2019-10-23 02:00:48 更新

概要

前に書いていた『誠「お前は化け物だ」』がエラーによって消えたので新しく作り直していきます。また前作を読んでいただけたらさらに楽しめると思います


前書き

オリジナル設定や漫画、アニメの良いところをパクりまくった作品になると思うのでマリアナ海峡のように広く深い心の方だけ見て下さい


プロローグ:加賀美翔誠と言う男


これはとある男の物語。父親が深海の提督。母親は名の知らない艦娘。姉は大和型の記憶を無くした男の物語


その男が何故記憶を無くしたかと言うと、4年前。まだ鎮守府に勤めているときに深海棲艦の大群と憲兵を相手に1人で戦い抜き最後の最後に力尽き、憲兵であり深海の提督である実の父親。海原将深に頭の中を弄くられたからである。そして4年が過ぎその男が二十歳になる年の4月。桜舞う中で憲兵の制服を着た男の物語が始まる


男の名は加賀美翔誠。元艦娘(?)で戦艦だった男だ


翔誠「ここが中央憲兵か・・・門から立派だなぁ・・・」


海原「何感心してるんだ。早く行くぞ。お前含めて今年は2人しか中央憲兵入隊者がいねぇんだ」


海原将深は海軍で言う所の元帥だ。中央憲兵のトップとして様々な事に憲兵として関わっているがその本当の目的は艦娘狩りである。艦娘の扱う艤装から特殊な金属が取れそれを使いまた狩ると言ったようなことをし、艦娘の数を減らし本土を潰す準備をしている


翔誠「それにしても海原さん?中央憲兵ってどんなことすればいいんですか?」


海原「お前・・・まぁいいや。前に話したのは流石に忘れてるか」


海原がそう言うと中央憲兵憲兵の仕事内容を語り出した。要約すると中央憲兵は他の憲兵と違い鎮守府等の軍事施設の警備はしない。中央憲兵の仕事は軍上層部の暗殺。(汚職などに手を付けた者限定)艦娘、深海棲艦の抹殺(艦娘や深海棲艦の艤装からは特殊な金属が取れるためそれの回収。生死は問わない)その他事務仕事と言ったところだ


翔誠「待ってください!深海棲艦はともかく艦娘を殺すのは納得いかないです!場所は違いますがこの国を正そうとしてる事に違いはないじゃないですか!なのに何故殺すんですか!」


海原「翔誠・・・お前もガキじゃあるまいしそんな事言うんじゃねぇよ。それとも何か?また頭の中弄り回すぞ」


翔誠「!?ですが・・・」


海原「くどい!・・・それにもう入隊式が始まる。行ってこい」


翔誠「俺は!俺は絶対艦娘を殺すのは認めませんから!」


海原「・・・クソガキが」


翔誠にはこの4年間の記憶がほとんど無い。だが時々何かを思い出す。艦娘に肩入れするのもそのためだ


~~~~~


海原「これより!中央憲兵入隊式を始める!入隊者前へ!」


2人「はい!」


海原の掛け声と共に2人の入隊者が一歩前へ出た


翔誠「加賀美翔誠!」


古崎「古崎未来!」


2人「本日をもって中央憲兵へ入隊します!」


海原「加賀美翔誠!古崎未来の入隊を俺が許可する!」


2人「はっ!」


~そして入隊式が終わり~


翔誠「古崎・・・君も中央憲兵憲兵に入隊するとは思わなかったよ」


古崎「僕もだよ!翔誠君!」


古崎と翔誠は1年ほど前から知り合いであった。年齢は翔誠が19で古崎が21である


翔誠「けど意外だったなぁ~古崎憲兵に入るなんて。肉体労働苦手だっただろ?」


古崎「まぁそうなんだけどねぇ・・・海原さんが推薦してくれたんだ」


翔誠「まぁあの人使える物は何でも使うからね」


古崎「そうなんだよね・・・」


翔誠「お互いがんばろう!」


古崎「そうだね!」


~~~


海原「さて・・・ガキ2人。片方は息子で半水鬼。もう片方は・・・」


コンコン


書記「海原様。よろしいでしょうか?」


ノックと共に入ってきたのは書記に当たる人物だ。書類まとめ、広報、先頭をそつなくこなす人物だ


海原「何だ?」


書記「本日入隊した彼らの所属はどうしますか」


海原「明日の実戦訓練で決める」


書記「かしこまりました」


海原「おう」


~翌日~


海原「今日はお前ら2人の戦闘能力を見る!手加減無しで行け!それから・・・」


海原は中央憲兵が持つ特殊な装備について説明を始めた


海原「お前らにはこれから俺が持ってるこのナノチップを埋め込んでもらう!これは今まで自分が過去に使ったことのある武器をいつでもどこでも手元に呼び出し使用する事ができる!」


古崎「そいつはすげー」


2人は海原の指示の元でナノチップを埋め込んだ。しかし


翔誠「ん?書記さん!埋め込んだ所が滅茶苦茶痛いんですけど!」


書記「あら?本当ですか?今までそんな事例は聞いたことがないのだけれど・・・」


海原「悪ぃがそのままやってくれるか?」


翔誠「わかりました」


海原「てことで誰か相手してくれ!」


「加賀美の相手は俺がやろう」


そう名を上げたのは中央憲兵屈指の巨体と腕力を持つ坂場と言う男だ。身長240㎝体重200キロの紛れもない巨漢だ


海原「なら加賀美の相手は坂場に任せる」


坂場「よろしくな?ルーキー」


翔誠「こちらこそ!よろしくお願いします!」


海原「うむ・・・良い声だ。ふん!」


そう言い残すと坂場は手元に巨大な斧を呼び出した


翔誠「なるほど!そういう風に呼び出せば良いんですね!」


坂場「あぁ・・・待っててやるからやってみろ


翔誠「しゃっ!」


何を呼び出す?そもそも俺はこの4年間の記憶しかねぇ・・・何でも良い!目の前の巨漢を倒す物!来い!


翔誠「来い!」


翔誠の想いに答えた武器は両刃のロングソードだ。だが翔誠の体との比率がほぼ1対1なのだ。身長165㎝の翔誠とは本当に不釣り合いだ


坂場「そんな巨大な剣いつ使ったんだ?」


翔誠「あー実は俺もわからないんですよね」


坂場「ム!?」


翔誠「俺この4年間以外の記憶が無いんですよ。だからこの剣は4年前に使ってたんだと思います」


坂場(なるほどな・・・海原が言ってた記憶喪失のガキとはこいつのことだったのか・・・しかし体と不釣り合いにも程があるぞ。あの身長と同じサイズのロングソードを使うには並外れた筋力がいる・・・見たところかなり華奢な体つきだが・・・)


翔誠「来ないなら俺から行きます!」


そう宣言すると翔誠は一気に距離を詰めた。ロングソードを片手に


坂場「な!?(あのロングソードを片手で担いで一気に詰めてきただと!?なんてデタラメな筋力してやがる!)」


翔誠「うぉぉぉぉぉぉぉ!」


ガキン!


鈍い金属音が鳴り響く


坂場「む・・・くぅ!加賀美。お前見た目に反して凄まじい筋力をしているな!」


翔誠「坂場さんも!見た目よりもかなり早い反射神経してますね!」


坂場「それなりに鍛えているからな!むぅん!!」


斧でロングソードを弾き返す。そこから坂場が連撃を叩き込むかと思ったが


翔誠「甘いっすよ!」


ドカッ!


坂場「がはっ!」


斧を振り上げた一瞬を着いて渠に渾身の蹴りを叩き込んだ


坂場「うっ・・・げっほ」


海原「そこまで!勝負ありだ!」


翔誠「坂場さん!平気っすか!?」


坂場「げほっ・・・何・・・気にするな。俺が油断しただけだ」


坂場(並外れた筋力。状況分析力。中々の才能だな)


海原「加賀美。お前の所属は中央第三憲兵だ。大津田!お前が面倒見ろ!」


大津田「了解!」


大津田と呼ばれる男は身長が180㎝位の筋肉質な男だ。彼も十分大きいが坂場の後だと小さく見えてしまう


大津田「翔誠。これからお前と相部屋兼指導係になる大津田だ。よろしくな」


翔誠「こちらこそよろしくお願いします!海原さん!古崎はどうなりましたか!」


海原「古崎ならそこで伸びてる。」


古崎「・・・」


大津田「剣崎!何故手加減しなかったんだ!」


剣崎「あっちゃ・・・だいぶ手加減したんだけどなぁ」


大津田「マジかよ」


この剣崎と言う人は大津田さんと同期で同じ中央第三憲兵の人らしい


海原「まぁ古崎は戦闘向きじゃねぇからな。仕方ない。これを持って実戦訓練を終了する!戦闘を行った兵は体のケアを怠るな!以上!解散!」


その声と共に周りの憲兵達も各々部屋や食堂に消えていった


大津田「翔誠。風呂にでも行くか。汗かいただろ?」


翔誠「そうっすね!一緒に行きます!」


剣崎「俺も連れてってくれよ」


大津田「3人で行くか」


翔誠「古崎はどうしますか?」


剣崎「彼まだ伸びてるからいいんじゃないかな?それに書記さんが医務室に連れてったし」


翔誠「なら良いっすか」


そうして俺達は風呂に行った。風呂では実戦訓練を受けた俺達以外にも筋トレ後の汗を流したり単に風呂好きな先輩達がいた


大津田「ここの風呂はとにかく広いんだよ。サウナもあるしな」


???「いやはや!中央憲兵の風呂は広くて良いでありますなぁ!収容所の風呂とは大違いであります!」


場違いな女性の声が響く


翔誠「大津田さん!?何で女の人がいるんですか!?しかも半裸で!?」


大津田「あいつ!また脱走してきてたのか!?」


剣崎「あきつ丸!お前また脱走したのか!?」


あきつ丸「脱走させるような作りの方が悪いのでありますよ!」


あきつ丸と呼ばれる女性は中央憲兵本部の地下の収容所にいるが度々脱走して風呂に入ったり食堂で飯を食べているらしい。それにしても


翔誠「スタイル良くないっすか?」


大津田「わかる」


あきつ丸「やや?見ない顔でありますなぁ。さては君、新人君でありますな?」


剣崎「翔誠に絡みに行くな。露出狂」


あきつ丸「翔誠殿!良い名前でありますなぁ!どう書くのでありますか?」


翔誠「えっと・・・空を翔る誠です」


あきつ丸「カッコいいでありますなぁ!あと20㎝ほど背が高ければ抱かれても良かったでありますな!はっはっはっ!」


剣崎「うるせぇぞ!大体お前何で風呂なんかに居やがる」


あきつ丸「そりゃ自分も女でありますよ?体を清潔にしとくのはマナーでありますよ。いつ何時夜這いに来るかわからないでありますし?」


翔誠(黙ってれば美人なんだけどなぁ)


あきつ丸「黙っていれば美人とか思ってるのでありましょう?」


翔誠「げ!?何でわかったんですか!?」


あきつ丸「顔に書いているでありますよ。翔誠殿は可愛いですなぁ~それから敬語は使わないでくだされ。自分は一応囚われの身。あなた方には逆らえないでありますから」


大津田「なら囚われの身らしくさっさと収容所に戻れ。風呂上がってからでいいから」


あきつ丸「さっすが大津田殿!わかってるでありますなぁ!今度舐めるくらいならするでありますよ」


大津田「黙ってろ!」


その後あきつ丸は収容所に戻っていった


翔誠「嵐のような人でしたね」


大津田「あいつに関わると疲れる」


こうして俺の初日は終わった


~翌日~


海原「大津田。加賀美に討伐リスト渡しとけ」


大津田「はっ!」


翔誠「・・・」


討伐リストと呼ばれる資料には艦娘の名前と艦種。それから討伐成功金額が載っていた


翔誠「かなりの数の艦娘がいるんですね・・・日本だけじゃなくてイギリス、アメリカ、ロシアにイタリア、ドイツ」


大津田「艦種が大きくなればなるだげ金額も上がってくる。殺さずとも捕まえれば金は貰える。ほとんどの奴がそうしてる。」


翔誠「殺せないんですか?」


大津田「艦娘達は強いからなぁ・・・高校生位の女の子が戦艦の主砲とか持って全力で走ってくるって感じだからな」


翔誠「それは恐怖ですね」


大津田「だろ?」


話を聞きながらページを捲ってるととある艦娘のページに目がいった


翔誠「大津田さん?」


大津田「どうした?」


翔誠「この那珂って言う艦娘だけ何で2ページもあるんですか?」


大津田「あぁ・・・そいつは」


海原「そいつは通常の那珂と異なる那珂だ」


翔誠「異なる?」


海原「通常の那珂の衣装はオレンジと白。でもってアイドルみたいな事を言いやがるがその那珂は全身黒色の異質な格好で髪も白みがかってる。近距離戦を得意として近づいた奴は全員串刺し。目撃情報は少ねぇけどな」


