新しい提督と昔の艦隊司令長官 中
今回は人間同士の話で艦娘はあまり出ない模様
まず言っておく、歴戦提督は提督ではない。彼は妖精が見えるわけでも艦娘を指揮した試しもない、しかし彼はそう呼べれてこの呉鎮守府で親しまれている。ショタ提督は今日も歴戦提督に艦隊を教わる、それが役に立つかは別にしてショタ提督は自身が襲え割ることに楽しさを覚えるようになった。歴戦提督の知識が艦隊運営や戦術に使えるとわかったからだ。執務室では今日も勉強風景が広がっている。
歴戦提督「左舷浸水の際取るべき行動は?」
ショタ提督「右舷に指定量を注水し艦のバランスを保ちます!」
歴戦提督「その通りです、基礎ですがこれを知らない艦長も司令長官もいません、しっかり覚えましょう」
長門「それを長門やほかの艦娘に求めるのは酷なことだぞ?」
ショタ提督「あ、長門」
長門「前にも言っただろう歴戦提督、お前の知る艦隊はもういないんだ、余り必要のない入れ知恵をしないでくれ」
歴戦提督「まぁまぁ、そうはいっても知って損はないんだし私は教えるためにここに来たんだ」
長門「いざという時にそんな時代遅れなことをしたら艦娘の命に係わると言っているんだ」
歴戦提督「なんだと?前はそれで雪風を作戦海域から離脱できたじゃないか」ムッ
長門「だからそれは認めないといったばっかりだろうサルみたいに忘れやすい男だなお前は!」
歴戦提督「ああ?!殺されてぇかお前!」
ギャーギャー!
ショタ提督「ああ、また二人が喧嘩を・・・」
金剛「ヘーイダーリン!もう授業も終わったみたいデスシこれからデートいくヨー!」ギュー
ショタ提督「うん、そうみたいだね」テクテク
外
歴戦提督「ちい!やっぱり艦娘は強いなぁ」ボロ
雪風「司令!一緒に釣りに行きましょうっ!」トコトコ
歴戦提督「おお、雪風か」
海
ザザーッツ!
雪風「今日は釣れますかねー?」
歴戦提督「さぁ、待てばわかることさ」
雪風「司令は最近元気です!もうつらい夢は見なくなったんですか?」
歴戦提督「まぁね、だいぶ気持ちが楽になったよこれも雪風のおかげだ」ナデナデ
雪風「えへへッ、もっと撫でてくださいっ!」ワシャワシャ
歴戦提督「ほれほれー」ナデナデ
雪風「あははは!そこはくすぐったいですっ!」ワシャワシャ
榛名「」ゴゴゴゴ
歴戦提督「おっとすまない用事ができt」ガシ
榛名「一体どこに行くんですか提督?もっと雪風さんをくすぐっていいんですよ?それとも、触る箇所で何か非を感じるようなことでも?」ゴゴゴゴ
雪風「司令?どうかしたんですか?」キョトン
榛名「心配いりません雪風さん、提督は榛名とお話をしたら戻ってきますからね?」ズルズル
10分後
歴戦提督「」ボロ
雪風「雑巾の人形みたいになった司令が・・・」ガタガタ
榛名「そんな人はほっといて榛名と釣りの続きをしましょう雪風さん」
夜 自室
歴戦提督「またケガか、まったくいくら体力があっても足りない鎮守府だ」ボロ
歴戦提督(でも楽しいな、久しく感じなかった感情だ)テクテク
歴戦提督(思えばこの鎮守府も私が艦隊を指揮をしていたころとはは大違い、人のような艦娘が出撃できるように変わっていった)
歴戦提督「ならば、私も過去を断ち切っていく必要があるのかもしれん、艦隊司令長官として生きたあの日々を」布団ゴソゴソ
歴戦提督「過去に縛られず・・・余生を過ごすことも悪くないのかも」zzzz
ガチャ
榛名「・・・」
歴戦提督「ぐーぐー」zzzz
榛名「・・・」ニヘラ、ペタペタ
歴戦提督「ぐーぐー」スリスリ
榛名「起きていないですね」布団ゴソゴソ
雪風「すーすー」ギューzzz
歴戦提督「うーん、うーん」グヌヌ
榛名「ッ!」ワナワナ、ペシン!
