︎)


クラーケン(でももし違ったら…みんなに迷惑かけちゃうよね…)


クラーケン(…ちょっと見に行ってみよう…)




それからと言うもの、三日月は本土に向かって進み続けた。


孤島鎮守府近海海域を抜け、さらに進む。


そして、進み続けてから2時間がたった頃…


三日月「…5時…もうすぐ夜明け…」


霧がかっているが、東の空が少し明るくなっている。


三日月(…木曽さん…無事でいてください…!)



時間が経ち、少しずつ空が明るくなる中、ひたすら進み続ける三日月。そして…


三日月「う⁉︎」


三日月(眩しい…)


東の水平線の向こうから、太陽が頭を出した。


それと同時に…


ヒュ〜


三日月「…?」

バッシャーーン!

突然、三日月の目の前で水柱が上がった。


三日月「きゃあ⁉︎」


三日月は衝撃で姿勢を崩す。


三日月「くぅ…」


三日月(今のは一体…結構近かった…)


慌てて三日月は周囲を見渡す。


三日月「っ⁉︎…」


そして、絶望する…


三日月「…なんて数…」


遠くに無数の深海棲艦が日の光に照らされている。


ヒュ〜


三日月「!っ!」


バシャーン!バシャーン!



ル級A「フッフッフ…飛ンデ火二入ル夏ノ虫トハコノコト…」ドーン!ドーン!


リ級A「イエ全然意味ガ違ウワ。ソレハ」ドーン!


ル級A「エ?ソウナノ?」



ヒュ〜


三日月「…!こっち!」バシャーン!バシャーン!


三日月(危なかった……っ⁉︎)ヒュ〜


バシャーン!バシャーン!バシャーン!


三日月「うぅ…」


三日月(どうしよう…このままだと木曽さんを助ける前に沈んじゃう……っ!)


バシャーン!バシャーン!


三日月「はぁ…はぁ…」


三日月(落ち着いて…落ち着いて私…こんな時こそ落ち着いて物事を……は!)


深海爆撃機(爆弾投下)


ヒュ〜


バシャーン!


三日月(敵機…と言う事は空母がいる…っ⁉︎)


バシャーン!バシャーン!バシャーン!

三日月「きゃあ⁉︎」


またも至近弾が三日月を襲った。再び姿勢を崩す。


深海爆撃機(爆弾投下)


そして、追い討ちをかけるように三日月に向けて爆弾が投下された。


三日月「…!しまった」


ドッカーーン!!

三日月「キャアアアア!!」



ヲ級A「ヲ?当タッタ?」


ヲ級エリートA「ミタイダナ」



三日月「ゴホッ!ゴホッ!…うぅ…」(大破)


三日月(なんとか沈まずにはいられたけどこのままじゃ…)


バッシャーーン!


三日月「⁉︎」


海の中から突然、イ級が現れる。


イ級「キュアァァ…」口を開ける


三日月「!…」


イ級「…ガァァ…」


三日月「っ!」


三日月は前で腕を交差させ、目を瞑った。


ドカーーーン!!!

三日月「キャァー!」






皐月と三日月の部屋




皐月「うーん…朝…?」


皐月「…おはよう…三日月ちゃん……?」


皐月は辺りを見渡す。


皐月「…居ない…どこに行ったのかな?」





海上




三日月「ゴホッ!ゴホッ!ゴホッ!……」


三日月(…?痛みが全然無い…外れた?でも…今確かに爆発音が聞こえた…)


少しずつ、煙が晴れてくる


三日月「っ⁉︎」


真っ二つになって沈むイ級「」



リ級エリートA「ナ、ナンダ⁉︎イ級ガ爆発シタゾ⁉︎」


ル級「…今一瞬、何カガイ級二付キ刺タッタヨウニミエタ…マサカ…」



??『ふぅ…間一髪だったね…』


三日月「!」振り返る


??『怪我は無い?三日月ちゃん』


三日月「あ…あなたは…」


クラーケン『えっと…自己紹介はまだだったっけ?私はクラーケン』


三日月「…クラーケンさん…」


クラーケン『色々聞きたい事はあるけど、今は後回し!早く逃げるよ!』


三日月「…でも……は!」ヒュ〜

バシャーン!バシャーン!


三日月「くぅ…」


クラーケン『待ってて!今すぐそっちに行くから!』



ル級エリートB「アノ艤装……戦艦…イヤ、大戦艦トモ言ウベキカ…」


ル級エリートC「トニカク、一筋縄デハシズメラレソウニナイナ。……ン?砲撃ダ!」ヒュ〜


バシャーン!バシャーン!ドッカーーン!

『ギャアアアアア!!』


ル級エリートC「クゥ…オイ!大丈夫カ?………ナ⁉︎」


リ級D「ガァ…」轟沈


ル級フラグシップB「…クソ……」大破


ル級エリートE「」轟沈


リ級フラグシップA「」轟沈


ル級エリートC「…オイオイ…嘘ダロ…」


ヲ級フラグシップ改「オイ!今スグ被害報告ヲ!」


ヲ級C「ハ!今ノ砲撃デヲ級エリート含メ、計六隻ヤラレマシタ!」


ヲ級フラグシップ改「ナニ⁉︎六隻⁉︎…クソ!……」



クラーケン「動ける?」


三日月「…なんとか……!クラーケンさん、後ろ!」


クラーケン「え?」


魚雷<シャーーー(短信音)


三日月「避けてください!」


クラーケン(ダメ…このまま避けたら三日月ちゃんに当たっちゃう…)


ビッシャーーン!(被雷)


三日月「!クラーケンさん!」


クラーケン「大丈夫…このくらい…それよりも早く逃げないと……っ!」ヒュ〜


バシャバシャドカーーン!


クラーケン「いたた…」被弾


深海爆撃機(爆弾投下)


ドカーーン!(被弾)


クラーケン「うぅ…」


クラーケン(…どうしよう…このままだとジリ貧…おまけに鎮守府との通信機器も置いてきちゃったし…ああもう!なんで置いてきちゃったの⁉︎私!……ってあ!)


魚雷<シャーーー(短信音)


クラーケン「おっと!」避けた


魚雷<シャーーー


クラーケン(…悔やんでも仕方ないよね…今はこの状況を少しでも良くすることを考えよう…)




それから1時間後…

孤島鎮守府

執務室




ドア<バン!

皐月「司令官!」


提督「うぉ⁉︎…なんだ皐月か」


皐月「三日月ちゃん見なかった⁉︎」


提督「いや。見てないが…」


リヴァイアサン「失礼します。提督」


提督「ん?」


リヴァイアサン「クラーケンを見ませんでしたか?朝起きたら居なくなっていまして…」ガチャン(ドアを閉める)


提督「そっちも見てないな…」


リヴァイアサン「…そうですか…」


皐月「二人ともどこ行っちゃったんだろう…」


提督「…さぁ…」


<ガチャ

飛龍「失礼します……どうかされたのですか?」


提督「ん、飛龍か。実はだな…」


皐月「三日月ちゃんとクラーケンちゃんが居なくなってるんだ!」


飛龍「…え…」


提督「…因みに聞くが、二人を見たか?」


飛龍「いえ…」


提督「哨戒任務にあたっている妖精達からは?」


飛龍「…ちょっと聞いてきます!」ダッ!


提督「頼んだ」


リヴァイアサン「…提督、」


提督「どうした?」


リヴァイアサン「念のため、もう一度探してきます」


提督「分かった」


皐月「ボクも」




数分後…




<ガチャ

飛龍「失礼します!」


提督「何かあったのか?」


飛龍「はい。約4時間前、哨戒していた夜天改が二人を見たそうで…その妖精の話によりますと…」ビラ…


そう言って飛龍は机の上に地図を広げ…


飛龍「目撃地点はここです」指差し


提督「…孤島鎮守府近海の北西部の海域か…」


飛龍「そして、そのまま北西に一直線に突き進んだそうです」


提督「……」


提督(迷いもなく一直線に突き進むと言う事は、この方向に目的地があると言うことだ。ここから北西だと……)


提督(…大本営?いやでもあの二人が行く意図が分からない…。三日月はまだよく分からないところが多いからまだしも、クラーケン…あいつが大本営に行く理由なんてない筈…)


提督「…飛龍」


飛龍「は、はい」


提督「その時の二人の様子は?」


飛龍「…その妖精曰く、北西に進む三日月ちゃんをクラーケンちゃんは追っているように見えたそうです…」


提督「…そうか…」


提督(となると…三日月が何らかの目的を持って北西に向かい、それをクラーケンが追尾した…と言うことか…)


提督(…三日月が北西に向かう理由…大本営…もしくはその周辺の設備を目的地としている可能性が高いが、向かう理由がわからない…)


飛龍「提督…?」


提督「、どうした?」


飛龍「いえ…さっきから固まってなさったので…」


提督「ああ、三日月が何故北西に向かっているのかを考えていた」


飛龍「そうでしたか…」


提督「…そうだな、本人に直接聞いてみるとしよう。飛龍、とりあえずリヴァイアサンと皐月を呼んできてくれ」


飛龍「分かりました」


<ガチャン




海上




深海艦載機<ズダダダダダダ(機銃掃射)


クラーケン「くぅ…」(小破)


三日月「っ…」


25mm三連装機銃<ドン!ドン!ドン!ドン!


深海艦載機<プシュゥゥゥゥドーン!


砲撃長妖精「てぇーー!」


主砲<ドドーーン!



リ級エリート「ギャアアアアア!」被弾



クラーケン「……」


戦闘が始まって1時間以上経過した。二人は今、敵の主砲の射程外にいる。だが、空襲は依然として続いていた。


深海棲艦爆<ガシャン!(爆弾投下)


ヒュ〜


バッシャーーン!


クラーケン「…今度は…」


深海棲艦攻<ガシャン!(魚雷投下)


クラーケン「…右に避けて」


三日月「分かりました」


魚雷<シャーーー

↑短信音を立てながら通り過ぎる


クラーケン(…できる限りのことはやっている…だけど、それもいつまで保つかな…)


クラーケン(…こんな時、お姉ちゃんや他のみんなが居たらな…)


ヒュー

ドッカーン!


クラーケン「っ!…」


三日月「…!クラーケンさん!直上!」


クラーケン「え⁉︎」


クラーケンが見上げると、爆弾が4つ落ちてきた。


クラーケン「あ……っ!」


ドカーーン!ドカーーン!

クラーケン「きゃぁぁ!!」


三日月「ク、クラーケンさん!」


クラーケン「ゲホッ!ゲホッ!…痛い…」


三日月「大丈夫ですか⁉︎」


クラーケン「うん…三日月ちゃんは?」


三日月「私も大丈夫d」<ギュゥゥゥゥゥン……


三日月「…え…?」


クラーケン「……今の音は…?あまりいい音じゃなかったよ…?」


三日月「…!燃料切れです!」


クラーケン「…え…」ヒュ〜


ドカーーン!(被弾)

クラーケン「痛⁉︎…なんで燃料切れなの⁉︎」


三日月「わかりません……っ!左から魚雷五本…いえ、六本!」


クラーケン「え⁉︎」


魚雷×6<シャーーー(短信音)


クラーケン(…まずい…これは当たっちゃう…)


三日月「私に構わず避けてください!」


クラーケン「…そんなこと…」


クラーケン「できるわけないでしょ!」

ビッシャーーン!!(被雷)


三日月「⁉︎」


クラーケン「くぅ……。大丈夫?怪我は無い?」


三日月「…どうして…」


三日月「どうして、そこまでして私を守るのですか…?」


クラーケン「…そんなの…簡単なことだよ…」


クラーケン「三日月ちゃんは…仲間だもん…」


三日月「…え…」


クラーケン「…三日月ちゃんは少ない間でも、一緒に過ごしてきた仲間だもん。それは私だけじゃなくて、あそこに居るみんなが思ってることだよ?」


三日月「…私が…仲間…?」

<ドーン…


クラーケン「…その仲間が、今目の前で大変なことになっているのに…知らない顔して見捨てるなんてこと…」


クラーケン「私にはできない!」ザッ!(三日月の前に出る)

砲弾<ヒュ〜


三日月「⁉︎クラーケンさん!」


クラーケン「はぁぁぁあ!」ガギィィィン………ヒューー!


イ級「ギャ⁉︎」ドガーーン!


クラーケンは敵の砲弾を、拳で殴り飛ばした。


三日月「……っ!」耳を塞ぐ

バシャーン!バシャーン!


クラーケン「…まずい…敵の射程内に入っちゃった……ぁ!」ミアゲ


砲弾×5<ヒュ〜


クラーケン「危ない!」三日月を庇う


バシャバシャドッカーーン!


クラーケン「ぐぅ…」


クラーケン(…こうなったら…これが最後になろうと、全力で抗ってみせる!)


クラーケン「全砲門、目標…敵大艦隊、よーい…」


クラーケン「撃って!」


全主砲・全副砲<ドーーン!!


それからというもの、クラーケンは猛威を振るい、鎮守府に向け後退しながら敵に向け、撃てる限り撃ち続けた。


深海棲艦側はこの激しい砲撃により、多大な被害を出した。


しかし、途中予想外の事が起きる。


なんと、敵のル級フラグシップ改が突撃してきたのだ。


そこでクラーケンは、全砲門をル級フラグシップ改に向け、早急に撃退する事でこれを対処することにした。


だが、ここで不運にも一回目の一斉射は全て外れてしまい、次弾装填に時間を取られている間に敵ル級フラグシップ改はクラーケンに向け一斉射。


結果的に5発命中(三日月には当たらなかった)し、さらに運の悪いことにそのうち1発が第四砲塔の下の弾薬庫を貫通。


内部で大爆発を起こし、甚大な被害が出た。しかし、幸いにも他の弾薬庫への誘爆は防げることができ、中破で済ませられた。


その後、第一、第二主砲と副砲で再度斉射。今度は主砲5発、副砲1発が命中。弾薬庫に貫通したのか、ル級フラグシップ改は次々と誘爆を起こし、爆沈した。


それから再び敵艦隊に向け、激しい砲撃を1時間以上浴びせた。


その間も爆弾や魚雷、砲撃を受けたが、まるで何事もなかったかのように攻撃を続行。しかし、ここ約2時間もの間、ずっと激しい攻撃を受続けているクラーケンが、徐々に追い詰められているのはクラーケン本人だけでなく、側にいる三日月にも分かることだった。


そして、ル級フラグシップ改の爆沈から約1時間経った時…この状況を一気に悪くする出来事が起こる。


クラーケン「く!…」(中破)ドーーン!


ヒュ〜


クラーケン「三日月ちゃん、伏せて!」


三日月「は、はい!」


バシャーン!バシャーン!バシャーン!


クラーケン「……無事?」


三日月「はい!…ぁ!」


深海棲艦爆<シィーーー


三日月「させません!」ドン!


深海棲艦爆<プシュゥゥゥゥゥゥゥドカーン!(撃墜)


クラーケン「おー、やるじゃん!」


クラーケン(なんとか今の所は耐えられているけど…もう既に第四砲塔は吹っ飛んじゃったし…あとどのくらい保つかもわからない…)


クラーケン(きっと今頃、お姉ちゃん私のこと探してるんだろうな…)


クラーケン(…なんだろう…さっきは最後になろうと全力で抗うって思ってたのに…今になると怖いよ…)


前々から海に出た時点で死と隣り合わせなのはクラーケンも分かってはいたが……いざそれが現実味を帯びてくると、恐怖が湧き出ていた…。


<ブクブクブク


クラーケン(…もし私がここで沈んだら…みんなはどう思うのかな…?)


クラーケン(…悲しんでくれるかな…お姉ちゃんはどうなるんだろう…)


クラーケン(………)


ヒュ〜


クラーケン「…!」


バッシャーーン!

クラーケン「う…」


三日月「…⁉︎7時の方向から四本の魚雷!」


クラーケン「ふぇ⁉︎」


気づいた時には遅かった


ビッシャーーン!!!(被雷)

クラーケン「キャアアアア!!」


三日月「クラーケンさん!」


四本中、二本が命中。


クラーケン(うぅ…いったいどこから?あの方向に雷撃機なんて…………!まさか…)


その瞬間、クラーケンの脳裏に、最悪な敵の存在が横切った。それは…


クラーケン「潜水…艦…?」


三日月「…え…」



ヨ級エリートA「フフ…ゴメイトウ…」魚雷発射



クラーケン「っ⁉︎」


クラーケン(間違いない!潜水艦がいるんだ!)


クラーケン「避けなきゃ……?」


クラーケン(あ…あれ?動かない…っ!やばい!当たっちゃう!)


ビッシャーーン!(被雷)

クラーケン「ぐぅぅ…!」


クラーケン(痛い……どうして足が動かないの…?)


