離島鎮守府
とある小島にある鎮守府のお話
2019/09/07
加筆修正
誤字脱字あるかもしれません。
離島鎮守府
ある港にて、一人の新人提督が
漁船に乗ろうとしていた。
船乗りも地元の漁師。
彼は漁船に乗り込み
気持ちを落ち着かせ、思いに耽る。
この半年、横須賀鎮守府での厳しい研修を終え
今日この日から、新たなスタートをきる。
遡る事2週間前
横須賀鎮守府の提督から
辞令がおりた。
「半年の研修お疲れ様」
「君には2週間後にある鎮守府に行ってもらい提督を任せようと思う」
「それまでに準備をしておくように」
提督「承知しました!」
「それと一人艦を配備する」
「このリスト内から選んでおくようにな」
提督「はい」
「以上だ」
早々に提督室を去り、
リストに目を通す。
----------配属候補リスト--------------------------
艦種 備考
駆逐艦 朝潮 横須賀鎮守府より配置換え
駆逐艦 綾波 新造艦
駆逐艦 曙 新造艦
駆逐艦 吹雪 新造艦
軽巡 神通 横須賀鎮守府より配置換え
軽巡 那珂 舞鶴鎮守府より配置換え
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その1週間後
提督「失礼致します」
「おう、君か」
提督「配属して頂く艦について決まりましたので、ご報告に参りました」
「ほう、でどうするのだ」
提督「はい、駆逐艦 綾波 を配属希望致します」
「うむ・・・、わかった」
「その様に手配しておこう」
提督「ありがとうございます!」
さらに1週間後の出発日
提督「今までご指導ありがとうございました」
提督「この鎮守府での日々は忘れません。」
「まぁ、わしも良い経験になった、これからは君の思う様にしてみなさい。」
「ともあれ、この半年本当に頑張ったな」
「君であれば、あの鎮守府でも上手くやっていけるだろう」
「それにそこまで遠い所じゃないしな・・」
提督「はい!」
「そうだ、選別だ、持って行け」
と横須賀提督は万年筆を手渡す
「私が若い頃に使っていたものだ」
「使い古されているが、物は良い」
提督「ありがとうございます。一生大切にします!」
「うん、いつか新しいのを買いなさい。」
「それとこれ、向こうに着いたら読みなさい」
提督「はい?」
「絶対に、向こうに着いてから読むように!」
提督「・・・分かりました」
提督「それでは失礼致します。」
~~~~
「ふう・・」
「でもあの鎮守府に彼を配属とは・・少し酷ではないのでしょうか?」
「彼なら・・・大丈夫だろう、それにすぐ近くだしね」
「まぁそうですね」
~~~
そして、現在に至る
そろそろ出発時刻になろうとしたとき、
一つの声が聞こえて来た。
「司令官ー!」
目を細め遠くを見ると
身体に見使わない大きなバックを背負った女の子が、必死にこちらに走ってくる。
提督「お?あれ朝潮かな」
朝潮と気づき、漁船を降り迎える
朝潮「すみません、遅れました!」
提督「見送りに来てくれたのか嬉しいな!」
朝潮「ふう、では行きましょうか。」
と息を付き、自然に漁船に乗り込もうとする。
提督「ちょいちょい~!」
朝潮「なんですか司令?船頭さんも待ってますよ!」
提督「いやいや!お見送りに来てくれたんだよね?乗り込む必要なくない?」
朝潮「お見送り?だれも居ませんがぁ?」
ははっ、なに言ってんのコイツ みたいな顔で朝潮は話を返す
提督「いや朝潮は、横須賀鎮守府所属だから、付いてきたら駄目でしょう」
朝潮「え!横須賀鎮守府所属!?そうでしたっけ!?」
提督「うん、だから回れ右して戻りなさい」
朝潮「駄目ですか?」
提督「駄目だね」
朝潮「そもそも!付き合いの長い朝潮を選んでくれると思っていました」
提督「どうしてって言われても・・」
朝潮「しかもリストの一番上にありましたし!」
提督「うん、そうだね・・・」
-駆逐艦 朝潮-
提督が横須賀鎮守府に配属され、
横須賀鎮守府提督に「1回試しでやってみたら?」
と言われ行った建造で初めてきた艦だ。
その後、提督は第三艦隊水雷戦隊を任され
その水雷戦隊にも朝潮も所属していた。
ちなみにリストにあった軽巡神通は旗艦だった。
朝潮「神通さんも悲しんでましたよ?」
提督「え」
朝潮「今なら間に合いますよ、さぁ朝潮を選んでください」
提督「・・・」
朝潮「今なら、なんと神通さんも付いちゃいます!」ドヤッ
提督「いやいや、そういうセット売りお買い得感出すのやめて!」
と朝潮の後ろに気配を感じ目をやると、もうひとり遠からこちらを見ている影がある。
提督「ん?あれ神通か?」
提督「おーい」
と提督が声をかけると、建物の影から神通が駆け寄ってくる。
提督「神通さん?」
神通「あの・・提督、私達を連れて行ってください。」
普段からあまり自分からお願いをしない神通。
この一言に心が揺らぐ。
提督「でもなぁ~、横須賀提督の許しも必要だし」
朝潮「でしょうね!それでは封筒の1枚目を見てください!」
提督くんへ
いやぁ、君がまさか、朝潮と神通以外を選ぶとは思わなかったよ。
君が配属艦を決めたと報告に来たあと、二人にそれを言ったら
ものすごく悲しんじゃってさ。
どうしても行くと言って聞かないんだ。
もうお手上げだ。
ということで、二人を頼んだよ。
もう二人は君の艦だ。
PS:なんなら曙も送ります。あとで連絡ください。
というか引き取ってください。
提督「あぁ」
朝潮「駄々をこねた甲斐がありました!」
神通「成功です」
提督「うん・・・どうしても付いてくる気ね、わかったよ、行こうか」
曙の件はしばらく保留することにした。
ブゥッゥゥン!バシャーン!
漁船は走り出す。
回りには小さな小島が点在し、
その合間を縫うように漁船は進む。
提督「どうしてこんなところを進むんだ・・・」
朝潮「司令、おにぎり食べてもよろしいでしょうか!」
提督「ああ、どうぞどうぞ」
神通「小さなおにぎりですね、かわいい」
朝潮「大潮が作ってくれたんですよ!神通さんも食べますか?」
神通「お言葉だけ頂いておきますね」
提督「具はなんなんだ?」
朝潮「塩のみです!」
提督「らしいな」
神通「ふふっ」
しばらくすると漁船は速度を落とし
船頭さんがそろそろ付くよと声を掛けてきた。
提督「え」
朝潮「」モグモグ
神通「」ウツラウツラ
目の前には小さな島
かろうじて港と言えるだろうか・・
船頭「はいよ!到着」
船頭「忘れ物はないな?じゃあな!」
状況を飲み込む暇もなく船を降ろされ
漁船は去っていく。
ポツーン
提督「はは・・」
朝潮「付きましたね!」
神通「ですね・・・」
山を削った場所に建物をいくつか建て
これが鎮守府です、と言わたようなものだ。
一応下はコンクリート張りになっているが・・・
提督「まぁ、こじんまりとしてて良いな!」
朝潮「そうですね!」
神通「とりあえず、建物に入りましょう」
一行は提督室に向かう。
建物内は以外にも清掃が行き届き
きれいだった。
提督室に入ると、一人の子が机向かいにすわり
なにやら書き物をしていた。
提督「失礼するよ」
と声を掛けるとその子は
すぐさま立ち上がり挨拶をする。
「お待ちしておりました。駆逐艦 綾波です」
「よろしくおねがいします」
提督「君が」
提督「これから宜しく頼む」
綾波「はい、精一杯頑張ります!」
提督「所で、なにをしていたんだい?」
綾波「はい、掃除が終わったので、倉庫にある資材の数を記録していました」
提督「おお、ありがとう」
提督「それに掃除もしてくれたのかな?色々とありがとう」
綾波「いえいえ!3日前に到着してしまい、暇でしたので」
提督「そうなのか」
提督「そんな君には、これを進呈しよう」
と提督はカバンからポッ〇ーを出し渡した
綾波「わぁ!ありがとうございます!」
朝潮「私も司令のポッ〇ーほしいです!」
神通「・・・わたしも」
提督「・・・」
綾波「あの、その方たちは・・」
提督「ほら、ふざけてないで挨拶!」
朝潮「失礼しました。駆逐艦朝潮です!」
神通「軽巡神通です。宜しくお願いします」
綾波「宜しくお願いします!」
綾波「でも、配属は私だけと聞いていましたが・・」
朝潮「押しかけ女房です!」
神通「同じく・・」
提督「はぁ?どこでそんな知恵付けてんだ!」
朝潮「荒潮から聞きました!」
提督「あーあいつな・・」
提督「まぁ、よし、しばらくは綾波に秘書を頼む」
綾波「はい!」
提督「今日は疲れてるだろうし、各々荷物整理、休息に務めるように!解散!」
提督「それと、現段階であれば一人一室で構わん、部屋割りはみんなで決めてくれ」
3人が部屋を出て行き提督一人になると、
手紙を開き、読み始めた。
提督君へ
離島鎮守府へ着任おめでとう。
その鎮守府は小さいし、設備も整っていない。
というか、工廠等の建物はスペースがなくて建てられないだろう。
だから、建造や装備開発は、こっちの鎮守府に依頼して後日そちらに送る形になる。
資材を保管できる数も限られるし、在籍できる艦もそう多くないだろう。
だが、君ならこの鎮守府でうまくやってくれると信じている。
以上
PS:曙そろそろ送ります。
提督「よし、がんばろう」
提督「たぶん曙も近いうちに来るだろうし」
その日は早めに床に就いた。
朝
チュンチュン
気のせいか、
向こうにいた時より日差しが強い様に思える。
小さな食堂に行くと
なにも置かれていない机に3人が座っている。
提督「おはよう」
「おはようございます!」
提督「で、なにをしているんだ?」
朝潮「朝食を待っているんです!」
神通と綾波はどうしてかそわそわしている。
提督は厨房の方を見て気づいた。
だれも居ない。
そして厨房に近づき、
なかを見ると所々、頑張ったであろう形跡が。
ああ、と提督は気づく。
神通と綾波は気づいたのだろう。
ここでは自分たちが作らなければならないと。
前の鎮守府では、食堂のおばちゃんが居て
食堂に行けば食事が用意されていた。
だが、ここではそんな人はいない。
というかこんな鎮守府にいるわけがない。
提督「ふむ、神通と綾波は一応は頑張ったんだな」
綾波「すみません・・・」
神通「ううっ・・」
朝潮「???」
提督「そういえば、綾波は今まで食事はどうしていたんだ?」
綾波「缶詰とご飯パックは持って来ていたのでそれで・・・でももう底をつきました!」
提督「で、みんな昨日の夜は?」
「食べてません」
提督「ふむ、ここでは自分たちで作るしかない」
提督「各自料理が出来るように訓練だな」
提督「とりあえず今日は俺が用意するから、みんな待っててくれ」
朝潮「司令官が!楽しみですね!」
厨房の棚や冷蔵庫を開け、
食材を探していく。
提督「うむ、やはり足の速い食材はないか・・」
そして、この中では提督だけが届くであろう上の棚には
缶詰やパック食材、すこしのお酒が保管されていた。
提督「なんでこんな所に・・、ここじゃあ気づかんか」
そして冷凍庫には、