歴戦提督「ぐへ」zzz
榛名「もう知りません!」
夢の中のとある艦
ブーブー!
亡霊特務少尉(機関長)「無線障害につき直接報告いたします!注排水装置、復元不能!敵機の攻撃が左舷前方並びに中部で被雷!浸水止まりません!」
亡霊艦長「総員上甲板だ部下を連れて艦を降りろ、無念ですな長官」
熟練艦隊司令長官(歴戦提督)「残念だよ、無線で救助艦を呼ぶように連らくしてくれ、我が艦隊は事実上壊滅した。総員退艦せよ!」
ワーワー!ソウインタカカーン!
熟練艦隊司令長官(雪風には嘘をついた、本当はまだこの夢を見続けている、ただ最近少し変化があるんだ)
熟練艦隊司令長官「艦長、君はすぐに退艦せよ、私はこの艦が君の何たるかを知っているが君の命も大切だ」
亡霊艦長「長官!海軍の人間が艦を失っておめおめと帰れると思いか?私はここで最後を迎えますよ」
熟練艦隊司令長官「そうか、ならば私も残ろう、このような失態国民の前で顔を見せられやしない」
亡霊艦長「ははは、では、特上の冷酒でこの世と別れを告げましょう」
熟練艦隊司令長官(私は明らかに夢に介入できている、今まではみているだけだったのにこうやって話しかけたりできるのだ、これは何を意味しているんだ?部下は私に何を伝えたい?)
亡霊艦長「どうぞ」トクトク
熟練艦隊司令長官「すまない」
亡霊艦長「いえいえ、近々仲間になる長官には敬意を常に持つことにしておるのです」クイ
熟練艦隊司令長官「どういう意味だ?」ピク
亡霊艦長「知っておられるでしょう?我々はすでに死んでいるのです、今、艦隊参謀長がいないのは生きる者だから、こうやって長官が私たちに話せるのはもうすぐ仲間になるからです」
熟練艦隊司令長官「なんだと!?」
亡霊艦長「ご心配なさらず、回避することも可能です。ただ、長官の性格を考えますと難しいですが」
熟練艦隊司令長官「教えてくれ艦長!いつ私が死ぬというのだ!?」
亡霊艦長「それはいずれ分かります、また酒を飲んで会いましょう」
チュンチュン
歴戦提督「待ってくれ艦長!」ガバ!
雪風「司令?どうかしましたか」ゴシゴシ
歴戦提督「いや・・・なんでもない」
執務室
歴戦提督「宴会ですか?」
ショタ提督「うん、うちの鎮守府だと一定期間皆が轟沈しなかったらやることにしているんだ」
長門「お前はここにきて日が浅いから知らないのも無理はない、1900にやるから来たかったらくるといい」
歴戦提督「わかった、行くことにする」
ショタ提督「それから歴戦提督さんには大本営から手紙が来ています」つ
歴戦提督「はて、今更何があるというのだろうか?授業の後に見るとしよう」
ショタ提督「今日は何をするんですか?」
歴戦提督「今までのおさらいをしたのちに海軍大学校の過去の入試問題を受けてもらいます、そろそろ階級にも頃合いでしょうしほかの鎮守府司令長官(歴戦提督の思う提督の位置)より一歩先を行けます、この戦争が終わっても安泰して暮らせますよ?」
ショタ提督「うへぇ」大尉
長門「また懐かしい言葉を・・・」
歴戦提督「ちなみに募集人員は30から20くらいです、卒業すれば間違いなく連合艦隊司令長官を狙える位置に持っていけます」卒業生
ショタ提督「ぼ、僕は長官になりたいなんて思ってないですよ!」
長門「はぁ、先が思いやられるな・・・いいところで止めてやるしかないようだな」
60分後
歴戦提督「素晴らしい、恐らく主席入学は間違いないでしょう」スバラシイ!
