2018-04-10 19:16:29 更新

概要

提督が歩いていたら、段ボールの中に入っている夕立を見つけ・・・


※思いつきですwww


前書き

最初に拾った夕立と時雨がある意味主人公化しています~。


それは衝撃的な出会いだった・・・


道を歩いていたら・・・大きな段ボールが置いてあって・・・


「捨て犬か・・・近頃育てられないから飼い主が簡単に捨てるんだよなぁ~。」


提督は段ボールを見て呟く。


「全く・・・すぐに捨てるなら買うなって思うぜ! 捨てられた方の気持ちも考えろ!」


提督は拾ってあげる気なのだろうか・・・段ボールに近づいた。


「よしよし、怯えるな・・・オレが面倒見てやるからさ・・・お願いだから、嚙みつかないでおくれよ~。」


そう言って、段ボールを開けたら・・・


「!? はぁっ!?」


提督は驚いた。


「・・・ぽい~。」


段ボールに入っていたのは犬でも動物でもなく・・・夕立!?


「夕立・・・捨てられちゃったっぽい~・・・」


夕立は上目遣いで提督を見て訴える。


「・・・・・・」


最近では艦娘まで捨てられるのか・・・世の中も酷くなったもんだ。


「お腹空いたっぽい~・・・」


捨てられた身の割に主張だけは遠慮しない・・・よっぽど動物の方が可愛げがある。


「悪いな・・・オレの鎮守府は保有数がいっぱいだから・・・引き取れない、ごめんな!」


提督は段ボールから離れようとして、


「お腹空いたっぽい~! 何でもいいからちょ~だいっぽい~!!」


提督の服を掴んで食べ物を切望する。


「おい、引っ張るな! 服が破れるだろう!」


「ぽい~・・・ぽい~・・・」


「・・・・・・」


提督は「やれやれ」と思って、


「わかったわかった・・・オレに家に連れて行ってやるから・・・飯くらい食わせてやるよ。」


「っぽい~♪」


そう言って、急に元気になった夕立は提督について行った・・・


この日から夕立との生活が始まろうとは提督はまだ知る由もない・・・


・・・・・・


家に着いて、


「少し待ってろ・・・すぐに作ってやる。」


「ぽい~♪」


椅子に座ってわくわくする夕立。


・・・・・・


「何を作ろうか・・・丼にしようか麵にしようか・・・」


作る料理を考えている最中、


「ねぇねぇ、何食べさせてくれるっぽい~?」


夕立が待ちきれずその場に現れた。


「うわっ!? びっくりしたなぁ!」


「ねぇ、何ができるっぽい? 何を食べさせてくれるっぽい~?」


「もう少し待てないか? 今から調理する所なんだよ!」


「待てないっぽい~! 調理してなくてもいいから今すぐ食べたいっぽい~!」


夕立が泣きながら叫ぶので、「やれやれ」と思いつつ、


「ほら、オレが食べるつもりだったけど・・・やるよ。」


と、プリンを渡した。


「やったっぽい~♪」


スプーンですくって口に運んで、


「おいしいっぽい~♪」


頬を膨らまし、満足げの夕立。


「・・・その間に調理・・・と!」


提督は急いで調理した。


・・・・・・

・・・



「ぽい~・・・もう入らないっぽい~。」


お腹が膨れて満足な夕立。


「満足か・・・じゃあさっさとお前がいた鎮守府に帰りな。」


「やだ! ここに住むっぽい~!」


「はぁっ!? ちょっと待て!?」


提督をよそに夕立は勝手に布団を敷き始める。


「おい、夕立! 勝手に住み込むな!」


「大丈夫! 夕立を可愛い子犬と思ってくれればいいっぽい♪」


「・・・・・・」


「否定はしないが、食費が掛かるだろ!」と思った提督。


「ふぁ~・・・夕立眠いっぽい・・・おやすみっぽい~。」


散々暴れた挙句、真っ先に寝てしまった。


「やれやれ・・・」


疲れたのか提督は近くに椅子に座る。


「厄介な子を連れてきてしまったな・・・」


少し後悔する提督だった。


・・・・・・


翌朝、


「提督さん、起きて~!」


夕立に叩き起こされる。


「何だよ、夕立?」


「散歩! 散歩したいっぽい~!」


「・・・・・・」


「お前は犬か!?」と言いかけた提督。


「わかったわかった・・・え~っと・・・リードはと。」


昔提督は犬を飼っていた・・・今はいないけど、代わりに使おうか・・・


夕立の首につけようとしたら、今度は、


「夕立犬じゃないっぽい~!! そんなの巻き付けないで欲しいっぽい!」


「・・・・・・」


「昨日言った事と矛盾しているけど・・・確かに嫌だわなぁ。」と納得して散歩に付き合ってあげた提督。


結局夕立は、提督の家に居候することに・・・


・・・・・・

・・・



「やれやれ・・・家にとんだ番犬が来たもんだ・・・」


提督はため息をついて、


「オレの鎮守府の保有数を増やしておくかな・・・」


そう思った矢先、


「・・・・・・」


昨日段ボールがあったところにまた大きな箱が・・・


「・・・まさか。」


もしやと思い、箱を見ずに素通りしようとする提督に、


「提督・・・僕を無視して素通りかい?」


今度は時雨が箱に入っていた。


・・・・・・


「いや、無視しているわけじゃないんだがな・・・」


「じゃあ、どうしてこっちを見てくれないの? 話すときは面と向かうのが普通じゃない?」


「・・・・・・」


夕立は可愛げがあったが、時雨は「何て偉そうなんだ」と思った提督。


「まぁそれはいいけど・・・提督・・・お腹空いたから、僕を引き取ってよ。」


「・・・・・・」


「言うと思った」と感じる提督。


「悪いけど・・・オレの家に既に番犬が1匹いるから、十分だ。 よそ当たってくれ!」


提督が去ろうとして、


「提督ぅ・・・何で僕を見捨てるのさぁ・・・今日から箱に入れられて何も食べていないし、寒いし寂しいし・・・僕死んじゃうよぉ~!」


時雨は急に泣き始めて、


「提督には情けと言うものは無いのぉ? こんな道端でたった1人素直で可愛い女の子が箱に入れられているのに・・・


 それを見て見ぬふりをして知らんぷりだなんて・・・提督には失望したよぉ~(泣)」


「・・・・・・」


「捨てられた身の割に自己主張だけはするな。」と思った提督だが、「はぁ~・・・」と一度ため息をつき、


「わかったわかった・・・オレの家は狭いよ、それでもいいのか?」


「!? うん、全然いい!」


さっきまでの哀しい表情はどこに行ったのか、急に笑顔になる時雨・・・


「・・・・・・」


「上手く丸められた」と後悔する提督。


・・・・・・


「あ~! 時雨っぽい~!」


「何だ・・・番犬って夕立の事か・・・まぁいいけど。」


「時雨も提督さんに甘えて来れたっぽい?」


「うん・・・この家の提督は情に満ち溢れてるね・・・おかげで助かったよ。」


「・・・・・・」


2人の会話を見て、


「計画的にこの家に来たな、この2人」と確信する提督。


「提督さん! お腹空いたっぽい~!」


「そう言えば僕も・・・提督、この地味だけど可愛い僕に何か恵んでくれないかい?」


「・・・・・・」


「何だこいつら、偉そう。」と思う提督。


「提督さん、ごはん、ごはん!」


「提督、今日は何も食べてないんだ、何かくれないかい?」


「・・・・・・」


見た目は夕立と時雨なんだけど・・・2人が提督の前に座っている光景はどう見ても・・・犬にしか見えない。


耳と尻尾を付ければ間違いなく犬と化しそうだ・・・


「はぁ~・・・わかったわかった。」


犬好きな提督は2人が何だか犬に見えてきて、


「じゃあ、この皿が今日から夕立の・・・そしてこの地味な皿が、時雨のね。」


2人に皿を渡して、今日の夕食が始まった。


意外にも、提督は嫌ではなかったようで・・・


「2人がいると賑やかで悪くないな・・・言葉を話す犬がいると思えば気が楽だw」


「食費が掛かるが仕方がない。」と笑いながら呟く提督。


「提督さん! デザートにプリン!」


「僕は・・・アイス食べたい!」


「・・・・・・」


「居候の割に何て態度だ。」と少しムッとした提督。


「そうかそうか・・・そんなわがままな犬には躾が必要だな。」


提督は部屋から鞭を持ってきて・・・


「ぽ、ぽい~・・・提督さん、そ、それで何するっぽい~?」


「ぼ、僕たちを叩くの? やめてよ、そんなことしないでよ。」


急に2人が静かになり、泣きそうな顔をする。


「・・・・・・」


怯えて上目遣いの姿はまさに犬・・・


「そういうときだけ可愛い犬になりやがってwww」


結局叩きはしなかったが、「夕立は可愛い犬、時雨は地味で忠実な犬、これからは自己主張するな! わかったか?」


「ぷぅ~・・・わかったっぽい~。」


「ごめんなさい・・・気を付けるよ。」


2人は大人しくなって・・・と思ったら、


「時雨! ボール投げてっぽい~!」


「行くぞ・・・そらっ!!」


今度は近くにあったボールを投げあう始末・・・


「はぁ~・・・」


提督は深くため息をついた。


結局、鎮守府の保有数を増やして着任してあげた提督・・・しかし、2人は家の居心地が良かったのか居候を続けている。


・・・・・・


1週間後、


帰り道にまた大きな箱が・・・


「・・・・・・」


提督は「何も見てない」と知らないふりを・・・


「ガルルルル~。」


唸り声を聞いて立ち止まる提督、


「おっ、今度は普通の犬か・・・それなら拾っちゃおうかなぁ~♪」


そう言って、大きな箱に近づく提督。


「さぁて、どんな子が入っているのかなぁ・・・」


と、箱を開けたら・・・


「ガルルルル~・・・しれぇ~、お腹空いたぁ~、しれぇ~!」


時津風だった。


「・・・・・・」


「ははっ・・・騙されたぜ、ちくしょう!」


提督はため息をついた。


・・・・・・


今度の犬はとにかくやかましく、うるさく元気だ。


「しれぇ! 遊んで! しれぇ! ごはんちょーだい! しれぇ! 早く、早く!」


「何か騒がしいのが来たっぽい~・・・」


「少しは僕たちの事も気にかけてよ・・・自分の家みたいに振る舞って・・・」


「・・・・・・」


「まぁ、お前らもな。」と感じた提督。


「あれぇ~・・・お姉ちゃんたち誰ぇ~? ・・・まぁいいや、遊んで~♪」


「夕立は嫌っぽい。」


「僕も・・・遠慮しとくよ。」


夕立と時雨は顔をそらした。


「そうか・・・せっかく時津風の遊びに付き合ってくれたら、この1日限定10食の高級プリンあげるんだけどなぁ~ww」


提督は夕立と時雨に高級プリンを見せる。


「そ、それは!? 1つ買うのに2時間以上待たなければ行けないプリン!?」


「高級プリン!? そのプリンは夕立の物っぽい~!!」


それを見て2人は、


「時津風! 僕と一緒に遊ぼうか!」


「ダメダメ! 夕立一緒に遊ぶっぽい~!」


「ははは・・・食べ物になるといつもこうだからな、2人は・・・」


これでようやく休める、提督は椅子に座るが・・・


「2人とはいや~・・・しれぇの頭に上って遊ぶ~♪」


そう言って、時津風は提督の許可なしに登り始めた。


「!? おい、こら! 降りろ! 重い!」


「ガルルルル~! いいじゃん!」


「ああ・・・やめろぉ! 髪の毛を引っ張るな! 抜ける!」


「いいじゃん、減るもんじゃないし・・・ガルルル~!」


提督達をよそに、


「!? おい、お前ら! 何勝手にプリン食っているんだよ!! お前ら何もしてないだろう!!」


「ぽいぽい~・・・とろけておいしいっぽい~。」


「ああ・・・こんなにおいしいプリンが食べられるなんて・・・僕はなんて幸せなんだろう・・・(感動)」


結局2人にプリンを食べられてしまった提督だった。


※オレが今日3時間並んで買えたプリンなのに・・・(本人談)


・・・・・・


翌朝、


「やれやれ・・・家に犬が3匹も居座り・・・毎日のデザートねだり・・・食費が掛かるよ全く・・・」


愚痴をこぼしていて、


「・・・お、今日は箱が置いていないなぁ・・・」


確かに今日は箱が置いていない・・・が、代わりに天津風がいた。


「! ちょっとあなた! 時津風見なかった?」


「時津風? あの子ならオレの家に居座ってる。」


「・・・すぐに時津風の場所に連れて行って!」


「・・・・・・」


もしかして、時津風を連れ戻しに来た? それはよかった・・・3人もいると体力的に疲れるんだよ・・・ああ、良かった。


・・・・・・


「良かった・・・良かった・・・良かった・・・ってさぁ、何でお前も居座っているんだよ、天津風!!」


連れて帰ると思っていた天津風が何故か時津風と一緒に居座っていて・・・


「いいじゃない! あなたもあたしたちがいれば賑やかでいいでしょ?」


「もう3人もいて賑やか過ぎるわ!」


「全く・・・うるさい人ね。 時津風、こんな悪い大人になっちゃ駄目よ!」


「・・・・・・」


「こいつ、むかつく。」と思った提督、


「ああ、お腹空いた・・・ちょっとあなた! お客さんのあたしに何か食べ物を出しなさいよ!」


「しれぇ~・・・時津風も~!」


「夕立も~♪」


「僕も・・・」


4人が一斉に目を輝かせながら切望してきた。


「・・・・・・」


「やれやれ」と言いつつ、


「順番に並んで・・・まずは夕立の・・・次は・・・」


提督は意外にも優しい・・・4人も提督の態度に安心した。


・・・・・・


3日後、


「賑やかで悪くないんだが・・・」


提督はため息をついて、


「どうしてオレの家なんかに住み着くんだろう・・・」


提督は考える、


「やっぱり・・・犬っぽいからかな・・・」


確かに夕立、時雨・・・時津風は犬の要素満載である・・・でも、天津風は・・・


「・・・・・・」


天津風は・・・う~ん・・・もういい! ついでだ!


