2016-11-25 20:48:02 更新

概要

前作の続きです。次回で最終話になる予定です。


前書き

前回の投稿からかなり時間が掛かってしまいました。どうかお許しを...


俺「なにか学校であったみたいだな」


妹「!? どうしてそれを」


俺「いろんな情報網を持っているんだよ、俺は」


妹「じゃあ、何があったかもご存知なのでは?」


俺「さあ、どうだかな」


妹「...あくまでも私の口から言わせたいということですか」


俺「...別にSじゃないぞ?www」


妹「聞いてません」


俺「あらお厳しいw」


妹「......」

妹「...やっぱり私の口からは言えません」


俺「そうか...なら俺と勝負しないか?」


妹「私が負けたら話せと?」


俺「さすがに、察しが良いな」


妹「私にメリットがありませんが」


俺「あるさ...もしお前が勝てば、勝負の必勝法を教えてやるよ」

俺「どんな勝負にも勝てる絶対的な必勝法をさ...」


妹「...っ!!」


俺「さ、やろうか」


妹「...勝負の内容は私が決めてもよろしいんですよね?」


俺「もちろんだよ」


妹「わかりました。ポーカーで勝負をしましょう」


俺「ポーカー? そんなので良いのか」


妹「ええ、構いません」









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父「じゃあ次はポーカーしようよ、ポーカー」


俺「ポーカー!? なんでそんな珍しいのやるんだよ」


妹「ポーカーってメジャーな種目ですよね?」


母「あの二人、いつもブラックジャックで勝負してるからね〜」


俺「よし、やるぞ」


妹「...そうなんですか」





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妹「(あの手つき、あの負け方...俺さんはポーカーが苦手なはず!)」

妹「(あの完璧とも言える俺さんの手が少し乱れていた...間違いない!)」


俺「おい、カード取れよ」


妹「あ、はい、すいません」


俺「......」


妹「じゃあ私から交換しますね」


俺「待て」


妹「えっ?」


俺「ルールを確かめてない」


妹「一般的なルールでいいですよ」


俺「じゃあ交換は一回、一発勝負でいいな?」


妹「構いません」


俺「じゃあ、俺が先に交換するな」


妹「(やりました! どうやって先に交換させようかと考えていたのですが、杞憂だったようです)」

妹「(これは勝ちも同然!!!)」


俺「...ッー........」


妹「(今のは!? 俺さんの?)」

妹「(...あまりにも上手くいきすぎてる気がします。これはもしかしたら俺さんの罠?)」


俺「早く交換しなよ」


妹「はい」


シャ......ペラ


妹「!!!!」

妹「(キタ! これは勝てる。仮に俺さんが良い手だったとしても私の方が良い手に決まってる!)」


俺「じゃ...オープン」


パッ


妹「....え?」


俺「どうした?」


妹「ありえません! ロイヤルストレートフラッシュなんて!!」


俺「いや、今お前の目の前にあるじゃないか」


妹「そんな...」


俺「いや〜、ついてたよ」


妹「やっぱりありえません! イカサマです!!」


俺「...なにか証拠でもあるのか?」


妹「それは...」


俺「じゃあ問題ないな、俺の勝ちだ。何があったか話してもらおうか」


妹「その前に」


俺「ん?」


妹「種明かししてくださいよ。負けは認めますから」


俺「種なんてねぇよ。運が良かったんだ」

俺「ただ言うとすれば...お前は少し考えこみ過ぎたんじゃないか?」


妹「え」


俺「運も逃げるぞ、そんか感じだとさ」


妹「はあ」


俺「さ、話せ」


妹「実は...」


俺「あ、待て」


妹「はい?」


俺「相手の男の名前はS君にでもしとけ。聞くだけでヘドが出る」


妹「はい、わかりました」

妹「(俺さん、なんか雰囲気違うような....)」




〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜回想〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



ここからは私の語りにしばしお付き合いください。誠に恐縮ではあるのですが、俺さんに言われましたので...お話させていただきます。


私はとある私立の学校に通っているのですが、そこは今の時代にはそぐわない程に実力主義なんです。テストで順位を掲示板に張り出すのはもちろん、クラスは成績順ですし...もっと言えば体育でペアを組む時も成績に差がありすぎると組んではいけない。なんてルールもあるくらいなんです。

そんな中、うちの学校にもやっぱり優等生と言われる生徒がいるわけです。成績優秀、スポーツ万能、さらにゲームも得意なんです。でも、性格が...その、難ありと言いますか、少々よろしくない感じなんです。

つい先日の話です。私のお友達がSさんとお話をしていたんです。私、悪いことだというのは承知していたのですが、どうしても気になったものですから、ついついお話を盗み聞いてしまったのです。その内容というのが...