ショタ提督「僕はなりたくないですって!」
歴戦提督「ん、そうなのですか?」
長門「考えてもみろ、提督は来たくて海軍に来たわけではない、無理やり連れてこられたんだ。それなのに無理やり将来を決めるのは野暮というものではないか?そういうのは親御さんに決めてもらうべきだ」デバンダ
歴戦提督「んー、確かに言われていればその通りだな、閣下、出過ぎた真似をしましたこと大変申し訳ありません」
ショタ提督「いいですよ、ただ次からは気を付けてくださいね?僕には別の夢があるんですから」
歴戦提督「夢ですか?」
ショタ提督「この戦争が終わったら家族に会い、誕生日を祝ってもらうこと、そして学校に復学することです!」
長門「く、さすがは提督、その歳でよくできているな!」ジワ
ショタ提督「戦争が終わったら僕は軍に残る気はありません。僕はしたいことを自由にやりたいんです!」
歴戦提督「何か将来の夢があるのですか?」
ショタ提督「科学者になりたいです!難しいかもしれないけど一生懸命やっていきます!」
歴戦提督(そんな子でもこの戦争では徴兵されるのか、嫌な時代になったものだ)
歴戦提督「では、今日の授業は必要ありませんね、すぐに片づけます」ガサゴソ
ショタ提督「僕は業務に映ります、貴方はどうしますか?」
歴戦提督「大本営からの手紙を拝見します」
海
ザザーッツ!ザザーッツ!
雪風「おお!すごい引きです大物だっ!」グググ
歴戦提督「いいぞ、その調子で頑張れよ」手紙ゴソゴソ
歴戦提督「艦隊参謀長から?役職への任命のために東京へ行け?どういうことだ?宛先を間違えているんじゃないか」
雪風「もう少し!・・・あとちょっと!」ググ
歴戦提督「いや、間違いなさそうだ。しかしながらここから東京は遠いなぁ」スッ
雪風「司令?」
歴戦提督「せーので引くぞ!せーの!」
雪風・歴戦「うーん!」グググ
ざっぱぁ!
タイヤ「やぁ」
雪風「・・・」プルプル
歴戦提督「まぁいいじゃないか、釣果としては上々だ」
雪風「次は大物狙いますっ!」
歴戦提督「その意気だ」ナデナデ
数日後、東京大本営(1945年に松代(長野県)に大本営を移動させる計画があったことから差別化を図って東京を着けます)近く。
艦隊参謀長「お久しぶりです熟練艦隊司令長官、いえ、今は提督の補佐でしたか」
歴戦提督「そんなところだよ、しかしここに呼ぶとはいったい何用なんだ?ついに解雇通知かな?」
艦隊参謀長「中将に解雇通知を出せる人間がいるなら見てみたいものですな、今日は軍政(海軍省)のトップより是非会って話がしたいとの依頼がありまして・・・」
歴戦提督「大本営にきた意味がないじゃないか、それで相手は?」
艦隊参謀長「海軍大臣です」
歴戦提督「」
艦隊参謀長「ちなみにその後海軍軍令部にも行ってもらいます、作戦が言い渡されるとか何とかでそれで私もついてきたんです」
歴戦提督(いったい何が起こっているんだ・・・)
海軍省執務室
不知火「この部屋に海軍大臣がおられます」
歴戦提督「ありがとう」(なぜ艦娘がここに?)
