2016-12-13 22:20:18 更新

私 本田未央 ある日私と友達の渋谷凛さんと一緒に賭け好きのおじさんとゲームに興じていたんだ。


それが自分の人生を大きく変えるとは、その時の自分はまるで他人事のように傍観するしかなかった。


未央「何やってんのさ? 凛さん」


未央「ため息なんてついて… ほらこないだみたいにどかっと」


凛「あんな状況 そうそうないよ」


凛「そもそも胴元相手のギャンブルってのは、やればやるほど負けるように出来てるの」


凛「理想はやっぱり個人同士のギャンブルでしょ」


渋谷凛の言葉を利用するかのように、二人の前に現れた気の良さそうな老人が


老人「しかし個人で賭けをしてくれる他人はそうそういない…」


老人「違いますかな?」


老人「いやいや 失礼っ 実は私も同じ考え方でね やはりギャンブルは個人の勝負に限りますな」


老人「どうです ここは同じ穴のムジナ同士 お近づきの印に 私と一戦交えませんか?」


一時間後

未央(ビルに連れて来られてポーカーにしてるけど)


未央(あーあ 始めは楽しかったけど)


未央(この人 弱すぎ)


未央(ビルのオーナーって言うからデカイ勝負になると思ったらそうでもないし)ハー


老人「……」


老人「おやおや いまいち盛り上げに欠けてきましたな どうです」


老人「ここいら大勝負をしましょう」


老人が二人の前に出した物は


ラミネート加工した大量の現金だった


老人「1000万 賭けようじゃないか」


未央「えっ いつ 一千…万?」


未央「こ…こんな…でもいったい何の勝負で」


老人(カカカ こんな大金見たことないだろ?)


老人「実に簡単な事 この金を持ってこのビルから出ていくだけです」


老人「そのままお帰りになって結構!」


未央(えっ なにこれ? どうするの)


老人(考えても無駄よ 金の前では皆 借りてきた猫のようになる)


老人(阿弥陀も銭で光るというだろ 誰も金の魔力には逆らえんのさ)


凛「桁間違えてんじゃないの?」


凛「ようやく本性出したと思ったらこんな額じゃ割りに合わないよ」


凛「最初から匂っていたんだよね」


凛「血の匂いが」


凛「そしてあんたからは」


凛「殺人者の匂いがする」


老人「…察しがいいね そちらの方は」


老人「金を掴ませてから説明するつもりだったがまあいい」


老人「おたくらは金を持ってビルを脱出したら勝ち こちらはそれを阻止する…」


老人「しかし賭金の折り合いがつかないのは困りました」


老人「私としても納得した上で勝負してくれないと興が削がれる」


老人「今夜は白熱しそうな気がする 特別に呼ばせてもらいます」


老人「倶楽部「賭朗」を」


本田未央は渋谷凛を見て凍りついた…

こんな顔をしないと思ってた…

冷静で全てを見通す完璧な人間…

そんな彼女が…

こんな顔をするなんて…


凛「賭… 朗… だと」


そして本田未央は思い知るーー

子供の頃親や教師から教わる道徳の薄っぺらさを……人は…何でもやるという事を…


五分程経つと、紳士が三人が集う場所に現れ

自己紹介をした。


紳士「お待たせしました 会員の諸星様ですね お初にかかります」


紳士「私 倶楽部「賭朗」弐號立会人」


「高木 順二郎と申します」


高木「このゲーム倶楽部「賭朗」が仕切らせいただきます」


未央「ゲームを仕切る?」


高木(ム…これはこれは 珍しい顔が…)


高木「本日の諸星様のお相手は当倶楽部の会員ではないようですのでご説明させてもらいます」


高木「我々は会員の希望で中立の立場で勝負を仕切らせいただきます」


高木「勝敗が決した際は当倶楽部が責任をもって賭けの代償を取り立てさせてもらいます」


高木「たとえそれが」


高木「尊き命であっても」


未央(命? 何言ってるの? この人)


老人「説明中に申し訳ないがこちらの方と賭け金の折り合いがつかんのだ…中立の立場で早く金額を決めてくれないかの」


高木「はっ左様でございましたか では双方の要求をどうぞ」


凛「私からの要求言っていい?」


凛「金はいらないから その賭朗会員権をさ

賭けてくれない?」


諸星「カカカッ 成る程会員ですか」


諸星「高木さん…会員権とは当初の1000万を遥かに越える価値」


老人「私は賭朗に一任しますどうか適正な額を」


高木「そちらは勝てば当倶楽部の会員…それでよろしいかね」


凛「いいよ」


高木「うーん 欲のない方だ」


高木「あなたがそう言うのであれば私に異論はございません」

・・・

高木「諸星様が賭けるのは会員権としましょう」


諸星「!! 高木さん…」


諸星「一任した以上とやかく言うつもりはないけどね」


諸星(会員の価値は1000万どころではない)


諸星(この女にその価値があるだと?)


諸星「せめて あなたがそう判断した理由を知りたい」


高木「理由かね? またおかしい質問を…」


高木「賭朗の判断は絶対!!」


高木「任された以上その価値を見誤る事はありえません」


高木「諸星様は当倶楽部の判断に身を委ね存分にゲームを堪能されるのがよろしいかと」


諸星「それも…そうですな」


納得のいかない諸星だがそれで手を打とうとした矢先


凛「怖いの?」


凛「私にあっさり負けて持っていかれるのが怖いのなら」


凛「いいんだよ? やめても」


凛「私に…」


渋谷凛は諸星を舐めきったように足を組みその足先を見せつけるように


凛「喰われる前に!」


諸星「カカカッ 面白い」


諸星(まあいい万が一わしが負ける事はない)


諸星「会員権に1000万も付けようじゃないか」


諸星「確認しておく」


諸星「あんたらはこのビルを脱出したら勝ち」


諸星「わしらはそれを阻止する…」


諸星「それで構わないんだな?」


凛「結構です」


未央(話の流れはよく分からないけど)


未央(このおじさんはお金と会員権?を賭ける)


未央(で 私達はこのビルから出るだけ?)


高木「決まったようだね」


高木「それでは…」


高木「この勝負」


高木「お二人がこのビルから脱出!!」


高木「または」


高木「諸星様がそれを阻止または無力化した時点で勝敗を決します!!」


高木「開始はこの部屋を出て一分後!!」


高木「それ以外一切のルールはありません!」


渋谷凛達が出て一分後、高木がビル中に響くように勝負開始の宣誓を行った。


高木 「ゲーム スタート!!」


続く


このSSへの評価

このSSへの応援

このSSへのコメント


このSSへのオススメ


オススメ度を★で指定してください