冷凍された野菜、肉やらの冷凍食材。
提督「これ新鮮な野菜はあんま食べれない感じだな」
提督「魚は近海で取るとして」
提督「米も意外と足が速いからなぁ」
その日の朝食は
缶詰、ご飯パックで終わった。
朝食後,皆は提督室に集まり
今後の展開について話し合いをしようという事になった。
提督「まずは、どうするか」
綾波「そうですねぇ」
朝潮「はい!」
提督「お?なにか良い案が?」
朝潮「海辺を探索しましょう!」
提督「ふむ、この島の地理を把握するのは一理ある」
提督「神通はどう思う?」
神通「はい、早めに行っておくほうが良いと思います」
提督「よし!決まったな」
提督「各自、準備次第戻って来るように!解散!」
その1時間後
提督「遅いな・・・」
「お待たせしました」
と3人が同時に提督室にやって来た。
提督「???」
提督「なんだその荷物は」
朝潮「探索に必要なものを準備してきました!」
と勢いよく言ってくるのだが、
どう見ても探索に必要のないものばかりが目に入る。
提督「その熊手はなんでしょうか?」
朝潮「熊手は潮干狩りに使うにきまってます!」
提督「綾波のそれは・・?」
綾波「みんなの麦わら帽子とお茶です」
提督「神通お前まで・・」
神通「取れた時ように網を持ってきました」
提督「潮干狩りに行くのかな?ん?」
提督「しかもお前らサンダルだし」
朝潮「提督落ち着いてください!」
朝潮「干潮が、いえ探索の時間がなくなってしまいますよ!」
朝潮「行きましょう!」ダダッ
提督「おいこら!」
先行する朝潮に遅れまいと、
綾波と神通もそれを追う。
なぜか後ろ姿がウキウキしているように見えた。
提督はこのまま提督室に居ようかな、と思ったが
心配だったので仕方なくみんなを追った。
すぐ近くの浜辺
朝潮「食料調達任務始めます!」
綾波「わー!」
神通「あっ、待ってくださーい」
こんな事してて良いのか、考えるのを諦め
3人がはしゃぐのを木陰で見守る事にした。
綾波「あ!」
朝潮「え!なんですか!見つかりました!?」
神通「それは・・」
綾波「」ポイッ
神通「貝殻ですね・・」
朝潮「貝殻があるということは、近くにいますね!」
神通「根気よく探しましょう!」
提督は3人がとても楽しそうにしているし、暑いので
先に戻り一人で事務作業をすることにした。
提督「神通ー!」
提督「あとは任せた!遅くならないうちに戻って来るように!気を付けてなー!」
と向こうに叫ぶと、神通が手を挙げて返事を返すのを見て、
鎮守府への道を戻る。
提督室に戻ると
今後どうするか考え始める。
寮は全部で6室
1部屋2人、多くて3人だろう。
そうなると在籍できる艦は最大18。
しかし、資材を補完する倉庫が
どう見ても18隻賄えないし、
空母、戦艦クラスなんかどんでもない。
それに装備保管庫もスペースを有効活用するとして
多くて12、いや頑張って15隻分ほどか・・・
保有艦
駆逐2
軽巡1
提督「うむ、曙が来るとするなら、もう2隻」
提督「駆逐艦がほしいな」
提督「すれば水雷戦隊が組める」
提督「欲を言えば、第二もほしいなぁ」
でも第二艦隊はしばらく先になるだろうと諦めつつ
資材表に目をやる。
離島鎮守府現資材:XXX
横須賀鎮守府仮保管資材:XXX
基本的に資材は半月に一度、
横須賀から送られてくる。
その際に、送って貰う資材の数と
保管してもらう資材を指定する形だ。
建造、装備開発は
横須賀鎮守府に保管している資材を使うことになる。
食料も同様、その輸送船と一緒にやってくる。
状況を整理すると、
この鎮守府の不便さが露骨になってくる。
そんなこんなしているうちに
夕方になると、外から笑い声が聞こえてきた。
「たくさん取れましたね!」
「今日はシジミのお味噌汁ですね」
「楽しみです」
その料理は誰か作るのだろうか、
と少し憂鬱になりつつも、先に食堂に向かう事にした。
提督は、朝潮達からシジミを受け取り
先にお風呂に行くように促す。
朝潮「分かりました!」
綾波「お先にいただきますね」
神通「いえ私は・・・手伝います」
提督「いいから、神通も行って来なさい」
その日の夕食は
シジミ三昧で、神通はもうしばらくはシジミは
良いです、と嘆いていた。
次の日の朝早く、
一隻の漁船が鎮守府に到着した。
提督室の窓から覗くと
一人の女の子が降りてくる。
しばらく待っていると
ノックする音が聞こえてくる。
「どうぞ」
と書類に目を通しつつ彼女を迎える。
「特型駆逐艦 曙よ。って、なによ!こっち見なさいよ!このクソ提督」
少し荒い口調だったので
悪戯してやろうとそのまま曙に目をやらず返事をした。
提督「ああ、宜しくな、この後の事は綾波に聞いてくれ」
提督「同じ駆逐艦同士仲良くやれるだろう」
提督「以上」
曙「っ、ああそう!なによもう!とりあえず宜しく!」
と言葉を放つと提督室から去って行った。
その日の夕方
ささやかな曙の歓迎会を開いた。
提督「では、朝潮さん乾杯の音頭を」
朝潮「はい!」
朝潮「では、曙さんの到着を祝いましてかんぱい!」
「かんぱーい!」
しばらくして、
綾波がこんなことを言い出した。
綾波「でも曙さんはどうしてこちらに配属なったんですか?」
神通「ですね」
曙「しっらないわよ!こっちに行けって言われたから来たの!」
朝潮「本当は自分で希望したのでは!?」
曙「そんな分けないでしょ。こんな辺境にだれが進んで来るのよ!」
朝潮「こんな事言われてますが?」
提督「ははっ、厄介払いされたんじゃないか?
綾波「ええ!?」
神通「なにかやらかしたのでしょうか・・・?」
曙「はぁ!?なにもやってないわよ」
提督「ははっ」
曙「なに笑ってるのよ!クソ提督!」
朝潮「んー思うに、曙さんはツンデレですね」
曙「!?」
綾波「ですねぇ」
神通「これが噂に聞く・・」
曙「なによ!ツンデレ!?何言ってんのよ」
綾波「でも部屋では、まんざらでもない様子でしたが」
朝潮「私も見ました!鼻歌交じりで荷物の整理をしていましたもんね!」
提督「なんだ?お前らみんな一緒の部屋なのか?」
神通「ええ、みんな一緒の部屋が良いと・・曙さんの希望で・・」
提督「ふーん」
曙「っ、もう!なにニヤニヤしてるのよ!」
朝潮「曙さん、そんな口を聞いていると、嫌われてしまいますよぉ?」
曙「!?」
綾波「そうですねぇ。ここも追い払われたら、次は・・いよいよブラックな鎮守府に送られてしまうかもですね。」
神通「ええ、私も聞いた事があります、あそこは地獄らしいです・・」
なにかコントみたいな事をしているので、
提督は話に入らずそのまま傍観することにした。
曙「待って!いやよ!?」
朝潮「では、ちゃんと司令または提督と呼ばないとダメですね!」
綾波「簡単ですよ。前の二文字を抜くだけですもん」
曙「分かったわよ。ててて」
曙の顔が赤くなるのがわかる。
神通「がんばってください」
曙「提督、これから宜しくお願いします。」
提督「ああ、これから曙も、この鎮守府の大切な一員だ」
提督「供に頑張ろう」
と急にしおらしくなった曙が
かわいく思えたので頭を撫でてあげた。
曙「」
朝潮「デレましたね!」
綾波「ですねぇ」
神通「ふふっ」
あとで聞いた話だが、
横須賀鎮守府にいるとき、
同様に霞という艦が居て、
扱いに慣れているとのことだった。
しばらくすると、なにかを急に思い出したのか、
曙が席を立ち、息巻く。
曙「そういえばあんた達!」
曙「今日見てたけど、どうして提督が料理番をしてるのよ!」
朝潮「この鎮守府では、司令官が作ってくれるんですよ?」
提督「いやいや、違うからね」
神通「恥ずかしい話なのですが、司令以外だれも作れないので」
綾波「・・・」
曙「なによ、ほんっとだらしないんだから!」
提督「・・という曙は作れるのか?」
曙「誰に聞いてるのよ?そんなの当たり前じゃない。」
提督「おお、さすが曙・・」
曙「ふんっ、ほんとダメなのばっかりね。」
3人は下を向き黙るばかりだった。
朝潮「あれそういえばもうクソは言わないんですね!」
曙「うっさい!言わないわよ、あんた達のほうがクソなんだから!」
提督「いわれてますが?」
と綾波と神通に言うと
「言い返せません」
と返事があるばかりであった。
そこから曙のお説教が始まり
夜遅くまでそれが続いた。
訓練で鬼のように厳しい
神通までもがはいはいと聞いている姿が
とても可笑しくて途中笑ってしまいそうだったが
反対に怒られそうだったので、我慢するしかなかった。
提督「では曙さん」
曙「なに?さんはいらないわよ」
提督「今後は料理の先生として、朝昼晩、この子らにご指導お願いできないでしょうか?」
曙「わかってるわよ、提督は忙しいんだから、必然的に私がやるしかないでしょ!」
朝潮「先生!がんばってください!」
曙「はぁ!?がんばるのはあんたたちよ!」
神通「ふふっ」
綾波「ふふ」
曙「もう、なに笑ってんのよ!!」
先生と呼ばれ、まんざらでもない様子であった。
そして以後、
料理のスパルタ教育が続く事となった。
ある日
朝潮「失礼します!」
提督「おう、朝潮どうした?」
朝潮「えっとですね」
なにか目を反らし口をモゴモゴしている朝潮
しばらくすると、曙がすごい勢いで
曙「こら!朝潮!なんで逃げるのよ!」
朝潮「!!」
曙が来たのと同時に
朝潮は素早く提督の後ろに回り込む
曙「駄々こねないで、行くわよ・・」
朝潮「司令官と大切な用事があるので!」
あー小さいころこういうのあったな
と思いつつだいたい状況が把握できたので、
提督「あー朝潮の料理食べたいな?」
朝潮「分かりました、朝潮料理番に行きます!」
と一人ものすごいスピードで出て行ってしまった。
曙「はぁ!?なんなのよ・・」
提督「曙、いつも苦労掛けるな」
曙「いいわよ。それより邪魔して悪かったわね」
曙「それより朝潮の扱い上手いのね」
提督「ああ、あいつとは長いからな」
提督「それに出会った時はあんなんじゃなかったんだけどなぁ」
曙「あんたが、甘やかしすぎなんじゃない?」
提督「ああ、かもな」
曙「まぁいいわよ、それじゃあね」
着任1週間を過ぎ、
よしこれからだという時に
一報が届く。
綾波「司令、横須賀鎮守府の提督より、お電話が来ています」
提督「つないでくれ」
綾波「了解です」
「もしもしー、久しぶりだな」
提督「お久しぶりです。と言いたい所ですが、まだ一週間しか・・」
「ほっほほ」
提督「所でどのような御用でしょう?」
「そうじゃ、約半月後に小規模な作戦が計画されておる」
「そこで君の鎮守府から、艦を派遣してみる気はないか?」
提督「いきなりですね・・」
「まぁあれじゃ、着任早々で、まだ内々の事しかやっておらんのだろうが」
「この作戦、前線での戦闘は無いものの、経験を積ませるのにうってつけだと思うのだが。」
「どうする?」
提督「はい、派遣というのは、艦隊ですか?それとも個々でもよろしいのでしょうか?」