三日月「…クラーケンさん…」


クラーケン「え?」


三日月「…艤装のスクリューが…壊れてます!」


クラーケン「え⁉︎」


クラーケンは急いで足を上げ、確認する。


クラーケン(嘘…最初の二本で壊れたの…?)


三日月の言った通りだった。右足のスクリューは無くなっており、左足は、辛うじてスクリューは残っていたが、それを動かす発動機が酷く損傷していた。


さらに…追い討ちをかけるように…


ヒュ〜


クラーケン「っ⁉︎伏せて!」


三日月「っ!」伏せる


バシャーン!バシャーン!バシャーン!ドッカーーン!


クラーケン「う…」


クラーケン(…1発被弾…潜水艦に気を取られて砲撃が全くできてなかった…)


クラーケン「すぐに反撃を!…撃って!」


第一、第三、第五主砲<ドドーーン!


クラーケン「…あれ?第二砲塔…?」チラ…


第二砲塔「」←砲身が折れ曲がる、又は折れて無くなっていて使い物にならない状態


クラーケン「…そんな…」


深海棲艦爆<ガシャン!(爆弾投下)


ヒュ〜…


クラーケン(爆弾⁉︎避けられない!)


その爆弾は、破損した第二主砲の真上から弱った装甲を食い破り、弾薬庫まで落ちた。


クラーケン(しまった⁉︎爆発する!)


ドッカーーーーン!!!

クラーケン「キャアアアア!!」


大爆発を引き起こした。


三日月「きゃあ⁉︎」


爆風は近くに居た三日月をも巻き込み、少し吹っ飛ばされた。


三日月「…クラーケンさん!…クラーケンさん!…あぁ…」



ヲ級フラグシップ改「…ヤット…沈ンダカ…?」


ル級フラグシップ「…恐ラク…」


ヲ級フラグシップ改「……」



少しずつ煙が晴れ、見えるようになってくる。クラーケンは…










クラーケン「…がぁ…」


三日月「!クラーケンさん!」


生きていた!


クラーケン「…三日月ちゃん…無事…?」


三日月「はい!…クラーケンさんは…?」


クラーケン「…なんとか…体中痛いけど…」←数カ所から出血している


三日月「……っ⁉︎」バシャーン!バシャーン!



ル級エリートD「シブトイ奴ダ…」ドーン!


ル級フラグシップF「アレホドノ損傷ヲ受ケテ、マダ浮カンデイレルトハ…」ドーン!


しかし、当然深海棲艦が逃してくれる訳がなかった。



クラーケン「…そうだよね…見逃してくれるわけ…ないよね…」


三日月「クラーケンさん…」


クラーケン「…三日月ちゃん…私の足元見て…」


三日月「?……あ…」


クラーケン「…どう…?さっきからやけにひんやりするから…」


三日月「…足が…沈んでいます…」


クラーケン「…そう…」


ヒュ〜

バシャーン!バシャーン!


クラーケン「…三日月ちゃん…」


三日月「…なんですか…?」


クラーケン「…ごめんね…」ポロ…


そう言ってクラーケンは、一粒の涙を流した。


三日月「……」



ヲ級フラグシップ改「…トドメハ私ガ刺ス…全員撃ツノヲ止メロ」



深海棲艦爆<シィーーー


クラーケン(…年貢の納め時…か…)


クラーケン(…これが…リヴァイアサン型戦艦の名に恥じない最後だと…いいな…)


そう思い、クラーケンはそっと全身から力を抜き、目を閉じ…その身を運命に委ねた。


深海棲艦爆<シィーーー


ヲ級フラグシップ改「…イマダ…沈メロ」


深海棲艦爆<リョウカイ





ドカーン!…


クラーケン「っ!」






クラーケン「……」


クラーケン「……?」


深海棲艦爆の欠片<パラパラパラ…


クラーケン「…え…」


三日月「…敵機が…粉々に…?」


??「間一髪…危なかったわね…」


クラーケン「!」フリカエル


神風「助けにきたわよ。クラーケンちゃん、三日月ちゃん」


クラーケン「⁉︎神風ちゃん!」


神風「私だけじゃないわ」


夕立・巻雲「爆雷投下!」ガコン!


ヨ級エリートA「ギャアアアアア!!」


カ級A「バ、爆雷ダ!」


カ級B「タイヒ!タイヒー!」


クラーケン「巻雲ちゃん…夕立ちゃん…」


五十鈴「対空戦闘用意!」ドン!ドン!ドン!ドン!


名取「一機残らず一掃してください!」ドン!ドン!ドン!ドン!


深海棲艦攻「」プシュゥ…(被弾)


クラーケン「五十鈴さんに名取さんまで…」


五十鈴「うわぁ…見たことないくらいのやられようね…」


名取「だ、大丈夫なんですか?」


クラーケン「…大丈夫に見える…?」


名取「…いえ…」


神風「とりあえず、一旦艤装を解除して」


クラーケン「うん…」ガシャン!(解除)


神風「おっとっと…」クラーケンを支える


クラーケン「あぐぅ…痛い…」


夕立「三日月ちゃんもっぽい」


三日月「わ…分かりました…」ガシャン!(解除)


神風「すごい血の量…本当に生きてるの?」


クラーケン「ギリギリ…頭クラクラするけど……っ!砲撃!」ヒュ〜


神風「っ⁉︎」


バシャバシャバシャーーン!

キィィィィィン……(耳鳴り)


『くぅ…』


『運良く全弾外れてくれたけどこのままじゃ…』


クラーケン「……?」


『もうすぐで航空支援も到着します!それまでなんとか持ち堪えるしかないです!』


クラーケン「あ…あぁ…」


『とにかく、今は全力で鎮守府の方向に逃げるしかないっp『左から神風ちゃんに敵機!気をつけて!』


『⁉︎しま…』

ヒュンヒュンヒュン!(機銃掃射)


『ぐぅ…』


クラーケン「あ…あ……あ………」


『…?クラーケンちゃん?クラーケンちゃん⁉︎クラーケンちゃん!……』





















クラーケン「はぁ⁉︎」ガバッ!


クラーケン「はぁはぁはぁはぁ…はぁ……はぁ…」


クラーケン「……?」アタリヲミワタス


クラーケン(…ここは…医療室…?)


クラーケン「…あ…」手を見る


クラーケン(…包帯が巻かれている…)


クラーケン(…えっと…私…どうなったんだったっけ…?)


クラーケンは一旦、頭の中を整理する。


クラーケン(うーんと…神風ちゃん達が助けにきてくれて…それから……)


クラーケン(……ん?)<ガチャ


時雨「お?起きたみたいだね」


クラーケン「時雨ちゃん…」


時雨「ここは医療室。もう安全だよ」


クラーケン「…うん…」


時雨「…そうだ、何か食べ物でも取ってくるよ。みんなにも伝えてくる」


クラーケン「…ありがとう…」


ドア<ガチャン


クラーケン「……」



数分後…



ドア<ガチャ

リヴァイアサン「クラーケン?」


クラーケン「!…お姉ちゃん…」


リヴァイアサン「気分はどう?」


クラーケン「少し良くなったよ…まだあちこち痛いけど…」


リヴァイアサン「そう…」スッ(手を伸ばす)


クラーケン「…?」


リヴァイアサン「…よしよし…」ナデナデ


クラーケン「ん…//」


リヴァイアサン「…ふふ。よく頑張ったわね」


クラーケン「…うん…//」


クラーケン「…そういえば、三日月ちゃんは?無事?」


リヴァイアサン「……ええ…」


クラーケン「ホッ…良かった…」


リヴァイアサン「…クラーケン、」


クラーケン「何?」


リヴァイアサン「…今から話すこと…落ち着いて聞いてくれる…?」


クラーケン「…うん…」


リヴァイアサン「…まず、あなた…自分でどれくらい寝てたと思う?」


クラーケン「えっと…半日?」


リヴァイアサン「…一週間よ…」


クラーケン「え…」


リヴァイアサン「…一週間…」


クラーケン「…冗談…?」


リヴァイアサン「…本当よ…」


クラーケン「…え…一週間って…え…」


リヴァイアサン「……」


<ガチャ


時雨「それについては僕からも説明するよ」


リヴァイアサン「…助かります…」


クラーケン「…何があったの…?」


時雨「色々あったよ…」


そう言って、時雨とリヴァイアサンは、クラーケンが眠っていた間にあった出来事を話し始めた。





クラーケンが意識を失った直後…




神風「クラーケンちゃん!起きて!」ユサユサ


五十鈴「…まずいわ…」


名取「……」


巻雲「飛龍さん達!航空支援まだですか⁉︎巻雲達、そろそろ限界です!」


飛龍『今到着したわ』


桃華改隊長機<ズダダダダ


深海棲艦爆<プシュゥ…(被弾)


桃華改隊長機妖精「よし…一機も残らず殲滅しろ!急げ!」


桃華改妖精達「「「はい!」」」



敵艦隊上空



彗星改二隊長機妖精「よーし、これより任務を始める。全機各々の目標に向かえ」


彗星改二妖精達「「「了解!」」」


彗星改二隊長機<ブーーーーーン(急降下)


彗星改二隊長妖精「………よし、今だ!」


彗星改二隊長機<ガシャン!(投下)


ヒュ〜…


ル級フラグシップF「…チッ…」


ドカーーン!!


天山改ニ隊長機妖精「天山隊、彗星隊に続くぞ!」


天山改ニ隊長機<ガシャン(魚雷投下)


魚雷<シャーーー


ヲ級フラグシップ改「……」


ビッシャーーン!




三日月「…すごい…」


時雨「やれやれ…どっちも酷いやられようだね…」


三日月「!時雨さん…」


時雨「…なんで鎮守府を出たのか気になるけど、それは後で聞くよ。今は応急処置をしないとね」


そう言って時雨は救急箱を開け、クラーケンに応急処置を施した。(主に止血)


時雨「…すごい出血量…これは輸血も必要だね。常日頃からクラーケンは献血してくれてたから、なんとか足りるだろうから良かった…」


神風「…クラーケンちゃん、気を失っているけど…」


時雨「…これだけ血が出てるんだ…そりゃ意識を失ってもおかしくない…」


神風「…助かるの…?」


時雨「…それは治療をできるだけ早くすることにかかってる…だから、急がないと…」


時雨「夕立、」


夕立「ぽい?」


時雨「はいこれ、救急箱。これで三日月の応急処置をして。前に教えたの覚えてるよね?」っ救急箱


夕立「任せるっぽい!」


時雨(…まだ三日月はそこまでは重くないけど、問題はクラーケン…この出血量じゃ、早く鎮守府で治療をしないと、命を落とす危険がある…急がないと!)ザザッ!


時雨はクラーケンを背負って鎮守府へ向かった。




数時間後…

医療室




ドア<バン!

リヴァイアサン「クラーケン!」


時雨「うわ⁉︎」


提督「…リヴァイアサンか…」


リヴァイアサン「提督、妹は…?」病床に駆け寄る


クラーケン「スー…」←呼吸器を付けられている


提督「…安心しろ。危なかったが、なんとか一命を取り留められた」


リヴァイアサン「…そう…ですか…」ドサッ…(膝から崩れ落ちる)


提督「おい⁉︎リヴァイアサン?」


リヴァイアサン「…良かった…良かった…うぅ…命が危ないって聞いたから……そう…ですか……ああ…」ポロポロ


リヴァイアサンはそう言いながら、泣き始めた。


提督「……さて…」チラ…


三日月「……」


皐月「…三日月ちゃん…」


時雨「……」


提督「…三日月、今からお前に質問をする。いいな?」


三日月「…はい…」


三日月(ああ…どうしよう…)


提督「…まず、どうして昨日の夜、同室に居た皐月にも何も話さず、ここを出て行ったんだ?」


三日月「…それは…」


三日月「……」


提督「…いきなりこれは話しにくいか…。じゃあ質問を変える。三日月、お前が前に居た鎮守府は、本当に舞鶴だったのか?“はい”か“いいえ”で答えてくれ」


三日月「……」


三日月(どうしよう…ここでいいえって答えたら、昨日の話が嘘ということになる…でも、はいって答えても…こうやって疑ってきてる以上、舞鶴にいる人でしか答えられない質問を投げられる可能性だってある…でも、いいえって答えたら、何されるかわからない…うう…どうすれば…)


提督「…別に俺は怒ってないぞ?」


三日月「…え…」


提督「俺はただ、お前が本当に舞鶴なのか、そうでないのか、本当のことを聞きたいだけだ。お前のためにも」


三日月「…え…え……本当ですか…?」


提督「ああ。嘘だったなら嘘だったとはっきり言ってくれればいい」


提督「だから正直に答えてくれ。お前は本当に舞鶴から来たのか?それとも違うのか?」


三日月「……」


三日月(…本当かな…本当に怒ってないのかな…)


三日月(…もし、今の言葉が本当なら…うーん…でもどうだろう…?)


三日月(………ええい!ままよ!)


三日月「…いいえ、私の前の鎮守府は…舞鶴ではありません!本当は、比良海と言う鎮守府でした!」


提督「…比良海…」


三日月(言った…言っちゃった…嘘ついたことを認めちゃった…)


提督「……」


時雨「…比良海鎮守府…ね…他と特に変わらない鎮守府だったけど…」


皐月「…?時雨ちゃん、知ってるの?」


時雨「一回行ったことはあるね。ここにくる前に」


提督「…ふーん…」


三日月「…えっと…その…司令官…」


提督「ん?なんだ?」


三日月「う…嘘をついてしまい…すみませんでした!」


提督「…いい。嘘をついたってことは、それなりの理由があってのことだろう。まぁ…比良海と来て、大体予想ができた。時期もちょうど重なる…」


三人「…?」


提督「…まぁ、確認するのは後にしよう。先ずは三日月、ここにくる前何があったか、教えてくれるか?」


三日月「あ…はい!」





三日月「…私は、比良海鎮守府には、自然発生型艦娘…いわゆる、ドロップ艦として、着任しました…」



〜回想〜


数年前…



三日月「三日月です!どうぞお手柔らかにお願いします!」ビシッ!


比良海提督「三日月…艦種は?」


三日月「あ、駆逐艦です」


比良海提督「…チッ…」


三日月「…え…」


比良海提督「おい、憲兵ども、こいつを解体機に連行しろ」


比良海憲兵s「は!」


三日月「え…解体?…え…?」


比良海提督「当たり前だ。俺が駆逐艦で欲しいのは、島風だけだ。それに、今は戦力もそれなりに揃ってる。駆逐艦なんぞ、いなくても困らんわ」


三日月「そ…そんな…」


比良海提督「もう話すことはない。とっとと「待ってくれ、指揮官」…あ?」


三日月「…?」


木曽「そいつを解体するのは待ってくれ」


比良海提督「…なんでだ?」


木曽「確かに、今のこの鎮守府の主力艦隊は、それなりに強くなっている。だが、遠征艦隊の方を忘れないでくれ。今は駆逐艦がたったの三人しか居ない。これだと、じきに遠征がうまく行かなくなるのは明白だ」


比良海提督「……」


比良海提督(……確かに…最近、遠征艦隊の出来が悪くなってきている…)


比良海提督「…分かった。こいつは遠征艦隊に廃属させる」


木曽「理解してくれたみたいで何よりだ」


三日月「……」ホッ…




三日月「解体されそうになったところを、助けてくれたのが、木曽さんでした」


提督「……」




廊下




三日月「…えっと…私の部屋は…」


木曽「ん?ああ、こっちだ」


三日月「あ、ありがとうございます」


木曽「当然のことだ。礼を言われるものでもない」


三日月「…あの…」


木曽「?」


三日月「…司令官は、どうして急に私を解体するって言ったのでしょうか…?」


木曽「……」


三日月「何か知っているなら教えてください」


木曽「…三日月、私たちが何かは知っているか?」


三日月「…艦娘です」


木曽「ああ、そうだ。艦娘だ」


三日月「それが何か関係しているのですか?」


木曽「…艦娘だからだ…」


三日月「…え…?」


木曽「この世界の人間達の艦娘に対する認識は、兵器…つまり、戦争をするための道具でしかないないんだ…」


三日月「…私達が…道具…?でも、私も木曽さんも、こうやって感情があるじゃないですか!」


木曽「分かる…言いたいことは分かる…。だが、残念ながらここの指揮官も、他の人間も、皆私達を兵器としか見てない…それが現実だ…」


三日月「…そうなのですか…でも、そうだとしても、来て間もない上、実力も見てもいないのに解体するとは言いにくいと思うのですが…」


木曽「…それは…恐らく、ここの指揮官が、大艦巨砲主義…というものだからだろう…」


三日月「たいかんきょほうしゅぎ?」


木曽「名前の通り、巨大で重装甲な艦体と大口径の主砲を持つ戦艦が、艦隊の中心である。って言う考え方だそうだ。俺も詳しくは知らないが…」


木曽「…とにかく、今指揮官が一番欲しがっているのは戦艦だ。だから、少しでもいいから解体してその資材を戦艦の建造に使いたいのだろう…」


三日月「…なるほど…です…」


木曽「…と、ここだな」


ドア<ガチャ


三日月「…え…」



三日月「案内された部屋は、畳2枚分にも満たない畳部屋の中に、ボロボロの敷布団が一つ。そして、外に向かって小さな窓が一つ付いているだけのものでした…」


提督「なんだそれ…部屋を間違えたんじゃ無いのか?」


三日月「私も最初そう思って、木曽さんに確認したのですが…この部屋で間違いない。むしろ、まだこの部屋は敷布団があるし、床が畳でできている分、他のところと比べるとまだマシな部屋だ。と、言われました…」


時雨「…確かに、あの鎮守府は部屋一つ一つが、寝るのにさえ適していなかったな…。酷いところだと、本当に一畳くらいのところもあった」


提督「刑務所でも、もっとマシな作りだろ…」


皐月「だからボクの部屋に来た時、あんな反応をしたんだね…」


三日月「…はい…」


三日月「それからは数年間、私は遠征艦隊で頑張り続けていました。その甲斐あってか、鎮守府はどんどん大きくなっていき、比良海司令官も、昇進し続けていました。しかし、それにつれて、私達への扱いは酷くなっていきました…」


提督(…思ったんだが、どこのどいつも昇進していくにつれ部下の艦娘に対する扱いが酷くなっていくのはなんでなんだ?)