「・・・・・・」


道端にまた大きな箱が・・・


「もう嫌だ・・・オレは知らん! 耳をふさいで素通りする!」


提督は箱を通り過ぎる直前で、


「ちょっと! あなた! 私を無視するなんて・・・いい度胸ね!」


箱の中から聞こえる怒涛の声・・・


「・・・・・・」


箱を覗くと・・・満潮がいた。


「はぁ!? 意味わかんない! 素通りしといて、今度は覗きに来て・・・訳わかんない!!」


「・・・・・・」


「何だこの偉そうなツンデレ娘は!」と思った提督。


「何よ・・・私に顔に何かついているの? 用がないなら放っておいてよバカ!」


「・・・そうかい。」


流石に提督も頭に来て、


「そんなに居たければ勝手にいろ! オレだって心配になって覗いたのに・・・それが意味わかんないだって・・・


 一生その箱にいればいい!」


「・・・・・・」


提督は怒り心頭で、


「はん! 艦娘の中にもこんな礼儀知らずがいるんだな・・・こっちがお断りだよ!」


そう言って、去って行った提督。


・・・・・・


その夜、


「そう言えばあの子は大丈夫だろうか。」


今更だが、心配になる提督・・・


「口が悪かったから、思わず突き放したけど・・・今頃お腹が空いて寒くて震えているんじゃないかな・・・」


急に満潮の事が気になり、


「・・・もう一度見て来るか。」


提督は外に出た。


・・・・・・


「・・・寒い。」


満潮は体を震わせていた。


「今日は冷えるわね・・・皆が「箱に入っていれば引き取ってくれる優しい提督がいる」って言ったから箱に入ったのに・・・」


満潮は不安になり・・・


「ちょっと言い過ぎたかしら・・・素直に「提督の家に住ませて」なんて素直に言える私じゃないし・・・」


昼間に提督に当たった事を後悔する満潮。


「寒いよ・・・寒いわよ・・・誰か通ってくれないかしら・・・お腹も空いたし・・・」


そんな時だった、


「お~い、大丈夫かぁ~?」


昼間の提督が顔を出し、


「はぁ!? またあんた! 何、私が気に入ったの!? 私に家にいて欲しいの? だったら最初から言えばいいじゃない!」


「・・・・・・」


「早く案内しなさいよ! 私はもう寒くて、風邪を引きそうなのよ、全く・・・遅いのよこのバカ!」


「・・・やっぱり。」


「えっ?」


「やっぱりオレの勘違いだ・・・忘れてくれ。」


と、提督が帰って行った。


「ちょっとぉ!? 待ってよ! 私・・・寒くて凍え死んじゃうわよぉ!!」


提督は見向きもしない。


「うう・・・」


満潮は悩んで・・・


「わ、私を・・・家に住まわせて・・・くれないかしら・・・お、お願い!」


遂にデレた満潮。


「もう、尖った言い方しないから・・・ちゃんと言うこと聞くから・・・お、お願い!」


「・・・最初からそう言えよ、全く。」


提督は満潮を家へと連れて行った。


・・・・・・


「たまには違う道を行くか。」


いつもだと、箱か艦娘と出会うので、違う道で帰ることにした提督。


「これなら誰とも鉢合う事もないな。」


そう思っていたのも束の間・・・


「おいおい・・・何だあの一際巨大な箱は・・・」


駆逐艦たちが入っていた箱よりの更に大きい箱が道端に置いてあって・・・


「・・・・・・」


恐る恐る箱の中を覗くと・・・


「金剛姉さま 金剛姉さま 金剛姉さま 金剛姉さま 金剛姉さま 金剛姉さま・・・ぶつぶつ・・・」


比叡だった。


「・・・・・・」


「金剛の事をひたすら連呼してる・・・こりゃあシスコン且つ精神イカれてるな。」と思った提督。


「・・・見なかったことにしよう。」


と、比叡を無視して家に帰った提督だった。


・・・・・・


翌朝・・・


「今日も違う道に行こう。」


昨日比叡を見て後味が悪かった提督はまた違うルートを歩いてみることに・・・


「おお、今日は箱が無い・・・運がいいな♪」


そう思い、提督が更に進むと・・・


「・・・あそこで何やってるんだ?」


目の前に朝潮がいて、何故か江風が・・・大きな箱を持っていた。


「江風さん・・・本当にするのですか?」


「ああ・・・この江風、決めたからにはやってやるぜぇ!」


そう言って、箱の中に入る江風。


「あの鎮守府生活はうんざりしてんだ・・・誰かに拾ってもらって、可愛がられた方がいい!」


「だからって・・・何も箱に入らなくても・・・」


「こうすれば情が移るだろ・・・「時雨の姉貴によると、引き取ってくれる提督がいる」って言うんで待っているのさ。」


「そうなんですか・・・とても優しい提督なんですね!」


「でも・・・来ないと夜までこのままだし・・・下手したら・・・何も食べれないし・・・」


「・・・・・・」


朝潮が提督に気付いて、


「江風さん! あそこに提督がいますよ!」


「お~! 姉貴の言った通りじゃんか~! 提督ぅ~・・・この捨てられた哀れな江風さんを引き取っておくれよ~。」


「・・・・・・」


「引き取ってくれたらさぁ~・・・この江風、提督のために何でもしてやるぜ・・・どうだい、頼もしいだろう?」


「・・・・・・」


無視して素通りすると・・・


「・・・けっ! 所詮提督なんてそんなもんだよね!」


江風は悪態をついて、


「結局、自分の都合のいい考えしか無くて・・・捨てられた相手の気持ちも考えずに・・・ほんと提督って最低だよ・・・」


「・・・・・・」


「あ~あ・・・どっかの大金持ちがあたしを引き取ってくれないかなぁ~・・・そしたら、プリンやアイスが食いたい放題


 食べられるんだろうなぁ~・・・」


「・・・・・・」


「あ、聞いてたの提督? いや、別に提督の悪口を言っているんじゃないよ・・・あくまで「他の提督」だよ。」


「・・・・・・」


提督は一言、


「ずっとそこにいろ。」


提督はその場から離れた。


「ちょっと!? 冗談だって! なぁ聞いてくれよ!」


「・・・・・・(完全無視)」


「もう・・・頼むから! ・・・お願いします! お願いしますって・・・拾ってください、提督!!」


「・・・・・・(完全無視)」


「提督ぅ・・・この元気が取り柄の江風さんを見捨てないでおくれよぉ~・・・頼むよぉ~(泣)」


・・・・・・


結局、江風を引き取った提督、側にいた朝潮も・・・ついでに獲得w


・・・・・・


現時点での提督の鎮守府及び家に居座った(居候)の犬(艦娘)たち



①夕立(可愛い番犬) ②時雨(地味で大人しく忠実) ③時津風(一番暴れて、一番早く疲れて一番早くに寝るw)


④・⑤天津風と朝潮(ついでw) ⑥満潮(ツンデレ満載、提督に罵声を言わないと約束した) ⑦江風(改二が犬っぽいw)