「ふむ、出来れば一艦隊と言いたい所じゃが・・、居ないじゃろ」
「不足分はわしの所から出そう」
提督「分かりました、早々に目当てを付けてご連絡致します」
「分かった。詳細はすぐに連絡させるからの」
提督「承知しました」
そのあとすぐに横須賀鎮守府から連絡があり、
FAXが届く。
--------------------------------
-離島鎮守府 殿-
補給物資護衛任務を遂行せよ。
(前線基地まで資材輸送船護衛任務)
作戦一週間前に横須賀鎮守府まで赴くよう。
なお輸送経路に敵艦発見の報告アリ
装備換装は十分に考慮するように求む。
以上。
--------------------------------
提督「ふむ」
と内容を見て難しい顔をしている提督を見て
綾波は話掛ける。
綾波「輸送・護衛任務ですか」
提督「しまったな」
提督「はぁ」
綾波「そこまで難しい作戦なのでしょうか?」
提督「ああ、パッと聞いたところ、簡単に見えるがそうじゃないんだよ」
綾波「んー」
提督「よし出発までしばらく時間がある。忙しくなるぞ」
普段であれば、ドラム缶等を艦娘自ら、運べば良いのだが、
小規模の作戦であれ、多数の艦を補給するのだから、
普段より多い物資を運ばなければならないのだ。
大量の物資輸送となれば輸送船を使う。
その輸送船が厄介だ。
少しでも補給艦が被弾すれば
輸送船の足が遅くなり、後々のスケジュールに多少なりとも影響が出る事になる。
横須賀鎮守府へ、了解の連絡を終え
提督はみんなを呼び寄せ今回の作戦の事を説明し、
いかに難しいかを説く。
神通「難しいですね・・」
提督「ああ、とにかく輸送船が被弾したら作戦失敗と思ってほしい」
提督「他の鎮守府に迷惑が掛かる」
曙「迷惑を掛けるのだけは嫌よ。」
曙「時間ないんだからさっさと訓練しましょ!」
朝潮「訓練ですね!」
綾波「はい!」
提督「神通は一度経験があるよな?」
神通「はい、でも一度だけなので・・」
提督「うむ、色々悩んだんだが、今回うちの鎮守府からは全員で行こうと思う」
提督「で残りは横須賀鎮守府から補充される予定になっている」
神通「となると、その方達とも一緒に訓練したいですね」
提督「ああ、だから横須賀鎮守府に行こう」
曙「でもここ空っぽになっちゃうわよ?」
綾波「もし攻め込んで来られたら・・」
提督「なんとかなるさ」
朝潮「司令!さすがです!」
提督「一人残して行くと言っても、誰も残りたくないだろ?」
曙「嫌に決まってるじゃない!」
綾波「寂しいですもんね・・」
提督「本来であればあまり望ましい事ではないが仕方ない」
提督「じゃあ出発は明日の早朝だ、それまでに必要な物を準備しておくよう」
提督「それと俺は漁船で行くが、君たちの装備は積めない」
曙「みなまで言わないでも、分かったわ。自分たちの足で行くわよ」
提督「よろしい、以上」
次の日の早朝
提督「準備は良いか?」
朝潮「いつでも行けます!」
提督「戸締りよし!じゃあ行こうか」
~横須賀鎮守府~
横須賀鎮守府の提督に挨拶を済ませ、
手配された部屋に通される。
提督「ふむ」
朝潮「あっここなんですね!」
曙「はぁ、あんたと一緒なのね。」
提督「他の鎮守府もここに来てるらしく、部屋のあまりがないらしい」
綾波「私は気にしませんよ?」
神通「ええ」
横須賀鎮守府、
数ある鎮守府の中でも上位に入る。
在籍する艦も多く、敷地も大きい。
曙「まぁ仕方ないわね・・」
朝潮「曙さん、間宮さんに行きませんか?」
綾波「間宮!?甘味処ですよね、行きましょう!」
神通「久々ですね」
曙「ちょっと、付いて早々なに言ってるのよ」
朝潮「曙さんは行かないそうなので、4人で行きましょう!」
曙「はぁっ!?行く、行くわよ!」
提督「よし、行くか」
この鎮守府には間宮さんがいる甘味処があり。
艦娘達にはものすごい人気があり、とても美味しい。
ので皆ここの甘味処を「間宮さん」と呼んでいる。
間宮の前まで付くと4人はショーウィンドに
吸い寄せられ、甘味のサンプルにくぎ付けになる。
曙「これ美味しそうね」
朝潮「んー、どれにしましょう」
綾波「悩みますねぇ」
神通「新しいの増えてますね」
と悩んでいるのを後ろで見ていると
誰かに肩を叩かれる。
トントン
提督「?」
愛宕「ぱんぱかぱーん!」
提督「うわっ」
愛宕「久しぶり♪」
提督「愛宕さん・・、お久しぶりです」
愛宕「あらあら、さん付けしないでって言ったのに」
提督「いえ・・」
愛宕「それに、どうしてこっちを見てくれないの~?」
提督「まぁなんというか・・」
どうしても、あるところに目が行ってしまうので
そんな所ではなかった。
朝潮「司令ー!」
提督「ああ」
朝潮「あっ、愛宕さんお久しぶりです!」
愛宕「あらっ、朝潮ちゃんお久しぶり」
提督「そうだ、うちの鎮守府のみんなを紹介しよう」
神通「お久しぶりです!」ペターン
綾波「綾波です」ペターン
曙「っ!曙よ!」ペターン
愛宕「うふふ、みんな宜しく!」
なぜかそのあと、「なるほど」と小声で頷き、
腕に抱き着いて来たので動揺してしまった。
愛宕「それじゃあ、私は行くわね、バイバイー」
提督「」
曙「なに顔真っ赤にしてんのよ・・・ほんっと気持ち悪いんだから!」
そのあとみんな不機嫌になり、
間宮でたくさん甘味を奢らされる事になったのは言うまでもない。
そして、
夕飯時。
提督「そろそろ夕飯か」
曙「あら、もうこんな時間なのね」
朝潮「お腹ペコペコです!」
提督「おいおい、すごいな」
神通「綾波さんは、ここの食堂は初めてでしたね」
綾波「はい、楽しみです」
朝潮「ここの食堂はうちと違ってすごいデカいんですよ!」
提督「ああ、誰かさんの料理と違って、物凄い美味しいしなー」
曙「ちょっとなに言ってんのよ!」ゲシッ
食堂から戻り、
だれがどの位置で寝るか揉めているのを見ていると、
部屋の扉を叩く音が聞こる。
その音を聞き
朝潮が勢いよく扉の前に駆け寄って行き扉を開きだす。
「提督はいますか?」
ん?なんか聞いたことある声だ。
提督が思い出そうとしていると。
朝潮「司令、千歳さんが来ていますが」コソ
提督「」
完全に忘れていた。
やばい。完全にやばい。
この鎮守府には奴らが居たのだ。
ふとあの時の思い出がフラシュバックする。
私がまだ着任して間もない頃、
千歳「ふぅ、もうこんな時間ですね」
「ああ、終わろうか」
提督「はい」
千歳「どうです?一杯」
「あぁ・・わしは辞めておくよ」
千歳「えぇー」
と早々に部屋から出て行ってしまった
横須賀提督を後目に
千歳「提督さんはいかがです?」
と私に声が掛かる。
お酒好きなのに素気ないなと思いつつ
軽くならと、承諾してしまったのが運の尽きだった。
そのあとはもう散々で
千歳、隼鷹、榛名、武蔵が酒をがぶ飲み。
普段しっかりとしている榛名が絡み酒
隼鷹は、今日は提督のおごりだー!やったー!とか言い出す始末。
最後のほうは料理を作ってくれていた鳳翔さんまでもが参加し、
全員潰れ、机で一晩を過ごす事となった。
そしてお会計は俺持ち。
朝潮に目配せで
居ないと言え、と合図を送る。
付き合いの長い朝潮なら上手くやってくれるだろう。
朝潮「あっ、司令は今居ません!」
千歳「えー、嘘でしょ?ねぇ?」
朝潮「うそじゃないですよ・・・」
千歳「本当?」
朝潮「はい・・」
千歳「へぇ、朝潮ちゃんは嘘をつく悪い子だったのね・・」
朝潮「っ!」
千歳「実はね、部屋に入って行くの見てたの」
朝潮「すみません!居ます!居ますので!」
あのやろーーー!
分かってて来やがったな。
食堂から付けられてたか・・・
もう仕方ない。
潔く散ろうと覚悟をし、
扉へ向かう。
提督「あれ!?千歳さんお久しぶりです」
千歳「ふふ、随分な大根役者ね」
千歳「じゃあ行きましょうか」ガシッ
もうなんか強制連行される捕虜の
気持ちだ。両手にお縄。
提督「分かりました。財布取って来ます・・」
千歳「朝潮ちゃんにあんなことさせちゃだめよ?」
提督「はい、ごめんなさい」
朝潮以外の3人は、
空気を読んだのか、後ろで静かにひそひそ話をしている。
そのあと部屋を去ろうとする俺を
朝潮は姿が見えなくなるまで敬礼をして見送ってくれた。
提督が連行された後の部屋内
曙「ちょっとあれ、助けに行った方がいいんじゃない?」
綾波「どうしましょう」
神通「」
曙「ねぇ!聞いてるの?」
となにやら思わしくない神通に問いただす。
神通「みなさんは、この鎮守府は初めてでしたね・・」
曙「まぁ、ちょっとはいたけどね」
朝潮「みなさんは知らないですよね」
と朝潮が外から戻ってくる。
朝潮「単刀直入に言いましょう、あの方たちはこの鎮守府では恐れられています」
朝潮「ちなみに神通さんも一度あの会に参加して、トラウマになっています」
神通「・・・」クッ
曙「ちょっと、そんなに!?」
綾波「さて、私は寝ますね」
曙「こら!寝るな!」
綾波「勿論私だって、提督を助けに行きたいです!」
綾波「でも、話を聞く限り、相手が悪すぎませんか?」
朝潮「そうですよ!それに提督なら・・・大丈夫です!」
朝潮「明日も早いですし、寝ましょう!」
曙は思った。
3人がこんなにも現実逃避して、そこまで行きたくないのだ。
きっと向こうはやばいだろうと。
しかし、彼を見捨てて置けない。
そんな思いがなぜか出てきて、曙を奮い立たせようとしている。
曙「わかったわ、私だけで行くから、みんな寝なさいな!」
と吐き捨て、部屋から出て行ってしまった。
朝潮「所で、曙さんはどこかわかってるのでしょうか?」
綾波「たぶん分かりませんね・・」
神通「曙ちゃん・・」
神通「よし、行きましょう!」
朝潮「よし!」
綾波「当たって砕けろですね」
神通「もし連れ帰るのに失敗したら、私が残るのでみなさん一目散に逃げてくださね」
朝潮「了解!」
綾波「でも・・・」
神通「大丈夫、犠牲は少ないほうが良いです」
綾波「分かりました」
神通「とりあえず、向いながら作戦を考えましょう」
朝潮「あっ、念の為、水筒は持って行きましょう」
曙が飛び出す数分前に遡る。
提督と千歳が入ると
すでに始まっている様で、襖の外から
なにやら楽し気な笑いが聞こえてきた。
千歳「あら、もうみんな始めちゃったのね」
千歳「提督を待っていようって決めたのに」
千歳「みんな主役が到着しましたよー」
と声を放つと、待ってました、とばかりに提督に何人かが歩みよってきた。
隼鷹「いやー遅いから始めちまったよぉー!」
瑞鳳「ていとく、おそーい、卵焼き冷めちゃったよ?」
提督「すまない、ちょっとあってな」
千歳「ふふっ」
千歳「それでは、主役から乾杯の音頭を頂きましょう」
提督「え、俺?」
千歳「はい、だって今回は新鎮守府着任祝いの席ですもの」
提督「そ、そうだったのか・・」
提督「すまない、千歳さん俺は勘違いしていたようだ・・」
提督「みんな、こんな俺の為に、ありがとう」
提督「節度!を守って楽しく飲もう、乾杯!」
乾杯ー!