海軍大臣「おお、久方ぶりに見た顔だ、元気だったか?」(当然ですがこんな砕けた物言いはしません、作者の限界が来ただけです)
歴戦提督「はい、おかげさまで養生出来ています」
海軍大臣「ん、私は君を高く評価している、あの戦争の失態は君のせいではなく技術の問題だったのだ」
歴戦提督「そうは言っても部下は戻ってきませんので」
海軍大臣「ははは、相変わらず硬い奴だ、どうだ?軍政に来ないか?君は階級的にも経歴も悪くないし艦をなくした者たちは皆優先して拾っているんだ」
歴戦提督「は、はぁ」
海軍大臣「君には海軍次官(海軍省の幹部、くっそえらい)のポストを用意している、ここいらで安泰を手に入れるのも悪くないだろう?」
歴戦提督「気持ちはありがたいのですが…今の生活に満足しているので」
海軍大臣「自分より歳も階級も下の者にへこへこすることのどこに満足する要素がある?ここにいれば君の中将で元第二艦隊司令長官という華々しい実績を正当に評価してくれる。あのしょんべん臭いガキの下では揚屋(アハーン♡なところ)も満足に通えまい?」
補足:第二艦隊は大戦中連合艦隊司令部直属の艦隊で陸軍で言えば方面軍に相当する巨大な組織です。そこの艦隊司令長官とか弩のつくエリートで連合艦隊司令長官の有力候補でもある。山本五十六・東郷平八郎でおなじみの連合艦隊司令長官は文字通り自分の指揮で連合艦隊を指揮でき軍令部にも比較的縛られない存在だった(軍令部は連合艦隊司令長官の指揮に文句を言わない)
歴戦提督「はは、そうですね。最近では施設禁煙でしばらく吸ってはいませんし」
海軍大臣「それはいけないな、ほれ、私のものを上げよう。恩賜煙草(菊の御紋が入った煙草、後はわかるね?)だ」
歴戦提督「ありがとうございます、鎮守府に戻ったら吸わせていただきます」
海軍大臣「こんなことを言ってはなんだが、ここにいればつまみ食いもできるしな」ケラケラ
歴戦提督「つまみ食い?」
海軍大臣「人事だよ、艦娘の人事を自由に使って別嬪を囲って仕事に講じ夜は傾城を引っぺがして朝まで生き込む、まったく素晴らしい限りだ」
歴戦提督(そんなこと、今日この頃どこでもできるではないか・・・随分と楽観的な人だ)
海軍大臣「こういった事は提督への褒美というものもおるが、しっかりと言って聞かせてさせてみて、自分好みにし込めたときの達成感は相当なのだぞ!」
歴戦提督(故人に失礼すぎるぞ・・・)
海軍大臣「先ほどの不知火もそうだ、なかなかガの強い女だったが。私がみっちり教え込んでやったらしおらしくなってなぁ」ニタァ
歴戦提督「はぁ、私はもう歳で勃つものもないですから」
海軍大臣「言ってもまだ50代、しっかりとしたまえ!」
歴戦提督「でしたら興味がありません、ほかの適任の者を採用してください」
海軍大臣「そんなに嫌かね?何がそこまで君を引き留めようとしているのか私にはわからんよ」
歴戦提督(確かに、我ながら大失態を犯した自分にこんな大出世が待っているのになぜ断るのだろうか?)
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雪風「しれえ!今日こそ大物を釣りますよ!」
榛名「提督、またケガをして懲りない人ですね」
長門「その喧嘩買った!豪傑だろうが蛮族だろうがこの長門、一歩たりとも引いたりはしないからかかってこい!」
ショタ提督「歴戦提督さん!今日は何を教えてくれるのですか?」
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歴戦提督「ふ・・・私も馬鹿になったものだ最良のそろばんもろくにできないのか」
海軍大臣「しかしこの件を断ったところで、君は鎮守府での生活を確保できたとは言えないぞ?むしろ命の危機であるといってもよい」ムス
歴戦提督「どういう意味ですか?」ピク
海軍大臣「軍令部に行けば分かる、私はさっき言った通り君を高く評価していたが断られるならば擁護する必要もない。この紙をもって軍令部へ」
歴戦提督(っち、相変わらず反故にする者への冷遇は伝統的だな、まぁ覚悟の上だったししょうがあるまい)
東京大本営前
艦隊参謀長「どうでしたか?さぞいい役職が・・・」
歴戦提督「断った」
艦隊参謀長「い、今なんと?」
歴戦提督「断ったと言った、私にはあの豚共の中で養生するつもりはない」キッパリ
艦隊参謀長「なんて馬鹿なことを!私が頭を下げてまで推薦していただいたのに!」
歴戦提督「なに?どういう意味だ参謀長」ピクピク
艦隊参謀長「あ・・・」シマッタ
歴戦提督「大佐の貴様が私を偽ろうとしたというのか?言え、本当は何が起こっているというのだ」
艦隊参謀長「・・・貴方は大本営に艦隊司令長官として任命されとある命令を受けます、どこにも属さないでいる中将の貴方はいカモです」
