春香「エアー…」
初投稿なので稚拙な文ですがご了承の程を
初代アイドルマスターは
天海春香 様です おめでとうございます
去年まで名の知らない一人の女子高校生が、スターとしての道が開かれた瞬間だった。
春香 「皆さん ありがとうございます」
春香「…私」グスン
春香「ファンの皆さんのおかげで」
春香「アイドルマスターになれました」
春香「本当に、本当にありがとうございました」ペコリ
ファンから送られる温かい拍手、嗚咽混じりの声援、これらの熱意がスポットライトに当たっている彼女を美しく彩った。
これが彼女の人生を大きく変わるとは、誰一人思わないだろう
アイドルの頂点を極めた女王は、テレビ各関係者に手短に挨拶を済ませ、急ぎ足で事務所に向かった。
事務所の扉を開けた瞬間 仲間達が温かく迎えてくれた。
春香「ありがとう みんなのおかげで無事アイドルマスターになれました」ペコリ
天海春香は、この場所が好きだった。
所々穿けてる外装 窓に貼られた逆文字のガムテープ 少し固めの安値のソファー
切磋琢磨し、苦しい時、辛い時、楽しい時を共有した仲間達
凡人だった自分に光る物があると言い、一緒に二人三脚で業界を歩んでくれた片想いの赤羽根さん。
この場所を守る為なら自分はどんな事でもできる。
それが人を殺める結果になるとしても
彼女には、その強い意志の炎を瞳に宿していた。
赤羽根「春香 ちょっと屋上に来てくれないか?」
赤羽根「大事な事なんだ」
春香「えっ あっ はい!」
屋上の扉を開けると都会の喧騒、人口2000万の生活音、都市特有の熱気が二人を包み込んできた。
赤羽根「アイドルマスターおめでとう さすがは春香だ」
春香「いえいえ 社長が居なかったら 私 アイドルマスターなんてなれませんでした。」
赤羽根「今は誰もいないから社長なんて言わないでくれ」
赤羽根「そんな事よりも 今後の方針を話したいんだが」
赤羽根「春香は今後 どうしたい?」
春香「そうですね 後一年したら高校卒業しちゃいますし 卒業までは全力でアイドルやりたいです」
春香「卒業したら社長の代わりにプロデューサーになって、皆のサポートに徹したいですね」
赤羽根「本当に春香は765プロが好きなんだな」
春香「はい 私 765プロが好きで、ここを離れるだなんて考えるだけでもイヤです」
春香「私にとって765プロはなくてはならない場所なんです」
赤羽根「俺も765プロが好きだ それこそ春香に負けないくらいにな」
赤羽根「765プロの為なら死んでも良いとさえ思ってる」
赤羽根「そして 春香 お前の為なら死んでも良い」
春香「っどういう事ですか」
赤羽根「春香 高校を卒業したら 俺と結婚して欲しい」
突然だった想い人からの告白は春香の頬に一筋の光を流した
春香「なんで 私なんですか 私より綺麗な女性なんて一杯いるのに」
赤羽根「春香 俺は初めて春香に会った時 自分の人生はこの人の為にあると確信した」
赤羽根「春香がいない人生なんて意味がない」
赤羽根「春香 俺と一緒になってくれないか?」
春香「ずるいですよ こんな事言われたら断る訳ないじゃないですか」
春香「お受けします 私達二人、手を取り合って幸せになりましょう あなた」
赤羽根「あぁ よろしくな」
見つめ合う二人の距離が近づき、お互いの唇が吐息を感じるほど近づいた時、それを邪魔するかのように赤羽根の胸ポケットから着信音が鳴り響いた。
電話の内容はシンプルだった
大企業346プロが前社長に融資していた15億の期日が迫っている。借金の代わりに天海春香を346プロに移籍すれば、帳消しにするという内容だった。
赤羽根は期間の延期を願ってみたが、346プロは受諾しなかった。
一方、春香は自分一人が移籍すれば事務所を救えると自己犠牲の思考に囚らわれていた。
765プロを残す為に自分が移籍する
だからこう言わないといけない
「私 このお話 お受けします」
勇気を出して、悲しい素振りは見せないように
だが、頭が理解しても心が拒絶していた。
春香「私 イヤです」
春香「なんで私が移籍しないといけないんですか」
春香「おかしいですよ」
春香「客足がまばらなステージで歌ったり」
春香「高熱だしながらレッスンしたのは」
春香「全部 全部 765プロの為」
春香「全部 あなたの為なんです!!」
春香「どうして どうして どうして!」
赤羽根「春香 落ち着け!!」
赤羽根「とりあえず 事務所に戻ろう」
赤羽根「皆で考えれば良い考えが出るさ」
その後事務所に戻った二人は、仲間達にこの件を伝え、仲間は色々なアイデア、想いを伝えたが現状を打破する事はならなかった。
赤羽根はアイドル達を送り届けた後、深夜で一人考え込んでいた。
赤羽根(やはりもうアレしかないのか)
赤羽根(だが、負けたらあの子達はどうなる)
赤羽根(だがもうやるしか)
赤羽根は携帯を取り出し、ある組織に連絡を入れた。その組織から要望はプレイヤーは天海春香であること翌朝の4時に迎えがくるその二言だけだった。
翌朝3時55分
春香と赤羽根は、眠り眼を抑えながらも765プロのビル前に待っていた。
春香「それにしてもびっくりしましたよ」
春香「まさか深夜の1時に電話して来て」
