2018-06-20 21:32:12 更新

概要

SS読むのが好きで、書いてみたいと思い執筆しました。※完全素人です。
3000PV達成ありがとうございます!!
11章更新しました!


前書き

〜注意事項〜
※これは艦隊これくしょん(艦これ)の二次創作物であり、それを許容できる方のみ閲覧お願いします。こういったものをやるのは初めてでありますが、何卒よろしくなのです( ˘ω˘ )
コメント待ってます(´^p^`)



第1章 始まりの嵐




〜とある漁港にて〜



青年父「お前も遂に漁師として自分の船をもつ時が来たか…。今まではお手伝いみたいなものだったからな。」シミジミ


青年「今日からは好きに漁ができるな!親父よりも沢山取ってやるよ!」フフーン


青年父「沢山ってのもいいが取りすぎは厳禁だからな?売る分と食べる分、それ以上は取るなよ。それと今日は初めてなんだから俺の船にちゃんと付いてくるんだ。」


青年「ちぇっ、ようやく好きに出来ると思ったのに…」( ˘-з-)ブー


青年父「ハッハッハ、まあそう焦るな。最初だけだよ最初だけ!お前は昔から俺の船に乗っていたからな。船の操縦経験もあるしな。」


青年「しょうがねぇな〜。それじゃさっさと行こうぜ!待ちきれん!」



〜移動中〜 ザザーン


青年「おーーい!!まだ遠くに行くのかよー?」


青年父「あぁ!今日はお前の最初の漁だからな!遠くてまだ連れてったことなかったけど、いい所があるんだぞ〜!」


青年「あんまり遠くに行き過ぎると深海棲艦とやらがいるんじゃねぇのか!?」∑( °口° )


そう、この海にも深海棲艦はいる。

俺たちがいつも漁をしている辺りは制海権が確保されており、安全が保証された海域だった。


青年父「大丈夫だ!ちゃんと安全海域の中だし、ここしばらく目撃情報はねえ。まあ昔は沢山いたらしいけどな!」ガッハッハ


ほんとに大丈夫かこれ…?


〜移動中…〜


青年父「よし、着いたぞ!」


青年「結構遠いところまで来たな…ここは来たことねえな」


青年父「ここは近場の海じゃ取れないやつも取れるからな。いつものところより大きいやつもいるぞ」


青年「じゃあなんでみんなこっちに来ねえんだよ?」(*´・д・)?


青年父「ここはかなーり遠いからなぁ。わざわざここまで来て漁するよりいつもの所でやった方が効率もいいからな。今日は特別だ。」


青年「あぁ、なるほどな。ここまで3時間…なかなか遠いからな。」


青年父「昨日の朝早くから仕掛けを置いといたからよ。ほら、あのウキだ。」


青年「昨日朝から居ねえと思ったらそんなことしてたのかよ…とりあえず仕掛け上げるか」ヨイショット


〜仕掛け回収中…〜


青年「おぉ…こんなにでけぇの取れんのかよ…すげえなここ」オドロキ


青年父「だろー??そっちの仕掛けは上げ終わったか?」


青年「あぁ、こっちは全部終わったぞ。」ブンブン


青年父「こっちも終わったからさっきのところにまた来い。今日は朝早く出たからここで少し釣りもしていくぞ」


青年「マジ!?こんなでけぇの釣竿で釣れたら絶対楽しいじゃん!」ヤッタゼ


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



青年父「よし、そろそろ帰るか。気づいたらもう夕暮れだ。やっぱ釣はいいもんだな。」


そう言われて見上げると、太陽は沈みかけていた。微かに怪しい雲が見える。


青年父「ん?」ピリピリッ


その時空気が、変わった。


青年父「これは…」


ヴォォン…


青年父「ッ!おいお前!!今すぐ帰るぞ!早く船を出せ!!!」


何かが聞こえた。いつもの静かな海にから聞こえることのない呻き声のような音が…


青年父「早くしろ!!深海棲艦が来るぞ!!!!」


青年「ッ!分かった!いまやる!!」


2人は素早くその場から立ち去れた…はずだった。


イ級「グォォォ!!」


青年「これが…深海棲艦…!?」


青年父「チッ、こっちにもいやがったか!おいお前!先に行け!!」


青年「はぁ!?親父はどうすんだよ!?」


青年父「こうするんだよ!!」デンキモリカカエ


そう言うと親父は大型魚を仕留めるための電気銛を取り出した。


イ級「グォォォォォォ!!!」


イ級が口を開けて飛びかかってくる。口内には大砲らしきものが見えた。


青年父「オラァ!!!死に晒せェ!!!」ヒュン!!


すると親父は大砲の根元あたりに銛をブン投げた。


イ級「グォォォ!?」グサッ


青年父「最大電圧だ!ぶっ飛べオラァ!!」ポチッ


イ級「ギィィィィ!?」ドカンッ


すると深海棲艦は大砲ごと爆発し粉々になった。


青年父「おい、早く帰るぞ!まだ残ってる!!」


雨だ…雨が降ってきた。風も強い。生まれてからずっと海に出ていたからわかる。これは嵐だ。


青年父「くそっ!嵐も来るか!?おい、マジで早くかえ」


ドーーーーン!


発砲音。


バシャーーン!!!


青年父「戦…艦!?なんでこんなところに!?」


青年「おい!!どうするんだよこれ!!!」


ドーーーーン!


青年父「戦艦の長距離射程からはおそらく逃げれねぇ!!2手に分かれて逃げるぞ!!」


バシャーーン!!!


青年父「家では母さんが待ってる…!全滅だけは避けるぞ!!俺がやられても振り返るんじゃねぇぞ!!!」


青年「ふざけんな!!親父が死んだら家はどうすんだよ!!!」


青年父「お前が継げ!!お前は最短ルートを行け!!俺は別ルートで戻る!」ブーーン


親父が行ってしまった…自分も早く帰らなければ!!


ドーーーーン!


ドカァーーーン!!


最短ルートに舵を切った時だった。親父の船に砲撃が着弾した。




青年「は…?」


気がつくと戦艦は前よりも近づいていた。一般漁船と速力に差があったようだ。



戦艦ル級「フフ…シズメ…シズメ!」



青年「は…はは…」ザァーー


雨は強く、風は吹き荒れていく。


ドーーーーン!


青年「親父、約束守れそうにねぇや。ごめんな…親父、母さん。」




~~〜~~~〜~~~~〜~~~〜






???「くっ、急に嵐になったか。はやく帰らねば!」ザー


???「落ち着いて〇〇。私たちはそんなに速くないわ。焦ってはダメよ。」ザー


???「みんなに心配をかけてしまうではないか!できる限り急ぐぞ!」


???「はいはい。しょうがないわねぇ。」


???「む?これは船の残骸か…。」プカプカ


???「この様子だと…きっとダメね。どうしてこんなところに…」


???「ここは安全海域とはいえかなりギリギリのはずだが…」


???「〇〇!あそこに戦艦がいるわ。まだ気付かれていないけどどうする?」


???「我々は追われる身だ。倒していきたいがここは見つかる前に戻ろう。」


???「そうね。それじゃあ行きましょうか。」



~~〜~~~〜~~~~〜~~~〜


第2章 流れ着いた先で



〜砂浜〜


???「はぁ、今日もいい朝ねぇ。」ノビノビ


???「…?あれは…人間…?」


軍の関係者…じゃないわよね?体中傷だらけだわ


???「この人…まだ生きてるわ。ちょっと!おーーい!!」ペシペシ


???「あ、水を出さないといけないんだっけ?お腹押せばいいのかしら?」ギューーー


青年「;:゛;`(;゚;ж;゚; )ブフォ」


青年「ゲホッゲホッ」


???「あら、起きたわ」ヤッタネ!


青年「痛ッ!」モゾモゾ


???「あなたどこから来たの?名前は?」


青年「ここは…どこだ?」


???「あなたが先に答えて!」


青年「お、おう。おれは青年だ。漁師をしている。いや…もうしていたのほうが正しいか?」


あらあら、この人は一般人なのね。それなら大丈夫かしら…。


???「なんか意味深な言い方ね…」


青年「君は?そしてここは一体…?」


???「ここは野良鎮守府よ。私は白露型駆逐艦三番艦の村雨っていうの。よろしくね!」ハイハーイ!


青年「鎮守府…ってあの鎮守府か!?それに駆逐艦って!あんた艦娘なのか?」


村雨「そうよ〜!艦娘を見るのは初めてかしら?」


青年「あんなやつらと戦うって聞いてたからどんなムキムキマッチョが出てくるかと思ったら、ただの女の子なんだな。」


村雨「んもぅ!失礼しちゃう!」ベシッ


ただの女の子ですって…。そんなこと言われたのは初めてだわ。


青年「痛てぇって!?」


村雨「あらごめんなさい。そういえば傷だらけだったわね。とりあえず手当してあげるから。ほら、立てる?」


青年「あぁ。立てr」ガクン


村雨「ダメそうね。ほら肩貸してあげるから。」ヨイショット


青年「い、いや…大丈夫だ。」


村雨「だーめ。それとも女の子にお姫様抱っこされたいかしら〜??」フフン


青年「うっ…じゃあすまんが肩を貸してくれ。」


村雨「よいしょっと。ねえ、そういえばなんでここに来たか覚えてないの?」


青年「えっと…」( ゚д゚)ハッ!


青年「そうだ…思い出した。漁をしてたら深海棲艦に襲われたんだ。最初は魚みていな形をしたやつを親父が倒したんだけど」


青年「あ…!親父…親父はどこいった!?」


村雨「お父さん?ここにはたぶん流れ着いていないけれど…もしかして一緒にいたの?」


青年「そう…か…。」ガクン


村雨「ちょっと!しっかりしてよ!!」


どうしようこの人意識無くしちゃった…。とりあえず運んであげましょう。


~~〜~~~〜~~~~〜~~~


〜青年side〜


…っと …ょっと…


誰かに呼ばれている気がする…。

お腹押せばいいのかしら…ギュム


青年「;:゛;`(;゚;ж;゚; )ブフォ」ウッ


青年「ゲホッゲホッ」


???「あら、起きたわ」ヤッタネ!


青年「痛ッ!」モゾモゾ


???「あなたどこから来たの?名前は?」


起きるとそこには少女がいた。茶色い髪に長いツインテールをしており、綺麗な子だった。



青年「ここは…どこだ?」


???「あなたが先に答えて!」


警戒されているのだろうか…怒鳴られてしまった。


青年「お、おう。おれは青年だ。漁師をしている。いや…もうしていたのほうが正しいか?」


???「なんか意味深な言い方ね…」


青年「君は?そしてここは一体…?」


???「ここは野良鎮守府よ。私は白露型駆逐艦三番艦の村雨っていうの。よろしくね!」ハイハーイ!


青年「鎮守府…ってあの鎮守府か!?それに駆逐艦って!あんた艦娘なのか?」


鎮守府といえば海防の要。一般人は立ち入り禁止であり、国民に知らされていることは、深海棲艦という敵の侵攻から艦娘と呼ばれる兵器を使って海を守っているということだけ。


村雨「そうよ〜!艦娘を見るのは初めてかしら?」


青年「あんなやつらと戦うって聞いてたからどんなムキムキマッチョが出てくるかと思ったら、ただの女の子なんだな。」


この子は自らを艦娘と言った…本当にただの女の子に見えるな…


村雨「んもぅ!失礼しちゃう!」ベシッ


青年「痛てぇって!?」


痛みを感じて自身の身体を見ると、ヤケドに切り傷やらとかなりボロボロだ。


村雨「あらごめんなさい。そういえば傷だらけだったわね。とりあえず手当してあげるから。ほら、立てる?」


青年「あぁ。立てr」ガクン


村雨「ダメそうね。ほら肩貸してあげるから。」ヨイショット


青年「い、いや…大丈夫だ。」


自覚した途端痛みは身体を襲ってきた。かなり厳しい状態のようだ…


村雨「だーめ。それとも女の子にお姫様抱っこされたいかしら〜??」フフン


青年「うっ…じゃあすまんが肩を貸してくれ。」


村雨「よいしょっと。ねえ、そういえばなんでここに来たか覚えてないの…?」


どうして…か…


青年「えっと…」( ゚д゚)ハッ!


青年「そうだ…思い出した。漁をしてたら深海棲艦に襲われたんだ。最初は魚みていな形をしたやつを親父が倒したんだけど」


青年「あ…!親父…親父はどこいった!?」


俺が生きているなら親父もまだきっと…!!


村雨「お父さん?ここにはたぶん流れ着いていないけれど…もしかして一緒にいたの?」


ここには来てない…のか…もしかして本当に…?


青年「そう…か…。」ガクン


村雨「ちょっと!しっかり…」


声が遠のいていく。もう意識を保っていられない…。



第3章 別れ



気づくと白い空間にいた。体の感覚はほとんどない。そうか、俺は死んだのか…


辺りを見回してみる。そこにはただただ白い空間が広がっていた。とりあえず歩いてみることにした。



何時間歩いただろうか…?時計もなく体の感覚もほぼない状態では全く分からない。


気付くと少し先に誰かがいた。誰だろうか…?気になって走っていく。


少し走るとその面影が見えてきた。あれは…まさか…あぁ!!