歴戦提督「馬鹿な、すでに艦は皆艦娘が取って代わって一隻もないだろう?そもそも艦長とは大佐がやる者だろう?」
艦隊参謀長「それがあるのです、理化学研究所と妖精の合同研究、さらには兵装の技術進化によって改修した一隻の艦にあなたを乗せ、護衛機もつけずある島に突入する算段です」
歴戦提督「そこまでした艦でどうしろと?」
艦隊参謀長「囮です、貴方は犬死だ!すぐに海軍省に戻り謝って次官に受けるべきです私も頭を下げますから!」
歴戦提督「陸(おか)も長いし、海もいいけどなぁ」
艦隊参謀長「そんなことを言っている場合ではありません!事態は一刻を・・・」
??「それまでであります!それ以上話すのであればあなたを反逆罪で逮捕するであります!」
艦隊参謀長「っく!陸がこんな時に何の用だあきつ丸」
あきつ丸「今は海軍の人間であります、昔のことはお気になされるな」
歴戦提督「あきつ丸?聞いたことない名前だ」
あきつ丸「私のことよりも軍令部が閣下を呼んでおります!すぐに来ていただきたいであります!」ピシ
歴戦提督「ふうむ、まぁ行ってみるか」
艦隊参謀長「後生ですからそれだけは長官・・・」
歴戦提督「参謀長、軍に身をおいている者が軍に従わないなんて選択肢は用意されてないのだよ。それに、私はもう長官ではないただの将校だ」
艦隊参謀長「だから後ろ盾を用意したではないですか!なぜそれを無下にするようなまねを!」
歴戦提督「今更遅い、とにかく行かなくてはな」スタスタ
あきつ丸「どうぞついてきてください中将殿、参謀長殿、今警備と話を着けますから」スタスタ
警備隊「きおつけー!中将殿にー捧げー銃!」
海軍軍令部、軍令部総長の執務室
歴戦提督(今日はすごいぞ、海軍三長官のうち二人に合うことになるとは・・・)※海軍大臣、連合艦隊司令長官、軍令部総長
軍令部総長「久方ぶりだな、あの敗戦の時以来か?」
歴戦提督「恐らくはその際の会議でありましょう閣下」
軍令部総長「艦長含め、艦隊指揮のもので生き残った者はお前だけであり恥さらしだと自分を責めるのは当然のことだ。鎮守府での自殺未遂は聞かせてもらったぞ」
歴戦提督「はぁ、要らぬ世話をかけてしまいました」ドコカラキイタンダ?
軍令部総長「別にいい、海軍の敗残兵への冷遇ぶりは昔から変わらんから気でもやんでしまったのだろう、今日は連合艦隊司令長官(提督)からの話がある、私も立ち会うのでよく聞くように」
歴戦提督(海軍三長官揃っちゃったよ)
連合艦隊司令長官「どうも、私は艦娘で編成される連合艦隊司令長官です。貴方はこの対深海棲艦の機動部隊を操りペリリュー島の陸軍支援の援護を願いたい」
歴戦提督「はぁ、それだけでは何とも言えないのですが・・・」
連合艦隊司令長官「具体的な話をしましょう、この地図を見てください。我々はこの島を中心とした海域であるフィリピン北部海域並びにウルクターブル島並びにメシェルチャー島の奪還に成功しましたが、陸軍一万が残っているペリリュー島とコンガウル島、フィリピン海、さらにこの地域の敵の総拠点と推測されるアンガウル島は今だ解放できていません、そこで我々はこの一帯を一気に奪還する作戦を立案します」
軍令部総長「軍令部としては、この作戦の主目標はパラオ解放にある重要な作戦だ」
連合艦隊司令長官「あなた方は囮機動部隊として参加し、海軍艦隊最後の魁となっていただきたい、正直言って決死作戦と言っても過言ではない」
歴戦提督「一つ、なぜ艦娘ではなく艦なのですか?囮なら艦娘でも務まりましょう」
連合艦隊司令長官「それは艦娘よりも食いつきがいいから必ず敵主力はそっちになびくことになり、アウンガウル島の早期決着に必ずと言っていい結果を残すでしょう」
歴戦提督「短期間で落とせる保証は?」
連合艦隊司令長官「ありません、現在多くの提督にこの大規模作戦に参加させる艦隊を編成するように言っており、相当数の艦娘を確保してはいるのですがそれでも解放につながるかは別の話です」
軍令部総長「しかし、パラオ解放は一転攻勢をかける最後の発破であり地政学的にも重要な要素を締めている。ここを逃してはもう後がないのだよ。ここがいわば二回目のミッドウェー海戦と考えてもいい」
歴戦提督「・・・」フウ
軍令部総長「正直、君に渡す艦隊は深海棲艦が居なくなった後の人間の戦いのために用意した艦だ。兵器こそ深海棲艦に効くが機動力では不利なのには変わりなく、水平たちもそれを知っている」
歴戦提督「それでもやると…」
連合艦隊司令長官「あなた以外、本当に艦隊を指揮した人がいないんです。引き揚げの水兵や士官を使っても新兵の練度を上げるのに一苦労です、こんな時に素人に艦隊司令長官をやらせるわけにはいかんでしょう?」
歴戦提督(何も知らない小僧が・・・つまり、死ねと言っているのか?上等な釣り餌になってくれと、この無謀な作戦を飲んでくれと?)
