吹雪「マスク司令官」
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感想お待ちしております
地の文多めです。ちょっとワンパターンかなぁ…御手柔らかにお願いします。
吹雪「私の司令官はいつもマスクをしている。」
吹雪「顔も見たことないし、話という物をしたこともない。」
提督「」コホー
吹雪「いつもマスクからでる呼吸の音しか聞こえない」
提督「」コホッコホッ
吹雪「司令官?」
提督「」ピラッ
吹雪「あっ指令書ですか…」
提督「」コホ
吹雪「(こんなのでも作戦はしっかりしてる…)」
吹雪「深海棲艦の残党を殲滅せよ…了解しました!」
こんな感じで1日は始まっていく
鹿島「提督さんお昼にサンドイッチ、一緒にどうですか?」
提督「」コホー
提督「」ガシッ
提督は自分の分のサンドイッチを手に取り、鹿島に見えないように机に隠れた
鹿島「提督…さん?」
提督「」ガツガツガツガツ!!
提督「」コホッコホッ
提督「」…グッ!
鹿島「ふぅ…良かった…」
提督は自分の顔を見られるのが嫌らしくなおかつ食べるのがかなり速い。
提督「」ジー
鹿島「あっ…じゃあ私も…いただきます」
━━━━
鹿島「お粗末さまでした」
提督「」コホーコホッコホッ
提督「」コホッ!
鹿島「無理に言わなくてもいいですから!大丈夫ですか?」
提督「」コホー
鹿島「大丈夫みたいですね…良かった」
提督「」コホー
鹿島「それじゃあ私は演習に行ってきます」
提督「」ノシ
たまに提督は呼吸困難になるが多分大丈夫らしい
提督「」コホー
提督は仕事の合間に散歩に行く。艦娘との交流のためだ。あとは色々貰うためである。
瑞鳳「あっ提督!玉子焼き作ったんだ。はいこれ」
瑞鳳はこうして玉子焼きをほぼ毎日提督に渡す。提督は基本1人で食べるのを知っている。
提督「」コホー
瑞鳳「食べ終わったら弁当箱私の所に持ってきてね。」
提督「」ナデナデ
瑞鳳「えへへ…」
提督「」ノシ
瑞鳳「(本当は一緒に食べたいんだけどなぁ…)」
提督「」コホー
曙「あっ!クソ提督!」
曙はマスク姿を快く思っていない。
曙「そのマスク…取ったほうがいいわよ」
提督「」コホ?
曙「表情が読めないから話しかけづらいって、他の娘も言ってたし!」
曙「私も…話すタイミング見つけにくいし…」シュン
提督「」コホ…
曙「もう!そんなに落ち込まなくていいから!」
曙「とにかく!近いうちに顔見せなさいよね!」ダッダッ
そう言って曙は走り去っていった…
提督「」コホゥ…
提督の歩くスピードは遅くなってしまった。
このマスクはどうしても外せない…
━━━━
扶桑「提督、こんにちは」
提督「」コホー
挨拶の後、2人は近くのベンチに座った。天気はよく暖かった。
扶桑「提督、山城には出会えましたか?」
提督「」コホ…
扶桑「そうですか…大丈夫です。待ちますから…」
とても申し訳なさそうな提督をなだめる扶桑に提督は申し訳ない気持ちでいっぱいだった。
扶桑「提督、空が青くて、とても綺麗ですよ。」
提督「」…
扶桑「提督?」
提督のマスクは目の部分が赤いガラスで、見るもの全てが赤に包まれていた。
扶桑「はぁ…提督の見る赤い空…私も一緒に…」
後に扶桑は赤いセロハンを買って眼鏡を作ったのは言うまでもない。
扶桑「提督、それでは私はこれで」
提督「」ノシ
━━━━
仕事に戻る帰り道、
最後に誰かに会えるかと思っていると…
吹雪「司令官!艦隊が帰投しました!作戦は大成功です!