大津田「そいつが確認され始めたのは4年くらい前だ。憲兵100人斬り事件辺りからだ」


翔誠「憲兵100人斬り?」


海原「とある鎮守府を襲撃しに行った憲兵100人が全員四肢切断の首ちょんぱ。憲兵史上類を見ない事件だ」


翔誠「その犯人がこの黒い那珂なんですか?」


海原「その事件後から確認され始めたってだけだ」


翔誠「なるほど・・・ん?」


大津田「今度はどうした?」


翔誠「NONAME・・・こいつは?」


海原「そいつは俺が対峙した半分深海棲艦の艦だ。とんでもなく強かった」


翔誠「そんなに!?どんな奴何ですか!」


海原「背が小さくて鎧を着て髪が白くてそれで・・・男だった」


翔誠「男!?それってて提督だったのでは!」


海原「いいや。あいつは艦だったな」


大津田「翔誠。その辺にしとけ」


海原「明日からお前も大津田達と調査に行ってもらう。心してかかれ」


翔誠「・・・失礼します」


これから俺の戦いの日々が始まる。そう胸に誓い部屋を出た



一章:初陣


翌日の朝。俺は大津田さんと食堂にいた。やっぱりあの人も脱走してた


あきつ丸「やっぱり食堂のカレーは特別美味しく感じるでありますなぁ!」


翔誠「あきつ丸さん・・・また脱走したんですか?そもそも脱走したら罰とかあるのでは?」


あきつ丸「おぉ!可愛い可愛い翔誠殿ではありませぬか!罰は特にはないでありますなぁ!」


翔誠「ゆっる!」


大津田「まぁ罰とかあればこいつも出てこないだろうけどな」


あきつ丸「まぁ罰があっても出てくるであります!所で翔誠殿は何を食べるのでありますか?自分のおすすめはビーフステーキでありますよ!」


大津田「お前そんな物まで食ってたのかよ!?」


翔誠「そもそもここの施設の人は誰1人としてあきつ丸さんを見つけても収容所に連れて行きませんよね」


大津田「用事が済んだら勝手に戻るからな」


自由の女神もビックリするほどの自由度だ


あきつ丸「そうでありますよ。何せ収容所は風呂は狭いし飯は不味いしでありますからなぁ」


翔誠「その内ベッドが硬いからって医務室とかのベッド使ってそうっすね」


あきつ丸「おっ!それもありでありますなぁ!」


大津田「こいつに余計なこと言うな!マジでやらかすぞ」


書記「お楽しみの所失礼します。大津田さん、加賀美君。朝食後市街地に向かって下さい。艦娘の目撃情報がありました。剣崎さんには先に行ってもらいました」


大津田「あいつ見回りの後そのまま行ったのか!?」


翔誠「見回りって言うよりほぼゲームしてましたけどね」


書記「聞き捨てならない言葉が聞こえましたがとりあえず急ぎ目でお願いします」


2人「了解!」


あきつ丸「入隊3日目で初陣でありますか!おめでたいでありますなぁ~」


翔誠「行ってきます!あきつ丸さん!」


あきつ丸「がんばるでありますよ~」


~市街地~


大津田「さて・・・なんつーか」


そこには4月頭と言うこともあり高校生や中学生。家族連れやカップルなどが大量に溢れてた


翔誠「人多いですね」


大津田「あのJKの足良くないか?」


翔誠「捕まりますよ?」


大津田「大丈夫大丈夫。手を出さなきゃ捕まらない」


翔誠「セクハラや痴漢で訴えられたら終わりですけど」


大津田「なぁに!そん時は憲兵で必要な調査って言えば何とでもなる!」


翔誠「職権乱用ですよ!」


大津田「うるせぇ!何とでも言いや・・・っと。お相手さんのお出ましだ」


???「まったく・・・無線盗み聞きしてみたけどなんで買い物してるだけで襲われなきゃいけないかなぁ」


そう気怠そうに愚痴を溢す女性は少し緑がかった髪の毛を両サイドで結んだ綺麗な顔立ちをしていた。胸は・・・


大津田「おい翔誠。まな板が喋ってるぞ」


翔誠「失礼ですよ!大津田さん!」


???「何?そこの大男。今まな板って言った?」


確かにまな板だが女性の本質は胸だけじゃないと思う。しかし・・・


翔誠「やっぱり艦娘ってすっごく美人ですね」


???「え?褒めてくれるの?嬉しいなぁ///」


照れながら言う。可愛い


大津田「あいつは五航戦の空母瑞鶴だな。同じ五航戦でも翔鶴の方が良かったわ」


瑞鶴「あんたほんっっっとうにムカつくわ。ここでぶっ殺す」


翔誠「何で怒らせること言うんですか!」


大津田「しゃーねーだろ!口が滑ったんだ!」


瑞鶴「もう謝っても許さないから!全航空隊発艦始め!」


彼女が弓を引き矢を放つと瞬く間に戦闘機に変わった


翔誠「これが艦娘の力・・・」


大津田「感心してる場合か!」


大津田さんは瞬時に盾を転送した。ただのスケベじゃなかったのか


翔誠「ありがとうございます・・・大津田さん」


大津田「礼はいい!今はあいつを倒すことを考えろ!」


瑞鶴「ふぅん?今の防ぐなんてやるじゃん。でも・・・倍の数ならどおかな!?」


俗に言う第二次攻撃隊である


大津田「流石に倍の量は防げねぇ・・・」


翔誠「・・・来い!」


俺はあの時と同じロングソードを呼び出した


瑞鶴「え?」


翔誠「発艦する前に・・・斬る!」


瑞鶴「くっ!」


スパーン!


大津田「よし!これで発着艦ができない!」


瑞鶴「その剣まさか・・・」


やらなければいけない・・・それが俺の仕事だ


翔誠「くらえ!!!」


???「あ~ららぁ~瑞鶴ちゃん情けな~い♪自分よりも小柄な子相手に飛行甲板真っ二つにされちゃうなんて」


颯爽と登場した女性に刀を止められた。それも片手で


瑞鶴「あんた!?」


大津田「那珂?」


那珂?「まったくさぁ?確かに彼だけども・・・」


翔誠「!?」


本能が告げる。逃げろと。狩られる


那珂「瑞鶴ちゃんをボコった君に教えてあげるよう。私はね?普通の那珂じゃないの♪」


大津田「黒い那珂か!?道理で衣装が黒いわけだ」


翔誠「クッソ!大津田さん!逃げてください!」


大津田「馬鹿野郎!ルーキー置いて逃げれるか!」


黒那珂「キャハ!いいよ!君はそうでなくっちゃ!」


翔誠「何がだ!」


黒那珂「忘れちゃった?ならこれなら思い出すかな?」


そう言うと俺の目の前まで来た


翔誠「はや・・・」


黒那珂『そんなかっこいい君にアイドルである那珂ちゃんからのプレゼントをあげちゃうよぉ』


翔誠「何言ってやが・・・!?ぐっ!」


瞬間強烈な頭痛が襲ってきた


翔誠「ぐっ・・・あぁぁぁぁぁぁ!!!!」


黒那珂「未成年には刺激が強すぎたかな?」


大津田「貴様ぁ!!」


黒那珂「うるさい」


バキッ


大津田「うっ!?グハッ」


大津田は通称黒那珂の蹴り1発で呆気なく沈んだ


黒那珂「さーてと」


瑞鶴「・・・ねぇ」


黒那珂「ん~?何かなぁ?瑞鶴ちゃん?」


瑞鶴「あんた・・・4年間何してたの?神通や川内・・・他のみんなも心配してたんだよ?」


黒那珂「確かに何も言わずに消えちゃってごめんね?これまで何をしてた・・・かぁ。オリンピックの準備とかじゃダメ?」


瑞鶴「答えて!貴女にはその義務があるはずよ!」


黒那珂「わぁ~怖ーい♪」


瑞鶴「答えろ!」


黒那珂「艦娘の・・・深海棲艦の・・・この世界の常識をひっくり返す事」


瑞鶴「え?」


瑞鶴は目の前にいる那珂が何を言っているのかさっぱり理解できていない


黒那珂「ねぇ?瑞鶴ちゃん。不思議だと思わない?何で大規模作戦時に運営がいち早く知らせられるのか。何故敵の拠点の位置を正確に突き止められるのか。何故深海棲艦を倒すとドロップ艦として艦娘が誕生するのか。世界で最初の深海棲艦とはどの様に生まれたのか」


瑞鶴「・・・」


黒那珂「その答えは1つなんだけど今はまだ言えないなぁ♪」


瑞鶴「はぁ!?」


黒那珂「じゃあねぇ~♪」


語るだけ語った那珂は神速を超える速さでその場から立ち去った


瑞鶴「世界で最初の深海棲艦・・・」


1度知りたいと思ったことは永遠に付きまとってくる


瑞鶴「ってあの小僧は?頭痛で動けてなかったけど・・・」


瑞鶴は目を疑った。さっきまで頭痛で苦しんでた青年は右眼が紅く左眼が蒼く光り正気を失っていた


翔誠「俺が・・・俺が!!」


瑞鶴「あの眼って・・・それにさっきの大刀・・・まさか」


翔誠「うぉぉぉぉぉ!!!」


瑞鶴「クッソ!とにかく逃げなきゃ!」


案外逃げるのは簡単だった


瑞鶴「はぁ・・・はぁ・・・何あいつ。全然追ってこないじゃん・・・それにしても・・・まさか」


~side翔誠~


翔誠「ぐっ・・・・うぉぉぉぉぉ!!!」


何かに悶え苦しみ咆哮する翔誠の姿はまさに獣そのもの


???「翔誠・・・どうしたぁ」


翔誠「ぅ・・・なばらぁ!!!」


海原「・・・その様子だと記憶が戻りかけてるなぁ。ふぅー」


相変わらずタバコを吸っている海原がそこに立っていた。ちなみに愛飲しているタバコはパーラメント


海原「ったくよぉ・・・誰だぁ?こいつに接触した馬鹿女は」


翔誠「うぉぉぉぉぉ!!」


海原「面倒かけさせやがって!うぉらぁ!」


~数時間後:憲兵医務室~


翔誠「っ・・・痛っててて。ここは・・・」


海原「目覚めたか・・・クソガキ」


翔誠「海原さん。俺は何でここに?」


海原「覚えてねぇのか?お前瑞鶴と那珂とやり合った後気ぃ失ってたんだよ・・・ふぅー」


相変わらずパーラメントを吸っている。ここ病室だぞ?


翔誠「海原さんここ病室っすよ・・・タバコは吸わない方が良いんじゃないっすか?」


海原「あ?」


翔誠「何でもないです」


海原「ふぅー・・・お前まだ収容所に行ってねぇよな?確か」


翔誠「行ってないですね」


海原「なら明日大津田と行ってこい。2人とも特別休暇にしとくからよ。どんなところか見てこい」


翔誠「わかりました」


~その夜食堂にて~


剣崎「おう翔誠!お前瑞鶴逃がしたんだって?」


翔誠「逃がしたってよりも邪魔が入ってしまって・・・」


大津田「黒い那珂に遭遇したんだよ」


剣崎「だからお前ボロ雑巾みたいなのか!」


大津田「うるせぇ!」


剣崎「・・・しかし黒い那珂と遭遇して生きて帰って来れたのはすげぇな。瑞鶴は逃がしてるけど」


翔誠「・・・」


大津田「まぁ元気出せって!俺なんか手も足も出なかったんだ!それに比べればお前はよくやったさ!」


剣崎「お前先輩なのについ最近入隊したルーキーに見せ場とられたのかよ。だっせぇ!」


大津田「返す言葉もない」


翔誠「あ!そう言えば大津田さん!」


大津田「どうした?」


翔誠「明日収容所に行ってこいって海原さんが言ってました。特別休暇出すとも言ってました」


大津田「お前と2人でか?」


翔誠「2人でです」


大津田「よっしゃわかった!予定は開けておく。それにお前はもう休め」


翔誠「はい!」


~少し離れた席~


坂場「・・・」


書記「坂場さん?どうしました?」


坂場「大津田と加賀美なのだがな」


書記「2人がどうかしました?」


坂場「いや。端から見たら兄弟に見えると思ってな」


書記「確かにそうですね。大津田さんがちょっとふざけ気味のお兄ちゃんで加賀美さんがしっかり者の弟って感じですね」


坂場「うむ・・・」


~そんなこんなで翌日~


翔誠「そう言えば収容所って何処なんですか?あきつ丸さんはしょっちゅう来ますけど」


大津田「収容所は隣の建物だ」


翔誠「あぁ・・・だから出てくるんですね」


大津田「出てくるっつっても一応3メートル位の塀はあるんだがな」


翔誠「ホント謎っすね・・・」


門番「大津田殿、加賀美殿。本日はお疲れ様です。海原様から聞いているので早速中へどうぞ」


坂場さん位大きな門番さんだ


大津田「んじゃ失礼する」


翔誠「失礼します」


収容所内に入ると様々な艦娘がいる。艦娘は一隻で1人じゃなくて一隻で何人もいるって聞いてたが本当だった


翔誠「本当に綺麗で可愛らしい人達ばっかりですね。艦娘って」


門番「確かにそうでありますなぁ・・・門番しながら時々駆逐艦の子達と話しますが可愛いのなんの」


大津田「所で翔誠。お前今日は何で収容所に来いって言われたんだ?」


翔誠「わからないんですよね・・・行ったことないだろって言われて」


大津田「まぁいずれ来る事になるんだからそれが早いか遅いかの問題か」


門番「ではここから建物内にお入り下さい。自分は建物内の案内はできないので」


大津田「わかった。ここまでありがとう」


門番「自分は自分の仕事をしたまでであります。ではこれにて失礼いたします」


建物の中に入り獄長室にたどり着いた


翔誠「収容所なのに獄長なんですね」


大津田「細かいことは気にすんな」


コンコン


大津田「失礼します」


獄長「ようこそ!大津田殿。加賀美殿!海原様から話は伺っています。大津田殿は知ってるかもしれませんが私がここの管理を任されてる者です。獄長とでも呼んでください」


獄長と名乗るのは齢70を過ぎたくらいの老人だ。なんとも胡散臭い笑みをこぼしている


大津田「早速なのですが彼にここを案内してもよろしいですか?」


獄長「えぇ!ここらか逃がしさえしなければ何をしても構いませぬよ!勿論性処理等も・・・」


翔誠「失礼ですが獄長。大津田さんはともかく俺は海原さんにここを見てくるように言われただけだ。艦娘に手は出さない」


大津田「おい翔誠!」


獄長「大津田殿構いませぬよ。・・・わかりましたよ加賀美殿。まぁ楽しんで見ていってくださいな」


再び胡散臭い笑みを浮かべる


翔誠「失礼」


ガチャ


~~~~


大津田「翔誠!いくら何でもありゃ失礼極まりないぞ!」


翔誠「艦娘を性処理の道具に使うって事を言うこと自体彼女達に失礼ですよ!」


大津田「確かにそうだがな!もっと言い方があるだろ!」


翔誠「ですが!・・・?」


大津田「どうした?」


翔誠「そこの部屋が少し気になって・・・」


大津田「開ければどうだ?」


コンコン


翔誠「失礼します」


大津田「律儀か」


翔誠「マナーですよ」


???「お兄さん・・・誰?」


涙声で問う少女はあまりにも華奢だ。桃色の髪の毛でなんとも可愛らしく愛玩動物のようで抱きしめたくなる。少女の第一印象は繊細な硝子細工。触れれば今にも壊れるような雰囲気であどけない


翔誠「初めまして。中央憲兵の加賀美翔誠です。君の名前は?」


春雨「白露型五番艦の春雨・・・です。お兄さんも私に・・・何かしに来たの?」


翔誠「っ!?」


大津田さんを入り口で待機させておいて良かった。あの人ならやりかねない


翔誠「いや?俺は君とお話ししてみたくてここに来たんだ」


春雨「でも私・・・お話しできることありませんよ?」


翔誠「そうだなぁ・・・」


何かポッケに入ってねぇかな・・・あった!


翔誠「これ」


春雨「何ですか?これ」


翔誠「チョコレートって言うんだけどね?これの味の感想を聞かせてくれる?」


春雨「わかりました!」


春雨ちゃんは包みを剥がして口にチョコを頬張った。可愛い


春雨「・・・凄く甘くて美味しいです!」


翔誠「ならよかった!今度来る時は他にも色々持ってくるからね!」


春雨「また来てくれるんですか?」


翔誠「うん!また来るよ!」


~~~~~


大津田「話は終わったか?」


律儀に待っててくれたのか・・・意外と大津田さんっていい人だなぁ


翔誠「終わりました。今度また来ることにしました」


大津田「ヤったのか?」


翔誠「ヤってませんよ!とにかく帰りましょ!」


大津田「そうだな」


こうして収容所周りは終わった



二章:記憶の欠片



翔誠が収容所から戻ってきた次の日。この日は月に一度の中央憲兵全体ミーティングの日である


翔誠「全体ミーティングって何やるんだ?」


古崎「入隊時に渡されたマニュアル見てなかったの?」


翔誠「渡されてねぇ・・・」


古崎「えぇ・・・」


翔誠「多分入隊前に聞いてたんだろうけど忘れた」


古崎「全体ミーティングは1ヶ月間で何隻艦娘、深海棲艦を討伐、捕獲したかとか艦娘の出没地区の確認、成績優秀者の階級の昇格。あとは今後の作戦とかリストの更新とかだよ」


翔誠「聞いた気がする」


古崎「だよね」


海原「全員そろってるな?これより中央憲兵全体ミーティングを始める。まず最初に2~3日前に市街地で瑞鶴が現れた件に関してだがとりあえず見つけ次第捕まえてあいつの鎮守府の情報を吐かせろ。それから同日にて通常とは異なる那珂が目撃された。この那珂を通称黒那珂と呼ぶことにした。全員リストに書き込んどけ。また黒那珂と遭遇した加賀美の階級を三等兵から一等兵に昇格させる」


全体「ざわざわ」


古崎「やったじゃん!スピード昇格だね!」


翔誠「遭遇しただけで昇格って案外ガバガバの昇格制度じゃね?」


海原「黒那珂や他の戦艦、空母連中と遭遇したら大体負傷するか死んで帰ってくるんだよ。無傷で生還するのはなかなかないんだよ」


翔誠「なる程」


ちなみに階級は三、二、一等兵。準中等兵、中等兵、準次特級兵、次特級兵、特級兵だ。今の所特級兵は海原さんだけだ


海原「次に特殊海域が出現した。これに伴って俺率いる零番隊と加賀美。あと大津田で調査に行く。大津田は第2調査部隊を指揮しろ」


大津田「了解です」


海原「調査は3週間後だ。以上で全体ミーティングを終了する!」


~ミーティング終了後~


大津田「まさか俺とお前が今度の調査に行くことになるとはなぁ・・・ふぅー」


翔誠「大津田さんタバコ吸ってたんですか」


大津田「おう。お前も吸うか?」


翔誠「まだ19なので遠慮しときます」


剣崎「おぉ!真面目だねぇ~ふぅー・・・美味ぇ」


大津田さんは赤マル。剣崎さんはピース。憲兵はみんな吸ってるのか?