三日月「そんなある日、遠征艦隊に木曽さんが加わることになりました。それと同時に、比良海司令官から、資源を取るためにある島に遠征に行くよう言われました」




比良海提督「分かったか?説明は以上だ。明日の朝には出発できるようにしておけ」


三日月(…あそこって、航路の安全確保ができているところなのかな?道中の海域の攻略が完了したって話も聞いたことがないし…)


比良海提督「それじゃ、各自自室に戻れ」ガチャン(退室)


木曽「…はぁ…」溜息


三日月「?」


木曽「……」スタスタスタ

ガチャン(退室)


遠征艦隊艦娘A「…あそこって、今まで行ったことあったっけ…?」


遠征艦隊艦娘B「ないわね…」


遠征艦隊艦娘C「てことは、新しい遠征先か。…それにしても…」


遠征艦隊艦娘B「…あの木曽さんも、とうとうここにまわされちゃったか…」


遠征艦隊艦娘D「どうしても軽巡洋艦だからね…。今では戦艦もそれなりにこの鎮守府には居るから、大艦巨砲主義のあの司令官なら、どうせこうするだろうと思ってたわ…」


三日月「ちょ、ちょっとみんな…」


遠征艦隊艦娘A「…木曽さんが悪いんじゃないのよ。ただ、気の毒に思っただけ」


遠征艦隊艦娘B「結局、どこの司令官も変わらないのよ。使えなく無くなったら、捨てる。私たちなんて、ただの道具でしかないのよ…」


三日月「……」


遠征艦隊艦娘C「…三日月も、今生きている間は、小さいことでもいいから楽しみなさい。どうせ近いうちに、私たちも捨てられて死ぬのだから…」


三日月「……」


遠征艦隊艦娘A「…今日はもう寝ましょ、これ以上起きてると明日に響くわ」


遠征艦隊艦娘D「そうね」


遠征艦隊艦娘C「それじゃ、」


ガチャン(全員退出)


三日月「……」



三日月「その次の日の朝、予定通り私達は鎮守府を出ました」


提督「ちょっと待ってくれ」


三日月「はい?」


提督「ある島って?」


三日月「あ、島の名前ですか?えーと…」


三日月はしばらく頭を捻らせ、思い出すと口を開いた。


三日月「あ!思い出しました!南鳥島という島です」


提督「ふーん南鳥島か…」


提督「……南鳥島⁉︎」


三日月「はい」


提督「はぁぁ⁉︎」


皐月「え?どうしたの?司令官」


時雨「その南鳥島って言う島に何かあるの?」


提督「あるも何もあの島の近くの海域は、強力な深海棲艦がウロついている上、原因不明のスコールが頻繁に発生している危険な海域だ」


時雨「…なにそこ…」


皐月「そんな所になんで…」


三日月「…正直、そればっかりは今になっても分かりません…」


提督「…そうか。話の続きを頼む」


三日月「分かりました」



三日月「私達が鎮守府を出てからしばらく経った頃、異変が起こりました」




ピコーン…


遠征艦隊艦娘D「⁉︎多方向から敵潜水艦接近中!」


四人「え⁉︎」


木曽「チッ…」


遠征艦隊艦娘D「しかも数がおかしい…6…7…8…まだまだ来る…」


遠征艦隊艦娘A「…まさか、待ち伏せされてたの…?」


遠征艦隊艦娘D「…分からない…」


遠征艦隊艦娘C「“B”!後ろから魚雷!避けなさい!」


遠征艦隊艦娘B「⁉︎うわっと!」シャ!


魚雷<シャーーー(通り過ぎる)


三日月「どどどうしましょう…」


遠征艦隊艦娘C「どうするもなにも…」


木曽「…おいお前ら、」


五人「?」


木曽「引き返すぞ。これ以上進むのは危険だ」


遠征艦隊艦娘A「え…でも任務が…」


木曽「こんな状況になって、任務なんて続行できるか。帰るぞ」


遠征艦隊艦娘B「でも、それでたとえ戻れたとしても、待っているのは良くて単独出撃、悪くて解体よ…?」


木曽「責任は全て俺が負う。もし今回の失敗で処罰が下るのであれば、俺が全て受ける」


遠征艦隊艦娘D「…そんなこと…木曽さんが良くても私達が良くないわ!貴方にはいろいろ助けられたというのに…」


木曽「うるせぇ!いいから黙って俺の言うことを聞け!旗艦命令だ!」


皆「っ!…」


しばらく沈黙が続く…


木曽「…すまん…怒鳴っちまって…。だが安心しろ、俺は指揮官には顔がきく。解体までは行かないだろう…」


三日月「…!“D”さん!右から魚雷です!」


木曽「“D”!避けろ!」


遠征艦隊艦娘D「っ!」シャ!


三日月「他にも多数!」


木曽「クソ…奴らが集まってきやがった…。とにかくこっちだ!」ザッ!



三日月「その後は木曽さんの誘導のおかげで、私達は重症を負いながらも、命からがら鎮守府に帰ることができました」


三日月「…しかし…」



比良海鎮守府執務室



三日月「ふぅ…結構やられちゃったな…」


<なんだと!


三日月「⁉︎」ビクッ!


三日月(司令官の声?執務室からだ…)


三日月「……?」


三日月はドアの隙間から、執務室内を覗いた。


比良海提督「なにをやっとるんだ貴様らは!潜水艦に囲まれたから帰ってきただと?貴様らのその対潜装備は何のためにあるんだ!」


木曽「だが、あのまま進めば全滅していた」


比良海提督「黙れ!言い訳をするな!」


木曽「いや、はっきりさせたいから言わせてもらう。指揮官、今回ばかりはどう言うつもりだったんだ?」


比良海提督「…はぁ?」


木曽「何故遠征先を南鳥島にしたんだ?」


比良海提督「…さっきから何を言って」


木曽「なにも知らなかったとは言わせねぇぞ?」


比良海提督「…逆にお前が何を知っているというのだ?」


木曽「そうだな…まず遠征先の南鳥島だが、あの島の周辺の海域は未だに安全確認が取れたという話を聞いたことがない。それに、周辺には原因不明のスコールがよく発生しているなんて話も聞いたことがある」


比良海提督「……」


木曽「航路もだ。指揮官が今回使うように指示した航路だが、航路上の海域に敵潜水艦の活動が度々報告されているみたいだが…?現に俺たちはその潜水艦に今回狙われた」


比良海提督「……」


木曽「どういうことか、正直に話してほしい」


比良海提督「…うるせぇ…うるせぇ!うるせぇ!うるっせぇ!!偉そうに俺に指図するな!」ヒュッ!(ナイフを投げる)


木曽「うお⁉︎」サッ


ティン…(壁に刺さる)


三日月「っ⁉︎…」


比良海提督「はぁ…はぁ……チッ…大人しく当たってたらいいものを…」


木曽「…指揮官…」


比良海提督「…もういい…今回の処罰を下す。貴様は解体だ…」


木曽「な⁉︎」


比良海提督「あたりまえだ。初期に活躍したからって、俺が生かすとでも思ってたのか?」


比良海提督「初期は初期、今は今だ。もう戦艦や空母が居る今となっては貴様なんぞ必要無い。…だが…そうだな、初期に活躍してくれたよしみだ…解体は明日実行する。俺自身も今日は疲れてるからな。死ぬ前の最後の夜を、せいぜい楽しむことだな」


木曽「……」


比良海提督「…ったく…今回は大まけだ。お前を解体する代わりに、お望み通り、他のやつらは今回は生かせておく」


木曽「…そうか…ありがとう…」


比良海提督「…以上だ。とっとと出ていけ」


木曽「そうさせてもらう」



三日月(…そんな…)


三日月(!木曽さんがこっちに来る、どこかに隠れなきゃ…)



ギィ…


木曽「…失礼した…」


ギィィィ…ガッチャン…


木曽「……」スタ…スタ…スタ…


三日月(…このままじゃ……どうにかして、司令官を止めないと!)



三日月「…しかし、結局何も思いつかないまま、とうとう明日が来てしまいました…」



比良海鎮守府

工廠




木曽「……」←解体機の中に入れられている


比良海提督「気分はどうだ?」


木曽「…あまり良く無いな」


比良海提督「ああ…そうかよ」グビッ(酒を飲む)


木曽「……」



三日月「……」←物陰に隠れている



木曽「…指揮官、」


比良海提督「あ?」


木曽「…最後に、聞きたい事がある」


比良海提督「…なんだ?」


木曽「…俺は…指揮官にとっての最高の勝利を、一度でも与える事ができただろうか…?」


比良海提督「……」



三日月(…木曽さん…)



比良海提督「……いや」


三日月(⁉︎)


比良海提督「無いなぁ。お前から最高の勝利を与えられた事は。だからこうやって、利用価値がなくなった時に解体されている」


三日月(…司令官…貴方って人は…)ギリィ…


比良海提督「…もう話すことも無い。とっとと資源に帰れ!」


三日月「っ!」ダッ


私は物陰から飛び出し、床に置いてあるまだ新しい酒瓶を手に取り…


三日月「やめろぉぉ!」


比良海提督「ん?⁉︎」


おもいっきり、比良海司令官の頭を叩きました。


比良海提督「がぁ⁉︎」パリーン!


三日月「…っ」


木曽「⁉︎」


比良海提督「」バタン


三日月「はぁ…はぁ…」


木曽「お、おい!三日月!お前何やって…」


三日月「逃げましょう!」


木曽「はぁ⁉︎逃げるって…」


三日月「ここにいれば殺されます!ですから早く!」ガシャン!(レバーを下ろす)


木曽「うおっと…」解放


三日月「さあ、早く


木曽「…待て…」


三日月「え?」


木曽「……」比良海提督を調べる


木曽「…心臓が止まっている…」


三日月「え?そんなはず…」


木曽「…マジだ…」


三日月「え?…え?」


憲兵「おい!そこで何をしている!」


三日月「!見つかりました!走ってください!」ダッ


木曽「お、おう」ダッ


憲兵「待て!」



三日月「…私が叩いたのは本当に頭なんです。ですが、何故か比良海司令官の心臓は止まってしまっていました…」


提督「…どういうことだ…?」


三日月「…私にも…何が何だか…」


時雨「…で、それからはどうなったんだい?」


三日月「それからは…鎮守府を抜け出し、なおも追ってくる憲兵から逃げるため、鎮守府近くの森の中に入ったんです」


三日月「…しかし、森を走っていると、急に崖が現れたんです…」


提督「……」


三日月「それと同時に憲兵に追いつかれてしまいまして…それで…」



木曽「っ!」バッ!


三日月「え…」


木曽「生きろ!」



三日月「木曽さんは私を崖の上から海に突き落とし、捕まってしまいました…」


三日月「その後、私は海に沈むと共に意識を失い、気がつけば」


提督「ここにいた…ということだな?」


三日月「…はい…」


皐月「……」


時雨「……」


三日月「…これが…全てです…」


皐月「…大変だったね…」


時雨「…うん…」


提督「……」


三日月「…木曽さん…」


提督「…で、お前はこれからどうするつもりだ?」


三日月「え…」


提督「これからどうするつもりなのか、言ってくれ。また木曽を助けに行くのか?」


三日月「っ!そうです!当たり前です!助けに行きます!」


三日月「…ですから、司令官…協力…してくれませんか…?」


皐月「司令官、ボクからもお願い」


時雨「どうにか出来ないの?」


提督「……分かった。助けてやる…」


皐月・三日月「!」


提督「…と言いたいし、言ってやりたいんだがな…」


皐月・三日月「…え…」


提督「…残念だが、無理だ」


皐月「っ!どうして!司令官!」


提督「…三日月、お前に言わなきゃいけない事がある。よく聞いてくれ」


三日月「…分かりました…」


提督「……」


提督は少し溜めた後、


提督「…木曽は死んだ…」


そう重い口調で言った。


三日月「っ!!!」


皐月「⁉︎」


時雨「……」


三日月「…え…司令官…今…」


提督「木曽は死んだ。と言った」


三日月「え…え…」


提督「…だから、もう手遅れなんだ…」


皐月「……」


三日月「…嘘です…そんなの嘘です!何かの間違いです!」ガシ!


三日月は提督の服を掴み、涙目で話す。


提督「…信じたく無い気持ちもわかるが、残念ながら事実だ」


提督はきっぱりと返す。


三日月「…そんな…そんな…あぁ…あぁ…」ポロ…ポロ…


三日月「うああーーーーー!!!ごめんなさい!ごめんなさい!私のせいで!私の…うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」ボロボロ


三日月は大量の涙を流し、その場に崩れ落ちた。


提督「…すまん…三日月…」


皐月「…司令官…」


提督「…ん?」


皐月「本当なの?」


提督「…ああ…」


皐月「…そっ…か…」アユミヨル


皐月「…三日月…」ギュ…ナデナデ…



その後もしばらく医療室には、三日月の泣き声が響いていた…。




そして、現在…



クラーケン「…そうだったんだ…」


時雨「それから一週間後…皐月の努力があってか、三日月は少しずつだけど、笑顔を取り戻しているよ」


クラーケン「…えっと…皐月ちゃん何をしたのかな?」


時雨「さぁ?僕は知らない」


リヴァイアサン「でも、結果的に良い方向に行っているから、良いと思いますよ」


クラーケン「…それもそうだね」


クラーケン「…ところで、私はいつまで動けないの?」


時雨「うーん…後一週間は無理そう」


クラーケン「一週間⁉︎」


時雨「うん」


クラーケン「えぇ…一週間もベッドの上なんて嫌だなぁ…体が鈍っちゃうよ…」


時雨「仕方ないさ。今は安静にしておく事が大事だからね」


リヴァイアサン「リハビリも手伝うから、頑張りなさい」


クラーケン「うー…分かったよ…」




こうして、孤島鎮守府での事がひと段落ついたのである。


…その頃…







スペイン

セビーリャ




ドッカーーーン!!


兵士A「クソ!前線が突破された!」


兵士B「ドイツめ…」


兵士C「おい!“A”左から戦車!」


レオパルト中戦車<キュルキュルキュル


兵士A「うわぁぁ…」


レオパルト中戦車<ドン!


ドガーーン!


兵士C「逃げろ!殺されるぞ!」


兵士D「ひぃ!死にたくねぇ!」


レオパルト中戦車


車掌「…撃て!」


レオパルト中戦車<ドン!





大ソビエト

モスクワ




ドガーーン!

ドガーーン!



兵士「あぁ……モスクワの街が…」


街は火の海に包まれている。



クレムリン



電話『現在、我々は包囲されています!直ちに増援を!』



通信兵士長「同志イオフネフ!ヴォルゴラードが陥落しそうです!増援を…」


電話<ドン!ズダダダダダダ!バキュン!バキュン!ぎゃあぁぁ…バタン……ツー、ツー、ツー、


通信兵士長「…訂正します…陥落したようです…」


イオフネフ「…そうか…」


イオフネフ(…このままだとバクーが陥落するのも時間の問題…あそこが奴らの手に渡ったら、この国の命運も尽きる…なんとしてでも奴らを止めなくては)


イオフネフ「コーカサス地方に居る部隊全てに命令する。バクーを死守せよ!」





新オスマン帝国領

バスラ




民間人「逃げろ!ドイツ軍が来るぞ!」


ワー!ワー!ワー!キャー!キャー!ニゲロー!オイ!ハシレ!


