素晴らしい時
やよもちjustice
某所で出したやつのチラシの裏です
弥生さん進水日記念(遅
2017/10/11 若干の改稿
やよもちjustice(2回目)
眼鏡の少女が最深部で見た物
服をボロボロにした、無表情な僚艦
月の照り返しが少し眩しくて、澄み切った夜空が恐怖に淀む
ああ、奴らが近づく
そして少女は、何かに突き動かされるように、損傷した主砲を構える
一瞬の静寂
「準備は、いい?」
淡い紫の髪が揺れる
刹那、青い目をした敵の主力艦が、爆炎と共に粉微塵に消し飛んだ
ーー
遠征から帰ってみれば、掛け布団だけで僚艦が眠っている
私は帰ってきたぞ
むにむに
「んに...」
「おはよ」
「遠征、終わったんだ」
「ん」
私の遠征上手は、ここでも健在
大成功だった
今日は気分がいい
まぁ、別の事もあるんだけどね
「そっか」
とりあえず、眠い
もぞもぞと布団にINし、彼女の肩に寄り添う
此処が落ち着くんだ
「おつかれ」
なでり
なでり
幸せな時間
嗚呼、落ち着く、眠くなって...
ーー
ふっと起きる
やよやよはまだ寝ているか
起きたのは、予定の時間
私の脳内タイマーは、絶対の精度を誇る
最大限効率的に眠るため、自分の睡眠周期を把握して、ギリギリにしゃきっと起きれるように
懶惰には手を抜かない、望月流
「んゅ...」
とりあえずむにむにする
「おはよ」
さっきも見たぞこれ
「おはよう」
今日は何の日?
「もう夕飯だってさ、食堂に行こ」
皆が待ってる
「ん、わかった」
食堂へ向かう外の廊下
「夕日が綺麗だよ」
やよやよのが綺麗だけどね
...恥ずかしいねこれ
夕日に写る、並んだ人の影
そして
「「「「「「進水日おめでとー!」」」」」」
皆が海に向かって主砲やら機銃やらをばら撒く
ついでに艦載機まで飛び回っている
そこまで派手にやるとは言った人間としても思わなかったよ
まぁこれが、炬燵鎮守府式、礼砲
「やよやよ、怒ってる?」
ちょっと背の高い彼女を、下からのぞき込む
「そんなこと、ない」
「良かった良かった」
余り表情に変わりはないけれど
喜んでくれてるかな
これからは、皆の時間
貸し出しタイムだ
だけど終わったら...
「いひひ」
戦いに身を置く存在だけど、きっと、こんな時間もあっていいよね
ーー
ふらふら
ふらふら
何故だろうね、司令官を含めて皆机に突っ伏していたり椅子で寝ていたりしている
誰かがいれたんだろうね
きっとそうだ
妖精さんか何かだろう、眼鏡をかけた
「ったく、迷惑ったらありゃしない」
愛飲のウイスキーを持って、やよやよの元へ
まぁ、さっきの言葉にゃ説得力なんて存在しないけど
カラン
「ん、染みるねぇ」
酔いすぎてるのか、微妙に味わかんね
「ほれ、間接キス」
カラン
どうだい、私好みのお酒の味は
「...もっちーの味?」
...そう来るかい
「あたしからすりゃ姉さんの味だよ」
カラン
甘ければ、辛くて、苦い
あたしと居る時だけの味だね
他の皆は知らない、やよやよの味
「最近良く、春の事を思い出すの」
「大規模作戦の事?」
「そう」
「哨戒しかしなかったじゃん」
「まぁ、そうなんだけど」
「最後の時」
「『殺せ』っていう衝動がね、止まらなかった」
ふむん
「…」
「ぽい?」
「茶化さないで」
あの時の違和感は、本物だった
私も怖くてたまらないさ
大戦の頃の記憶
怖いけど
不安だけど
焦ってしまうけど
「大丈夫だよ」
何一つ確定した言葉が無い上でこの言葉はどうかと思う、けど
私より背の高くて細いの彼女を、優しく抱きしめる
やよやよを、包み込めるよう
恐怖を、溶かせるよう
不安を、解かせるよう
焦燥を、治めるように
「もし何かありゃ、私が引きずり戻してやんよ」
「面倒くさがらない?」
「信用ないなぁ」
やよやよの事なら、何にだって本気になるさ
「私も、頑張る、から」
「ん」
カラン
覚めてきた酔いを、また一層強くするように、お酒を流し込んで
「さて、皆寝ちゃってるし、私達も寝ようか」
「皆見事に潰れちゃってる」
明日の朝は阿鼻叫喚だろうね
「今日、は、ありがと」
「ん」
「部屋に戻ろう」
「ふふふ、酔った勢いで襲っちゃうかもだぞー」
がおー、ってね
「...お手柔らかに」
「珍しく、随分ストレートに受け入れたね」
「だって、ふにゃふにゃのもっちー、凄く可愛いから」
「...」
肩パンしてやるし
「暴力...反対」
「そういう事いうのが悪い、ばーか」
「ふふふ」
「お、笑った」
あたし達の時間
とても大切な人との、大切な時間
「もっちーだけにサービス」
壊れない様に
「硬いな」
壊されない為に
「頑張ったのに」
「あーはいはい、可愛い可愛いっと」
壊さない為に
「好き」
「ん」
守っていく、素晴らしい時
やよもちjustice(3回目)
表は弥生さん視点なので、もっちー視点です
百合、甘甘で、熟年夫婦みたいな雰囲気を出したかったんです(白目)
本当にSSの中では美しい言葉選びをしますね。
全体文字数が少なく個々のワードがかなり目立つのですが、その一つ一つに深い心情やキャラクターの瞳を通したリアルな情景を感じられます。
表の言葉と、裏に潜む感情。この二つの対比を感じられる一人称小説としての表現が素晴らしく、二人の密接な関係を濃厚に感じられる文章に感服いたしました。ただ、文字数が少なくてわかりづらい描写があったり、全体的に色が薄く、スカスカな印象も受けました。
最後に、やよもちjustice!
こんな鎮守府に着任していでふ←
しらこさん
コメント返信遅れてしまって申し訳ないです...
許して下さい、なんでもしますから!
コメントありがとうございます
お褒めの言葉、飛び跳ねながら喜んでおります
脳内で話が完結している感じで書いていたので、色々と表現が不足しているのは確かですね
ち、超短編ということで1つ(震え声)
では、やよもちjustice!
よっこーさん
コメントありがとうございます
こんな場所が本当にあったらなぁ...(遠い目)
実は、別の話の少し先の日常だったりします
単品だと分かりにくい表現はこの事もあったり
御一読されると少し事情がわかるかもです(ダイレクトマーケティング)