提督適性があるとして民間から海軍へ入ったら無双した件【1】
作品内容、作中の提督や艦娘は二次創作によくある設定です。艦これ要素は艦娘くらいで、「提督の決断」要素多めの「艦娘×実艦」なアルペジオ式。
[作中オリジナル用語]等は基本ありませんが、艦これ用語や、他の作品の様にゲーム内のシステムが多量に出てくるわけでもありません。
感想や質問等、ご自由にコメントしていただければと思います。
※この作品に登場する艦娘の性格や言動、登場人物や地名等はフィクションです。
艦隊資料集 ↓
資料にした物↓
1356時頃
〜クェゼリン島沖〜
《天候》
曇り
《波 風》
高 強
《潮流》
普通
《雲量》
7
《呉鎮》
〈第三艦隊 第三水雷戦隊〉
川内 五十鈴
[第十一駆逐隊]
吹雪 叢雲 曙 霞
[第十二駆逐隊]
不知火 黒潮 浦風 浜風
《陣形》
複縦陣
《速力》
強速(18kt)
ー旗艦川内 艦橋ー
通信妖精『クェゼリンの偵察機から、テ連送傍受!』
川内「見つけたわね、詳細は?」
通信妖精『重巡2、軽巡ないし駆逐6』
通信妖精『敵速約24kt。○○○へ向け航行中』
クェゼリン島基地所属の偵察機より、敵戦隊を発見したとの通報が入る。
提督「川内、敵艦隊を叩くぞ」
川内「待ってました!!航海長、すぐに敵針路の予想と、私達の針路を計算!」
航海科妖精「了解」
川内「通信長、信号長。各艦へ通信と信号を」
通信長妖精『了解』
信号長妖精『了解』
哨戒任務中の三水戦司令部は、
発見された敵戦隊を攻撃するべく、会敵予想位置を割り出し始めた。
ーーーーー
ーーー
ー
会敵予想位置を割り出した三水戦は、
針路を敵艦隊への会敵予想位置へ向ける。
航海長妖精「針路を敵艦隊へ向けます。提督」
提督「了解」
航海長妖精「川内」
川内「了解」
提督と川内への報告と確認を行う。
航海長妖精「操艦妖精。針路を○○○度へ」
操艦妖精「よーそろー。針路○○○へ変針する」
航海長妖精が、羅針儀の前に立つ航海科の妖精へ指示を送る。
操艦妖精「針路○○○度へ向ける。おもーかーじ、右○○度」
操舵妖精「針路○○○度へ向ける。おもーかーじ、右○○度」
旗艦川内が面舵を取る。
それぞれの艦娘達が座乗する艦も、それに合わせて一斉に回頭を始めた。その動きに一切の無駄はなく、三水戦の練度の高さをうかがえる。
操艦妖精「○○○度まで回る。○○度前…○○度前…」
操艦妖精「もどーせ」
操舵妖精「もどーせ。舵中央」
操艦妖精「取舵を当て。当て舵○○度」
操舵妖精「取舵を当て。当て舵○○度」
5千トンを超える艦体は、すぐには回頭が止まらない。当て舵を当てて、回頭を止める。
操艦妖精「もどーせ」
操舵妖精「もどーせ。舵中央」
操艦妖精「針路○○○度よーそろー」
操舵妖精「よーそろー○○○度」
操艦妖精「よーそろー」
三水戦は、敵戦隊へ針路を変えた。
ーーーーーーーーー
ーーーーーー
ーーーー
ーー
ー
1600時頃
三水戦は、敵戦隊との会敵予想海域を進んでいた。
電探により探知された敵戦隊を視認するため、各艦の見張妖精が、電測妖精からの情報を基に、目を皿にして敵艦隊を探している。
ー旗艦川内 艦橋ー
霞『ワレ霞!敵艦見ゆ!!』
霞『右○○度方向!』
複縦陣、外の列3番目を進む霞から通報が入る。
艦橋に居る川内や提督、幹部妖精達が一斉に双眼鏡を向ける。
と、同時に川内より合戦準備の号令が掛かる。
川内「戦闘!右砲雷同時戦!目標、敵戦隊!」
川内「主砲、通常弾。電探及び観測射撃!」
川内「合戦準備!測的始め!!」
〜♪(合戦準備ラッパ
川内の号令が掛かると、各艦へ信号が送られた。合戦準備の号令のあと、提督から陣形変更の命令が飛ぶ。
提督「陣形、単縦陣へ変更する。90秒後に開始せよ」
艦娘s『「よーそろー」』
ーーーー
ーー
ー
〜 クェゼリン島沖〜
1616時頃
《天候》
曇り
《波 風》
高 強
《潮流》
遅
《雲量》
7
〈単縦陣〉
川内吹雪叢雲曙霞 五十鈴不知火黒潮浦風浜風
《速力》
第三戦速(27kt)
ー旗艦川内 艦橋ー
電測長妖精『敵戦隊との距離、約1万8千!」
提督「敵さんの有効射程に入ったか…。各艦へ、いつ撃ってくるかわからないから注意しろ」
艦娘s『「よーそろー」』
川内「私達はもう少し近づかないと撃てないのが、あぁ!もどかしいっ!!」
不知火『不知火も…早く撃ちたくてウズウズしてしまいます』
浦風『不知火姉さんに同意じゃ、はよぉ撃ちたくてしやないわぁ…』
五十鈴『全く、あんた達本当せっかちなんだから!必殺の距離まで待ちなさい』
吹雪『早く司令官に、私が撃ってる所見てもらいたい…』
叢雲『ちょっと、本音が漏れてるわよ』
吹雪『あっw』
提督「こんなくだらない会話してるはずなのに、この子達の強者オーラすげぇな…」
艦娘達は、お互いの動きを完璧に把握し、全く無駄のない動きで敵戦隊との距離を詰めて行く。
提督の下に所属する艦娘達は、日本海軍屈指の高練度を誇っている。
ーーーーーー
ーーー
ー
数分後
川内達三水戦は、敵との距離を詰め必殺の距離まで近づきつつある。
電探と目視による測的で、主砲の照準はほぼ完了しており、砲術長からの[撃ち方始め]の号令を今か今かと待っている。
水雷科員も、いつでも発射出来るよう備えており、出番を待つ。
バシャーーーーーン!!!!!!
右舷側見張妖精『着ーー弾っ!!』
提督「敵さんの砲撃もなかなか。川内、そろそろか?」
川内「えぇ、私達の必殺の距離よ!」
提督「よし、頼んだぞ」
川内「任せて!!」
川内「主砲!こーげき始め!!」
砲術長「主砲!うちーかた始め!!」
砲術長「第一弾よーい!って!」
ドーーーン!!!! ドーーーン!!!!
川内の主砲が吼える。
川内が射撃を開始せたのを見て、五十鈴以下各艦の主砲も射撃を開始した。
ドドーン!! ドドーン!!
ドドーン!! ドドーン!!