歴戦提督「この戦略は誰が考えたんでしょう?」
連合艦隊司令長官「私です、言いたいことはわかります。しかし・・・」
歴戦提督「齢20そこらの奴にコケにされ・・・艦娘の艦隊に艦をもって来る、おまけに連合艦隊には作戦参謀がいないだぁ?バカにするのも大概にしろ!」ダン!
軍令部総長「・・・」
歴戦提督「海軍の戦争はいつだって世界情勢と共に歩く特殊な作戦なんだ!戦略があればいいなんて言う簡単な考えじゃない!国が、軍事が、海が、シーパワーという巨大な権力を獲得するために要素と価値を絞って海洋を掌握するために必要な個所を支配する重要なもんだぞ?!」
連合艦隊司令長官「理解しています」
歴戦提督「なら聞かせてもらおう、そんな幼稚なものになぜ連合艦隊と名付けた?」
連合艦隊司令長官「軍が指導できる範囲を超えた艦隊の呼称としたからです」
歴戦提督「?」
連合艦隊司令長官「現在提督の常備軍出身の数は少ない、いいえ、微小と言っても過言ではありません。私は元を正せば海軍の一般参謀だった少佐です、たまたま妖精が見える能力を持っている中で当時最高階級だったから長官に命じられました。提督は否応に関係なく階級を与えられ軍学校出身かなどは関係なくわずかな訓練で軍人となった」
歴戦提督「ふむ」
連合艦隊司令長官「そんな人の中で誰が海軍大学校に行こうというのですか?誰が教えればいい?いやそもそも教えてどれほど役に立つ?もはや一切関係ないあの羅針盤と艦隊陣形だけが頼りの謎の戦いが続いているんですよ?!軍はもう指導範囲を遥かに超えている!」
歴戦提督「なるほど・・・読めてきたぞ、【艦娘】の艦隊でない艦隊は羅針盤の影響を受けずにすみ、自由に行動できると」
連合艦隊司令長官「そうです、そして主力艦隊から遠ざければ主力の被害は軽微。短期間の調整で大艦隊の進出が可能!一転攻勢に出れます!」
歴戦提督(私は被害には入っていないのか・・・薄情な奴だ)
軍令部総長「君の艦隊がパラオ諸島まで襲われないよう、多くの艦娘の骨肉をかけて通した道がある。君が艦隊を指揮すれば長時間囮部隊として機能してくれるはず、将来的にはこの作戦が戦争の早期決着になると誰もが確信している!」
歴戦提督(やるか、やらないか。私が生きる理由とは、このことではないか?長門が言っていた生きている者の務めとかいうのは・・・まさにこのことではないか)
歴戦提督(ここだったのか、艦長が言う回避することが出来ると言っていたやつは。だが断れば大規模作戦に支障をきたす可能性がある)
歴戦提督(でも何か引っかかる、今までは即答できたはずなのに、だれかの顔が思い浮かんでしまう)
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雪風『死なないでください司令!』ポロポロ
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歴戦提督(・・・・雪風は、泣いてしまうだろうな、すまない)
歴戦提督→機動部隊司令長官
機動部隊司令長官「引 き 受 け ま し ょ う」
このSSへのコメント