バスラは避難指示が遅れ、大混乱になっている。


??「…あたしも逃げなきゃ…」


??「えっと…でも、どこに…」


??「…ひとまず、みんなの逃げている方向に逃げよう」


タッタッタッタッタ


??「…あ、」


建物の隙間を抜けると、川が見えた。シャット・アルアラブ川だ


??「…この川を蔦っていけば、海に出られる!燃料も満タンだし、どこか遠い安全な海にさえ行ければ!」


そう願い、彼女は川を下る。安全な海なんて、あるはずも無いことを知らずに…。







第五章 南シナ海






三日月の件から、約二ヶ月後…


孤島鎮守府

執務室




提督「…確かもうそろそろ大規模作戦だったよな?」


ヴェールヌイ「そうだね。今日から出発するそうだよ」


提督「ふーん…今回はついていかないのか?」


ヴェールヌイ「うん。多分、大丈夫と思うから」


提督「はは、そうか」



医療室



クラーケン「はい、朝ごはんここに置いとくね」


リヴァイアサン「ん…ありがとう…ゴホッ!」


縁羅「風邪ですか?」


クラーケン「うん…」


皐月「大丈夫?」


リヴァイアサン「…頭が痛い…」


時雨「普通の風邪。薬飲んで安静にしてればすぐに治る」


クラーケン「…いつも思うんだけど、時雨ちゃんのその医療知識ってどこから得たの?」


時雨「ん?ああ、まだ前の元帥が居た頃、支給品として医療に関する本を提督にたくさん買ってもらったんだ。ほら、ここに。今でも読んでいる」


そう言いながら時雨は作業机の引き出しから本を取り出した。


クラーケン「…なるほど…」


時雨「…だけど、だからと言ってなんでも治せるわけじゃない。限界もある」


縁羅「…確かに…ここは本土にある大きな病院ほど充実はしていませんしね…」


時雨「…うん…。だから、それだけは覚えといて…」


縁羅「…そういえば、時雨さん、」


時雨「なんだい?」


縁羅「ずっと気になっていたんですが…艦娘はドックで入渠したら怪我は全治するわけじゃないんですか?」


時雨「…あれは艤装の修理と、軽傷を治す程度の機能しかないんだ。前のクラーケンみたいな大怪我は治せない」


縁羅「…なるほど…です…」




良野鎮守府




健四郎(…とうとうこの日がやってきたか…)


健四郎(二度目の大規模作戦…みんな無事で帰ってこれるだろうか…?)


健四郎(…いや、みんなを信じよう)


健四郎「…みんな、準備はいいか?」


五月雨「はい!」


白雪「いつでもいけます」


涼月「準備、整っています」


伊19「大丈夫なのね!」


健四郎「よし分かった。じゃあ、健闘を祈る」


四人「行ってきます!」ビシ!



良野から五月雨、白雪、涼月、伊19が、南シナ海に向け出発しました。



出発してから20分後…



五月雨「3000キロかぁ…到着は三日後かな?」


涼月「…恐らく…」


五月雨「…長い…」


伊19「そこまで退屈なのね…」


白雪「…今回は孤島鎮守府からの増援は来ないのでしょうか…?」


五月雨「そうみたい…」


涼月「今回は?…前回は誰か来たのですか…?」


五月雨「うん。ヴェールヌイさんが」


涼月「そうなんですか」


伊19「えっと…前回って、オホーツク海?」


五月雨「うん」


伊19「ふーん…ちょっとその時の話、退屈凌ぎに聞いてみたいのね」


五月雨「いいですよ。ね、白雪さん」


白雪「はい」





同日の夜…

マラッカ海峡




ル級「……」


ヲ級「タマニハイイモノネ。コウヤッテ海ノ上デイルコトモ」


ル級「ソウダナ…コウイウ穏ヤカナ海ガ一番イイ」


ヲ級「…ネェ、」


ル級「ン?」


ヲ級「ドウシテ殲滅派ハ人類ト戦争ヲシテイルノカシラ?」


ル級「…サァ?」


ヲ級「…戦争ヲスル意味ガ判ラナイワ。彼ラガ何カヲシテキタトイウワケジャナイノニ…」


ル級「…ドウイオウト、モウ今更ダ…既二共存ノ道ハ、殲滅派二ヨッテ潰エテシマッタ…」


ヲ級「……」


ル級「…ン?」


ヲ級「……」


ル級「…上二何カアルノカ?」ミアゲル


ヲ級「…エエ…満天ノ星空ガ…」


ル級「アア、星ヲ見テイルノカ」


ヲ級「…ココノ星空モ、綺麗ネ…」


ル級「…確カニ…ナ…」


二人は暫く星空を見上げた後


ヲ級「…ソロソロ海底二戻リマショ」


ル級「ソウダナ」


そう言って視線を海に移すと、


ル級「ン?」


ル級の目に何かが映った


ル級「…オイ、アレミロ…」


ヲ級「…?」


??「」プカ…プカ…


ル級「…コイツハ…」


ヲ級「…装備カラ見テ艦娘ネ…ドウスル?」


ル級「…ドレ…」


艦娘?をル級は調べる。すると、あることに気付く


ル級「⁉︎コ、コイツ…マダ生キテルゾ!」


ヲ級「エ⁉︎」


ル級「……ウン、間違イナイ、生キテル」


ヲ級「…チョット…ソレドウスルノヨ…」


ル級「……」


ヲ級「…ネェ、」


ル級「…助ケヨウ」


ヲ級「ハァ⁉︎正気カ⁉︎」


ル級「…見殺シニスルワケニハイカナイ…」ザバァ


そう言って、艦娘?を背負う。


ル級「…行クゾ」


ヲ級「イ…行クッテドコニ…?」


ル級「…南シナ海…」


ヲ級「…マサカ、ソコニモウジキ来ルデアロウ艦娘達二渡スツモリジャ…ナイヨネ…?」


ル級「ソノマサカダ」


ヲ級「……」


ル級「……」


ヲ級「…アアモウワカッタワヨ!説得シテモドウセヤルツモリナンデショウカラ付キ合ッテアゲルワ!」


ル級「アリガトウ」


ヲ級「サア、サッサト行クワヨ。殲滅派ノ連中二見ツカラナイヨウニ」



月明かりが照らす海を警戒しながら二人は、マラッカ海峡を抜ける。




それから三日後…


南シナ海

集合地点




ザワザワ


五月雨「集合地点はここで間違いないようです」


涼月「と…遠かったです…」ヘトヘト


白雪「流石に疲れましたね…」


涼月「…というか暑いです…」


太陽<ジリジリ


伊19「夏だから仕方ないのね…」


長10cm砲ちゃん×2( ´Д`)アツイ


健四郎『そっちは暑そうだな…』


五月雨「はい…」


健四郎『…暑いところ申し訳ないが、もう作戦は始まってるぞ』


四人「え?」


五月雨「…前回は始まる前に総元帥から何か言葉があったはず…」


健四郎『提督のみで今さっきあった。なんでかは分からん…』


五月雨「えぇ…」


健四郎『…とにかく、もう始まってしまっている。とりあえず、今回の作戦について話しておこう』


健四郎『今回の撃沈目標は重巡棲姫だ』


五月雨・白雪・伊19「じゅっ⁉︎重巡棲姫⁉︎」


涼月「…重巡棲姫…?」


健四郎『ああそうだ。俺も聞いて驚いた。ってうん?涼月は知らないのか?』


涼月「はい…」


五月雨「…えっとね…重巡棲姫っていうのはね…」


伊19「火力が並の戦艦以上で、射程も長い」


白雪「その上、耐久、装甲も桁違い」


健四郎『雷撃も優れている上、対空も優秀。おまけに奴は今回、戦艦棲姫二体を護衛させている…』


涼月「……」


健四郎『…まぁ…要するに化け物だ」


涼月「…そうですか…」


健四郎『だから、奴に見つからないよう十分に警戒しろ。奴を見つけたら…即逃げろ』


涼月「…ですが、それでは任務が…」


健四郎『…さっきの話を聞いて、勝てる要素は見つかったか?』


涼月「…いいえ…」


健四郎『だろ?だから、奴に見つからないように警戒しながら、終了の命令が出るまでどうにかやり過ごす。これしかない。いいな?』


涼月「…分かりました」


白雪「そうこうしているうちに、早速向こうでは派手にやっているみたいです」


白雪の目線の先では、黒煙が上がっている


伊19「…早く移動したほうがいいのね…」


黄色い煙<モァ~


五月雨「…ん?」


風上から、黄色い煙が迫ってきている


五月雨「⁉︎毒ガスです!」


皆「⁉︎」


五月雨「ガスマスクを装着してください!」スチャ…


涼月「わ、分かりました」スチャ…




同海域

西沙諸島周辺




ポチャ…


??「…あれ…?」


ふと、彼女は目を覚ます。


??「…ここ…どこだろう…」キョロキョロ


??「…と言うか私…なんでここにいるんだっけ…?」


??「…うーん…」


彼女は考える…。しかし、何も分からない。


??「…?」


ふと、何かに気付く


??(…向こうから黒い…煙かな?みたいなのが見える…)


??(あそこに行けば何か分かるかもしれない!よし、行ってみよう!)ザザッ!


空に昇る黒い目印を頼りに、彼女は走り始めた。







二級「」ドッガーン!(轟沈)


五月雨「ふぅ…終わりました」


健四郎『被害は?』


白雪「大丈夫です。みんな無傷です」


健四郎『よし』


涼月「…もう…大丈夫でしょうか…?」


涼月は恐る恐るガスマスクを外す


涼月「……」


五月雨「…大丈夫そう…」


白雪「…!9時の方向から誰か来ます!」チャキ


皆「⁉︎」


皆はすぐに砲口を向けた。


五月雨「…ル級一とヲ級一…?」


白雪「…少ないですね…」


健四郎『艦隊から逸れたのか?』


伊19「…どっちにしても、分かるのはこっちに近づいてk…?」


ヲ級<チカ、チカ、(ヲ級の頭の目の部分がチカチカと光っている)


涼月「…あれは…」


健四郎『発光信号?なんて言ってるんだ?』


五月雨「えっと…ワレタタカウキナシ…だそうです」


健四郎『…戦う気がない…?』


白雪「…どうしますか?」


伊19「罠の可能性もあるのね」


健四郎『……』


五月雨「…提督…?」


健四郎『…様子を窺ってみよう…念のため、砲口は向けておけ。だが、絶対に撃つなよ』


五月雨「わ、分かりました」




ヲ級「…アノコタチニマカセルノ?」


ル級「アア…」


ヲ級「…警戒サレテルノニ大丈夫カシラ…?」


ル級「……」


ヲ級「…ソコハ大丈夫ト嘘デモイイカラ言ッテホシカッタワ…」


ル級「…行クゾ…刺激シナイヨウニ、ユックリ近ヅク」


ヲ級「ハイハイ」


二人は、五月雨達にゆっくりと近づく



5分後



涼月「…5分が経過…敵は、進路を変えることなくこちらにゆっくりと近づいてきます…」


白雪「…撃ってきませんね…いつもならこのくらいから撃ってくるのに…」


健四郎(…どう言うつもりだ…?あいつらの意図が分からん…?ん?)


健四郎(…待て、あのル級の背中に何か乗っているぞ?)


健四郎はカメラをズームし、確認する


健四郎(…これは…女の子…?…いや、艤装が付いてるから艦娘か!)


健四郎(何故敵である艦娘をあいつらは背負ってるんだ?一体どう言うことだ…?)


健四郎(…深海棲艦が艦娘を助けた…?いや、そんなことあるのか?何か裏があるんじゃないのか?)


健四郎(…というか…そもそも、あの娘は生きているのか…?)


健四郎(…解らない…)


五月雨「提督!」


健四郎『うお⁉︎どうした?』


五月雨「今双眼鏡で確認したんですが、あのル級の背中に、何か乗っています!」


伊19・涼月・白雪「「「え?」」」


健四郎『ああ分かってる、俺もそれについて考えていたところだ』


白雪「…本当ですね…というかあれ…」双眼鏡


白雪「艦娘…じゃないですか?」


五月雨「え?」


五月雨「……」←双眼鏡で確認する


伊19「…本当だ…」


涼月「どういう…ことでしょうか…?」


健四郎『…分からん…』


伊19「……」



その後も二人は五月雨達にゆっくりと近づいて行った。


そして緊張の中さらに数分がたち、ル級とヲ級はお互いの声が届くところまで近づいていた。



五月雨「……」


健四郎『……』



ル級「……」


ヲ級「……」


ヲ級(…砲口ヲ向ケラレルノハ、アマリイイ気分ジャナイワネ…仕方ナイケド…)


ル級(…早ク引キ渡ストシヨウ…)



健四郎達「…!」


ル級は背負っていた艦娘?を下し始めた。


白雪「……私が行きます」


健四郎『気をつけろ』


白雪「……」


白雪はル級に砲口を向けたまま、警戒しながらゆっくりとル級に近付く…


白雪「……」


ル級「……」


そして、お互い手の届く範囲まで近づいた時、ル級は艦娘?を白雪に引き渡す体制になった。


白雪「……」


ル級「…気ヲツケロ…傷ガ深イ」


白雪「⁉︎」チャキ


白雪は驚いた拍子に、ル級の体に砲口を突きつけてしまった。


ル級「ッ!…」


ヲ級「!…」


五月雨・涼月・伊19「!」


再び緊張が走る


白雪「あ…」


健四郎『…白雪…落ち着け…落ち着くんだ…』


白雪「……」


白雪はすぐに冷静になり、砲口を下ろした。


五月雨「……」


白雪「……」ザザッ


白雪は艦娘?を抱くと、すぐに後退した。


ル級「……」


ヲ級(…ナントカ引キ渡セタワネ…)


ル級(アア…ハヤク去ルトシヨウ…)


涼月「…敵、後退していきます」


健四郎『まだだ…見えなくなるまで気を抜くな…』


五月雨「…分かりました…」


ヲ級「…」パシャン!


ル級「…」パシャン!


一同「⁉︎」


二人は海に潜った。


健四郎『…帰った…のか…?』


伊19「…うん、海中を泳いで行った…」


健四郎『…そうか…』


五月雨「ホッ…」安堵


五人は肩の力を抜き、落ち着きを取り戻す


健四郎『…で白雪、その娘はどうだ?』


白雪「はい、ボロボロですが息はあります」


健四郎『まだ生きているのか。良かった』


涼月「…しかし…どうします…?」


五月雨「え?」


涼月「このままその方を背負ったまま、行動するのは危険だと思うのですが…」


五月雨「あ…」


伊19「…確かに…」


健四郎『そうだよな……白雪、そいつに今直ぐにでも処置が必要そうな目立った傷はあるか?』


白雪「…幸い、目立った外傷は見当たりませんが、艤装が使い物にならないようです…」


健四郎『そうか…うむむ…』


健四郎はしばらく考えた後、最終的に白雪とその護衛として伊19に先に帰ってくるように指示し、旗艦である五月雨と涼月は作戦中止まで残ることになった。


健四郎『すまんな…』


五月雨「仕方ないですよ、旗艦は終わるまで帰してはいけない決まりですから…」


白雪「…では、御武運を」


伊19「頑張るのね」


涼月「はい!」


そう言葉を交わした後、白雪は艦娘?を背負って伊19と共に鎮守府に帰って行った。



二人と別れてからさらに数時間が経つ。まだ作戦中止の命令は出ない…。


やがて、太陽が水平線の向こうに沈み、辺りが暗闇に包み込まれた頃…


五月雨「…もう夜ですね…」


涼月「そうですね…幸運にも、岩礁を見つけられて良かったです」


健四郎『今晩はそこで夜が明けるのを待ってくれ。電気とか、灯りを使うのはなるべく避けるように』


五月雨「分かりました」


コツン…


涼月「…?」


涼月(何か当たって…っ⁉︎)


上半身が無くなった死体「」プカ…プカ…


涼月「ひぃ⁉︎」


長10cm砲ちゃん×2。・°°・(>_<)・°°・。ガクガクブルブル


五月雨「涼月さん⁉︎」


健四郎『どうした⁉︎』


涼月「こ…これ…」ユビサシ


五月雨・健四郎「っ!」


五月雨「こ…これは…」


涼月「…これは一体なんですか…?」


五月雨「……」


涼月「……」


五月雨「……」


健四郎『…おい、周りをよく見てみろ…』


五月雨「…?…あ…」


涼月「…え…」


進行方向の海面には、多数の遺体が浮かんでいる。


健四郎『暗くて気付かなかった…どうやら、ここでやりあったみたいだな…』


五月雨「ということは…まだ近くにいる可能性がありますね…」


健四郎『ああ…周りには充分警戒しろ』


涼月「…あ…」


何処かの鎮守府の五月雨「」プカ…プカ…


涼月「……」


五月雨「涼月さん、どうかしましたか?」


涼月「あ、いえ…なんでも…」


涼月「……」



少し移動して



五月雨「あ!提督、島を見つけました!」


健四郎『おおそうか!』




ザザーン…


五月雨「はぁ…」バタン


健四郎『大丈夫か?』


五月雨「疲れましたー…」


健四郎『はっはっは、お疲れさん』


涼月「ふぅ…今は…もう21時ですか…」


健四郎『いや、多分その時計で21時ならそっちは20時だと思う』


涼月「?この時計は間違っているのですか?」


健四郎『いや、時差だよ。南シナ海とこっちとでは1時間くらい時差があるんだ。だから、南シナ海の時刻は大体20時くらいだと思う』


涼月「そうなんですか。知りませんでした」


健四郎『…ところで、五月雨?』


五月雨「スー…」zzz


涼月「…寝ちゃってます…」


健四郎『早っ⁉︎』


涼月「起こしましょうか?」


健四郎『そう…だな、流石に寝袋なしで寝るのは…』


涼月「起きてください、五月雨さん」ユサユサ


五月雨「うーん……」


涼月「寝るなら寝袋の中で。でないとお腹冷やしてしまいますよ」


五月雨「…分かりました…」


二人は寝袋を準備し、そのまま寝る体制になった。


涼月「…星が綺麗ですね…」


健四郎『明かりが一つもないからな』


五月雨「…寝ている間に敵に見つからないといいんですけど…」


健四郎『念を押して島の中央に構えたから…多分大丈夫と思う…』


涼月「…大丈夫です。何かあった時はこの子達が起こしてくれると思います」


長10cm砲ちゃん×2p(^_^)qマカセテ


健四郎『そうか』


健四郎『…それじゃ、俺も寝るとしよう。おやすみ、また明日』


五月雨「はい。おやすみなさい」


ピッ


涼月(…ふぅ…今日は本当に疲れました…)


涼月(白雪さんとイクさんは大丈夫でしょうか…)


涼月(……)


涼月(…流石に眠くなってきました…五月雨さんは…)


五月雨「スー…」


涼月(…早いですね…それほど疲れが溜まっていたのでしょう…)


涼月「……」


涼月「…スー」zzz




ペシペシ


涼月「…?」


涼月「うん…」


長10cm砲ちゃん(*^^*)オキテ、オキテ、


涼月「!」ガバッ!


