2022-01-06 01:42:03 更新

概要

とりあえずおもいついたので作りました。
1日で作ったものなので、誤字、脱字等あればごめんなさい。


前書き

東京から帰ってくる主人公、思い出の街に帰ってくるが…


「この街は…変わらないな」

私はそんな事を小さく呟きながらこの街を眺めていた。

東京での仕事が終わり、久々にあの子に会いに行こうと、連絡もせずに帰っていた。

「あ、連絡しなきゃ…いや、あえてしないのもいいかもな…」

そんな考えてもしょうもない事を考えながら、地元の駅の出口に着いた。

「いやぁ…ここは…改札口が少なくていいなぁ…迷わなくて済む…」

そうボヤきながら辺りを見ていると友人を見つけた。

あ、アイツは…

私が見つけた友人は、小学生から仲が良かった功太(コウタ)だった。ヤツは成績も優秀で運動神経もゲームも良く、イケメンで何でもできる、とんでもないやつだった…でもなぜコイツがここに…?こいつは今仙台にいるんじゃないか…?ま、少しだけ声でもかけてやるか…

「よっ功太」

すると彼はこっちを少しだけ見た。そして、

「………よぅ」

あまり元気そうじゃねぇな…何があったんだ…?具合が悪い…ってわけでもなさそうだしな…すっげぇ怖いものでも見たみてぇな面してやがるな…ま、とりあえず、本人が話したくなさそうだしな…じゃ、適当にバスに乗って別れるか…

「顔が見れてよかったよ、じゃな」

私はそう別れ際に話しながらバスに乗った。

(そういえばあの子元気にしてるかなぁ〜)

ゆかりさんは…私の母が介護が必須の状態な歳になった為、急遽私の生活サポートロボットのゆかりさんに私の母の介護を頼んでいた。

ゆかりさんはフルネームでは結月ゆかりといって、基本的には読み上げソフトの合成音声のキャラクターだったが、その美しい見た目を買ってか、介護用ロボットや、生活補助アンドロイド等にもそのモデルが使われ始めていた。私が高校生の頃はあのワラワラ動画やMetube(ミーチューブ)でオリジナルの音楽で歌っていたり、ASMRの動画でも活躍していた。

(なんで説明口調になってるんだろ…私…

ま、母もあの子も元気にしてるといいなぁ〜)

そう思いにふけりながら、ふとバスの窓から外を見てみると、いつも通りの故郷が見えていた。

決して裕福な街でもないが、貧乏な訳でもない、なんの変哲もない"田舎"だ。

私はここで育ったのだ。

何故か涙がこみ上げてくる…何故だろう…。

バスの中はアンドロイドと人間が混雑していた。この席も、IA型の子に譲ってもらった。

凄く綺麗な笑顔だった。

彼女は今も私の隣にいる。

そうやっているうちに私の目的地の近くのバス停に着いた。すると、彼女も降りる場所が同じだった様だ。バスから降りて、先程のIA型の子

に話しかけるか…先程の事に感謝を伝えなくては…

「あ、あの〜」

すると彼女は少し驚いてこっちを向いた。

それもそうだろう、見ず知らずの人間が、話しかけてくるのだから。

「先程は、ありがとうございました。少し、長旅で疲れてしまいまして…」

そう言うと彼女は

「あぁ〜いえ!!顔色があまりよろしくなかったので…よかった〜…よかったらついて行ってもよろしいですか?」

どうしたのだろうか、何故ついていくのだろうか…私は帰るつもりはないのに…

「いいですけど…私はただ私の思い出の場所に行くだけですので、そこまで面白いものはないですよ?」

すると彼女は

「いえ、旅をしているのであれば、私もこの先、行かなくちゃいけない場所があるんですよ。この近くで知り合いのアンドロイドがいるんです。なので、ついていってもいいですか?」

と、屈託のない顔で言った。

そしてその念押しに負けた私は、首を縦に振る事しかできなかった。

ただ思い出すようにそこらへんを歩いていると

中学の時に仲良くなった悠(ユウ)が目に入った。

「よっ!悠!」

すると悠は

「………なんでだよ…あいつ…」

と一つ文句を言いながら私を無視していった。

人違いか…

まずいなぁ〜…友人の顔を間違えてしまったか…恥ずかしいなぁ…

さてと、私は…

アレ…?何処に行こうとしたんだっけ…

「あのぉ…どうかされましたか…?」

と彼女が不意に声をかけてきた。

「あ、いえ…大丈夫…です。」

マズイな…何処から…何処に行こうとしてたんだっけ…

(と、とりあえず…浅虫に行こう…)

記憶では…そこに親戚の家があったんだよな

「すみません、私はそろそろ行かなくちゃいけない所がありまして…」

彼女にそう伝えると彼女はホッとした様な顔をして

「分かりました。それじゃあ…最期までついていきますね。」

と言って、ついてきた。

不思議だな…

何故こんな一般人にここまでするのだろうか…

対していい顔や服装をしている訳でもないのに。

とりあえず、浅虫に向かおう。

あそこに家族が住んでいる…あのゆかりさんも

しかし…この子…霊媒師かなにかなのか…?