・・・・・・


「そう言えば、気になったんだけど・・・」


提督が質問をする。


「何故わざわざ箱の中に入るんだ? 素直に鎮守府に来て「働きたい。」と言えばいいのではないか?」


夕立たちに聞くと、


「・・・・・・」


しばらく皆で考えて・・・


皆「確かに・・・何でだろう?」


皆「大きな箱を用意すること自体大変なのに・・・」


皆「箱に入っていれば同情してくれるかなぁ~ってw」


皆「それしか思いつかなかったっぽいw」


「・・・・・・」


何も言い返せない提督だった。


・・・・・・


「はて? 気のせいかな?」


提督が首を傾げる。


「確か・・・夕立・時雨・・・江風に朝潮・・・全部で7人だったはずだけど・・・」


もう一度確認する・・・何回数えても8人いるのだ。


「・・・・・・」


「あの子は確か・・・秋月の妹の・・・初月だったっけ?」


防空駆逐艦「初月」・・・何故か家に住み着いていた。


「夕立、どう言う事?」


「初月の事・・・それは~・・・」


「それは?」


「夕立と時雨が・・・家に連れて来たっぽい♪ お腹が空いて「おにぎりが食べたい」と言ってたから。」


「・・・・・・」


「そうかそうか・・・って言うかオレの許可なしに勝手に入れるなよ!」と思った提督、


「ぽい~・・・ごめんなさい。」


夕立が提督の怒りに気付いたようで、上目遣いでうるうるとした瞳で見つめてきた。


「・・・・・・」


「そういう時だけ、犬になりやがって!」と思いつつ、


「お手。」 「っぽい~♪」


「お~、よしよし。」と頭を撫でてあげた。


・・・さっきまでのイラつきはどこに行ったのやら・・・


・・・・・・


3日後、


「そう言えば、比叡は今頃どうしているのか・・・」


あれから3日、拾ってくれる当てもないだろうから、鎮守府へ戻っていると思った提督。


「・・・・・・」


直感だろうか、心配性なのか・・・比叡がいた道に行ってみた提督、


「・・・・・・」


あった・・・一際巨大な箱がまだ・・・端っこに・・・


「流石に3日だし・・・誰もいないよね・・・ははは。」


提督は苦笑い。


「・・・・・・」


やっぱり気になる・・・恐る恐る箱を開けてみたら・・・


「司令が私を見捨てた 司令が私を見捨てた 司令が私を見捨てた・・・ぶつぶつ・・・」


「・・・・・・」


「まだいた・・・と言うか、セリフ変わってるし!!」と気づいた提督。


「・・・・・・」


まるで恨みがあるかのような目つきで、提督を睨む比叡。


「・・・・・・」


「やばい、こいつは・・・このまま去ったら後ろから刃物で刺してくる・・・位の恨み目だ。」 と恐れた提督。


「家に来るか? 食事位出してやるから・・・」


と、誘ってみたところ・・・


「本当ですか!? 嬉しいです!! いや~・・・3日も何も口にしていなかったから内心死ぬかと思いました~!!」


「・・・・・・」


じゃあさっきの睨み目は「ひもじかった」を訴えたかった目か・・・


「じゃあ早く家に行きましょう! じゃないと私・・・そのまま飢え死にしてしまいます!!」


「・・・・・・」


さっきまでとは違うハイテンションに驚きつつも、家に連れて行った提督だった。


・・・・・・


「最近家に来る艦娘が増えたなぁ・・・」


提督は何かを考えている。


「食費・・・と言うか、プリンやアイスとかのおやつに掛かる出費が増えたなぁ・・・」


昔いた鎮守府で食べさせてもらえなかったのか、ほとんどの皆(初月除く)がねだってくる。


「でも、出撃と遠征ではきちんと達成してくれるから・・・そのご褒美として考えればいいな。」


家ではただの居候なのだが、鎮守府では態度が一変し、遠征は常に大成功! 出撃では無双の活躍をしてくれる。


特に出撃の際では、


「提督さんのためなら夕立どんどん強くなれるっぽい~!!」


「帰還後のプリン・・・あれがまた格別に美味いんだなぁ~!!」


「僕を拾ってくれた提督には、それ以上の恩返しをするよ!」


等、頼もしい限りである。


・・・・・・


今度は箱ではなく・・・生身の艦娘が座っていて、


「寒いだろう? こんなところで何をしているんだ?」


「・・・箱が無かったから・・・ここに座っているの。」


「そうか・・・やっぱり箱かよ!」と思った提督。


「ねぇ・・・提督・・・おこた(炬燵)持ってる?」


「ああ・・・昨日出したところ。」


「おこたに入れて・・・今すぐ。」


「・・・・・・」


「夕立と時雨もそうだけど・・・こいつもそれ以上に遠慮なしだな!」と思った提督。


「提督・・・おこた。 寒くて歩きたくないから・・・おぶって。」


「・・・・・・」


見た目は「構わないで!」と孤立した感じだが、要求は・・・「夕立と時雨」並みである。


「ほら・・・背中に乗れ。」


「・・・ありがと。」


提督は山風を家に連れて行った。


・・・・・・


「おこた・・・わーい・・・おこただ。」


真っ先に炬燵を占領する山風。


「お前は猫か!?」と思う提督。


「お~! 山風じゃん! 何、今日来たのか!」


「・・・うるさい! 江風!」


「何だよ! せっかく姉妹が会えたのに、その態度は無いだろう、ん~?」


「だから・・・うるさい・・・構わないで!」


そう言って炬燵の中に入って出てこない山風。


江風が引っ張り出すが、全く出る気配がない。


「山風~・・・プリン食べるか?」


プリンの言葉を出すと、炬燵の隙間から顔を出し、


「・・・食べさせて。」


炬燵から全く出ない山風に、


「じゃあ、おあずけね・・・時津風食べる~?」


「いいのぉ~! わぁ~い!」


時津風にプリンが渡された光景を見て・・・


「・・・ひぐっ・・・ううっ・・・えっく・・・」


急に泣き出し、


「えうっ・・・ひっく・・・うええ・・・」


「泣くなよ・・・お前が悪いんだぞ、山風。」


「ひぐっ・・・うえええん・・・びえええ・・・」


「・・・・・・」


あまりにも泣きじゃくるので、


「(結局構ってあげるオレw) ほら、食べろ。」


スプーンですくって山風の口元へ、


「はむ・・・はむ・・・おいしい~。」


あれだけべそをかいていたのが急に泣き止んで、


「・・・もっと・・・」


「・・・仕方ないなぁ・・・ほら (うむ・・・可愛いw)」


提督はまるで猫に餌を与えているかのようにプリンを差し出した。


・・・・・・


「これで何人家に来たかな・・・ひい、ふう、みい・・・10人か。」


「そろそろ家の増築でもやろうかな・・・」と考える提督。


「でも、皆のまとめ役が欲しいよな・・・オレ1人でまとめるのは困難だしな。」


そう思っていると、


「にゃあ~・・・にゃあ~・・・」


「・・・今度は猫か・・・」


箱の中で寝ているのか、声がする。


「どれどれ・・・」


そっと箱を開けると・・・


「・・・うん、今度こそ猫を拾った・・・ある意味でなww」


提督は猫?を連れて帰った。


・・・・・・


「軽巡・・・(猫のタマ)多摩です・・・猫じゃないにゃ。」


そう言って、山風を押しのけて炬燵に入るタマ・・・やっぱり猫である。


「いい感じにゃ♪」


そのまま寝てしまった。


いつもなら文句を言う皆だが、軽巡だからか・・・駆逐艦たちは誰も文句を言わない。


「いいじゃないですか~・・・多摩さんは本当の猫みたいで可愛いですよね、司令!」


「まぁな・・・それで、比叡はいつになったら食材の無駄を無くせるんだ?」


「え~・・・それはですね・・・てへへ♪」


比叡はメシマズで有名である・・・この家に来てから、約半数の駆逐艦(5人)を体調不良にさせてしまった。


「夕立と時雨なんか、比叡の料理を食べる時に怯えてたからな。」


「いや~・・・感動して嬉しかったんじゃないですかぁ~♪」


「終いにはオレの方を見て「助けて」の様な眼差しをしていたぞ?」


「てへへ~♪」


夕立と時雨は体調不良で布団に入っていた。


※ちなみに後の3人は満潮・朝潮・天津風であるww


・・・・・・


「さてと。」


夜になり、駆逐艦たちは就寝し、比叡も床に着く手前、


「あれ、司令・・・お出かけですか?」


「ああ・・・久しぶりに飲みに行ってくる。」


「わかりました・・・気を付けて行ってくださいね♪」


比叡に送られ、提督は外出した。


・・・・・・


「たまには1人で晩酌も悪くない。」


居酒屋に入って、つまみと酒を注文する、


「毎日夕立たちのペースに付き合うのは正直疲れるよ。」


愚痴をこぼす提督、


「でも・・・可愛げがあるし、出撃と遠征はきちんとやってくれるから文句はないけどね。」


文句はないが、年が40半ばの提督にとって子供たちの相手は骨が折れるようだ。


「誰か、皆をまとめてくれる人が来ればいいんだけどなぁ~。」


最初は比叡にしようかと思っていたが、あの子は意外にものんびりしていて、まとめ役には合わない・・・


夕立たちが悪さをしたら、「比叡カレー食べる?」と言って脅かす位の効果しかない。


「・・・・・・」


2つ先の席で何やら騒いでいる艦娘がいた。


「だ~か~ら! 皆寄ってたかって!」


「ちょっ!? 大鳳さん! 飲み過ぎよ!」


飲み過ぎで暴れる大鳳とそれをなだめる瑞鳳の姿があった。


「空母なのに胸部装甲がない・・・そんなの関係あるわけ!? それってセクハラじゃないの!?」


鎮守府で提督と揉めたのだろうか・・・


「装甲空母なのに、ワンマン大破して「役立たず」・・・って仕方がないじゃない! 私は運が全くないのよ!」


確かに・・・大鳳の運はたったの2しかないが・・・


「挙句に私を秘書艦から外して、蒼龍さんに変えて・・・何が、「やはり空母はデカくないとな♪」ですって・・・


 だったら最初から蒼龍さんにすればいいじゃない!!」


かなり不機嫌な大鳳である。


「うわぁ~・・・正直関わりたくないなぁ~」と思った提督だが・・・


「・・・・・・」


大鳳が提督を睨む・・・「やばい、絡まれそう・・・」と警戒する提督。


予想通り・・・


「あなたは〇〇鎮守府の・・・提督! 空母って何なんですか!? 胸部装甲が無ければ空母じゃないんですか!?」


「・・・・・・」


「一撃で大破する空母は・・・役立たずなんですか!?」


「ちょっと! 大鳳さん! 落ち着いて!!」


瑞鳳が止めるも・・・


「離して瑞鳳さん! 運がない私の気持ちなんてわかるもんですか!!」


「・・・・・・」


「どう思いますか提督! あなたの意見をお聞かせ願います!!」


「・・・・・・」


提督は少し考え、素直に言った。


「まぁ、その提督の好みが胸部だってのがわかるから・・・はっきり言って一理あるな。」


「なっ!? そう・・・提督もやっぱりあの提督と同じ考えなのね!?」


「いや、オレは違うけど・・・」


「何が違うんですか、結局男はそこしか見てないんでしょ!!」


「・・・・・・」


少しムッとして、


「オレをお前がいる鎮守府のスケベな提督と一緒にしてもらっては困るなぁ・・・オレが魅力と感じているのはなぁ、


 胸でも運でもない! 心だ!! こ・こ・ろ!!(決め台詞!)」


「・・・・・・」


大鳳は一瞬無言になり・・・そして、


「そう・・・そうですよね!! 心ですよね!! 胸とか運で決めるんじゃなくて・・・人は心ですよね!」


「そうだ! そんなに提督が文句垂れるなら言ってやれ! 「人は心だ!!」って!!」


「そう・・・そうよね・・・私ったら何を悩んでいたんだろう・・・よし! 今から帰って提督に言ってやるわ!!」


何故か意気投合した2人・・・


「よし! その意気だ! 自分の溜まり溜まった不満をぶちまけろ!!」


「はい! 行って来ます!! 装甲空母大鳳!! 鎮守府に戻って提督に意見具申します!!」


そう言って、大鳳はふらついた足取りで瑞鳳に支えられながら居酒屋から出て行った。


「ふぅ~・・・やっと静かになった・・・」


その後は1人しみじみと静かな時間を過ごした提督であった・・・


その後、酔った勢いで提督に不満を本当にぶちまけた大鳳はクビになったようで、


責任を感じた提督が代わりに引き取ってあげたwww


・・・・・・


最近時津風が駆逐艦の子を連れて来た。


名前は雪風・・・時津風の姉妹にあたる艦娘で、運が駆逐艦最強の幸運の女神が宿った駆逐艦である。


「今日から雪風もこの家に住むから・・・よぉ~ろしくぅ~!」


舌足らずな口調で時津風は喋った。


「・・・・・・」


時津風は犬属性・・・雪風はどちらかと言うと・・・リスだな。


断ってもどんどん連れて来る駆逐艦たち・・・提督も諦めて素直に受け入れることにしている。


「しれぇ! よろしくお願いします!」


時津風と違って話し方は元気いっぱいである。


「ああ、よろしく。」


軽い挨拶を終えて・・・


「よし、じゃあ早速・・・」


提督は雪風を呼んで、


「オレのために是非とも協力して欲しいことがある・・・手伝ってくれるか雪風?」


「はい! しれぇのためにこの雪風! 頑張ります!」


「よし! 良く言った! では、目的の場所へ行こうか!」


2人はある場所へと向かった。


・・・・・・