翔誠「それにしても喫煙所混んでますね」


大津田「ミーティング後は大体混むんだよ」


坂場「む?加賀美。お前もタバコを吸うのか?」


翔誠「俺はまだ19なので吸いませんよ。大津田さんに付いてきただけです」


坂場「ふむ・・・そうか。ふぅー」


坂場さんのは・・・ラッキーストライクか?めっちゃハイライト吸ってそうなんだけどなぁ


古崎「あれ?翔誠君も吸ってたの?」


翔誠「俺まだ19だぞ?吸わないよ」


古崎「そう?吸っちゃえば良いのに。中央憲兵は翔誠君以外全員吸ってるよ?まぁみんな20歳超えてるからだけど」


古崎はメビウスのオプションか


翔誠「当分は吸わないかな・・・誕生日まだだし」


大津田「いつなんだ?」


翔誠「7月1日です」


剣崎「夏1番じゃん!みんなでナンパしに行こうぜ!」


坂場「何をアホなこと言ってる」


剣崎「うっ・・・すんません」


坂場「みんなでキャバクラだろ!!」


剣崎、大津田「いぇぇぇぇぇい!!」


うっそだろ!?坂場さんキャバクラ行ってんのかよ!?


翔誠「ま・・・まぁまだ少し先ですし考えときますね・・・」


古崎「翔誠君戻るの?」


翔誠「何かめっちゃ疲れた」


剣崎「キャバクラの後は勿論~?」


坂場「風俗だ!」


大津田、剣崎「いぇぇぇぇぇい!!」


~~~~


翔誠「うぉぉぉぉ疲れたぁ」


コンコン


翔誠「どうぞー」


ガチャ


あきつ丸「失礼するでありますよ~」


翔誠「げっ・・・あきつ丸さん」


あきつ丸「げっ・・・とは何事でありますか。ははぁ~ん。さては今から自慰行為をしようとしたでありますな?」


翔誠「な訳ないですよ!」


あきつ丸「顔真っ赤にして可愛いでありますなぁ~」


翔誠「はぁーーーそれで何か用事ですか?」


あきつ丸「そうでありました。昨日収容所に行ったのでありましょう?」


翔誠「行きましたね」


あきつ丸「どうでありました?」


翔誠「どう・・・って言われても。辛気くさい場所でしたよ」


あきつ丸「そうでありますか!」


翔誠「それがどうしました?」


あきつ丸「いえいえ!何でもないでありますよ!それでは自分はこれで・・・あ!」


翔誠「?」


あきつ丸「自慰行為するくらいなら自分を呼ぶでありますよ!すぐに楽にするでありますから!」


翔誠「喧しいです!」


あきつ丸「では失礼!」


バタン


翔誠「嵐のような人だなぁ・・・相変わらず」


~2日後~


翔誠「何か・・・暇っすね」


大津田「暇だなぁ・・・」


翔誠「まぁそれだけ平和って事ですよね」


大津田「まぁそうだな」


剣崎「駄弁ってる所悪ぃが艦娘の目撃情報だ。今回の相手は大和型の大和だ。これから狩りに行くぞ」


翔誠「大和?」


なんだろう・・・凄く懐かしい響きだ


剣崎「翔誠?」


翔誠「すぐに準備します!」


大津田「俺を置いていこうとするな!」


~海辺の市街地~


剣崎「どこだ・・・」


翔誠「うぉっ!?まだ少し寒いっすね」


大津田「まぁまだ5月前だからなぁ・・・幸いゴールデンウィーク前で人が多くない分いくらか楽に仕事ができそうだが・・・」


剣崎「おい翔誠。見てみろ」


翔誠「なんですか?」


剣崎「めっちゃスタイル良い女がいるぞ!ちょっと声かけに行かねぇか?」


翔誠「先輩方2人とも脳みそ思春期の中学生ですか!?」


大津田「中学生とはなんだ中学生とは。馬鹿にしすぎだろ!」


剣崎「せめて野球部引退後の高校生って言ってくれや!」


翔誠「どっちも下半身で行動する人種じゃないっすか!」


剣崎「ならお前が声かけてこいよ」


大津田「そーだそーだ!」


翔誠「うっ・・・何でそうなるんですか」


剣崎「聞き込みがてら名前と住所と年齢と彼氏がいるのかとあとケータイの番号かLINEのID」


翔誠「はぁ・・・わかりましたよ。情報があるか聞いた後に名前と年齢だけ聞いてきますよ」


剣崎「さっすが!」


大津田「早く行ってこい!」


マジぶっ飛ばしてぇ・・・


翔誠「お姉さんすみませ。ちょっと今良いっすか?」


???「ん?私?」


翔誠「はい」


うっわぁ・・・近くで見るとすげぇ美人だわ・・・モデルとかかな?


???「何かしら?」


翔誠「この近辺で艦娘の目撃情報があったのですが心当たりとかってないですか?」


???「艦娘・・・ですか?いいえまったく」


翔誠「ご協力ありがとうございます・・・それから」


???「ねぇ君」


翔誠「はい・・・何でしょうか?」


???「君って・・・憲兵?」


翔誠「憲兵ですよ?」


???「名前と年齢教えてくれる?」


翔誠「加賀美翔誠・・・年は19・・・です」


なんだろう・・・凄く懐かしくて落ち着く声だ


???「加賀美翔誠・・・19歳・・・ねぇ?もう一つ質問していいかしら?」


翔誠「何ですか?」


???「君・・・翔誠君って4年前の記憶ってある?」


翔誠「え?」


<大和ー?どこだー?


大和「あら・・・ごめんなさいね?妹が来ちゃったみたい。ばいばい♪」


~~~~


武蔵「大和?誰と話してたんだ?」


大和「武蔵・・・これから少し忙しくなるわよ」


~~~~


翔誠「4年前の・・・記憶・・・」


剣崎「翔誠!名前聞けたか?」


翔誠「・・・」


大津田「翔誠?」


翔誠「あ!すみません・・・考え事してました」


剣崎「それで名前は?」


翔誠「俺が聞く前に向こうから俺の名前を聞かれました」


剣崎「それって脈ありじゃん!一目惚れされたんじゃねぇの?」


翔誠「それは・・・わからないですけど」


大津田「それで目撃情報の方はどうだった?」


翔誠「知らないようでした」


大津田「そうか・・・調子悪いのか?」


剣崎「ん?あぁ・・・確かに顔色悪ぃぞ」


翔誠「ホントですか?」


大津田「おう。今日はもう帰って休むか」


翔誠「そうさせてもらいますね・・・」


~憲兵個室~


翔誠「体調そこまで悪くないんだけどな・・・」


だがその時は突然訪れる


翔誠「うっ!?」


バタバタバタ


翔誠「おぇぇぇぇぇ・・・はぁ・・・はぁ・・・体調悪くなかったのに何で・・・そう言えば前にもこんなことあった気が・・・うっ・・・うぇぇぇぇぇ・・・ぷはっ・・・頭痛までしてきやがったよ・・・ははは・・・寝よ・・・」


~隣の部屋~


隣の部屋は大津田と剣崎は相部屋である


大津田「・・・あいつ吐いてるな」


剣崎「よっぽど調子悪かったのか?」


大津田「正直なところ・・・さっき顔色は悪かったがそこまで体調は悪そうに見えなかったんだ・・・急に人って吐くもんなのか?」


剣崎「飯でも食いすぎたんじゃねぇの?」


大津田「それは考えにくいが・・・」


剣崎「とりあえず俺達は見回りだろ?翔誠は心配だが・・・」


大津田「仕方ない・・・行くか」


剣崎「おう」


~翌日~


翔誠「・・・頭痛ぇ」


コンコン


大津田「翔誠入るぞ。体調どうだ?」


翔誠「大津田さん・・・おはようございます。頭痛がするくらいで他は平気です」


大津田「そうか・・・今日の仕事できるのか?」


翔誠「一応・・・できます」


大津田「なら飯食いに行こうぜ」


翔誠「そうですね・・・」


~~~~


大津田「やっぱし体調戻ってねぇみたいだったぞ」


剣崎「マジかよ・・・元々頭痛持ちとかか?」


大津田「ふぅー・・・わからねぇが・・・早く回復してくれることを祈るだけだな」


剣崎「ふぅー・・・タバコも不味く感じるな」


大津田「ちげぇねぇ」


~憲兵司令室~


海原「クソガキ・・・記憶を取り戻しつつあるみてぇだな・・・ふぅー」


海原「だがまぁ良いや。計画の内の1つは完成したような物だ・・・今更記憶が戻ったってどうということねぇ」


海原「しっかりあがけや・・・てめぇには最強を仕込んでやったからなぁ!」


翔誠の体調不良が続く中とうとう特殊海域調査の日になった



~調査当日~


海原「これから特殊海域の調査に当たるが、それに伴ってもう一回特殊海域の説明をしとくぞ。特殊海域は海面に突然市街地が浮かんでできる海域。またはその逆の市街地が水没してできた海域だ。これにより艦娘や深海棲艦が本来行う砲雷撃戦は上手く機能しなくなる。よって白兵戦が多くなる。この海域の調査の目的は?加賀美答えられるか?」


翔誠「艦娘の艤装に使われる金属の回収、並びにこの海域の誕生のメカニズムの調査です」


海原「95点。あとは艦娘、深海棲艦の誕生のメカニズムも入ってる。復習はこれ位にして調査を始めるぞ。大津田は第2調査部隊と共に東。加賀美は西。俺と零番隊は北だ」


大津田「待ってください海原さん!翔誠1人で任せては危険です!俺が1人で行きます!」


海原「ダメだ。こいつはまだ部隊の指揮をとれない。それにこいつの場合部隊での多対多よりも一対多の方が戦闘能力を発揮できる」


翔誠「心配してくれてありがとうございます。でも海原さんが言ったように俺は指揮もとれないですし集団戦闘になったら足を引っ張るだけなので・・・」


そう大津田に言った翔誠はどこか悲しげに微笑んでいた


大津田「わかったよ・・・」


海原「作戦開始だ。散れ!」


~1時間後~


零番隊副長「海原様。なぜ加賀美翔誠を連れてきたのですか?」


海原「あぁ?まぁ強いて言うなら親心・・・って所か?」


副長「親心・・・ですか。私には理解できません」


海原「はっ!だろうな。零番隊は全員理解できねぇよ。なんたっててめぇら全員深海棲艦の出来損ないだからなぁ。人の心なんかわかりゃしねぇよ」


副長「ですが海原様が私達をここまで育ててくれました。私達にとっては海原様は父親で間違いない・・・ですよね?」


海原「おう・・・まぁお前らもこの感じがわかる日が来ると良いな」


副長「そうですね・・・」


海原「さぁ翔誠・・・てめぇの記憶を取り戻すきっかけがあるかもしれねぇぜ?精々頑張れよ」


記憶が戻るのを不快に思う一方どこか思い出させたいという気持ちもある何ともよくわからない男だ。これが父親という物なのか?


~その頃翔誠は~


翔誠「海原さんから貰ったこの靴すげーな。水の上歩けるなんて艦娘みたいだ」


どういう原理で水の上を走ったり滑ったりしてるのかは頭の悪い俺じゃ理解は出来ない。けどこの靴を履いて数時間しか経ってないけどわかったことがある。艦娘はやっぱり凄い。バランスを取りながら砲撃をしたりするなんて流石としか言いようがない。それなのに俺達は彼女らを・・・


翔誠「ん?何だここ・・・工事?にしては少し狭いし・・・研究所か?」


そこには資料が散乱し半壊した研究所があった


翔誠「任務は調査だからな・・・お邪魔しまーす」


様々な資料があった。艦娘のスペックや艤装、さらにはスリーサイズのデータ


翔誠「うわ・・・この人おっぱいでっけーなー・・・ん?」


翔誠の目に止まった艦娘は戦艦大和であった。翔誠は彼女に見覚えがある


翔誠「この人って・・・この前市街地にいたモデル(仮)だよなぁ?艦娘だったのか・・・」


市街地で翔誠が出会った女性は正真正銘戦艦大和で彼の実の姉である。記憶を無くしている今はそんな事思いもしないが


翔誠「もしこの人が俺の姉さんだったらなぁ・・・きっと美味い飯とか作ってくれるんだろうな・・・面倒見も良くてそれに・・・フヘヘ。やっべ・・・キモい笑い声出ちまった。にしても何で特殊海域に資料なんてあるんだ?ん?これって・・・」


再び目にした資料には化け物・・・過去の翔誠の事に関する資料だった


翔誠「何々?艦娘No.0戦艦・・・名前は何だ?切り取られてて読めねぇぞ。まぁいいや。別名化け物・・・憲兵100人殺しの化け物で良いのか?身長160㎝体重58キロ・・・男にしては細身なのか?写真がある・・・うわっゴリラみてぇだ。筋肉やば・・・顔の方はぼやけてて見えねぇけど・・・ゴリラだな」


そこに艦娘達がいたらきっとこう言うだろう「それは過去のお前だ」と


翔誠「続きは・・・あるな。2014年・・・4年前か。憲兵100人による鎮守府総攻撃時に初めて姿を確認。その後海原将深によりトドメを刺される。海原さん流石だなぁ・・・俺ホントにあの人の息子なのか疑いたくなるわ。ん?まだ続きがあるな・・・なお討伐後に彼は中央憲兵支部に連れ込まれ・・・記憶を消されて・・・憲兵になる予定である。入隊予定は2018年4月・・・は?化け物が?入隊?しかも4月って事は・・・写真がある」