見張妖精5『各艦、発砲した』
着弾までは数十秒。
見張妖精『第一弾!だーーんちゃく!!』
見張妖精『遠弾っ!』
見張妖精3『各艦、命中無し』
提督「この気象条件でも、大きく外さないあたり流石だな…」
川内「まぁね」
大気や海面の状況次第では、大きく射撃に影響が出る。艦砲射撃を命中させるには、正確な観測と測的、複雑な物理計算が必要なのである。
ーーーーーー
ーーーー
ーー
ー
クェゼリン島沖
数時間後 戦闘終了
《天候》
曇り
《波 風》
低 弱
《潮流》
遅
《雲量》
7
《陣形》
単縦陣
《速力》
第二戦速(21kt)
※駆逐艦 浦風(15kt)
ー旗艦川内 艦橋ー
電測長妖精『敵戦隊との距離、3万5千』
川内「戦闘用具納め」
距離が開き、戦闘用具納めの号令がかかる。
見張妖精『浦風、合流した。我が艦の左』
川内「操艦妖精。予定通りに」
操艦妖精「よーそろー。両舷前進きょうそーく」
速力信号妖精「両舷前進きょうそーく」
機関長妖精『両舷前進強速』
信号長妖精『信号送る』
至近弾により、速力が落ち退避した浦風も合流し、速力を合わせる。
敵戦隊を撃破した三水戦の各艦から、被害状況の報告が入る。
五十鈴『五十鈴よ。被弾無し、至近弾フタ発なれど、被害無し』
吹雪『吹雪です。被弾至近弾共に無し』
叢雲『叢雲よ。被弾無し、至近弾フタ発。至近弾の破片の影響で、機銃座ヒト基の旋回機故障。けど、航行戦闘に支障無し』
曙『曙よ。被弾至近弾共に無し』
霞『霞よ。艦中央部に被弾ヒト発。浸水無し。負傷妖精が○○名、戦闘には支障あるものの、航行に支障無し』
不知火『不知火です。被弾至近弾共に無し』
黒潮『黒潮や。被弾無し、至近弾ヒト発やけど被害無し』
浦風『浦風じゃ。被弾無し、至近弾フタ発。艦尾付近の至近弾の影響で速力が出ん。出せて15ktじゃ』
浜風『浜風です。被弾至近弾共に無し』
川内「川内。至近弾4発、被弾無し」
提督「みんなお疲れ様、露払いは十分だろう。後は後ろの主隊に任せよう」
通信長妖精『提督、トラックにいる艦隊司令官からです』
艦隊司令官『おい!何故貴様の戦隊で敵主力を叩いた!?』
艦隊司令官『貴様の戦隊は、敵前衛の牽制に敵主力の誘致だろう!』
提督「承知しています。ですから、我が戦隊にて敵前衛を牽制し撃破した次弾です」
艦隊司令官『あの規模が前衛なわけあるか!わかっていてやったのではあるまいな!?』
提督「(あの程度が敵の主力て…)」
提督「我が戦隊に、主隊より誘致せよとの電文は入っておりません。 クェゼリンの偵察機からの通報は、主隊でも傍受しているはずです」
提督「敵の主力と判断したのなら、主隊ハタブネの愛宕より電文が発信される事になっておりますので、愛宕は敵主力ではないと判断したものと思われます」
艦隊司令官『受信していて、シラを切っているのではないか!?愛宕に確認を取る!覚悟しておけ!』
と、トラック島より指揮を執る哨戒艦隊の司令官からの通信が入る。
浦風『なんねアレ。たいぎぃ奴じゃのぉ』
川内「戦果取られて怒ってるんじゃない?」
霞『あの程度が主力とか、笑わせてくれるわね』
叢雲『この間の一水戦との演習の方が、よっぽど歯応えあったわよ』
提督「言ってやるな。実際、愛宕から電文もなかったわけだし。こっちから確認もしてる。間違いなく愛宕は敵の前衛と判断してるよ」
吹雪『はぁ、なんかシラけちゃった』
曙『どっかに敵の主力でもいないかしら』
五十鈴『そうね。戦艦の2隻くらい出て来ないかしら』
浦風『残弾もまだヨウケあるし、魚雷も9本残っとる。撃ち足りんわぁ。妖精さん達も撃ち足りんゆーとるわ』
黒潮「ウチの子達も同じ事ゆーとるで』
不知火『浦風は速力が落ちているでしょう。戦闘になったら、一時退避よ』
浜風『そうです。私が援護するから、退避よ』
浦風『提督さん、足手まといにはならんけぇ。うちも敵さん屠らせてやぁ』
提督「ダメ。ってか、全員じゃないけど被害は受けてるんだからここはトラックに帰るぞ。役目も果たしたんだからな」
艦娘s「『はーい』」
少し不満げではあるが、艦娘達は提督の命令に従った。
0500時頃
〜トラック泊地 春島沖〜
ー大和艦内 提督私室ー
大和「んっ…///垂れて来ちゃう…///」
五十鈴「私も…///」
島風「私達にあんなに出せるって、本当すごいよね…///」
起床ラッパが吹かれる前に起床していた数名が、夜の出来事を話している。
提督は、ベットの真ん中で他の艦娘に抱きしめられながら眠っている。
島風「ほら提督、起きてシャワー浴びないとダメだよ?」
提督「んん…も少し寝かせて…」
提督「…てか、なんか柔らかい」モニュ
白露「んっ…///」
春雨「ひゃん///」
昨日はお楽しみでしたね。
これが、この呉第三艦隊に所属する艦娘達の強さの秘密である。
ーーーーーーーー
ーーーーー
ーー
ー
提督達は身支度を整えて、軽く朝食を済ませると、
一晩過ごした戦艦大和より下艦し、夏島へ上陸。司令部施設へと来ていた。
0730時頃
〜トラック泊地 夏島〜
ー司令部施設屋内 廊下ー
吹雪「もう…。あんなにしたのに、お風呂でもするんだから///」
提督「搾りとっといてそれ言うか…」
吹雪「ふふふっ…」ニタァ
夕立「…提督さん」ギュ
提督「おい、夕立。押し付け…どうした?」
夕立「向こう。提督さんの事、よく思ってない人がいるっぽい」
夕立が何か気配を感じ取ったらしく、提督に抱きつき歩みを止めさせる。
甘えて来たのかと思った提督は、一度振り解こうとするも、夕立の表情を見てそれをやめた。
吹雪「司令官、ちょっと止まってやり過ごしましょうか」
提督「だな。わざわざ嫌味言われに行くこともないな」
提督「夕立、ありがと」ナデナデ
夕立「んっ…///」
吹雪「本当なら、感状じゃなくて勲章を貰えるくらいの戦果上げてるのに…!」
提督「いいよ、そんなもん。貰ったところで、悪目立ちするだけだし」
提督「それに、お前達がいつも離れず、一緒にいてくれる方が嬉しいよ」
吹雪「もうっ…///」
叢雲「…絶対離れてなんてやらないわよ」ボソッ
ーーーーー
ーーー
ー
0930時頃
ー司令部施設屋内 会議室ー
提督「では、○○日の0800時開始ですね」
将校「あぁ」
トラック泊地司令官「では、各自解散。演習の準備を進めたまえ」
将校「この私が、素人に艦隊戦を教えてやるからな。せいぜい足掻けよ」
提督「勉強させていただきます(面倒くさ)」
夕立「(コイツ潰す)」イラッ
叢雲「(後悔させてやるわ」ボソッ
吹雪「(あーあ。しーらぬい)」メソラシ
提督「(叢雲、声漏れてるぞー)」
艦娘達による、艦隊戦の演習の打ち合わせが終了した。
ーーーーー
ーーー
ー
1030時頃
〜トラック泊地 春島沖〜
ー大和艦内 会議室ー
提督「ってな演習になる」
村雨「え?なんか村雨達に不利じゃないかしら?不利じゃないけど」
春雨「不利な条件にしたかったのかも知れませんが…。まぁ大した不利要素ではありませんね」
不知火「不知火達を舐めてるのね」
黒潮「司令はん、編成どーするん?」
提督「駆逐艦のみの編成ってんだから、そうするけど。まぁ、お前達ならね。どの編成で行っても、叩き潰してくるでしょ」
時雨「まぁね。夕立なんてほら。こんな感じだから、必ず編成に入れてあげてね」
夕立「…アイツの所に所属してる子達には恨みはないけど。絶対潰してやるわ」
提督「あーあ。目が赤い戦闘モードになってるよ…」
提督「ほら夕立。抑えて抑えて」ナデナデ
夕立「ぽいー♪」
山城「私達はまた出番無さそうね」
扶桑「仕方がないわ、山城。私たちが出張ったら、あっという間に終わってしまうもの」
大和「お2人の射撃精度…。怖いです…」ガクガク
扶桑と山城の射撃精度に震えているが、大和の射撃精度もかなりの精度を誇る。