着いた場所は・・・宝くじ販売店。


「しれぇ・・・ここで何をするんです?」


「・・・それはな。」


提督は雪風の前に腰を下ろし、雪風にお金を渡す。


「雪風・・・お前の幸運の女神を信じて頼みたい・・・この金で宝くじを当選させてくれ!!」


と、掌を合わせて雪風に願った。


「な、な、な、何してるんですか、しれぇ!?」


意味が分からず、困惑する雪風。


「ああ、ごめん・・・つまりだな、このお金であそこにある宝くじを1枚買ってきて欲しいんだ。」


「何だ・・・そんな事ですか・・・わかりました! 買ってきます!」


雪風は提督からお金を受け取ると、販売しているおばさんからくじを1枚買ってきた。


「しれぇ! これでよろしいでしょうか?」


「ああ、ありがとう! じゃ、ご褒美にアイス買ってやるよ。」


「わ~い! ありがとうございます!」


帰りにアイスを買ってあげて、また家に戻った2人。


・・・・・・


「宝くじの発表は3日後・・・頼むよ、当たってくれ・・・ここの所、夕立たちのおやつの出費で家計がヤバいんだ。」


提督は家に帰っても掌を合わせて当選することを願っていた。


・・・・・・


「さてと・・・今年のクリスマスはどうするかな・・・」


家にもう10人以上艦娘が居候している・・・家の増築を明石に頼んだところである。


いつもなら1人でしみじみケーキを2切れあれば良かったのだが、今年はそうも行かない・・・


駆逐艦たちが「ケーキ!」 「プレゼント!」と騒いでいるため、料理とケーキの発注数を考えていた。


「と言うか・・・オレが世話してるんだから、オレにプレゼントくれよ!」


と内心思う提督。


「まぁ・・・それはまだ置いておいて・・・ケーキは・・・ショートとチョコとチーズでいいな・・・後は料理の方・・・と。」


執務室でひたすら考える提督の姿があった。


・・・・・・


「色々考えていたら、こんな時間になってしまった。」


既に深夜、雪も降っていて気温も氷点下である。


「流石にこんな雪で氷点下な外で。、箱なんて置いてないよね?」


提督は「無いわな。」と苦笑しながら皆のお土産を買いつつ、帰宅した。


「・・・・・・」


帰宅途中である、


「・・・またか・・・」


今度は箱ではなく・・・鎌倉! しかも、中には誰か入っていた。


「・・・・・・」


覗くと・・・


「何ですか? 私に何か用ですか?」


陽炎型駆逐艦の不知火が中に入っていて、


「何やってんの、こんなところで?」


「見ればわかりませんか? 鎌倉の中にいるんです。」


「まぁ、見ればわかるけど。」と思った提督。


「・・・で、何でこんな道のど真ん中に鎌倉を作って中に入っているんだ?」


「・・・この道で待っていれば、引き取ってくれる人間がいると聞いて・・・。」


「・・・・・・」


「それはあなたですか? であれば私を編成に入れておくべきかと。」


「・・・う~ん・・・」


「何でしょう・・・不知火に落ち度でも?」


「・・・・・・」


本人には言えないけど・・・不知火の第1印象って・・・「怖い」の一言なんだよなぁ・・・


「何ですか、その不満げな顔は・・・でしたら私の事は構わないでください!」


「・・・・・・」


「構うな。」と言うのは「構って欲しい。」の裏返しなんだよなぁ・・・


・・・という事で、


「よし、優しいオレが構ってやろう! 不知火!」


提督が鎌倉の中に入って、


「何ですか!? 勝手に不知火の領域に入らないでいただけますか!!」


不知火の事などお構いなしに、


「やめて下さい! 不知火にそんな趣味はありません!」


「そんなこと言うなよ、オレの家の駆逐艦はこうすると「もっともっとぉ~!」って目を輝かせるんだぞ!」


「不知火はそんなことをされても嬉しくありません!!」


「そうだ・・・お前はこれから不知火の文字を入れ替えて、シラ犬でどうだ?」


「はぁ!? 何をふざけた冗談を!!」


「いいじゃん! オレは犬が好きだからさぁ!」


「そういう問題ですか!? いい加減にしないと海に沈ませますよ!!」


不知火はさっきから怒り心頭である。


「あのさぁ、お前は何でそう不機嫌なのさ? それだから周りが怖がって遠ざかるんだぞ、わかるか?」


「そ・・・そんなことを言われても・・・」


「それに「私に落ち度でも?」とか「沈め。」とか言えばそりゃあ・・・誰も話したがらんわ。」


「・・・・・・」


「オレが皆を引きつける魔法の言葉を教えてやろう・・・それを言ったらお前も言え・・・コホン、では・・・」


提督がその言葉を言った。


「!? 無理です。」


即答で拒否する不知火。


「はぁ? 簡単だろう、これくらい。」


「・・・無理です。」


「可愛いって言われるぞぉ、皆から撫で撫でされるかもよ?」


「・・・無理です。」


「・・・お前なぁ・・・」


「無理なものは・・・無理です。」


「そうか・・・はぁ~・・・」


提督は諦めて、


「まぁ後は勝手にやってくれ・・・深夜はもっと寒くなる、ここに居ると凍死するからさっさと鎮守府へ戻れ。」


「・・・言われなくてもわかっています。」


シラ犬は不満げにその場から去った。


「・・・ふむ。」


提督に言われた言葉がとても気になり・・・


「まぁ・・・試してもいないのに無理と言ってはダメですね・・・一度提督の事を信じて言ってみましょうかね。」


そう思いながら、鎮守府へと戻っていった。


・・・・・・


3日後・・・


「雪風! やったぞ! お前のおかげだ!」


朝から提督の声が騒がしい。


「ど、どうしたのですか司令?」


雪風は首を傾げる、


「お前に頼んでくじ買ってもらっただろう? 今日当選日だから新聞で数字を確認したら・・・そしたらな・・・」


提督は大声で、


「1等・・・1等が当たったんだよ!!」


提督は飛び上がっていた。


「はい! 雪風には幸運の女神がついていますからね!!」


雪風は鼻を高くする。


「それで・・・1等はいくらなんですか?」


「3億・・・3億円当選したんだよ!!」


「3億・・・」


大人からすれば飛び上がるほど嬉しい金額だが、子供にはその金額の凄さがわからなかったようで・・・


「3億って・・・どのくらいのお金なんですか?」


「・・・・・・」


そうか・・・駆逐艦の子(特に雪風と時津風)はそもそも1万円すら手に持った事はなかったっけ・・・


「そうだな・・・わかりやすく言えば・・・」


「はい。」


「プリンとアイスが・・・100万個買っても余るくらいの金額だ。」


「!? 凄いですね!? そんなに食べきれませんよ!!」


単純な雪風は驚きつつ飛び上がった。


「よし! 今日は皆にプリンとアイス・・・それにケーキをご馳走してやろう!」


「わ~い!! 嬉しいです!!」


雪風のおかげで当面の生活費とおやつ代は潤った。


・・・・・・


「温泉?」


「ああ、たまには皆で温泉でも行かないか?」


提督の提案に、


「温泉・・・お風呂に浸かったら気持ちいいっぽい~♪」


「そうだな・・・その後のミルクがまた美味いんだよね!」


「ちょっと江風、君は温泉後のミルクが目当てなだけだろ?」


「温泉・・・水泳ってできる~しれぇ?」


と、皆目を輝かせていた。


「決まりだな・・・明日行くから各員準備をしておくように!」


皆「了解!」


朝の朝礼はこれで終わった。


・・・・・・


提督の鎮守府で・・・


「ねぇ、提督!」


潜水艦の皆がやたら提督に絡む。


「何だお前ら。」


「夕立たちから聞いたでち! 明日皆で温泉に行くって!」


「・・・・・・」


「ゴーヤの連れて行って欲しいでち!」


「ああ、抜け駆けはずるい! イムヤも!!」


「はっちゃんも・・・その前に・・・新しい本が・・・欲しいです。」


「・・・・・・」


「提督ぅ~!! イクも行くの~♪」


「はぁ~・・・」


提督はため息をついて、


「いいけど・・・行くときは私服で来てくれよ・・・水着では絶対に来るな、わかったか?」


「え~! 何ででち? ゴーヤは水着しか持ってないでち!」


「水着じゃダメなんですか提督!!」


「そりゃそうだ・・・どうせ温泉で泳ぐ気満々だろお前ら?」


「むむむ・・・」


「温泉と言うのは水着で入る場所じゃない、 基本は全部脱いで入る場所だ。」


「全部!? ゴーヤ皆に裸見られるのは嫌でち!」


「わ、私も・・・イムヤもキャンセルで。」


「提督・・・温泉はいいから・・・新しい本・・・買って。」


「全く・・・」


ゴーヤたちをよそに、


「イクは私服持ってるの~・・・だからイクは行くの~!」


イクは行くようで、


「わかった・・・潜水艦はイクだけね・・・では、明日出発だから準備するように。」


「わかったの!」


潜水艦たちと別れた提督、


その後も、各艦娘に伝えて鎮守府の半数が行くことになった。


・・・・・・


「温泉、温泉♪」


夕立は温泉に浸かって上機嫌である。


「ふぅ~・・・いい湯加減。」


時雨も浸かりつつ声を漏らす。


「後は温泉後のミルクとご馳走! ああ~・・・よだれが出るわぁ!」


江風は相変わらず、食べ物の事しか考えていない。


「しれぇ! どこにいるのぉ~?」


構って欲しいのか、提督を探す時津風。


「提督だったら・・・あそこよ。」


満潮が指を指す。


「・・・・・・」


指した場所は壁・・・


「あんたちゃんと見た? この温泉は”男女別”よ! 混浴は禁止!」


「え~・・・つまんない。」


時津風は頬を膨らませる。


「最も・・・混浴でも私は断るけどね!」


満潮は「ふん!」と声を荒げた。


「まぁまぁ、満潮。」


朝潮がなだめて、


「朝潮は混浴だったら提督と入る? いくら提督だからって異性と入るのは抵抗ない?」


満潮が聞いて、


「そうね・・・でも、この朝潮・・・司令官のご命令であればいつでも混浴する覚悟でいるわ!!」


「はぁ~・・・」


満潮は呆れた。


・・・・・・


「何か隣は騒がしいな。」


提督は1人で温泉に浸かっていて、


「たまには皆で温泉もいいな・・・」


と、満喫している提督。


「・・・あそこで泡が出ている? ここは泡風呂ではないはずだが・・・」


目の前に見える泡・・・次第に提督に近づき・・・


「ぷはぁ~!! 提督ぅ~! イク、登場なの!!」


「!? おい、お前! 何でここに!?」


泡の正体はイク、しかも水着無し。


「やめろ! 早く女風呂へ戻れ!」


「提督ったら~初心で可愛いのぉ~♪」


「そうじゃなくて・・・何でお前がここに居るんだよ!」


「提督と入りたかったからに決まってるじゃない~。」


「ここは混浴禁止だ、早く戻れ! 命令だ!」


提督は顔をそらして言うも、


「提督は怒らないからイク好きなの~♪ 本当は期待してたんでしょ~、ねぇ~?」


イクは隣に座って、


「提督との温泉は最高なの! また来るの♪」


「・・・・・・」


しきりにイクの姿を見て、


「デカい・・・普段気にしていなかったけど、間近で見ると・・・本当にデカいな。」


そっと心にしまう提督だった。


その後、混浴している所を女将に見られてしまい、説教を受ける羽目になってしまった提督だった・・・


・・・・・・


皆が温泉から上がり、一方はミルクを買い、一方は扇風機で体を乾かし、一方は食事コーナーを見回っていた。


「また同じ景品・・・不幸だわ。」


扶桑と山城がくじ?を引いていた。


「山城、ここで諦めたらダメ・・・ここは何としても当てなきゃ。」


「わかっています、姉さま。」


2人が何故かくじを引き続けている・・・余程欲しいものがあったのか・・・


2人の先は常に不幸が待っている・・・今回は目的の景品が出ずに永遠引き続けるパターンか。


「ああ! また同じもの!! 何個目!? 20個目よ!」


「諦めないわ! あれを手に入れるまで・・・絶対に!」


「・・・・・・」



いや・・・同じものを20個連続で当てるのはある意味凄い運のような気がするんだが・・・


ちなみに扶桑達が欲しがっていた物は・・・”運が上がるブレスレット”だった・・・



「また同じもの・・・これで21個目・・・私たち・・・不幸だわ!」


「不幸・・・私たちはいつ不幸から抜け出せるのかしら・・・」


不幸だと思い込んでいる2人に、提督が渇を入れる。


「お前ら! さっきから不幸、不幸って・・・いい加減ネガティブ思考はやめろ!」


「提督、あなたにはわからないわ。 いつも運が無い私たちの生き方なんて・・・」


「十分運があるだろう! 見て見ろ、大鳳を!」


提督が大鳳を名指す。


「わ、私・・・ですか。」


大鳳が首を傾げる。


「お前ら・・・改装前は運が5もあるだろう? それに比べ大鳳は・・・たったの2しかないんだぞ!!」


扶桑達は、はっとする。


「しかも、改装後には扶桑達は10まで上がるよな? 大鳳は改になっても4だぞ! 4までしか上がらないんだぞ、わかるか?」


「・・・あ、あの・・・」


大鳳は困惑して、


「しかも、改二になれば扶桑は13、山城は14まで上がる! 十分運があるじゃないか! それなのに何が「不幸」だ!