恐る恐る写真を見てみる。しかし予感は的中した


翔誠「俺・・・だったのか・・・化け物って」


???「そうだよー?何で今まで気が付かなかったのぉ?」


翔誠「・・・黒那珂」


黒那珂「やっほー!また会ったね!これって運命なのかなぁ?お姉さん照れちゃう!」


翔誠「1つ・・・良いですか?」


黒那珂「おっ!何々?お姉さんのスリーサイズ?」


翔誠「貴女は・・・記憶を無くす前の俺と交流はありましたか?もしあったなら教えてください。俺は・・・どんな人間でした?」


黒那珂「んー生憎私は君とは殆ど関わりが無かったからなぁ・・・私のお姉ちゃんなら君と特訓とかよくしてたからわかったと思うけどぉ・・・ごめんね?」


翔誠「いえ・・・良いんです」


黒那珂「あ!1つだけ!君と会話したことはあるよ」


翔誠「ホントですか!」


黒那珂「うん!あの時の君はねぇ・・・兎に角おっかなかったなぁ・・・鎮守府にいた艦娘全員逃がすために1人で憲兵100人に立ち向かった後に海原に土手っ腹ぶち抜かれてたから」


翔誠「海原に・・・」


黒那珂「あ!何で親父が息子を殺そうとしたんだって思ってるでしょ?ちゃんと理由があるんだよ。君は艦娘側に寄りすぎてたんだって。それで深海の提督である海原は君を殺そうとした。こんな感じ」


翔誠「クソ親父が・・・那珂さん。ありがとうございます。少しですけど記憶が戻ってきた気がします」


黒那珂「ほんとにぃ!?」


翔誠「それから最後に1つ良いですか?」


黒那珂「お姉さんに答えられることなら何でも!」


翔誠「俺に・・・兄姉っていましたか?」


黒那珂「いたよぉ?大和型の2人。あっ!ちなみに父親は海原じゃ無いからね!」


翔誠「さっきのモデルさんみたいな人か・・・良かった。俺は1人じゃ無かったんですね」


黒那珂「君は1人じゃ無かったよ・・・それじゃ!お姉さんは帰るね!今日は面白い物見せてもらったし!ありがとね!」


嵐のような人だった


翔誠「あきつ丸さんみたいな人だったな・・・さて。俺の本当の居場所がわかったんならやることは1つだな・・・」


翔誠は机の上に放置されていたタバコを見つけ火を付けた


翔誠「・・・ふぅー。憲兵を潰す」


夕日が半壊した研究所にいる翔誠を照らしている。火を付けたハイライトの香りが漂う中決意を胸にタバコを1本吸い続けた。その姿は端から見れば海原将深その物だろう。皮肉な事だが雰囲気は父親の海原とそっくりだ



三章 :化け物(英雄)



1週間後中央憲兵全体ミーティングが行われた


海原「今回のミーティングは先週おこなった特殊海域の調査報告だ。俺から話そうと思ったのだが俺が担当した区域は瓦礫が散乱していただけで他には何もなかった。大津田、何かあるか?」


大津田「自分が担当した区域も瓦礫が散乱していただけでした」


海原「加賀美。何かあるか?」


翔誠「はい」


その場の憲兵達はみんな気が付いた。調査に行く前の彼と明らかに雰囲気が違いすぎる


翔誠「俺が担当した区域には半壊した建物がありました。建物の中には艦娘のデータを記録した物がありました。スリーサイズや身長、体重、艤装などの目視できるデータでこれは数多くある彼女らの平均的なデータだと思われます。それから」


海原「まだあるのか?」


翔誠「はい。それから憲兵100斬りの犯人と思われる者の資料を見つけました」


海原「ほう」


翔誠「肝心の名前の部分は切り取られていましたが男でした。それもゴリラみたいな」


肝心な事は言えないし聞けない。それを聞いたら俺はこの場で殺される。今はまだ死ぬわけにはいかない


海原「ゴリラか!ハッハッハ!まぁ艦娘の所にいる提督以外の野郎なんざゴリラじゃなきゃ務まらねぇな!」


翔誠「俺からの報告は以上です」


~ミーティング終了後喫煙所~


翔誠「ふぅー・・・」


大津田「あ!?お前いつから吸い始めたんだよ!」


翔誠「つい最近ですよ。これがねぇとやってらんねぇんです。ふぅー」


大津田「確かにな・・・ふぅー」


翔誠「坂場さんと剣崎さんはどうしたんすか?ミーティングで見かけませんでしたが」


大津田「あの2人は門番だ」


翔誠「なるほど・・・ふぅー」


大津田「お前のそれは・・・ハイライトか?」


翔誠「ハイライトのメンソールです。すーすーして気持ちいんですよ」


大津田「メンソールはあんま吸わねぇかなぁ」


翔誠「ふぅー・・・俺この後収容所に行ってくるんで」


大津田「春雨に会いにか?」


翔誠「・・・タバコ臭くて嫌われませんかね?」


大津田「わからんな」


翔誠「購買でファブリーズと甘い物買って行ってきますね。夕飯くらいには戻ると思います」


大津田「おう。収容所の門番によろしくなー」


~収容所~


翔誠「嫌われたくねぇけどやっぱ辞めらんねぇわ」


この1週間ですっかりニコチン中毒者になってしまった


門番「おや?加賀美殿?おタバコを吸われるようになったのですか?」


翔誠「門番さんお疲れさまです。タバコ吸ってないとやってられないですよ」


門番「その気持ちわかるでありますよ。私も一服してもよろしいでしょうか?」


翔誠「遠慮なさらずどうぞ」


門番「では失敬。ふぅー・・・美味いでありますなぁ~」


門番さんのタバコは・・・アメスピか


翔誠「ところで今日春雨ちゃんはいますか?」


門番「おや?加賀美殿は春雨ちゃんがお気に入りなのですか?」


翔誠「可愛くないですか?それに保護欲も溢れてきますし」


門番「わかります!その気持ち!彼女なら今日牢に入ってるでありますよ。ここだけの話うちの獄長は春雨ちゃんのことあまり気に入ってない物でして」


翔誠「ふぅー・・・あのクソ爺ぶっ殺して良い?」


門番「個人的な意見としては大歓迎なのでありますがねぇ・・・そんな事したら加賀美殿がクビになるでありまよ?ふぅー・・・」


翔誠「確かにそうなんですけどねぇ・・・すみませんもう行きますね」


門番「お気を付けて!また獄長に喧嘩売られても買わないようにしてくださいね!」


翔誠「ゲッ!バレてましたか?」


門番「はい」


翔誠「・・・行ってきまーす!」


~収容所内~


コンコン


翔誠「春雨ちゃん?いる?」


春雨「翔誠さん!」


はぁーーーーー可愛い


春雨「本当にまた来てくれたんですね!嬉しいです!」


翔誠「約束したからね!。それから今日はチョコだけじゃなくて色々種類の甘い物買ってきたから一緒に食べよ?」


春雨「はい!」


それから俺と春雨ちゃんは甘い物をいっぱい食べた。チョコ以外にもマシュマロやクッキー、アイスにケーキ。そうこうしている間に時間は経ち


翔誠「めっちゃ食った・・・今食べた中で春雨ちゃんはどれが1番美味しかった?」


春雨「美味しかった物・・・ですか?そうですね・・・」


翔誠「もしかしてどれもイマイチだった?」


春雨「いえ!そう言う訳ではなくて・・・その・・・翔誠さんと食べてると何でも美味しく感じたので・・・えっと・・・選べません。えへへ」


・・・天使か?可愛すぎるだろ。1度は言われてみたい言葉ランキングの上位には組み込んできそうな言葉だったぞ!?はぁ・・・可愛い


春雨「あの・・・翔誠さん?」


翔誠「ん?どうしたんだい?」


春雨「鼻血出てますよ?」


翔誠「え?ホント?」ドバドバ


春雨「ホントです。しかも凄い量ですよ?」


翔誠「マジかよ。(興奮しすぎた)」


春雨「・・・もう帰っちゃいます?」


翔誠「そうだなぁ・・・もう夕食の時間だからそろそろ帰らないと怒られちゃうかな」


俺は立ち上がりドアノブに手をかけた。その時だった


春雨「あの・・・」


春雨ちゃんが服の裾を弱々しく握っていた


春雨「・・・また来てくれますか?」


涙ぐんだ声で俺に問いかける。返事は決まってる


翔誠「当たり前だよ!またいつでも来るし来ないでくれって言われても来るよ!」


流石に最後の一言はいらなかったわ


翔誠「だから春雨ちゃん?泣かないで?」


春雨「はい・・・」


翔誠「・・・春雨ちゃんはいい子だなぁ。こんな俺に対して泣いてくれるほど仲良くしてくれて」


裾を掴んでた春雨ちゃんを抱きしめながら頭を撫でた。春雨ちゃんすごく良い匂いだし髪の毛めっちゃさわり心地いい


春雨「うっ・・・ヒック・・・ヒック・・・」


翔誠「けど泣かないで?泣いたら可愛い顔が台無しだよ~」


春雨ちゃんのほっぺたをつまみながら言う


翔誠「ほーら笑顔笑顔!」


春雨「ヒック・・・えへへ」


翔誠「やっぱり春雨ちゃんは笑ってる方が可愛いや」


春雨「ありがとうございます。翔誠さん!」


翔誠「うん・・・もう俺が戻っても平気かな?」


春雨「平気です!」


翔誠「いい返事だ!じゃあまたね!」


春雨「また来てください!」


翔誠「わかったよ!バイバイ!」


春雨「ばいば~い」


がちゃん


翔誠「・・・ははっ。涙耐えるのしんどいわ」


ジュボッ


翔誠「ふぅー・・・タバコ美味いなぁ」


そう囁く翔誠の頬には涙が一筋垂れていた


獄長「おやおや加賀美殿。こんな所で何を満足そうに泣きながらタバコを吸われているのですか?」


翔誠「お前には関係ない。俺に関わるな」


獄長「関わるなですか!そんな涙目で睨んできたところで説得力の欠片も無いですなぁ。まぁ今の失言は見逃しましょう。ただしまた同じような事があった場合・・・貴殿ではなく桃色の娘に責任が行くのでご注意を」


翔誠「チッ。失礼」


~食堂~


翔誠「戻りました~」


大津田「おう。お帰り・・・ってお前その目どうした?真っ赤だぞ」


翔誠「あぁ~・・・何ですかね?」


ヤベェ・・・泣いたなんて口が裂けても言えねぇ・・・


あきつ丸「いやぁ~翔誠殿も罪なお方でありますなぁ~あんな可憐な少女に手を出そうとするなんて」


大津田「はぁ!?お前春雨に手を出したのか!?」


翔誠「違いますし出してません!あきつ丸さん!余計なこと言わねぇでください!」


あきつ丸「それはそれは大変失礼いたしました。ところで・・・食事の後喫煙所に来てもらえるでありますか?」


彼女は囁いた。俺は首を縦に振った


あきつ丸「では自分はこれにて!失敬!」


大津田「相変わらず嵐みたいな女だな」


翔誠「そうですねぇ・・・」


~食後喫煙所~


翔誠「俺だけか・・・」


ジュボッ


翔誠「ふぅ・・・美味ぇ」


それにしても春雨ちゃん・・・可愛かったなぁ。裾掴んでくれるし男が言われたい言葉ランキング上位の言葉も言ってくれるし。はぁ・・・妹になってくれねぇかなぁ


あきつ丸「いやはや失敬失敬!おっ!翔誠殿タバコを吸われるようになったのでありますか?」


翔誠「ええ。あきつ丸さんは?」


あきつ丸「自分も吸うでありますよ?」


そう言うとポッケからタバコを取り出した


翔誠「それガラムっすか!?ずいぶんどギツイの吸ってますね」


あきつ丸「たまたまくすねてきたのがこれだっただけでありますよ。ふぅ・・・甘いでありますなぁ」


翔誠「・・・それでここに呼んだって事は話があるのでしょう?」


あきつ丸「そうでありますなぁ」


翔誠「何ですか?要件は」


あきつ丸「実はお礼を言いに来たのでありますよ」


翔誠「礼?俺何か貴女にしましたっけ?」


あきつ丸「いや。自分ではなく春雨であります」


翔誠「春雨ちゃん?」


あきつ丸「実はあの子収容所の獄長に色々とされてるのでありますよ。翔誠殿も男ならわかるでありましょう?・・・貴方が春雨に会った日から彼女の目にまた光りが灯りだしたのでありますよ。自分はそれが嬉しくてたまらなくて・・・なので自分はあの子にまた光りを与えてくれた貴方にお礼を言いに来たのであります」


翔誠「それは良かったです・・・それよりもあのクソ爺にはいつか然るべき報いを受けてもらわねぇとな」


あきつ丸「ははっ。言うようになったではありませぬか?」


翔誠「そうですか?」


あきつ丸「いやはや・・・やはり貴方は面白い人でありますなぁ。もし何かやらかしてくれる事があったらその時は迷いなく貴方に力をお貸ししましょう。自分は呼ばれればすぐに駆けつけるでありますから」


翔誠「それは何とも心強いです。なら俺もその心意気に答えないとな?あきつ丸」


あきつ丸「おっ!ようやく呼び捨てにしてくれたでありますな!自分は嬉しいであります!」

 