提督「(今日は楽しく飲めそうだ)」
瑞鳳「ねぇ、提督、私の卵焼き食べて?」
提督「ああ、ありがとう」
差し出された卵焼きを素直に口に運ぶ。
提督「美味しい、やっぱり瑞鳳の卵焼きが一番だな」
瑞鳳「やったぁ!本当は毎日食べてほしいんだけどね」
提督「はは、そうだったらよかったな」
瑞鳳「じゃあ!じゃあ、私も離島鎮守府に行っちゃおうかなぁー?」
提督「え?それは・・・」
隼鷹「ん~?ロリコン提督の次のターゲットは瑞鳳かぁー?」
提督「はぁ?何言ってるんだよ?!」
瑞鳳「もう!隼鷹いい所なんだから邪魔しないでぇ!」
榛名「榛名もその件について、詳しく知りたいです!」
武蔵「私もだな」
提督「あー面倒になって来たな。隼鷹のせいだからな!」
隼鷹「ちょっとちょっと違うっての!結構この話噂になってんのよ!」
提督「はぁ!?」
千歳「確かに最近噂に聞きますね」
千歳「離島鎮守府の提督は、小さい子が好きって」
提督「何処のどいつだ、そんな事言ってるやつは・・」
武蔵「まぁ、貴様の鎮守府のメンツを見ると、あながち噂でもないようだが・・?」
提督「たまたまだっつーの!武蔵まで辞めてくれよ」
武蔵「では私がそちらの鎮守府に行ってもかまわないと?」
提督「ちょ、それは無理だって」
武蔵「ほらな」
榛名「榛名だったら良いですよね!?」
提督「」
千歳「あっ」
榛名「もう!お酒がぶ飲みしちゃいます!」
隼鷹「いいぞー!榛名ー!飲め~!」
瑞鳳「ねぇ提督、さっきの続き!」
提督「(あー面倒くせぇ)」
鳳翔「こら!提督を困らせちゃいけませんよ!」
提督「鳳翔さん、助けてくださよ」
鳳翔「でも・・私だったら大丈夫ですよね?」
提督「冗談ですよね?」
鳳翔「ふふっ」
提督「まずいですって、この流れで・・・」
隼鷹「ほらほらー、とりあえず飲みなって!」
提督「(帰りたい)」
提督「とりあえず厠に行って来ます」
隼鷹「あいよ!でも逃げんなよ~?」
座敷を出て厠にむかおうとしたところ、
店の入り口横の小窓から、紅ぽい髪の毛がチラチラと
上下しているのが見えたので、近づいてみることにした。
提督「おい、貴様なにものだ」
「きゃ!なによ急に、びっくりするじゃない!」
と灯りの方へ寄ってくる。
提督「あれ、曙?なにしてるんだ?」
曙「もう!なにって、助けに来たのよ!」
提督「曙・・・」
曙「ここまで来るの怖かったんだから、感謝しなさい!」
提督「ああ、ありがとう、まさか曙が来てくれるなんて・・」
曙「かわいい朝潮ちゃんじゃなくて悪かったわね・・」
提督「いや」
提督「すごく嬉しいよ」
曙「最初からそう言いなさいよね・・」
曙「ほら帰るわよ」
と曙が手を取るが
提督は手を握ったまま微動だにしなかった。
曙「どうしたの?」
提督「いや、俺はここに残る」
曙「はぁ!?何言っちゃてんのよ!」
提督「なんか今日は俺の着任祝いらしいんだ」
曙「へぇ?でも結局奢らさちゃうんでしょ?」
提督「まぁそうだろうな・・」
隼鷹「んあ?なにやってんの?」
提督「あ?」
隼鷹「そちらは?」
曙「離島鎮守府の曙よ」
隼鷹「あっそういう事」
曙「申訳ないけど、こいつ連れて帰るわよ」
隼鷹「おおっと、そうは行かないねぇ」
隼鷹「さい・・ゲフンッ、主役がいないと集まった意味がない」
曙「へぇ?体の良い文句を並べたって騙されたりはしないわ!」
提督「ちょっとお前ら夜遅いし、外で大声は辞めておけって」
曙「そもそもあんたがはっきり言わないからでしょ!」
隼鷹「あら、随分尻に敷かれてるねぇ」
朝潮「あっ!曙さんー!」
曙「朝潮!?」
朝潮「ちゃんとここがわかったんですね!」
曙「あんたバカにしてる?」
朝潮「してないです!」
曙「あんた、案内の看板あるの知ってる?」
朝潮「そういえば・・」
曙「はぁ」
曙「とりあえず連れ帰るの手伝ってちょうだい」
朝潮「はい!」
朝潮「というわけなので隼鷹さん、司令は私たちと寝ないと行けませんので」
朝潮「ここはどうか穏便に」
隼鷹「ふ~ん、一緒に寝てるんだ?」
提督「寝てねーよ!?」
朝潮「酷い!いつも寝てるのに」
曙「あんた!なにややこしくしてるのよ!」
隼鷹「まぁまぁ、とりあえずさ、二人とも美味しい食べ物あるから」
隼鷹「ちょっとだけ、食べて行かない?」
朝潮「あいすくりーむはあるんですか!?」
隼鷹「あるある、なんでもあるよぉ!」
朝潮「ではちょっとだけ」
提督「おいちょっ、強い!」
と朝潮に強引に店の中に連れていかれる事になった。
隼鷹「二人は入ったけど?帰る?」
曙「提督が行くのなら行くわよ」
隼鷹「提督思いだねぇ!」
隼鷹「ささっ、こっちだよ」ホラホラ
隼鷹「小さいのもう一人追加だよー」
曙「はぁ」
提督「すまんな曙」
曙「いいわよ。こうなったらとことん付き合うわ。」
鳳翔「お二人はなににします?」
曙「ん~」
朝潮「特製鳳翔パフェください!」
曙「なにそれ私も!」
朝潮「あっ、それと特製パフェをもう二つ追加でお願いします」
鳳翔「はい、分かりました。ちょっと待っててくださいね」
曙「あんた食べすぎじゃない?」
朝潮「神通さんと綾波さんもすぐきますので」
曙「ああ、あんただけ先に突っ走って来ちゃったのね・・」
朝潮「つい気持ちが先行してしまいました」
こんばんわー
朝潮「あっ来ましたね!」
神通「遅くなりました」
綾波「朝潮ちゃん!」
朝潮「お二人の分は既に頼んでおきましたので、こちらへどうぞ」
神通「海辺綺麗でしたね」
綾波「はい、月に照らされて」
曙「(帰ろうかしら)」
提督「二人も来てくれたのか」
綾波「遅れてすみません」
提督「なんだが、気を使わせてしまってごめんな」
神通「いえ、先ほどはなにも出来ず申し訳ございませんでした」
提督「いいって、さぁ二人ともどんどん食べてくれ」
程なくすると、パフェがやってきて、
朝潮を含む4人は嬉しそうにはしゃぎ食べていた。
途中曙のさくらんぼが無くなっていて、
ちょっとした騒ぎになったの以外は終始上手く行くはずだったのだが、
そう泥酔した彼女が残っていた。
榛名「このロリコン提督ー」
提督「おい、お前顔真っ赤だぞ!」
榛名「まだ酔ってませんぅー」
提督「いや、大分来てるだろそれ・・・」
提督「鳳翔さんー」
と助けを求めるが、向こうは向こうで、
なにやら込み入った話をしている様で、こちらの声など到底届かなかった。
提督「あーまずいなぁ」
榛名「んん?めんどくさいっ思ってますね?!」
提督「いやいや思ってないよ」
榛名「本当ですかぁ?」
提督「朝潮ー!」
と呼び助けを求めるが
なにを勘違いしてるのか、
「パフェ美味しいです」みたいなキラキラした顔で
GOODサインをしてきた。
榛名「こらぁ!」
提督「いや、ちょっと時計をね・・・」
本当に面倒くさいのでこのまま逃げたい気持ちが
増してきたが、可哀そうなので、付き合う事にしたのだが。
こうなった榛名は手に負えなかった。
しばらくすると曙がやってきて、
助け舟を渡してくれた。
曙「はい、ちょっと失礼するわねー」
提督にべた付いている榛名との間に割って入ってくる。
曙「だいたいあんた、酔って絡むなら、自分の所の提督にすればよいじゃない」
曙「ほら、水飲みなさい」
榛名「お酒しか飲みません!」
武蔵「曙の言う通りだ、少し飲みすぎだぞ」
榛名「」ビクン
どうやら武蔵には弱いらしい
榛名「すみません」
さーっと顔の色が白くなってゆくのが傍目でもわかってしまうほどに。
武蔵「すまんな、いつもは静かなのだが、お酒が入るとな」
提督「いいって、日頃のストレスもあるんだろう」
武蔵「ふふっ、そろそろ帰ると良い」
武蔵「君の所の連中も疲れているだろう」
提督「ああ、ありがとう」
武蔵の言葉に甘え、先に帰える事にした。
-次の日-
なにやらドアを叩く音がする。
提督がドアを開くと床に
手紙が置いてあった。
-------------------------------
提督さんへ
昨日はとても楽しかったです。
これ支払いお願いしますね。
また飲みましょう!