 大鳳を見て見ろ! 運が全くないのに「不幸」なんて一言も言ってないぞ! 少しは大鳳を見習え!!」


「・・・それを言われるとへこみますけど・・・提督。」


大鳳はしょんぼりする。


「ああ・・・私たち、間違ってました・・・大鳳さんごめんなさい! そうよね、あなたは運が5もないのよね・・・


 それなのに私たち、「運がない」 「不幸」 だなって軽々しく口に出してしまって・・・本当にごめんなさい!」


「許してください! 大鳳さん! 私たちを許してください!」


大鳳の前で正座して謝る扶桑達、


「いや・・・別にいいですよ・・・顔を上げてください!」


大鳳はたじたじ、


「これからは大鳳さんを見習って、私たち・・・前向きに生きて行きます! 山城・・・わかったわね?」


「はい、姉さま! 大鳳さんを見習って、清く正しい生き方をしましょう! 姉さま!!」


扶桑達の「不幸」騒動はこれで解決したが・・・


「提督が・・・そんな風に思っていたなんて・・・私、悲しいです。」


今度は大鳳が落ち込む始末・・・


後日、大鳳に何か奢ってあげて機嫌を取ってもらった提督だったwww


・・・・・・


数日後、江風が風邪を引いて寝込んだ。


「・・・熱がある、しばらく寝て休んでろ。」


江風を看病する提督、


「提督ぅ・・・何かさっぱりしたもの食べたいよ。」


体調が悪くても主張だけは遠慮しない江風、


「みかん食べるか・・・桃缶もあったような・・・」


「桃・・・それ食べたい!」


「わかった・・・台所から取ってくるから大人しく寝てろ。」


提督は台所に向かい、


「・・・何か羨ましいっぽい~。」


夕立が2人の光景を見つめていた。


「江風~、桃缶開けて、皿に盛ったぞ~。」


と、部屋の扉を開けたのだが・・・


「・・・・・・」


「確か寝ているのは江風だけだったよな?」とさっきまでの記憶を遡る提督、


だが、そこにいたのは・・・江風と隣に・・・夕立がいた。


「夕立・・・体調が悪いっぽい~! 提督さん! 夕立にも桃頂戴っぽい~!!」


「・・・・・・」


提督は夕立の熱を見ると、


「・・・熱なんて無いじゃないか、嘘はダメだろ!」


「嘘じゃないっぽい! 本当に調子が悪いっぽい~!」


夕立はあくまで「調子が悪い」と言い張る。


「単に桃が食いたいだけだろ? さっさと布団から出て部屋から出ろ!」


「嫌っぽい! 夕立も桃食べたいっぽい~!!」


結局、桃狙いだった夕立・・・提督も呆れて、


「そんな悪い子には、今日の晩飯は抜きだぞ!」


「・・・嫌っぽい~・・・」


途端に静かになる夕立。


「どうする? 夕飯食べずに桃を食べるか、桃を我慢して夕飯にするか・・・選ぶんだ。」


「・・・・・・」


夕立は悩んで、


「今の夕立の気持ちは・・・桃が食べたいっぽい~!!」


と、江風用の桃を食べてしまった。


「か、江風の桃が・・・夕立の姉貴、ひでぇよぉ!!」


途端に泣きだす江風。


「決まったな・・・江風は後でアイスをやるよ・・・夕立は今日は夕食抜きね♪」


と、冷ややかな目で部屋を去った提督だった。


・・・・・・


夕食の時間、


夕立は胸に「盗み食い」の表示を張られ、壁に立たされることに・・・


江風には消化の良い「おかゆ」と食後の「バニラアイス」を出されて上機嫌である。


「提督・・・夕立も悪いけど・・・あれはちょっとやり過ぎではないかい?」


時雨が恐る恐る聞く、


「じゃあ時雨も隣に立つか?」


ニッコリ笑顔で尋ねる提督、


「ご、ごめんなさい・・・何でもないから・・・」


恐怖のあまり前言撤回した時雨、


家では普段、夕立たちの好き放題にやっているが、悪いことをすれば提督からのお叱りを受けることを承知の上である。


その点に関しては、誰も否定する者はいなく、提督も家の主を忠実に担っていた。


最も、悪いことをしなければ提督も怒らないのだが・・・


※そこは駆逐艦曰く、「構って欲しいから♪」 なのだろう・・・


・・・・・・


待ちに待ったクリスマス、鎮守府内では大賑わいだ。


「ケーキもたくさんあるからな! ターキーやミートローフにローストビーフ! 皆ご苦労だった、今日は楽しんでくれ!!」


提督の言葉が終わった途端、駆逐艦たちが我先にとケーキにかぶりついた。


「今年もプレゼントを用意したが・・・誰かに1つというやり方を変えて、テーブルに1人1個となるように置いておいた。


 どれか1つだけ選ぶこと・・・開けた以降は交換禁止とする!!」


と、テーブルの上に艦娘の数分の大きい箱や小さい箱が置かれていた、


「夕立、この大きい箱を貰うっぽい♪」


「白露は・・・この一番大きな箱を頂き~!!」


「僕は・・・控えめに中くらいの箱を・・・」


「直感! 多摩はこの箱が・・・私にふさわしいかもにゃ~。」


と、各自プレゼントを持っていった。


「うむ・・・今年もクリスマスを無事迎えられて良かった。」


その光景を見て、喜ぶ提督だった。


・・・・・・


片づけを終えて家に帰ると・・・皆が先に戻っていたようで、


プレゼントを開けて盛り上がっていた。


「夕立は手袋とマフラーセット! 明日から使うっぽい~!」


「江風は・・・おお! 間宮さんの券10枚じゃんか~! 遠征後に使おうっと~♪」


「多摩は・・・枕にゃ~♪ ・・・zzz~。」


「朝潮は、文房具セットでした! これはいつでも使い道があるので、ありがたいです!」


皆、中身を見て満足をしていた。


予想と違って不満を漏らした艦娘が1人もいなかったのが何よりの救いである・・・


・・・・・・


「クリスマスも終わったし、正月に向けて大掃除を始めるぞぉ~!」


と、提督が鎮守府と家で皆に号令をかけた。


「正月と言えばおせちに餅じゃん! 黄粉やあんこをまぶして食うとこれがうめぇんだ~・・・ああ、待ち遠しいなぁ!」


「江風・・・正月までまだ数日あるって・・・」


「正月と言えば・・・お年玉っぽい~! 来年はいくら貰えるかなぁ~っぽい~♪」


「・・・夕立まで・・・」


「はぁ~」っと呆れる時雨。


「なんだか賑やかですね。」


加賀が執務室に入って来て・・・


「賑やかなのは結構ですが、やるべきことはきちんとやってくれないと困りますよ。 駆逐艦の皆・・・わかってる?」


加賀がじっと睨むと、


「うう・・・わかったっぽい~・・・掃除掃除。」


「僕はあっちの部屋の掃除に行ってくるから・・・」


「江風さんは・・・トイレの掃除でも始めるかねぇ・・・」


そそくさと立ち去る皆。


「提督、甘やかすのは結構ですが、やりすぎではないですか? 皆好き放題やっていますよ・・・少しは提督と艦娘の上下関係を


 わきまえて欲しいのですが・・・」


「悪い悪い・・・何て言うか・・・見ていると憎めないんだよねぇ~。」


「・・・・・・」


「・・・と言うか、加賀がそんなこと言うなんて珍しいな・・・いつもなら何も言わず素通りするのに・・・もしかして。」


「?」


「加賀も夕立たちのように構って欲しい・・・とか?」


「・・・違います。」


「あ、そう。 じゃあ何でまた?」


「今日は私が提督の秘書艦だからです。」


「あ~そうだったっけ・・・」


「提督も早く執務に励んでください! 来年に向けてこれだけの書類をまとめなければいけないのですよ!」


そう言って加賀が高くそびえる書類を机に置く。


「はぁ~・・・毎日書類とにらめっこ・・・もうやりたくねぇ~。」


「やらないと、来年のお正月も書類整理に追われますよ?」


「やる! やりますとも!」


「でしたら、文句を言わず早く仕事をしてください!」


「は~い。」


提督は渋々仕事をし始めた。


・・・・・・


「それにしても・・・」


提督は加賀を見つめる。


「? 何ですか? 私の顔に何かついていて?」


「いや、そうじゃないんだけど・・・」


「なら早く仕事をしてください。」


「は~い。」



加賀は冷静で感情を表に出さないが、周りに気配りが出来てとても頼りになる。


人前で笑顔になるのは恥ずかしいからなのか、もしくは笑顔になれない理由があるのか・・・


彼女にも少しは夕立たちみたいに笑顔になれる機会があってもいいはずなのに・・・



「・・・そうだ、いいことを思いついた。」


提督はにやにやしながら、書類整理に没頭した。


「・・・・・・」


提督のにやけ顔に多少の違和感を感じつつ加賀も秘書艦の仕事を続けるのだった・・・


・・・・・・


1月1日、元旦。


「皆、明けましておめでとう!!」


鎮守府の朝礼室で、提督が皆に新年の挨拶をした。


皆「明けましておめでとうございます!!」


「皆のおかげで無事新年を迎えられた! 今年も皆の健康を願い、挨拶とさせていただく!」


提督はコップを上にあげて・・・


「それでは・・・乾杯!!」


皆「乾杯!!」


その言葉と共に、艦娘たちが一斉におせちや料理に手を出した。


「その伊達巻、夕立が食べるっぽい~!!」


「・・・あたしは・・・おこたで、お雑煮・・・」


「はむ・・・はむ・・・このハムとても味が染みていて・・・おいしいです!!」


「しれぇ! お餅~♪ 一緒に食べようよぉ~♪」


今年の正月もいつもと変わらないほんわかな1日であった。


料理を食べてしばらく経った後、提督が大量の袋を持って立った。


「では、お年玉を配る! まずは、駆逐艦から!!」


提督の言葉と共に、駆逐艦が一斉に並ぶ。


「はいこれ夕立のね、次は時雨・・・次は朝潮・・・次は・・・」


その後も順々に、


「次は重巡・・・次は潜水艦・・・次は・・・」


最後に・・・


「最後は戦艦と空母、ほい大鳳! ・・・次は比叡・・・次は・・・」


まさか戦艦や空母にもお年玉が貰えるとは思ってなかったようで、


「最後は・・・加賀! ほれ、お年玉!」


加賀の前にお年玉が出されて、


「結構です!」


何故か拒否した。


「? 何だ・・・いらないのか?」


提督は首を傾げる。


「・・・と言うか、お年玉と言うのは「子供」に与えるもののはず・・・それをどうして戦艦や空母にも配るのですか?」


加賀の質問に提督ははっきりと、


「オレから見れば、駆逐艦も戦艦も空母も・・・同じ子供に見えるからだ。」


「・・・・・・」


「子ども扱いは嫌い。」と思った加賀さん。


「まぁ遠慮するな、本当は欲しいくせに・・・ほら受け取れ!」


「結構です!」


「だから、遠慮するなって! これで、加賀の欲しい物を買え!」


「結構です。」


「じゃあさ、お年玉と思わなくていいから、臨時収入だと思えばいい・・・それでいいだろう?」


「・・・結構です。」


「・・・お前なぁ・・・」


「ですから結構です・・・お気遣いなく。」


「そうか・・・そこまで言うなら・・・これは瑞鶴にでも渡すかな。」


「瑞鶴」という言葉に加賀が反応して、


「!? 瑞鶴に渡すんですか!?」


思わず叫んだ。


「加賀は「いらない」って言っただろう? オレが誰にあげても文句はないだろう?」


「・・・・・・」



私が貰うはずだったお年玉を事もあろうに、瑞鶴に・・・あの5航戦の生意気なあの瑞鶴に・・・1航戦の誇り・・・


1航戦の誇りとしてここは・・・私が貰うべきではないかしら・・・



「あの、提督。」


「ん、何だ?」


「そのお年玉・・・やっぱり私に、いただけないかしら?」


「はぁ、何で? お前さっきいらないと言っただろう?」


「急に欲しいものが出来たんです! ですから、お譲りください!」


「ヤダ! これは瑞鶴に渡すから却下だ。」


「提督! そもそもそのお年玉は・・・私のですよね!?」


「・・・・・・」


加賀の執拗な言葉に、


「わかったわかった。 欲しいなら最初から言えよ全く。」


提督は加賀に袋を渡した。


「・・・ありがとうございます。」


加賀は受け取り、安心した。


「これで・・・赤城さんと間宮さんの店で食べに行きます。」


「そうかそうか・・・」


その場はそれで済んだが、


結局提督は加賀がなぜ急に心を入れ替えたのかは最後までわからなかった・・・


・・・・・・


新年も無事皆で迎えられ、お年玉も貰え幸せの真っ只中になったところで、いつも通りの1日が始まる。


「今日からまた出撃と遠征を始める! わかっていると思うが、深追いはしない事! 無理に達成しようとしない事!


 あくまで各員の安全を十分に確保できた状態から任務を全うすること! 以上だ!」


提督の教訓は「安全優先」、艦娘たちが提督を慕っている理由はそこにある。


無理に深追いさせない、疲労すれば回復するまで休憩させてくれる、「戦果より生存」がモットーのため、


艦娘達も「提督(司令)のために頑張ろう!」と心から思うのである。


・・・・・・


家に新たな艦娘が加わった。


長門と陸奥・・・駆逐艦たちのまとめ役としてこの2人を連れて来たのだが・・・


「長門さんて強いですね!」


「ビッグ7は伊達じゃないってことですね!!」


「長門さんに会えるなんて私嬉しいです!!」


「いやぁ・・・ふふふ・・・(どや顔)」


駆逐艦娘たちに褒められて上機嫌の長門、


「よし! このビッグ7! お前らと遊んでやろうではないか!!」


「わ~い!!」


「・・・・・・」


提督は瞬時に長門を連れて来たことを猛烈に後悔した。


確かに戦闘での火力や装甲は戦艦の中でも優秀と言わざるを得ない・・・だが忘れていた・・・駆逐艦たちが相手だと


調子に乗ってしまう・・・つまり威厳がなくなって駆逐艦と遊んでしまうのだ。


「長門! お前は子供かぁ!?(怒)」と叫ぶ提督。


「あらあらあらww」


傍で見ていた陸奥も苦笑しながら一緒に遊ぶ駆逐艦たちと長門を見ていた。


結局、陸奥だけが駆逐艦たちのまとめ役として担ってくれたのだった。


・・・・・・


この鎮守府に珍しい艦娘がやって来た。


「戦艦ビスマルクよ! よろしく頼むわね!」


海外艦のビスマルクがやって来た。


「海外艦・・・異国の艦娘と一緒になれるなんていい事だね。」


「服装も日本と違う、新鮮に感じる!」


「海外ってことは食べる主食も違うってことだよね? 何を食べているんですか?」


皆も興味津々だ。


「ふふん、もっと褒めてくれていいのよ! ふんふ~ん♪」


褒められていると思っているのか、鼻を高くするビスマルク。


「という事で提督、私を頼ってくれていいのよ~。」


「・・・・・・」


「こいつ偉そうだな。」と思いつつ、


「ああ、よろしく。」と軽い挨拶をした。


・・・・・・


「提督! 私の部屋! 汚いんだけど!」


着任早々、不満を漏らすビスマルク、


「わざわざドイツからやって来たのよ! この優雅で華麗な金髪の美人の私に、あんな汚い部屋は相応しくないと思わないの!?」


「う~ん、でも皆最初はあの部屋から徐々に私生活化していくんだけどな。」


「はぁ~・・・あなたって本当に女の気持ちがわからないのね!!」


ビスマルクは怒って、


「あなたねぇ! 私がやって欲しいと言ってるのよ! 何でそれに気づかないのよ! この鈍感提督!!」


「・・・・・・」


部屋が汚いと言われた挙句に鈍感提督と言われ、 


「そうか・・・オレは鈍感提督か、 そうかそうか。」


提督は不敵の笑みを浮かべ、


「な、何よ?」


ビスマルクが聞くと、


「なら廊下で寝てろ! お前のような場違いの女に部屋で寝る資格なんてねぇよ!」


と、部屋の立ち入りを拒否した提督、


・・・・・・


「うう・・・」


人がほとんど通らない廊下に布団を敷かれ、荷物も放り出される始末のビスマルク。


「何よ、少し甘えて見ただけじゃない・・・グスッ。」


悲しげなビスマルク・・・「後悔先に立たず」という言葉はまさにこの時の事を言うのだろう・・・


「どうしよう・・・」


今更「ごめんなさい。」と言えるはずもなく、執務室の前で悩むビスマルク。


「でも・・・今は冬・・・廊下での生活は寒くて辛いの・・・」


ビスマルクは悩みに悩んで・・・


バタンッ!! 