春香「3時に迎えに来るから起きててくれだなんて 意外と亭主関白なんですね♪」
赤羽根「悪いな 春香 でも春香じゃないとダメなんだ」
春香「良いんですよ! 頼ってくれて」
春香「私達 だって 夫婦ですもん」
赤羽根「俺は幸せだよ 俺にはもったいない綺麗な奥さんがもらえて」
春香「照れるなぁ~」テレテレ
二人の惚れ気を遮るかのように、1台の高級車が二人の前に停車した。
春香「わっわっ ヴェルファイアですよ あなた ヴェルファイア」アセアセ
赤羽根「落ち着け 春香 それにこれはリムジンだ」
高級車から出てきたのは、白銀の髪が膝下まであり1本1本丁寧に完璧に整えられ、その顔も傾国の美女と言っても過言ではなく、身に付けた高値のスーツも彼女を引き立たせるのであった。
「わたくし 四条貴音と言います」
「以後 よろしくお願いします」
貴音「では、こちらに」ガチャ
貴音はドアを開け二人を中に入れる様に促した。
春香「では 遠慮なく」
車内はまるで、高級クラブを思わす豪華な内装、少し明るめの除夜灯、革張りのソファーの中央には大理石で作られたテーブル、 ワインを覗かしている冷蔵庫の中身一つ一つが、この雰囲気に合う高いワインであろう
貴音「では本日集まっていただいたのは、そちらの天海様の移籍と346プロに対する借金15億の件で間違いありませんね」
赤羽根「あぁ その通りだ」
春香「お話を断ち切ってすいませんですけど お二人は懇意の仲なんですか?」ジトー
貴音「いえいえ 赤羽根様は今回で二回目の利用になりますが、お会いになるのは今回が初めてです」
貴音「天海様は初めてのご利用のようですし、わたくしが所属している組織について、少しお時間を頂いても?」
赤羽根「お願いします」
貴音「では、わたくしが所属している組織」
貴音「その名も 賭郎倶楽部と言います」
貴音「主な仕事内容は、世界中に所属している会員同士の立ち会いを取り締まり、わたくし 立会人が各々の結果に対し、取り立てを行うといったものです」
春香「えーと つまりどういう事ですか?」
赤羽根「春香 例えば人が生涯で使うお金の額はいくらかわかるか?」
春香「細かくはわかりませんが、確か三億でしたっけ?」
赤羽根「あぁ 正解だ もう一つ問題を出すぞ」
赤羽根「Aさんが借金15億しました。しかも返済期日は3日後です。 ただしAさんは生涯賃金は3億しか稼げません Aさんはどうしたら借金を返せると思う?」
春香「普通でしたら誰からお金を借りたりしますね」
赤羽根「その担保が無い場合はどうすると思う 春香?」
春香「銀行は無理ですし うーん どうしたらAさんは助かるんですか?」
赤羽根「そこにいる四条さんが15億の借金を肩代わりしてくださるんだ」
春香「えぇ!?」
貴音「その代わり あるゲームをして勝ってくだされればの話ですけどね」
春香「良い話じゃないですか」
天海春香は言葉の後、貴音の言葉に裏があるように思った。
春香「あのー 負けたらどうなるんですか?」
貴音「それはもちろん 取り立てます」
貴音「足りないものは、わたくし共は命という代価を取り立ております」
貴音「わたくし共はこれを粛清と言っております」
春香は一瞬にして、理解した
借金を帳消ししたかったら貴音の出すゲームに勝つしかないことをそして、負けたら生きてはいられないということを
赤羽根が恐る恐る貴音に疑問をぶつけた
赤羽根「君は見たところ まだ若いそうだが」
赤羽根「號は何番だ?」
貴音「僭越ながらわたくし零を背負わせてもらっております」
赤羽根「零!?」
春香「どうしたんですか! あなた?」
貴音「ふふっ 赤羽根様がその様な反応は仕方なき事」
貴音「まさか このような娘が零號とは誰もおもいません」
貴音「ですから 証明の為に遊戯を致しましょう」
すると貴音は、横にあるワインクーラーから二本のワインを取り出し、横に並べた。
春香「もしかしてチョップで瓶を割るんですか でもこれ瓶同士を当てて割ってるだけだって、漫画で見ましたけど」
貴音「ふふっ そのような児戯はわたくしはしませんよ この2つのワイン見てください 同じ高さですよね?」
春香「はい」
貴音は片方のワインを取り出し、瓶口と底を覆うように握り、ただおもいっきり押さえつけた。
貴音「ふむ こんなものでしょうか」
貴音は握ったワインをもう一つのワインの横に置いてみると貴音が握ったワインが明らかに縮んでいた。
つまり貴音は瓶を割らずに、己の握力だけで瓶を縮小させたのだ。それも尋常ではないほどの力で、目の錯覚かと春香と赤羽根は目を凝らしてみたが、現状のワインを比べて、見せつけるかのように目の前に起きた現象は、錯覚とは到底思えなかった。
貴音「これでわたくしが零號だと思ってくだされば、よろしいのですが」
春香「充分ですよ 充分!」
春香「てか これどういう原理で出来るんですか!?」
貴音「ただ こう ぎゅっと」キョトン
春香「いやいや どんだけ力強いんですか!!?」
赤羽根「認めざるしか得ないな 零號を」
貴音「ご理解してくださり、恐縮です」
貴音「一応念のため聞いておきますが、勝負を受諾するということは、負けた際は粛清も考えられるという事」
貴音「引き返すなら今しかありません」
. . . . . . .