手にはいつの間にか数珠を持っていた…

確かに…あの浅虫という土地は、自殺の名所とも言われる土地だ…もしかして自殺するんじゃないかと思われてるのかな…?

とりあえず浅虫行きのバスに乗ろう…

私達は近くにあるバス停に行った。

すると不意に彼女は

「地縛霊って知ってますか…?」

と聞いてきた。

確かに知っている。

地縛霊は主に自殺者の霊が多いらしい。

自殺者の霊は自殺した場所で、本来生きるはずであった年まで、ずっとその自殺をしている苦しみを味わうらしい。

それは最初は記憶がリセットされているような感覚に襲われるらしいが、年月を経るたびにだんだんそれも薄れていき自分自身が自殺したという感覚に襲われ、首吊りをした霊は首吊りの感覚を、水死した者は水死した感覚を、本来の寿命まで生きるはずだった年まで永遠に味わうらしい。

だから生きている人達に、必死にアピールをするらしい。

「どうして、その事を今…?」

その事を彼女に伝えると彼女は

「すみません…少し…聞きたくて」

不思議な子だなぁ…まぁ…いいか…

そして数時間後

未だバスが来ない…何故だ…

「どうしたんだろ…バスが来ない…」

すると彼女は

「あ、今連絡が来ました。このバスは今日ここに来ないみたいですよ。どうやら…雪で止まったみたいです。」

なるほど…

とんだ事態になったなぁ…

仕方ない…

「駅前の新町まで行ってホテルに行って寝るか…」

「戻りますか?」

「うん、これ以上ここにいてもアレ…意味も無いから」

「それもそうですね」

今日は全然動けなかったなぁ…

とりあえず今日はここに来るバスに乗ってあの海の近くの公園に向かうか…

数十分後

バスが来た。

なんでだろうか…疲れてきたな…

「どうしました…?疲れましたか…?」

と彼女は私に気を使ってくれた。

「う、うん…少しばかり…」

「そうですか…座ってください…今は…無理をなさらず」

彼女は少し暗い表情でそう言ってくれた。

座りたかったのだろうか…申し訳ないな…

そして

「新町〜新町につきました…」

と運転手の声が聞こえ、バスから降りた。

さて、近くの公園に行こうか…

そして、10分ほど歩いていくと、その公園の一個手前にある海を見る事のできる堤防まで来た。

すると足が止まった。

何故だ…!?何故…!?

目の前にはあの私の家にいたゆかりさんがいた。

しかし…手にはローズマリーと勿忘草の花束を持って下を見ていた。

「ゆかりさん!」

私はすぐに声が出た。

すると

彼女は驚いたような顔をして私のいる方向を見た。

すると彼女は

「どうして…?やめてください!来ないで!

どうせ…!幻影なんでしょ!私をたぶらかすだけの…!あの人の幽霊じゃないんでしょ!」

俺は耳を疑った。

「幽…霊…?」

だが…すぐに思い出した。

すると先程まで一緒にいたIA型の子が声を出した。

「理解してしまいましたか…貴方が今どんな状況下にいるのか…」

そうだ…

私はあの日、詐欺に合い、借金にあっていた。

裁判では金をかけていたあちら側に負け、落ちぶれてしまっていた。

友人とは連絡が取れず…いや…これ以上周りに迷惑をかけたくなかったため、連絡をしなかった。

自殺をした理由は、私が死ねば、生命保険によって借金を返済することができた。

あとは私が隠れて貯金していた金額でなんとかなると確信していたからである。

母と父には本当にすまないな…金の問題は私が一番キライな問題だった…

別に母のせいのするつもりでもないが、家族で話していた時に、私の父が死んだときに、お金がいくらおりるかの話を耳にタコができるくらいにまで聞いてしまっていた。それを真に受ける私が間抜けだったのだが…まさかここまでとは…笑い話にもならないな…

