カヲル「アダムさまの言うとおり」:Q
*内容を少し変更しました。
前作:http://sstokosokuho.com/ss/read/581
アスカ「アダムさまの言うとおり」:破
の続きとなります。
お読みいただくと幸いです。
前回まで
教室の次は体育館、次の試練は過去に倒したはずの使徒であった。
仲間と死に直面し、覚醒するシンジ。
使徒を倒し、終わったはずの試練、だがーーー
いつでも目を閉じれば聞こえる。
『シンジ。』
『センセ。』
『シンジくん。』
『バカシンジ。』
『碇くん。』
死んだはずの人の声がする。
全部夢だったんだ。そう、思おう。
『ふーん、アンタ全部夢で済ませるつもりなんだ?』
ダメ?
『碇くん、私の死んだことを受け入れてくれないの?』
嫌だよ、
『そーやって、いつも最後は逃げてる』
なんだよ、助けたじゃないか、
逃げてないよ。
逃げないよ。
みんなが死んだんだ。
みんなが悪いんだ。
みんなが僕を一人にしたんだ。
僕は悪くない。
だから、
ーーーーーーーーーーーーーーー
シンジ「助けてよ!」
目が覚める。何回目だ。
何処かの森。
シンジ「あれ、」
体のどこにも傷が無い。
それどころか、服にも返り血が無い。
カヲル「シンジくん。君は、死んだんだよ。」
シンジ「カ、カヲルくん!」
シンジ「カヲルくん。なんで、君が」
カヲル「君はここまで良く頑張ったと思う。」
カヲルくんは、…
再開を喜ぶ暇もなかった。
シンジ「…カヲルくんもこのテロに巻き込まれたの?」
カヲル「テロ…か、まぁこんなにリリンを殺したらテロにでもなるのかな?」
シンジ「ど、どういうことだよ。」
カヲル「僕はどちらかと言えば実行委員会、執行者の一人と言ったところかな」
シンジ「な、なにいってんのか、解らないよ。」
カヲル「そのままの意味だよ。」
シンジ「何のために、こんな事するんだよ。」
カヲル「君のためだよ?」
シンジ「だ、だからなにいってるか…」
カヲル「今は上手くは話せない。」
なんだよ、それ。
シンジ「…またここで誰かが殺されるの?」
カヲル「そうだね…。」
カヲル「ここは、ガフの部屋」
カヲル「流行り言葉で言えば、輪廻の部屋ともいうかな?」
カヲル「さっきも言ったけど、君は死んだんだ。」
シンジ「えっ」
そっか、僕助からなかったんだ。
カヲル「ここで行うのは、敗者復活戦。」
カヲル「ここに居るのは、全員今さっき死んだリリン達だ。」
シンジ「待ってよ。ーー」
シンジ「アスカは生きてるの?」
カヲル「君と一緒に死のうとしてた所を委員会が捕らえた。今は病院で眠っているはずだ。」
カヲル「ーーおっと時間のようだ。さァ行こう、シンジくん。」
空間が歪む。青々と茂っていた草が溶けるかのように揺れ、消えて行く。
カヲル「ーーあと、君はズルをしたから、一つペナルティが課せられている。」
カヲル「通常クリアをしてないからね。」
カヲル「もしこのゲームで君が生き残ったら、他の参加者は全員が無間地獄に誘られる。」
シンジ「なんだよ、それ。」
カヲル「二度とカタチが実体化することがないってことさ。」
カヲル「さぁ、ついたよ。」
シンジ「待ってよ、まだ聞きたいことが沢山あるんだ!」
ズガガガガッ
緑色の空間が再び再生される。
そこに居たのは目の前で死んで行った自分の仲間達だった。
ーーーーーーーーーーーーーーー
トウジ「おぉ!センセ!生きとったか!」
シンジ「トウジ!」
トウジ「なんや、皆生き残っとるんやないか」
ケンスケ「おっす。久しぶりシンジ」
シンジ「ケンスケ!よかった。」
内心はそうは思わない。死んでるんだから。
ヒカリ「あのさ、アスカ、見なかった?」
シンジ「アスカならさっき会ったよ。」
ヒカリ「そっかぁー良かったぁ。」
トウジ「どーやら集団催眠を受けてたらしいな。」
ケンスケ「皆自分が死んだと思ってるよ。」
シンジ「そうなんだ。」
死んだ人の集まり、そうだ、
シンジ「綾波は誰か会った?」
トウジ「いや、あっとらんよな?」
ケンスケ「多分どっかにいると思うけど?」
多分、さっきみたいにカヲルくんに会ったのは僕だけなのか。
ペナルティについては言わないと思う。
僕はここの全員を殺すという事になる。
言えばたぶん、誰かに殺される。
生き返るんだ。自分の為に。
ジリリリリリリリリリリリりん!