川内「はいはい。早いとこ編成決めないとじゃないの?」
五十鈴「まぁ、提督の事だから大体の編成は決まってるんでしょ?」
提督「まぁな。みんなが来る前にテキスト起こしといたわ」
曙「あら、早いじゃない」
提督「この間の哨戒任務での事も考えればすぐだよ。ちなみに、こんな感じだ」
【戦隊旗艦】
島風
〈第一戦隊〉
島風 村雨 夕立 春雨
〈第二戦隊〉
不知火 浜風 白露 時雨
駆逐艦8隻の2個戦隊である。
五十鈴「いい編成ね」
叢雲「これで決まりかしらね」
島風「みんな、よろしくね!」
春雨「島風ちゃんがハタブネなら大丈夫ですよ」
浦風「はぁ…。つまらん損傷なんてしてなけりゃ、うちも参加するチャンスあったのになぁ」
浦風「のぉ提督さん、せめて便乗だけでもさせてくれんかのぉ?」
不知火「浦風、今は少し休んでおきなさい。損傷なんて直れば、またすぐに戦えるわよ」
提督「そそ。また浦風のいいとこ、見せんさいね」
浦風「そがに言われたら、ええとこ見せんといけんね!任せとき!」ニコッ♪
夕立「浦風ちゃん達の分も、夕立が叩き潰して来るっぽい!任せて!」
浦風「うん、任せたけぇ気張りんさい!」
叢雲「頼んだわよ。あの提督を後悔させてやりなさい」
ーーーーー
ーーー
ー
1730時頃
ー大和艦内 執務室ー
提督「演習用弾薬の申請完了っと」
川内「おつかれー」
提督「申請したけど、今回もちゃんと通るのかしら…」
提督「毎回の事だけどさ、補給と整備の心配しなきゃいけないのは辛いな」
吹雪「その辺は大丈夫だと思いますよ。もし、補給も整備もないなんて事になったら、大淀さんと明石さん達が黙ってません」
吹雪「担当の妖精さん達も、申請通りちゃんと補給整備をしてくれますから」
提督「…だよな。ありがたい事だ」
川内「そうそう。ってか、艦娘用の艤装やら弾薬燃料は妖精さんじゃないと扱えないし」
大和艦内の執務室にて、演習の為の補給申請書類を作成していた。
提督の存在をよく思わない派閥により、申請しても受理されない事が時々あるのだ。
幸い、艦娘達が戦争する為の補給や整備は、将校妖精さんや工作艦[明石]給糧艦[間宮]らが担当しており、補給整備に困る事はない。
演習当日。
相手提督と提督の演習部隊は、無線封鎖を行い演習海域に展開している。
お互いの開始位置がわからないよう、出港時間をずらし、無線封鎖並びに味方識別信号も切って演習海域へ移動した。
〜トラック泊地沖 演習海域〜
0750時頃
《天候》
晴れ
《波 風》
低 弱
《潮流》
普通
《雲量》
3
〈複縦陣〉
島風 村雨 夕立 春雨
不知火 浜風 白露 時雨
〈速力〉
原速(12kt)
ー旗艦島風 艦橋ー
提督「さて。向こうさんは、予想通りの編成かしらね」
島風「だと思いますよ」
時雨『上に自分の艦隊自慢したいんだろうから、間違いないんじゃないかな』
村雨『艦娘は見栄を張る為の存在じゃないっての。失礼しちゃう!』
夕立『そんなのどうでもいいわ。誰が相手でも、ソロモンの悪夢を見せてあげるんだから…』
不知火『えぇ、例え予想と違ったとしても全力を持って叩き潰すわ』
浜風『参加できなかった浦風の分まで、私が主砲弾を撃ち込みます』
春雨『えっと…。演習弾ですが、当たりどころ次第で沈めちゃってもいいですよね?』
白露『ダメだからねっ!?春雨ったら、可愛い顔していっちばーん危ない事言ってるからね!?』
島風「そうそう。あの提督が、私達の提督に二度と因縁付けて来ない程度でいいんだから」
提督「…いや。普通に勝ってくれればいいからね?」
これは演習である。
各艦娘達と、会話んしているといると演習開始時刻になった。
島風「0800時、演習開始!」
提督「駆逐隊、5分後に増速」
島風「5分後に増速!第三せんそーく!」
信号長妖精『よーそろー。増速信号揚げ、第三戦速』
ーーーー
ーー
ー
提督率いる駆逐隊は、相手提督率いる演習艦隊を探している。
今回は電探による索敵を行わず、目視による索敵という設定だ。
1016時頃
〜トラック泊地沖 演習海域〜
《天候》
晴れ
《波 風》
低 弱
《潮流》
普通
《雲量》
3
〈複縦陣〉
島風 村雨 夕立 春雨
不知火 浜風 白露 時雨
〈速力〉
第三戦速(24kt)
ー旗艦島風 艦橋ー
提督「なぁ、敵さんが偵察機出したとして発見されるとしたらそろそろかしら?」
島風「そうかも」
島風「見つけたらどうする?」
提督「んー…そうだな」
提督「通信長、各艦へ通信」
通信長妖精『了解』
通信長妖精『繋ぎました』
提督「各艦へ。敵偵察機を視認した場合は、報告のみで発砲は無し。泳がせてくれ」
村雨『えっ!?撃たないの!?』
春雨『私の存在意義が…』
夕立『提督さん!どーして撃たせてくれないの!?』
他の皆も、撃たせろと抗議する。
提督「いや、演習だからね?相手を見つける、見つけてもらわないと演習にならないじゃん」
提督「相手には、予想通りなら伊勢に日向っていう大物がいるわけだし。ここは、見つかってからの反撃って想定で演習を行うのもいいかなって思ったんだけど…。ダメか?」
春雨『はいそれで行きましょう流石司令官です///』ハヤクチ
夕立『面白そう…。で、叩き潰せばいいっぽい』
不知火『えぇ、「相手は駆逐艦のみの編成で、こちらは先手を打った」と相手司令官は油断もしているでしょうね』
白露『懐に潜り込んで、必殺の魚雷を…』
時雨『相手の司令官は僕達の提督を舐めきってる。きっと伊勢さん日向さんに、主砲でねじ伏せろって指示を出すね』
浜風『お2人の後ろは最上さんと駆逐隊。私達の敵ではありません』
島風「私達の速さに追いつける駆逐隊なんてないんだからっ!」
提督「…トラウマだけは植え付けないでな?相手は深海棲艦じゃなくて、味方の艦娘なんだから」
副長妖精「…我が艦隊の艦娘の皆さんとの演習でトラウマになる様なら、その程度なのですよ」
提督「副長妖精も中々言うな…」
副長妖精「そんな味方、本当の鉄火場では敵以上に邪魔な存在ですから」
提督「…それもそうか」
夕立『早く見つからないかしら…。撃ちたいっぽい』
ーーーーーー
ーーー
ー
《天候》
曇り
《波 風》
高 強
《潮流》
普通
《雲量》
6
1219時頃
気象科妖精「予報通り、天気が怪しくなって来ましたね」
提督「…だな。頭痛してきたわ。今のうちに頭痛薬飲んどくか」
島風「軍医妖精に処方させるね」
提督「ん、ありがとう」
白露『敵偵察機、方位○○○度。フタ機』
白露より、相手艦隊の偵察機発見の通報が入る。
艦橋にいる島風らが一斉に、双眼鏡を覗きながらその方向を見る。
島風「あれだね…。雲の隙間にチラチラしてる」
提督「なぁ、あの偵察機が飛んできた方向とか、航続距離的な時間とかから逆算して、大まかな敵さんの位置を算出したりとかってできる?」
島風「航海長どう?」
航海長妖精「大まかな位置であれば可能ですが、あくまでも参考程度でお願いします」
提督「構わないよ。やってくれ」
航海長妖精「了解」
ーーーーー
ーー
ー
数分後
航海科による、相手偵察機の針路を逆算した予想地点の計算結果が算出された。
ー旗艦島風 艦橋ー
航海長妖精「島風さん、提督。こちら各パターンでの予測位置です」
提督「ありがとう」
島風「流石私の妖精さん!はっやーい!」
提督「バラツキはあるけど、○○km圏内にはいる予想ね」
島風「提督、予想地点に針路変えてみる?」
提督「うーん…。あえて向こうに行ってみつけてもらうってのもいいけど。ここは皆の意見も聞いてみるか」
この後提督は、各艦娘達達と相談し演習相手のいると思われるいくつかの地点へ向かう。
相手偵察機はあえて無視しつつ、見える位置で転針を開始した。
ーーーー
ーー
ー
1430時頃
〜トラック泊地 演習海域〜