勢いよくドアを開けた。


「提督!!」


「・・・扉を開ける時はノックをしろと言ったはずだが?」


提督の言葉などお構いなしに、


「汚くていいから・・・その・・・部屋に入れて欲しいんだけど・・・」


「・・・・・・」


「廊下では寒くて耐えられないの・・・お願い・・・部屋を支給して・・・」


ビスマルクなりのお願いをしたが、


「汚いは余計なんだけど?」


「うう・・・へ、部屋を貸して。」


「貸して?」


「か・・・貸して・・・ください。」


「最初からそう言えよ・・・部屋よりお前の心の方が汚れてるわ。」


「・・・・・・」


普段なら、今の言葉で怒るはずだが、今回は何も言い返せないビスマルク。


「ほら、〇〇号室の鍵。 廊下にある荷物も全部入れておけよ。」


「・・・わかったわ。」


鍵を貰うと、執務室から出ていったビスマルク。


・・・・・・


「しれぇ、何飲んでるの?」


酒を飲んでいる提督に構って欲しいのか時津風が寄ってくる。


「何それ? ジュース? あたしにもちょ~だい!」


コップを持ってきて前に出す。


「これは駄目、子供が飲むものじゃないの。」


「しれぇ! ちょ~だい! ちょ~だいってばぁ!!」


「駄目だ、お前は大人しくオレンジジュースでも飲んでろ!」


「ヤダ~!! 飲みたいったら飲みたいってばぁ!!」


「はぁ~。」っとため息をついて、


「仕方ない・・・少しだけな・・・少しだけ。」


「わぁ~い♪」


コップに注がれて喜んで飲み干す時津風。


「ぷはぁ~・・・あらしぃ~なにゅか・・・へんにゃ~気分・・・あははは~」


すぐに酔ったのか、ろれつが回らない言葉を発し、


「あははは・・・何か頭がぽけ~っと・・・うへへへ~。」


「あ~あ、だから言ったのに。」と思った提督。


すぐに床で寝てしまい、寝室に連れて行った提督だが・・・


翌日、子供に酒を飲ませたとして陸奥にこっぴどく叱られた提督であった。


・・・オレは悪くない!(本人談)


・・・・・・


「はいは~い♪ 提督、私が頼んだものは届きましたか?」


「ああ、これでいいのか?」


と、彼女のお望みの物であろう品物を渡す提督。


「ありがとうございます♪ ・・・これですこれ! 今日の昼食に頂きますね♪」


村雨は上機嫌で執務室から出て行った。


夕立・時雨たちと同じ白露型の村雨、駆逐艦の中では珍しく、大人のような印象を持っている。


夕立や時津風が「可愛い」と言うなら村雨は「美しい」という表現が使われる。


普段大人のような口調をする一方で、忙しくて相手に出来ないときは・・・


「うわぁ~ん!  構ってぇ~!  提督ぅ~!!」


と、子供の一面もあって、掴みどころがない彼女である。


・・・・・・


「それでですね・・・提督がこの前ですよ・・・」


空母と戦艦・重巡の席で村雨が会話をしている。


艦種に関係なく誰とでも会話が出来る事が村雨の特技であった。


当然ながら、空母や戦艦の艦娘達も村雨の存在には一目置いており、


何かと彼女に相談を持ち掛けることが多い。


「提督と今度飲みに誘おうかと思ってるんだけど、村雨ちゃん何かいいアイデアない?」


「それならまず秘書艦をやって・・・その後、深夜の夜にいつもと違う甘い言葉で誘うとか・・・そうですね・・・


 「提督・・・今日はあなたと一緒に夜を過ごしたい♡」とか言ってみてはどうですか?」



注:村雨は駆逐艦であるw



「提督とお近づきになりたいけど・・・私、奥手なのよね・・・どうすればいいかしら?」


「それなら何でもいいので、まずは提督に話しかけてみてはどうです? そこで趣味とか好きな物を咄嗟に聞いてみるんです。


 ビスマルクさんと同じ趣味や好みがあればそこできっかけが生まれます、そうすれば会話が弾みますよ♪」



注:村雨は駆逐艦であるww



「私は運が全くないからいつも被弾するのよね・・・はぁ~・・・」


「大鳳さん! 「運がないから」と思うからいけないんですよ! 運と言うものは自分で見つけるものです! 


 「ない、ない」ばかり言っては今後も上手く行きません、前向きにやりましょうよ!」



注:村雨は駆逐艦であるwww



「提督と今夜夜戦・・・上手くできるかしら・・・」


「責められるのではなく、自分から責めるんです! 受け身では提督も「つまらない女」と思うかもしれませんよ!


 自分から誘って自分から責めるんです! 大抵の男はこれで堕ちますよ!」



・・・何度も言うが村雨は駆逐艦である。



空母や戦艦に対しても的確なアドバイスをする村雨は皆から絶大な信頼を受けていた。


・・・・・・


「皆~、正月に買ったケーキや餅の残りがあるぞ~・・・誰か食べるか?」


提督があらかじめ皆のために大量に発注したケーキや餅の残りを厨房に出した。


「え~ケーキ・・・夕立もう飽きたっぽい~。」


「僕もケーキはいいよ・・・お餅ならあんこや黄粉をかけて食べようかな。」


「司令官の命令であればこの朝潮! 喜んでケーキを頂きます!」


「ちょっと朝潮! もうケーキはいいわよ! 最近正月太りで艤装が装着できないじゃない!!」


意見は賛否両論で、少しだけ在庫が減ったくらいである。


「う~ん、困ったなぁ・・・捨てるのはもったいないし・・・」


提督が困っていると、横から・・・


「提督・・・そのケーキとお餅の山・・・どうしたんですか!?」


涎を垂らして今すぐにでも喰らいつきたい表情の赤城が目の前に現れ・・・


「来た・・・過去に何度も冷蔵庫の中身を全て食い荒らした鎮守府最強の胃袋を持つ航空母艦”赤城”!」と思った提督。


「あの~そのケーキとお餅は・・・余ったんですか? それとも・・・誰かの分なのですか?」


涎が一向に止まらないその光景ははっきり言って・・・汚い!!