「マスター…マスター…どうして…どうして逝かれてしまったのですか…!どうして…!!私に声をかけてくれなかったのですか!」

彼女はそう言って私にしがみつこうとしていた。

だが、もう私は霊体だった、

もう既にメンタルがギリギリらしい…

それくらい…私の事を好いてくれていたんだね…

すると

ゆかりさんの後ろから数人寄ってきた。

「ゆかりさん…もう…アイツは帰ってこないよ。また幻影でも見てるのかい?」

と、歩きながら言った。

声の主は功太だった。

相変わらずの冷淡さだ。

「…無理もない…それは小学の頃から一緒なら分かるんじゃないの?」

と、いつもの調子で悠が声を出した。

「でもここに!マスターが…!確かにいるはずなんです!なら私は…!あの人の寿命が尽きるまで!ここにいます…!!」

と彼女は涙ぐんだ声でそういった。

「…もう…いないよ…魂だなんて…幽霊を信じてるやつの…幻に」

「黙ってください…!!もう嫌です!もうそんな言葉を聞くのは嫌です…!!」

と、彼女は悠の言う言葉に食い気味に言った。

「…そうか…それじゃあ俺はここらで帰るよ。」

「…俺も…妻が待ってるんでな」

「えぇ…ありがとうございました…」

そういって、彼ら二人はそれぞれ違う道に行って帰っていった。

「マスター…もう…貴方の母は…亡くなりました…家の権限も…私が持つことになりました…

貴方のお姉様も…何処かに行ってしまわれました…私の居場所は…もう…あそこにも…あなたの持っていた家にもない…!ここしかないのです…!マスターの本来の寿命は…!いつまでなのですか…?はやく…!私の…!あの家に来てください…!私は…兎なのですよ…?寂しくて…死んでしまいます…できるのならここで消えて無くなりたいです…貴方と一緒なら…怖くなんてないのですよ…?はやく…帰ってきてください…あなた…」

あぁ…すまない…ゆかりさん…

今…彼女に干渉できるだろうか…

そっと私は、彼女の濡れた頬に触れた。

「え…?」

「ゆかりさん、ごめんね?」

「マスター…!!」

「あ、分かるんだ…」

「当たり前です!アンドロイドは幽霊を見れるんですよ!」

「そっか」

「…ごめんね。」

「それしか言わないじゃないですか…」

「これしか…言えなくてね…w」

「そうだ…俺の母さんの面倒見てくれてありがとね。」

「それくらい…!私の本来の仕事なんですよ…!なんともないです…!」

「それにしても…よく俺だって気がついたね。」

「当たり前です!この見た目で私のことをゆかりさんなんていう方はあの人達とあなただけなんですから」

「…そっかw」

「…俺が自殺して…何年経った…?」

「分かりません…ですが…かれこれ…10年は…」

「そっか…それまで、記憶がなかったんだもんな…」

すると不意にIA型の子が声を出した。

「なら…もう…貴方は…」

「ん…?」

「貴方…もう体が…」

彼女が言ったあとに気づいた…

私の身体が…消えかかっている…

「あ…」

それを見たゆかりさんは

「嫌だ!行かないで!あなた!もう…!私を一人にしないで…」

と、私にしがみついた。

あぁ…恐らく私はここらで成仏するのだろう…

だが…成仏すると…彼女にいつでも会いに行ける…

彼女を安心させよう…

「ゆかりさん」

「え…?」

「大丈夫、俺はここで成仏できるみたいだ…幸い、元の寿命が少なかったみたいだね。大丈夫、明日から、会いにいくから。」

そう言うと彼女は

「そう…ですか…なら、あなたの大好きだった、あの家の縁側で、待ってます、必ず…来てくださいね。」

彼女はまた涙で頬を濡らした。だが、今度は随分と嬉しそうだ。

何か、解放されたのだろう。

この子の口振りだと、私が連絡をしなかったことに対して、責任を感じているのだろう…

申し訳ないことをしたなぁ…

なら、会えなかった分、しっかり愛情をかけてあげなきゃね。

彼女の命、全身の骨組みが廃れ、朽ちていくまで…

そうじっと彼女を見ていたら、視界が薄れていくのを感じた。段々と、真っ白になっていく、自殺をした時には真っ黒になっていたというのに…

恐らく、私も囚われていたのだろうな…

少し気になったので、IA型の彼女に聞いた。

君のその口振りだと、俺を知ってたね?

「…はい」

「やっぱりね。

じゃあ…バス停も…元からなかったでしょ?」

「…はい」

「だぁと思った…w今思ったよ…w」

「でも…あの…乗ってたバスは…本当でしたよ?」

「そうであってほしいよ…w君がいるんだもの……ありがとね。かわいい霊媒師さん。」

今度こそ成仏していくのがわかる…

五感のすべてがなくなった。

視界はあるが、ほぼないのに等しい。

すべてが真っ白だ。

ありがとう…おやすみなさい…








数日後…

「あなた…今日も…暇ですね。」

「そうだね。ありがたいよ…」

「えぇ…飽きるほどに…あなたをもっと感じたいです…」

微睡みのなかで、彼女の顔が目の前に見えるのが分かる。

縁側に入る陽射しで、私は彼女の膝の上で微睡む…眩しくも美しく映る…彼女の顔が永遠と私の視界に入る…

このままいたい…ずっと…………ずっと

この…思い出を…永遠に……                       END


後書き

さぁ…どうでしたでしょうか。
この主人公は、私がもし、自殺したらという内容でございます。私はここまで前向きではございませんが、そこはご都合主義で…申し訳ございません…wそして鬱からの自殺を裏付けるために、鬱気味になっている方特有の一人称がバラバラ、という点を加えました。これくらいで鬱を語るな!という方には申し訳ございません。もっと酷かった記憶ではあるのですが、私が鬱だったときがこうだったので、それを読ませる為の行為ですので不快になられた方々には深くお詫び申し上げます。


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