??「うわ⁉︎」


涼月(⁉︎誰!)


??「び、びっくりした…」


涼月「…あなたは…」


??「えっと…自己紹介するね」


??→朝雲「私は朝潮型駆逐艦、朝雲よ。よろしく」


涼月「秋月型駆逐艦、三番艦の涼月です」


朝雲「涼月ね、涼月…よし、覚えた。でそっちの娘は?」


涼月「五月雨さんです」


朝雲「OK五月雨ね、分かったわ」


涼月「…それで…」


朝雲「あーはいはい、なんで私がここにいるかでしょ?実はね、私もよく分からないの」


涼月「え?」


朝雲「だって気がついたら海の上にいて、行く宛もないからとりあえず煙が昇っている方向に行ってみたら…」


涼月「……」察し


朝雲「…その様子だと、私が何を見たか分かったみたいね」


涼月「…はい…話さなくても結構です」


朝雲「ありがと。それでね…あんなの見ちゃったものだから、とにかく煙の上がっている方向には行かないようにしたの」


朝雲「それで、結局そのまま彷徨い続けてたら暗くなってきて…とにかく休める場所を探したの。そして、何時間かかったかな?やっとこの島を見つけて、上陸してみれば…」


涼月「私たちが寝ていた…ということですか…」


朝雲「そういうこと」


涼月「…」


朝雲・涼月「ねぇ、(あの、)」


朝雲・涼月「……」


涼月「…お先にどうぞ」


朝雲「…今ここで何が起こってるの…?」


涼月「…実はですね…」


涼月は朝雲に大規模作戦について説明した。


朝雲「…へぇ…なるほどね…」


涼月「…それで、私たちは全員生き残る為に、今こうして中止の命令を待っているんです」


朝雲「ふーん……それで、司令からは何も言われないの?」


涼月「言われないも何も、提督本人からの命令です」


朝雲「え、そうなの?」


涼月「はい。…そういえば、今何時でしたっけ…」


涼月は自分の腕時計を見る。


涼月「…2時半…夜明けまでまだありますね…」


涼月「…では私の方からも、質問よろしいでしょうか?」


朝雲「いいわよ」


涼月「これからあなたはどうするおつもりですか?」


朝雲「…これからって…」


朝雲「……」


涼月「…行く宛がございませんのなら、私の鎮守府に来ませんか?」


朝雲「え?いいの?」


涼月「きっと提督なら、歓迎してくださると思います」


朝雲「……」


涼月「……」


朝雲「…そうね。どうせ行く宛もないんだし、その誘いに甘えさせてもらうわ」


涼月「ありがとうございます」


朝雲「今司令と話は…出来ないか」


涼月「そう急ぐ必要はありません」ゴソゴソ


涼月「はいどうぞ」っ寝袋


朝雲「これは?」


涼月「予備として持ってきていた寝袋です。それで今夜は寝てください」


朝雲「ありがとう。使わせてもらうわ」


涼月「…あとは大丈夫ですか?」


朝雲「ええ。平気」


涼月「そうですか。では、お先に失礼します」


朝雲「おやすみ」




翌朝…

西表島

旧竹富町




白雪「ん…」パチ


白雪「…朝…か…」ムクリ


白雪「んー…」ノビー


白雪「…」チラ


腕時計<6時半


白雪「…イクさんは…」


伊19「スー…」zzz


白雪(…寝ていますね……ん?)


空の寝袋


白雪(…?あの人はどこに……あ、)



埠頭



ザザーン…


??「……」


白雪「目が覚めたようで何よりです」


??「!」クルッ


白雪「安心してください。私はあなたの味方ですよ」


??「…そう…」


??「…名前はなんていうんだい?」


白雪「吹雪型駆逐艦、三番艦の白雪と言います」


??「…同志白雪、いくつか聞きたいことがある。いいかな…?」


白雪「あ、はい。どうぞ(同志?)」


??「…まず…ここはどこなんだい?」


白雪「西表島と言う島です」


??「西表島?どこの国?」


白雪「え?日本…ですけど…」


??(ニホン?)


白雪「?」


??(…聞いたことがないな…ニホン…ニホン……)


白雪「…あの…」


??「な、なんだい?同志白雪」


白雪「えっと…あなたのお名前をお聞きしても…」


??「あ、ああ、まだ名乗ってなかったね」


??→タシュケント「あたしは嚮導駆逐艦、タシュケント。よろしくね」


白雪「タシュケントさんですか。こちらこそよろしくお願いします」


白雪「…それで…他にお聞きしたいことはありますか?」


タシュケント「…それじゃあ、あたしが寝ている間に何があったか、話してくれるかい?」


白雪「分かりました」




伊19<白雪ちゃーん!


白雪「あ、イクさん」


タシュケント「イク?あの走ってきている娘?」


白雪「はい。仲間です」



伊19「はぁ…はぁ…いつから意識が戻ってたの?」


タシュケント「丁度太陽が登ってきた頃かな」


伊19「ふーん。もう大丈夫なの?」


タシュケント「うん、おかげさまで」


伊19「良かったのね…あ!伊19って言うの。イクって呼んでくれてたら嬉しいの」


タシュケント「分かった。あたしは嚮導駆逐艦、タシュケント。よろしくね」


伊19「よろしくなのね」


タシュケント「…それで…つまりあたしはその深海棲艦の二人に助けられたと言うわけかい?」


白雪「そうなりますね…」


タシュケント「……」


白雪「…おっと、もうそろそろ出発しないといけませんね…」


伊19「携帯食持ってきたよ。はいこれ白雪ちゃん」っ


白雪「ありがとうございます」


伊19「これはタシュケントちゃんに」っ


タシュケント「Спасибо」


伊19「…え?」




同時刻

南シナ海




五月雨「昨夜そんなことが…」


健四郎『…まあ何がともあれ、仲間になるなら歓迎しよう。良野鎮守府の提督だ、よろしく』


五月雨「五月雨って言います。よろしくお願いします」


朝雲「よろしくね、二人とも」


健四郎『…さて、自己紹介も済んだところで…嬉しい知らせだ』


涼月「…嬉しい知らせ…ですか…?」


五月雨「…もしかして…」


健四郎『今朝、やっとこの大規模作戦に中止命令が出た!』


涼月「!」


五月雨「ほ、本当ですか!」


健四郎『ああ!今朝連絡が来た。というわけで作戦は終了だ。鎮守府にすぐ帰ってきてくれ』


五月雨・涼月「了解しました!」


健四郎『あ、あと忘れるな。まだこの海域には重巡棲姫が居る。作戦海域を抜けるまでは気を抜くなよ』



それから五月雨達は進路を鎮守府に向け、海の上を走った。


そして、島を出発してから数時間が経過した。



五月雨「…えっと…今どのあたり?」


涼月「あともう少しでこの海域を抜けられるところですかね…。多分暗くなる頃には台湾に着いてると思います」


五月雨「ありがとうございます」


朝雲「…鎮守府までは何日くらい…?」


五月雨「三日ほど…」


朝雲「ふーん…」


涼月「……」←双眼鏡を覗いている


涼月「……」朝雲「…なんか退屈…」


涼月「……?」五月雨「…確かに…」


涼月「……」朝雲「何か無い?」


涼月「……!」五月雨「何かとは?」


朝雲「退屈凌ぎにn」涼月「9時の方向に重巡棲姫確認!」


五月雨・朝雲「え⁉︎」


二人は慌てて9時の方向を確認した。



重巡棲姫「……」



距離が離れているが、そこには確かに重巡棲姫が居た。


朝雲「あれが…重巡棲姫……どうするの?」


五月雨「どうするって…」


重巡棲姫の8inch長射程連装砲<ガッチャン


五月雨「走って!」


重巡棲姫「シズメェ!」ドーーン!


涼月「きゃっ⁉︎」

ヒュン!バシャーン!バシャーン!…


朝雲「ひぃ…」


涼月(あ…危なかった…)


ヒュ〜


朝雲「!また来た!」


バシャシャーーン!


朝雲「っ…」ジー


涼月「…この砲撃は…戦艦棲姫!…」


五月雨「そうみたいですね…装填してるうちに早く射程外まで逃げてしまいましょう」


朝雲「それが一番ね」


重巡棲姫「……」ドーン!


朝雲「⁉︎もう撃ってきた!」


五月雨「…いえ、待ってください…」


ヒュ〜バシャーン!バシャーン!


砲弾は五月雨達の少し手前で落ちた。


五月雨「…大丈夫です、もう射程外に逃げられたみたいです」


朝雲「ホ…」


涼月「敵に空母は…居ませんね。運がいいです」


五月雨(これで諦めてくれるといいんですが…)



重巡棲姫「…オイ…オマエラ…」


戦艦棲姫「ナンデショウカ?」


重巡棲姫「オマエラハココニ居ロ。私一人デ行ク」


戦艦棲姫「ハ…」



涼月「…!五月雨さん!」


五月雨「どうしましたか⁉︎」


涼月「重巡棲姫が、単独で追ってきます!」


五月雨「え⁉︎」


朝雲「は、早く逃げなくちゃ!」ザザッ


重巡棲姫「…フン…バカメ…私カラ逃ゲラレルト思ッタラ大間違イダ!」ドーン!


ヒュ〜

五月雨「え嘘⁉︎もう射程内に入ったの⁉︎」

バシャーン!バシャーン!バシャーン!


涼月「…あの重巡棲姫…僅かですが、私たちより速力は上のようです!」


朝雲「いや待ってそれかなりやばいんじゃ…」


涼月「はい。このままだと間違いなく追いつかれます」


朝雲「」


五月雨「重巡洋艦なのに、なんで駆逐艦より速いの…」(泣)


涼月「信じられないと思いますが、これが現実です…っ!砲撃、来ます!」ヒュ〜


バシャーン!バシャーン!バシャーン!

五月雨「うぅ…」


五月雨(どうしよう…このままだと…)



重巡棲姫(イイゾ…コノ速サナラ、モウ射程外ニ逃ゲラレルコトハナイ…ン?)

8inch長射程連装砲<トントン


重巡棲姫「ドウシタ?」


8inch長射程連装砲<タマガモウアリマセン!


重巡棲姫「…ハ?」




五月雨「…あれ?」


涼月「?」


朝雲「どうしたの?」


五月雨「さっきから撃ってきませんね…?」


朝雲「あ…」


涼月「…?」


涼月は再び双眼鏡を覗いた。



重巡棲姫(クソ!ココデ弾切レカ!…ドウスルカ…)


重巡棲姫(コノママ追イ続ケルカ…追イ付ケラレレバコノ手デ仕留メラレル…)


重巡棲姫(……)


重巡棲姫(…イヤ…ヤメテオコウ…モウ砲弾モ魚雷モ尽キタ。悔シイガ…)


重巡棲姫「…チッ!…」ザザッ


涼月「!」


五月雨「どう?」


涼月「重巡棲姫が後退していきます」


朝雲「え?」


五月雨「どういうことですか…?諦めた…?」


涼月「分かりません…とりあえず言えることは、助かった…ということでしょうか…」


五月雨「……」


朝雲「……」



その後、何事も無く五月雨達は無事に南シナ海を抜けた。




大本営




??「…はぁ…前回同様、駆逐艦か軽巡しか沈められてないのか…」


健四郎「はい」


??「…䓔原提督…このままだとずっと昇進できないぞ?」


健四郎「……」


??「このまま少尉のままでいいのか?お前の同期の中にはもう少佐に昇進が決まっている奴もいるってのに…」


健四郎「……」


??「…それとも、何か戦果をあげられない理由があるのか?例えば…建造ドックが壊れてるとか…資材が届いていないとか…」


健四郎「いえ。ありません」


??「本当に?」


健四郎「はい」


??「……ふーん…ん?」

ドア<ガチャ


??「失礼します!中将閣下!」??「し、失礼します…」


ドアから白い軍服を着た青年と、駆逐艦と思われる少女が入ってきた。


??→中将「君は?」


??→福吹提督「は!お初にお目にかかります!私、副吹 結衣と言います!」ビシ!


中将「君が噂の副吹提督か!最近少佐に昇格したそうだな?おめでとう」


副吹提督「中将閣下にそう言われるとは、光栄です」


中将「はは、そうか。それで?何の用だ?」


副吹提督「は!中将閣下に、これをお渡しに来ました」


そう言いながら、福吹提督は報告書を手渡した。


中将「どれどれ…」


中将「ほほう……戦艦6隻空母4隻撃沈はすごいじゃないか、流石だな」


副吹提督「ありがとうございます」


中将「これは預かっておく。これからも期待しているぞ」


副吹提督「はい!」


??「……」チラ…


健四郎「ん?」


??「!…」ソソ


副吹提督「それでは、私はこれで」


中将「ん。分かった」


副吹提督「ではまた」クルリ


中将「…!そうだ!副吹提督、ちょっと待ってくれ!」


副吹提督「?はい。なんでしょうか?」


中将「君に少し頼みたいことがあってな…」


健四郎「…」




三日後

良野鎮守府




朝雲「朝潮型駆逐艦、五番艦の朝雲よ」


タシュケント「嚮導駆逐艦、タシュケント。よろしくね、同志提督」


健四郎「ああ、二人ともよろしく」


健四郎「…さて、三日間の航海で疲れてると思うから、朝雲は部屋に帰ってもいいぞ。タシュケントは残っててくれ」


朝雲「分かったわ」


ドア<ガチャン


健四郎「…どうだ?1日休んで?」


タシュケント「おかげさまでやっと落ち着けたよ」


健四郎「そうか。…それで…何があったのか、覚えてる範囲でいいから話してくれるか?」


タシュケント「…いいよ」



少女説明中…



健四郎「…なるほどな…まとめると、陸地に上陸したはいいものの、ドイツ軍の侵攻に遭い、バスラって言う街まで逃げたが追い込まれて、仕方無く川を降り海に出たが、今度は深海棲艦に襲われ、逃げ続けていたら燃料が無くなり、そのままやられたというわけか…」


タシュケント「…うん…」


健四郎「…大体わかった。にしても…ここ50年の間で欧州はどうなってしまったんだ?」


タシュケント「…ごめん…それについては何も分からなかったんだ…」


健四郎「なに、謝る必要なんてないさ。仕方がない」


タシュケント「……」


健四郎「…?どうした?」


タシュケント「……」グゥ~


健四郎「ん?」


タシュケント「…お腹すいた…//」


健四郎「…あー…」



食堂



タシュケント「ん〜♩Вкусно!」


白雪「え?ふ、フクースナ…?」


健四郎「美味しいって意味だと思う…多分…」


タシュケント「合ってるよ」mgmg


健四郎「そ、そうか。口に合うようで良かった」


白雪「…にしても、驚きました。ロシアの艦娘だったなんて…」


タシュケント「え?驚くものなの?」


白雪「はい。見ないものなので…」


タシュケント「あたし以外のロシア艦はいないのかい?」


白雪「えっと…あ!」


タシュケント「居るの?」


白雪「はい!ヴェールヌイさんが居ます!」


タシュケント「え⁉︎本当⁉︎今すぐ会える?」


白雪「残念ながら別の鎮守府にいるので、今すぐにはお会いできませんね」


タシュケント「そう…」


健四郎「…さて、ちょっと俺はここで席を外させてもらう。あ、おかわりあるから、食べたかったらどうぞ」


タシュケント「Спасибо、同志提督」



執務室



ドア<ガチャ

健四郎「……」



中将[䓔原少尉の為に…頼む…]


副吹提督[申し訳ございませんが、これから私は忙しくなるので無理です。ですから、私の大尉の後輩に言ってください]



健四郎「……」






第六章 岩網という男





翌日

孤島鎮守府




提督「…そう…か…」


健四郎「はい…」


提督「それは…」


飛龍「一難去ってまた一難…ですね…」


健四郎「…その次の一難はどう乗り切ろうかと…現在模索中です…」


提督「……」



孤島鎮守府近海


ヒュ〜

標的ボート「」<ドカーン!