《天候》
曇り
《波 風》
高 強
《潮流》
普通
《雲量》
8
〈単縦陣〉
島風 村雨 夕立 春雨 不知火 浜風 白露 時雨
〈速力〉
第五戦速(30kt)
不知火『敵艦見ゆ。方位○○○度方向』
不知火より、相手演習艦隊発見の報が入る。
島風「戦闘!左魚雷戦!発射本数3!発令発射!測的開始!合戦準備!」
〜♪(合戦準備ラッパ
双眼鏡で、相手を見ながら号令する。各艦も一斉に合戦準備を進めていく。
提督「こっちから見えてるって事は、戦艦の向こうはもっと前から見えてたって考えた方がいいよね」
島風「見張台の高さが全然違うからね。だからなに?って感じだけど」
提督「お前達なら、まぁそうか。目測で、どの位のタイミングで撃って来そうかわかるか?」
島風「『既に発射用意が出来てる』って考えていいなら…」
島風「んー…。後5分位…遅くても10分以内かな」
島風「副長は?」
副長妖精「そうですね…。10分以内、我々への必中を狙い15分…」
副長妖精「砲術長、貴様ならどうする?」
砲術長妖精「私が、島風さん達を狙うとしたら…。懐へ潜り込まれる前に撃っておきたいですね」
提督「…まぁ、早いうちに撃って来そうだな」
島風「と言っても、波があるからね…。波の頂点で撃つか、底辺で撃つか」
島風「私達の速さの見積もりを、どのくらいで計算してるかも気になる」
島風「命中判定はそう無いと思けど、当たる可能性もあるし、油断は出来ないね」
提督「この波だと、魚雷戦するにしても計算が大変だな…。算数すら苦手な俺にはさっぱりだよ」
島風「まぁ、そこは私達がやるからへーきだよ。提督は、私達の側にいてくれればいいよ♪」
提督「本当は、他に何かしてやりたいけど…」
島風「なら、演習が終わったら私たちの事いっぱい褒めてね!!」
提督「お、おう!いいぞ!」
島風「みんな!聞いたね?頑張るよー!」
艦娘s『おう!!』
ーーーーーー
ーーー
ー
島風率いる駆逐隊は、相手演習艦隊に突撃して行く。
その間に、相手艦隊の重巡以下の艦娘達が、味方戦艦を庇う様に行動する。
激しい射撃の中、巧みな操艦で突撃してくる駆逐隊を前に相手戦隊は接近を許していた。
ー旗艦島風 艦橋ー
島風「魚雷発射よーい!」
島風「魚雷!こーげき始め!」
水雷長妖精『魚雷!うちーかた始め!って!!』
島風の魚雷発射を合図に、各艦が魚雷を発射する。魚雷発射後、各艦は申し合わせた通りに舵を切り離脱していく。
水雷科妖精『到達まで○○秒!』
発射された魚雷は潮流等の影響を受けるが、今のところ水雷科が算出したコースを計算通りに進んでいる。
しかし、予定コースを通ったからといって命中するわけではない。命中させるには、相手の速力や未来位置の針路等、複雑な計算のや予測が必要なのだ。
水雷科妖精『まもなく到達時刻』
水雷科妖精『3…2…1…だーんちゃく!』
水雷長妖精『命中判定1本!!』
島風「よし!」
提督「他の艦はどうか!?」
副長妖精「伊勢へ2本!最上と日向へ、それぞれ1本ずつの命中判定出ました!」
副長妖精「更に命中判定!○○と○○へ各1本!」
提督「6本の命中弾か。上出来だね」
島風「うん!」
その後、
命中判定の出た相手駆逐艦は戦没判定を受けた。もう一隻の駆逐艦は大破判定を受け、伊勢日向最上が中破判定を受けた。
島風達駆逐隊は、至近弾による損傷判定は出たものの、目立った被害判定を受ける事は無かった。
要は圧勝である。
演習終了翌々日
0930時頃
〜トラック泊地 春島沖〜
ー大和艦内 執務室ー
提督「呉に帰れるぞー。本格的な修理もできるぞー」
艦娘s「おぉー!」
呉第三艦隊は、
呉艦隊司令部より、母港呉への帰港が命ぜられた。
提督「出港は明後日の0500時」
提督「あと、内地へ送る荷物や人員を乗せた輸送船4隻の護衛もあるからよろしく」
川内「ちなみに、エアカバーは?」
提督「ご安心を。二式大艇が対潜警戒に入ってくれるよ」
艦娘s「おぉー!」
ーーーーー
ーーー
ー
翌日 0900時頃
〜トラック泊地 春島沖〜
ー大和艦内 執務室ー
〜♪
通信室より内線が入る。
提督「俺だ」
通信長妖精『ここの艦隊司令部からです。繋ぎますか?』
提督「…まぁしゃーないか」
提督「みんな、一旦静かにね」
提督「つないで」
通信長妖精『3番です』
提督「ありがと」
内線から、外線へ繋ぐ。
相手は、トラック泊地艦隊司令部の司令長官からだった。
提督「呉第三艦隊司令官の○○です」
泊地司令長官『帰る前に、もう一度演習をやってもらう。いいな?」
提督「は?」
提督「あの、もう出港の準備や護衛船団との打ち合わせも進んでいますし…」
泊地司令長官『お前の艦隊の事など関係ない。もう、先方には話してある。お前の艦隊が勝つなど、あってはならないからな」
提督「…」
泊地司令長官『開始は明日の0800時だ。遅れるなよ』
提督「いや!流石に急すぎる!!もう少し時間を!!」
提督「切りやがった!!」
大和「て、提督…?どうされました?」
提督「あぁ…ごめん。ちゃんと説明するから…とりあえず皆を呼んでくれるか?」
大和「はい」
ーーーーーー
ーーー
ー
数十分後、
呉への帰還の為に準備を進めていた各艦の艦娘達が、大和艦内の執務室に集まった。
ー大和艦内 執務室ー
提督「忙しい所ごめんな。急な話なんだけど…」
夕立「っぽい?」
黒潮「どーしたん?なんか厄介ごとやろか?」
提督「…まぁそんな感じ。しかもかなりの急ぎの案件なんだわ」
提督「また演習命令が出たんだわ…。しかも明日の0800時」
浦風「なんなら!そがな無茶な事ゆーて来とるんか!?」
扶桑「呉への帰還と、護衛任務はどうなるのかしら…」
山城「この演習のせいで延期ね…不幸だわ」
提督「ごめんな、ここに来てからあんまり休みも無いのに」
五十鈴「その辺は…まぁ大丈夫よ」
村雨「そうね♪」
叢雲「どっちかと言うと、アンタよね。毎日毎日、私達に搾り取られてるんだもの♡」
提督「あー…。まぁ、お互い様か」
吹雪「編成はどうするんです?この間と同じですか?」
提督「今回は特に指定は無かったから、前とは変える事にするよ」
夕立「…提督さん、早く教えて」
提督「夕立、何怒ってんだ?」
夕立「だって!やっと帰れると思ったら、また提督さんを邪魔する連中に邪魔されたのよ!?怒らないの!?」
提督「んな事わかってんだよ。俺がキレてないわけ無いだろ!!」バンッ‼︎
艦娘s「!?」ビクッ!?
夕立「ごめんなさい…」
提督「…ごめん」ナデカデ
夕立「んっ…///」
提督は珍しく怒りをあらわにした。
それを見た艦娘達は、思わず萎縮してしまった。
提督「取り乱した、申し訳ない」
提督「改めて編成だけど。今回は、戦艦組を入れる。3人共だ」
扶桑「私達を?」
山城「あら、意外」
大和「いいのですか?」
提督「扶桑、山城、大和。お前達の力を存分に発揮してくれ」
提督「俺らが演習で勝ったことを無かった事にされるのはもう慣れたけど、今回の件はな…。徹底的に叩き潰してくれて構わないよ」
編成に関して特に指定がなかったため、トラック泊地へ来ている艦娘の中での最高戦力である、戦艦艦娘の3名を演習艦隊へ編入させた。
演習日当日 0930時頃
〜トラック泊地沖 演習海域〜
《天候》
雨
《波 風》
高 強
《潮流》
普通
《雲量》
10
【編成】
《陣形》
単縦陣
《速力》
原速(12kt)
《艦隊旗艦》
山城
〈第一戦隊〉
山城 扶桑 大和
〈第二戦隊〉
五十鈴 時雨 夕立 不知火 黒潮
急な演習の話が入り、提督率いる演習戦隊は演習海域で相手戦隊を探している。
しかし、今回の相手はどこの所属かを知らされていない。疑問を感じてはいるが、彼女達なら大丈夫だと信じて司令官席に座っていた。