「まぁいいか・・・赤城にやろう!」と思い、


「在庫で余ったんだ・・・食べたければ好きなだけ食べてもいいぞ!」


「待ってましたぁ!!」と用意していたのか、箸とフォークを取り出し・・・


「いただきま~す!!」と丸1個のケーキ(25cm相当)を2口で平らげ、餅も固いままでかぶりついた。


「おいしい~!! さっき鳳翔さんの店でご飯100杯しか食べていなくて・・・全然お腹いっぱいにならなくて・・・


 ひもじくて辛かったんですよぉ~!!」


「・・・・・・」


「なるほど・・・鳳翔が「今日の営業は残念ですが終了しました」の報告はこいつが原因か。」と確信した提督。


そう思っているうちに、あれだけあったケーキとお餅が残り数個になって、


「ご馳走様です! あ~・・・お腹いっぱいで満足です!」


「それはよかった。」


・・・それ以上に赤城の口から「ご馳走様」の言葉を聞くのが初めての提督だが、


赤城が予想だにしない言葉を発した。


「では・・・デザートとして残りのケーキとお餅を・・・いただきます!!」


再び食べ始めた赤城、


「!? おい、マジかよ!!」とさすがにその光景を見て驚く提督、


結局在庫のケーキ(15個分)と餅(約100個)を全て平らげ、


「ふあ~あ・・・赤城寝ま~す・・・起床は8時間後です!」


と言って、その場でいびきをかいて寝てしまった。


「食っちゃ寝は伊達じゃない!」と改めて感じた提督だった。


・・・・・・


赤城の食欲の凄さは、先ほどのケーキと餅だけに留まらず、


提督が言ったように「過去に冷蔵庫の中身を数回にわたり空っぽにした」要警戒艦娘である。


出撃後の腹ごしらえなら何の文句もなかったが、最近では休日の日にも関わらず


出撃後の食事量に留まらず、駆逐艦たちの食事にも口を出すようになり・・・駆逐艦の皆から苦情が来たほどである。


「提督さん、夕立のプリン・・・赤城さんに取られたっぽい~(泣)」


「空母だから流石に逆らえないから・・・僕の分まで取られた・・・」


「しれぇぇぇぇ!!!! あたしの・・・あたしのアイスがぁぁぁぁ!!!!(注:時津風)」


「江風の風呂後の牛乳とアイス・・・赤城さんに食われて・・・災難だよぉぉぉぉ!!!!」


「はぁ~・・・」とため息をつく提督。


「何とか赤城の食欲を無くす方法は無い物か・・・」と悩んでいた提督。


・・・・・・


その悩みは村雨のある行動で解決することに・・・


提督が村雨と一緒に昼食を摂っていた時の事である、


「最近バルジが増えた(体重が増えた)ので・・・ダイエットしているんです。」


と言って飲み物に何か種のようなものをたくさん入れて飲み干した村雨・・・


「今飲んだ種みたいなのは何?」と聞いたところ・・・


「ああ・・・これは種ではありませんよ・・・ダイエット食品の一種でこの1粒が水分を含むと数10倍に膨らむんです・・・


 コップ1杯飲めば、胃の中で膨らんであたかも食事をしたのと同じくらいに満腹になるんです。」


「へぇ~そうなんだ。」と最近のダイエット食品に関心する提督・・・それと同時に、


「もしかしたら・・・これを使えば!」とニヤニヤしながら何かを思いついた提督だった。


・・・・・・


「本当の・・・本当ですか!?」


赤城が目を輝かしている。


「提督の家で・・・ご飯を食べたい放題なんですか!!?」


「ああ、今日は特別に赤城を家に招待しようと思ってな。」


それを聞いて赤城は「ごくん」と涎を飲んだ。


「食べます! 是非とも食べさせていただきます!!」 


赤城の頭の中は食事の事でいっぱいである。


「まぁ・・・そんなに涎を垂らさなくていいからさ(はっきり言って汚い)家に着くまで辛抱しな。」


「もちろんです提督!」


赤城はステップをしながら提督と家に向かった。


・・・・・・


「さぁ、出来たぞ赤城。」


夕立たちの手伝いもあって、赤城の前にテーブル一杯に食事が出された。


「これ全部頂いちゃっていいんですか!? 本当に全部食べていいんですか!!?」


赤城の体がキラキラ化した。


「ああ、いいよ・・・「全部食べれれば」だがな。」


「?」


「じゃあさ、賭けをしようか・・・全部食べたら赤城の勝ちでデザートも用意しよう・・・ただし食べれなかったら赤城の負けで、


 ”罰ゲーム”を受けてもらう・・・で。」


「・・・罰ゲームとは一体何ですか?」


「何だ・・・最初から負ける心配してるのか? なら食べなくていいんだぞ?」


「・・・・・・」


赤城の食欲にスイッチが入ったのか、


「食べます! 余裕ですよ、この程度の量!! 私が勝ってデザートもいただきますよ!!」


「そうか・・・なら・・・始め!」


「では・・・遠慮なく・・・いただきま~す!!」


そう言って、目に見える物から順に食べ始めた。


「はむはむ・・・はむ・・・はむ・・・」


赤城はペースを落とすことなく食べ続ける、


「・・・・・・」


夕立たちが茫然と見つめていた。


「はむはむはむ・・・じゅるるる~・・・ばくばくばく。」


少しもペースが落ちることが無い・・・流石は最強胃袋空母である。


「ばくばく・・・はむ・・・んんっ・・・うぷっ・・・」


何故かペースが急激に落ちた赤城・・・


「どうした? まだ半分も食べてないぞ赤城・・・調子でも悪いのか?」


ニヤニヤする提督、


「うぷっ・・・何で・・・まだ少ししか食べていないのに・・・ううっ・・・お腹が苦しい。」


それでも食べるが、徐々に食べるスピードが落ちて行き、赤城も次第に顔から汗が滴り落ちてきて・・・


「ううっぷ~・・・ううっ・・・は・む・・すすー・・・はぁはぁはぁ。」


息も絶え、苦しいのか脂汗まで出る赤城の姿に、


「どうした、残すのか? 罰ゲーム受けるか? ん~?」


提督がニヤニヤする、



提督がやったこと・・・それは村雨が服用していたダイエット食品の種を大量購入して食事に通常の何百倍もの種を


入れていたのだ・・・提督の思惑通り、赤城はすぐに腹いっぱいになり苦しんでいた。



「・・・うええ~。」


結局食べられず残してしまった赤城・・・約半分の量が残っていた。


「はい残念~・・・罰ゲーム確定~!」


「うぷっ・・・うええっ・・・ば、罰ゲームって?」


「それはだな・・・おい、お前ら!」


提督が合図すると、夕立たちがテーブルに残っていた食事を各自手に取って・・・


「赤城が今日中に全部食べ終わるまで、家から出しません!!」


「!!? 無理です!! 今は本当にうぷっ・・・無理です! 無理です!」


赤城の言い分などお構いなしに、夕立たちが囲み・・・


「早く食べるっぽい~!」


「ほら赤城さん・・・今まで散々僕たちの分を取って行った報いだよ・・・ほら食べて!」


「赤城のおばさん、アイス~・・・はい、あ~ん。」


「もちろん嫌なんて言わないよね? あたしの風呂後の牛乳も・・・ほら飲んで!」


容赦なく駆逐艦たちの反撃が始まり、


「待って! 本当に無理! 無理だから・・・ごめんなさい! もう取ったりしないから・・・許して!」


赤城は必死で謝るも・・・


「赤城さん、皆で一生懸命作った料理を残すんですか? 空母としてそれは失礼ではありませんか?」


「サイッテー・・・せっかく作ったのに。」


「残したら明日から食事は出ませんよ・・・それでもいいんですか?」


駆逐艦たちが次第に鬼の形相になり、嫌がる赤城に無理やり口に放り込む皆であった。



・・・これを機に、赤城のつまみ食いは無くなったとかww


・・・・・・


「提督さん! 遠征大成功っぽい♪ 夕立頑張ったっぽい~! 褒めて~♪」


勢いよく扉を開ける夕立、


「こら、夕立! 扉を開ける時はノックをしろと何度も言ってるだろう!」


「ごめんなさいっぽい~・・・あれ、春雨・・・何してるっぽい~?」


夕立が見た光景、春雨の膝に提督の頭が乗っている光景・・・


「あ、夕立姉さん・・・いつもお仕事で疲れている司令官に休憩してもらっているんです。」


そう言いつつ、耳かきをする春雨。


「ああ・・・春雨の耳かき・・・気持ちいい、それに膝枕もこれはなかなか心地いい♪」


「そうですか・・・良かったです♪」


春雨は満足げだ、


「・・・・・・」


その光景を見て不満に思ったのか、


「春雨だけずるい! 夕立も提督さんに構って欲しいっぽい!」


・・・と、提督の目の前に座り込む夕立。


「提督さん! 遠征大成功したっぽい! 褒めて~♪」


「そうかそうか、よしよし♪ いい子だ。」


提督は夕立の頭をなでなでする。


「ぽい~♪ ぽい~♪」


夕立は満足げだ。


「よし! 春雨ありがとう、少しは疲れが取れたよ。」


「はい、司令官もあまり無理をしてはいけませんよ。」


「ああ、気を付けるよ・・・ほら、間宮券だ・・・これで村雨と食べに行って来なさい。」


「わ~い♪ ありがとうございます♪」


春雨は上機嫌で執務室から出て行った。


「提督さん! 夕立にも間宮券欲しいっぽい!」


「ごめん、春雨に渡したので最後だ。 今度渡すから我慢してくれ。」


「ぷぅ~・・・夕立も欲しかったっぽい~。」


頬を膨らまして訴える夕立、


「ごめんごめん、そう言うなって、 よしよし~。」


また夕立の頭をなでなでする。


「ぽい~♪ ぽい~♪」


夕立は満足げだ。


「・・・・・・」


「安上がりで助かるよ。」と思い、心にそっとしまっておく提督であったww


・・・・・・


「あの・・・司令。」


「お、秋月か・・・どうした?」


鎮守府に所属している秋月、対空値が駆逐艦トップで空母戦では無類の活躍をしてくれる。


「私の妹の初月が、司令の家で居候している話を聞いて・・・」


「うん、いるよ。 毎日おにぎりを頬張っているよw」


「そうですか・・・今日私が家に行ってもよろしいですか?」


「ん、秋月が? 何でまた?」


「いつまでも司令の家に居させるわけには行かないので・・・姉として初月を説得したいのです。」


「・・・・・・」


「流石お姉さん! しっかりしてるなぁ!」と思った提督。


「わかった・・・今日の仕事が終わったら、一緒に行こう。」


「はい、お願いします!」


そう言って、秋月を連れて行く約束をした。


・・・・・・


仕事が終わり、秋月と鎮守府外で合流・・・家に連れて行き、


「初月! いますか!」


普段大声で叫ばない秋月が珍しく叫んだ。


「!? あ、秋月姉さん!?」


初月は秋月の出現に驚く。


「いつまでも司令の家にいて・・・初月は恥と言うものはないのですか!?」


「・・・・・・」


「お姉さんに「すぐに司令の家から出る。」と最後に言ったのはいつですか? 去年ではなかったですか?」


「確かに・・・去年言った。」


初月は渋々答えていく。


「お姉さんは嘘をつく子は嫌いです!!」


「・・・ごめんなさい。」


初月は素直に謝った。


「・・・早く荷物をまとめて出る準備をして! そして、司令にお礼を言って、家に帰りましょう!」


「・・・・・・」


「何ですか、家に帰るのが嫌なんですか? 私や照月が嫌いになったの?」


「・・・そうじゃないけど・・・」


「じゃあ何ですか?」


「・・・・・・」


初月はしばらく沈黙して、堰を切ったように叫んだ。


「家に戻ったらまた朝と昼と夜のおにぎりは2個しか食べれないじゃないか! それに比べて提督の家はおにぎり


 食べ放題なんだよ!? 提督も「好きなだけここに居ていい」って言ってるし、それの何がいけないのさぁ!!」


「・・・おにぎり食べ放題!?」


秋月は「ごくん」と飲み込む。


「しかも、提督の家には調味料も豊富で卵かけご飯とか、ふりかけご飯とか・・・かつ丼だって食べていいんだよ!


 秋月姉さんだってそんな最高の環境に住んでいたら出る気なんて起きないだろう!?」


「・・・卵かけご飯・・・ふりかけご飯・・・」


秋月はまた「ごくん」と唾を飲んだ。


「今日だって・・・夜はチャーハンだし・・・それでも姉さんはこの家から僕を連れ出そうとしているの?」


「・・・・・・」


「確かに魅力的ですね・・・じゅるり・・・でも、初月は私と照月を差し置いて1人で楽しんでいたってことですよね?」


「!? そ、それは・・・」


「そんな自分勝手な妹はもう家に帰ってこなくていいです! 初月はずっとここに居なさい!!」


と、秋月から絶交宣言を受けてしまった。


「ま、待ってよ姉さん!」


家から出る秋月に、初月も文句を言われつつ、一緒に出て行った。


「・・・・・・」


「いつもと違う貴重な瞬間を見たな。」と思った提督だった。



秋月と初月の会話を間近で聞いていたため、家で「ひもじい生活」をしていた事が容易に想像でき、


同情した提督が秋月ら3人を家に住むことを許可したのだったwww


・・・・・・


「今日は蟹鍋にするか~。」


提督がどこからかたくさんの蟹を調達してきて今夜は蟹鍋となった。


「提督、スゲーじゃんか! どこで手に入れたのさぁ!!」


江風が蟹を見てはしゃぐ。


「魚市場に知り合いがいてな、今週は大漁だったらしく少しサービスしてもらったんだ。」


「サービスって・・・しれぇ、多過ぎませんか?」


「「家にたくさんの子供がいる。」と言ったらそれだけ貰えたw」


提督は笑いながら答えた。


「・・・・・・」


秋月含む3人が蟹を目視する。


「秋月姉・・・あれって・・・蟹よね?」


「うん・・・蟹です・・・カニカマではなく正真正銘、本物の蟹です。」


「じゅるり・・・足1本は食べられるかなぁ・・・」


初月は涎を垂らす。


「蟹を茹でて・・・後は野菜と豆腐を鍋に掛けて・・・と。」


提督は調理をする、


・・・・・・


「出来たぞ~・・・さぁ食べるか~!!」


机に大きな鍋が置かれて、皆で食事を楽しんだ。


夕立たちが我先にと蟹を頬張っていく中、提督がその中の蟹1匹を取り出して、


「秋月たちは3人で1つでいいかな?」


と、丸々茹でた蟹1匹が秋月たちの前に置かれた。


「・・・・・・」


3人は食べずに目視する。


「秋月姉・・・これ・・・蟹、だよね?」


「うん・・・夢じゃないですよ、正真正銘の・・・海にいる蟹です。」


「・・・初めてみた。」


蟹を凝視する3人を見て、


「こらこら・・・温かいうちに食べないとおいしくないぞ・・・食べ方を知らないのか? ならオレが食べやすいように分けてやるよ。」


と、手際良く蟹を分けて行き、足と本体と卵を別皿に分けた。


「ほら、これで食べやすくなっただろう? 足は殻を取ってからタレにつけて食べればいい、卵はスプーンでな。」


提督が詳しく説明していく。


「では・・・い、いただきます。」


秋月が足を取り、殻を取ってタレにつけて口に入れる。


「お、おいしい~・・・身がしっかりしていて味が口内に染みわたって・・・おいしいです(泣)」


秋月の感動した表情を見た2人も食べてみた。


「お、おいしい・・・これが本当の蟹の味・・・」


「カニカマしか食べたことなかったけど・・・海の蟹はこんなにもおいしいんだね(泣)」


3人は感動する一方で・・・


「あ、秋月たちはこんな贅沢をして許されるのでしょうか!?」


「・・・・・・」


秋月に質問されて、「返答に困るな。」と思った提督。


その後も各部位を食べるごとに歓喜の声をあげる3人、


最後に蟹の出汁が入った雑炊を食べた時の3人の感動した表情は皆の脳裏に強く残ったのだったww


・・・・・・


「提督、依頼されていた家の増築が無事完了しました!」


「ああ、ありがとう明石。」


「では、ここに請求書を置いていきますね。」


明石は工廠場へと戻った。


提督の家は鎮守府から歩いて10分程度の場所にあり、そこそこ大きい1軒屋で生活している。


提督1人では余るスペースだったが、夕立たちが住むようになったことで徐々に狭くなり、秋月たちが来た頃には


人数オーバーに近い状態となった。


そこで、明石に急遽家の増築依頼を申し出たのだった・・・


「どれどれ、家がどのくらい広くなったのか見て見ようじゃないか。」


提督は仕事を終えて、家へと帰宅する。


・・・・・・


「何じゃこりゃあ~!!!!」


提督が見た光景は・・・


提督の家のちょうど隣に大きい施設が建てられていた光景だった。


「あ、提督さん! おかえりなさいっぽい~!」


施設の窓から夕立が顔を出して手を振った。


「・・・・・・」


訳が分からず、明石に聞いてみた。


「ああ・・・駆逐艦たちから「自分たちの部屋が欲しい!」と言う要望がありまして、それで急遽家の増築から隣に艦娘専用


 部屋の増築に変更したんですよ!」


「・・・・・・」


「ああ、そうなの・・・確かに夕立たちにも部屋が必要だね・・・うん、納得。」と思った提督だったがそれ以上に、


「これじゃあ・・・第2の鎮守府じゃねぇか!!」と怒る提督。


「いいじゃないですか! 夕立ちゃんたちにもプライベートな空間が確保でき、リビングでは皆で一緒に食事が出来て、


 夕立ちゃんたちの希望で提督と就寝できたりして・・・こんないい待遇はこの世界どこを探してもありませんよ!」


「・・・・・・」


「まぁ、そうだね。」と、納得せざるを得ない提督。


「後、今後提督の家に艦娘がまた増えることを予想して、新たに部屋を追加しておきましたので!」


「・・・・・・」


「ほぅ、流石明石、抜かりない!」と思いつつ、


「つまり・・・その分の費用は?」


「当然貰いますよ! そこの請求書に要求開発資材と要求資材を記入しておきましたので、1週間以内に支払いお願いしますね。」



ガチャッ!! (電話を切る音)