タシュケント「どうさ!」


ヴェールヌイ「ハラショー!いい感じだね」


タシュケント「そうかい?」


ヴェールヌイ「うん」


暁「響…嬉しそうね」


白雪「タシュケントさんも、良かったです」


朝雲「やるわ!」ドーン!


標的ボート「」<ドカーン!


白雪「朝雲さんも、砲撃はだいぶ当たるようになってきましたね」


朝雲「まあね。1時間前よりはマシになったでしょ」


千代田「…さて、砲撃訓練はそのくらいにして、次は対空訓練をしましょか」


タシュケント・朝雲「分かったわ」



岩網提督の鎮守府



中将『…と言うわけじゃ…』


岩網提督「…はぁ…」


中将『…やってくれるか?』


岩網提督「いいですよ」


中将『!本当か!』


岩網提督「はい。断る理由もございませんし」


中将『そうかそうか。この礼はきちんとするから、よろしく頼むぞ」


岩網提督「お任せください」


中将『じゃあ、これで失礼するから、しっかり頼んだぞ』


岩網提督「はい!」


ガチャン(通話終了)


岩網提督「……はぁぁぁぁ…断れるわけねぇだろ…クソが!」ドン!


岩網提督「…ダル…しかも明後日だろぉ…?ホンマまじ勘弁してくれ…」グデーン…


岩網提督「大体どうすればいいんだよ…教えるって…まだ俺大尉だぞ?大尉…」


岩網提督「…にしても…副吹少佐…?そんな奴俺の先輩にいたっけ……」


岩網提督「……」ウーン…


岩網提督「…先輩どころか知り合いにも居ないな…。…これ利用されたパティーンか…」


岩網提督「…見つけたら正拳突き10発はいれてやる」


岩網提督「あ、そうだ。礼としてそれを要求する手段があったわ」


岩網提督「…まぁそれは置いとくとして…良野の提督か…」


岩網提督「八ヶ月か?そんくらい経ってもまだ少尉って…多分同期は今頃少佐になってるかなってないかくらいのところだろうに…」


岩網提督「なんで少尉のままなんだ…?あれか?相当提督業に向いてない人間なのか?」


岩網提督「…まずはどんな奴か下調べからしないとな…」



同日

副吹提督の鎮守府

地下牢



副吹提督「…うむむ…こいつはもう持っていても役に立たないからどうにかしねぇとな…」


副吹提督の目の前には檻がある。その中には…


ル級「……」ウツムキ←拘束具で厳重に縛られている


副吹提督「上層部に送ったってめんどいことになるだけだし…」


副吹提督「…うーむ…どうするか…」


副吹提督は暫く考えたのち…


副吹提督「…そうだ…!」


何かを閃いた



二日後…

早朝(5:00)



岩網提督「…ここが良野か…小さいな…」


岩網祥鳳「そ、そうですね…」


健四郎「よくぞ遠いところから来てくださりました。この鎮守府の提督の䓔原 健四郎です」


岩網提督「岩網 二郎だ。今日来た理由はわかってるんだろうな?」


健四郎「はい。今日はよろしくお願いします。ここで話すのもなんですので、中に移動しましょう」


岩網提督「そうだな」


岩網羽黒「え…えーと…」


健四郎「…と…そちらの艦娘の皆さんは…どうしましょうか?」


岩網提督「ここで待たせておく」


健四郎「え?」


岩網提督「他に何かあるのか?」


健四郎「うちの艦娘寮で待機させることはできますが…」


岩網提督「…そうか。どうする?お前ら」


岩網祥鳳「あ、あの…本当によろしいのでしょうか…?」


健四郎「ええ、いいですよ」


岩網提督「だとよ、良かったなお前ら」


岩網艦娘達「ありがとうございます!」


健四郎「どういたしまして」


スタスタ


健四郎「…彼女達は?」


岩網提督「うちの主力艦隊だ。今回は演習もやるから連れてきた」


健四郎「…そうですか…(え?聞いてないんだけど…)」


岩網提督「まあ、現時点で駆逐艦しかいない君の艦隊が勝てるわけはないけどね」


健四郎「……(あれ?この人うちに潜水艦がいることは知らないみたいだ…)」



艦娘寮



玄関引戸<ガラララ

岩網祥鳳「失礼します…」


五月雨「こんにちは」


岩網羽黒「あ、こ、こんにちは…」


五月雨「はじめまして、私は五月雨って言います。皆さんは?」


岩網祥鳳「軽空母、祥鳳です。よろしくお願いします」


岩網龍驤「同じく軽空母の龍驤や。よろしくな」


岩網羽黒「私は妙高型重巡洋艦、四番艦の羽黒です。よろしくお願いします」


岩網初春「初春型駆逐艦、一番艦の初春じゃ。よろしゅう頼みますぞ」


岩網卯月「卯月っていうっぴょん!よろしくっぴょん!」


岩網由良「長良型軽巡洋艦、由良です。よろしくお願いします」


五月雨「皆さん、今日はよろしくお願いします。どうぞ上がってください。靴は、右側の下駄箱にお願いします」


靴を下駄箱に収納中…


岩網祥鳳「…えっと…早速廊下が左右に分かれてますが、どちらに…」


五月雨「右に行ってください」


岩網祥鳳「あ、わかりました」



食堂



カチッ(明かりが点く)


岩網由良「おぉ…」


岩網初春「綺麗じゃのぅ…」


五月雨「昨日朝雲さんが…〜!(あくびを必死に隠す)……失礼しました//」


岩網由良「眠いの?」


五月雨「だ、大丈夫です。ただ、この時間帯はいつももう少し寝ているので…」


岩網龍驤「ふーん…」




一方その頃…

執務室



岩網提督「おいおいおいおいちょっと待てちょっと待てちょっと待て!大淀も明石も間宮も居ないのか⁉︎」


健四郎「はい、そうですが…それが何か?」


岩網提督「いやどこの鎮守府にも最低今の三人と初期艦は必ず配備されるはずだ!…一体どうなってやがる…」アタマヲカカエ


健四郎「そうなんですか?」


岩網提督「…君…本当に何も知らないんだな…」


健四郎「まあ少尉ですので」


岩網提督「いやそれは関係無いと思うが…と、とにかく、本部から送られてきたのは初期艦の五月雨だけだったんだな?」


健四郎「はい」


岩網提督「なるほど…」


岩網提督「とりあえず、これについては俺の方から中将に言っとくよ」


健四郎「ありがとうございます」


岩網提督「…さて、次の質問だが…なぜ建造を今までしていないのだ?」


健四郎「それは…」


岩網提督「?」


健四郎「…倉庫に来てください…」


岩網提督「?」



工廠

倉庫



岩網提督「な⁉︎」


燃料40

鋼材50

弾薬20

ボーキサイト1360


岩網提督(え⁉︎どゆこと?え?…燃料が…40…鋼材が50…弾薬が…20…?え?ちょ、は?)


健四郎「とまぁ…こんな感じでまず資材が足りないんですよ…」


岩網提督「週に一度の補給は?」


健四郎「私みたいな素人にあの補給量で戦果をあげることなんてできません。週に一、二回程度の出撃しか無理です」


岩網提督「…は?…補給量ってどのくらいだ?」


健四郎「え?100ずつくらい…ですが…」


岩網提督「はぁ⁉︎」


健四郎「…もしかして、本来補給はもっと多いのですか?」


岩網提督「いや当たり前だ!少尉でも最低5000ずつくらいは週に一回補給される…。なのにそれの50分の1…だと…」


健四郎「……」


岩網提督(…いや待てよ…疑いたくはないがこいつが嘘をついている可能性があるな…)


岩網提督「今日って確か丁度補給日だったよな?補給書はあるか?」


健四郎「これですね」っ補給書


岩網提督「……」ジー…


岩網提督「…補給トラックは…」


健四郎「昼ごろに到着するそうです」


岩網提督「同行させてもらってもいいか?」


健四郎「はい。構いませんよ」




7:00

艦娘寮

食堂




ドア<ガチャ


白雪「おはようございます」


五月雨「おはよう。白雪ちゃん」


岩網卯月「第二艦娘発見ぴょん!」


白雪「だ、第二艦娘?」


岩網由良「こらっ!卯月ちゃん!」


岩網龍驤「あー…君は駆逐艦白雪でおうとうかいな…?」


白雪「あ、はい!吹雪型駆逐艦二番艦の白雪です。岩網司令官の艦娘の皆さんで間違い無いでしょうか?」


岩網祥鳳「はい」


白雪「今日はよろしくお願いします」ペコリ


岩網初春「…良野の白雪殿、一つ聞いても良いかの?」


白雪「はい。」


岩網初春「この鎮守府には二人の他に誰がいるのじゃ?」


岩網卯月「それはうーちゃんも気になってたぴょん!」


白雪「わかりました。ここに居るのは私と五月雨さん以外に、イクさんと涼月さん」


涼月「呼びました?」ドア<ガチャ


白雪「ん?」


朝雲「おはよう」


タシュケント「Доброе утро!」


伊19「おはようなの」


五月雨「あ、おはよう」


涼月「おはようございます。それで…」


白雪「あ、なんでもありませんよ」


涼月「そうですか」


岩網祥鳳「えっと…あなたが涼月さんですか?」


涼月「はい。はじめまして、秋月型防空駆逐艦の三番艦、涼月です。よろしくお願いします」


岩網由良「えっと…他の方は…」


朝雲「朝潮型駆逐艦の朝雲よ。よろしく」


タシュケント「ロシアの嚮導駆逐艦、タシュケントだよ。よろしくね」


伊19「伊型潜水艦の伊19って言うの。イクって呼んでね」


岩網祥鳳「私は軽空母、祥鳳です。よろしくお願いします」


岩網龍驤「うちは軽空母、龍驤や。よろしくな」


岩網羽黒「えっと…私はみょ…!」

コツコツコツ(足音)

ドア<ガチャ


皆「!」



岩網提督「…」スタ…


岩網艦娘達「!」ビシ


健四郎「全員起きてるか?」


五月雨「はい。全員ここに居ます」


岩網提督「…いいか?」


五月雨「はい」


岩網提督「お前には聞いて無い。必要以外は口を閉じてろ」


朝雲(は?)ブチ


健四郎「…どうぞ」


岩網提督「…ゴホン…予定を伝える」


岩網提督「まず、今日の午前8時から、お前らには出撃してもらう」


皆「…」


岩網提督「小笠原諸島周辺海域に出向き、敵勢力と交戦し、奴らの戦力がどれくらいなのかを測れ」


岩網提督「今日から約三日間この任務に取り掛かってもらう」


皆「……」


岩網提督「以上だ。わかったらさっさと出撃の準備をしろ!」


岩網艦娘達「はい!」


岩網提督「じゃ、俺は先に執務室に戻らせてもらう。あとは䓔原少尉に聞け」スタスタ


健四郎「……」


<ガラガラ…ピシャン…


朝雲「な…なんなのよ…あいつ…」ワナワナ


健四郎「気持ちは分かる…」


五月雨「演習…では無いんですね…てっきりやると思ってました」


健四郎「俺もそう思ってたんだが、大尉が…」


〜回想〜


岩網提督「それじゃ、今日は小笠原諸島への威力偵察任務とするか…」


健四郎「え?演習は…」


岩網提督「やめだやめ。ここの艦隊は予想以上に弱すぎる。やっても一方的にそっちがやられて終わる未来しか見えない。そんな無駄なことはしたく無い」


岩網提督「それに、この任務はお前のためになると思う。そう俺が判断したからだ」


健四郎「しかし、小笠原諸島周辺は」

岩網提督「言っとくが、少尉のお前に拒否権は無いから」


健四郎「……」


〜回想終わり〜


健四郎「…というわけだ…」


五月雨「えぇ…」


健四郎「…すまんな…」


白雪「いえいえ、そんなとんでもない」


朝雲「演習が出撃に変わったことくらいどうってことないわ(なめられたのが癪に触るわね…)」


健四郎「そうか」


岩網祥鳳「……」




それから数時間後…

海上



五月雨「暑い…」


タシュケント「同感…」


岩網龍驤「今日はほんまに暑いなぁ。昨日はもうちょい涼しかったような気がする」


岩網由良「そうですか?」


岩網卯月「昨日も今日も暑いことは変わらないぴょん…」


朝雲「水筒がなきゃ確実に死んでた…」


岩網卯月「水筒のありがたみが身に沁みるほどわかったぴょん…。本当にありがとうぴょん」


五月雨「どういたしまして」


ジジッ!

健四郎『俺だ。様子はd』

白雪「全員今のところは何もありませんし、敵も見当たりません」


健四郎『…お、おう…そうか…』


長10cm砲ちゃんA(X_X)バタンキュー ←暑さにやられた


長10cm砲ちゃんB( ゚д゚)ファ⁉︎


涼月「え⁉︎」


朝雲「⁉︎長10cm砲ちゃん⁉︎」


伊19「はは早く水を!」


白雪「……」


健四郎『あー…ちゃんとこまめに水分補給しろよ』


白雪「…はい」



同時刻

父島中心部



??「…フッフッフ…ツイニコノ装置ノ運用試験ガデキル…。長カッタ…」


海底に何やら巨大な装置が建っている。


リ級「レ級様、艦娘ドモガコチラニ向カッテキテイルトノ情報が入ッテキマシタ」


??→レ級エリート「ナニ!……ソウカ…マアイイ…運用ニ影響ハ無イ」


ル級「レ級様…」


レ級エリート「ン?」


ル級「準備ガデキマシタ」


レ級エリート「ソウカ…」スタスタスタ


レ級エリート「……」←そっと装置についているレバーに手をかける


レ級エリート「…サア…奴ラハドンナ反応ヲスルカナ?」グイ!




長10cm砲ちゃんA(*^▽^*)フッカツ!


五月雨「おー!よかった!」


涼月「まったく…水はちゃんと飲みなさい!」


健四郎『大丈夫そうか?』


涼月「はい。ご心配をおかけしました」


健四郎『いやいい。今日は特に暑いんだ。みんな気をつけてくれ』


皆「はい!」


岩網祥鳳「…ふふ…」


ビュオオオオオ


岩網祥鳳「…っ?」


岩網祥鳳(風向きが変わった…?)


岩網祥鳳(…嫌な予感がする…)



その夜…



岩網提督『これくらいだと…明日の朝には仕掛けられるな』


五月雨「え?」


岩網提督『夜の間も周りに警戒して進め』


朝雲「ちょ、ちょっtむぐっ⁉︎」


岩網祥鳳「……」←朝雲の口を手で押さえる


岩網提督『ん?今誰か口を開いたか?』


岩網祥鳳「……」


岩網提督『…気のせいか。じゃ、俺はもう寝るから、明日の朝の先頭に備えておくように』


ブツッ!


岩網祥鳳「ふぅ…」


朝雲「ちょ…ちょっと!祥鳳さん!何するのよ!」


岩網祥鳳「すみません…」


岩網龍驤「まあまあちょっち落ち着け。うちらじゃよくあることや」


朝雲「は?」


タシュケント「?」


白雪「これが私たちに対する当たり前の扱いなんですよ」


タシュケント・朝雲「え…」


岩網龍驤「…もしかして…そこの二人って今回が初めての出撃なん?」


五月雨「はい…」


岩網由良「道理で…」


岩網龍驤「なるほどなぁ…」


タシュケント「……」


朝雲「……」


ジジッ!