そして、今回は各艦の艦娘達と、待機組から数名の艦娘が旗艦の山城に集合して演習行動をする事になった。
ー旗艦山城 艦橋ー
山城「雨も風も波も、強くなってきたわね」
提督「あぁ。この天候じゃ偵察機も出せないし、発見は難しそうだな…」
五十鈴「まぁ、それは相手も同じだし、よくある事じゃない」
不知火「不知火達の見張妖精は、どんな状況下でも敵を発見できるよう訓練していますから、今は待ちましょう」
夕立「早く沈めてやりたい…」
黒潮「いや夕立。沈めたらアカンてwギリ沈まん程度や」
時雨「そうだね」
提督「いつも通り慢心せず、今ある戦力の全力を持って敵を叩き潰せ」
艦娘s「おぅ!」
ーーーーー
ーーー
ー
1000時頃
〜トラック泊地夏島 司令部施設〜
提督の嫌な予感が的中していた。
提督を良く思わない派閥により、敵深海棲艦出現を知らせずに演習と称し、提督達を深海棲艦艦隊へ向かわせたのだった。
トラック泊地にて待機していた艦娘達が、今回の件を話している将校等の話を聞き、問いただした所判明した。
話を聞いた後、提督達へ緊急通報をすべく、白露はきびすを返して猛ダッシュして行った。
浦風「おどりゃぁぁ!!なんでそがな大事な事黙っとったんじゃこらぁ!!」
叢雲「浦風、もうやめなさい」
浦風「けどっ!!!今回の演習が『実は深海棲艦が相手』だった言われて黙ってられるんか!?」
浜風「だからって、こんな奴を責めてもしょうがないでしょ!!冷静になりなさい!貴女らしくもない!!」
浦風「くっ…」
浦風「…ほーじゃね。うちらしゅう無かったわ」
将校B「き、貴様ら!このような事をして、ただで済むと思うなよ!」
叢雲「…私。これでもかなり頭に来ているのよ?アンタこそ、覚えておきなさい」
将校B「…」
浦風達が怒りをあらわにするのも無理はない。
なぜなら、普段の演習と同じ様に、演習弾と実弾を搭載して出港していたためにかなり不利の状況である。
最初から深海棲艦との戦闘が予想されていれば、演習弾は搭載せず、実弾のみを搭載してきていたからだ。
《天候》
雨
《波 風》
高 強
《潮流》
普通
《雲量》
10
【編成】
《陣形》
単縦陣
《速力》
原速(12kt)
《艦隊旗艦》
山城
〈第一戦隊〉
山城 扶桑 大和
〈第二戦隊〉
五十鈴 時雨 夕立 不知火 黒潮
〜トラック泊地沖〜
ー旗艦山城 艦橋ー
通信長妖精『白露より緊急通報!』
提督「白露から?何があった!?」
通信長妖精『今回の演習は、演習にあらず。敵は深海棲艦艦隊なり。演習申請は偽物。敵は深海棲艦艦隊なり』
通信長妖精『どうか無事に帰られたし』
提督「なっ…」
山城「演習の申請は嘘で、本当の敵は深海棲艦艦隊って事ね!?」
提督「そうらしい!あぁくそっ!頭が追いつかねー…」
五十鈴「とにかく!五十鈴達、水雷戦隊は演習用魚雷は全て投棄させるわね」
扶桑「電探も始動させます」
提督「あ、あぁ、頼む。後は…各艦への連絡と…」
時雨「落ち着いて提督。僕たちの艦も、それぞれ今のを傍受しているし、副長妖精にも念を送ったよ」
夕立「夕立的には…ちょっとラッキーっぽい。だって、遠慮する必要無くなったもの」
黒潮「言われてみればそーやね…」
大和「そうですね。演習弾の分は、消費して無くなった分という想定にして、『残弾でいかに戦うか』という実戦訓練としましょう」
扶桑「いいわねそれ」
山城「少しくらいハンデがある方がやり甲斐もあるわね」
不知火「偽の演習を申し込んで来た奴らを殴ってやりたいところだけれど…。それは向こうで浦風がやっているでしょう」
提督「えっと、大丈夫そうか?急な実戦になっちまったけど…」
艦娘s「問題無し!」
提督「頼もしいな」
白露からの緊急通報を受け、提督達は演習から実戦へと移行した。
ーーーーーーー
ーーーー
ーー
ー
数時間後
提督達艦隊は敵艦隊を探していた。そこへ『敵艦隊発見』の報が艦橋へ入る。
各艦娘達は、天候不良のために自艦へは戻らず、山城の艦橋内にて自艦に残る副長妖精へと『念』を送る。
この『念』による交信は、
提督の艦隊に所属する艦娘だけが使える特殊能力であり、それを知る者は『大淀』『明石』ら一部の艦娘のみである。
使える理由は…機密事項である。
〜旗艦山城 艦橋〜
電測長妖精『電探に感あり!!方位○○度!距離約2万5千!』
提督「見つけたな!」
副長妖精「艦種の特定は!?」
電測長妖精『確認中!』
山城「戦闘、右砲戦!」
山城「主砲副砲、通常弾!観測射撃及び、本射共に交互撃ち方、電測射撃急斉射!合戦準備!」
〜♪ 合戦準備ラッパ
号令がかかり、艦内では砲戦の為の準備が始まる。
旗艦山城の艦尾に掲揚されていた軍艦旗は、一度降下され、メインマストに軍艦旗と共に戦闘旗が掲揚される。
山城と提督は、この間に戦闘艦橋へと移動。他の艦娘達は、航海艦橋に残り、離れた自艦へと『念』を送る。
移動完了の数十秒後、全部署より配置完了の報告が入り戦闘準備が整う。
電測妖精『電測完了!各砲へ諸元送信!』
砲術長妖精『各砲諸元入力、主砲旋回!主砲副砲、照準開始!』
各主砲が旋回し、副砲も電測により算出されたデータを基に照準を開始する。そして、弾薬庫より揚弾された通常弾を装填し炸薬を調整する。
まもなく、
砲術長より射撃準備が整ったとの報告が入る。
砲術長妖精『各主砲副砲、射撃用意よし!』
山城「観測射撃!こーげき始め!」
〜♪(合戦ラッパ
砲術長妖精『観測射撃!うちーかた始め!』
砲術長妖精『発射よーい!』
ー♪ ー♪ ー♪(発射ブザー
砲術長妖精『って!!!』
チュドーーーーン!!!
轟音を響かせ、まず観測射撃の第1射が放たれた。
連装砲の片方が仰角を戻し、その反対側が砲身を持ち上げる。
砲術長妖精『発射よーい』
ー♪ ー♪ ー♪(発射ブザー
砲術長妖精『って!!!』
チュドーーーーン!!!
空中弾が残った状態で、観測射撃の第2射が放たれた。弾着までは数十秒。
続いて山城は、高角砲群に対しても射撃準備をするよう号令を出し、敵艦を徹底して叩き潰すよう妖精達に発破をかける。
見張妖精『観測射撃第1弾!だーんちゃく!!』
見張妖精『何も視認出来ない!』
大雨の中での弾着観測なので、いかに熟練した見張妖精でも目視による弾着観測は難しいようだ。
ただ、命中したであろう爆発音や閃光等も視認出来ないため、命中弾無しと判断された。
続く、観測射撃第2射目も同じであった。
ーーーーー
ーーー
ー
十数分後
観測射撃を何度か繰り返している間に、敵戦隊も発砲を開始し、提督率いる戦隊付近に着弾の水柱が上がり始めた。
ー旗艦山城 艦橋ー
提督「敵さんの砲撃もなかなか激しいな」
提督「こりゃ、向こうも電探射撃を実施していると予想した方がいいな」
山城「提督、そろそろ本射へ移行するわね」
提督「そうだな…。各艦娘へ号令を」
山城「よーそろー。各艦娘へ号令。本射開始せよ」
山城が、伝声管越しに各艦娘へ号令をかける。
山城「これより本射を開始する!」
砲術長『よーそろー。本射開始する』
山城「本射よーい!主砲副砲!こーげき始め!!」
砲術長妖精『主砲副砲!うちーかた始め!』
砲術長妖精『発射よーい』
ー♪ ー♪ ー♪ (発射ブザー
砲術長妖精『って!!!』
チュドーーーーン!!!!!
各艦の主砲が火を噴く。
本射初弾より命中を見込めるかは不明なれど、電測による調整を逐次行い、精度を高めていく。
本射弾着まで数十秒。まもなく見張妖精より、観測結果が報告される。
見張妖精『本射第1弾!だーーんちゃく!!』
見張妖精『何も視認出来ない!』
やはり、降雨による視界不良で弾着を観測出来なかった。散布界を確認出来ないため、電測による射撃を継続する。
副砲も命中弾が見込めるまで、電測結果を基に射撃を継続している。
バシャーーーン!! バシャーーーン!!