翔誠「嬉しいの沸点おかしいだろ」


こうして笑い合いながら夜は更けていった


~~~~


とある鎮守府の話をしよう。4年前の深海棲艦撃退作戦、中央憲兵撃退戦で大敗した鎮守府。そこの提督は戦果を得られなかったことで海軍上層部により処刑。また両撃退戦の主力となったとある少年も失った。だが彼女達は希望を捨てなかった。いや捨てられなかったのか?何故だかわからないが彼女達には少年が生きている気がした。根拠はないがそれでも希望を持った。そして4年経った今


瑞鶴「だから!本当に誠がいたんだって!」


加賀「嘘を吐くならもっとまともな嘘を吐きなさい。よりにも死人を使うなんて。大和さん達が悲しむわよ。それに金剛さんや榛名さんだって」


瑞鶴「だーかーらー!嘘じゃないんだって!あんたはあいつのこと嫌いだったの!?」


加賀「そんなわけないじゃない。むしろ好きだったわ。戦友として、そして異性として」


そう言う加賀の頬は紅くなっていた


瑞鶴「何を顔紅くして言ってるのよ!」


大和「どうしたのですか?」


加賀「この七面鳥が誠に会ったって嘘を吐くのよ」


瑞鶴「だから嘘じゃないって!」


大和「瑞鶴さんも会ったのですか?」


加賀「え?」


瑞鶴「会ったって言うよりむしろ襲われた?」


加賀「白昼堂々と淫行をしたの?貴女は」


瑞鶴「違うわよ!あいつ今憲兵にいるのよ」


大和「・・・これは一端会議を開いた方がいいかもしれませんね」


加賀「そうね。あの子が生きてるなら・・・///」


瑞鶴「そこの青いムッツリスケベ。変なこと考えない」


加賀「人をムッツリ呼ばわりしないで。兎に角会議を開きましょう」


大和「全員召集しましょう。今夜でいいですね?」


加賀「ええ」


~その日の夜~


大和「皆さん。こんな夜中に集まっていただきありがとうございます」


武蔵「全員集めるとは何事だ?私は眠いのだが」


川内「夜戦なら構わないんだけど話し合いはなぁ~」


神通「姉さん!」


大和「実はですね・・・誠が生きてました」


ザワザワ


金剛「それは本当デスカ!?」


武蔵「おい大和!寝ぼけてるのか!あいつは死んだんだぞ!」


大和「確かに私も死んだと思ってたわ。でも1つだけ確認させて?」


武蔵「何だ」


大和『ここにいる中で誰か1人でも誠の死体を見た?』


武蔵「・・・見てないな」


金剛「確かに会ったのは誠が使ってた槍と鎧、それから大刀だけデシタ」※全作参考


大和「それに他にもあの子が生きてる根拠があるの。瑞鶴さん?」


瑞鶴「私はあいつに襲われました」


金剛「HEY!?白昼堂々淫行をしたのデスカ!?私を差し置いて!?」


瑞鶴「違うわよ!あいつは今憲兵にいる。それで艦娘を狩り回ってるのよ!」


金剛「Why!?どうして!」


瑞鶴「知らないわよ!それに名前も変わってた」


大和「今は加賀美翔誠と言う名前で憲兵に勤めているの。間違いないわ」


長門「・・・1ついいか?」


金剛「長門?」


長門「あいつが生きていたら確かに嬉しい。だが本当にそいつは誠なのか?お前らが見たそっくりさんなのでは?」


黒那珂「それはないよー」


一同「!?」


川内「那珂!?」


黒那珂「やっほー川内ちゃん」


長門「何故お前がここにいるのかは今は問わない。だが何故加賀美翔誠が誠と言い切れる?」


黒那珂「この資料を見て」


そう言って長門に渡した資料は翔誠が特殊海域で見た物だった


長門「確かに時系列的には加賀美翔誠=誠になるが・・・」


黒那珂「あと彼が今使ってる武器。あれ改二になった時に使ってたロングソードだよ」


長門「・・・まさかそんな事があり得るのか」


大和「結論は?」


長門「誠は生きている・・・事になるな」


武蔵「しかし生きてるからと言ってどうするのだ?連れ戻すのか?瑞鶴の話を深読みする形になるが多分誠は記憶を失っているぞ」


黒那珂「あ!言い忘れたけど武蔵さんの言う通り彼記憶ないよ。白紙の上に加賀美翔誠って人格を形成しちゃったみたいだから断片的に記憶を取り戻せても全部は戻ってこないと思う」


金剛「そんな・・・」


比叡「お・・・お姉様きっと大丈夫ですよ!」


榛名「そうですよ!きっと思い出してくれますよ!」


金剛「ならいいんですけどネ・・・」


提督「おい小娘共!何をこそこそしている」


武蔵「おや?中年は寝ていた方がいいのでは?」


提督「なんだとぉ!」


この提督は前任者が処刑された後に配属された人物。一言でこの男を表すならば『穢』であろう。親の七光り、ボンボン、無能、欲まみれ。艦娘を人としてではなく物として扱う輩だ。そして何より年齢が38で頭もそこまでよろしくない。まさにクズ


提督「一体貴様等何の話をしていた」


大和「貴方には関係ありません。これは私達の問題なので」


提督「貴様等の問題ならば私が知らなくてどうする!」


武蔵「はっ!我々を道具としか見ない貴様が何を偉そうに。さっさと失せろ」


提督「武蔵ぃ・・・貴様は1回口の利き方という物を教えておかねばならないようだなぁ」


武蔵「ほう?この武蔵にか?面白い!やれるものならやってみろ!」


大和「武蔵!」


武蔵「・・・わかったよ姉さん」


提督「は・・・ははは!所詮貴様は私には逆らえない様だな!情けないなぁ!」


バーン!


提督「・・・え?」


大和「あら?すみませんね提督?艤装が少し滑ったみたいです」


提督「滑った位で上官の横を掠めるような砲撃をするか!?普通!?」


長門「これでわかっただろう?この案件にはあんたは関わらない方がいい。わかったならさっさと失せろ下郎が」


提督「くっ・・・覚えていろよ!」


武蔵「台詞が三下臭いぞ」


大和「・・・行ったわね」


大淀「あら?もうお話し済んじゃいました?」


大和「ええ。また大淀に話すわね」


~~~~


大和「・・・と言う訳なの」


大淀「・・・なるほど。にわかには信じられませんが那珂さんが言うなら間違いありませんね」


時雨「ねぇ山城?何で那珂さんはあんなに信用されてるの?」


山城「新参者にそれ聞く?」


扶桑型の2人は山で迷子になってた時に記憶を無くす前の翔誠(誠)に拾われていた。※全作参考


山城「まぁ那珂が前の鎮守府で最後まで留まってたからじゃないの?あんたら駆逐艦は全員ドラム缶で輸送されてた訳だし。噂じゃ最後に誠を見たのもあいつよ」


時雨「そうなのかい!?」


黒那珂「そうだよー」


大淀「とりあえずこれからどうしますか。誰か偵察に付けて起きたい気もするのですが・・・」


黒那珂「アッ。私はまだやることあるから無理だよ」


川内「なら私が行こうか?」


神通「姉さんが?平気なんですか?」


川内「まぁ?ぶっちゃけ私忍者じゃん?」


神通「それは衣装がそのように見えるだけなのでは?」


川内「確かにそうだけども。それに夜ならここにいる誰よりも私が動けるからね」


大淀「なら川内さんで決まりですね。あの醜男には適当に嘘を言っておくのでよろしくお願いします。それから本土へ行くということなのでお土産にゴディバのチョコをお願いします」


川内「ゴディバを買えるかはわからないけど敵大将の首で良ければ」


大淀「まぁそれでも構いません。兎に角よろしくお願いします」


川内「任せておいて!ではこれにて!」


ドロン!


武蔵「・・・あいつホントに忍者なのではないか?」


大淀「・・・さて!今日はこれでお開きですね!皆さん明日も任務があるのでこれにて就寝してください!」


武蔵「無視するな!」


と言うことで川内の翔誠監視任務が始まった


~その頃翔誠は~


翔誠「ふぅ・・・満月のしたでタバコを吸うのもなかなか乙な物だなぁ・・・体にニコチンが染み渡る」


などとほざいていた。翌日


翔誠「また特殊海域の調査ですか?」


海原「ふぅ・・・そうだ」


相変わら喫煙所以外でタバコを吸いやがってこのクソ親父


翔誠「なら大津田さんも呼ぶべきなのでは?」


海原「いや。今回は俺とお前だけで行く」


翔誠「何故ですか?調査なら人数が多い方が良いのでは?」


海原「次から次へと質問が出てくるな。さっき調査と言ったがそれは名ばかりだ。今回は艦娘との殴り合いも想定している。あと深海棲艦もな。前回の調査の時に仕掛けたカメラが深海棲艦の姿を捉えた。型はア級」


翔誠「ア級?そんなの聞いたことないですが・・・」


海原「新しく発見したからだよ。んでもってこいつは瞬間移動能力持ち。チートかよ」


翔誠「・・・」


海原「まぁあれだ。お前の今回の任務は特殊海域の調査&ア級の捕獲。プラスαで艦娘の捕獲だ。あの海域をア級が根城にしてんのはわかってるからなぁ・・・やれるか?」


翔誠「艦娘の捕獲以外ならやります」


海原「あ?」


翔誠「俺は艦娘を捕らえる気なんて元々ない。それは海原さんも承知でここに入れたのでは?」


海原「お前自分の立場わかってんのか?あ?答えてみろ?」


翔誠「確かに俺はあんたの息子だ。だけどそれと俺の思想を束縛されるのはどうだ?。違うだろ?」


海原「餓鬼が粋がってんじゃねぇぞ」


翔誠「それに。艦娘の捕獲は艦娘に遭遇したらですよね?」


海原「チッ」


翔誠「任務には出ます。失礼」


ガチャン


海原「あのクソガキが・・・記憶消す時に絶対服従させとくべきだったな・・・」


~~~~


川内「ほうほう・・・あの海域に行くのか・・・大淀に連絡入れとくか」


~鎮守府~


大淀「ん?川内さんからメールが着ましたね」


川内[誠が特殊海域にア級狩りに行くらしいよー。日付は未定。わかり次第連絡を入れるからそっちで特殊海域に向かわせる娘選んどいて。PS、誠に遭遇したら捕獲されるかも]


大淀「捕獲の意味が少々気になりますが兎に角ア級と遭遇して白兵戦に持ち込まれた時の事を想定して選ぶとすると・・・」


それから数分経ち大淀はとある艦娘達を呼んだ


大淀「・・・と言うわけで天津風さん、島風さんには特殊海域へ調査に行ってもらいます」


天津風「なる程・・・誠さんを連れ戻すのね」


大淀「それはできたらで構いません。目的としてはア級と遭遇した場合速やかにア級の討伐。ア級と遭遇しなかった場合は可能であれば連れて来ること。その位です」


島風「私は構わないよ~」


天津風「私も構わないわ」


天津風は4年前に翔誠(記憶を無くす前)に助けてもらっている。その恩を返せると思い少しわくわくしている


大淀「出撃はいつになるか未定ですがいつでも出撃できるように準備だけはしておいてください。また醜男には内密に。誠さんの事は一言も教えてないので」


天津風「わかったわ。それにしてもあの男も酷い言われ様ね。大淀さんにも醜男って言われるのだから」


大淀「実際そうじゃないですか。前任のあのお方が優秀過ぎたのはありますがこれほどまで酷い人にここを任せるのは私ですら嫌気がさします」


~執務室~


提督「まったく何なんだあの小娘共は。前任が殉職して機能しなくなった泊地があると聞いて本土から遙々来たと言うのに・・・躾のなっとらん小娘共よな。調教してやりたいわい」


そう呟きながらタバコに火を着け始めた。彼が吸っているのはゴールデンバット。歴史ある両切りタバコだ


提督「ふぅ・・・タバコが無いとやってられんわ」


ガチャッ


武蔵「失礼。この建物は全面禁煙のはずだが?吸うのなら表に出てはくれないか?」


提督「武蔵・・・また貴様か。ここは執務室だぞ?どうしようが私の勝手だろう」


長門「秘書艦になる駆逐艦の身にもなってはくれまいか?タバコの煙が充満した部屋で一日中書類作業をするのは中々酷な話だと思うが?」


提督「長門・・・貴様まで」


武蔵「それにこの建物内でもっとも権力がある者が規則を守らずどの様に皆をまとめると言うのだ?」


提督「ぐっ・・・一利ある」


長門「では今後建物内での喫煙は避けてくれ。これは絶対だからな?もし駆逐艦から私の耳に入れば私はお前を容赦なく殴り殺す」


武蔵「では失礼」


パタン


長門「まぁ吸うのは構わんがちゃんと場所だけは守ってもらいたいな」


武蔵「ほんとそうだな。タバコのルールすら守れぬ奴に深海棲艦からこの国を守ることなぞ到底できっこないな!」


長門「違いない!」


~それから一月が経ち~


大淀「川内さんから連絡が入りました」


川内[特殊海域調査は2日後の正午から開始。部隊編成は誠と向こうのお偉いさん、お偉いさん直属の隊。予定通り島風、天津風に空間圧縮装置を持たせて作戦に挑ませて。ア級のスペックめちゃくちゃ高いから。PS、ゴディバは買えたから私が死ななかったら食べれるよ]


大淀「空間圧縮装置は正直まだ試作段階なので使わせたくはないのですが・・・」


天津風「そんな事言ってられないですよ。それに私は兎も角島風は使いこなせてるみたいだし」


島風「でも使いすぎると鼻血が出てくるから危ないことには変わりないかも」


大淀「・・・行けますか?」


2人「もちろん!」


大淀「では2日後の正午、作戦開始です。」


2人「了解!」


~中央憲兵~


翔誠「ふぅ・・・」


あきつ丸「おやおや?浮かない表情でありますなぁ翔誠殿」


翔誠「あきつ丸・・・冷やかしに来たのか?」


あきつ丸「滅相もない!明後日の調査は翔誠殿の見立てではどうなると思いますかな?」


翔誠「・・・まず艦娘は絶対に乱入してくると思う」


あきつ丸「ほほう?」


翔誠「ア級に関しては実際に闘ってないから逃がすか捕まえるか殺すかはわからない。海原からの横槍も入りそうだな・・・」


あきつ丸「海原が?」


翔誠「あいつが実際に横槍を入れるんじゃ無くて他の奴にやらせるとか。例えば零番隊とか」


あきつ丸「ふむふむ・・・翔誠殿は未来を見てきたかのような考え方をするのでありますなぁ」


翔誠「未来は見てきてないけど過去でなら似たようなことはあった」


あきつ丸(この1ヶ月間で彼の身に何があったかは詳しくはわからないでありますが雰囲気がだいぶ変わったでありますなぁ・・・入隊したての危うさが無くなり代わりと言わんばかりの強い殺意。一体何が貴方にそこまでの殺意を与えたのでありますか?)


翔誠「・・・春雨ちゃんはその後どう?」


あきつ丸「あの子は悲しんでたでありますよ。翔誠殿に会えなくて泣いてることもあります」


翔誠「ふぅ・・・この任務が終わったら会いに行きます。お菓子たくさん持って行くから待っててって伝えといてくれないか?」


あきつ丸「任せるでありますよ」


翔誠「ハイライトが美味ぇな」


あきつ丸「もうすぐ7月でありますなぁ・・・」


翔誠「そうだな」


あきつ丸「確か翔誠殿の誕生日でありますよな?」


翔誠「7月1日がな」


あきつ丸「お祝いしなくてはいけませんなぁ」


翔誠「なら俺はお前と春雨ちゃんと3人で酒飲んで飯食いたいな」


あきつ丸「おや?自分も一緒で良いのですか?」


翔誠「何だかんだで入隊してからずっと気にかけてくれてるだろ?それに・・・」


あきつ丸「それに?」


翔誠「・・・どことなく母親が居たら・・・こんな感じなのかなぁって思ってさ。情けねぇな・・・任務が控えてるのに」


あきつ丸「情けなくないでありますよ」


翔誠「え?」


あきつ丸「母親を思うことは情けなくないでありますよ。自分はそう思うであります」


翔誠「うん・・・ありがとう。少し元気出た」


喫煙所から少し離れた物陰


大津田「・・・」


剣崎「いい話だなぁ・・・」


大津田「できればあいつの願いは叶えてやりたいな・・・何せ」


剣崎「何せもう弟みたいなもんだから、か?」


大津田「おう」


剣崎「違いねぇな!」


そこよりももう少し喫煙所に近い建物


川内「そうだよね・・・あいつ母親は知らないんだよね・・・鎮守府に来てもあいつの姉は居ても母親に代わる存在はいないもんね・・・」


翔誠「兎に角俺はア級を捕まえる。今はそれだけしか考えねぇ」


あきつ丸「それで良いのでありますよ!」


そして2日後。予定通り翔誠は海原と零番隊と共に特殊海域に到着した。島風達も到着している。位置関係で言えば翔誠と島風達は真逆の位置に居て遭遇することはそうそう無いだろう。だがこの海域にはそのそうそう無いこともあり得る存在がいた。


翔誠「見つけたぞ・・・ア級」


ア級「お前・・・誰だ」


翔誠とア級の対峙。その場には2人しかいない。海原と零番隊は別の区域で探索している。だが探索も名ばかり。実際は翔誠の観察である。


海原「さぁ翔誠。お前はそいつ相手にどこまでやれる?」


零番隊副長「お気を悪くされるかもしれませんが海原様は未来視ができたはずでは?」


海原「俺が視れる未来は数秒先、数手先のやり取りだ。それも『人間限定』のだ。翔誠の野郎は俺と艦娘、つまり深海棲艦と艦娘のハーフだ。人間な訳ねぇだろ」


零番隊副長「ならば彼は『あれ』を使えるのですか?」


海原「理論的にそうなるがあいつ自身まだ『あれ』に気が付いてねぇ。まぁ教える気もねぇがな」


零番隊副長「左様ですか」


海原(人間限定の未来視ってのは嘘だ。本当は艦娘や深海棲艦も視ることができるが、奴『ら』だけは視れねぇ。翔誠は兎も角──)


零番隊副長「始まりましたよ」


海原「そうか」


─────


翔誠「クッソ!やっぱり速い!」


ア級「お前は遅すぎるな。艦娘の方がまだ張り合いあるぞ」


翔誠「うるせぇ!」


全力の拳。しかし


ア級「アタシにはお前が止まって見えるよ」


翔誠「なっ!?」


容易く回避され───


ア級「クタバリナ!」


スパン!


翔誠「ウッ!?」


ガクン


ア級「足の腱と筋肉の切断、それから関節を砕いた。もうお前はアタシに嬲り殺されるかペットになるしか道は無い!さぁ!選べ!」


???「ならあんたをぶっ飛ばす事を選ぶわ!」


バキッ!


ア級「クッ・・・誰だ!」


天津風「トラック泊地所属、陽炎型駆逐艦天津風よ!」


島風「島風もいるよ~」


ア級「島風と天津風・・・最速の駆逐艦とそのプロトタイプの・・・」


島風「正確にはロシアでタシュケントが見つかったから最速じゃないけどねぇ~」


翔誠「何で・・・俺を助けたの?」


問いかける翔誠に答えたのは天津風だった


天津風「今の貴方は覚えてないかもしれないけど私は前に貴方に助けられてるの」


そう。死ぬのなんざ怖くない、護れればそれで良いと言わんばかりの海に出てすぐの貴方に。私は助けられた・・・だから!


天津風「だから私は貴方を助けに来た!例え記憶が無くても!私達を狩る存在だとしても!私は今この場で貴方を護る!」


翔誠「・・・確かに・・・記憶にない・・・かな」


バタン


ア級「あらら~?助けに来たのにもう死んじゃったの?情けないわねぇ!流石人間って言った所かしら?」


島風「安心しなよ。まだ彼は死んでないから」


天津風「緊張が解けて気絶しただけよ」


ア級「餓鬼が意気揚々と語るじゃない?」


天津風「ここからは私達が相手よ!」


ア級「クソガキ共が!大人しくアタシニ嬲リ殺サレロ!」