健四郎『俺だ。良野の提督だ』


タシュケント「同志…」


健四郎『?どうした?タシュケント』


タシュケント「…いや…なんでもない…」


健四郎『?そうか』


白雪「…司令官…実は…」


健四郎『ん?』



健四郎『…そうか…岩網大尉が…』


白雪「はい…」


健四郎『……』


健四郎『…』


岩網卯月「…?良野の指揮官さん?」


健四郎『…仕方ない…夜明けまでに仕掛けられるようにするぞ』


朝雲「…司令官…」


健四郎『すまん…みんなが疲れているのはわかっている。だけど、あいつのことだ…思い通りにいかなかったら岩網の艦娘達に何をするか、わからねぇ…』


岩網艦娘達「「え…」」


健四郎『だから、今回は我慢して欲しい…』


朝雲「……」


タシュケント「……」


健四郎『…事が終わったら、何か要望でも叶えてやるよ』


朝雲「本当に?」


健四郎『約束する』


タシュケント「…わかったよ。同志」


健四郎『それに、俺も今日は寝ないことにする』


岩網祥鳳「⁉︎いえ、そんな…」


健四郎『ん?俺が居たら嫌か?』


岩網祥鳳「いえそんなことはございません…ですが…」


健四郎『ですが?』


岩網祥鳳「あなたは今日一日お疲れになっているでしょう。ですので、無理して起きておく必要はありません」


健四郎『うーん…俺を気遣ってくれるのはありがたいが、気持ちだけ受け取っておく。自分の部下がこうして頑張っている中、自分だけ休むなんてことはしたくないのでね』


五月雨「提督…」


白雪「…ちなみに…今岩網司令官は…」


健四郎『別室で寝てる』


白雪「そうですか」



数時間後…



五月雨「…」コク…


涼月「…ふぁぁ…」アクビ


長10cm砲ちゃん達(-_-)zzz


白雪「……」


朝雲「zzz…は!」


健四郎『みんな…大丈夫か…?』


岩網祥鳳「はい…」


タシュケント「なんとか…」


健四郎『イク、返事をしてくれ。ちゃんとついてきてるか?』


伊19「ちゃんといる」


健四郎『よし』


五月雨「提督…ここで寝ませんか?仕掛けるのは明日にして」


健四郎『そうだな。ここで海上にテントを張るのもいいが…』


……………(蚊の鳴くような小さな音)


涼月「…?」

五月雨「え?」

白雪「?」


健四郎『どうした?』


五月雨・白雪・涼月「……」ガシャ…ピシャピシャビシャン(爆雷投下)


タシュケント「?潜水艦⁉︎」ガシャ…


五月雨「待って!」


タシュケント「え?」


ドーンドーン…(爆雷が爆発する音)


白雪「……」


……………


涼月「……」


伊19(…海の中に何かいるのかな?)ザブン!


伊19「……」ブクブクブク


伊19(暗くてなにもわからない……ん…?今何か…)


伊19「……むぐっ⁉︎」



五月雨(…なんだろう…この音…)


伊19「ブハッ!」


皆「!」


五月雨「ど、どうしたのですか⁉︎」


伊19「海の中に、巨大な何かがいるの!」


五月雨「え…」


白雪「巨大な何か?……!」


ブクブクブクブク


岩網龍驤「!な…なんや?なんの音や…?」


岩網祥鳳「これは…水疱の音…?」


健四郎『全員、海に照明を当てて調べろ!』


皆「…!」カチッ


岩網由良「……!あそこです!」ユビサシ


指の先には大きな水疱が発生していた。


岩網龍驤「…!海の中から何かが上がってきちょるぞ…!」


皆「!」


体が揺れだす。


健四郎『…これは…全員下がれ!何か来るぞ!』


五月雨「!はい!」


五月雨達は健四郎に言われた通り下がる。それと同時に…


岩網卯月「!あそこ!」ユビサシ


指の先では、海面が盛り上がっていた。



ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ


海の中からその何かはゆっくりと浮上してくる。


朝雲「な…な…」


健四郎『…これは…なんだ…?』


岩網祥鳳「あ……あ……」


タシュケント「……」呆然


五月雨「……」上に同じく


白雪「……」上に同じく


岩網卯月「あわわわわわ…」


岩網龍驤「う…うそやろ…」


岩網羽黒「ひぃぃぃぃ!」涙目


伊19「」ガタガタガタ


涼月「あ…う…あ…」パクパク


岩網由良「ああ…」失神


岩網初春「……」ガシッ!←失神した由良を支える



皆空いた口が塞がらない。それもそのはず。その何かは巨大すぎるのだ。



???「グルルルルル…」


健四郎『…なんつーデカさだ…』


暗くて姿はよくわからないが、その巨大な何かは体が所々青く光っており、どのくらい大きいのかが大体わかる。また、一番上の方に、目玉らしき赤い光が二つある。


五月雨「…て…ていと…く…」


健四郎『な…なんだ…?』


五月雨「どう…しま…しょ…う…」ガクガクガク


五月雨は震えていた。


健四郎『どうするって…』


???「……」ギョロッ


健四郎『っ⁉︎』


一番上にある赤い目玉のようなものがこちらを見つめた瞬間、


???「グゥゥゥオオオオオオオ!!!」


雄叫びをあげた


皆「っ⁉︎」


健四郎『全員、急速回頭!逃げるぞ!』


皆「!はい!」


皆がその言葉とともに後ろを向く。そして、全速力で一気に駆け出す。


???「ウォォォォォ!!!」


ドーン!ドーン!ドーン!


爆音とともに暗闇のところどころがチカチカと光る。


ヒュ〜


岩網祥鳳「…!砲撃、きます!」


バシャーン!バシャーン!


涼月「う…」


健四郎『おい、照明を早く消せ!奴に位置がバレてるぞ!』


五月雨「っ!そうだった…」カチ


涼月「すっかり忘失してました」カチ


???「グァァアアアア!!」ドーン!ドーン!


ヒュ〜


バシャーン!バシャーン!


岩網由良「っ…」


岩網卯月「ぴょ〜ん…」


シュゥーーーーー…


涼月「…ん⁉︎敵機です!」


深海棲艦載機Aシュゥー!

深海棲艦載機Bシュゥー!


ドガーン!

タシュケント「きゃああ!」


健四郎『タシュケント!』


タシュケント「う…Все в порядке(大丈夫)同志提督…ちょっと掠っただけだから…」(小破)


健四郎『…クソ、艦載機まで出してくるとは…』


岩網龍驤「しかも夜やからうちら何もできへん!…は!」ヒュ〜


バシャバシャドッガーン!

岩網羽黒「キャアアアアアアア!!」


岩網祥鳳「は、羽黒さん⁉︎」


皆「!」


岩網羽黒「う…う…ひっく……もう嫌ぁ…」涙目(中破)


涼月「そんな……っ!」


長10cm砲ちゃん×2(`ω´ )


ドン!ドン!ドン!


深海棲艦載機×3<プシュゥ…ゥゥゥゥゥバシャン!


涼月(よし…)


敵の砲弾<ヒュ〜


五月雨「涼月さん!避けて!!」


涼月「っ⁉︎しま…」

ドガーーーン!











(あ……う……)


(…全身が痛い…。私…どうなってたっけ…?)


(えっと……敵機を撃墜して…そして…敵の砲弾に当たって…)


(…ああ…そういうことですか…)


(私…死んだのですか…)


(…みんなは…大丈夫でしょうか…?)


(あれから…ちゃんと逃げ切ったのでしょうか…?)


(…そうであることを祈りましょう…)


(……)


??「…ず…き…」


(…?)


??「すず…き…」


(…誰でしょうか…?)


??「涼月!」


(⁉︎)


??「起きなさい!」


(え…?)


??「起きなさい!あなたはまだこっちに来ないで!」


(…こっち…?)


??「起きなさい!涼月!」


(???)混乱


??「起きなさい!あなたには待っている仲間がいるでしょう⁈」


(…仲間…?)


??「起きなさい!」

??「起きなさい!」

??「起きなさい!」


(え…あ…え…?)


健四郎?「起きろ!涼月!」


涼月「は⁉︎」ガバッ


健四郎「うお⁉︎」ビクッ


五月雨「ふぁ⁉︎」ビクッ


涼月「はぁ!はぁ!はぁ!」


健四郎「お…おい…涼月…?」


涼月「はぁ…はぁ……提督…?」


健四郎「だ…大丈夫か…?」


涼月「…はい…」


健四郎「…そうか…良かった…」脱力


五月雨「おととと…」←健四郎を支える


涼月「…すみません…ご心配をおかけしました…」


健四郎「いや、いいんだ。お前が無事なら…それで…」


涼月「…ありがとうございます…」


涼月「…ここは…?」


健四郎「良野鎮守府の医療室だ」


涼月「…そうですか…」下を向く


涼月「……ん?」


健四郎「……」


涼月「……」チラ…


涼月は恐る恐る右を向いた


涼月「……え…?」


健四郎「涼月…その…」


五月雨「……」


涼月「あ…え……あ……?」混乱


涼月「…提督…」


健四郎「…なんだ…?」


涼月「私の…右腕は…どこに行ったのですか…?」


健四郎「……」


五月雨「…吹っ飛んでしまいましたよ…」


涼月「…え…?」


五月雨「…敵の砲弾に当たったのは覚えてますか?」


涼月「…はい…」


五月雨「その時に涼月さんは咄嗟に右に避けたんです。しかし、一歩間に合わず、右肩に被弾。そのまま吹っ飛ばされたんです」


涼月「……」


健四郎「その後、タシュケントが気絶したお前を担いで連れて帰ってくれたんだ」


涼月「そう…だったのですか…」


涼月「…そうだ、他の皆さんは?」


健四郎「安心しろ。結構な被害が出たが、なんとか全員生きて帰ってこれた」


涼月「そう…ですか。それは良かったです」


健四郎「…涼月、」


涼月「はい?」


健四郎「あー…その…右腕についてだが…」


涼月「…右腕…ですか…」


健四郎「一応、孤島鎮守府の提督曰く、義手を作ることは可能らしいが…」


涼月「…義手…」




あの夜戦から三日後…

良野鎮守府

執務室




提督『…分かった。準備する』


健四郎「ありがとうございます」


提督『ただ、サイズとかいろいろ測らなきゃダメだから、明日そっちに明石と長良と夕張を送る』


健四郎「分かりました」


提督『…涼月の件は、これで今はひとまず置いておけるだろう…。…岩網の艦娘達は帰ったか?』


健四郎「はい、高速修復剤ですぐに回復しました。驚かれたと同時に感謝されましたよ。古鷹さんに言っておいてください」


提督『そうか。また伝えておく』


提督『…にしても…小笠原諸島近海に現れた謎の巨大な深海棲艦…か?映像を見させてもらったが、俺も何が何やら分からなかった…』


健四郎「あれについては今は深く考えないようにしています…」


提督『そう…か…。すまんな、疲れているところにこんな話を振ってきて…』


健四郎「いえいえ、お気になさらず。ひとまずこれで一息つけそうです」


提督『はは、お疲れさん。このまま何もなかったら良いんだがな…』


健四郎「きっともうしばらく何もないと思いますよ。そう立て続けに厄介ごとが起きることなんて…」


ドア<コンコン


健四郎「ん?どうぞ〜」


<ガチャ

五月雨「失礼します。今朝届いた書類です」バサッ


そう言いながら五月雨は机に書類を置く。


健四郎「はいありがとう」


五月雨「…あ、通話中でしたか、失礼しました」


健四郎「いいよいいよ、孤島鎮守府の提督だから」


提督『まあ俺以外の海軍関係者だと、普通に健四郎君が怒られる案件だから、注意したほうがいい』


五月雨「分かりました!」


健四郎(さてさて…今日は何を送りつけてきたのやら…)


そう心の中で呟きながら少し書類をめくってみる。


健四郎(建造命令書に出撃命令書…それ以外にもいろいろある…ん?)


書類を一枚一枚めくっていると、ある書類に目が止まる…。


提督『…ん?健四郎君、どうかしたか?』


健四郎「…一樹さん、」


提督『ど、どうした?』


五月雨「…提督?」



〜健四郎、説明中…〜



五月雨「……」


提督『…それは……見事なフラグ回収だな…』




二日後…

良野鎮守府門前




白雪「……」


健四郎「……」


五月雨「……」


護衛兵A「今から下すから、気引き締めろよ?」


そう言いながら、護衛兵Aは大きな木の板を輸送トラックに掛け、坂を作った。


ドッドッドッド…


健四郎「な⁉︎」


白雪「⁉︎」


五月雨「まさか⁉︎」


輸送トラックの荷台から下されてきたのは…


ル級「…」


車椅子に乗せられ、その上に何重もの固定器具で拘束された、ル級だった。






第七章








健四郎「……」アングリ


護衛兵B「驚くのも無理はねぇ。俺たちだって最初は驚いた」


健四郎「…一体どうやって今まで管理してこれたんだ…?」


健四郎がそう聞くのも無理はない。イ級などの力の弱い駆逐艦クラスの深海棲艦は、現在の人類にある技術で拘束が可能なので、今まで何件か捕獲事例があったが、それ以外のクラスは、どれも力が強すぎる為、捕獲事例などまず無い。そもそも、深海棲艦は基本的に死を恐れず向かってくる為、捕虜にしても暴れて拘束具を破壊され逃げられることが多い。ましてや戦艦なんて、捕縛することも不可能に近い上、もし仮に捕縛して鎮守府に連れ帰ったとしても、その後回復され(深海棲艦は再生能力が高い)暴れられたら、最悪鎮守府が崩壊する。


護衛兵B「さあ?」


健四郎「知らないのか?」


護衛兵C「ああ、なんせ俺らも極秘任務って命令されて来たんだ。副吹提督は何も教えてくれなかった」


護衛兵B「それに、この任務があったこと自体、話すなって言われてる」


健四郎「そう…か。聞いて悪かった」


護衛兵B「いやいや、気にするな」


白雪「……」ジッ…


ル級「……」


護衛兵A「それじゃあ行くとするか」


護衛兵B「そうだな」


健四郎「もう行くのか?せっかくだし中で休んで行ったらどうだ?」


護衛兵C「ありがたいが、俺たちはこの後もいろいろやることがあるんだ」


健四郎「そうか…それは残念だな。じゃあ、また会う時があれば」


護衛兵A「…ああ、」ツギガアレバナ…


護衛兵たちはいそいそと、輸送トラックに乗って帰っていった。


健四郎(あんだけ急いでたのか…これは悪いことしちゃったな…)




提督『ル級⁉︎』


健四郎「はい…」


提督『え…ちょまって…ガチ…?』


健四郎「ガチです」


提督『はへぇぇ……』


提督『え?なんで?どうやってその副……』


健四郎「副吹提督です」


提督『そうそう、そいつはどうやって管理していたんだ?』


健四郎「それが…護衛兵たちに聞いても知らないそうです…」


提督『…そう…か…』


健四郎「…ですから…」


提督『分かってる。俺の方からも誰か送るとしよう』


健四郎「!ありがとうございます」


提督(…にしても…)


提督(副吹提督はいったいどうやってそのル級を管理していたのか…)


提督(あと、なんで上層部に送らずこっち(良野)に送って来たのか…)


提督(それ以外にもいろいろ気になる点がある…。それは健四郎も同じだろう…)


健四郎「…一樹さん…?」


提督『ん?ああ、すまない』


健四郎「やっぱりいろいろとおかしいですよね?」


提督『ああ…』


提督『こっちでいろいろと考えてみる。その間は、絶対にル級から目を離すなよ』


健四郎「言われなくても分かっています。今は五月雨達に監視を任せています。また分かったことがあれば、連絡しますね」


提督『よろしく頼む』


健四郎「では、」


ガチャン…


健四郎「…さて…少しル級の様子を見てくるとするか…」





地下室




五月雨「うーん…」


白雪「ダメですか…」


健四郎「どうだ?様子は」


五月雨「あ、提督!」


白雪「!司令官」


ル級「……」






五月雨「今はおとなしくしています。暴れる気配もありません」


健四郎「そうか。何か分かったことは?」


五月雨「何も…」


白雪「…ただ…気になるところが…」


健四郎「ん?どうぞ」


白雪「これ…どうやって抑え込んでいるのでしょうか…?」


白雪「このような鉄の拘束具くらいなら、破壊して逃げることも可能のはずなのに…」


健四郎「確かに…一体なんでなんだろうな…」


健四郎「一樹さんに相談したら、孤島鎮守府から何人か送ってくれるとのことだ。それで少しでもわかれば良いんだが…」


五月雨「……」


ル級「……」


健四郎「…他に何かあったか?」


白雪「いえ…」


健四郎「そう…」




孤島鎮守府




提督「……」


飛龍「提督?」


提督「ん?ああ、すまない」


飛龍「どうされたのですか?そんなに難しい顔をされて…」


提督「実はな…」


一樹は良野鎮守府に送られてきたル級のことを話した。


飛龍「はぇー…あのル級を…。信じられませんね…」


提督「ああ、まったくだ」


飛龍「今はどうなって…」


提督「良野のみんなが見張っている」


飛龍「…大丈夫でしょうか…」


提督「わからん…だから、出来るだけ早めに良野に行くよう長良達に言っている」


飛龍「…?長良さん以外は誰が?」


提督「古鷹、明石、響が行く」


飛龍「そうですか。響ちゃんがいれば安心ですね」


提督「ああ」


提督(…さて、こっちは心配ないが…気になるのは副吹提督だ…)


提督(一体どうゆうつもりだ…?なぜル級を本部ではなく良野に送った…?彼の思惑が読めない…)


提督(それに、さっき健四郎とも話したが、今まで一体どうやってそのル級を管理できてきたのかも謎だ)


提督(うーむ…わからない…)




その夜…

良野鎮守府地下のル級監視部屋




ル級「…」ピクッ…


ル級「……」チラ…チラ…(あたりを見渡す)


ル級「……」プルプルプル


ル級は手を震わせている。


<チャキ…

ル級「…?」


朝雲「……」←砲口を向けている


ル級「⁉︎」


朝雲「動k「アアアアアアアアアアアアアアア!!」え⁉︎」


ル級「アアアアアア!!」ガシャ‼︎ガシャ‼︎(拘束具を破壊する音)


ル級「アアアウウ!!」(車椅子を投げ飛ばす)


朝雲「きゃ⁉︎」

車椅子<ガシャン!ガシャン!