見張妖精4『左舷着弾!!』
敵弾が、山城の艦体を飛び越え海面に着弾した。
敵の砲撃も届きつつあり、被弾も考えられる状況になり、他艦付近にも水柱が上がり始めた。
提督「まだ遠いけど…。こりゃ本格的に、電探射撃に近い技術で攻撃して来てると考えて良さそうだ」
山城「提督?」
提督は航海艦橋へ繋がる伝声管の前に立ち、声を発する。
提督「皆、敵は電探射撃に近い技術を使って攻撃を仕掛けて来ていると考えられる。厳しい戦いになるかもしれないけど、どうか耐えて敵を撃破してほしい。頼んだぞ」
提督の言葉で、艦娘達はもちろん妖精達の士気が一気に向上した。
ーーーーーー
ーーーーー
ーー
数十分後
敵味方共に、命中弾がないまま砲戦が続いていた。
そこへ電測長妖精より、電探が捉えている敵艦隊が、針路の変更を行なっているとの報告が入る。
ー旗艦山城 戦闘艦橋ー
電測妖精『敵艦隊、針路○○○へ変針』
提督「航海長、その針路だとどうなる?」
航海長妖精「少々お待ちを」
航海長ら、航海科の妖精達が航海図に線を引く。
航海長妖精「敵艦隊、我が艦隊の前に出るつもりです!」
提督「丁字を引くつもりか…。山城!丁字を引かれる前に転針するぞ!」
山城「よーそろー!」
山城「砲術長!!主砲!副砲!高角砲!次弾をもって撃ち方待て!!」
砲術長『よーそろー。次弾を持って撃ち方待て!!』
山城より、砲術長へ向けて号令がかかる。そして、艦隊全体へ指示をすべく、提督も号令をかける。
提督「信号長妖精、各艦へ号令。撃ち方待て」
信号長妖精「各艦へ号令。撃ち方待て!」
信号長妖精が、伝声管を通して航海艦橋にいる各艦娘達へ向け号令をかける。
すぐに返答があり各艦が、主砲副砲高角砲の砲身内に装填されていた砲弾を放ち終えると、弾薬、装薬の装填を停止し、一時的に砲撃が止んだ。
航海科から、敵針の予測位置と自艦隊の変針すべき針路の報告が入る。
それを聞き、提督が艦隊へ指示をだす。
提督「各艦へ信号。60秒後に変針!針路○○○度!」
信号長妖精「信号!60秒後に変針!針路○○○度!」
艦娘s『よーそろー!』
敵艦隊に丁字を引かせないよう、自艦隊も変針を始める。
操艦妖精『とーりかーじ!左○○度!針路○○○度!』
操舵妖精『とーりかーじ!左○○度!針路○○○度!』
ゆっくりと、巨大な艦体の舵が利き始める。後続の大和等も見事な操艦で、左へと舵を切っていく。
数十秒後、予定針路への変針が完了し電測による敵艦隊の観測が再開された。
ーーーーーーーー
ーーーー
ーーー
ー
さらに数十分後
やはり命中弾を見込めないまま、
時間と残弾、その他精神的な物も消耗していった。
電測長妖精より、敵艦隊が離脱していくとの報告が入る。
命中弾は与えられなかったものの、大和等の上がる水柱の威力に、とうとう屈したと思われる。
ー旗艦山城 戦闘艦橋ー
山城「どうするのかしら提督?」
提督「んー…。この視界の悪さもあるし、弾薬のも心許ない。俺たちも退くぞ」
山城「そう」
提督「信号長妖精、各艦へ信号。相手の有効射程予想の外に出たら砲戦終了」
信号長妖精「よーそろー」
提督から艦隊へ指示が出る。艦娘達からすぐに返答あり、まもなく敵艦隊の有効射程予想の外へ出た。
提督「よし、艦隊撃ち方やめ」
山城「撃ち方やめ。戦闘用具納め!」
砲術長妖精『撃ち方やめ。戦闘用具納め!』
信号長妖精が、各艦娘へ提督からの指示を伝える。
信号長妖精「信号。各艦撃ち方やめ!」
艦娘s『よーそろー』
提督「航海艦橋へ降りよう。被害報告の確認もしないとな」
山城「そうね」
信号長妖精「山城、提督。航海艦橋降ります」
提督達はトラック泊地へ向けて帰路に就いた。
大雨の中の砲撃戦から○日後。
トラック泊地へ帰港した『呉第三艦隊』は改めて呉へ帰る為の準備を進めていた。
そして、その間に呉で改装中だった「蒼龍」「飛龍」「潮」の3名が自艦は呉に残し、自分達だけではあるが、トラック泊地に来ていた。
0930時頃
〜トラック泊地 春島沖〜
ー大和艦内 執務室ー
提督「貨物の梱包と積み込みは順調に行ってるみたいだし、予定通り明日出港できそうだな」
蒼龍「そだねー。やっと帰って来てくれるね」
大和「本来の予定より、だいぶ長居してますからね…」
飛龍「この間、提督だけ呉に来てくれたけどさ、やっぱ中途半端に会うと余計に寂しくなるのよねぇ」
吹雪「トラックに帰って来た時の司令官見て。あぁ、相当搾られたなぁって思いましたw」
潮「あはは…」
蒼龍「私達もかなり求められから、おあいこよ」
吹雪「あっ、浦風ちゃんの試験航行の結果が来ましたよ」
提督「お、どうだった?」
吹雪「『ワレ、問題箇所なし。全力航行可能なり』」
提督「おぉ、よかった。プロペラにも問題無かったし、とりあえず大丈夫そうだな」
吹雪「今から戻って来るそうです」
提督「あいよ」
先日の戦闘で、
艦尾付近に至近弾を受けた浦風が、プロペラやシャフト、舵等の点検を行った後、試験航行を実施。
問題なく航行可能との報告が入った。
大和「提督、こちら船団護衛任務の命令書です」
提督「ありがと。えっと…バインダーバインダー…。あった」
飛龍「どれどれ、符号は『トラ24号船団』輸送船とタンカーがそれぞれ5隻ね」
潮「タンカーは空荷ですが、輸送船の方はトラック泊地からの貨物を内地へ返す分ですか?」
提督「そ、トラック泊地への補給物資を届けて、帰りはトラック泊地からの修理依頼品やら何やらってやつ」
提督「往路は、天龍と龍田が指揮する護衛隊だったけど。ここを経由して、別の基地へ残りの輸送船団を護衛するから、すぐに帰れないんだわ」
潮「船団をここに長く置いて待たせるておくより、潮達で先に送り届けた方が、次の輸送任務に使えますしね」
提督「そそ。呉に帰る俺らを付けて帰せばいいかってね」
大和「もうこの際、帰れればなんでもいいです」
吹雪「ですねー…」
ーーーーーーー
ーーーー
ーー
ー
1330時頃
ー大和艦内 執務室ー
提督「納品書チェックもお終いっと…」
大和「大和の方も終わりました」
提督「ん、ありがと」
提督「後は、各艦の釜の火が温まるの待ちかな」
大和「火を落として、陸から電源取ってた子達がいましたからね」
提督「流石に、全隻で火入れておくわけにもいかないからな。油も飲むわけだし」
大和「はい。昔ほどじゃありませんが、それでも消費はしますからね」
提督「明石や大淀が動いてくれてるからいいけど、補給やらも人間が管理してたら俺らに回って来てないかもしれないんだよな…」
吹雪「司令官の、艦娘運用適性に嫉妬した派閥からかなりの圧力が掛かってますからね」
大和「補給が滞ったり、作戦内容の一部が伝達されてなかったり…」
吹雪「他艦隊の艦からの情報提供で、全体の情報がわかったりしますからね」
提督の艦娘運用適性は、吹雪が見出し導いた。それゆえに、職業軍人達からはよく思われていない。
コンコンコン♪
大和「どうぞ」
ガチャ♪
浦風「浦風じゃ。戻ったけぇ、なーんも問題無かったよ」
提督「おかえり。よかったよ、問題箇所も無く普通に航行できて」
浦風「ほーじゃね。プロペラもシャフトも問題無く。整備の妖精さんらがピシャッと調とるからへーきじゃね」
提督「だな。じゃ、報告ありがとう。また飯の時に」
浦風「ん。じゃぁね♪提督さん♪」ニコッ♪
提督「」
吹雪「あーあ、フリーズした。大和さん、思いっきり叩けば動くので、いつものお願いします」
大和「はい♪」
提督「ちぃと待ちんさい!へしゃげてしまうわ!!」
大和「大丈夫じゃて、うちが手加減するけぇ♪」
提督「ノリノリなのやめんさい…」
浦風「はぁ遊んどらんで、はよぉ仕事せぇ…」
浦風に呆れられる提督であった。
ーーーーーー
ーーーー
ーー
ー
出発当日
〜トラック泊地沖〜
《天候》
晴
《波 風》
低 弱
《潮流》
速
《雲量》
6
貨物の積み込みを終え出発準備が整い、提督率いる艦隊はトラック泊地より日本近海へ向け出発した。
【呉第三艦隊】
〈艦隊旗艦〉
吹雪
[第一戦隊]
山城 扶桑 大和(潮 蒼龍 飛龍)
川内 吹雪 叢雲 曙 霞 白露 時雨
[第二戦隊]
五十鈴
島風 村雨 夕立 春雨
不知火 黒潮 浦風 浜風
タンカー5隻
輸送船5隻
〈各戦隊陣形〉
輪形陣
〈速力〉
原速(12kt)
ー旗艦吹雪 艦橋ー
通信長妖精『浜風より入電。ワレ岩礁帯の外に出た』