(PS:すこし高い日本酒入れちゃいました^^v)
千歳
-------------------------------
すごい綺麗な字で書かれているけど
内容はとんでもないんだよなぁー
と思いつつ支払いに鳳翔さんの所へ行く準備を始める。
まだみんな寝ているので、
静かに着替え出て行こうとしていると。
曙がむすっと起きて来て、
ついてくるとのことだったので、一緒に行く事になった。
道途中、昨日の話になり、
色々と曙の説教を聞かされる事になった。
はいはい、と言われる事すべてに
肯定をしていると、曙は少し機嫌がよくなったのか、
笑顔を見せる。
折角二人なので、
なにか不満とかないかと聞いてみると、
「あんたに付いて行くわよ、心配しなくて良い」
「でも強いて言うなら、自分の所の仲間を大切にして」
それは色々な意味が含まれているのだと
提督でもわかった。
鳳翔さんの所に着き
早々に支払いをすませ、
二人で、朝ご飯にしようという話になった。
席に着きしばらくすると、
髪の長い、榛名の服に似た子が寄ってきた。
「ヘイ、離島鎮守府のテイトクデスカー?」
提督「ああ、そうだ」
「ワタシ金剛デス」
提督「初めまして」
起立し、握手を求める。
金剛「HAHA、そこまで縮こまらなくてもイイデス!」
曙「なんか言葉使い間違って・・・」
と突っ込もうとしてる曙を口を塞ぎ黙らせる
曙「ンンンー!」///
提督「(すこし黙っててくれ)」
耳元で囁くとしおらしくなる曙
金剛「?」
提督「ああ、すまない、話の続きを」
金剛「先日は榛名が迷惑を掛けた見たいデス」
金剛「ソーリね」
提督「ご丁寧にありがとう」
金剛「ふふん、妹の非礼は、私の責任デス!」
提督「君は妹思いでしっかりしているんだな」
金剛「そんなに褒めてもなにも出ませんヨー?」
提督「いや素直な気持ちだ」
比叡「おねぇさまー」
金剛「比叡が呼んでるから行くネ」
金剛「今度はワタシとも飲みましょう」
金剛「バイバイ」
提督「いつかきっと」
と言うと金剛はすこし
寂し気な顔をして去って言った。
曙「あんたね」
曙「いつか、なんて言葉は相手に酷よ」
曙に言われ、気づく
曙「私達にとっての、いつかっていつ?」
提督「すまない、軽率だった」
曙「ああいう濁した言い方はだめ」
曙を方を見るとなにか達観している様で、
胸に秘めたものがあるのだと分かった。
続けて曙は語り出す。
曙「私達はいつ沈むか分からないわ」
曙「だから今を、明日を充実したものにしたい」
曙「もちろん、あなたや、仲間とね」
提督「承知した」
曙「ここで話す事じゃなかったわね、ごめん。」
提督「いや、いつもありがとう、曙」
曙「分かれば良いのよ、さぁ食べましょう」
部屋に戻ると
朝潮、神通、綾波が
輪になって話あっていた。
提督「戻ったぞー」
朝潮「朝帰りですか」
提督「?」
朝潮「曙ちゃんと・・」
曙「ちょ、あんた達言い方可笑しいわよ!」
神通「先を越されました・・」
綾波「クッ」
提督「ただ二人で支払いに行って、朝ご飯
食べて来ただけだぞ?」
提督「なんだ、二人で、行った事怒ってるのか?」
朝潮「二人で!お楽しみだったんですね!」
曙「ちょっと、止めなさいって」
この後問答が少し続き、
色々元凶が分かり始めた。
そう荒潮だ。
奴の入れ知恵だ。
早々に荒潮を呼び出す事にした。
「駆逐艦 荒潮 至急 離島鎮守府部屋に来るよう」
とすぐにやって来た。
のだが、顔を見るなり
危険を察したのか近づいてこようとしない
提督「おい、ちょっとまて」
提督「逃げるなよ?」
荒潮「えーと、うふふ」
提督「さぁ部屋に入ろうぜ」
荒潮「それはちょっと・・・」
提督「怒るわけじゃないからさ」
提督「な?」
必死に笑顔を作ろうとするが
否応にも笑顔が嘘っぽくなっているのが自分でも分かる。
荒潮は後ずさりを始めている。
正直奴が逃げたら、追いつけない。
なんとしてもそれだけは阻止しなければ。
提督「ちょっとでいいからさ、終わったら一緒に間宮いこ?」
荒潮「それはちょっと魅力的だけど・・・」
荒潮「ごめんなさいー」ダダッ
と言い放ち猛スピードでその場を立ち去る。
提督「おい、こら、待てー!」
荒潮「きゃー!」
一人だけでは捕まえるのは無理なので、
すぐさま部屋にいる4人に応援を求める。
提督「おい、荒潮が逃げた、捕まえるの手伝ってくれ!」
と呼びかけるが4人は輪になったまま動こうとしない。
提督「なぁ、頼むって!」
朝潮「今大事な話をしているので、ごめんなさい」
と朝潮は低いトーンで返してきた。
提督「なんの話だよー」
提督「すごく機嫌悪そうだしさぁ」
提督「勘弁してよぉ」
提督「なぁ?曙なんとか言ってくれよ」
曙「ごめんなさい、今それどころじゃないの」
提督「綾波は手伝ってくれるよな?」
綾波「す、すみません」
続けて神通にも目をやるが、
こっちを見てくれないので駄目そうだ。
提督「うむ」
本当はこんな事したくないが・・・
苦肉の策だ。しかたない。
提督「あー、手伝ってくれたらレストランに連れて行ってあげるのになぁ」
提督「はぁ、あそこのハンバーグすごくおいしいのになぁ!」
ピクッと反応があったがまだ足りない。
提督「仕方ない、一人で行くかな」
朝潮「デザートは!」
提督「デザート?」
朝潮「そこのレストランにはデザートはあるんですか?」
提督「ああ、あるある!」
コソコソ
綾波「 れすとらん とは外にあるというやつですか?」
神通「そうですね、私も行った事はないのですが・・・」
曙「一度行ってみたいわね」
朝潮「そうですね」
なにやら意見が纏まったようで
朝潮がこちらにやって来た。
朝潮「もう~仕方ないですね!」
朝潮「すごく大事な話中だったのですが」
朝潮「そこまで頼まれては仕方ないですね」
朝潮「ではひと狩りいきましょう!」
綾波「私は地図を!」
神通「無計画に探しても広すぎるので二手に分かれましょう!」
曙「さっさと見つけて、レストランとやらに行くわよ!」
提督「おっおう」
朝潮「おー!」
こうして、荒潮捕獲作戦が始まった。
神通「では、綾波さんは私と」
神通「朝潮ちゃんと曙ちゃんは提督と行動してください」
提督「了解」
神通「それとこれを」
提督「うむ」
神通「青い円で囲まれている箇所を捜索お願いします」
神通「ではひとまず見つけても見つからなくても1時間後にここに集合しましょう」
提督「了解した」
~食堂~
提督と二人は食堂に来ていた。
まぁこんな所にいないだろうと思っているのだが、
目的はそこではない。
そう食堂のおばちゃんに聞き込みだ。
艦娘に聞いても、荒潮に通じている可能性がある。
提督「こんにちわ」
「あら、どうしたんだい?」
提督「荒潮見なかったですか?」
「どうだったかしら・・」
「お昼の仕込み中だったから、ごめんねぇ」
提督「いえ、お忙しい所失礼しました」
朝潮「すみません、今日のお昼はなんでしょうか?」
「今日は、カレーよ」
曙「急がなくちゃね」
朝潮「はい!」
提督「次は工廠だな」
そのころ、神通達は
寮の3F、空母戦艦のフロアにいた。
綾波「ここにはいなさそうですねぇ」
神通「ですね、上の階に隠れるのは上策ではありませんから」
一つ下のフロアに降りようとしていると、
後ろから声を掛けられる。
「どうかした?」
綾波「はひ!」
「ふふ、驚かしちゃったかな」
神通「飛龍さん、お久しぶりです」
飛龍「久しぶりー」
飛龍「そちらは?」
綾波「初めまして、駆逐艦綾波です」
飛龍「かわいいね!よろしくー」
飛龍「で、なにかあったの?」
神通「実は、荒潮ちゃんを探しているんです」
飛龍「荒潮ちゃんなにかやらかしたの~?」
神通「いえ、ただ大事な用事があるので」
飛龍「ふ~ん。そういえばさっき反対の階段から下って行ったよ」
神通「失礼します」ダダッ
飛龍「ええちょ!」
綾波「ありがとうございましたー!」
神通達は階段を駆け下りながら
作戦を練る
神通「綾波さん、2Fのフロアをお願いします」
神通「私は1Fに行きます」
綾波「分かりました」
二手に分かれた後
神通は1Fに行き、ある二人に助けを求める事にした。
目的のフロアのドアを開け
呼びかける。
神通「雷ちゃん、阿武隈さんはいますか!」
電「神通さんお久しぶりなのです」
神通「電ちゃんお久しぶりです」
電「どうやら急ぎのようですね、今呼んでくるのです」
しばらくすると二人がやってくる。
雷「なにどうしたのよ?」
阿武隈「どうしたんですか~?」
神通「お願いがあります」
雷「なになに!?」
神通「荒潮ちゃんを見つけるのを手伝ってもらえませんか?」
神通「お願いします」
雷「なによ!頭下げないで、神通さんのお願いなら聞いてあげちゃうんだから!」
雷「ほら阿武隈さんも行くわよ!」
阿武隈「寝起きで、前髪が・・」
神通「提督が困っているのでどうか」
阿武隈「えっ、てーとくが?」
雷「なおさらがんばらなきゃ!」
阿武隈「むー、わかりました!」
響「どうしたんだい?騒いで」
雷「司令官が困ってるらしいのよ」
響「なんだって・・」
響「わかった。私も手伝おう」
神通「響ちゃんありがとう」
雷「そういえば暁は?」
響「遠征明けでまだ眠っているよ」
雷「もうっ!」
電「変わりに電が行くのです!」
雷「じゃあ行きましょう、すぐ見つけちゃうんだから!」
神通「ではみなさん」
神通「見つからなくても、40分後に私達の部屋に集合でお願いします」
阿武隈「はい!」
響「私は寮の回りを見てこようかな」
そのころ工廠では
提督「いやぁ、いつ見ても大きいなぁ」
曙「うちなんか倉庫しかないものね・・」
提督「言わないでくれ」
曙「ほら、さっさといくわよ」
朝潮の先導で
薄暗い工廠の中に入ると
奥の方に光が見えたので進んでいくと
小さいプレハブ小屋が見えてきた。
朝潮「明石さんいますかー」
提督「こんにちわ~」
引き戸の外から呼びかけるも
返事がないので中をのぞいてみるが
誰もいない。
曙「居ないみたいね」
朝潮「仕方ないですね、少しここで休憩していきましょう」
曙「勝手に上がっちゃって大丈夫なの?」
朝潮「大丈夫です、ささっどうぞ」
提督「そういや朝潮はよくここに来てたみたいだな」
朝潮「はい、人手が少なくて困ってると言っていたので」