いつの間にかあった黒電話。
シンジ「僕がでるよ。」
ガチャ、
『どぉぉぉおおおおおおおい!!!』
キーン、音がする。鼓膜破る気かよ。
たまらず受話器を床に捨てる。
『これからぁ、敗者復活戦を始めます」
日向さんの声、誰も解らないのか
ザワザワザワ…
トウジ「敗者って…どうゆうことや!」
『てめぇらの命はすでにありへんのやさかいにぃ」
トウジ「なんや、エセ野郎」
ヒカリ「やっぱり、夢じゃなかったの…?」
『いまかるるるらぁ!行うゲームはぁ、
ドゥルルルルルルルルルルル………
『じゃん!鬼ごっこォ!!』
シンジ「チッ、手抜きか」
ケンスケ「碇、なんか言ったか?」
シンジ「いや、別に」
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ルールは単純、ただの鬼ごっこ。鬼が10人。逃げるのが残り。捕まったら
トウジ「死ぬんか、また。」
それだけじゃない。10分間以内に全員を捕まえられなかったら鬼は全員死ぬ。
つまり、逃げる人々か、オレのどっちかが生き残る。
ケンスケ「ダルマだけじゃなかったのかよ、驚きだよ。」
僕は、鬼だった。
ケンスケ、委員長もだ。
トウジは…逃げるほうだった。
ヒカリ「と、トウジを殺さなきゃ、私たちが生きられないの?」
トウジ「きにすんなや。誰かがワイを殺すやろ。」
ヒカリ「そんなこと、言わないでよ。」
大丈夫、委員長
オレが殺すから。
『10秒数えるから、逃げてちょ。
10
9
8
シンジ「そいえば、
ケンスケ「何だ?」
シンジ「鬼、9人しか居ないよね?」
ケンスケ「どっかに居るんだろ」
3
2
1
『すたぁァああああとぉぉおおおお』
パァン
合図と共に走り出した。
ケンスケ「碇っ!」
ケンスケ「ーーーあいつ、あんなに足速かったか?」
ヒカリ「いやぁぁあああ!」
ケンスケ「ど、どうした!?、、って」
確かに鬼は10人だった。がすぐに9人になった。
いや、匹か。
鬼の一人がクマに食われてる。
こいつが10匹目の鬼。
ーーーーーーーーーーーーーーー
「碇くん友達でしょ…?」
シンジ「うるさい。」バシンッ
「友達だろ、助けてくれよぉ!」
シンジ「うざい。」バシンッ
「こないでぇ!」
シンジ「うるさいっていってるだろぉ!」バジンッ
もう何人殺しただろうか。
顔面が赤く染まる。着ていた制服は白い生地がどす黒く染まっていた。
黒い見覚えのあるジャージがみえた。
しかし殺しの対象にしか見えない。
体が疼くのがわかる。
トウジ「センセっ!」
シンジ「トォジィ…」ズァッ
高速でトウジに接近する。
トウジも足は速いが、そんなのお構い無しだ。
殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す
トウジ「うわァッ!」
草にひっかかり、転倒する。
シンジ「チャーンス……」
トウジ「…もう無理やな」
シンジ「生きなきゃいけないんだ、オレは」
と、誰かがやってくる。
ヒカリ「トウジィイ!」
トウジ「来るな」
ヒカリ「シンジくん、やめてよぉ…」
シンジ「…。」
トウジ「ワシを殺せ」
ケンスケ「碇、」
いつの間にかみんなが集まる。
どうやら本当にオレはほとんどの人を殺したらしい。
動物の鳴き声がする。
ビリビリと肉の破れるおとが接近する。
僕に襲いかかろうとしている。
クマ「グワァババアァァァアア!」
シンジ「ッ」
トウジ「んなっ!」
トウジの腕を持ち、クマに投げつける。
ばぁん!と大きな音をたて、トウジの体がバラバラになる。
ヒカリ「いやァァぁァあああっ!」
ケンスケ「オエッ」ゲロロロ…
シンジ「フーッ!フーッ!…」
熊がまだピクピク動いている。
バキィ!