青年「おやじぃぃぃぃぃ!!!」ダッ


青年父「あ?お、おめえか。どうしてこんなところにいやがる。」


青年「おいッ!なんで、なんで親父こそこんなところにいるんだ!?まさか死んじまったなんて言わねえよな!?」ハァハァ


青年父「察しがいいな。俺はな、もう生きられねえ。俺は気づいたらここにいたがなぜだか分かる。俺はもう死んだんだ?」


青年「嘘…だろ…?おい、おい…嘘だって言ってくれよ!!」ポロポロ


青年「母さんはどうするんだよ!家だって…まだ親父は死んじゃダメなんだよ!!!」ポロポロ


青年父「おい、あの時言ったよな?」


青年「え…?」ポロ…


青年父「俺がやられても振り返るな、と。俺は信じている。お前なら出来ると。」


青年「でも…でもおれはもう死んじまったんだ…」ポロポロ


青年父「顔を上げろ。お前はまだ生きられる。」


青年「え?」


青年父「お前は俺と違ってまだ先がある。未来がな。俺はもうじき消えるみたいだ…。最期にお前に会えて良かった。」


青年「おい!?待てよ!待ってくれよ!!俺を…置いていかないでくれ…」ポロポロ


青年父「大丈夫だ、お前ならやれるさ。最期に1つ、言いたいことがある。」


青年「なんだよ…」ポロポロ


青年父「お前は俺が死んだせいでこれからかなり大変になるだろう。お前があの後どうやって生き延びているかは知らねぇが、静かに過ごせるとは思えねぇ。」


青年父「だが覚えていて欲しいことがある。それはな、母さんがお前の帰りを待っていることだ。」


青年「!!!」ポロポロ


青年父「俺はもう母さんのところには戻れない。だから、お前が戻るんだ。母さんなら俺の訃報を聞いてもきっとお前のことを待っていてくれるはずだ。」


青年父「あぁ…もう時間みたいだ…。」


青年「ま、待ってくれ…行かないで…」ポロポロ


青年父「あ、もう1つ、聞いてくれ、ないか?」パァァァ


青年「なんだ親父…」ポロポロ


親父の体が光っている…もう時間だと言わんばかりだ


青年父「母さんに、つた、えてくれ…」パァァァ


青年父「死ぬま、えに、おまえのつくったメシを、もう、いちど…」パァァァ


青年父「食べたかったと…」ポロ


青年「親父、泣いて…」ポロポロ


青年父「そ じゃ わ れ…だ…」


青年父「じゃ…あな…愛する息子よ」(*`∀´*)ニカッ


親父は完全に光となって消えた。


青年「うっ、うう…」ポロポロ


青年「うわあああああああ!!!!」ボロボロ



第4章 野良鎮守府にて



村雨「明石さん…どうですか?」


明石「とりあえず命に別状はないね。目を覚ますまで待ちましょ。」


村雨「そうですか、よかったあ」ホッ


青年「うっ…うぅ…」ポロポロ


村雨「!泣いてる…?」


村雨「青年さん、頑張って…」ギュ




なぜだか手が温かい…安心する温もりだ…




青年「」パチッ


村雨「!!明石さん、目が覚めましたよ!!」


青年「お、親父…」ポロポロ


明石「ちょっと君、大丈夫?」マエカガミ


青年「君は…?」ゴシゴシ


明石「私は明石っていうの。あなたの治療をさせてもらったわ。」


青年「君も艦娘なのか?」


明石「あちゃー、先にお礼とかないんですかぁ??」


青年「す、すまない。治療してくれてありがとう。」


明石「はい、どういたしまして!そして私も艦娘よ〜。それとお礼なら村雨ちゃんにも言ってあげてよね。」


村雨「!!」ボッ


明石「君をここまで運んで来てから目が覚めるまでずっと待っててくれたんだから!」


青年「そうだったのか。村雨、ありがとうな」ニコッ


村雨「~~///ちょっと明石さんそれは言わないでって言ったのにぃ〜!」ポカポカ


明石「あれぇ?そうだっけ??ごめんごめん、って痛い!痛いって!」ガッガッ


青年「おおう…2人とも仲がいいんだな」


村雨・明石「そんなことありません!!(いやぁそれほどでも!!)」


青年「綺麗にハモったな」( ´艸`)


村雨「とっとにかくっ!!青年さん身体は大丈夫なのね!?」


青年「そんなにがっつくなって…もう身体は大丈夫だよ。」


村雨「そう…よかったぁ」ヘタッ


村雨「安心したらなんだか眠く…」


明石「村雨ちゃん、こっちのベット空いてるから使っていいよ〜」


村雨「ん。ありがと…」トテトテ


青年「あの明石さん、俺はどれくらい寝てたんですか?」


明石「うーん大体1日かなぁ?ずっと村雨ちゃんそばにいてくれたんだから本当に感謝しなさいよね!」


青年「丸一日いてくれたのか…!」


明石「なんか村雨ちゃんは青年に結構懐いてるみたいだよ?出会った時なにかしたの?」(・ω・)σ)U`)ウリウリ


青年「特に何もしてないけど…」


???「失礼する!」ガラッ


明石「あ、長門さん」


長門「お前が昨日村雨に保護されたという人間だな?」


青年「あぁ、そうだけど…?」


長門「私は戦艦長門だ。話を聞きたいのだがいいか?」


青年「うん、分かった。」


長門「2人で話がしたい。明石、少し外してくれないか?」


明石「わかりました」バタン



~~〜~~~〜~~~~〜~~~



???「大変よ長門!」ドタドタ


長門「む?どうした陸奥よ?」


陸奥「さっき村雨ちゃんが砂浜に漂着した人間を保護したって…!」ハァハァ


長門「なんだと!?この鎮守府には人間という存在は危なすぎる!今すぐ箝口令を出す!村雨にも口外しないよう伝えてくれ!」


陸奥「分かったわ!」タッタッ


長門(人間…か。私自身正直関わりたくはないが…しょうがないか)


~~〜~~~〜~~~~〜~~~


長門「まずはお前のことが知りたい。名前はなんという?」


青年「青年だ。」


長門「ふむ。それでは、一般人か?軍属か?」


青年「一般人だぞ。漁師をやっていた。」


長門「そうか。では、どうやってここに来たか覚えているか?」


青年「親父と一緒に昨日の朝早くに漁に出たんだ。帰り際に深海棲艦に襲われたんだ。たしか親父は戦艦と言っていたな?」


長門「もしかしてお前達がいたのはこの辺りか!?」チズヒロゲー


青年「どうして分かった!?」


長門「そうか…分かったぞ。お前も辛かったな…」


青年「おいおい、1人で納得してないで教えてくれよ」


長門「そうだな。どこから話そうか」


長門「私は昨日妹の陸奥と共に少し抜錨していてな。その帰りに嵐に捕まったんだが、船の残骸を見つけたんだ。」


長門「そこから少し進んだところには戦艦ル級を発見した。隠密行動だったからやり過ごして帰ってきたがな。」


青年「そうか…やっぱり親父はもう…」


長門「お前の父は残念だと言う他あるまい。」ウツムキ


青年「そうだな…それじゃあ次は君たちのことについて聞きたいんだけどいいかな?」


長門「いいだろう。但し話せる範囲で、だ。」


青年「ここは鎮守府だと聞いたが、地理的にはどこにあるんだ?」


長門「む、いきなりそう来たか。ここがどこかは教えることは出来ない。ただこれだけは言っておこう。」


長門「ここから日本へは帰れん。」


青年「なんだと!?どういうことだ!?」


長門「教えられないと言ってるだろう。すまないな…。」


村雨「うーん…青年さん、うるさいよー…」トテトテ


長門「む、村雨!?」


村雨「あれ?長門さん?」


青年「あ、村雨さんおはよう。昨日1日側にいてくれたんだってね。ありがとう。」ニコッ


村雨「また明石さんは余計なことを〜///」


村雨「それと!村雨さんじゃなくて村雨でいいよ!」


青年「分かった。よろしくね村雨」(照れる村雨かわいい」


村雨「〜〜〜////!?」


長門「おい…声に出てるぞ…」


青年「えっ、マジ!?」アセアセ


村雨「こほん、それはそうと長門さんと2人で何してたの?///」


長門「あぁ、少し青年のことについて聞いていてな。いまはこちらのことについて聞かれている所だ。尤も教えられることも少ないが…」


青年「俺の処分に関してはどうなるんですか…?」


長門「申し訳ないが、この島に流れ着いてしまった以上簡単に帰れるとは思わないでくれ。」


青年「島…ですか?ここは本土ではなく島だと?」


長門「ッ!余計なことを漏らしてしまったか…。まあいずれ知るだろうし言っておこう。ここは本土から遠く離れた元無人島だ。」


青年「元というと、いまは人が住んでいるのか?」


長門「残念だがこれ以上は教えられん。」


鎮守府と言われているから人もいるんだろうけど…どうしてここまで情報を隠したがるのだろうか?



村雨「長門さん、たぶん青年さんには話しても大丈夫だと思います。」コソコソ


長門「村雨…なぜそう言える?」ボソボソ


村雨「青年さんは、私は艦娘だと言った時、ただの【女の子】じゃないかって言いました。」ボソボソ


長門「ふむ…。青年よ、お前に聞きたいことがある。」


青年「なんだ?」


長門「お前は艦娘について何を知っている?」


青年「なんだそんなことか?俺たち国民はそんなに知らな「いいから言ってみろ」ギロッ


なんかすごい睨まれた( ´・ω・`)


青年「深海棲艦の侵攻から海を守るために艦娘という兵器を使っている、という程度だよ。」


長門「なんだと…?本当にそれだけなのか!?」ガタン


青年「な、なんだよ」ビクゥ


青年「多分だけど殆どの軍属じゃない国民はこの程度の知識しかないと思うぞ?でもびっくりしたぞ。」


長門「どういうことだ?」


青年「いざ艦娘にあってみれば人間の女の子と変わらないじゃないか。村雨は中学生ぐらいで長門は高校か大学生ぐらいかな?」


青年「俺からしたらムキムキマッチョとかただただ殺戮を繰り返すマシンみたいなのを想像してたんだけどな」ハハッ


長門(こいつは…もしかして本当に?)


村雨「ね?たぶんこの人なら大丈夫たですよ」ボソボソ


長門「少し待っててくれ。陸奥たちに相談してくる。今回ばかりは独断では決められん。」ボソボソ


村雨「わかりました。」ボソボソ


長門「但し、まだ余計なことを教えるなよ?もしそうなったら…分かるな?」ボソボソ


村雨「はい…」


青年「おーい、そっちで何話してんだ〜?」


長門「青年、私は少し出る。ここでしばらく待っていてくれ。村雨は青年を見ていてくれ。」


村雨「了解です」ピッ


長門「青年よ、1つ警告しておこう。これ以上何も詮索するな。それがお前の為にも、村雨の為にもなる。」


青年(どういうことだ…?)


長門「訳の分からないという顔だな。要するに知り過ぎるとこの島からは逃がさん。この意味が分かるな?」キッ


青年「わ、わかった!」ゾクッ


青年(なんだ今のは…殺されるかと思ったぞ)


長門「それではな」バタン



シーーーン



村雨「青年さん、きっと大丈夫。安心して。」


村雨(青年さんは私が守ってあげるから…!)


青年「ありがとう村雨…。とりあえず寝るよ。余計なことをする前にね。」ゴソゴソ


村雨「そう、おやすみ。」



~~〜~~~〜~~~~〜~~~



長門「集まったな」ガチャ


〇〇「駆逐艦代表がいないみたいですけど?」


長門「今回の件は駆逐艦たちにはとてもじゃないが話せん。お前も分かるだろう、古鷹?」


古鷹「そう…ですよね。人間とはいえましてや男だなんて。」


〇〇「そうですよ、まだ駆逐艦たちにとっては厳しい件です。私たちで判断するのが妥当かと。ねぇ?大和さん?」


大和「そう…ですね。神通さんの判断が最もだと思います。それじゃあどうぞ始めちゃってください…」ビクビク


〇〇「そうね、議題はあの青年さんをどうするか、でしょ?」


長門「その通りだ、加賀。我々の鎮守府には人間の、特に男に抵抗やトラウマを抱えているケースが多い。」


長門「このまま青年を鎮守府に置いていくわけにもいかない。いずれバレてしまうからな。青葉には特にキツく言っておいたが、村雨の姉妹艦たちもだんだん怪しく思うだろう。」


神通「そういえば、最初に発見されたのは村雨さんでしたね。彼女はなんと?」


長門「村雨はかなり青年を信用しているようだ。私も少し話をしてみたが、珍しく艦娘が【兵器】であるという偏見を持っていないようだ。」


ザワザワ!!


大和「そんなことがあるというの…?」


古鷹「にわかには信じ難いですね」


長門「静かに!今村雨には青年の監視をしてもらっている。それと青年から聞いて判明したことがある。」


長門「私たち艦娘は、深海棲艦の侵攻から海を守るために使われている【兵器】であると国民の間で考えられているらしい。」


ザワザワ!!


陸奥「やっぱり…」ギリィ


長門「陸奥、落ち着け!」


陸奥「これが落ち着いていられるもんですか!!私は…あの子達は何のために」ギリィ


長門「だから落ち着けと言っている!まだ続きがあるのだ!彼はこうとも言った。」


長門「『いざ艦娘にあってみれば人間の女の子と変わらないじゃないか。村雨は中学生ぐらいで長門は高校か大学生ぐらいかな?』」


ザワザワッ!


長門「『俺からしたらムキムキマッチョとかただただ殺戮を繰り返すマシンみたいなのを想像してたんだけどな』と。」


神通「これはもしかして…」


大和「でも!これが表で裏があったら!?」ガクガク


〇〇〇「ハッハッハッハ!」


長門「武蔵、急に笑うなよ!?」ビクゥ


武蔵「面白いじゃないか…この武蔵がその真偽見極めてやろう。」ガタン


長門「ほう、やってくれるのか?」


武蔵「あぁ、ただし表裏があった場合は…」


長門「うむ、悲しいがそうなるな…」




~~〜~~~〜~~~~〜~~



ガチャリ


村雨「あっ、長門さ…武蔵さん!?」


武蔵「よう、村雨。2人でいて何も無かったか?」


村雨「はい。長門さんが出ていったあとすぐに寝ちゃいました。青年さんは恐らく殺されかねないことを察したのかと…。」


武蔵「ふむ、そんな状況なのに呑気に寝られるのか。コイツなかなかやるな…」


村雨「青年さん起こします?」


武蔵「頼んだ。」


村雨「青年さん、起きてください」ユサユサ


青年「うぅん…もう朝か?」


武蔵「おはよう、よく眠れたか?青年よ?」


青年「おう…って君は?」


すげえ格好してるなこの人…


武蔵「私は武蔵だ。それと、この格好は正装だぞ。」


えぇ…なんか心読まれてるんだけど


武蔵「心は読んでない。目を見ればだいたい分かる。」


またかよ!?