朝潮「よく手伝いできてました」
としゃべりつつ
肩から下げた水筒の蓋を開け始める。
朝潮「はい、司令どうぞ」
提督「おっありがとう」
提督「ん、美味しいな」
朝潮「ほうじ茶です」
曙「あんたその水筒いつも持ってるわね」
朝潮「はい、司令に貰いました」
曙「へぇ」
曙「わたしにも頂戴」
朝潮「えっあげませんよ!」
曙「ちがうっ、その中身よ!」
朝潮「あっどうぞ」
曙「あら美味しい」
曙「料理はイマイチなのにお茶入れるのは上手なのね」
朝潮「ふふん、鳳翔さんに習ったので」
朝潮「あっ、料理で思い出したのですが、司令」
提督「どうした?」
朝潮「料理教室に通いたいのですが」
提督「おう、いいんじゃないか」
提督「でも曙に習ってるのにどうしてだ?」
朝潮「えーっと」
曙「なにはっきり言ってよ」
朝潮「曙さんも教えるの上手いのですが、レパートリーが少ないので」
曙「くっ、痛い所を突くわね」
提督「あはは、たしかに」
曙「ああん?」
提督「まぁ、わかった、良いだろう」
提督「曙も行くか?」
曙「そうね、行くわ」
提督「よし、申し込んでおくよ」
朝潮「ありがとうございます!」
曙「さて、そろそろいくわよ」
提督「おおっと、長居してしまった」
そのころ、
荒潮は
神通と綾波に居場所を知られたので
焦っていた。
捕まったらどうなるのか。
考えただけでも
背筋がぞっとする。
あの人達の事だろう
必ず捜索隊を増やして来る。
もうあそこしかない。
武蔵「ん?あれは荒潮じゃないか」
武蔵「おーい、そんな急いでどうした?」
荒潮「武蔵さん、すみませんが後で」
武蔵「あぁ・・・なるほどな」
武蔵「ふふっ」
隼鷹「なーに気味悪い笑いしてるんだか」
武蔵「なっ!」
隼鷹「ほら早くしないとカレー無くなっちゃうよ」
武蔵「いかん、急がねば」ダダッ
隼鷹「こら、一人突っ走んなってー!」
提督「もう、こんな時間か」
朝潮「見つかりませんね」
曙「もう、どこ行ったのかしら」
提督「よし、二人はひとまず部屋に戻ってくれ」
曙「はぁ?あんたはどうすんのよ」
提督「ちょっと目当てがあるんでな」
提督「すぐ戻るからさ、神通達と合流したら先食堂に行っててくれ」
曙「・・・わかったわ」
提督「じゃあな」
曙「こら!朝潮!なんであんたもそっち行くのよ・・」
朝潮「ちょっと私もこっちに用事があるので」
曙「あんたはこっち!犬でも空気読めるんだから、しっかりしてよね。」
朝潮「あぁ、司令ー!」
提督「朝潮あとでな!」
提督は防波堤灯台へと足を進めた。
コンクリート打ちの波うち際、
テトラポットに波が当たり、しぶきが
生暖かい風に乗り身にあたる。
さてどう話したものかと
考えているうちに灯台へついてしまった。
ドアの前に立ち呼びかけてみる。
「荒潮いるか?」
返事はない。
はて当てが外れたか。
念の為確かめようと
ドアノブに手を掛ける。
ガチャ
ドアを開くと
階段下のスペースに
荒潮は蹲っていた。
「荒潮?」
優しく声を掛けるが
反応がない。
口元に耳を近づけ
息を確かめる。
スゥスゥ
寝てしまったようだ。
その頃、朝潮達は雷達と合流し、
溢れかえっている食堂にいた。
朝潮「」ソワソワ
響「まぁ落ち着きなよ」
曙「そうよ、いくら焦っても列は進まないわよ!」
雷「先に提督の分のカレーも貰っておこうかしら?」
阿武隈「いつ来るか分からないし、いいんじゃない?」
なんて話をしていると後ろから神通と綾波がやってくる。
神通「皆さんお疲れ様です」
綾波「結局私達で見つけられませんでしたねぇ~」
曙「まぁ、任せておけばいいわよ」
電「でも楽しかったのです」
響「ああ、いい気分転換になったよ」
阿武隈「あれ、そういえば暁ちゃんは?」
雷「あっ!ちょっと起こして来るわね!」
神通「席は取っておきますから~」
雷「ありがとう!」タタタッ
そんなにも関わらず、
朝潮はみんなの先頭に立ち、カレーとサラダを受取り
席に着く。
曙「あら、いい席取ったのね」
朝潮「ここなら、見晴らしが良いので」
曙「へぇ」
カレーを食べながら、朝潮はふと考えた。
もしもがあったら・・・
ホワンホワンホワン
荒潮「あなたが悪いのよ!!」
提督「おい俺がなにしたっていうんだ!」
荒潮「もういや!道ずれよ!」
提督「やめろ~!」
グサッ
アサシオ!アサシ~オ!
朝潮「ハッ」
曙「なにボーっとしてんのよ!」
朝潮「アハハ、少し考え事をしてました」
まぁそんなことあるわけないかー!
と窓に目を向けると、提督が
誰かを抱え歩いている。
目を細め凝視してみる
あっ、荒潮だと気づくと同時に、
背中が麻痺したような感覚に陥る。
曙「ちょっと、どうしたの」
と体を揺すられ我に戻る。
朝潮「あっ、あれ司令ですね」
曙「ん?あらそうね、ほら皆」
綾波「戻って来たみたいですね」
響「ん?あれは荒潮じゃないか」
雷「早くカレーを食べて戻りましょ!」
部屋への帰り道
曙「なんか、朝潮元気ないわね」
神通「ふふそうですね」
曙「なにか知ってるの?」
神通「曙さんは、提督が歩いている所を見てなにも思いませんでした?」
曙「んー、なんかこう、ムカッとしたわね」
神通「不覚ながら私も、です」
神通「それに人一倍、提督と長くいた朝潮ちゃんは・・」
曙「ったく、無神経よね!」
響「なるほど」
曙「わっ!聞いてたの!?」
響「そういう事なら任せてほしい」
神通「響さんに任せましょう」
曙「・・大丈夫かしら」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
一行が部屋に着くと
提督が布団に荒潮を寝かせつけようとしていた。
曙「戻ったわよー!」
提督「おおう、おつかれさん」
雷「お疲れ様、提督!」
提督「あれ、雷じゃないか、みんなどうしたんだ?」
神通「私が応援を頼みました」
提督「そうなのか、色々すまなかったな」
提督「みんな疲れていただろうに、ありがとうな」
響「構わないさ」
提督「おっ、それに阿武隈まで・・」
阿武隈「むむっ!なんか失礼ですっ!」
提督「あはは、すまん」ホーレ
阿武隈「前髪煽るの、辞めてくださいー!」
電「電もいるのですっ」ピョンピョン
提督「おー、電も久しぶり」ナデナデ
電「えへへ」
提督「暁は・・」
暁「ここにいるわ、どうしてみんな起こしてくれなかったのよ!」プンスカ
曙「はいはい、そこまでにして、結局どうなったの?」
提督「おお、結局灯台に向かって、見つけたんだが、寝てた」
曙「はぁ!?」
綾波「と言う事は、進展なしですが」
神通「そもそも、荒潮さんに何の用事が?」
曙「そうよ!理由を聞いて無かったわ!」
提督「ああ、それは言えない。すまない」
曙「へぇ?隠し事?」
提督「というわけではないんだが、決してやましい事じゃない」
提督「皆の為だ」
神通「わかりました。信じましょう」
神通の真剣な声色に皆が
押し黙る。
提督「そうだ、雷達になにかお礼をしないとな」
雷「いいのよ!そんなの必要ないわ」
響「ああ、好きでやったことだしね」
提督「いや、そういう訳には行かないな」
提督「そうだ、たしか・・」
提督「まだ余ってたはずだ」
提督「ほれ、間宮券人数分」
電「わー」
暁「なにもしてないけど、頂いていいのかしら」
阿武隈「ここは素直に頂きましょう!」キラキラ
雷「もう・・」
響「さすがは提督だ」
提督「曙たちも行ってくるといい」
曙「そうね!疲れたし行かせてもらうわよ」
提督「あれ?そういえば朝潮は?」
とその時だった。
ストンと音がした。
響「朝潮どうしたんだい!?」ユサユサ
提督「ちょ朝潮!?」
響「提督!、朝潮を救護室に!」
提督「あわわ、ああ」
と朝潮を抱え部屋を出て行った。
神通「やりますね」
響「浅く入れておいたから、すぐ目を覚ますよ」
曙「なによあれ・・・」
綾波「すごい・・」
響「ふふっ」
と響は手を硬直させ振る動作をして見せる。
~~
なんか体が温かい、
なにかに包みこまれているようだ。
そう体が揺れるのに気づき
目を覚ます。
提督「おお目が覚めたか、大丈夫か、すぐ救護室に着くからな」
と囁く目は動揺と焦りが見える。
と徐々に状況を把握していくうちに
顔が熱くなるのが自分でもわかった。
提督「顔が赤いな・・まずい」
と心配してくれるので、嬉しかった。
もう少しこの状況を味わいたいので
芝居をうつことにした。
提督「失礼します」
愛宕「あら?どうしたの~?」
提督「朝潮が!」
愛宕「さ、こちらに」
提督「頼みます」
愛宕「ちょっとカーテン閉めますね」
朝潮はベットに寝かしつけられ、
目をちらっとあけ、愛宕を見る。
愛宕「朝潮ちゃん大丈夫?」
朝潮「ううぅ」
愛宕は、朝潮の額に手を当てたり、
体を見てみる。
特に外傷はないし、熱もない様だ。
愛宕「(おかしいわね)」
愛宕「(芝居じみたこの感じ、なにかありそう)」
愛宕「(面白そうだし、少し見てみましょうか)」
愛宕「どうぞ」
提督「失礼する」
提督「どうです?状態は」
愛宕「ええ、軽い疲労ですね」
提督「ああ、良かった」
愛宕「栄養剤を出しておくから、飲んでね」
提督「ありがとうございます」
愛宕「ではごゆっくり~」
提督は朝潮の体を起こし
栄養剤を飲ませる。
提督「朝潮すまない、気づかなかった」
朝潮「(この状況、最高!)」
そうして朝潮は小一時間程
この状況を満喫した。
朝潮「さて行きましょうか!」
提督「もう大丈夫なのか!?」
朝潮「はい!あの栄養剤はものすごいものなんですよ?」
提督「そうなのか、何個か貰っていこうかな・・」
朝潮「愛宕さん元気になりました、ありがとうございましたー!」
愛宕「ええ、またなにかあったら遠慮なく来てね~」
提督「愛宕さん、あの栄養剤何個か頂けませんか?」
愛宕「ええ、構わないけど・・」
朝潮「提督、先に戻ってますね~」タタタ
~離島鎮守府部屋~
朝潮「ただいまー」
神通「おかえりなさい」
曙「あら、元気になったみたいね」
朝潮「えへへ」
朝潮「そういえば、荒潮は?」
綾波「戻りましたよ」
朝潮「でも大丈夫なんですか?」
曙「ええ、今度は逃げないって約束してれたわよ」
提督「戻ったぞ」
神通「お帰りなさい」
朝潮「栄養剤はもらえましたか?」
提督「ああ、ばっちり」
曙「そうそう、荒潮はとりあえず部屋に戻ったから