提督「全艦岩礁帯の外に出たな」
吹雪「はい、予定通りです」
吹雪「航海長操艦。両舷前進原速、赤黒無し。針路○○○度よーそろー」
航海長妖精「いただきました吹雪。両舷前進原速、赤黒無し。針路○○○度よーろそー」
提督「各艦へ号令。陣形変更、輪形陣。各艦規定位置へ」
提督より、艦隊全体へ陣形変更の号令がかかった。
ーーーーーー
ーーー
ー
呉第三艦隊は、予定通り陣形を変更。日本近海を目指し航行していた。
数時間後
ー旗艦吹雪 艦橋ー
見張妖精『対潜哨戒の二式大艇を視認』
提督「予定通りだな」
吹雪「はい。護衛船団もいますから、流石に下手な事は出来ませんよ」
提督「そうだな。エアカバーや予定航路の情報は船団と共有してるし、間違いは無いよ」
提督「積荷に陸軍の資材もあるしね」
吹雪「はい。それに、私達の艦隊に被害が出たら、海軍としての戦力ダウンになります」
提督「だな」
提督「とにかく、敵さんの潜水艦が出てこない事を祈るか。ウルフパックなんてごめんだしな…」
提督「時間はかかるけど、之字運動とも連動して、どうにか送り届けたいもんだ」
吹雪「ですね…」
吹雪「でももし、敵潜が出ても確実に退治して見せますよ!」
提督「頼りにしてるよ」
吹雪「お任せください!」
信号長妖精『艦隊、90秒後取舵信号』
操艦妖精「90秒後に取舵。よーそろー」
吹雪「90秒後に取舵よーそろー。受信信号揚げ」
信号長妖精『よーそろー。受信信号揚げる」
提督の座乗する吹雪が艦隊旗艦ではあるが、
第一戦隊は川内が、第二戦隊は五十鈴がそれぞれ対潜指揮を執っている。
呉第三艦隊では、
艦種や提督座乗艦に関わらず、それぞれ専門的な知識と装備のある艦娘が指揮を執る事が多い。
操艦妖精「とーりかーじ。左15度」
操舵妖精「とーりかーじ。左15度」
艦隊は日本を目指し航行する。
数日後、護衛船団を送り届け引継ぎを完了。呉第三艦隊も母港へと帰還した。
トラック泊地より帰還後、提督率いる呉第三艦隊は、通常業務をこなしていた。
0930時頃
〜呉鎮守府庁舎内 第三艦隊執務室〜
提督「こっちの書類は…燃料の補給申請っと」
叢雲「司令官、はいこれ。各艦の装備点検確認書。プリントアウトしてファイリング済みよ」
提督「ありがと。こっちの書類も紙に起こしておいて」
叢雲「えぇ。わかったわ」
島風「てーとく!来週の演習の仮編成組んでおきました!」
提督「おっ?早いな。さすが島風」ナデナデ
島風「えへへ///」
島風「いつもの駆逐隊にこだわらずに、編成を変えてみたの!どの組み合わせでも大丈夫だけど、改めて確認する意味もあるよ!」
提督「ほー。どれどれ?」
〈旗〉
島風
島風 霞 潮 不知火
夕立 時雨 浜風 叢雲
提督「マジでバラバラだな…。まぁ、連携って所は全く問題ないだろうけど」
叢雲「どれ…?あら。いい編成じゃない」
島風「みんなで叩き潰しちゃお!」
提督「おう、叩き潰して来い」
島風「相手の編成予想もしておくね!」
提督「ん、よろしく」
ピコン♪
叢雲「司令官、事務所からよ。搬入トラックが到着してるみたい」
提督「生鮮品積んだトラックか。大和と浦風にメール入れるわ」
叢雲「えぇ、よろしく。納品書はいつもの様に、事務所とウチに一枚づつでいいわね?」
提督「うん。あぁ、パレット伝票は事務所だけでいいよ」
叢雲「事務所へ返信しておくわね」
提督「よろしく」
地味な作業ではあるが、
補給物資の納品チェックや、装備点検の確認等、艦隊運営にはとても大切な作業である。
提督「ウチには補給科名義じゃなくて、間宮さん名義の納品だから、変な細工されなくて助かるな…」
叢雲「えぇ。そんな事しようものなら、間宮さん直々に防衛省へ抗議するでしょうね」
提督「…考えたくも無いな。あの人、怒らせると相当ヤバいし」
海軍の主計部門のトップである間宮は、他に海軍の通信等に関する部門でも活躍しているとの事。
ーーーーーー
ーーーー
ー
納品に来ていたトラックからの荷受作業や搬入を終えた後、提督達は演習へ向けた会議を行なっている。
1530時頃
〜江田島沖 蒼龍艦内会議室〜
島風「って感じで複縦陣で進行しつつ、駆逐隊の間隔を少し広めに取って目視の索敵範囲を拡げようと思うの」
不知火「いいわね。不知火達では、マストの高さ的に目視の索敵範囲は狭いし、有効だと思うわ」
蒼龍「いつもは五十鈴や川内、もしくは戦艦組が主にやってるもんね」
提督「今回は自分達だけで索敵するのには絶好の機会でもあるからな」
提督「お前達の練度向上に期待する」
艦娘s「「はい!」」
吹雪「今回は私の姉妹艦がいますから、叩き潰しちゃってね!」
提督「容赦ねーな…」
吹雪「あっ、もちろん他の子達も叩き潰しますよ?ねぇ叢雲、潮」
叢雲「当たり前よ」
潮「潮達との演習でトラウマになって戦えなくなる様なら…邪魔かなぁ」
提督「まぁそうなんだけど、サラッとおっかねぇ事言うな」
大人しそうな雰囲気の潮だが、彼女も歴戦の駆逐艦である。
その後、演習に関する情報共有等を終え各自解散、準備へと向かった。
演習に参加する呉第三艦隊の駆逐隊と相手駆逐隊は、無線封鎖を行い各母港より出港。
指定の演習海域のどこかに到着し、それぞれ演習開始時刻を待っていた。
演習当日
0000時
〜南西諸島沖 演習海域〜
今回の演習指揮は、
提督ではなく、本隊より分派された想定として、島風が執る事になった。
0000時
《天候》
曇り
《波 風》
高 強
《潮流》
普通
《雲量》
9
ー旗艦島風 艦橋ー
島風「演習開始時刻ですっ!」
提督「よし。戦隊、演習開始」
島風「演習開始!戦隊増速!フタ戦速!増速信号揚げ!」
操艦妖精「増速する。フタせんそーく!
速力信号妖精「フタせんそーく!」
チリンチリン♪
機関長妖精『フタ戦速ー!』
信号長妖精「増速信号揚げ、よーそろー」
島風の号令により、駆逐隊は増速。その合図である旗流信号を掲揚し、他艦へ信号を送る。
艦娘等の座乗する艦艇には、艦隊内のみで使える短波無線も装備されている。
これは対深海棲艦装備では無いため、他艦隊では積極的に使用している。
だが呉第三艦隊の艦娘達は、演習を含めた作戦行動中、敵発見等の報告以外はあえて使用しない。
島風「各見張を厳となせ!いっちばん先に見つけるよ!」
航海長妖精「よーそろー。各見張を厳となせ」
今回の演習指定海域はあまり広く取られていないので、お互いに比較的早く発見できる可能性がある。
しかし波が高い影響で、
艦影が低い駆逐艦は、波の狭間に隠れ発見する為に影響が出ることが予想される。
提督「今回の相手は、クロヒョウの異名もある綾波が編成されてる可能性が大。激戦になりそうだ」
副長妖精「はい。ですがこの天候では、命中率に関しては五分と言った所ですね…。射撃間隔を詰めて、手数を増やすことは可能です」
島風「いくら訓練しても、さすがに命中率までは上げられないもんね。命中率を上げるための観測精度と、射撃間隔の短縮がやっとかな」
提督「だな。確率だけはどーにもならん」
見張妖精『夕立、指定位置に就いた。他艦も位置に就く』
提督「さて、後は索敵だな…」
ーーーーー
ーー
ー
0125時頃
島風率いる駆逐隊は、地道に索敵を続けているが相手駆逐隊の発見には至っていない。
ー旗艦島風 艦橋ー
島風「演習海域の範囲的に、そろそろ会敵しても良さそうね」
提督「そうだな。けどこういう時、焦ると判断を誤る可能性もあるから気をつけないとな」
島風「うん。焦らず、はやく、よね?」
提督「だな」
通信長妖精『時雨より入電!敵艦見ゆ!方位○○○度方向!』
時雨より演習相手を発見したとの通報が入る。
艦橋にいる幹部妖精達が、報告のあった方向へ向け、一斉に双眼鏡を覗く。
提督「信号長妖精!各艦へ陣形変更信号!単縦陣!」
信号長妖精『各艦へ陣形変更信号、単縦陣。よーそろー』
島風「速力変更!両舷前進原速!信号長、速力変更信号揚げ!速力原速!」
速力信号妖精「両舷前進げんそーく!」チリンチリン♪
信号長妖精『速力変更信号揚げ、速力原速。よーそろー』
機関長妖精『両舷前進原速!』
操艦妖精「叢雲の後ろへ付ける。とーりかーじ、左○○度!」
操舵妖精「とーりかーじ、左○○度」
決められた手筈通り、単縦陣への陣形変更の号令を出す。
時雨のいる駆逐隊が発見したため、島風らがいる駆逐隊がその後へと入る。