~~~~


翔誠「・・・ここは?」


気を失った翔誠が目覚めたのは身に覚えのない夜の公園だった


誠「弱いな・・・翔誠」


翔誠「君が・・・誠?」


誠「そうだ。大和型戦艦準3番艦戦艦誠」


翔誠「準3番艦?」


誠「本当の3番艦は信濃って言う空母の姉ちゃんがいるみたいだけど誰も会ったことが無いから俺が仮の3番艦を務めてる」


翔誠「なるほど」


誠「お前は何のために戦う?」


翔誠「何のために?」


誠「俺は姉さん達を・・・そして金剛さんを守るために戦ってた。その結果海原の野郎に俺の人格は消された。お前は?何のために戦う?」


翔誠「・・・俺は君の人格が亡くなった後に上書きされただけの存在だ。だから本質はきっと一緒だと思う」


誠「本質は?」


翔誠「だけど俺は・・・うん。言わなくてもわかるよね?」


誠「春雨を、あきつ丸を。そして・・・」


翔誠「俺を助けに来てくれた天津風ちゃんと島風ちゃんを」


2人「守りたい」


誠「ハモったな」


翔誠「本質はやっぱり同じみたいだね。俺の前の人格が君で良かったよ」


誠「そいつは良かった。で?ここから目覚めたらどうするよ?翔誠」


翔誠「ア級を殺す。そんでもって憲兵を潰す」


誠「おう。それでこそだ。しばらくは俺の体で暴れまわれ。お前ならやれるはずだ」


翔誠「うん。ありがとう」


誠「さぁ行ってこい!俺の代行者!」


~~~~


天津風「はぁ・・・はぁ・・・」


島風「速い・・・」


ア級「大口叩いてた割にはずいぶん早くバテたわねぇ?」


天津風「実戦だとこんなに装置に翻弄されるなんて・・・」


島風「そうだね・・・」ポタポタ


天津風「島風!?あんた鼻血が・・・」


ア級「その装置・・・使用者の稼働速度の限界以上の速度を引き出すみたいだけど・・・その分副作用も酷いらしいわねぇ?」


天津風「万事休す・・・って所かしら」


ア級「さぁて・・・じゃあそろそろ・・・アタシニ嬲り殺サレロ!」


島風「天津風!」


翔誠「させるかボケが!」


天津風「!?」


島風「!?」


ア級「な!?」


眠りから覚醒した翔誠の回し蹴りがア級の脇腹を直撃した


ア級「プハッ!」


天津風「誠さん!?」


翔誠「天津風ちゃん・・・やっぱり俺は誠としての記憶は思い出せなかったよ」


天津風「そんな・・・」


翔誠「でも俺は・・・彼の代行者としてなら・・・もしかして」


天津風「代行者じゃなくていい・・・貴方は貴方でいい・・・だからせめてここから逃げて・・・もう貴方の傷付く姿は見たくないの・・・お願いだからわかってよ・・・」


翔誠「ごめんね・・・けどこれは俺がやりたいことだから。代行者も本当は建前。本音は君達を守りたい。そんな感じかな」


あぁ・・・この人は本当に誠さんなんだ・・・記憶が無くてもこの人は私達のことを守ろうとしてる・・・


ア級「ごちゃごちゃうるせぇ!お前からぶっ殺してやる!」


翔誠「来いよ・・・俺は負けねぇ」


ア級「死ねぇ!!!」


スパパパン


ア級「・・・え?」


ドサッ


翔誠「足の筋肉、筋を断ち切って膝、足首の関節を砕いた。さぁ・・・嬲り殺されるのはどっちだ?」


ア級「テメェ!!!」


???「おうそこまでだ」


翔誠「誰だお前!」


大和武尊「あ?お前生きてたのか。海原の野郎何で生かしといた」


ア級「武尊様・・・」


大和武尊「お前への罰は帰ってからだ。ったく勝手に実験所から逃げ出しやがって・・・挙げ句こんな半端野郎に負けるなんてな?」


ア級「申し訳ありませんでした」


翔誠「テメェらの会話なんて聞く気なんてねぇ!早く答えろ!テメェは一体誰なんだ!」


大和武尊「覚えてねぇならしゃーねーわな。俺は深海の大和型。大和武尊。思い出せや雑魚」


翔誠「大和武尊?」


大和武尊「日本神話に出てくる天叢雲、草薙剣の方が聞き覚えがあるか?その神剣を振るった男の名前から取ってる」


翔誠「そんな事はどうでも良い!今すぐ俺と戦え!」


大和武尊「ハッ!満身創痍でよくそんな事言えるなぁ!」


翔誠「黙れ!さっさと俺と戦・・・え」


バタン


大和武尊「ほら言ったろ。こいつにすら手こずる様じゃまだまだだな。これならまだ出来損ないの糞戦艦の方が楽しめたわ」


翔誠「立てねぇ・・・」


大和武尊「次は全力で来いや。相手はしてやるかわからねぇがな。オラさっさと立て糞軽巡がよ」


ア級「はい」


大和武尊「そんじゃあな」


武尊はそう吐き捨てその場をア級と共に去った


天津風「誠さん・・・海原が来る前に私達も戻るわね」


翔誠「待って・・・」


立ち去ろうとする彼女等に声をかける


翔誠「しばらくしたら・・・俺も帰るよ・・・鎮守府に・・・皆の元に」


天津風「っ・・・当然じゃない!貴方の居場所は鎮守府なんだから!じゃあね!」


島風「あ!?天津風ちゃん待ってよ~」


翔誠「・・・必ず・・・戻る・・・か・・・ら・・・」


バタン


~別区域の海原達~


海原「結局負けんのかよ。つまらねぇ」


大和武尊「おい海原」


海原「何だ」


海原「何であいつ殺してねぇんだよ。殺す予定だったろうが」


海原「おめぇには言ってなかったわな。あいつ自身に艦娘を殺させようとしたんだがまぁこれがなかなか上手く事が運ばなくてな」


大和武尊「テメェこの野郎。こっちは4年前に左手持ってかれてんだよ!さっさと殺せや!」


海原「1つ。左手持ってかれたのはテメェ自身の力不足だろうが。2つ。テメェの今の左手は誰がくれてやった?あ?言ってみろ」


大和武尊「・・・おめぇだよ」


海原「だよなぁ?最後に3つ。俺はテメェみてぇな雑魚の指図は受けねぇ。指図したかったら俺を殺すくらい強くなれ」


大和武尊「・・・ケッ」


海原「しゃーねーなぁ・・・あのクソガキ回収してくる。テメェら全員戻ってろ」


~3日後~


大津田「ア級とタイマン張って五分五分に持ち込んだとはいえなぁ・・・」


剣崎「足の筋肉斬られるわ筋斬られるわ」


大津田「挙げ句足の関節砕かれるとは・・・」


翔誠「いやぁ・・・やられちまいましたわ」


大津田「いややられちまいましたわ、じゃねぇぞ!?海原がいなかったらお前文字通り海の藻屑だったんだぞ!?」


剣崎「全治2週間で治んのかこれ?あの医者ぜってぇヤブだろ」


翔誠「ヤブなら中央憲兵直属の医者にはならねぇっすよ」


医者「おらポンコツ共。検診の時間だ。帰れ帰れ」


大津田「噂をすれば」


剣崎「おいヤブ医者。これ本当に2週間で治んのかよ」


医者「誰がヤブ医者だボケコラ。おめぇを全治2週間にすんぞ」


翔誠「まぁまぁ・・・治りますよね?」


医者「おう。1つ訂正だ。治るかどうかじゃねぇ。治すんだよ。それが俺の仕事だ」


3人「かっ・・・格好いい」


医者「だろ。まぁ綺麗な姉ちゃんに言われたかったがな。こんなゴリラ3匹に言われても嬉しさ半減だわ」


大津田「じゃあな翔誠。退院したら飯奢ってやるからそれまでまっずい病院食で我慢しとけよ」


翔誠「わかりました!お見舞いありがとうございます!」


~2人が帰った後~


こんこん


翔誠「どうぞ~」


秘書「失礼します」


翔誠「秘書さん?どうしたんですか?」


秘書「いえ?容態が気になったので見に来たのですが・・・関節を完全に砕かれてますね・・・」


翔誠「・・・」


沈黙が場を支配する。無理もない。翔誠と秘書の接点なんて殆ど無い


秘書「あの・・・」


沈黙を破ったのは秘書の方だった


秘書「貴方は海原様のご子息ですよね?」


翔誠「その呼ばれ方はできればやめてもらえますか?俺は好きで海原の子になったわけじゃないので」


秘書「そうですね・・・なら翔誠君。貴方は彼のやってることについてどう思いますか?」


翔誠「あいつがやってること・・・艦娘殺し?」


秘書「はい」


翔誠「俺は間違ってると思います。正直言うと艦娘を狩って艤装を剥がしてその艤装から採れる金属で武器を作って戦ったとしても人間は深海棲艦には勝てない・・・いや」


秘書「?」


翔誠「勝てないんじゃなくて勝ったらイケない・・・って言った方が良いんですかね?なんつーか理に触れてる気がするんですよね。人が深海棲艦と艦娘の戦いに入るってのは。提督や指揮官って言われる役職の人達は別として俺や海原みたいな人間の紛い物はもちろん大津田さんや剣崎さんみたいな普通の人間もそこには介入しちゃイケない気がするんです。」


秘書「仮に介入せざるを逐えなかった場合は?」


翔誠「介入します。俺、控えめに言って艦娘の人達大好きなんですよ。綺麗な人がいて可愛い子がいて凛々しい人がいて・・・それに」


秘書「それに?」


翔誠「あの人達の笑顔を見てると凄く・・・凄くホッとするんですよ。何でですかね?」


秘書「私に聞きますか?それを」


翔誠「そうですね・・・話もだいぶ脱線しましたね」


秘書「いえ?そんな事無いですよ。貴方の本心を聞けて私は満足です。それでは私はこれにて失礼しますね」


翔誠「お気を付けて!お見舞いありがとうございます!」


バタン


秘書「・・・私は何を聞きたかったのですかね・・・元艦娘として。自分の気持ちに同意してくれる人が欲しかったのでしょうか?」


~鎮守府~


大淀「・・・なるほど。しばらくしたら戻る・・・と」


天津風「ええ。それがいつなのかはわからないけど」


大淀「とりあえず川内さんには偵察任務の終了を報告しておきましょう」


島風「それじゃ私達はもう下がりますね」


大淀「お疲れ様です。あとはこちらに任せてください」


~中央憲兵極秘研究所~


海原「・・・おい書記」


書記「何でしょうか?海原様」


海原「俺に投影回路2本追加しろ」


高そうなイスに座りながら気怠そうに海原は言う


書記「2本もですか!?そんな事したらお体が・・・」


海原「うるせぇ!良いから早くしろ!」


投影回路・・・憲兵が武器を召喚するときに発動する回路である。最初はチップを打ち込み体に馴染ませるのだが強靱な肉体と強い精神力があれば馴染ませないで直接打ち込める。だが体への負荷は大きい


書記「わかりました。今から打ち込みます」


海原「野郎そろそろ潰さねぇとな・・・」


そして翔誠の怪我から2週間が経った


翔誠「すげぇ・・・本当に完治した・・・」


医者「もう退院して良いからさっさと荷物まとめて寮に戻れ。あとタバコは病院外で吸え。次病院内で吸ったら2度とタバコ吸えないように肺と喉取り出すからな」


翔誠「それ死んでません?」


医者「はよ行け」


翔誠「お世話になりました」


病院を出てすぐ見覚えのある大男が待っていた


大津田「おう翔誠!退院おめでとう!」


翔誠「大津田さん!ありがとうございます!」


大津田「これから退院祝いに飲みに行くか!」


翔誠「いや大津田さん!俺まだギリ未成年っすよ」


大津田「馬鹿野郎お前タバコ吸ってるやつが何言ってやがる。ほら早く行くぞ」


大津田に(半ば無理矢理)連れてこられたのは以前調査しに来た市街地から少し外れた場所だ


翔誠「大津田さんいつの間にこんな店見つけたんですか?」


大津田「お前がこの前ナンパしてたときにケータイで調べた」


翔誠「人に聞き込みさせておいて何してるんすか!」


大津田「うるせぇ!とっとと入るぞ!」


翔誠「だから俺未成年ですって!隣の喫茶店にいますから大津田さんだけで呑んでてくださいよ!」


大津田「馬鹿野郎!お前の退院祝いなんだからお前がいないと話にならねぇじゃねぇか!観念しやがれ!」


翔誠「うっ・・・それを言われると・・・」


大津田「決まりだな」


店の暖簾には『居酒屋誠』と書いてある


ガラガラ


大津田「すみませーん!2人なんですけど今の時間帯ってお店やってますか?」


大津田さんが大声でお店の人に確認すると中から若い女将さんがやってきた


女将「あら?暖簾はまだ掛けていなかったはずなのに・・・」


大津田「ガッツリ掛かってましたぜ?女将さん」


翔誠(何格好付けてるんだこの人は)


女将「わかりました!私のミスならば仕方ありません!それに今日は月曜日なのでお客さんもあまり来そうにないのでお二人の貸し切りという形でよろしいでしょうか?」


大津田「おお!翔誠ラッキーだな!貸し切りだってよ!」


翔誠「そ・・・そうですね」


翔誠(やべぇ・・・年確されねぇか心配になってきた・・・女将さん若いから年確してきそうだ)


大津田「んじゃ早速失礼して・・・とりあえず熱燗と刺身の盛り合わせお願いします」


女将「今お持ちしますね!ところで・・・」


翔誠「・・・」


女将「お兄さん・・・未成年ですよね?」


翔誠「未成年です」


女将「すみませんが未成年の方にはお酒は提供できないのですが・・・」


翔誠「そうですね・・・けどあの大男1人残しとくのが不安なんですよね」


女将「別に店から出て欲しいわけではなくて!あの!」


テンパってる・・・可愛い


女将「!」


翔誠「?」


女将「あの!隣に喫茶店があるのでそちらで時間潰していただくのはどうですか?」


翔誠「喫茶店ですか?俺は構いませんが・・・女将さん平気ですか?あの人酒癖すっげー悪いですよ?」


女将「安心してください!こう見えても私弓道をやっているのでそこそこ腕力はあるんですよ!」 