喜ぶ吹雪に提督も上機嫌である。
吹雪「他は補給と入渠をしに行きました。私は報告のため早めに済ませました。」
提督「」ピラッ
提督は紙を数枚渡した。
吹雪「これは…間宮のアイス券じゃないですか!ありがとうございます!」
提督「」コホホッ
提督は得意気である。
吹雪「あの…司令官…お願いがあるんですが…」
吹雪「今日の夕食…私達と食べていただけないでしょうか…!」
提督「」…
提督は首を横に振った、泣いているのは明白であった。
吹雪「そこまで断るのは…そんなに顔を晒したくないんですね…」ウルウル
吹雪「私達のことが嫌いなんじゃ…」
提督「」ガシッ
提督「」コホッ!コホッコホッ…
提督は吹雪の肩を掴み強く首を振った。
そして走り去って行ってしまった。
吹雪「うぅ…」
吹雪はトボトボと自分の部屋に戻って行った。自分が何を思っているかわからないままに…
あたりはすっかり暗くなって夕食時になった。艦娘は食堂に集まるが提督は執務室にこもったままである。
提督「」ガチャ
提督はドアや窓などの鍵類を閉め、艦娘が入ってこれないようにする。食事は自分の顔を晒すことになるからだ。
提督「」ガツガツガツガツ
瑞鳳から貰った弁当とあらかじめ間宮で買っておいたアイスをだして今晩の夕食とした。
提督「」ウゥ…
食べ終わりまたマスクをかぶると涙が溢れた。吹雪に言われたことがかなり心を苦しめてしまったようである。
提督「」カリカリカリ
提督は紙に「大事な話があるから艦娘を集めるように」と書いて、大淀に渡しておいた。
提督「」ゴホッゴホッ…グフゥ…
また呼吸困難になってしまった。
━━━━
食堂では艦娘が全て集まっていた。
しかし数は他の鎮守府よりはかなり少ない。
吹雪「司令官に…また断られてしまいました…」ウルウル
曙「泣かなくてもいいわよいつものことだし」
吹雪「でも…」
鹿島「しょうがないです。提督さんにもなにか理由があって…」
扶桑「そうよ私に顔を見せず話さないこと以外はとても優秀な提督だと思うわよ」
曙「確かにそうだけど…ちょっと気がかりなことがあるの…」
曙「ここの鎮守府にいる艦娘…少なくない?」
吹雪「確かに…姉妹が揃っているのは…金剛四姉妹くらいですよね。」
金剛四姉妹は向こうの席で提督についての愚痴を語っている。
金剛「提督ゥ…全然構ってくれないデース…」
榛名「そうです…一緒に寝てもくれないし…」
比叡「それはさすがにやりすぎなんじゃ…」
霧島「構ってくれないのは仕方ないことですが…ここまで艦娘との関わりが少ないのに、仕事が上手いのは何故でしょうか?」
金剛「あのマスクで私達のことは筒抜けなんじゃないデスか?」
比叡「ひえ~!」
榛名「それはないと思いますけど…」
━━━━
曙「提督は頑なに建造しないし…海域で出会った艦娘も基本的に私達の近代化改修に回しちゃうし…」
鹿島「私達のこと最優先ですよね…」
吹雪「私達を大切にしてくれるのは分かってるんですけど…うぅ…」
大淀「提督からです!皆を集めるようにと…」
曙「皆集まってるわよ」
大淀「良かった…じゃあそこで待機してください。」
食堂はざわついていた。艦娘達は不安と小さな期待を持っていた
━━━━
しばらくすると提督が食堂に現れた。ホワイトボードを持っていた。
提督「」コホー
提督はホワイトボードに文字を書いていく。
「皆に伝えたいことがある」
艦娘達の心臓の鼓動の早さがピークに達する。
「私は」
「重い病気で、余命は半年しかない。」
吹雪「え…」
瑞鳳「そんな…」
艦娘達は驚き、呼吸が一瞬止まる。
「黙っていて本当にすまない」
書く手は震えていた。
曙「ふざけないでよ…」
扶桑「あぁ…」
「こうしてマスクをしているのも」
「外の空気をフィルターを通して吸うためだ」
「外してしまうと数分持たない。」
榛名「顔も見れないなんて…」
霧島「でも…なぜ病気なのに提督を?」
「私はここに来る前は違う鎮守府で提督をしていた。」
「我ながら成績も良く、元帥も夢じゃ無かった。」
「しかし…病魔に襲われ、まともに呼吸もできなくなってしまった。」
「私は大本営に左遷を命じられ、この鎮守府に着任した。」
「命じられた時の元帥の涙は今でも覚えている」
「余命の少ない私は少数の精鋭艦隊を編成せよと命じられた」
金剛「だから頑なに建造しなかったんデスネ…」
「私が亡くなったら別の提督が着任するから安心して欲しい」
鹿島「でも…」
「これが私の伝えられる事の全てだ。本当に申し訳なかった。」
提督「」コホー
提督は食堂を後にした。涙と鼻水をすする音は嫌でも聴こえた。
曙「なんで…こんなことって…」
曙「クソ……提…督」
扶桑「これからどうすれば…」
吹雪「…」
艦娘達は悲しみに包まれていたが…
大淀「皆さん…作りませんか?」
榛名「何を?」
大淀「思い出ですよ!提督との!」
━━━━
そのころ提督は…
提督「」コホッ…
写真がスカスカなアルバムを見て、提督は再び呼吸困難に陥った。
金剛「とはいっても…」
鹿島「何を作れば…?」
曙「海水浴行ったり…?」
大淀「提督は泳げないですよ…」