「はぁ~。」とため息をつく提督。


「まぁいいか・・・住みやすくなったのは事実だし・・・」


と、開き直って帰宅する提督であった。



※ちなみに明石からの要求は、


開発資材1500

燃料150000

弾薬150000

鋼材250000

ボーキ100000


・・・だったwww


・・・・・・


「順に暁・響・雷・電です! 提督、よろしくお願いします!」


鎮守府に暁型4姉妹が着任した。


「ああ、よろしく・・・ふむ。」


提督は暁たちに近づき、


「これまた可愛い子たちがやって来たなw」


と、頭を撫で始める提督。


「もうっ! 子供扱いしないでよ! 1人前のレディーとして扱ってよね!」


暁がぷぅ~っと頬を膨らます。


「そうなのか? オレにとっては子供に見えるし・・・他の3人は喜んでいるぞ?」


響・雷・電は頭を撫でられて上機嫌だ。


「と、とにかく! 私は大人の女性として扱ってよね! ぷんすこ!」


どうやら暁は大人として扱われたいらしい。


「・・・いいよ、大人として扱えばいいわけね。」


そう言って提督が、


「響と雷と電、お菓子あるけど食べるか?」


「くれるのですか? ありがとうなのです!」


「司令官、ありがとう! 優しいのね♪」


「おお、スパシーバ!」


3人は喜んでお菓子を受け取った。


「ちょっと! 私の分は!?」


また暁が騒ぎ出す、


「・・・暁の分は無いぞ?」


「ど、どうして!?」


暁の質問に提督は素直に、


「だってお前・・・「大人の女性」として扱って欲しいんだろう? お菓子は子供が喜ぶ食べ物だし、


 大人のお前が欲しがるものじゃないだろう?」


「・・・・・・」


「まぁ、「大人」なんだから、我慢しな。」


「・・・グスッ。」


「・・・・・・」


「びえ~~ん!! ごめんなさぁぁぁぁい!!! 暁にもちょ~~だい!! うえええん!!!!」


「・・・はぁ~。」


提督はため息をついて、


「だったら最初から「大人」なんて言葉を発するんじゃない! オレから見ればお前はまだ「子供」だよ。」


そう言ってお菓子をあげた提督、暁もそれ以降提督の前で「大人(レディー)」と言わなくなったとかw


・・・・・・


正月も終わり、執務や出撃も本格的に始まり多忙の日々で早くも2月に突入した提督と皆・・・


2月序盤から提督と夕立たちも忙しく、家でも話すことと言えば海域への出撃情報の事ばかりである。


ほぼ毎日海域への進軍や書類整理に追われていたが、中旬になってようやく落ち着いた・・・


・・・・・・


提督が家に帰宅途中の事である。


いつもの道なりを歩いていた提督、


「流石にもう箱とかは置いていないよね?」


2月とはいえまだ肌寒い季節・・・そんな状態で箱に入って待っている艦娘(もしくは犬と猫)はいないはず。


「・・・流石に無いわな。」


案の定、道端には箱が置いていなかった。


「ううっ・・・寒いな、早く家に帰ろう。」


提督は早歩きで家に向かった。


・・・・・・


「・・・おや?」


玄関に人影が・・・


「司令・・・お疲れ様です。」


不知火であった。


「おお、久しぶりだな。」


久々の再会を果たす、


「どうした、今度は家に住みたいってか?」


提督が冗談のつもりで笑うが・・・


「・・・・・・」


恥ずかしそうに顔を赤くする不知火。


「・・・図星か。」


「・・・・・・」


不知火は無言のままだ。


「・・・まぁいい、外は寒いから家にでも入ろうか。」


提督は不知火と一緒に家に入った。


・・・・・・


「・・・つまり。」


不知火の話を聞いた提督が話をまとめる。


「姉の陽炎と喧嘩して鎮守府を飛び出して・・・行きついた先がこの家だったわけ?」


「・・・・・・」


不知火は無言で頷いた。


「それにしても、何でまた喧嘩したのさ?」


提督の質問に、


「司令が教えてくれた「魔法の言葉」を言ったからですよ!」


「魔法の言葉?」


提督は思い出す、


「ああ、シラ犬が周りに溶け込むために教えたあの言葉ね。」


「シラ犬ではありません、不知火です!」


「失礼、それで・・・皆とは上手く行ったの?」


「はい・・・「不知火さんもそんなこと言うんですね」と意外な顔をされた後、「でも、おかげで話しかけやすくなりましたw」と


 周りから話しかけられる事が多くなり、司令には感謝をしています。」


「そうか・・・で、何で陽炎と喧嘩した?」


「その言葉を目の前で言ったら・・・「はぁっ!? 何言ってんのあんた!! どこか打ったの!!?」と言われた挙句、


 「あんたにはそんな言葉似合わないわよw 今まで通り怖い怖い不知火さんでいいんじゃないww」とゲラゲラ笑われて


 さすがに私もブチ切れました。」


「・・・・・・」


「うわぁ~・・・酷ぇ姉さんだなw」と思った提督。


「そのまま鎮守府を出てしまって、しばらくは戻る気がありません。 ですので提督、少しの期間でいいので不知火を


 この家に居させてください。」


と、持ってきた荷物を担いだ、


「まぁ、構わんが・・・家にいる以上は皆とも仲良くやってくれよ・・・個性的な子が多いからな。」


「・・・わかりました。」


そう言って提督は不知火に部屋を提供したのだった。


・・・・・・


2月14日、バレンタインデーの日。


「提督さん! このチョコ・・・夕立が頑張って作ったっぽい~・・・どうぞっぽい!」


「しれぇチョコあげる~♪」


「チョコあげます! 買ってきたチョコです! おいしいと思います!」


「提督、僕からもチョコあげるね・・・邪魔かなぁ?」


「おお、皆ありがとう! おいしく頂くよ。」


と、皆からチョコを受け取る提督。


「はは・・・今年は去年と比べて量が増えたな・・・」


鎮守府の保有数が増え、提督の家に居候している艦娘がいるため、当然と言えば当然である・・・


「去年は3月に入ってから考えていたけど・・・今年は2月の後半からお返しを考えようかな。」


提督は机に乗ったチョコの山を見て呟いた。


「提督、本日新たな艦娘が着任しました。」


任務娘(大淀)が報告をしにやって来た。


「ああ、通してくれ。」


提督の指示で現れた艦娘は・・・


「秋月型防空駆逐艦の涼月です、提督・・・どうぞよろしくお願いします!」


秋月の妹である涼月が鎮守府にやって来た。


「ああ、よろしく。」


軽い挨拶を済ませた後、


「提督・・・お近づきと言っては何ですが・・・私が耕している菜園でとれたカボチャとサツマイモです。


 箱に入れられるだけ入れてきましたので・・・良ければ召し上がって下さい!」


と、大きな段ボール箱を目の前に出した。


「これはこれは・・・こんなにたくさんのカボチャとサツマイモを・・・皆で頂くよ。」


提督は喜んで箱を受け取った。


・・・・・・


「しかし・・・う~ん・・・どうしようか。」


提督は悩む、


チョコの山もだが・・・涼月から貰った大量のカボチャとサツマイモをどうしようか・・・と悩んでいる提督。


「カボチャは煮物にして・・・サツマイモはふかして、後は・・・スイートポテトにでもして皆に出そうかな。」


提督は意外にも料理好き、家に留まらず鎮守府でも腕を振るって皆に料理を提供していた。


「あ、そうだ、カボチャがこれだけあるし、作ろうと思ってたけど今まで出来なかった「あれ」でも作ってみよう!」


何かを思いついたようで、提督は厨房へと歩いて行った。


・・・・・・


「まずは鍋にチョコを溶かして・・・」


皆から貰ったチョコを鍋に入れて液状にした。


「その間にサツマイモを茹でて・・・と。」


鍋に水を入れ、沸かした後数cmに輪切りにしたサツマイモを入れ煮ていく。


「カボチャは・・・まずは頭を切って中の種と身を全て取り除き・・・」


手際よくスプーンで種と身を取り除いていく提督、


「・・・よし、種は捨てるが身はコロッケ用の具にしよう。」


提督は1人厨房で調理していった。


・・・・・・


「お~い、涼月。」


提督が涼月を呼んだ。


「何でしょうか、提督?」


「さっきはたくさんのカボチャとサツマイモをありがとう! その礼と言っては何だけど・・・


 今夜オレの家でカボチャとサツマイモの料理をご馳走したいのだが・・・どうかな?」


「! カボチャとサツマイモの料理ですか?」


「ああ、一応オレの家には秋月たちもいるし・・・何なら姉と再会も兼ねて姉妹で参加してもいいぞ。」


「・・・秋月姉さんたちが提督のご自宅にいらっしゃるのですか?」


涼月は少し考えて、


「・・・提督が構わないのでしたら、涼月・・・喜んでお受けします。」


「そうか、では夜の10時に鎮守府外で待っていてくれ。」


「はい、わかりました。」


・・・・・・


夜10時、提督と涼月は仕事を終え・・・


「お疲れ様・・・では行こうか?」


「はい、よろしくお願いします。」


2人は家へと向かった。


・・・・・・


家に着いて・・・


「ああ、涼月!」


「秋月姉さん! それに皆・・・会いたかったぁ!」


秋月たちは涼月との再会を果たした。


「また賑やかになったなぁ。」と上機嫌の提督。


「さてと、早く作らないとあいつらがうるさいからな・・・さっさと作るかな。」


提督は調理を始める、


「不知火もお手伝いします。」


「おお、シラ犬! 助かるよ。」


「・・・何度も言いますが、私は不知火です、し・ら・ぬ・い!」


「失礼・・・じゃあ皆の分の食器と飲み物を並べてくれ。」


「・・・かしこまりました。」


不知火は手際よく机に並べて行った。


「しれぇ、ご飯まだぁ~?」


時津風がぷぅ~っと顔を膨らませながら、提督を見つめる。


「もうちょっと、少しだから大人しく座ってなさい。」


「・・・はぁ~い。」


珍しく提督の言う事を聞いて椅子に座る時津風・・・いつもなら提督の耳元で「しれぇ!! しれぇ!!」と叫ぶはずなのだが・・・


「不知火をこの家に入れて正解だったな。」


そう、不知火が駆逐艦たちの世話役を受け持ってくれたのだ。


戦艦の陸奥も世話役としてまとめてくれるが・・・彼女は戦艦であるが故に前線に立つ機会が駆逐艦より多いため、


休日にしか世話役が出来ない・・・それを不知火が補ってくれたのだ。


更に、不知火の性格も反映して皆が素直に従ってくれるのもまとまる理由の1つである。


「不知火に落ち度でも?」 「きちんとしないと怒りますよ?」は夕立や時津風たちもぞっとする一言である。


・・・・・・


「お待たせ~・・・カボチャコロッケとチョコ芋ね。」


机に揚げたばかりのコロッケと甘いサツマイモに更に甘いチョコをコーティングしたチョコ芋が出された。


「それと・・・オレの自家製スイートポテトとカボチャの身をふんだんに使ったカボチャ飯ね。」


炊飯器でカボチャと飯を一緒に炊いた芋ご飯ならぬカボチャ飯・・・甘い匂いが家中に広がる。


自家製のスイートポテトも、店で売っている楕円形ではなく、丸い形の食べやすい大きさで出された。


「これは・・・涼月が出したカボチャとサツマイモですよね・・・こんなに立派に調理されて・・・とてもおいしそうです!」


その光景に涼月と秋月たちも感激した。


「では、いただこうか・・・では、皆で・・・いただきます!」


皆「いただきま~す!」


そう言って、時津風たちが我先にとコロッケや飯を頬張っていく。


「・・・・・・」


涼月がカボチャ飯を口に含んで、


「おいしいです提督・・・カボチャの甘みが口いっぱいに広がって・・・とてもおいしいです!」


「はむはむ・・・涼月が菜園で耕したサツマイモ・・・うう~ん、ほくほくしておいしいです!」


「チョコがコーティングしているサツマイモ・・・これはとても斬新だ! なんて贅沢な!!」


「普通のコロッケもおいしいけど・・・このカボチャコロッケも・・・おいしい~!」


秋月たちも大満足のようだ。


・・・・・・


「しれぇ、ご馳走様~♪」


「司令官! 朝潮はとても満足出来ました!」


「本当はサツマイモも食べたかったけど・・・ガスが出ると困るから・・・」


大鳳はサツマイモを見て指を咥えていた・・・


皆が各部屋に戻ったところで、


「提督、今日は夕食に誘っていただきありがとうございました。」


涼月は深々と礼をした。


「ああ、気にするな・・・後は。」


そう言って提督は涼月に丸1個のカボチャを出した。


「デザートに試作で作ってみた・・・味見を兼ねて感想を聞きたいのだが・・・」


「? 感想ですか? わかりました・・・鎮守府へ戻ってから食べてみます。」


そう言って受け取り、秋月たちに別れを告げた後、鎮守府の自室へと帰った。


・・・・・・


「それで・・・涼月さんには何を渡したのですか?」


晩酌に付き合っていた大鳳から質問をされ、


「ああ・・・評価が良ければまた作ろうかと思っているデザートだ。」


「・・・提督は本当に料理好きですね、関心します。」


「それはどうも・・・ほれ、大鳳用に作ってみたぞ。」


そう言って大鳳の前にサツマイモチップスが出された。


「薄くスライスして揚げた出来たてチップスだ、これなら菓子と同じだからガスの心配はないだろう? 多分。」


「わざわざ私のために・・・では、ありがたく頂きます。」


大鳳はすくって口に含む。


「・・・最も、漏れても聞いているのはオレだけ・・・皆寝てるから漏らしても構わんぞ、ははは~w」


提督は笑いながら言った。


・・・・・・


自室に戻った涼月、


「提督から頂いたデザートのカボチャ・・・見た目は普通なのですが・・・」


中身はどうなっているのかしら? とふと気になり・・・


「とりあえず・・・半分に切って見ましょう。」


と、包丁で丁寧に切ると、


「!? あら、中身が・・・プリンですか! これはなんて贅沢な!」



※カボチャプリン・・・中身の実と種を取り出し、プリンが代わりに入った贅沢なデザートである。



「はむ・・・はむ・・・」


涼月は試食して、


「おいしいです、なるほど・・・中身を全て取り出してプリンを入れたんですね・・・見事な発想です!」


「今度秋月姉さんたちに作ってあげよう♪」と思いつつ、おいしそうに食べる涼月だった。


・・・・・・


鎮守府に珍しい艦種の2人がやって来た。


「練習巡洋艦の香取です、どうぞよろしくお願いします。」


「同じく練習巡洋艦、妹の鹿島です、提督さんどうぞお願いします。」


「ああ、よろしく。」


提督は2人を見つめる。


「な、何でしょうか提督?」


「ふむ・・・」


「香取は鞭を持っている所から察するにドSの女王様と言ったところか・・・妹の鹿島はどちらかと言うと真逆のドMっぽい感じが漂う


 尽くすタイプの女の子だな。」と思った提督。


「提督・・・あまり変な視線を向けると、少しきつめの躾を致しますよw」


「ははは・・・やめてねw」


提督は苦笑する。


「香取姉! 提督さんが怖がってますよ!」


「・・・・・・」


「うん、鹿島の方が話しやすいな・・・それに服装も香取よりも遥かに魅力的だw」と思う提督。


「提督さん・・・今度は私をいやらしい目で見ますか?」


鹿島がムッとして、


「いやいや・・・気にしないでくれw」


提督は目をそらした。


・・・・・・


「こら、夕立と時雨! 2人ともまた間宮の所でつまみ食いしたんだって?」


執務室で提督に叱られる夕立と時雨、


「僕じゃないよ・・・夕立がつまんでそしたら僕まで巻き込まれて・・・」


「あ~! 時雨はずるいっぽい~! 夕立より先に頬張っていたっぽい~!」


2人で罪のなすり合いが始まり、


「やれやれ。」とため息をつく提督。


「提督さん! そんな叱り方ではダメですよ!」


鹿島が執務室に入ってくる。


「提督さん! 彼女たちは悪いことをしたんですからもっとこう・・・ビシッと叱らないと行けませんよ!!」


今度は鹿島に叱られる提督、


「いやぁ・・・確かに悪い事なんだが・・・まぁ子供だし・・・仕方ないかな・・・と。」


「それだから提督さんはいけないんです! 単になめられているだけなんですよ!」


「・・・そうか、なら・・・」


提督は一言、


「練習巡洋艦そして指導力に長ける香取の妹の鹿島! この2人に適切な指導をして見せよ!!」


「わ、私がですか!?」


「ああ、いい機会だ。 練習巡洋艦の力を見せてもらおうかな。」


「ううっ・・・わ、わかりましたぁ。」


鹿島は2人の前に立って・・・


「夕立さん、時雨さん・・・よ~く聞いてください! 今回2人がしたことは・・・」


・・・・・・


「つまみ食いのどこが悪いっぽい~?」


「別に盗み食いしたわけじゃないし、何でそう鹿島さんは僕たちを叱るの?」


と、鹿島の指導も空しく、反省すらしない2人。


「ですから! そもそもこれで何度目ですか? 何度も注意されてるのにどうして治そうとしないんですか?」


「ぽい~・・・少し食べただけなのに・・・鹿島はケチっぽい~。」


「本当・・・自分の分がなくなるから僕たちに八つ当たりしてるように聞こえるよね?」


と、2人は開き直った。


「なっ!? あなたたち! 少しは反省と言う態度は・・・」


「・・・・・・」


「オレどころか鹿島もなめられてるなw」と思った提督。


「鹿島、後はオレが厳しく叱っておくから・・・鹿島は他の仕事に行ってくれ。」


「はぁ・・・わかりました。」