顔を踏み潰し、靴の中に血が染みるのを感じる。
ヒカリ「ハァハァハァハァハァハァハァハァハァ…
ケンスケ「…トウジぃ。うわぁぁあああ!!」
シンジ「イヒッ、アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハッ!」
ケンスケ「碇ィイっ!」
ケンスケに殴られた。
ひるまずケンスケの首を締め返す。
シンジ「なんだよ?」
ケンスケ「ぐぁ、ぁぁぁぁ…」
ボキッ
鈍く折れる音がした。
ヒカリ「し、し、シンジくんじゃない。…?」
シンジ「オレは碇シンジだよ。」
ヒカリ「し、シンジくん、オレっていわないもん…」
シンジ「…うるさいなぁ、殺すよ?」
ヒカリ「おかしくなっちゃったの…?なんで二人を殺したのよッ!」
シンジ「どーせ死ぬんだ。委員長もすぐに死ぬよ。」
空から赤い影が降り注ぐ。
赤い螺旋を描いた槍が生き残った委員長を串刺しにする。
ヒカリ「ッ。」
びしゃっ
血を吹きたし、目はうるろになり、泡を吹いている。
バスバスバスバスッ
生き残っていたオレ以外全員に降り注ぐ。
緑の草原は赤く染まり、鉄臭くなる。
シンジ「気持ち悪い。」
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カヲル「どうやらシンジくんは僕が知っているシンジくんとは違うらしい。」
マリ「こっちの方がクールでかっこよくなぁい?」
カヲル「まぁどうせ、計画に支障は無い。」
カヲル「これまではお遊びだ。本気のゲームを始めよう。」
次がラストゲームだ。
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シンジ「う、んー………。」
ネルフの病院。いつもと変わりない気はするが、なんか違う。
アスカ「シンジっ!」
アスカが僕に近づく。
アスカ「よかった。本ッ当よかった…。」
シンジ「あ、アスカ、今何が起きてるの?」
アスカ「あ、そうそう。さっき、男の人がきて、
『次で最後です。ご準備を』
シンジ「ふぅん。」
ドドォン…
地面が縦に揺れる
アスカ「な、なに!?」
シンジ「わからない…」
アスカ「取り敢えず、出ましょう」
シンジ「うん」
案外すんなりと外にでることができた。
病院は半壊していた。
なにかが病院に落ちたんじゃなかった。
目の前に広がる、ジオフロントに巨大な綾波が、上まで貫通し、空を見上げている。
今日、この世界がオワル。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
次回予告
遂に始まる。ラストゲーム。
全てを犠牲にしてきたシンジが掴むものとは。
全ては人類の補完の為に行われる。
最後の選択、愛か力か。
次回
「アダムさまの言うとおり」結
次回で完結となります。
感想、コメント、評価をよろしくお願い致します。
うーん。1話はおもしろかったけど2話で勢い殺した感じがする。
1話はだるまを使った理不尽なゲームはソウみたいでよかったけど、2話で使徒を使ったのが微妙。急に陳腐な物になった。何か使徒ではない、他の物体を使ったほうがよかったのかも?
3話でちょっともり返したけど、1話ほどのワクワク感がないかな。
でも、作者もコメントみてるみたい何か嬉しいです。1話のひきこみはすごったです。
最終話はどうまとめるのか気になる所、期待しているからがんばれ!!