あなたの方から、訪ねてあげなさいな」
提督「ん?そうなのか、わかった、じゃあ行ってくる」
曙「遅くならないようにね」
提督「わかった」
綾波「気を付けて~」
、
荒潮の部屋を訪ねと、
招き入れてくれて、
話を進めていくうちに
今までの件については、どうやら荒潮がすべて悪いわけでは
無いようだった。
そして話の終盤に一枚の大判の紙を渡してくれた。
そう元凶だ、
情報はそこから仕入れているらしい。
提督「なんだこれは?」
荒潮「えーと、私達のなかだけで出回ってるものかなぁ?」
提督「ふむ、これと似たようなものは見たことがあるが・・」
提督「内容がちょっと過激だな」
荒潮「・・あとそれ朝潮達に渡しちゃった」
提督「それでか」
荒潮「でも、そこまで内容は正確に理解してないと思う」
提督「まぁ・・だろうな」
提督「分かった、話してくれてありがとう」
提督「それに荒潮、今後はこれはもう見無い方がいいと思うぞ」
荒潮「ええ、わかったわ、そうする」
部屋を出ると、提督はある場所へと足を進めた。
提督「失礼する」
「はいはいー」
「ああ!お久しぶりですね!」
「いきなりですが、インタビューよろしいですか!?」
提督「後でなら構わないが、その前に聞きたい事がある」
「逆インタビューですか!?いいですよ~!」
「じゃんじゃん聞いちゃってください」
「ささっ、ドアの前だとあれなのでこちらへっ!」
提督「ありがとう」
「今、お茶を用意しますので、少々お待ちを」
提督「(なんかものが散乱しているな、しかも写真がそこかしこに・・)」
提督「(ん、あれ俺が建造したときに記念で取った、朝潮との写真じゃねえか)」
「あまりジロジロ見ちゃだめですよ」
提督「すまない、興味深いものが多いのでな」
「へ~、あとで秘蔵の写真見せてあげても良いですよ?」
提督「ほう?見てみたいな」
「ふふ、分かりました」
「とりあえずそちらの話からお聞きしましょう」
提督「そうだな」
提督「お前が書いている新聞あるだろ?」
「ええありますね」
提督「発行しているのは一つだけか?」
「そうですけど・・?」
提督「ふむ、ちっと小耳にはさんでな、もう一つ別に新聞があるらしいんだ」
「ふむ、なるほど」
提督「さっきも聞いたが、本当に知らないんだな?」
「えっええ、知りませんよぉ~もうっ!」
提督「正直に話してくれるなら、まだ軽く済ませ様と思うんだが」
「なんですかぁ、疑うのは辞めてくださいよぉ!」
提督「そうか、残念だ」
「(ばれるはずがありませんから、隠し通す!)」
提督「これを見てくれ」スッ
「(!?!?!?)」
「(なぜそれを提督がもっているの?!?!)」
提督「なぁ。これお前が発行してるんだよなぁ?」
「・・・そんなはずあるわけないじゃないですぁ」
提督「ああ、そうか」
提督「じゃあ言わせてもらおうか」
提督「まずこの新聞だが、検閲の印がない」
「そっそうですねぇ」
提督「ということはだ、公認の新聞ではないんだよなぁ」
「それのどこがまずいのですか?」
提督「ああ、印紙の不正利用」
「(ビクゥ!)」
提督「たしか、新聞は検閲後、使用する紙の枚数を正確に申請するはずだよな?」
「ええ、そうですねぇ」
提督「しかも、この新聞を発行している人物は、色々とおひねりをもらっているようなんだ」
提督「これ横領なんだよ」
提督「個人の利益の為に、軍のものを使って良いはずあるか?」
「いっいえ、ないですね」
提督「なぁまだシラを切るつもりか?まだ間に合うぞ?」
「知っ知りません!」
提督「ああ、そうか、残念だよ」
提督「青葉」
青葉「」
提督「わかった、本当はこんなことしたくなかったんだが」
提督「この件は、上にあげるとしよう」
提督「ああ、この新聞出したやつ、どうなるんだろうな」
提督「湿った布団、不味い飯、あぁ怖い怖い」
青葉「ちょちょちょまってください!」
提督「ん?どうした、汗がすごいぞ?」
提督「まぁいい俺は行くぞ」
青葉「ちょっとお待ちください」ガッシ!
提督「なんだ?足にしがみつくな」
青葉「私なんですぅ、その新聞を発行したのは!」
青葉「お願いです、行かないでください」
青葉「要望はなんですか!?言ってください!
ほかの鎮守府のスキャンダルですか?それとも破廉恥な写真ですか!?」
提督「そんなものには興味はない、俺は行く」
青葉「お願いです!なんでもしますから!」
青葉「なんでもします、だからだから!」
提督「ほう?そこまでの覚悟があると」
青葉「ええ、もちろんです」
提督「そうか、俺最近・・・溜まってるんだよ」
青葉「えっ?」
提督「だからその・・青葉、言わなくても分かるよな」
青葉「ままってください!」
提督「おっ、夕飯迄少ししか時間がないな」
青葉「・・・」
提督「なぁ、青葉、往生際が悪いぞ。青葉ちゃんは以外と初心なのかな。」ポン
提督「あんな内容書いてるくらいなんだから、もっと期待してたのになぁ・・」
青葉「」ゾクゾク
青葉「わかりました・・・」
青葉「脱ぐので、明かりを消させてください」
提督「・・・」
提督「青葉、冗談だ」
青葉「へ?」
提督「冗談だ」
青葉「???」
提督「青葉、お前って面白いな」
青葉「ええええ?」
提督「アハハハ」
青葉「」
提督「すまん、からかいすぎた」
青葉「冗談なんです?」
提督「だからそうだって」
提督「でも、上に報告するのは、本気だぞ」
青葉「お願いします・・それだけは・・・」
提督「よし、何個か提案を飲んでくれたら穏便にすませよう」
青葉「あっ、ありがとございます!」
提督「まず一つ、この新聞は廃止だ」
青葉「わかりました・・」
提督「二つ目、途中からの出来事は忘れてくれ」
青葉「そんなことですか?」
提督「ああ、恥ずかしい」
青葉「わかりました」
提督「以上だ」
青葉「ええ!?それだけでいいんですか?」
提督「おっおう」
青葉「もっと要求して良いですよ!?」
提督「おいおい、欲しがるなぁ」
青葉「あっいえ、ごめんなさい」
提督「じゃあ、この写真貰うわ」
青葉「それって」
提督「ああ、朝潮との写真だ」
青葉「どうぞどうぞ」
提督「この件については、一見落着ということで、今後は今まで通り頼む」
青葉「はい」
提督「あっ、それと、ロリコン提督って書いたのお前か?」
青葉「・・・」
青葉「はい、私です」
提督「まぁ、あんま悪目立ちそうな事書かないでくれよ」
提督「じゃあな」
裏新聞、発行号数、第5号で終わりを迎える。
一部の艦娘の間で、惜しむ声が出るが、
青葉は以後、裏の新聞を発行することはなかった。
「ちっ、どこかのバカがご丁寧に」
「ああ、惜しいなぁ、もうちょい早ければ青葉を手ごまに出来たんだがなぁ」
青葉不幸中の幸い。
そんな思惑が裏で動いていることすら、
提督は知らず、時はすぎ、輸送作戦へと移る。
離島鎮守府初めての作戦参加となる
輸送作戦数日前。
ある部屋の一室に
各鎮守府の提督が集まっていた。
「今回の作戦は今の所、小規模となる予定だ」
「先遣隊の部隊が敵勢力を索敵、
主要部隊の位置を確認した」
「そこで、第一、第二が部隊を編成し、
敵主力を叩く」
「予定は今から一週間後だ」
「それまでに、この鎮守府から、物資を前線基地迄輸送」
「第三、第四部隊は、主力艦隊が敵主力艦隊に向かう道中の
敵掃討を実行してもらいたい」
「なにか質問はあるか?」
「はい、今回、新参の離島鎮守府が参加するとのことですが、
それに関しては、問題ないのでしょうか?」
「わしが指揮を執る、それにもし何かあったら、責任を持つから心配しないでくれ」
「と言う事であれば、異議はございません」
「おいおい、本当に大丈夫なんか?」ヒソヒソ
「まぁ責任を取るというのであれば・・」ヒソヒソ
提督「(聞こえてますー)」
「では、各自、作戦まで万膳の体制で挑める様、精進してくれ、解散」
ザワザワ
他の提督達が部屋を続々出て行く中、
なんか気まずいので、最後に出ようと、思っていると
声を掛けられる。
「よぉ、離島の提督さんよ」
提督「?」
「おいおい、大丈夫か?」
提督「失礼いたしました。ご無礼を」
「いや、良いって」
「まぁ、初めてだと緊張するよな、俺もそうだった。」
提督「はい」
「まぁ気張らずな」
提督「ありがとうございます」
提督「(ああ、なんか気持ちが楽になった気がする)」
横須賀鎮守府 提督室
提督「失礼致します」
「はいれ」
「おう、大分疲れたかの?」
提督「まぁ、初めてでしたので・・」
提督「それと少し不安です、朝潮神通を除いて、練度が低いですから」
「まぁその心配も分かるが、楽にしなさい」
「今回はわしの艦も付く」
「だから安心せえ」
提督「ありがとうございます」
その日から、
演習や、装備開発、出来る限りのことをやった。
そして日は立つのは早い、
輸送部隊出発の前日の夜。
約束だった、
レストランに行く事になった。
皆を連れ、私服が用意してある
部屋に行き、各々好きな洋服を選び
自室にもどる。
提督「おーいまだかー?」
曙「もうちょっとだから待ちなさい!」
と廊下で待たせられること1時間。
しかし、この時期に許可が出るなんて思わなかった。
横須賀の提督に感謝しなくては。
朝潮「もうちょっとで行きますので!」
神通「あらかわいい」
綾波「奥の方に掛けてありましたよー」
提督「(はぁ、長い)」
曙「おまたせ」
朝潮「提督どうでしょうか?」
提督「おう、良いじゃないか」
朝潮「えへへ」
--レストラン--
提督「ほら、降りろ」
朝潮「お先にどうぞ・・」
提督「ん?ああ」
提督が車から降りると
ぞくぞくと皆ひよこの様についてきた。
「おまちしておりました」
「ご予約のお客様ですねどうぞ」
提督「よろしくおねがいします」
「門を通り、そちらの入り口にて、係の者が
お部屋へご案内致します」
「足元にお気をつけてお進みください」
提督「ありがとうございます」
ヒソヒソ
「想像よりすごいんだけど」
「ええ、なんか緊張しちゃいます」
「とりあえず、後ろについていきましょう」
「お金大丈夫なのかしら」
提督「おいお前ら、もっと堂々としろよな・・」
曙「びびってないわよ!」
朝潮「そそうです!」
提督「それにお金ならある。心配するな」
レストランの一室