比叡「皆でカレー作ったり?」
吹雪「それはやめといたほうが…」
扶桑「そういえばもうすぐ…」
霧島「もうすぐ?」
榛名「提督の誕生日ですよ!誕生日!」
瑞鳳「1週間後…ぐらいだったかな?」
金剛「なんで知ってるんデスカ?教えて貰ってないデース…」
瑞鳳「執務室のカレンダーに書いてあったの。凄く大事にしてたわ」
大淀「なら…サプライズの誕生日パーティー…開きませんか?」
鹿島「いいですね!開きましょう!」
曙「パーティーかぁ…いいんじゃない?」
吹雪「そういえば写真撮ってくれる人は…?」
青葉「それならこの青葉におまかせを!」
扶桑「青葉さん…ありがとうございます」
青葉「はい!誠心誠意撮らせていただきます!」
大淀「じゃあ明日から準備を始めましょう!」
一同「はい!」
━━━━
そのころ提督は…
提督「」コホホホホ…
カレンダーに書かれた誕生日の☆マークを見て、笑みを浮かべていた。これが最後の誕生日になると知っていても。
大淀「じゃあまず構成を決めましょう」
大淀「買い出しに…飾り付けに…料理…あと司会…」
金剛「買い出しは金剛達に任せるデース!」
霧島 比叡 榛名「おまかせを!」
吹雪「飾り付けは私と…」
曙「私と」
扶桑「私でやりますね」
瑞鳳「料理は私と…」
鹿島「私でやります!」
大淀「司会は私がやって…」
青葉「写真撮影は私ということで…」
金剛「それじゃあ行動開始デース!」
━━━━
買い出し班
金剛「えーと買ってきてと言われたのは…」
霧島「クラッカーに…色紙…飾り付け用の道具に…あとは…」
比叡「プレゼントと」
榛名「花束です!」
金剛「そうデシター…私としたことが…」
榛名「まぁまぁ…早く買いに行って、飾り付け班に渡さないと…」
━━━━
飾り付け班
吹雪「どんな飾り付けがいいのかなぁ?」
曙「折り紙でわっか作ったりとか…あとはまぁ…金剛達次第だけど」
扶桑「提督の視界は赤色に染まってるから、そこも考えないと…」
吹雪「えぇっ!?あのマスクのガラス部分赤いんですか?」
曙「私は…知ってたけど…」オロオロ
扶桑「(知らないんだろうなぁ)」
吹雪「(多分知らないよね…)」
曙「とにかく!色はよく考えるわよ!」
━━━━
料理班
瑞鳳「料理は間宮さんにも手伝って貰います。間宮さん、よろしくお願いします!」
間宮「はい、提督の誕生日パーティー…張り切らないとね!」
鹿島「ええまだ誕生日パーティーには日があるから、メニューを考えないと…」
瑞鳳「提督って…顔出せないから…どうしたらいいんだろう…?」
鹿島「食べるとしても数分間の命懸けになってしまいます…」
間宮「なんとかして提督と一緒に…
うーん…」
瑞鳳「点滴で体内に入れちゃうとか…」
鹿島「それは悲しいです…」
間宮「日はまだありますから、考えましょう」
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司会 写真撮影
大淀「まず挨拶…提督のメッセージ…あと艦娘からの寄せ書きとか…」
青葉「結構考えてるんですね…」
大淀「はい、せっかくの誕生日パーティーですから…それに…提督の最後の誕生日になりますから…」
青葉「青葉も、このパーティーを最高の写真におさめます!」
大淀「よろしくお願いしますね、提督も病気に戦っているんだから私達も頑張らなきゃ…」
青葉「はい!」
━━━━
提督「」コホー
提督「」ゴクゴク…
提督はジュースを飲んでいた。マスクの口元には開閉式の丸い扉があり、そこにストローを刺して飲んでいた。提督がまともにできる食事である。
瑞鳳「(これなら…)」
偶然、瑞鳳はそれを見てヒントを得た。
━━━━
金剛「買ってきたデース!」
吹雪「ちょっと買いすぎな気もしますけど…これで準備が出来そうです!」
曙「誕生日パーティーまで日がないんだからさっさとやるわよ」
扶桑「金剛さん達も手伝ってくれませんか?」
金剛「もちろんデース!」
━━━━
鹿島「それで…提督さんでもokなものって…?」
瑞鳳「これよこれ!」
そう言って瑞鳳はストローを刺したジュースをだした。
鹿島「ジュースですか」
瑞鳳「提督はマスクつけたままジュースを飲んでいたの、ストローでね。」
間宮「なるほど!それなら大丈夫そうね」
瑞鳳「となると味なんだよなぁ…」
鹿島「パーティーまで時間がないし…他の料理も考えなきゃ…」
間宮「パーティー用の料理は私に任せて、二人は提督のジュースだけ頑張ってくれたらいいから大丈夫よ」
二人「ありがとうございます!」
瑞鳳「(頑張らなきゃ…)」
鹿島「(提督の好きな味は…)」
━━━━
提督「」コホーコホー
今日提督は休みである。大本営が特別に許可してくれたらしい。
提督「」コホー…
日が進むごとに死に近づく事を自覚しているものの、やはり恐怖を感じていた。
今日は艦娘達には軽い遠征を出している、数時間で帰ってくるだろう。
提督「」コホー
今日は特別な日と思いながら、提督はぶどうジュースを飲み干した。
━━━━
提督は夕食の時間になるといきなり大淀に連れられ食堂に向かった。
提督「」コホー?