武蔵「要するに隠しても無駄ってことだな!」


村雨「武蔵さんそんなことできたんですか…」アゼン( ゚д゚)


武蔵「知っているのは長門たちの少数だからな。あ、村雨もあまり言いふらさないでくれよ?」フフ


村雨「わ、わかりました!!」ビクゥ


青年「武蔵さんよ、ここに来たってことはなにか聞きたいことがあるんだろ?」


武蔵「察しがいいな。その通りだ。いまから聞くことに答えてほしい。嘘をついたら立場が危うくなるのは分かるな?」


青年「はぁ、分かってるよ…」


武蔵「よろしい、それじゃあ質問だ。」


武蔵「お前が艦娘について知っていることを教えてくれ。」


青年「長門から聞いてないのか?」


武蔵「お前の口から聞きたい。さぁ答えてくれ。」


青年「国や海を深海棲艦から守るために使われている兵器だということだけだ。」


武蔵(ふむ。これは本当のようだな。しかしこんなにも教育が行き渡っていないとは…)


武蔵「そうか、じゃあ次の質問だ。私たち艦娘はお前の目にどう映る?」


青年「普通の女の子だな。人間と一緒だ。明石さんに村雨、長門さんとしか話してないけど、ちゃんと感情があり話し合いができる。ここまで人間らしい兵器なんて聞いたことがないよ」


武蔵(ッ!これも…本音だというのか!?ここまでの人間がいたとは…)


武蔵「そ、そうか。それじゃあ最後だ。お前はこの後どうしたい?」


青年「この後?ここを出てからってことか?」


武蔵「あぁそういうことだ。」


青年「……家に帰って、いまも待っているはずの母さんに会いに行くんだ。そして親父の言葉も…伝えないと…!」ポロ


武蔵・村雨「!!!」


武蔵(これは心からの言葉!間違いない…!こいつは、青年は信用できる!)


ギュッ


青年「村雨…?」


村雨「辛かったのね…」ギュゥゥ


青年「村雨、いたいよ…?」ポロ


村雨「大丈夫、大丈夫よ。」ギュゥ


青年「うっ…うう…どうして、どうして親父がぁ…」ポロポロ



~~〜~~~〜~~~~〜~~



青年「ごめん、見苦しいものを見せてしまった///」カオマッカ


村雨「ふふっ、可愛かったわよ?」


青年「か、からかうのはやめて!!」


武蔵「おい、もう入っていいぞ」


青年・村雨「え?」


ガチャ ゾロゾロ…


青年「えーっと、長門さんと…?」


村雨「大和さんに陸奥さん、神通さんに古鷹さんよ」


大和「よ、よろしくお願いします…」ビクビク


陸奥「よろしくね」チュッ


村雨「なっ!!」


神通「神通です。よろしくお願いします。」ジー


古鷹「古鷹っていいます。よろしくお願いしますね。」


加賀「航空母艦加賀です。」


青年「おおう…よろしく…?」


長門「青年よ、今までのお前と武蔵の会話聞かせてもらったぞ。」


青年「!?!?」


陸奥「ぜ・ん・ぶね♪」


村雨・青年「!?!?!?!?」


長門「私たちで話し合った結果、お前は信頼するに値する人間だという結論に至った。」


大和「」ビクビク


青年「あの、そこでビクビクしている大和さん?はどうしたんですか…?」


大和「ヒィッ!」|彡サッ!


長門「それも含めていまからすべて話そう。いいな、武蔵?」


武蔵「問題ない。コイツは大丈夫だ。アイツらとは違う」ギリィ


アイツらって…誰なんだろう?


長門「だそうだ。よかったな、青年よ。」


青年「信頼してくれてありがとな」ニコッ


全員「ッ!」


長門「これは…胸が熱いな…」


村雨「ちょ、ちょっと長門さん!いいから早く説明してあげてよ!」アセアセ


長門「分かった分かった。」


長門「それでは、この鎮守府についてからだ。」








第5章 野良鎮守府







青年「村雨に少し聞いたよ。なんか野良鎮守府って呼ばれてるんだってね?」


長門「村雨…なにか吹き込んだのか?」


村雨「ち、違いますって!!村雨が助けたの時に少し話したの!」アセアセ


長門「ふむ、ならいいか」


村雨「」ホッ


青年「それで、どうして野良鎮守府なんだ?」


長門「ここにはな、提督がいないんだ。」


青年「提督が?そしたら鎮守府として機能しないんじゃ…」


長門「そうだ。いまは私が臨時の提督をやっている。臨時と言ってももう2年ほどになるか…。」ハァ


青年「2年!?そんなに提督が不在なのか…」


本当にこの鎮守府は大丈夫なのか…?


長門「ここに提督がいないのにも理由があってな。ここは私たちが立ち上げた鎮守府だからだ。」


青年「え?いまなんて?」


自分たちで立ち上げたって!?どういうことだってばよ!?


武蔵「おい長門よ、青年は理解が追いついていないようだぞ…」アキレ


青年「し、しょうがないだろ!生まれてからずっと漁師になることだけ考えてたんだから!!」(ノシ 'ω')ノシ バンバン


長門「まあそう怒るな。お前はなぜ私たち艦娘が自ら鎮守府を設立したのかが分からないのだろう?」


青年「あぁ、なにか理由があるのか?」


長門「ここにいる子達はな…みんな様々な理由があるんだ。」ウツムキ


長門が重々しく話し始めると部屋にいるみんなの顔に暗い影が差し込んだ。


長門「激しく酷使されたり、暴力や性的暴力…」


青年「…」


長門「無茶な作戦によって命を落としかけたり…生き残って…しまったり」ギリギリィ


青年「お、落ち着け長門さん!無理に話さなくていい!」アセアセ


長門が握りしめた手には爪が食い込み血が流れていた…


長門「…す、すまない…。だがここにいる子は必ず何かしら理由があるのだ。心に傷を負っている。例外はいるがな。」


長門「この島には小さかったが、鎮守府の跡地があったんだ。私は妹の陸奥と共に、そういった子達の為にこの鎮守府を立ち上げたんだ。」


青年「…このことは軍の上層部は知っているのか?」


長門「もちろんだ。当初は隠れて過ごそうと思ったが、やはりそれには無理があった。大本営は最初に投降せよと言ってきたがそんなもの無視してやった。」


軍の上層部って大本営っていうのか…少し勉強しようかな…


青年「でも軍じゃ命令無視はかなりヤバいんじゃないのか?」


長門「その通り、通常命令無視などすれば首が飛ぶ。ただ、もう元の鎮守府に戻る気はさらさらなかったのだ。そうでなくても罰せられることは明らか。抵抗以外に残された選択肢はない。」


長門「何度か通知が来たが全部無視してやったさ。そしたら大本営の艦娘がやって来たんだ。」


長門「その時は私と陸奥しかいなくてな?相手は1艦隊いたんだ。どうにか苦戦したが全員追い返したのだ。」


青年「えぇ…勝てたんですか…」( ゚ー゚)


長門「私たちはなんだかんだで死線をくぐり抜けて来たからな。練度は伊達に高くない。だがこの時ほど前の鎮守府を恨めしく思ったことは無かった…」


そうすると、また長門さんの顔が暗くなる


青年「あの、長門さんは前の鎮守府でなにがあったんですか…?」


長門「……」


長門「うむ、私たちの事情はここのみんなが知っている。お前も知ることになるだろうから話しておこう。」


少しの思考の後に、長門さんは話してくれた。


長門「私たちが前に所属していた鎮守府はな…捨て艦戦法が当たり前だったのだ…。」プルプル


青年「捨て艦戦法…?」


陸奥「長門、落ち着いて?私も一緒に話してあげるから…」ギュッ


長門「す、すまないな陸奥。」ハァハァ


陸奥「青年さん、捨て艦戦法って言うのはね、駆逐艦が戦艦や空母たちの弾除けに…たまよけ…に」ググッ


長門「陸奥、おまえこそ落ち着くんだ…。青年が驚いているぞ。」


青年「何が言いたいのかは分かった。要するに身代わりを強要されていた、と言うことかな?」


長門「そういうことだ…。私たちはな、それの守られる側だったんだ。」


青年「ッ!ということは…」


長門「…あぁ…沢山の子達を目の前で看取った…無念を胸にに沈む子や泣いて…嫌がる子」ポロ…


長門「まだ…しずみたくない…と言いながら沈んで行くんだ…」ポロポロ


青年「そんな…ことが…」


長門「私は…わたしは…それを見て見ぬふりをしていたんだ…どうして私は生きているんだなどと考えたこともあった…」ポロポロ


ギュッ


長門「な…なにをする青年…」


気づいたら俺は長門を抱きしめていた。


青年「辛かったなぁ、長門さん」ポロポロ


長門「!!お前は…泣いているのか?」


青年「本当は助けたかったんだろ…?みんなを守りたかったんだろ?」ポロポロ


長門「…そうだ…私は…私は!!」ポロ…


長門「みんなを救いたかったのに!なにも…何もできなかったんだ!!」ポロポロ


長門「なにがビックセブンだ!!駆逐艦1人も救えずに、なにが戦艦長門だ!?」ポロポロ


長門「私は一体…どうすれば良かったというのだ!沈んだ子達はもう二度と帰ってこない!私が見殺しにしたも同然ではないか!!」ポロポロ


青年「そうか…そうか…」ギュゥゥ


長門「どうして私は…こんなにも無力なんだ……うわぁぁあああああ!!!」ボロボロ


青年「うん…うん…辛かったな…!」ギュウウウ


~~〜~~~〜~~~~〜~~~


長門「」スゥスゥ


陸奥「珍しく姉さんが本音を吐いたわね…」


陸奥「青年さん、ありがとう。」ペコリ


青年「特にお礼を言われるようなことはしてませんけど…?」


陸奥「姉さんはね、ここのみんなにこの話をする時は涙なんて流さなかったの。ここまで叫んでいる姉さんも初めて見たわ」


陸奥「それはきっとあなたを信頼しているから…。本当に、本当にありがとう。」ペコリ


青年「陸奥さん」ギュッ


陸奥「あらあら…これはどういう事かしら…?」


青年「いえ、俺がこうしたいんです。」ギュゥ


陸奥「あら…あらあら…困っちゃうわ」グスッ


青年「陸奥さんも辛かったはずです…無理はしなくていいんです。」


陸奥「そう…かしら?それじゃあもう少しだけ…このままで…」グスッ


青年(ここのトップであろう長門さんたちでもこんなに酷いのか…何か…力になりたい)ギュッ




~~〜~~~〜~~~~〜~~





武蔵「なぁ、村雨よ。私たちまるで空気ではないか?」ボソボソ


村雨「そうですねぇ、でも長門さんがあんなに感情を剥き出しにしたのは初めて見ました…」ボソボソ


神通「そうですね…。これはもしかして…もしかするかもしれません。」ボソボソ


大和「ねぇ武蔵…あの人は…いい人なのかな?」ビクビク


武蔵「大和よ、あいつはきっと私たちを導いてくれる、そんな存在だ。信頼に値する人間だぞ。」


大和「そうなの?武蔵が言うなら安心ね!」パァァ



~~〜~~~〜~~~~〜~~


青年「」グゥゥ〜


陸奥「あらあら、お腹が空いたの?」


青年「す、すみません!まだ一食も食べてなかったので…」


陸奥「青年さん、敬語じゃなくていいわよ。それと、陸奥って呼んで欲しいな♪」


青年「わ、分かった、陸奥。」


陸奥「それじゃ、とりあえずご飯にしましょう」


武蔵「しかしどうする?食堂に青年を連れていくわけにはいくまい。駆逐艦のみんなが混乱してしまうからな」


村雨「私が作ってあげるわ!」ハイハーイ!


武蔵「おぉ、村雨が作ってくれるのか。それなら安心だな。」


村雨「村雨の、ちょっとイイトコ見せたげるっ!」


武蔵「だが、姉妹艦たちには悟られないようにな。頼んだぞ。」


村雨「はいっ!わかりました〜!」ガチャバタン


陸奥「1人じゃ大変だろうから私も手伝ってくるわね」ガチャ


武蔵「分かった。」


古鷹「青年さん」オテテギュッ


青年「ん?えっと…古鷹…さんだっけ?」


古鷹「私は…私たちはあなたを信じていいのでしょうか…?」


まだ信じ切るのに不安があるようだ…


青年「そうだな…俺は君たちになにがあったかを知らない。そしてそれを無理に聞き出そうなんて思わないよ。」


青年「みんな辛い思いをしているみたいだし、これから見極めていってくれればいい、と思っています…。」


青年「これじゃダメですか…?」


古鷹「いいえ、充分、充分すぎます…!」ギュッ


青年「それならよかった」ホッ


古鷹「それと私もさん付けは大丈夫です。古鷹って読んでくだい!」


青年「分かった。よろしくね、古鷹。」


加賀「あの、青年さ「ねぇねぇ青年さん」グイグイ


加賀「」


青年「大和さん?どうかしたの?」


大和「武蔵がね!青年さんは信頼出来るって!」


この子はギャップがすごいな…!見た目はすごい大和撫子でお姉さんって感じだけど、言動から子供っぽさが溢れてるぞ!?


青年「そうか、それはよかった。大和さんもよろしくね」アクシュ


大和「私も大和って呼んで!でもね、武蔵が信頼しきるって今までになかったことなの!」パァァ


武蔵「いやはや青年よ、姉が迷惑をかけてすまんな」


えっ!?この子武蔵さんのお姉さんだったの!?