提督「よし、みんな席につけ~」
朝潮「私はここですね」
ガシッ
曙「ちょっと?当然の様にそこに座るわね」
朝潮「とりあえずメニューを見ておきましょうか」
曙「ちょっと!」
提督「おいおい、どうした?」
曙「ふんっ、いいわ、あんたはこっちに来なさい」
提督「え?俺はここがいいんだけど」
曙「いいからっ」
提督「はい」
なんとも言えない、圧力を感じたので
素直に従う事にした。
提督「よし、食べたい物があればどんどん頼んでくれ」
提督「食べきれる範囲でな」
神通「あの、このマリネとはなんでしょう?」
提督「ああ、たしか酢漬けだったかな」
綾波「ではこの、アラビアータとは」
提督「んーパスタだ」
朝潮「エスカルゴというのにしましょうかね」
提督「それカタツムリの一種な」
朝潮「!?」
曙「はぁ?なんでカタツムリを食べるのよ・・」
提督「なんでだろうな、知らん」
みんながメニューを持って寄ってくるので
なんか微笑ましくて仕方なかった。
提督「で、どんなのが食べたいんだ?」
提督「サラダとかは俺のオススメで持ってきてもらうが」
綾波「そうですねぇ、普段食べない物が良いですね」
提督「ふむ、肉か魚か?」
朝潮「んー、悩ましいですねぇ」
提督「まぁ、ゆっくり決めてくれ」
提督「とりあえず飲み物を頼もうか」
楽しい時はあっという間で
提督「ふう、やっぱここは美味いなぁ」
曙「ねぇ、本当にお金大丈夫なの?」
提督「おう心配するな、貯金ならそれなりにある」
曙「そう」
提督「最後にデザート行っとくか」
朝潮「はい!もう決まってます」
神通「綾波ちゃんはどれにします?」
綾波「んー、これですかね」
曙「んー」
「失礼致します、デザートをお持ちしました」
デザートが配られると
皆のテンションはMAXに達した。
曙「なによこれ・・美味すぎじゃないの!」
朝潮「初めて食べましたけど、もうここに住みたいですね」
提督「あはは、それは言い過ぎだぞ」
神通「提督、連れてきてくれてありがとうございました」
綾波「感謝しかありません」
提督「おいおい、こんな所で良ければいつでもいいぞ」
提督「でもお財布と相談になるけど・・・」
曙「でもその気持ちだけでも嬉しいわよ」
提督「ああ、こんなことしか出来ないからな」
シーン
朝潮「あっ!」
提督「どうした!?」
朝潮「さくらんぼが二つ入ってました」
そして
提督「よし、帰るぞ」
提督「っとその前に」
提督「明日からの任務、頼んだ」
曙「ええ、しっかりやるわ」
神通「お任せください」
提督「横須賀の鎮守府の艦と上手くやってくれよな」
提督「誰が配属されるかわからんけど」
朝潮「わかりました」
綾波「みんなでがんばりましょう」
正直提督の思うところ、
沈みそうになったら、なり振り構わず
逃げ出せと言いたかった。
でもそれを言ってしまったら
駄目だと思う。
とうとう出発の日がやってきた。
提督「よし準備は良いか?」
朝潮「よし!」
曙「ええ問題ないわ」
神通「神通、問題ありません」
綾波「同じく!」
提督「そろそろ横須賀の艦娘が来るはずなんだが」
「すみませーん」
提督「お?」
ちっこいのが二人走ってくる。
「すみません!遅れちゃいました!」
「もうー、早いよぉー」
二人をみた彼は心でガッツポーズをした。
そう”雪風”だ。
雪風「こんにちわ」
時津風「時津風だよ~」
提督「もちろん知ってる、二人とも宜しくな」
雪風、横須賀鎮守府でも特に練度の高い駆逐艦、
いつも皆言う、あの子がいれば大丈夫だと。
提督「二人とも、うちの4人を頼んだ」
提督「君たちより練度が低いがそれなりにやれるはずだ」
雪風「おまかせください!」
時津風「神通さんと朝潮もいるんだねー」
提督「そうだ、これを」
提督「休憩の時にでも食べてくれ」
時津風「わーい」ピョンピョン
雪風「頂いてもよろしいのでしょうか?」
提督「ああ、その為に持ってきたんだ」
時津風「わー!羊羹だよ羊羹!」
時津風「もう食べちゃお!」
雪風「だめですよ」
時津風「えーそんなぁ」
提督「ほら時津風、今食うならこれをやろう」
時津風「なになに?」
提督「ほら、お饅頭だ」
時津風「ありがとう!やさしー」
雪風「では行きましょう」
提督「ああ、いってらっしゃい」
そして皆は港へと歩んでいく。
提督「神通」
と神通を呼び止め、
バックと封筒を手渡す。
提督「その中身と金を持ってけ」
提督「必要になるかもしれん」
神通「ありがとうございます」
提督「武運を祈る」
神通「はい!」
提督「それと朝潮を頼んだ」
神通「ふふ、わかりました」
神通「では行きます」
彼女たちの姿が見えなくなるまで
見送り、部屋へと戻った。
そう彼にはやる事があるのだ。
離島鎮守府仮部屋
トントン
「失礼します」
提督「どうぞ」
飛龍「書類持ってきたよ~」
提督「ありがとう」
飛龍「よいしょっと」
飛龍「うちの提督室使えばいいのに、言われてるでしょ?」
提督「ああ、けどなんかなぁ」
飛龍「まぁ、私はここでも構わないけどね」
提督「じゃあ、やるか」
飛龍「そうね」
横須賀提督が輸送作戦に参加している間、
鎮守府を任された。
と言っても、しばらくの間の
近海警備の編成案なんかは既に指示されているので
ほとんどやる事はない。しいと言えば資材や報告等の
書類の確認くらいだ。
飛龍「ねぇ」
提督「どうした?」
飛龍「みんなの事心配でしょ?」
提督「ああ、そりゃ心配だ」
提督「飛龍も蒼龍がいなくて寂しいだろ」
飛龍「そうね」
トントン
飛龍「どうぞ」
雷「こんにちわ」
提督「雷どうした?」
雷「手伝いに来たわ」
提督「ありがとう、でももう終わりそうだ」
雷「えー!もう?」
飛龍「いつもより少ないからね」
雷「じゃあ・・お茶いれるわね!」
提督「それならちょい休憩しようか」
飛龍「そうね、じゃあお菓子持ってくるね!」
雷「飛龍さんありがとう」
休憩中後、残っている処理を終わらせ
解散となった。
飛龍「じゃあ明日もよろしく」
提督「ああ、後はゆっくり休んでくれ」
雷「私も明日来ても良い?」
提督「ありがたいけど、雷は今日警備があるだろ」
提督「明日は休んだ方が良いんじゃないか?」
雷「んー、どうしようかしら」
雷「うん、わかったわ」
提督「そうした方が良い」
雷「でもいつでも呼んでいいんだからね」
提督「わかったよ」
飛龍「あらあら」フフ
提督「じゃあな」
そのあと、近海警備班を見送って、部屋でこの後の事を
考えていると。
タタタタタタ
提督「?」
タタタタタタ
なんだこの走る音は、
しかも複数。
今鎮守府に残ってるのは・・
うむ、分からん。
その足音は段々と近づいている気がする。
タタタタタ
隠れろと、直感が訴えて来やがる。
すぐ押し入れに身を潜める。
デチーマッテー
タシカココラヘンデチ
イキナリメイワクジャナイカシラ
イインダヨ!
この声は・・・
潜水艦のやつらか?
そういや作戦中は
休みだったか!?
誰を探しているんだ!
俺か?俺なのか!
トントン トントン
「いますか~?」
「でっち、いないみたいよ?」
「そうよ、戻りましょう」
「いや、いるでち」
「センサーがビンビンするでち」
ドンドン ドンドン
「いるのはわかってるでち!」
「ほんとうかしら」
ふっ、いくらやつらでも
勝手に入ってこないだろう。
このままやりすごそう
ガラガラ
入って来やがった
あにゃろー!
「失礼しますー」
「でっち勝手に入ったらだめだよ」
「いいんでち」
「どうせいないなら、ばれないでち」
「そうなのかなぁ?」
このまま隠し通そう
「ほらいないよー」
「んーおかしいでち」
「もうかえろうよぉ」
「そうね」
はぁー!助かった・・
ガラガラ
ふっ、勝った。
サー
!?
「(^v^)」
ひぃ!
「あらいたじゃないの」
「そこから出て来るでち!」
提督「はい」
「汗だくだくですって・・」
「どうして隠れてたのかしら?」
提督「いやー!なんか押し入れってこう、安心するんだよなぁ!」
提督「なぁ?」
呂500「えっ、そうでもないかなーって」
伊58「ふふっ、逃げようとしても無駄でち」
提督「はっちゃん、なぁ!」
伊8「分からないかなぁ」
提督「でなんだ?なにをしに来た!」
伊8「あら、用がないと来ちゃダメだった?」
伊58「悲しいでち」
呂500「でち嫌われてるの?」
提督「いやいや、そんなことあるわけないだろ」
伊58「傷ついたよ...」
伊58「もうこれは遊んでもらうしかないでち」
そのあとは、潜水艦の3人と遊んで、
最後に間宮さんの所に連れて行かれ解散となった。
財布が軽い
そういえば警備班が戻って来る、
部屋に戻ろう。
トントン!
不知火「失礼致します。警備の任から戻りましたので、報告に来ました。」
提督「お帰り、じゃあ聞かせて貰おうかな」
不知火「はい、近海に敵影無し、明日も同時刻に昼の警備班を編成し出撃致します」
提督「わかった、特に異常なしとのことだね」
不知火「はい」
提督「夜の警備班に引継ぎと、明日の警備班の編成表だ、周知しておいてくれ」
不知火「わかりました」
提督「では、お疲れ様」
不知火「明日は私が秘書を務めます、宜しくお願いします」
不知火「」
提督「そうか、宜しく」
提督「どうした?戻っていいよ」
不知火「久しぶりだというのに、それだけですか?」
提督「え?そうだけど。」
提督「あっ、そういえば」
提督「みんなには内緒な」ススッ
不知火「間宮券?」ギロリ
提督「旗艦ごくろうさま」
とその直後
右頬に痛みを感じた。
え?頬を引っ叩かれた?
早く過ぎて見えんかった。
不知火「最低です・・」
提督「どどうした?不知火」
不知火「」
提督「なんか悪い事しちゃったか」
不知火「忘れてしまったんですね」
提督「」???
提督「(なんだろう、思い出せん!)」
不知火「このあんぽんたんの!すっとこどっこい!」
と言い放つと凄い勢いで出て行ってしまう。
おいおいやべえ、
あの不知火が...
どうしよう、とりあえず追うしかねえ!
ーーー
再開します。
これは面白くなりそうな予感!
期待
これはおもしろい!
忙しいと思いますが
更新待ってます!
ポンコツ気味の朝潮ちゃん最高!!
あさしほとボーノはええな
スゲー嬉しい!
更新してた("⌒∇⌒")
無理せず頑張って下さい。