と胸を張りながら言う。うん。やっぱり可愛いな


翔誠「なるほど・・・弓道をやられているのですか・・・それは凄い」


女将「ちなみにお兄さんはお仕事何をされているのですか?」


翔誠「俺ですか?憲兵です」


女将「若いのに凄いですね!」


翔誠「そうですか?・・・まぁそれ以外にできることが無いってのもありますけど」


女将「?」


翔誠「実は俺4年前の記憶が無いんですよ。だから・・・」


女将「お名前・・・聞いても良いですか?」


翔誠「加賀美・・・加賀美翔誠・・・です」

 

あれ?何だろ・・・この感覚・・・胸がムズムズする


女将「翔誠君・・・良い名前ね・・・翔る誠でいいのかしら?」


翔誠「そうです・・・じゃあ俺隣の店にいるので・・・先輩をお願いしますね」


女将「・・・私の」


翔誠「?どうしましたか?」


女将「私の名前は鳳翔って言います!以後お見知りおきを!」


翔誠「わかりました。鳳翔さん」


翔誠が店を出た後


大津田「・・・あいつさっき記憶が無いって言ってたじゃないですか」


鳳翔「言ってましたね・・・」


大津田「あいつを初めて見かけた時の事・・・今でも覚えてるんですけどね・・・何て言うか・・・ただただ怯えてたんですよ。得体の知れない何か・・・先の見えない恐怖・・・過去を失った絶望に。母親がいれば多少はマシだったのかもしれないんですが憲兵には女の人が数えるくらいにしかいないもんで・・・そん時に思ったんですよね・・・こいつの親の代わりにはなれねぇけど兄貴の代わりにはなれるんじゃねぇかって・・・まぁ初めて喋ったのはつい最近なんですけどね」


女将「大津田さん・・・でしたっけ?」


大津田「大津田です」


女将「大津田さんは・・・お優しいんですね」


居酒屋誠から徒歩2分程したところに女将さん・・・鳳翔さんが言っていた喫茶店があった


翔誠「やってるのか?」


一応OPENの札は出てるけど・・・人が入ってない


カランカラン


翔誠「すみませーん。お店ってやってますか?」


店員1「はい!やっていますよ!」


黒髪でロングヘアのすげー美人な人だ・・・モデル?


翔誠「モデルさんですか?」


店員1「へ?」///


翔誠「あっ・・・いや・・・あの・・・すみません!美人だったのでつい!」///


店員1「も・・・もう!おだてたって榛名からは何も出ませんよ!」///


榛名さんって言うのか。めっちゃ照れてる・・・良い物見れたわ


翔誠「今の時間帯って榛名さん1人ですか?」


榛名「いいえ?もうそろそろ皆戻ってくると思うんですけど・・・」


???「榛名ぁー?お客さんデスカー?」


榛名「姉様!」


翔誠「姉様?」

 

???「ん?むむむ?これはこれは・・・」


え?めっちゃ顔見てくるんだけど・・・てかこの人もすげー美人だわ・・・茶髪のロングヘアで頭の横にフレンチクルーラーみたいなの付いてるけど


金剛「私は金剛って言いマス・・・お兄さんのお名前ハ?」


翔誠「加賀美翔誠・・・です」


金剛「翔誠!カッコイイ名前デスネ!」


翔誠「そっ・・・そうですか?」


金剛「えぇ!あっ!せっかくですし座ってクダサイ!お話しシマショ!」


翔誠「俺で良ければ・・・」


~30分程経ち~


金剛「翔誠は憲兵何デスカ・・・凄いデスネ・・・」


榛名「しかも19歳ですよね?天才ってこの子の様なことを言うのでしょうか」


この30分でわかったのはこの2人そこまで頭強くないってのとすっげー美人で可愛いって事だな


金剛「それにしても未成年で居酒屋に入ろうとしたのは中々とち狂ってマスネ!そう言えばタバコは吸うんデスカ?」


翔誠「吸いますね・・・」


金剛「正義の味方の憲兵様がルールを破っちゃイケナインダー!」


翔誠「うっ・・・返す言葉もございません」


金剛「冗談ヨ!灰皿いりますか?」


笑いながら金剛さんは言う


翔誠「いや・・・大丈夫です」


榛名「禁煙中ですか?」


翔誠「そう言う訳ではないんですけど・・・何て言うか貴女方といると不思議と吸わなくても平気なんですよね」


金剛「ワオ!嬉しいこと言ってくれますネー!」


榛名「けど喫煙者にしては珍しいですね?ホントにどうしたんでしょうか」


金剛「まぁ考えてもわからないことはわからないことはヨ!翔誠!紅茶とスコーンができたヨ!」


翔誠「ありがとうございます!」


金剛「それにしても・・・比叡と霧島遅いですネ。どこで道草食ってるんデショウカ」


翔誠「他にも店員さんがいるんですか?」


金剛「あと2人いるヨー!2人とも私の可愛い妹デース!」


翔誠「4姉妹なんですか?お2人に似てとても美人な人なんですかね?」


金剛「もう!口が達者なのは変わらないネ!」


翔誠「すみません・・・金剛さん」


榛名「姉様!」


金剛「Sit!私としたことが」


翔誠「!?」


金剛「翔誠!ちょっと待っててくだサーイ!一端在庫の確認してくるネ!HEY榛名!come on!」


榛名「は・・・はい!」


翔誠「わかり・・・ました」


口が達者なのは変わらない?待って・・・俺は貴女と今日初めて会ったはずなのに・・・何で俺のことを知っていた様なことを言えるの?


~在庫置き場~


金剛「我ながら流石にやらかしマシタ・・・」


榛名「ですが・・・昔から変わっていませんでしたね・・・記憶が無いだけで本質は彼と同じなのですかね?」


金剛「んーーーーー何とも言えまセン・・・」


榛名「ちなみに紅茶は何を淹れたのですか?」


金剛「ん?あの子が私達とよく飲んでいた物ダヨー?」


榛名「姉様特製ブレンドの!」


金剛「YES!さて!そろそろ戻りまショウカ!」


榛名「あの子も心配しちゃいますしね!」


翔誠が座っているカウンターに戻って来るや否や金剛と榛名は驚きの光景を目の当たりにする


翔誠「うっ・・・ヒック・・・ヒック・・・」


顔をくしゃくしゃにし泣きながら紅茶を飲む翔誠であった


金剛「翔誠!?どうしマシタ!?」


榛名「口の中火傷しましたか!?とりあえず水を持ってきます!」


翔誠「グスッ・・・大丈夫・・・です。別に火傷とかしたわけじゃないんです・・・ただ・・・」


金剛「ただ?」


翔誠「ヒック・・・あまりにも・・・懐かしい味で・・・可笑しいなぁ・・・俺・・・ここの紅茶飲んだこと無いのに・・・どうしてなんだろ」


榛名「それは・・・」


金剛「それはまた不思議な事デスネー?でもサー?もしかしたら・・・飲んだことがあるのかもヨー?」


翔誠「え?」


金剛「例えば・・・ソウネー」


うーんと考える金剛さん。そして閃いたように言った


金剛「遠い昔に飲んだことがある・・・トカ?」


翔誠「遠い昔に・・・」


金剛「翔誠が昔この紅茶を飲んでたなら・・・そうネ・・・きっと周りには沢山の優しい仲間達がいたと思いマスヨ」


榛名「姉様・・・」


金剛「スコーンを食べながら笑顔でその日学校で起こった出来事を喋ったり・・・初めて友達ができたって事を教えてくれたり・・・」


翔誠「もう止めてください!貴女は俺の何なんですか?まるで俺の知らない過去を知っている様な事を次から次へと!教えてください!貴女は俺の何を知ってるんですか!」


金剛「貴方の・・・記憶を無くす前の貴方を私は・・・いいえ私達は知っていマス」


翔誠「本当・・・ですか?」


金剛「榛名・・・ちょっと席を外してクダサイ」


榛名「わかりました・・・」


金剛「・・・榛名は行ってくれましたね?」


翔誠「行きましたね」


金剛「何から話せば良いデスカネ」


翔誠「知ってることを全部・・・教えてください」


金剛「知ってること・・・デスカ。最初に1つ言っておきマス」


翔誠「何ですか?」


金剛「私は貴方の姉や母親ではないデス。なので・・・」


翔誠「大丈夫です。貴方の知ってることだけを教えてくれれば良いんです」


金剛「フフフ。貴方は昔っから優しい子デスネ。自分よりも仲間を守ろうとしたり自分が傷つくのを承知の上で仲間を助けに行ったり・・・」


翔誠「・・・」


金剛「そうデスネ・・・私が貴方と初めて会ったのは確か・・・15年位前ですカネ?その頃貴方は今よりも小さくひ弱でお姉ちゃん2人からあまり離れない子でしたっケ。」


翔誠「姉が2人・・・」


金剛「大和型戦艦1番艦大和と2番艦の武蔵。最強戦艦2人の弟にしてはホントに頼りなかったヨ。でも勇気だけは2人よりも強かったネ」


翔誠「勇気?」


金剛「ええ。勇気と言っても人に立ち向かう勇気じゃなくて人に歩み寄るための勇気デス」


翔誠「どういう事ですか?」


金剛「私が最初に貴方に会ったのは15年前って言いましたヨネ?もっと正確に言うとその冬に会ったのデス」


翔誠「冬ってそこまで重要ですか?出会いって言ったら春な気がするんですが」


金剛「私達にとっては冬って言うのがそこそこ重要なんデスヨ。15年前深海棲艦の攻撃が激しくなってきた時だったんデスヨ。絶え間なく攻め込んでくる深海棲艦の相手に加えて、民間人からの罵声。何でもっと早く倒さなかっただの流れ弾で家が崩れただので私達の身も心もボロボロデシタ。その時の心象を表すのに丁度良い言葉が冬空・・・と言ったところデスカネ」


翔誠「・・・」


金剛「そんな身も心も冬空のように冷え切った時に出会ったのが翔誠・・・貴方デース。私は初め、貴方も他の民間人と同じで罵声を浴びせるだけの子供かと思ってマシタ。ですがそんな私の予想と裏腹に貴方が私達に言った言葉は何だったと思いますか?」


翔誠「俺にはわかりません。何て答えたんですか?」


金剛「お姉さん寒くない?って言ったんデスヨ。まだ5歳の貴方が。私はそれに感動しまシタ!まだこの国を守るだけの価値があると!そう思わせるほどデシタ!」


翔誠「そんな・・・ただの子供の一言ですよ?なのに何で」


金剛「翔誠?1つ教えておきマース!人間・・・まぁ私達艦娘は厳密には人では無いんですが」


翔誠「俺は貴女達を人間だと思ってます」


金剛「・・・真っ直ぐな所も変わらないネ。人間って言うのは何気なく言われた一言でいくらでも救われるんデスヨ。その一言が例え言った本人が忘れていても言葉を受け取った側の人間はそれを糧に何だってできるようになるんデス」


翔誠「金剛さん・・・」


金剛「さて!まだまだ私が知ってる事はありますヨ!」


それから何時間経ったのかは覚えていない。ただ金剛さんが無邪気に昔話を聞かせてくれるのが楽しくて嬉しくて仕方が無かった


金剛「もう時間も時間ネ」


時計は20時を指していた


翔誠「こんなに時間が経ってたんですね」


金剛「ねぇ翔誠?最後に1つ質問していいデスカ?」


翔誠「何ですか?」


金剛「翔誠はサー?今気になっている子とかいるノー?」


翔誠「えっ」


反応に困る・・・記憶が無いとは言え一度プロポーズした相手にはいいますなんて言えない


金剛「気を使わなくて良いんデスヨ?翔誠の今を知りたくて聞いたんデスカラ」


翔誠「・・・います」


金剛「ワオ!良いデスネェ~青春してるって感じデスヨ!」


翔誠「すみません・・・一度プロポーズした人を裏切る形になってしまって」


金剛「・・・本当に素直で良い子ネ。良いんデスヨ!気にしないデ!まぁ1番最後に私の隣に居てくれれば私は満足デスカラ!」


翔誠「・・・」


金剛「いつか翔誠の気になってるBerrycuteな子を連れてきてクダサイ。それで許しマス!」


翔誠「俺の誕生日・・・1週間後なので・・・その」


金剛「ん?誕生パーティーここでスル?」


翔誠「いえ・・・金剛さん」


ガシッ


金剛「へ?」


いきなり肩を掴まれて固まる金剛さん。唖然としている


翔誠「1週間後、鎮守府に居てください。そんでもってそこで俺の誕生パーティーと復活パーティーをしてください!」


金剛「YES!わかったヨ!特大のケーキとご馳走を間宮達と作って待ってるヨ!」


翔誠「ありがとうございます!今日は紅茶ご馳走様でした!」


バタン!


榛名「姉様!翔誠君が戻ってくるって事で良いんですか!?」


金剛「ヒック」


榛名「お姉様!?」


金剛「ゴメンナサイ・・・榛名・・・私嬉しくって・・・つい」


榛名「やっと・・・ですもんね」


~居酒屋誠~


翔誠「うわっ・・・案の定これだわ」


大津田「グゴォォォォォォォ」


鳳翔「すみません・・・一応止めてはいたんですが」


翔誠「仕方ないです。鳳翔さんは悪くありませんから。お会計いくらですか?」


鳳翔「えっと・・・50000円です!」


翔誠「大津田さんの財布から失敬してっと・・・丁度50000円です」


鳳翔「はい!確認しました!ありがとうございました!」


~そして帰り道~


翔誠「大津田さんマジ重てぇ・・・てか何杯飲んだんですか」


大津田「日本酒一瓶・・・ビール3本・・・そこから先は覚えてない」


翔誠「馬鹿ですか!飲み過ぎっすよ!女将さんにも迷惑かけて」


大津田「馬鹿はお前だ翔誠!あんな美人に酒を注いでもらったら誰でも飲んじまうぞ!」


翔誠「それでも限度って物がありますよ!次からは気をつけてください!」


大津田「なぁ・・・」


翔誠「何ですか?」


大津田「お前・・・本当は何者なんだ?」


翔誠「それは・・・どういう意味ですか?」