武蔵「大和は昔からこんな性格でな。見た目に反した行動が多いがどうか大目に見てやってくれ。」


大和「む、大和だってちゃんと強いんだからね!」フフン


青年「そ、そうか…。武蔵さんも改めてよろしくね。」


武蔵「私も武蔵でいい。よろしくな、青年よ。」


加賀「」プルプル


武蔵「む?どうした加賀よ?」


あっ、そういえば大和と被ってたけど、加賀さんも話しかけていたような…


青年「ご、ごめんね、加賀さん?」


加賀「いえ、しょうがない事です。この大和さんなので…。」アキレ


大和「ちょっとぉ!どういうこと!?」


武蔵「ま、まあまあ落ち着け大和。」ドウドウ


加賀「改めて、私は加賀と言います。空母の代表としてここ居ます。」


青年「おぉ、加賀さんは空母なのか」


パッと見みんなと変わらないけど…飛行機はどうやって飛ばすんだろ?


古鷹「あ、私は重巡の代表です。それと、こちらは軽巡の代表の神通さん。」


神通「どうぞ、よろしくお願いします…」オズオズ


青年「うん、よろしくね」


すごく大人しそうな子だけど、この子が代表なのか…


武蔵「青年、神通は普段はこうであれ、訓練や実戦となると化けるぞ。」


なんかまた心読まれてるんだけど…




~~〜~~~〜~~~~〜~~



村雨「さてさて、作りますか!」


〇〇〇「村雨、何つくるっぽい!?」ピョンピョン


村雨「ゆ、夕立!」


夕立「ねぇねぇ、ご飯っぽい?それともおやつっぽい!?」キラキラ


村雨(な、なんて言い訳しようかしら…こんなに早く見つかってしまうなんて)


陸奥「夕立ちゃん、村雨ちゃんは私たちにご飯を作ってくれるのよ」ガチャ


村雨「陸奥さん!」


夕立「えー!じゃあ夕立の分も作って!!」ピョンピョン


陸奥「残念ながら今日は夕立ちゃんの分の材料が足りていないのよ。今日は食堂で食べてきてもらっていいかしら?」


夕立「そういうことなら仕方ないっぽい…」ショボーン


村雨「ほら、飴あげるから食堂行ってきなさい。」ゴソゴソ


夕立「む、夕立そんなに子供じゃないっぽい!!」


村雨「じゃあいらないかしら?」


夕立「飴は美味しいから貰うっぽい!それじゃ今度絶対作ってね!!」トテトテ


陸奥(かわいい)ホンワカ


村雨「助かりました陸奥さん」ハァ


陸奥「夕立ちゃんは相変わらずかわいいわね」ウフフ


村雨「まだ少し子供っぽいですけどね…まあそこがいいんですけど。」


陸奥「それじゃ、作りましょうか?」ヨイショット


村雨「え?」キョトン


陸奥「ほら、みんなの分作るんでしょ?早く作らないと遅くなってしまうわよ。」


村雨(そんな…青年さんに村雨の手料理食べて欲しかったのにぃ…)ショボン


陸奥「あらあら、村雨ちゃんは青年さんに手料理を食べさせてあげたかったのかしら?」


村雨「え"っ!?い、いえそんなことは…///」アセアセ


陸奥「あら、そうだったの?てっきりそのために張り切ってるのかと思ったわ」フフ


村雨「そ、そんなことないですよぉ!みんなに村雨の料理食べてみて欲しかっただけです!!」ブンブン


陸奥「私は、青年さんのこと好きよ?」


村雨「え」ピタッ


陸奥「まさか初対面なのにあんなに優しくしてくれるなんて思ってなかったわ///」


村雨「わ、わわわわたしはそんなことはありませよ!?///」


陸奥「あらあら、それじゃ私が貰っちゃおうかしら?」


村雨「そ、それは…///」カァァ


陸奥「それは?」ノゾキミー


村雨「うぅ…///陸奥さんそんなにからかわないでくださいっ!!」ポカポカ


陸奥「ふふ、初心でかわいいわ」ウフフ


村雨「と、とにかく、ご飯作りますよ!!」ビッ





〇〇〇「2人ともなにしてるんだろう…」|д・) ソォーッ…




~~〜~~~〜~~~~〜~~~





第6章 ランチタイムと蠢く影




青年 グゥゥ~〜


武蔵「む、そんなにお腹が空いてるのか」ハッハッハ


大和「青年さんすごい音だね〜」ウフフ


青年「し、しょうがないだろ!2日間なにも食べてないんだから!///」


そういえば大和は最初はすごくビクビクしてたのにもうこんなに明るくなったな


青年「ねえ大和、どうして最初はすごくビクビクしていたんだい?」


大和「え…?」


武蔵「待ってくれ青年。その話はまたあとででいいか?まだ早すぎる。」


青年「そうか、わかった…。」


大和「でもでも!武蔵が大丈夫って言ってたから大丈夫なの!!」


青年「そうか、それは嬉しいな」ナデナデ


大和「んふふ〜くすぐった〜い」キャッキャッ


村雨「青年さん、ご飯が出来たわよ〜!」ガチャ


陸奥「あら、すっかり懐いちゃったみたいね」ウフフ


村雨(大和さんナデナデされてる…)プクー


青年「む、村雨?どうした…?」アセアセ


村雨「なんでもありませんー」ツーン


陸奥「ふふ、それじゃ私は姉さんを起こしてくるわね。」


~~〜~~~〜~~~~〜~~~


古鷹「それじゃ頂きましょうか」


加賀「そうね、さすがに気分が高揚します」キラキラ


村雨「加賀さん!ちゃんとみんなの分とっといてよね!」


加賀「善処するわ」


神通「それってしない人のセリフでは…?」


青年「あれ?長門さんは?」


陸奥「それがねぇ、みんなの前で泣いてしまったことが少し恥ずかしかったみたいなのよ」


青年「えぇ…俺たちのことは見てたのに…?」


陸奥「青年さんならきっと大丈夫かもしれないわ。ちょっと見てきてもらってもいいかしら?」


青年「わかりました」スタスタ


青年「長門さん、カーテン開けますよ?」シャー


長門「せ、青年か…。さっきはすまない。恥ずかしいものを見せてしまった…///」


青年「いえいえ、気持ちを吐き出すのは大事なことです。それに、俺たちの話を聞いてたんですからおあいこということにしましょう。」


長門「そうか、それならまぁ…。」


青年「村雨と陸奥がご飯を作ってくれました。みんな待ってますよ」


長門「分かった、今行く。」ゴソゴソ




陸奥「おはよう、姉さん。よく眠れた?」


長門「こ、こら茶化すんじゃない///」


加賀「そんなことより早く頂きましょう。冷めてしまうわ。」キラキラ


なんか加賀さんすごい輝いてるんだけど…(;゚д゚)


長門「待たせてすまないな。」ガタ


武蔵「それじゃ頂くとするか」


大和「いただきま」


明石「美味しいご飯があると聞いて!!」ドアバーン!


赤城「呼ばれて飛び出てなんとやら!!!」ドアバーン!


村雨「ちょ、まっ!さすがに赤城さんの分はないわよ!?」


赤城「そ、そんな…」ガンメンソウハク


なんかこの世の終わりみたいな顔してる…


加賀「しょうがないわね、私と半分こしましょう。」


赤城「か、加賀さん!!さすがです!!」キラキラ


この人もキラキラするのか…


明石「ここは病室で本来は必要以上の食事は厳禁ですよぉ??んん??」ニヤニヤ


長門「わ、分かった!お前も食べたいんだろう!?」


明石「さすが、長門さんは分かってますね!それじゃ私も頂きますね!」パクッ


大和 プルプル


武蔵「大和どうかしたか?」


大和「明石さんが…いただきますより先に食べてる…!」プルプル


大和「ダメだよ!いけないんだよ!!」プンスカ


武蔵「あ、明石!謝ってやってくれないか」アセアセ


明石「え?なんですか?」パクパク


大和「むぅぅ!!」((꜆꜄•௰•)꜆꜄꜆バシバシ


明石「痛いっ!痛いって!大和型戦艦の駄々はシャレにならないって!ごめん、ごめんなさーい!!」ナグラレ


武蔵(まだ駄々ですんだか)ホッ


青年(駄々のレベルハンパねぇな…)


古鷹「武蔵さん!はやく大和さんを止めてあげてください!!このままだと明石さん大破まっしぐらですよ!?」



ギャーギャー ギャーギャー


青年「すごい賑やかだな…」


〇〇〇「あれは…」|д・) ソォーッ…


神通「!」


〇〇〇(気づかれた!?)ダッ


神通「逃がしません」シュン


青年「え?消えた?」


古鷹「さすがですね…」ハハ…



~~〜~~~〜~~~~〜~~



〇〇〇「絶対あれ神通さんに気づかれちゃったよ!早く逃げなきゃ!」ダダダダ


〇〇〇「痛っ!?」ドン


神通「私がどうかしましたか?」ニコォ


〇〇〇 Σ(っ゚Д゚;)っヒッ


神通「ちょっと来てくださいね」ガシッ


〇〇〇「ご、ごめんなさぁーい!!」ズルズル



ユルシテクダサイ!!モウシマセンカラァ!!





神通「長門さん、少し出てきてもらってもいいですか?」コンコン


長門「む?どうした神通?」ガチャ


神通「この子がこの部屋を覗いていたようでして…」ハァ


〇〇〇「す、すみません!珍しく武蔵さんたちが騒がしかったので何かあったのかと…」


長門「ふむ、覗き見は感心しないぞ白露。」


白露「ごめんなさい…」シュン


白露「でもでも!村雨もなにか関係してるみたいだったから!」


神通「姉妹の心配は素晴らしいですけど、やってはいけないこともあるでしょう?」


神通「これがもしすごく重要な会議とかしてたらどうするんですか?処罰ものですよ?」


白露「し、処罰!?す、すみませんでしたぁ!!」ドゲザ


長門「まあ神通、そんなに脅してやるな。白露、お前は先程何を見た?」


白露「え、えっと…大和さんが明石さんをポカポカ殴っていたところです」


長門「他にはなにも見ていないのか?」


白露「古鷹さんと神通さんがお話してて、それとたしか加賀さんと赤城さんはキラキラしてました…」


長門(もしかして青年には気づいていないのか?大和たちが騒いでたのがいい方向に働いたか…)


長門「そうか、それなら大丈夫だ。神通、白露を離してやってくれ。」


神通「わかりました。」スッ


長門「それと白露、村雨に関しても大丈夫だ。村雨はいま私たちと少し話し合いをしていてな。」


白露「も、もしかして村雨がなにかしたんですか!?」


長門「だから大丈夫だと言ってるだろう。村雨には処分とかは何もなく、唯話しているだけだ。」


白露「そうですか」ホッ


長門「それじゃあ私はこれで。あ、今日は医務室にはできる限り近づかないでくれよ?」


白露「わ、わかりました!」ビシッ


長門「それではな」バタン


白露「はぁ、良かったぁ」


神通「なにが良かったんですか?」


白露「」ビクゥ!!


白露「あ、あのぉ神通さん…」フリカエリ


神通「長門さんは許しましたが、私は許してませんよ?」ゴゴゴゴ


白露「お、お手柔らかにお願いしますぅ」ナミダメ


神通「面会謝絶の札も掛けておいたのに覗いたんですから…ね?」ゴゴゴゴ


神通「それじゃあ演習場に行きましょうか」ニコッ






ギャー!!ユルシテクダサイ!!ダレカタスケテェー!!






夕立「!」


夕立「白露の声が聞こえたっぽい」ピクピク


〇〇〇「姉さんはまた何かやらかしたのか…」ハァ…


〇〇〇「相変わらずですね」フフフ





~~〜~~~〜~~~~〜~~~



青年「なんか叫び声が聞こえたんだけど…」


長門「まあ神通が上手くやってくれるだろう。こちらは食事を続けよう。」


武蔵「青年!ちゃんと食ってるか?」


青年「あぁ、海の男はちゃんと食わねえとやっていけねえからな!」バクバク


加賀「あなた、よく食べますね」バクバクバクバク


赤城「えぇ、いい食べっぷりです」バクバクバクバクバクバクバクバク


古鷹「2人は異常ですけどね」


明石(大破)「いやぁー、陸で轟沈するかと思いましたわ…」


大和(無傷)「明石さんが行けないんだよ!」プンスカ


長門「ほら、高速修復材だ」つバケツ


明石(大破)「あ、助かります」バシャァ


明石「ふぅ、これで大丈夫ですね!」


青年「すごいな、なんだ今の?」


長門「高速修復材と言ってな。轟沈してなければどんな傷も治せるんだ。艦娘のみだが…」


青年「いいなぁ!俺もやりたい!」キラキラ


村雨「人間には効果はないと言われてるわよ。たまに害もあるって噂だけど…」


青年「それじゃしょうがないか…」


ん?なんだこのちっこいの?


メシ!メシヨコセー!オナカガスイタゾ!


青年「なんだ、飯がほしいのか?ほれ」スプーンサシダシ


全員「!?」


ヒサシブリノゴハンデス!チャーハンウマイ!



シーーーーーン



青年「ん?みんなどうした?そんなに静かになって…」


村雨「せ、青年さん、もしかしてその子達…見えるの?」


青年「ん?このちっこいのか?」


チッコクネー!オラオラー!トビカカレー!


青年「ちょ、ちょっと痛いって!ごめんごめん!!」


全員「(゜д゜)ポカーン」


ジャアアノニクヨコセデス!ソーダソーダ!


青年「分かったって。ほれ。」つ肉


ヤリマシタ サスガニキブンガコウヨウシマス


長門「お、おい青年…。妖精達の言葉も分かるのか!?」


青年「ん?これ妖精っていうのか。まあなんとなくだけど分かるよ」


武蔵「こ、これはまさか…」


長門「村雨!少し我々で話すことが出来た!少しこの場を任せるぞ!」


陸奥「明石さんと赤城さんもここで待っていてね」


明石・赤城「わかりました〜」


大和「ねぇねぇ武蔵、どうしたの?」


武蔵「大和、お前も来るんだ。古鷹も来てくれ。」


古鷹「神通さんはどうしますか?」


長門「悪いが呼んできてくれないか?緊急を要する。たぶん演習場にいるだろう。」


古鷹「わかりました」タッタッ





館内放送「駆逐艦吹雪!駆逐艦吹雪!今すぐ会議室に来てくれ!」ピンポンパーン




〜会議室〜




吹雪「どうしたんですか!?」ドアバーン


長門「来たか、まず座ってくれ。」


吹雪「は、はい…」


吹雪(みんな勢揃いで…一体なにが…!?)