S「おいA美、お前妹とつるんでるの?」


A美「まあね、あいつどんくさいけど金だけはあるからね」

(私のお友達はA美さんとさせて頂きます。)


S「なんだサイフにしてんのね」


A美「当たり前じゃない、あんな地味子。ちょっと成績が良いからって調子ノッてんじゃん。変なしゃべり方だしさ」


S「言えてるw 成績良いって言っても俺たちには及ばねーくらいのガラクタじゃんwww」


A美「それなw」


そうなんです。確かに私は一番成績が良いわけではありません。Sさんは学年トップの成績を保持していらっしゃいます。A美さんも学年2位の方です。私はその次なんです。この学校のやり方では、私はこのお二人に逆らうことはできません。ですから、その時は何も言えなかったのですが...すごく悔しかったんです。そこでお父様にお願いしたんです。今までよりもっともっとお勉強をしたいと。お父様はおっしゃいました。

『それなら知り合いに優秀な子がいるから、そこにお世話になったらどうだ? 勉強もできるみたいだから、一石二鳥だろう』




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妹「それで俺さんのところにお伺いしたんです」


俺「...足りない」


妹「? 」


俺「お前は初めて会った時に俺のことを『お兄ちゃん』と言ったはずだ」


妹「はい、確かに」


俺「いつ知った? さっきの話の中にはそれを知る手がかりがなかったぞ」


妹「それは...お母様から聞いたんです。どうやらお父様が頼んでいたみたいで」


俺「...それと、もう一つ」

俺「今の話、はっきり言ってためらうほどの話じゃないだろ。なぜあんなに話すのを渋ったんだ」


妹「もうご存知でしょう?」


俺「なんで俺が? 」


妹「...だってさっき『いろんな情報網を持っている』って」


俺「言ったよ、確かにな」


妹「...また一杯食わされた、ということですか」


俺「さ、続きを聞こうかな」


妹「分かりました。もう観念します。すべてを話します」





〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜回想〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



先ほどは何も言えなかったと言いましたが、やっぱり泣き寝入りはできなかったんです。

ですから、放課後にA美さんにあった時に申し上げたんです。


妹「A美さん、実は今日Sさんと話しているのを聞いてしまったんです」


A美「ふーん...で?」


妹「ですので...その、これ以上のお付き合いはできません」


A美「あ、そ...良いよ別に」


妹「(ホッ...思ったより簡単に話がつきましたね...)」


A美「それよりさ、明日1万ね、よろしく」


妹「え?」


A美「いやいや、話聞いてたんでしょ? あんたはサイフなの、分かる?」


妹「(やっぱり簡単にはいきませんね)」

妹「そうですね、分かってます」


A美「じゃあ...」


妹「でも、簡単に渡すわけにはいきません。 私にもプライドがありますから」


A美「ハッ...あんたみたいな地味子にプライド? ウケるwww」

A美「良いよ...なにで勝負するの」


妹「そうですね...」


A美「あーもういいや、あんたとろくさい」

A美「次にあそこの昇降口を通る人が男か女か、それでどう」


妹「構いませんよ」

妹「(これは確率の勝負、勝つ確率は1/2です)」

妹「(でも、この学校、部活に参加しているのは男性が圧倒的に多数)」


A美「じゃあ...内容はあたしが決めたからさ、あんた先に選んでいいよ」


妹「!?...」

妹「(どういうことでしょう...この勝負は先に選んだほうが圧倒的に有利)」

妹「(なのに私に先に決定権を譲ってくるなんて...)」


A美「どうしたの? 早く決めてよ」


妹「...女性です、次に通るのは」


A美「おっけ、じゃああたしは男子ね」


妹「はい」

妹「(...やっぱり怪しい、これは罠だと考えます)」


ツカッツカッ...