中に入るといきなりクラッカーが鳴り響いた。そして
「提督、誕生日おめでとうございます!」
吹雪「今日は提督の誕生日パーティーですよ!」
金剛「今日の為に皆で準備したんデース!」
提督「」コホ…コホ…
提督は身体を小刻みに震わせた。泣いているのかもしれない。
瑞鳳「はいこれ」コトッ
提督「」コホ?
鹿島「提督用に作ったジュースです、提督は食事が難しいので」
間宮「提督がいつも飲んでるものを参考にしたんですよ」
提督「」コホー
提督はジュースのストローをマスクの穴に刺して飲んでみた。
提督「」コホー!
瑞鳳「気に入ってくれたのね?」
鹿島「良かった…」
食堂内は綺麗な飾り付けがされていた。提督の赤いガラスからでも感じるほど、
吹雪「私達で頑張ったんです!」
曙「感謝しなさいよ!」
扶桑「提督が喜んでくれて本当に良かった…」
提督「」コホホ
━━━━
パーティーは盛り上がり、ついに金剛四姉妹からの誕生日プレゼントが渡された。
金剛「四人で必死に考えて選びまシター…」
榛名「受け取ってください!」
金剛達が渡したのは指輪だった。
提督「」コホー?
比叡「その意味はですね…」
霧島「私達はもうケッコンしてももう駄目ですし…」
榛名「だから…せめて指輪だけでも…」
金剛「ということデース」
提督「」コホ…コホ…
提督は泣いてその指輪を指にはめた。
サイズはぴったりで、銀色に輝いていた。
━━━━
青葉「写真撮りまーす!」
艦娘達が提督の周りに集まる
提督「」コホホ…
提督は緊張とマスク内の温度で死にそうになったものの、この幸せな時間を噛み締めていた。
吹雪「提督!ピースですよ!」
曙「ほら、早くしなさいよ!…もう…//」
提督「」コホホ!
青葉「はい、チーズ!」
艦娘「チーズ!」
撮った写真は、青葉が撮った中で最高の出来だった。
━━━━
その後の残された時間は一瞬のように過ぎていった。
提督は執務室でひっそりと死んだ。
そして時はたち…
新提督「今日から着任致しました!よろしくお願いします!」
大淀「よろしくお願いします」
新提督「前の提督殿は…お亡くなりになったそうですね…」
大淀「はい…素晴らしい提督でした…本当に」
新提督「私はその提督のようになれるかはわかりませんが、頑張らせていただきます…!」
吹雪「失礼します!」
吹雪「あなたが新しい司令官ですね…よろしくお願いします!」
新提督「はい、よろしくお願いします」
新提督「そのマスクは…?」
大淀「あぁ…勝手に持ち出したらいけないですよ」
吹雪「すみません…でも早く見せてあげたくて…」
吹雪「司令官、これは前の司令官の形見なんです。これを見てると前の司令官を思い出せる気がして…」
新提督「そのマスク…」
新提督「私に被らせて貰えませんか?」
~完~
遅れましたが完結することが出来ました。自分はあまりこういうSSは書かないんですが思い切って書いてみました。
次は自分の思うSSが書けたらなと思います。次回作もよろしくお願いします。
喋るのかなぁ
続きが気になります。
最後の文はウミガメのスープ的なもの?
コメントありがとうございます、
ウミガメのスープ懐かしい…w時間軸は同じにしようと思っていたんですがちょっと文章が拙かったですね…編集しときます…
つまりどういうことだってばよ?