長門「吹雪、まずお前に謝らないといけないことがある。」ガタッ


吹雪「え?どういうことですか?」


長門「吹雪抜きで重要な案件に対応していてな。少しこちらで決めてしまったのだ。すまない。」オジギ


吹雪「と、とりあえず顔を上げてください!話がよく分かりません…説明してくれますよね?」


長門「もちろんだ。順を追って話そう。」





~~〜~~長門説明中…~~〜~~



吹雪「な、なるほど…。村雨ちゃんが青年さんを見つけ保護。その後妖精が見え、会話も出来ることが分かった、ということですか…」


長門「そういうことだ。」


吹雪「そしてこちらの事情も既に公開済み…と」


長門「全ては話していないがな。そこは私達の判断で話した。あの青年は信頼できる。それが私達の結論だ。」


吹雪「長門さんは私たち駆逐艦の中にはトラウマを持っている子もいることをご存知ですよね…?」ググッ


長門「もちろん知っているとも。それを踏まえても、あの青年はきっと私たちを変えてくれる…!」


長門「それにあの武蔵が認めたんだぞ?」


吹雪「武蔵さんが?本当ですか?」


武蔵「本当だ。あの青年の言葉に嘘はなかった。私が保証する。」


吹雪「そう…ですか…それで長門さんはどうしたいんですか?」


長門「私としては提督という形であの青年をここに置きたい。おそらくみんなもそう思っているはずだ。」


武蔵「そうだな、私もそれがいいと思う。」


大和「青年さん私たちの提督になるの!?」キラキラ


古鷹「私も1度信頼してみるのも…いいと思いました…。」


吹雪「古鷹さん、その1度でどうなったのか忘れたんですか!?」バン!


神通「吹雪さん!失言ですよ!!」ガタッ


吹雪「ッ!」


長門「吹雪、お前の過去も把握している。それでも、この長門の顔を立てて青年を信じてあげてくれないか?」スッ


吹雪(長門さんが頭を下げるほどなの!?)


吹雪「わ、わかりました…だけど、みんなに何かあったら…容赦しませんからね…?」ギロッ


長門「…わかった、それでもいい。感謝する。」




長門「この決定に異議のあるものはいるか…?」


シーーーン


長門「分かった。みんなありがとう。この件は夜に私から青年に話そうと思う。」


神通「吹雪さん、青年さんは本当に信頼出来ます。ゆっくりでいいですから、 ……少しずつ理解してあげてください」


吹雪「神通さんまで…」


長門「それでは解散だ。吹雪、まだこのことは口外厳禁だからな。このことを知っているのは私たちと村雨と明石、おそらく青葉も知っているだろう…」


吹雪「わかりました。」



~~〜~~~〜~~~~〜~~~



〇〇〇「吹雪ちゃん、なんの呼び出しだったの?」


吹雪「白雪ちゃん…」


白雪「ん?どうしたの?」キョトン


吹雪「なんでもないよ」ニコッ


吹雪(白雪ちゃんは…今度は、今度こそ私が守るんだから…!)ギリィ



~~〜~~~〜~~~~〜~~~




〇〇〇「失礼します」コンコンガチャ


〇〇〇「うむ、来てくれたか。楽にしてくれ。」


〇〇〇「今日もあの話ですか?」


〇〇〇「そうだ。野良鎮守府はおそらく現存する鎮守府の中ではトップクラスの実力だ。このまま放置するわけにはいかない。」


〇〇〇「あっちには提督がいませんからね。それに事情が事情ですし…。」


〇〇〇「いつ反旗を翻すかも分かったもんじゃない。あちらから仕掛けてきたことはまだないが、今後ないとは言いきれませんよ。」


〇〇〇「海軍全体…いやこの国全部が未だに艦娘を兵器だと捉えている。もし攻め込まれたらその概念はさらに定着してしまうだろう。」


〇〇〇「それだけは絶対に避けたい。未来ある子供たちのためにも…!」


〇〇〇「分かっています。そのためにここに来たんですから。」


〇〇〇「済まないが、君には危ない橋を渡ってもらう…。私はここを動けないのだ。」ググッ


〇〇〇「それも重々承知しています。それでも私はやり遂げて見せます。アイツのために…!」


〇〇〇「ありがとう。君には感謝してもしきれん。それでは……」



~~〜~~~〜~~~~〜~~~










第7章 失った光



青年「ふぅ〜、ご馳走様!美味しかったよ村雨!」ニコッ


村雨「そ、そう?良ければまた作ってあげる///」カァー


明石「おやおやぁ?村雨さんどうしたんですかぁ??」ン?ン?


村雨「大和さん呼びますよ」


明石「すみませんでした」ドゲザ


青年「それにしても長門さんたちはなにをしてるんだろう…」


明石「あなたにてい」モガモガ


村雨「ちょっと明石さん!」クチフサギ


明石「ふぁんれふか?」モガモガ


村雨「まだそうと決まったわけじゃないのに言わない方がいいかと…」ボソボソ


明石「うーん、たしかにそうかも」ムムム


青年「どうしたんですか?」


村雨「な、なんでもないのよ」アセアセ


明石「まあたぶんもうすぐ戻ってくると思いますよ」


長門「途中で抜け出してしまってすまないな。」ガチャ


青年「あ、おかえりです。用事は終わったんですか?」


長門「あぁ、とりあえず片付けをしようか。」カチャカチャ


青年「あ、手伝いますよ」カチャカチャ


陸奥「青年さんはゆっくりしてて。申し訳ないけど、もうしばらくこの部屋で待機させることになってしまったの。」


青年(まあ、これはしょうがないか…)


青年「わかりました、大人しくしてますね。」


長門「そうしてくれると助かる。すまないな。」


大和「ねぇねぇ青年さん」トテトテ


青年「ん?なんだい大和?」


大和「一緒に遊ぼうよ!」


青年「そうしたいけど、ここから出ちゃいけないんだ。ごめんね。」


大和「ん〜、じゃあトランプしよ!」


青年「いいんですか?長門さん?」クルッ


長門「この部屋から出なければ大丈夫だ。遊んでやってくれ。」


青年「待ってるだけじゃ退屈だからなぁ。それじゃやるか!」


村雨「村雨も一緒にやっていい?」


大和「いいよ!一緒に遊ぼ!」


村雨「それじゃお皿片すついでにトランプ取ってくるわね。」ガチャ


武蔵「ふむ、大和はすっかり青年のことが気に入ったようだな。」


大和「武蔵も一緒にやろ!」グイグイ


武蔵「わ、私も暇ではないのだが…」


大和「お姉ちゃんの言うことは聞かないとダメなんだよ!」グイグイ


武蔵「わかったわかった…。いいか、長門?」


長門「大丈夫だ。たまには遊ぶのもいいだろう。」


大和「みんなも遊ぼうよー」


加賀「誘いは嬉しいですが、私は少し訓練してきます。」


神通「私は駆逐艦の子達を訓練しないと…」


古鷹「私は少し休みたいので片付けたら部屋に戻りますね。」


赤城「私も加賀さんと一緒に行きますね。」


明石「私は新装備の開発に!」キラキラ


大和「えぇー、それじゃ長門さんと陸奥さんは??」


陸奥「私たちも少しやることがあってね。ごめんなさいね。」


長門「いや、アレは私1人で充分だ。陸奥も偶にはゆっくりするといい。」


陸奥「あらそう?ありがと、姉さん。」


大和「それじゃあ青年さん、村雨ちゃん、陸奥さん、武蔵と私の5人だね。」


武蔵「まだ片付けが終わってないんだ。大和も少し手伝ってくれないか?」


大和「わかった〜」カチャカチャ


青年(うーん、ゆっくりしてろとは言われたけど少し退屈だな…)



コンコン



長門「誰だ?」ガチャ


〇〇〇「その声は長門さんですね。」


長門「は、初霜…!」


なんだあの子?木の棒を持ってるけど…?


武蔵「青年、静かにしてろ!」ボソボソ


初霜「武蔵さんもいたんですか。それで…」


初霜「その『青年』とは?」キッ


長門「な、なんのことだ?」アセアセ


初霜「誤魔化さないでください。先程武蔵さんが『青年』と言ったのを聞きました。私たちの他に誰かいるんですね?」


あの子すごい耳がいいのか!?部屋の奥で話してたのに…


初霜「珍しく医務室が騒がしいと思って来てみれば…どういうことですか?説明を要求します。」カタ


長門「こうなっては仕方があるまい…。初霜、1度隣の部屋へ来てくれ。全て話そう。」


初霜「ちゃんと全部話してくださいね?」ガタン



~~〜~~長門説明中…~~〜~〜



初霜「吹雪ちゃんはその事を知ってるんですか?1番反対したと思うのですが…」


長門「私が頭を下げて頼んだ。それでもまだ抵抗があるようだったが。」


初霜「長門さんが頭を下げるほどですか…。どうしてそこまでするんですか?この前のようにしておけば良かったのに。」


長門「今回ばかりは事情が違うのだ。先程説明したが、あの青年は吹雪を除く代表全員が信頼している。」


長門「あの青年はこの鎮守府の現状を変えてくれると考えている。初霜、青年に艦娘について聞いた時なんて返答したか分かるか?」


初霜「やはり『兵器』なのでは…?」


長門「あいつはな、私たちが艦娘だと説明した後、私たちを『女の子』と言ったのだぞ?」ハハ


初霜「……それは裏があるのでは?」ウツムキ


長門「それは大丈夫だ。私たちには嘘か真か見分ける術がある。初霜は知らないかもしれないが…」


初霜「あの青年とやらは…あなたたちにそこまで言わせる人物なのですか…?」


長門「そこまで言うなら少し話してみるか?」


初霜「いいのですか?」


長門「ただし条件がある。あの青年の存在はまだ公表していない。だから口外しないこと。」


初霜「それだけですか?」


長門「それだけ守ってくれれば問題はない。」


初霜「わかりました。では話させてください。あ、二人きりにしてもらってもいいですか?」


長門「なぜだ?」


初霜「長門さんは知ってると思いますが、私は失明してからほかの五感がすごく敏感になりました。今ではその人の纏う雰囲気も分かるほどに…。」


長門「わかった。ただし何かあった時のために武蔵には部屋の外で待機しててもらう。それでもいいか?」


初霜「わかりました、ありがとうございます。」ペコリ


長門「その五感でしっかりと見極めてこい。では行こうか。」ガチャ



~~〜~~~〜~~~~〜~~~



長門「戻ったぞ」ガチャ


大和「やった!いっちばーん!!」ワァイ


村雨「村雨もアガリー!」


陸奥「あらあら、私も終わりだわ」ウフフ


武蔵「くっ、どういうことだ!?」アセアセ


青年「武蔵さんと一騎打ちか…」


青年(あれ?武蔵さん心読めるから勝ち目なくね…!?)


武蔵「くっ…、青年に4枚ドローだ!」


青年 つ4枚ドロー重ねがけ


武蔵「なん…だと…!?」ワナワナ


青年「俺も上がりですね」フゥ


大和「あれ〜?武蔵珍しく負けちゃったね!」アハハ


武蔵「し、しょうがないだろう!U〇Oなんてルールも知らないんだから!」(ノシ 'ω')ノシ バンバン


武蔵「私がちゃんとやり慣れていれば勝てていたとも!よし、もう一度だ!!」


村雨「武蔵さんって意外と負けず嫌いよね〜」




ワイワイガヤガヤ



長門・初霜「」ポカーン


初霜「あ…あの…、これは?」


武蔵「む?初霜に長門か。話し合いは終わったのか?」


初霜「はい、終わりました…じゃなくて!これは一体何をしているのですか…?」


村雨「〇NOっていうトランプみたいなカードゲームよ!やってみると楽しいわよ〜」


大和「最初は武蔵がビリだったの!」キャッキャッ


武蔵「初めてだったからしょうがないだろう!!」


陸奥「まあまあ落ち着いて、武蔵。」ドウドウ




初霜(これは…)


初霜(今までにないほど柔らかく優しい雰囲気…)


初霜(村雨さんや大和さんはともかく、武蔵さんと陸奥さんも心から楽しんでいる。)


初霜(そして奥にいるのがおそらく例の青年…。)


初霜(とても楽しそうな雰囲気…でもその中心に見え隠れする悲しげな雰囲気。)


初霜(長門さんに聞いた、お父さんとお母さんのことのようですね…。)


初霜(でも、でも…)ポロ…


長門「ど、どうした初霜!?」オロオロ


初霜(私が、みんなが憧れていた…艦娘と人間が仲良く笑い合える光景が、ここにある…)ポロポロ


初霜(私には分かる…この楽しさの源はあの青年なのだと…)ポロポロ


初霜(私が願っても祈っても…見ることの出来なかった世界が)ポロポロ


初霜(私の目の前に広がっている…!)

ポロポロ


陸奥「ちょ、ちょっと初霜ちゃん!?」


初霜「私も見てみたかった…」ボソ


長門「初霜、大丈夫か!?どうして急に泣き出して…」オロオロ


初霜「すみません長門さん、もう大丈夫です。」グシグシ


長門「そ、そうか。それじゃあ青年、少し初霜が話をしたいそうだ。」


初霜「長門さん、その必要はなくなりました。」


長門「え?」


初霜「そのかわり、少し質問があります。いいですか…?」


長門「あ、あぁ、もちろんいいぞ。」


初霜「それでは皆さんに質問です。『皆さんは今、楽しいですか?』」


全員「「「「!!!!」」」」


大和「うん!とっても楽しいよ!」ニパー


村雨「もちろん、楽しいよ!」ニコッ


武蔵「悔しくもあるが、とても楽しいとも。」


陸奥「ここまではしゃいだのはいつぶりかしらねぇ」ウフフ



やはり…やはりこの青年は…!