妹「! 」


A美「誰か来たね」


ツカッツカッ...


?「よぉ、A美」


妹「あ...」


S「それと...地味子www」


A美「これであたしの勝ちねw」

A美「じゃ、明日よろしく」


妹「...はい」


S「あ、そうだバックレんなよ? 」

S「さっきの会話録音してるからw」


妹「分かってます。約束は守りますよ」



そんなことがあって私はお金を持って行きました。本当は録音されてるからってお金を渡す必要はありません。それは私も分かっています。でも、学校内の出来事である以上、誰も助けてくれないんです。学校は実力のある者の話しか聞きません。親も入学時にそのことに関する同意書にサインをしているので、何もできないんです。

その後も、私は負け続けました。トランプなどのカードゲームや、くじ引きなどの運のゲームもしました。でも...一度も勝てませんでした。そして夏休みに入る前...


A美「地味子〜」


妹「はい? 」


A美「あたしさ〜新しい服買いたいんだけど、お金ないんだよね〜」


妹「またですか? 」


A美「いいじゃん、頂戴」


妹「もう私も手持ちがありませんよ」


A美「あんたの家金持ちじゃん、親に言ってもらってきてよ」


妹「でも...」


A美「何? あたしの言うことが聞けないの? 」


妹「分かりました...」



そして私はお金を用意しました。と言っても、俺さんの家に行くための交通費をあらかじめ貰っていたので、これをA美さんに渡したんです。当然勝負はしました。案の定負けましたけど(笑)

そして私は地獄のような一学期を終えて俺さんの所に修行に来たんです。



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妹「...というわけです」


俺「...........」


妹「俺さん? 」


俺「いくらだ」


妹「...ざっと30万円でしょうか」


俺「お前の両親は何も言わなかったのか」


妹「同意書にサインをしてますから」


俺「そんなもんただの紙切れだろ!? どうして自分の娘を守ろうとしないんだ」

俺「...到底理解できない」


妹「そういう方なんです。私の父は」


俺「...そんなんだから3位の娘が育つんだよ」


妹「そんな言い方ひどいじゃないですか! 私だって頑張っているのに」


俺「違う! お前が努力家なのはもう分かってる。並外れた努力をしてきたこともだ」

俺「ただ、大事なのはそこじゃない」


妹「? 」


俺「確かに、人間は常に努力をするもんだ。習慣だと言っちまえばそうだが、違うといえば違う」

俺「成功者と言われてる人たちで努力をしなかった人は一人もいない。天才と言われる人達が必ず成功者になるとは限らないのは、このためだ」


妹「私もそう思います」


俺「しかし、努力だけじゃダメなんだ。そこには必ず『安らぎ』が必要なんだ」


妹「......」


俺「それが『家族』の存在だろ」


妹「...!」


俺「少なくとも俺はそう思ってる」

俺「そして、その大事な家族を貶された今、俺はSとA美を許さない」

俺「そして、その家族を紙切れ一枚で売ったお前の父親もな」


妹「売ったなんて言い方! ひどいです」


俺「なんとでも言え」

俺「俺が信じるのは俺だけだ」

俺「俺の、実力だけだ」


父「あらあら? さっきと言ってることが違うじゃない」

父「家族が大事なんじゃないのかい? 」


俺「止めても無駄だぞ」

俺「俺はもう決めたんだ」


父「それはわかってるよ、止める気も毛頭ないしね」


俺「? 」


父「ぶちのめしてこい」

父「負けて帰った時は息の根が止まる時だと思え」


俺「......当たり前だ」

俺「俺は負けない、絶対にな」


後書き

今回の話はかなりカッコつけてしまった感があります(笑)
このまま最後までカッコつけるつもりですが...。
年内に完結させたいとか地味に思っています。
いや〜現実には起こることがないようなことを考えるのは、やはり楽しいですな!
次回作でまた失礼します。


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