提督「通信長、敵の詳細は?」
通信長妖精『観測中との事!』
島風「うーん…。流石にこの位置からだと見えないね」
副長妖精「時雨さん達の位置から見えたとなると、それより内の我々からはまだ…」
提督「だな…」
駆逐隊は、合戦へ向け始動する。
ーーーーーー
ーーーー
ー
《天候》
曇り
《波 風》
高 強
《潮流》
普通
《雲量》
9
島風率いる駆逐隊は、綾波率いる駆逐隊との砲戦に入った。後手を取ったものの、射撃間隔では勝っている。お互い単縦陣の同航戦。
波や風が強く、お互い命中弾は与えていない。
ー旗艦島風 艦橋ー
島風「撃ち負けたらダメだよ!」
砲術長妖精『もちろんですとも!』
通信妖精『夕立より入電!「ワレに敵弾集中。このまま引き付ける」との事!」
通信妖精2『叢雲にも集中との事!』
提督「敵さんも2人に警戒してるな、島風の周りにも着弾が増えてきた」
島風「まだ至近弾はないけど、綾波ちゃん達だからそう時間もかからないと思います」
提督「いかに捉えられないよう操艦するかだな…。その辺の塩梅は任せるよ」
島風「うん!」
そこに緊急通報が入る。
通信長妖精『敷波より緊急通報!電探に感あり!』
提督「なに!?」
通信長妖精『敷波より通信繋ぎます!』
島風「撃ち方やめ!」
砲術長妖精『撃ち方やめ!よーそろー!』
相手駆逐隊、敷波の電探が敵艦隊を捉えたと通報して来たのだ。
敷波『ワレ敷波、報告!』
敷波『敵敵深海棲艦の感あり!現在の艦影は大型艦らしきものフタ!他不明なり!』
敷波『距離、約1万5千!わが駆逐隊へ向け接近の模様!』
敷波『この報告と同時に、横鎮艦隊司令部へ通報中!以上!』
敷波『以降、綾波と通信を代わります」
提督「了解」
敷波から、現在得ている情報が簡潔に伝えられる。同時に、敷波等の所属する横須賀鎮守府の艦隊司令部へ通報を行い、敵の存在を通報した。
通信長妖精『島風、呉鎮艦隊司令部への通報はどうしますか?』
島風「提督、どうする?」
提督「傍受してそうだ…。念のために通報してくれ」
島風「通信長、呉鎮へ通報」
通信長妖精『よーそろー』
改めて、綾波より通信が入る。
綾波『ワレ、綾波!艦隊司令部の指示に従い、演習を中止し、退避に入ります!』
提督「了解」
提督「ちなみに、綾波達は実弾は積んでいるか?」
綾波『いえ、演習でしたので流石に…』
提督「そりゃそうか…」
島風「提督!ここは私達で時間稼ぎを!」
綾波『じ、時間稼ぎ!?弾はありませんよ!?』
提督「我が駆逐隊、通常時の2割程度だが実弾を積んでる。それで少しは時間が稼げる」
綾波『ですが、司令部からは退避の命令が!』
提督「もちろん退く。ただ、『たまたま戦闘になった』となれば仕方ないだろ」
綾波『そ、そうですが…』
提督「という事で、綾波達は先に離脱されたし」
綾波『私も!』
綾波『私も、時間稼ぎに参加させてください!』
提督「ふぁ!?さ、流石にそれは出来ない!うちの駆逐隊だけなら、まだなんとでも誤魔化せる。そこに綾波がとなると…」
綾波『そこは私がなんとかします!』
敷波『無茶言わないでよ!弾も無いのに!』
叢雲『…司令官。アンタ、どうするの?』
綾波『時間がありません!やらせてください!』
悩めば、それだけ敵艦隊の接近を許す。すぐに決断しなければならない。
提督「あー…!わかった!何とかする!」
提督「叢雲!まずは綾波を迎えに行ってくれ!」
敷波『えぇ!?いいんですか!?』
綾波『いい?敷波。「私は、貴女達を先に行かせるために殿に付いた。私は、敵の射程圏内に入りそうになった所を○○提督の駆逐隊に助けられた」って事よ!』
白雪『司令官!綾波だけに危険な事はさせられませんっ!私も残ります!』
提督「白雪まで…」
提督「ええい!わかった!なんかあったら、俺が責任取る!」
叢雲『言ったわね?言質取ったから!白雪姉さん、綾波!早く合流するわよ!』
演習部隊は、敵艦隊からの緊急退避行動に入った。
敵の艦隊は、退避を始めた敷波等を追撃するが、割って入った呉提督等の駆逐隊へ目標を変更。これに攻撃を開始。
その後、無事に敷波等は退避に成功し、それを確認した呉提督等駆逐隊も速力を上げつつ、少ない実弾で牽制射を行い退避を完了した。
後の情報で敵艦隊は、沖縄基地より発進した二式大艇数機による水平爆撃で撃退撤退したとの事。
その不期遭遇撤退戦から、沖縄近海に退避した提督達駆逐隊は、補給等の為に海自の沖縄基地沖に錨を下ろしていた。
1330時頃
〜海上自衛隊 沖縄基地沖〜
ー旗艦島風艦内 会議室ー
提督「油の補給は今日中にに完了するとの事。訓練弾もここで降ろしていって構わないそうだ」
提督「その作業が終わるまでは各自、装備等の点検をしておいてくれ」
艦娘s「はいっ!」
叢雲「ところで、白雪姉さんと綾波の事。ちゃんと責任取るのよね?」
吹雪「責任取るっ!なんて私達だって言われた事無いのに…羨ましいなぁ?」
川内「本当本当。女の子に責任取るだなんて…」
吹雪と川内は、
当直として、呉で釜に火を入れていた所に敵艦隊発見の報が入り、提督達の下へ駆けつけて来ていた。
提督「あの案を出したのは俺だし、それに参加したのなら、俺が責任取らなきゃじゃん」
島風「ねぇ提督…。私、出来ちゃったみたい///責任取ってくれるよね?」
提督「流石島風だ、もう装備点検終わったのか?」
島風「もう!わかってるくせに!いや、えっと…。流石に装備点検にはちゃんと時間かけますよ」
時雨「なるほど…。そういう言い回しもありだね…」
不知火「アリですね」
提督「…俺が言うのもアレだけど、そういうの無いんだろ?」
吹雪「今はそうですけど、もしかしたら…ふふふっ♡もちろんその時は、全員相手ですよー?♡」
提督「」
ーーーーー
ーー
ー
1630時頃
ー旗艦島風艦内 執務室ー
提督「呉に帰った後は…。次の演習があって、その後は…」
ピロン♪
提督「呉の艦隊司令部と海軍省からメールか…。始末書書く覚悟しとかないと…」
霞「ねぇ?解任とか無いわよね…?嫌よ?アンタ以外に指揮されるなんて…」ハイライトオフ
提督「他艦隊の艦娘巻き込んだからな…。最悪の事態も考えなきゃだ」
潮「…他艦隊含めて、私達艦娘から絶大な支持を得る司令官を良く思わない派閥がいるのは確かです」
潮「今回の件を、ここぞとばかりに利用して解任に追い込んで、自分達の力を取り戻そうとするかも…」
吹雪「司令官以外に指揮されるくらいなら、私達は自沈する覚悟です」ハイライトオフ
提督「いや、重いて…。別に死ぬわけじゃ無いんだから。ってかお前達がいなくなったら、誰が俺のいる世界を守るんだ?」
霞「そ、それは…、そうだけど…。ズルイわよ!その質問!」
潮「提督以外に指揮されるのは嫌ですが、世界が滅んで提督がいなくなるのも嫌…」ハイライトオフ
提督「まだ決まった訳じゃ無いし、とりあえず読んでみるわ」
提督は送られてきたメールを開封し、内容を確認した。
2部へ。
艦隊資料集 ↓
資料にした物↓
長くなってきたので2部に続く。
すごく面白い作品で読み込んでしまいましました…。
そういえば他の作品って投稿されてましたっけ?確かシリーズ物で吹雪や二航戦やら白露型やら不知火等といった艦娘達とまあR18よろしくイチャコラするだったような…人違いであれば申し訳ありません。現在そのssを探しておりまして、何分構成が似ていたものでつい聞いてしまいました…
またの投稿楽しみにしています。お体に気をつけて頑張ってください!
by二航戦サンドされたい提督
>1
応援していただきありがとうございました。
別のアカウントの物ですね。そちらのシリーズは、私情により無期限公開停止とし更新を終了しました。
そうなのですか…あのssはとても気に入っていましてずっと探していましたがもうないのですね…
あのムフフなシーンや戦闘シーン、日常シーン、そしてやっぱり行為シーンなどとても面白いものばかりでとても良かったのですが私事であるならば仕方ないですね…(何様のつもり)これからもss投稿頑張ってください!できればssも復活してほしいな〜と淡い期待を抱いていますが…
御身体に気をつけてください!
by二航戦サンドされたい提督
>3
あの作品を応援していただきありがとうございました。
更新はかなり遅めではありますが、こちらも時々応援したいもらえたら嬉しいです。