初霜「そんなの…そんなの羨ましくなってしまうじゃないですか…!」ポロ…


初霜「うっ、ううぅ…」ポロポロ


長門「初霜」ポン


初霜「まだ、まだ希望がここにありました…!あの子たちを…すぐっでください…!!」ボロボロ


長門「もちろん、もちろんだとも…!」ギュッ











……




あぁ…




これはとても良い夢だ





こんなにもいい夢を見ることが出来るなんて…





願わくば私の姉妹たちを










救ってくれますように…!






~~〜~~~〜~~~~〜~~~〜~





第8章 見つけた願望と悲劇の前奏曲




しばらくして…



初霜「青年さん、青年さん。」


青年「な、なんですか?」アセアセ


初霜「いえ、呼んでみただけです。」フフフ


青年「そ、そう?」


村雨「ちょ、ちょっと!なんで自然にそんなことしてるのよ!?」


初霜「?」アグラノウエー


青年「しょうがないじゃんか…乗ってきちゃったし…」アグラカキ


普通にいい匂いして少し厳しいものがあるんだけど…


初霜「青年さんは私がここにいては困りますか?」


青年「そんなわけないよ。むしろうれ」ゲフンゲフン


初霜「どうしました?」キョトン


青年「いや、なんでもないよ…」ダラダラ


あやうく本音が漏れかけた(゚ω゚;A)アセアセ


大和「ねー、大和もそこ座りたい!」クイクイ


初霜「ダメです!いまは私の場所です!」(`・ω・´)キリッ


大和「え〜ずるいよ〜」ブーブー


初霜「それに私は今から私の過去を青年さんに話そうと思っています。」


青年「おれに教えてくれるのか?」


初霜「はい、私は青年さんを信頼しました。あなたなら…いえ、あなたでなければ出来ないことをお願いしたいのです…!」


青年「そこまで信頼してくれてるのか。まだ会って間もないのにありがとうな。」ナデナデ


初霜「んっ…。いえ、他の子達もきっと青年さんなら心を許してくれるはずです…。」ハフゥ


村雨(青年さんのナデナデいいなぁ…)ジー


青年「ん?どうした、村雨?」


村雨「な、なんでもないわ///」


武蔵(村雨も可愛いところがあるじゃないか)ホノボノ


初霜「それで青年さん、私のお話…聞いてくれますか…?」


青年「うん、おれなんかが力になれるなら是非。」


初霜「それとお願いがあるのですが…」オズオズ


青年「?」


初霜「手を…握っていてくれないでしょうか…」


青年「分かった」ギュッ


初霜「あ、ありがとうございます!それでは話しますね…」




~~〜~~~〜~~~~〜~~~




私は2年前に艦娘の「初霜」として新たな人生を歩むことになりました。ちょうど長門さんたちが野良鎮守府を設立した頃ですね。


艦娘になる前から、艦娘が『兵器』として扱われていることは知っていました。それでもなお、同じ人間であったからこそ仲良く出来るはずだと私は考えていました。


私に初霜の適正があると分かった時、戦争終結もありますが、人間と艦娘の架け橋になりたいと強く思いました。


私が初霜になって間もなく、私は鎮守府に所属することになりました。その鎮守府には私の姉に当たる初春姉さん、子日姉さん、若葉姉さんが既に着任していたの。



初霜「初春型四番艦初霜です。よろしくお願いします!」ビシッ


提督「あぁ、よろしく頼む。」


ドドドドド


???「初霜ちゃーーん!!」ダキッ


初霜「わっ」ドサッ


???「これ子日、初霜がびっくりしておるぞ」ε-(´-`*)ハァ


???「こういうのも…悪くない」(`・ω・´)キリッ




1度も会ったことはなかったけれど、一目みてわかりました。彼女たち3人は私の姉なのだと。



初霜「もしかして…姉さんたちですか…?」


初春「妾は初春じゃ。よろしくな、初霜よ。」


子日「子日だよぉ!よろしくね!」


若葉「若葉だ。初春が一番艦で子日が二番艦、私が三番艦だ。」


初霜「私は末っ子なのですね」フフ


初春「とても落ち着いておるな…。これでは子日の方が妹みたいではないかえ?」クスクス


若葉「あながち間違っていないかもな」フフフ


子日「ちょっとそこぉ!なに勝手に納得してるの!?」プンスカ



キャッキャッ ブーブー



姉さんたちとの出会いはとても明るいものでした。私が着任した鎮守府はまだ設立されて3ヶ月ほどの新しいところでした。


それでも最前線より内側にある場所なのでそこまで強い敵とは戦わないとのことでした。


そこの提督とは仲が良いとは言えませんでしたが、上司で言えば中の上程の有能な方でした。


姉さんたちもそこは信頼しているようで、私は一先ず安心しました。


私が着任して三日後、初めての出撃任務が下されました。



提督「初霜。今日は初春、子日、若葉と初出撃だ。旗艦は初春だ。頑張ってくれよ。」


初霜「了解です!任務を遂行して参ります!」ビシッ


提督「敵艦隊ははぐれの駆逐イ級が2体、軽巡ホ級が1体。」


子日「出撃は久しぶりだな〜。初霜、頑張ろうね!」


初春「ちゃんと妾の指示に従ってほしいのう…」


若葉「油断せずに行こう。」グッ


初霜「駆逐艦初霜、抜錨します!」



私の初出撃の時も姉さんたちはいつも通りでした。緊張なんて飛んでしまうほどに。今思うとあれは姉さんたちが気を使ってくれたのかもしれません。






子日「!」


若葉「どうした?」


子日「初春、あそこ!」ユビサシ


初霜「駆逐イ級に軽巡ホ級…情報通りじゃな。」


初霜「どうするんですか?」


初春「あちらはまだ気づいていないようじゃ。全艦、戦闘態勢に。ゆっくり近づくぞ。」



そう告げると姉さん達の空気が変わりました。



初春「もうすぐであちらの軽巡の射程圏内に入るぞ。気を引き締めるんじゃ!」


子日「こっちに気づいたよ!」


ドォーーン


初春「砲撃じゃ!総員回避!」ザー


初霜(ッ!少し危なかった…!)


初春「全艦、損傷は!?」


子日「ないよ!」


若葉「こちらも大丈夫だ。」


初霜「わ、私も大丈夫です!」


初春「初霜、よく避けた!速度一杯、一気に近づいて倒すぞ!」


ドォーーン


若葉「敵駆逐艦砲撃確認!回避だ!」


初霜「ッ!?」ビッ


若葉「初霜!!」


初霜「掠っただけです!まだまだ!!」小破


初春「全艦砲撃用意!ってぇーーー!!!!」


イ級 ギィィィィ


子日「駆逐イ級轟沈確認!」


若葉「初霜、雷跡だ!!避けろぉ!!!」


初霜(え…?)


ドカァン!!


初春「ふんっ……!!」中破


初霜「は、初春姉さん…血が…!」ヘタッ


初春「まだ終わっとらんぞ!集中せい!!」ハァハァ


初霜「でも…でも…!」ポロ…


若葉「立て初霜!死にたくなければ立つんだ!!!」ドォンドォン


子日「よくも初春を…!!」ジャキン


子日「初霜!初霜は初春を殺したいの!?早く立って!!」ドォン


初霜「!」ググッ


初春「よ…よく立った初霜。行くぞ!!」ハァハァ


初春「若葉!子日!魚雷発射準備!!」


若葉・子日「了解!(オッケー!)」


初春「初霜は妾と夾叉砲撃じゃ!」ドォン!


初霜「わかりました!」ドォン


ホ級・イ級「!!」


初春「魚雷発射じゃ!!」


子日「いっけぇー!」ボシュ


若葉「当ててみせる…!」ボシュ



ドォォォン!!



イ級 ギィィィィ!!

ホ級 オォォォォ!!


子日「やったね!艦隊が勝利したよぉ!!」


初霜「初春姉さん!」


初春「そう騒ぐでない初霜。妾なら大丈夫じゃ。」ハァハァ


初霜「うっ、うぅ…ごめんなさい…」ポロポロ


若葉「とにかく早く戻ろうか。殿は私がやろう。子日と初霜は初春の護衛に付いてやってくれ。」


子日「ほら、行くよ初霜ちゃん。」


初春「さて、帰ろうぞ!」ニコッ





初出撃のこの日は自分の無力さを痛感しました。今度は守られるだけじゃいけない。姉さん達を守れるようにならなくては、と強く思いました。




初春「艦隊が帰投したぞえ。」ボロッ


子日「ただいまぁ〜」


提督「あぁお疲れ様。損害と戦果は?」


初春「こちらは妾が中破、初霜が小破のみ。はぐれ敵艦隊は全滅させた。」ハァハァ


提督「初春が中破か。早く入渠してこい。」


初春「すまんの…。」


若葉「私が肩を貸そう」ヨイショ


子日「子日も疲れたぁ〜」


提督「もういいぞ。初春はあとで報告書を頼む。」


初春「わかった…。」バタン


提督「ん?初霜もう出ていっていいんだぞ?」


初霜「あ、あの!」


提督「なんだよ…」チッ


初霜(今舌打ちされた…!?)


初霜「初春姉さんの損害は私を庇ったせいです!どうかお許しください!」ガバッ


提督「あー、特に罰とかはねぇよ。だからもう行きな。」ハァ


初霜「そ、そうですか…?それじゃあし失礼します。」バタン


提督(はぁ、めんどくせぇな…。なんだってこんなところにいなきゃいけねぇんだか。)


提督(艦娘なんて所詮『兵器』だしな。人として接するに値しないわ)ククク



~~〜~その日の夜~~〜~


初霜「初春姉さん…今日は本当にごめんなさい…」ペコリ


初春「まだ言うとるのか。大丈夫だと言うとるのに…」ε-(´-`*)ハァ


若葉「だがあそこで座り込んでしまったのは1番ダメな行為だぞ。被弾するよりも、だ。」


初霜「はい…すみません…」シュン


初春「あの状況では妾が庇った方が損害が少ないと判断した迄じゃ。」


初霜「ど、どうしてですか…?」


初春「あの時初霜は完全に隙を突かれておったな?」


初霜「はい…若葉姉さんに言われるまで気づきませんでした…」


初春「死角や隙からの攻撃はな、来ると分かっている攻撃よりも損害が大きいのじゃぞ。これは分かるじゃろう。」


初霜「なるほど、来ると分かっていれば防御して軽減することも可能ですね。」


初春「そういうことじゃ。故に妾が庇う方が良かったのじゃ。」


初春「おそらくあのまま喰らっておったら大破じゃぞ。初出撃で大破の痛みなど耐えられる筈がないのじゃ。」


初春「それこそ動けなくなって攻撃の的だからの。」


初霜「でも…初春姉さんは旗艦なんですよ?旗艦が損傷したら艦隊の指示に支障が出るかもしれないのに…」ウツムキ


初春「はぁ…初霜、お主は何もわかっておらぬな。」アキレ


初霜「どういうことでしょうか…?」


初春「初霜。お主は妾の大事な妹だぞ。守らぬ理由がどこにあると言うんじゃ?」


初霜「え…?」キョトン


初春「なんじゃ、聞こえんかったのか?」


初霜(初春姉さんは…私が妹だからというだけで…?)ポロ…


初春「ど、どうしたのじゃ」アセアセ


初霜「は…初春姉さんっ!」ダキッ


初春「なんじゃ?」


初霜「私…私もっと強くなって見せます…!姉さんたちを守れるように!!」ポロポロ


初春「ふふ、妾たちを守るか…。大きく出たものよのう」ナデナデ


初霜「もっともっと訓練して!絶対に姉さんを守ります…!!」ヒグッグスッ


初春「簡単に守られるつもりはないぞよ?」クスクス


若葉「こういうのも…悪くないな」(`・ω・´)キリッ


初春「さて、夜も遅いしそろそろ寝ようかの。」


若葉「子日はもう寝たぞ」


子日「スピー」


初春「相変わらず寝るのは早いのう」クスクス


若葉「それじゃあ電気消すぞ。」パチッ








初霜(うぅ…さっき感情が昂ってしまったせいでなかなか寝つけません…)


初春「初霜、起きておるか?」ボソボソ


初霜「初春姉さん?」


初春「静かに。子日と若葉はもう寝ておる。」ヒソヒソ


初霜「何かあったんですか?」ヒソヒソ


初春「真面目な初霜の事じゃ。まだ考えているのではと思ってな。」ヒソヒソ


初霜「うっ…」


初春「ふふ、初霜らしいの。あれは本当にしょうがないことじゃった。気に病むことは無い。次避けられるようにすればよい。」


初霜「でも…次避けられる自信がありません…」シュン


初春「ならもっと精進するのじゃ。できないことを諦めるな、できるようにするのじゃ。」


初霜「そう…ですよね!たくさん訓練して強くならないと…!」


初春「そうそう、その意気じゃ。」


若葉(ん…。初春と初霜か…?)パチッ


初霜「そういえば初春姉さん」


初春「なんじゃ?」


初霜「初春姉さんはどうして艦娘になったんですか?」


初春「どうして…か。」


初霜「あ、あの…話したくなければそれでも…」アセアセ


初春「いや、初霜には話そう。」


初春「妾は海の近くの町に住んでいての。父に母、弟がいたんじゃ。」


初霜「『いた』ってことは…」


初春「…そうじゃ、今はもう皆死んでもうた…。深海棲艦の攻撃でな。」


初春「妾は偶然友と遊びに県外におっての。報せを聞いて飛んで戻ったらば驚いたわ…」


初春「住んでいた町は跡形もなくなっていたのじゃ。妾の家も…な。」ギュッ


初春「攻め込んできた深海棲艦は前線基地の防衛網を数で押し通して来たようじゃった。」


初春「奴らは殲滅されたが、間に合わなかったのじゃ。妾と友人の家族は誰一人生きている者はいなかった。」


初春「その後生き残った妾と友人は共に孤児院で暮らした。」


初春「孤児院で暮らしていて間もなく、海軍の者がやってきた。何やら艦娘適正者とやらを探しているとのことじゃった。」


初春「その後適正検査により妾に初春としての適正があることが判明したのじゃ。」


初春「妾は艦娘になっても離れる家族ももういない。給金も入るとのことだったから町の復興に寄付しようと艦娘になることを決めた。」


初春「そして着任したのがこの鎮守府と言うわけじゃ。ちなみにこの鎮守府は防衛網を突破された鎮守府の内側にあるのじゃ。」


初霜「え!?じゃあ…」


初春「そういうことじゃ。この鎮守府から少し離れたところに妾の生まれ故郷がある。襲撃を喰らってはや3ヶ月…。復興はゆっくりだが順調に進んでおるのじゃ。」ニコッ


初霜(なんて辛い過去を…それでも頑張れるなんて…)