大きな音とともに車椅子は転がり、壁に打ち付けられた。


朝雲「う…嘘でしょ⁉︎」


ル級「ウウゥゥゥ…」(朝雲を見つめる)


朝雲「っ!」アトズサリ


ル級「……」スタ…スタ…スタ…


ル級は生まれたての子鹿のような足取りでゆっくりと朝雲の方へ歩く。


朝雲「来ないで!撃つわよ!」


ル級「……」ガシャン(深海艤装展開)


朝雲「う…」ピタッ(壁)


深海艤装の砲身<ガチャ、ガチャ、ガチャ、(朝雲に狙いを定める)


朝雲「くっ!」ドン!


ル級「……」ドカーン!


朝雲「……っ」


ル級「……」シュゥゥゥ…


朝雲「ダメ…か…」


ル級「ア……」プルプルプル


朝雲「っ!」メヲツムル


ル級「…⁉︎」ドカーン!


朝雲「きゃ⁉︎」


朝雲(え?)


突如ル級が爆発した。


朝雲(い…一体何が…!)


タシュケント「大丈夫⁉︎同志朝雲!」


朝雲「あ…うん…なんとか…」ホ…


ル級「クゥゥ…」ヨロヨロ


タシュケント「くぅ…流石にこの砲でくたばるほど弱ってないか…早くこっちに!」


朝雲「ええ!」タッ


朝雲は部屋の出口に走った


深海艤装の砲身<ガチャ!、ガチャ!


タシュケント「走って!ドアから離れて!」ダッ


朝雲「わかってr」

ドカーーーン!!


二人「「きゃああ!!」」


キーーーーン……





タシュケント「……雲!」


タシュケント「朝雲!」


朝雲「は!」


タシュケント「起きた⁉︎」


朝雲「う、うん、」


朝雲「あれ、星が見える…」


タシュケント「どうやら天井が崩れ落ちたみたい。鎮守府の真下じゃなくてよかったよ」


ガラ…


二人「!!」


タシュケント「やっぱ生きてるか…」


ル級「……」


後書き

現在執筆中です。


尚、この物語はフィクションです。実際に存在する人物や団体とは一切関係ありません。




縁羅「…ねぇ…?ジョーズさん…?」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

ジョーズ「はい…」

縁羅「ここしばらく、私の出番無くないですか…?」

ジョーズ「はい…」

縁羅「…いい加減にしないと…ルイ16世にしますよ?」シュル…(刀を抜く)

ジョーズ「近いうちにちゃんと作るので、それだけは勘弁してください」土下座

縁羅「…約束ですよ…?」

ジョーズ「はい…」


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1: ヒメ巫女♂ 2021-01-05 23:26:48 ID: S:vEOny5

再開乙です。
不知火でどうでしょうか?

2: ジョーズ 2021-01-06 11:48:16 ID: S:XkMyGa

不知火、採用です!

3: ジェラルジョン 2021-01-09 12:28:02 ID: S:O4ruhb

秋月型でお願いします。

4: SS好きの名無しさん 2021-01-09 17:42:52 ID: S:6iuehG

涼月でお願いします

5: 50AEP 2021-01-10 18:08:09 ID: S:Nguygo

この長10㎝砲ちゃんたち、ご主人(涼月)が酷い事されてるんじゃないかと思って踏みつけてたのかな?主想いの子ですね。

6: ジョーズ 2021-01-12 00:37:14 ID: S:yL3GT8

コメントありがとうございます。きっと長10cm砲ちゃん達は主人である涼月が大好きなんでしょうね!

7: ジェラルジョン 2021-01-13 19:55:01 ID: S:5jEJ98

吹雪型でお願いします!
ウチの初期艦の姉妹を救ってやってくだせぇ!!

8: ジョーズ 2021-01-13 20:52:16 ID: S:kbXtc9

了解しました!

-: - 2021-01-14 22:34:15 ID: -

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10: AKIHIRO 2021-01-15 07:56:32 ID: S:f7V7Pj

どうにかして爆破を阻止
そしてしれっとクズ提督共を葬るとかどうですか?

11: SS好きの名無しさん 2021-01-17 17:37:33 ID: S:6ZdX0q

敵の艦載機隊より低く飛んでる偵察機…

隊長機が何機いるかわからないけど、千機もいるとなると相当数になると思う。

あと、千機の艦載機隊となると空母何隻分になるんでしょうか?

仰角25度で対空砲火ってのはちょっと無理がある気がする。

もうちょっと艦娘以外の事を勉強してください。

12: ジョーズ 2021-01-17 19:16:29 ID: S:QDan_C

→11様、ご指摘ありがとうございます。

ご指摘なされた点についてですが、

敵の艦載機より低く飛んでいる偵察機(夜天改)ですが、これはたまたま下方を飛んでいただけです。こちらの表現不足です。すみません。

また、これも表現不足なんですが、航空母艦から艦載機を文字通り全機発艦させているので、航空母艦一人につき70機〜80機、軽空母一人につき40機〜50機となっています。は本編に書いてある通り航空母艦は6人、軽空母は12人いるので艦載機は最低でも900機、最大で1080機となります。なので約1000機にはなると思います。

しかし、いくら1000機といえど隊長機は10機に一機でも100機、5機に一機でも200機くらいです。その隊長機を150機もの桃華改が隊長機だけを狙って来たら5分で墜とせると思います。これも表現不足ですね。すみませんでした。

霧島の主砲が仰角25度ですが、これは私の勉強不足です。再び調べて43度までいけると書いてありました。ご指摘ありがとうございます。訂正させていただきます。

ありがとうございました。

13: ヒメ巫女♂ 2021-01-23 01:25:56 ID: S:gWTQfy

横から失礼します。仰角25度は別に変な数字ではなかったりします。(距離1万mで高度約4633m)この手の数字を簡単に出せる計算サイトがありますので利用してみては如何でしょうか

14: ヒメ巫女♂ 2021-01-23 01:28:45 ID: S:J3xXEJ

入力ミス高度約4663m

15: ジョーズ 2021-01-23 07:01:53 ID: S:FemCFG

ヒメ乙女♂様、アドバイスありがとうございます!

-: - 2021-01-23 20:12:11 ID: -

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-: - 2021-01-23 20:13:49 ID: -

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-: - 2021-01-24 01:44:21 ID: -

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19: SS好きの名無しさん 2021-01-27 23:38:01 ID: S:l67jQF

雛波中佐から大佐に変わってます

20: ジョーズ 2021-01-28 00:10:39 ID: S:JBdNgE

ご指摘ありがとうございます。すみません、直しておきます。

21: SS好きの名無しさん 2021-01-28 16:32:42 ID: S:7bge4d

つまらない

22: SS好きの名無しさん 2021-01-28 16:33:14 ID: S:Nx6kzs

誤字多すぎワロタw

-: - 2021-01-28 16:34:16 ID: -

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-: - 2021-01-29 18:17:22 ID: -

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25: SS好きの名無しさん 2021-01-29 21:59:46 ID: S:eERAow

批判しても意味がないこと分からないのかな?しかも
そこまで言うなら自分たちこの作品より良い物語を書けますか

26: SS好きの名無しさん 2021-01-29 22:02:59 ID: S:GVppfl

21番さんはつまらないなら見るな

27: SS好きの名無しさん 2021-01-29 23:47:34 ID: S:tsUTD5

吐き気がするわ。アンチ組どっか消えちまえ

-: - 2021-01-29 23:52:22 ID: -

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-: - 2021-01-29 23:56:21 ID: -

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-: - 2021-01-29 23:57:55 ID: -

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-: - 2021-01-30 09:50:20 ID: -

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32: SS好きの名無しさん 2021-01-30 18:00:07 ID: S:_b8sFr

根拠も無いのに盗作とか…
いい加減にしろよこの社会不適合者。

33: ヒメ巫女♂ 2021-01-30 19:28:08 ID: S:GNIn1W

プロという訳ではないでしょうし粗があるのは当たり前でしょう。それも含めて私は第1期から楽しく読ませてもらっています。荒らされる程度には注目されていると割り切って気楽に行きましょう。

34: SS好きの名無しさん 2021-01-30 21:58:15 ID: S:u9YxOM

これは何言ってもやめないやつだな
バイド、じゃあ書いて

35: SS好きの名無しさん 2021-01-30 22:03:55 ID: S:7cmz4c

こういうやつがいるから書くひと少なくなる

36: SS好きの名無しさん 2021-01-30 22:09:47 ID: S:zsJTxm

人の気持ちをアンチ達は分かっていなさそうだな
自分たちも同じ立場になってみろ

37: SS好きの名無しさん 2021-01-30 22:11:27 ID: S:slczwt

ジョーズさんのコメント欄をこんな風にしてしまってすみません

38: SS好きの名無しさん 2021-01-30 22:18:48 ID: S:QA6qfm

批評してるだけなのに豆腐メンタルの集まりここは?批評されて当然じゃん、世に作品だして批判されないとでも思ってるの?甘ちゃんの集まりだね

-: - 2021-01-30 22:21:37 ID: -

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-: - 2021-01-30 22:27:10 ID: -

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-: - 2021-01-30 22:31:58 ID: -

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42: SS好きの名無しさん 2021-01-30 23:18:24 ID: S:3TtGtx

それならお前らも同類だな

43: SS好きの名無しさん 2021-01-30 23:20:12 ID: S:AQHsTW

それは一人が批判して俺たちもやろうとか思う奴らだからだよ

44: SS好きの名無しさん 2021-01-30 23:23:50 ID: S:iPgUiS

社会府適合者(笑)

45: SS好きの名無しさん 2021-01-30 23:34:44 ID: S:9yVP8h

39、それは人によって違うけど人の気持ちも分からないのかな?

46: SS好きの名無しさん 2021-01-30 23:57:07 ID: S:t7BeSZ

ほらやっぱりどこパクってるかも書けない…
はやく病院に帰ったら?

47: SS好きの名無しさん 2021-01-31 00:08:29 ID: S:1E-JLv

いや興味ないです

-: - 2021-01-31 18:31:00 ID: -

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-: - 2021-01-31 18:34:27 ID: -

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50: SS好きの名無しさん 2021-01-31 18:46:17 ID: S:-9FIZq

アンチコメもしょうもないけど、それにムキになって必死に噛みつき擁護してるやつらもしょうもない、小学生の喧嘩しての?ここは、全体的に低レベル、どっちの立場の人もここにいる資格はないよ

51: SS好きの名無しさん 2021-01-31 18:54:43 ID: S:p-UH_I

じゃあお前どっちだよ

52: SS好きの名無しさん 2021-01-31 19:05:14 ID: S:6bsk5I

中立って言葉知らないの?

53: SS好きの名無しさん 2021-01-31 19:06:52 ID: S:I6Ehes

チンチンペロペロ

-: - 2021-01-31 19:09:23 ID: -

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55: SS好きの名無しさん 2021-01-31 21:41:18 ID: S:K5YpFT

53、下ネタ入れんな

-: - 2021-02-01 00:25:24 ID: -

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-: - 2021-02-02 00:55:59 ID: -

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-: - 2021-02-02 01:05:04 ID: -

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-: - 2021-02-02 01:26:36 ID: -

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60: SS好きの名無しさん 2021-02-02 13:49:33 ID: S:TUrn26

>>49
それただの逃げ口上だよね。
中途半端に濁して逃げるあたり怪しいだけじゃなくて雑魚っぽい。

お前が書くべきなのは『この作品のこの部分を盗作しています』だろ。
あとPV数不正しているとかなんの根拠があるの?

-: - 2021-02-02 17:20:06 ID: -

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-: - 2021-02-02 17:23:21 ID: -

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63: SS好きの名無しさん 2021-05-03 02:51:25 ID: S:5QUEAG

だったら書けよ28番見ないけど

64: SS好きの名無しさん 2021-05-03 02:59:16 ID: S:SD8Hbv

32番お前もう黙ってろ
楽しいか?人を罵倒するの

65: SS好きの名無しさん 2021-05-03 03:01:25 ID: S:GCGnWr

32番お前もう黙ってろ
楽しいか?人を罵倒するの

66: SS好きの名無しさん 2021-05-03 03:04:16 ID: S:NzT0aC

50番お前も止めろよいや分かるよ?中立分かるけどさぁ ね?

67: SS好きの名無しさん 2021-05-03 03:07:04 ID: S:WziphY

50番何でお前に資格が無いって言われないといけないの?
他人にとやかく言われるしつよう無くないか?

68: SS好きの名無しさん 2021-05-03 10:17:41 ID: S:FL7z65

なんか急にキッズが暴れていて草

69: SS好きの名無しさん 2021-05-03 10:19:33 ID: S:i_rM4T

オススメの7番、アンチに負けるなとか言いながら作者の名前間違えてるの笑うwww

70: SS好きの名無しさん 2021-06-28 18:05:58 ID: S:8QCqgt

コメント見てたら荒れてるんだけどww

71: SS好きの名無しさん 2021-09-05 17:52:59 ID: S:9fI0xn

なんでこうなるかなぁ


このSSへのオススメ

10件オススメされています

1: SS好きの名無しさん 2021-01-16 11:48:16 ID: S:jc0C1J

・地の文がないから分かりずらい
・「w」はいらない、それ入れるくらいなら地の文で表現出来るはず
・安易なブラ鎮展開
・展開にひねりがゼロ
・序盤の展開、全体の流れが他作品に酷似
・二番煎じのような内容
・クオリティの低い表現

正直面白くありません、煽り抜きでシンプルにつまらない内容でした

2: SS好きの名無しさん 2021-01-21 22:46:01 ID: S:iMJ7HX

1番それを書くならばコメントで書けオススメで書くことではない

自分はいいと思ってますジョーズさん更新頑張ってください
ほか作品も見てます

-: - 2021-01-23 20:11:47 ID: -

このオススメは削除されました

4: バイド 2021-01-29 18:16:59 ID: S:GEC6SL

素材は悪くないがそれを調理するのが絶望的に下手くそ、作者の技量が足を引っ張ってるもったいない作品

5: SS好きの名無しさん 2021-01-29 23:49:47 ID: S:FCx-0x

とても面白いと思います。これからもジョーズワールド展開してください!

6: SS好きの名無しさん 2021-04-14 00:02:04 ID: S:FQDZo0

最近オリキャラの出番が無い。
もっと出していいのよ?

7: SS好きの名無しさん 2021-05-03 03:01:17 ID: S:gmGZVO

そうだアンチコメントに負けるなジョーンズこの作品は面白いから

8: SS好きの名無しさん 2021-06-28 18:07:54 ID: S:iwg4xd

アンチはほっとけ おれらがそのアンチコメント隠すから

9: SS好きの名無しさん 2022-02-02 23:50:36 ID: S:F1Exoc

更新はまだ?いつまでも待ってます。

10: SS好きの名無しさん 2022-09-19 00:48:48 ID: S:goAjij

更新待ってます・・・!


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