貴音「これが らすとちゃんす です お二方」
貴音は二人の決意の真意を聞いた。大抵の人は考えに考え、結局は今ある状況を打破できるのは勝つしかないと気づき、負けた際は謝罪、懺悔、後悔、暴言のオンパレードを立会人に叩きつける。愚かで哀れで惨め でもそれが人間 だが稀に命のやり取りさえもまるで、遊びの一部として考え、立会人ですら手玉にするイレギュラーが存在する。
天海春香は、躊躇いもせずゲームを受けた。
彼女は、凡人の前者か それとも
貴音は答えを聞いた後、
貴音「よろしい 素晴らしき事です 天海様」
貴音「お二人の勝利を願って、酒杯を挙げましょう」
貴音はワインクーラーからヴィンテージ物の赤ワインと未成年者用の葡萄ジュースを取り出した。
貴音「では 赤羽根様はこちらの方を そして天海様はこちらのジュースを」
赤羽根「じゃあいただこう」
春香「いただきます」
春香「!!!」
春香「美味しいです これ!!どこに売ってるですか?」
貴音「さぁ 壱號から借りパk もとい拝借したものですから市場に出回ってないかと」
春香「そうなんですか 残念です」シュン
春香「そう言えば、あなたの方のワインは?」
春香が横にいる赤羽根にワインの感想を聞こうとした瞬間だった。
春香が見たのは、赤羽根がソファーに横たわっている姿だった。
春香「あなた もう はしたないですよ」フラフラ
春香「あれ 何だか頭がフラフラする」ボー
天海春香の意識は、ここで途絶えてしまった。
春香「いっつつっ 頭がクラクラする」
春香「はっ ここはいったい何処なんでしょうか?」
天海春香の眼前には白の鉄格子が聳えていた
春香(刑務所? さっきまで確か赤羽根さんと貴音さんと一緒にいたのに)
天海春香は恐る恐る鉄格子前まで近づいた。
すると鉄格子が天海春香の姿を感知したかのように、出口が独りでに開いた。
春香「鉄格子から出ろっていうことかな?」
春香「失礼しまーす」
鉄格子から出て、まず天海春香の瞳に写ったのは巨大な水槽だった。
春香「でっかーい 何か棲んでるのかな?」
天海春香は水槽に近づき、どのような内装をしているのかを気になった。きっと水族館のように色々な魚が、一つの箱で生態系を作り彼女を感動させるのであろうと彼女は期待を膨らませいた。
だが水槽の中にあるのは、机と二組の椅子が置かれているという異様な光景だった。
春香「なに これ!!」
春香「何でこんな所にこんなものが?」
春香「これが貴音さんが言ってた ゲーム?」
天海春香が一つの答えを導いた時に、天海春香の後ろの方から聞き覚えのある声がした。
赤羽根「春香 大丈夫か? どこか怪我してないか?」
春香「大丈夫です それよりこれを見てください」
赤羽根「なんだ こr
赤羽根の言葉を掻き消すかのように、天井に吊るされているスピーカーから四条貴音の声が聞こえた。
貴音「皆様 おはようございます」
貴音「急遽 皆様を手を加えてしまい この度は誠申し訳ございません」
赤羽根「貴音さん ここはいったい何処なんでしょうか?」
貴音「ふふっ 赤羽根様 今は場所を気にしてる場合ではないかと」
貴音「まずは自分達の事を心配してはいかがでしょうか?」
春香「あのー 貴音さんここに自分達を連れてきたのは、多分貴音さんが言ってたゲームをすると思うんですけど」
貴音「さすが 春香様 その名推理 正解です」
貴音「げーむ内容を伝える前に、対戦相手を紹介させてもらいます」
春香「対戦相手ですか?」
すると春香の横手側にある通路からはコツン コツンとカン高い靴音が聞こえた。
避難灯の緑色に照らし出された長い黒髪の学生服を着た女性は、息を飲むんでしまう程美しかった。
貴音「では 天海様の対戦相手がいらっしゃいました 自己紹介をお願いします」
「渋谷 凛です よろしくお願いします」
続く
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