初霜「それでは私もその町を守るために頑張りますね!」ギュッ


初春「どういうことじゃ?」


初霜「初春姉さんも守りたいですが…初春姉さんが守りたい物も守りたいので!」


初春「ふふ、初霜は意外にも欲張りなやつじゃったか」


若葉「私にも守らせてもらおう」ガシッ


初霜・初春「!?」


子日「子日もぉ〜!」ギュッ


初春「お、お主ら!起きておったのか!?」


若葉「そりゃそんな大きい声で喋ってればな…」


子日「最初から最後まで、ぜぇ〜んぶ聞いたもんね!子日も初春の故郷を守るの!」


初春「ふ、不覚じゃ///初霜だけに言うつもりじゃったのに…。」


初霜「それじゃ、みんなで守りましょう?」フフ


若葉「あぁ、そうだな。」


子日「みんなでならきっと大丈夫だね!」


初春「妾は良い妹達を持ったようじゃの」シミジミ


初春「それはそうと初霜はどうして艦娘になったんじゃ?」


初霜「私ですか?」キョトン


若葉「初霜にも何か理由があるのか?」


初霜「そうですね。私は願いというかなんというか…」


初春「どういう事じゃ?」


初霜「姉さん達も艦娘が世間では『兵器』として認識されていることを知っていますよね?」


初春「そうじゃな…」


初霜「私は思ったんです。艦娘の適正がある『人間』が艦娘になるとどうして『兵器』扱いなのか…」


初霜「確かに人間の科学を凌駕する深海棲艦に攻撃できるという点では兵器というほかありません。」


初霜「しかし、今もこうして姉さんたちと話していて艦娘は人間となんら変わっていない。」


初霜「平和を願い、喋って笑って泣いて…姉が妹を想って…」グッ


初霜「やってることは『兵器』です。しかし思考や戦闘以外での言動に関しては『人間』と全く同じ…。」


初霜「艦娘になる前にも艦娘は不当な扱いを受けることがあるという噂を耳にしていました。」


初霜「私はそんな関係を変えたい…。艦娘は人間と意思疎通ができ、分かり合える存在だと思いました…。」


初霜「私に艦娘適正が出たときその夢は目指すべき目標に変わりました。私が艦娘と人間の架け橋となって友好な関係に変えたいと…!」


初春「そうか…初霜はそんなことを考えていたんじゃな。」


若葉「とても立派だ。初霜がそこまで深く考えていたとは思わなかったぞ」


子日「その目標、私たちも共有しようよ!」


初春「そうじゃな。初霜1人より妾たちと4人の方がきっと良いだろう。」


子日「そうだよね!でも、提督も私たちとはあんまり話してくれないし、まずはそこからかなぁ?」


初霜「まずは身近な人間として、提督と仲良くなれるといいのですが…」


若葉「まぁ、そこはまた後日考えようじゃないか。もう2時だ。」


子日「えっ!?子日明日起きられないかも!!」


初春「子日のねぼすけはいつもじゃろうて…とりあえずもう寝ようか。」



オヤスミナサーイ



初霜(まさかみんなと目標を共有できるなんて…きっといい方向に進んでくれますよね…!)フフッ




~~〜~~~執務室~~〜~~~






提督「はぁ、こんなところ早く辞めてえけど海軍が逃がしてくれねえんだよなぁ…」


提督「俺はもともと軍属じゃないのにさ」ハァ…


提督「む、これなら抜け出せるかもな…!」


提督「でもこれはあの『兵器』共と信頼関係が出来てないと難しいな」


提督「そうと決まれば…」ククク




~~〜~~~〜~~~~〜~~~〜




姉さん達と夢を共有したあの夜から2ヶ月ほどあとには、私たちは提督と日常会話が生まれるほど仲がよくなっていました。




提督「初霜、最近調子はどうだ?」


初霜「あ、提督!おはようございます!」ビシッ


提督「そういうのはいいって。初春たちとは上手くやれているか?」スタスタ


初霜「はい!姉さんたちは優しくも厳しく指導してくれて、とてもいい姉です!」トテトテ


提督「そうか、それは良かったな。今日も秘書艦頼んだぞ。」フフ


初霜「はい、任せてください!」



最近提督がよく話しかけてくれるようになった気がします。それに以前までは秘書艦がいなかったのですが、時折私を秘書艦にしています。



初霜「提督、1つ聞きたいことがあるのですがいいでしょうか?」


提督「ん?なんだ?」


初霜「提督は最近私たちとコミュニケーションを取ってくれるようになりました。なにかきっかけがあったのですか?」


提督「……」


初霜「提督?」キョトン


提督「今まではあまり話してこなかったがな。部下達も気遣ってこその上司だと思い始めて、コミュニケーションを取ろうと思ったのだ。」


初霜(上司と部下…ですか。それでも向き合って貰えているなら…!)


提督「初霜は、それでは迷惑だったか?」


初霜「いえ、そうではないのです。単純に私たちとこうして喋ってくれるのが嬉しいと思いまして…」


提督「そうか、それなら良かった。」



ドドドドド




子日「艦隊が帰投したよ!」バァン


初霜「子日姉さん…ノックはしましょうよ…」アキレ


初春「初霜の言う通りじゃぞ、子日。」ハァ


提督「遠征はどうだった?」


初春「遠征は大成功じゃ!資材はもう保管庫に運んでおいたぞ。」


提督「そうか、大成功してくれるととてもありがたいな。ご褒美にこれをあげよう。」スッ


初霜「こ、これは…!」


子日「間宮さんのアイスだぁ!!」ピョンピョン


若葉「こういうのも悪くない」(`・ω・´)キリッ


初春「高かったであろう…なにか少し悪い気がするな…。」


提督「まあ気にすんなって。ホレ、1人1個だからな。」


初霜(私は遠征行ってないからないのかな…)シュン


提督「ほら、初霜も。」サシダシ


初霜「え?」キョトン


提督「初霜も秘書艦を頑張ってくれているからな。3人と一緒に食べてこい。」


初霜「あ、ありがとうございます!!」


子日「提督は食べないの〜?」


提督「俺はまだ執務が終わってないからな。あとでゆっくり頂くよ。」


初春「ほれほれ、ここにおっては邪魔になってしまうぞ。部屋に戻るぞえ。」


初霜「でも私秘書艦ですし…」オロオロ


提督「だから大丈夫だって。あとは俺1人でもどうにかなるさ。ゆっくりしてきなよ。」


初霜「わかりました…。お気遣い感謝します!」ガチャ




提督(この2ヶ月で着々と信頼関係は築けているはず…。チョロいもんだな。)ハハ


提督(間宮のアイスとやらは高かったがこの程度の出費、提督辞めるためなら痛くもない)


提督「あともう少しだ…」ニヤリ



~~〜~~初霜達の部屋~~〜~~


子日「んん〜!おいひぃ〜!!」キラキラ


若葉「まさかこんなに美味しいアイスが存在するとはな…」キラキラ


初春「これ子日、少し行儀が悪いぞ!」キラキラ


なんか姉さん達がキラキラ輝いています…


子日「そういえば、最近提督とよく喋るようになったよね〜」


初春「たしかにそうじゃな。」


若葉「これはいい傾向だ。このまま少しずつ仲良くなっていこう。」


初霜「あ、それについてさっき提督の聞いてみたんですよ。」


子日「え?提督なんて言ってた?」


初霜「私たち部下の上司としてコミュニケーションを取ろうと思った、との事でした。」


初春「ふむ。対等は難しいと考えていたが、上司と部下か。」


若葉「こういうのも悪くない。」(`・ω・´)キリッ


初霜「少しずつですが良い方向に向かっている気がします。最近の戦果も上がっていますし、きっと提督も満足してくれているはずです。」


子日「でも最近はぐれ艦隊が多いよねー」パタパタ


初春「そうじゃな。この前の戦艦がいた時はビックリしたぞえ。」


初霜「いやぁ、あの時は怖かったですね」フフッ


若葉「4人の一斉雷撃で倒せたから良かったけどな。」




この頃の私達は着実に強くなっていました。4人で戦艦も沈めた程ですから!



子日「そういえば最近のはぐれって毎回同じ場所で会敵しない?」


初霜「それはただの偶然ではないでしょうか?」ウーン


子日「えー?でもかなり同じ場所にいるような気がするよ?」


若葉「まあ考えても分かるものはあるまい。今は考えないでおこう。」


初春「そうじゃ、お主らに伝えたいことがあったんじゃ。」ポン!


初霜「なんですか?」キョトン


初春「今度妾の生まれた町へ行かんかえ?まだ5ヶ月しか経っておらぬがかなり賑わってきているようじゃ。」


初霜「是非!…と言いたいところですけど、休みはそうそう取れないのでは…?」


初春「心配するでない。妾が既に休暇届けを提出済みじゃ。提督からの許可もすでも貰っておる。」


初春「提督にも故郷のことを話したのじゃ。そしたら快く許可をくれのじゃ。」


若葉「さすがだな、仕事が早い。」ハハハ


子日「それじゃ初春の町にいこ!」


初春「焦るでない、休暇は明後日じゃ」


初霜「楽しみですね!」フフッ




~~〜~~~二日後~〜~~~〜



初春「それでは提督よ、行ってまいるぞ」シフクソウビ


提督「あぁ、楽しんでこいよ。」


子日「楽しみだね!」シフクソウビ


若葉「あくまで私は艦娘だからな。子日はそこらへんを弁えて振舞ってくれよ。」


提督「そうだぞ子日。町で騒ぎとか起こすなよ?」ハッハッハ


子日「さすがに子日はそんなことしませんー!」ベー


初霜「ふふ、それじゃ行きましょうか。」バタン


提督「あぁ、行ってらっしゃい。」


提督(今日はあいつらがいないから少し派手に動けるな…。)ニヤリ


提督(あと少しだ…あと少しで…!)





~~〜~~~〜町~~〜~~~〜


初春「おぉ、もうこんなにも戻っておったか…」ホロリ


子日(初春が泣いてる!)


若葉(余計な茶々は入れるなよ?)


子日(こいつ…脳内に直接…!?)


初霜「町が…活気で溢れていますね!」


初春「妾の町が元に戻り始めている…!これ程嬉しいものはないのう!」ポロリ


初霜「私たちで寄付した甲斐があったというものですね!」ハンカチサシダシ


初春「すまんな、初霜。」ゴシゴシ


初春「とりあえず妾の家があった場所に行きたいのじゃが良いか?」


若葉「もちろんだ。私たちも是非行きたい。」



~~〜~~~少女移動中…~~〜~~~


初春「ここじゃな…」


初霜「ここが…初春姉さんの家があった場所なのですか…?」


初春姉さんが立ち止まったところを見ると、家としての形はギリギリ保っているもののそこにはまだ瓦礫が積み上がっていました。


そして僅かばかりの花束…



初春 ポロリ


初霜「初春姉さん…」ギュッ


初春「妾が取り壊さないでくれと町に頼んだのだ。壊す前に1度来たかったからの…」ポロ…


そう言うと初春姉さんは涙を流しました。


初春「戻るのが5ヶ月も遅れてしまった…家族に、申し訳が…立たないのじゃ…」ポロポロ


若葉「…」グッ


子日「…」


初霜「…」ギュッ


初春「妾が艦娘となったのは運命のようなもの…と思っておったが…これで妾は正しかったのだろうか…」グスッ


初春「うぅ…うっ…」ポロポロ


初霜「初春姉さん…」ダキッ


初めて見た初春姉さんの弱い心。いつも気高く私たちの姉であらんという姿は影もない。なんて…なんて苦しいんだろう…





???「もしかして…春…なの?」


初春 クルッ


初春「!!」


初春「まさか…お主…」ポロポロ


???「ふふ、艦娘になってかなり変わっちゃったね…春。」ポロリ


初春「…ま、まさか…空なのか…!?」フラフラ


空(うつほ)「うん…!久しぶり、春。いや…『おかえり』!」ポロポロ


初春「うん…うん…!『ただいま』…!!」 ダキッ


空「春はあのあと艦娘になったんだもんね…。ここまで復興するのに5ヶ月。短いようで長かったよ…」ギュッ


初春「そうか…こういう時はこう言うんだったな。ありがとう、と。」ニコッ


空「!私との約束、覚えててくれたんだね。」


初春「もちろんじゃ。我が友との約束は死んでも忘れぬものよ!」グシグシ


空「うん、相変わらず頼もしいね…。それはそうと口調も変わったね?」


初春「それは艤装の影響だとか聞いたぞ。もう妾はこう喋るが自然になっておる。」


空「でもさっき少しだけど素出てたよね…?」ツンツン


初春「そ、それは気のせいじゃ!///」


空「口調も姿も変わってもやっぱり心は春のままだね。」ウフフ


空「そういえばこの子達は?」ユビサシ


初春「はっ!空との出会いが衝撃的過ぎて忘れておったわ…」


子日「ちょっと!忘れるなんてひどいよ!!」ブーブー


若葉「こういうのも悪くない」ハァハァ


初霜「子日姉さん珍しく静かにしてましたもんね。」


初春「紹介するぞ。左から子日、若葉、初霜じゃ。」


空「春の友達の空です。よろしくお願いします。」ペコリ


一同「よろしくお願いします」ペコリ


初春「3人とも妾の妹だぞえ。」フフン


空「妹…か。そう、良かったわね」フフ


初春「3人とも自慢の妹じゃ。子日は少し頼りないところもあるけどのぅ…」


子日「子日だってやればできるから!」ムフーン


若葉「いや、それはそうと普段がなぁ…」ハァ


初霜「まあそこが子日姉さんって感じですけどね」ハハ


子日「なんか納得いかない…」ブゥー


空「仲がいいのね。」フフッ


初春「そういえば空は何をしに来たのじゃ?」


空「私は花を…ね?」カサッ


初春「もしかしてここにある花も?」


空「私は忙しくて1ヶ月に1度しか来れなかったけどね。新しい町長さんたちも来てたよ。」


初春「そうか。ありがとう空…。町長も家のことといい感謝してもしきれんな。」


空「あのね、町もかなり変わっているのよ!案内してあげる!」


初春「そうかそうか。是非頼むぞ。」フフッ




~~〜~~~〜~~~~〜~~~〜





提督「よし、これで…」


提督「実行は元帥が大本営を離れる三日後だ…!」


提督「ようやく終わりが見えたぞ」ククク





~~〜~~~〜~~~~〜~~~〜




カーカー



初春「もうこんな時間か…」


空「町、見て回ってどうだった?」


初春「不安はあったが、やはり懐かしい気分になる。あそこの商店街などもはや昔のままじゃ…。」


空「あの商店街はね、私が必死に町長さんにお願いしたの。前と同じように再建してくれないかって。」


初春「そうじゃったのか。苦労したじゃろうに。」


空「ううん、だって春だってお給料寄付してたでしょ?私は1日の生活にいっぱいいっぱいなの。だからお願いすることしか出来なかったの…」


初春「『しか』ではない。そのお願いはとても立派な行動じゃ。あの懐かしい光景を見た時、妾がどれだけ救われたことか…」


空「それなら良かった。」ウフフ


初春「そろそろ時間じゃ。もう戻らねば…。……っ…。」グッ


空「春、『また会おうね』!」ニコッ


初春「!!」


初春「お主が友達で良かった…!」ギュッ


空「そうでしょうそうでしょう!」ドヤァ


初春「妾からも。空よ、『また会おうぞ』!」


空「うん!それじゃあね!!」ブンブン




初春姉さんが言いたいことは私たちにもわかりました。私達は戦場に身を置いている者。いつ会えなくなるか分からないですから。




空さんは私から見えなくなるまでずっと手を振っていました。初春姉さんも恥ずかしそうに笑いながらも手を振り返していました。



初春「お主たち、今日はすまんのう。妾が案内しようと思っていたのじゃが…」


若葉「私は姉さんが楽しそうにしていてなによりだった。気にする事はない。」フフッ


子日「今日は楽しかったね!」


初霜「はい、とても楽しかったです!あの賑わいで復興直後だというのはなかなか信じられませんでした。」


初春「それだけ空と町長達が頑張ってくれたのじゃ。あの町は何があっても守らねば…!」グッ


若葉「初春よ」


初春「なんじゃ?」クルッ


若葉「私たちもいるじゃないか」ギュッ


子日「子日だって頑張るもんね!」ギュッ


初霜「私にも、守らせてください!」ギュッ


初春「お主ら…」ウルッ


初春「お主らがこんなに頼もしく見えた日はないぞ…ありがとう…!!」ポロ…


子日「子日はいつでも頼りになるよね?」


若葉「それは…」メソラシ


初霜「そ、そうですね…」メソラシ


子日「ちょっと2人とも!どういうこと!?」




ギャーギャー





初春「ふふ、やはりいつも通りかのう」グシグシ






~~〜~~~〜~~~~〜~~~〜~




???「ニクイ…スベテガニクイ…」ズズズ


???「チカラヲ…モットチカラヲ…!!」



~~〜~~~〜~~~~〜~~~〜



初春「提督よ、只今戻ったぞ。」ガチャ


子日「あれぇ?提督いないね?」キョロ(・ω・`三´・ω・)キョロ


初霜「どこに行ってしまわれたんでしょうか?」


提督「すまない、少し出かけていた」ガチャ


子日「わぁ!びっくりした!」ビクッ


初春「なんじゃお主、出掛けておったのか。今までどこへ?」


提督「軍関係者のところにな。少しばかり用があったから。」ヨイショット


若葉「出掛けるなら私たちに一言くれれば良かったものを。」


提督「いやぁ、お前らに余計な心配をかけさせるわけにはいかないからな。」


提督「本当は日が暮れる前には戻れるはずだったんだが少し遅れてしまった。」


初霜「執務はもう終わってるんですか?」


提督「まだ終わってないが俺一人で十分だ。お前らも積もる話もあるだろ?ゆっくりしてきな。」


初春「休暇は今日1日じゃからなぁ。気遣い感謝するぞえ。」


若葉「それでは私たちはもう部屋に戻るぞ。」ガチャ


子日「提督、おやすみ〜!」バタン


提督「あぁ、おやすみ。」





提督「ふぅ、予想以上にアレの観測に時間がかかってしまったな…」


提督「だが成功した。計画は成功間違いなしだ。」





~~〜~2日後~~〜~


提督「またはぐれ艦隊がこちらに来てしまったようだ。出撃を頼みたい!」


若葉「情報は?」


提督「まさかの戦艦がまた1隻いるようだ。随伴に重巡1、駆逐2だ。場所は」


子日「どうせまたあそこでしょー?」


提督「そうみたいだ。あとで周辺の警備強化でも前線鎮守府に具申してみるか。」


初春「そうしてくれると助かる。最近は頻度も上がっておる上に段々敵が強くなってきておる。」


初春「そのうち妾達では手に負えなくなるかもしれん。」


提督「わかった。できる限りお願いしてみよう。では頼んだぞ。」


初春「よし、抜錨じゃ!」





~~〜~~~〜~~~~〜~~~〜



初霜「敵艦全滅です!こちら損害なし!」


子日「子日も無事だよー!」


若葉「私も大丈夫だ。」


初春「よし、では帰ろうか。」









シズメ…シズメ…!ウミノソコヘ…!!

チジョウニアルモノスベテガニクイ…ホロベ…!



???「マタ来タノネ…。イイ怨嗟ノ声ネ…」


???「フフフ…モウスグ…」ズズズ







提督「あとは艦娘の艤装の破片を沈めて…」


提督「これで完了だ!あとは明日に全てが終わる!!」ハッハッハ


提督「明日が楽しみだ…!」





~~〜~~~〜~~~~〜~~~〜~








第9章 始まった悲劇と失ったモノ




-翌日-



初霜「う…ん…」モゾモゾ


初春「む、起きたか初霜。おはよう。」


初霜「初春姉さんおはようございます…」ムニャムニャ


若葉「2人とも起きていたのか」ガチャ


初霜「若葉姉さんはいつものランニングですか?」


若葉「あぁ、継続は力なりだからな。私は少しシャワーを浴びてくるぞ。」


子日 スピースピー


初霜「相変わらず子日姉さんはよく寝てますね…」フフッ


初春「そろそろ起こすのじゃ。時間に間に合わなくなってしまうぞ。」


初霜「そうですね、子日姉さん」ユサユサ


子日 ウーン ムニャムニャ…


初春「それでは子日は起きんぞ。まずは掛け布団を剥ぐのじゃ。」バサッ


子日 ウーン サムイヨ…


初春「ほれ!起きるのじゃ!」(  '-' )ノ)`-' )ペシベシ


子日「初春…?」ムニャムニャ


初春「急がんと遅れてしまうぞ」トケイサシ


子日「え?」カオマッサオ


子日「ちょ、ちょっと!なんでもっと早く起こしてくれなかったの!?」バタバタ


初春「自分で起きるようのしないのが悪いのじゃ…」ハァ


初霜「この前遅刻のせいでおやつ没収されてましたからね…」ハハ


若葉「ふー気持ちよかった。お、やっと起きたか子日。」ガチャ


子日「若葉おはよう!ちょっと手伝って!!」ゴソゴソ


若葉「ダメだ、それでは子日のためにならないからな。」


子日「そんなぁ!」ガァン


初春「ほれはやくせんか。妾達は行ってしまうぞ?」


子日「もう最低限でいいや!制服とリボンと…」アセアセ


初春「ほれ、子日のすぱっつじゃ。」


子日「ありがとう初春ぅ!」





提督「おはようみんな」


初春・若葉・初霜「おはようございます!」


子日「お、おはよー…」ゼェゼェ


提督「また朝から息も絶え絶えじゃないか…」ハハ


子日「でもでも、ちゃんと間に合ったよ!」


提督「まあそこは咎める気は無いよ。今日は特に何もなし。みんなゆっくりしてていいよ。」


提督(この鎮守府も今日で最後だからな…!)ニヤリ


子日「え?遠征もなし?」キョトン


提督「そうだ。今日は書類が多くてな。一気に集中して片付けたい。」


子日「えー、せっかく急いだのに…」ブーブー


初霜「それなら私が手伝いましょうか?」


提督「いや、大丈夫だ。今日のは提督関連のものが多いようでな。」


初霜「そうですか、それでは私はすることがありませんね…」ショボン


提督「あぁ、それと演習や訓練がしたかったら自由にしていいぞ。やることがないのも暇だろうしな。」


初春「わかったのじゃ。それではの。」


提督「今日もよろしくな。」







???「ヨウヤクコノ時ガ…全テヲ壊シテヤル…!」ズズズ






あれはその日の昼頃でした。



警報が鳴りました。



これが悲劇の始まりでした。




ウーウー!!



一同「!!」


提督「初春、若葉、子日、初霜!!今すぐ執務室に来てくれ!!」




初春「どうしたのじゃ提督!」ドアバァン


提督「例の場所で謎の敵性反応だ!!お前の故郷から程遠くない!これはマズイぞ!!」


初春「なんじゃと!?」


提督「前線鎮守府よりもこちらの方がやや近い!索敵に当たってくれ!前線鎮守府には既に救援要請を出した!」


提督「旗艦は初春だ!敵性反応確認でき次第前線鎮守府に無線を入れてくれ!」


初春「了解じゃ!お主ら急ぐぞ!!」ダッ


初霜(初春姉さんの町が危ない!守らねば…!!)


初春「よし、抜錨じゃ!行くぞ!!」クワッ


若葉「初春、焦るのは分かるが落ち着け!旗艦がそれでどうする!?」


初春「ッ!す、済まない…。」


子日「冷静にアツく行こう!」


初霜「それは難しいのでは…」ハハ


初春(くぅ…今度こそ、今度こそ守るんじゃ!!)ギンッ


提督「おいお前ら聞こえるか!?」ザー


初春「なんじゃ!?」


提督「俺らの仕事は目標を発見、姿形や特徴を前線鎮守府に報告することだ!その後はできる限り時間を稼ぐんだ!!!」


初春「承知した!それではな!」ザー






提督「ようやく行ったか…」


提督「あとは逃げるだけだな」ククク


提督「ここまで上手くいくとは思わなかったぞ。あいつらには悪いが所詮『兵器』だからな」ハッハッハ


提督「ではさらばだ。」ガチャ



本棚 バサッ




初春(急がねば…!早く、もっと早く…!!)ザー


若葉「初春!もうすぐ例の場所だ!気付かれないように接近するんだぞ!?」


初春「わかっておるわ!!」


初霜「あ…!あぁ…」ガクガク


初霜「は、初春姉さん…あれ…」ガタガタ


初春「なんじゃ……なッ!?」




??? ゴゴゴゴ




若葉「なんて禍々しい…あれも深海棲艦なのか!?」ガクガク


子日「ね、子日…分かる…分かっちゃった…」ナミダメ


子日「子日たちじゃアレには勝てない…!」ガクガク


初春「前線鎮守府!聞こえるか!?」


前線提督「こちら前線鎮守府提督だ!どうした!?」


初春「あれはおそらく姫級じゃ!どうしてこんな奴がこんなところにおるのじゃ!?」


前線提督「なに!?姫級だと!?」


???「提督、少し静かにしてもらってもいいか?」


前線提督「お、おう。」


???「無線変わったぞ。私は航空戦艦日向。お前の目では奴はどう見える?」


初春「アレには妾達では到底敵わん!」


日向「そういうことではない。外見を教えてくれ、種を特定する。」


初春「両手が大きな大砲になっておる!肩にも似たようなやつが付いてるぞ!」


日向「大砲か。他には?髪型なども大きな特徴なのだが。」


初春「髪型?あれはツインテールと言ったかの?あと片目が隠れておる!」


日向「南方棲戦姫か…!特定は完了した。今もそちらに向かっている!」


初春「急いでくれ!早くしないと妾たちの鎮守府と故郷が…!ッ!?」ゾワッ


日向「あと1時間ほどで私たち殲滅部隊がそちらに到着する!おい!?どうした!?」


初霜「初春姉さん…気付かれました…」ガクガク


若葉「奴は進路変更…こちらに向かってきている…」タラリ


子日「……!」ガクガク


初春「くっ…!全力で逃げるぞ!!」


初春「しっかりするのじゃ!!生き残るぞ!そして守るのじゃ!!」


南方棲戦姫「ミィツケタ…!」ニヤリ


ドォンダァン!!


初霜「目標、打ってきました!」


初春「総員回避!1発食らえば大破じゃぞ!!」


ドォンダァン!!ドォンドォン!!


若葉「まだ来るぞ!!」


初春「くっ…!」



バシャーン!!



初霜「第1波凌ぎました…」


初春「総員損害報告!!」


若葉「大丈夫だ!!」


初霜「私もです!!」


子日「……」スイー


初春「おい!?何をしておる!?」