大津田「ずっと考えてたんだよ・・・何でお前はこんなに強いのか。何で記憶がないのか。そんでもって極めつけは入院から退院までの短さだ。並の人間ならあの怪我だったら1年以上はくだらない。なのに2週間で退院してきやがった。」


翔誠「・・・」


大津田「なぁ・・・教えてくれよ。お前は一体何者なんだ」


翔誠「俺は・・・」


そこからは俺の知ってることをすべて話した。4年前の憲兵100人斬りの犯人であること、鎮守府にいたこと、大和型の弟であること、海原の子供であること


大津田「なるほどな・・・合点が行く」


翔誠「殺さないんですか?俺のこと」


大津田「なぜだ?」


翔誠「俺は4年前に憲兵を殺しまくってるんですよ?その中には大津田さん達の友人や先輩がいたはずです。それに俺は1週間後には収容所を襲撃します。普通の憲兵なら今ここで俺のことを殺しにかかってるはずです。なのに何故?」


大津田「・・・昔の俺だったら殺してたな。仲間を殺された恨み、目の前での裏切りの宣言。でもな・・・お前に会ってからは何て言ったらいいかわからんがそんな気になれないんだよ」


翔誠「どういう意味ですか?」


大津田「そこがわかれば俺だって苦労しねぇよ。本当に襲撃するのか?」


翔誠「します。大津田さんにはできればその後俺に付いてきてもらいたいです」


大津田「どこにだ?」


翔誠「艦娘達がいる場所・・・鎮守府です」


大津田「鎮守府か・・・きっと綺麗な姉ちゃん達がいっぱいいるんだろうな」


翔誠「いっぱいかどうかはわかりませんがいますよ。それに俺の姉さん達に紹介したいです。大津田さんの事を」


大津田「そうか・・・もう少しだけ考えさせてくれねぇか?」


翔誠「1週間後収容所を潰すまでなら待ってます」


~時間は経ち中央憲兵喫煙所~


翔誠「ふぅ~・・・」


あきつ丸「やや?可愛い可愛い翔誠殿ではありませぬか。何か悩み事でもあるのですかな?良ければ聞くでありますよ」


翔誠「1週間後に収容所をぶち破って春雨ちゃんとあきつ丸を連れ出して鎮守府に行こうと思ってるんだけどどう思う?」


あきつ丸「ほう!これはこれは!また面白い事を言うようになったでありますなぁ!」


翔誠「・・・前に言ってたよな?俺がやらかす時に協力するって。協力してくれるか?」


あきつ丸「勿論でありますよ。ただ・・・」


翔誠「ただ?」


あきつ丸「何故鎮守府に行くのでありますか?3人なら普通に田舎で暮らせばいいのでは?」


翔誠「俺が大和型戦艦の弟だから・・・じゃダメか?」


あきつ丸「これはまた面白い!翔誠殿は笑いのセンスがありますなぁ!」


翔誠「・・・俺の居場所はここ(憲兵)じゃない。確かに憲兵の先輩方は良い人達ばっかりだけど・・・それでも俺の本当の居場所じゃない。記憶を亡くす前の居場所・・・鎮守府が俺の居場所なのかなって」


あきつ丸「言いたい事はわかったでありますよ。しかしそれで鎮守府の皆は受け入れてくれるのでありますか?」


翔誠「わからない。そればっかしは実際に行ってみないとわからない」


あきつ丸「・・・本当に面白い人になられましたなぁ・・・良いでしょう!このあきつ丸、貴男のための刃になり鎮守府への道を切り拓きましょう!」


翔誠「ありがとう・・・あきつ丸」


そうして1週間の時間が経ち、翔誠が収容所を破ろうとした前日の夜


海原「おう。急に呼び出して悪ぃな・・・翔誠」


翔誠「何か用ですか?誕生日プレゼントでもくれるんですか?」


海原「それもあるがちょいと緊急の要件でな」


翔誠「何です?緊急の要件って」


海原「まずはこの資料を見てくれ」


そうして渡された資料はA4サイズの紙が2枚の資料にしてはやや少ない枚数の物だった


翔誠「誰ですか?このおっさん」


資料の最初に写っていたのは小太りの中年の男だった


海原「そいつはどこかの鎮守府の提督だ。全然見えねぇけどな」


翔誠「こいつが何だって言うんですか?」


海原「そいつは表向きでは提督をしているが裏では人身売買をしている。艦娘限定のな」


翔誠「人身売買?提督が?あまり俺達には関係なくないですか?」


海原「艦娘から採れる金属が減るからなぁ・・・関係なくはないんだよ」


翔誠「・・・」


海原「何だ?不満か?」


翔誠「ええ。不満しかありませんよ」


海原「まぁいい。日本国内だけで人身売買してりゃまぁすぐにどこに売り飛ばしたかはわかるんだが如何せん海外にまで売り飛ばしてるからな」


翔誠「それで?俺に何をしろと?」


海原「そいつを見つけて拷問しろ。そんでもって顧客リストと売り飛ばされた艦娘の艦種と数を聞き出せ。良いな?」


翔誠「良くなくてもやらせる癖によく言うぜ」


海原「ハッ!餓鬼が偉そうに言うじゃねぇか!」


翔誠「失礼します」


海原「待てや。プレゼント忘れてるぞ」


そう言って海原は翔誠に小さな箱を投げた


翔誠「何です?これ」


海原「わりと高いガスライターだ」


翔誠「ありがとうございます」


ガチャン



最終章:帰還



収容所破り当日午前5時


ジュボッ!


翔誠「ふぅ・・・とうとう今日か」


1人憲兵所の屋上でタバコを吸ってる翔誠がそこにはいた


翔誠「ここを出て鎮守府に行ったとして・・・本当に俺の居場所はあるのか?」


あきつ丸「まぁ悩んでも仕方がないでありましょう」


翔誠「あきつ丸・・・起きてたの?」


あきつ丸「今しがた起きたところでありますよ。それにしても今日は良い天気になりそうですありますなぁ!」


翔誠「そうだな・・・あ」


あきつ丸「どうしたでありますか?」


翔誠「日の出だ」


あきつ丸「おぉ~これは良いことがありそうでありますなぁ」


そう語る2人とタバコの煙は太陽の光に照らされていた


同時刻、鎮守府は大忙しであった


金剛「翔誠が今日帰って来るデース!!」


1週間前から間宮や伊良湖、鳳翔に声を掛けていて朝5時の今から厨房は大忙し


鳳翔「彼は何を好んで食べるのかしら?」


間宮「ん~とりあえず定番のメニューを作っておけば良いんじゃないですか?」


伊良湖「私はケーキ作っておきます!」


金剛「こんなに厨房が忙しいのは久しぶりに見た気がしマース」


そう影で言う彼女は微笑んでいた


午前6時憲兵所食堂


剣崎「翔誠!誕生日おめでとう!」


翔誠「剣崎さん!ありがとうございます!」


剣崎「今日の主役のお前には悪いんだけどよ、大津田どこにいるか知らね?」


翔誠「俺も今来たばっかりなのでわからないです。すみません」


剣崎「いや、謝る事じゃねぇよ。まぁあいつに夕飯奢らせるか!3人分」


翔誠「それは・・・良いですね!」


剣崎「プレゼントは夜渡す!じゃあな!」


翔誠「ありがとうございます!」


そう言っている内心とても申し訳ないと思っていた。これから裏切る相手に笑顔で話しかけてくれる剣崎に


それから10分後喫煙所


翔誠「朝からカツ丼大盛りと味噌ラーメンは流石にしんどかった・・・げふ」


あきつ丸「これから乗り込むって言うのに沢山食べたでありますなぁ」


翔誠「腹が減っては何とやら・・・だ」


ジュボッ!


翔誠「ふぅ・・・タバコ美味ぇ」


あきつ丸「ハイライトでありますか。若いのになかなか渋いタバコをチョイスしますなぁ」


翔誠「まぁ・・・落ちてたの拾って吸ったから何となく?」


あきつ丸「落ちてた物!貴方は本当に面白い!普通吸わないでありますよ!」


あきつ丸はゲラゲラ笑っていた


翔誠「そう言うあきつ丸は・・・何そのタバコ」


あきつ丸「これでありますか?これもハイライトでありますよ。メンソールじゃない普通の」


翔誠「前はガラム吸ってたじゃん」


あきつ丸「自分は吸えれば何でも良いんでありますよ。けどハイライトは美味しいでありますなぁ・・・ラム酒の香りが吸ってて気持ちいいであります」


翔誠「ふぅ・・・そろそろ行くか」


あきつ丸「作戦決行でありますな」


~同時刻~


大津田「俺は・・・俺はどうすれば良い」


中央憲兵内のとある場所。大津田は1人裏切りに迷っていた


大津田の葛藤の中翔誠達は収容所の入口までやってきた


門番「おや?加賀美殿と・・・あきつ丸?どうしたのでありますか?」


翔誠「門番さん。1つだけお願いあがって来ました」


門番「お願い?なんでありますか?」


翔誠「これから中で何があっても絶対に入ってこないでください。死にたくなかったら」


そう言い放った翔誠からは殺気が溢れていた


門番「わ・・・わかりました」


翔誠「お仕事がんばってくださいね」


門番(死にたくなかったら入ってくるな・・・何かやってくれる気でありますね・・・加賀美殿)


~収容所内~


翔誠「春雨ちゃんの檻は獄長室の横だったよね」


あきつ丸「ええ。変わってなければでありますが」


そうこう話している内に春雨ちゃんの檻の前まで着いた


翔誠「春雨ちゃん!いる?」


春雨「翔誠さんと・・・?」


あきつ丸「初めまして。自分はあきつ丸であります。」


翔誠(初めましてだったの!?お礼がしたいとか言ってたのに!?)


春雨「どうしたんですか?」


翔誠「春雨ちゃん。ここから出よう」


春雨「・・・へ?」


翔誠「ここから出て俺が昔居た鎮守府にこれから行くんだけどさ・・・春雨ちゃんに一緒に来て欲しいなぁ・・・って。一緒に来てくれる?」


春雨「その・・・私は・・・」


表情が怪しくなった


翔誠「俺と来るの嫌だ?」


春雨「いえ!そう言う訳ではなくて・・・その・・・」


静寂が場を支配する。だが静寂を打ち砕く者がいた


春雨「その・・・ですね?」


春雨だった


春雨「実は・・・私、駆逐艦春雨は・・・」


翔誠「うん」


今にも泣き出しそうな声と表情で打ち明けようとしてくれる春雨ちゃんをただ見守るしかできない


春雨「半分深海棲艦なんです」


翔誠「・・・」


春雨「艦娘の実験で深海棲艦の細胞を移植されて・・・それで・・・えっと・・・兎に角!私が一緒に翔誠さんの鎮守府に行っても翔誠さんを危険な目に遭わせることになります!だから私は」


翔誠「なーんだ。そんな事で迷ってたの?」


春雨「え?」


翔誠「大丈夫!安心して!俺が春雨ちゃんを守る!それに・・・」


春雨「それに?」


翔誠「俺も半分深海棲艦だから」


春雨「そんな・・・私に気をつかって変な冗談言わないでください!面白くありません!」


春雨はとうとう泣き出した


翔誠「・・・これを見てもまだ冗談って言える?」


そう言うと翔誠の右眼は蒼く、左眼は紅く輝いた。まるで深海棲艦の眼の様に


春雨「なん・・・で?」


翔誠「春雨ちゃんと違って俺は深海棲艦とのハーフなんだよ。母親が艦娘で親父が深海棲艦の提督。知ったのはつい最近だけど今はハーフで良かったと思う!」


春雨「どうしてですか?」


涙目で問いかける


翔誠「だってさ!春雨ちゃんとお揃いだよ?俺は嬉しいよ!」


春雨「・・・バカ」


震えた声で呟いた


翔誠「馬鹿でも何でも俺は春雨ちゃんとお揃いで嬉しい!それに俺が半分深海棲艦って事は向こうの艦娘は知ってる!今更1人2人深海棲艦とのハーフが増えたところでそこまで大きく変わらないよ!それに万が一向こうの提督が何か言ってきても俺がぶっ飛ばすから!春雨ちゃんを絶対傷付けない!約束する!だから俺と一緒に行こ!」


あきつ丸(これはこれは・・・困ったものでありますなぁ・・・これではまるでプロポーズでありますよ。翔誠殿。まぁ自分からしたら翔誠殿を傷付ける者は誰であっても容赦するつもりはないでありますが)


翔誠「春雨ちゃん!返事を聞かせてくれるかい?」


春雨「・・・行きます!」


あきつ丸「吹っ切れたようでありますなぁ!春雨殿!」


春雨「はい!でも・・・」


2人「でも?」


春雨「悩み事がなくなったら少し・・・お腹が空いちゃいました///」


2人(あぁぁぁぁぁぁ!!!!可愛い!!)


翔誠「お腹空いちゃったかぁ・・・鎮守府に着いたらご馳走が準備してあるはずだからそれまで少し我慢してね?」


春雨「何でご馳走があるんですか?」


翔誠「だって・・・今日俺の誕生日だもん」


春雨「えぇ!?そうだってんですか!?」


翔誠「そうだよ?言ってなかったっけ?」


春雨「言われてません!プレゼントとか何もありませんよ!」


翔誠「春雨ちゃんが俺と一緒に来てくれる事が俺にとってはプレゼントだから気にしないで」


照れながら翔誠は言った


春雨「もう・・・///」


あきつ丸「そんな事よりも早く武器庫に行きましょう!そしたらこんな所すぐに出て鎮守府でたらふく食べるでありますよ!」


春雨「はーい!」


翔誠「行くか!」


そして3人は武器庫に辿り着いた


あきつ丸「妙でありますなぁ・・・」


翔誠「妙?何が?」


あきつ丸「不思議だとは思いませぬか?我々はあれだけここを割るだの言っていたのにもかかわらず警備がほとんどいないのでありますよ?」


翔誠「確かに・・・囲まれてるって可能性は?」


あきつ丸「あり得る話でありますな。刀も見つけた事でありますから迎撃の準備を」


???「その必要はねぇ」


翔誠「大津田・・・さん」


大津田「おう」


数分前まで己自身と葛藤していた大津田がそこに立っていた


大津田「・・・これが剣崎や坂場だったらきっとお前を止めに来たんだろうな」


翔誠「てことは大津田さんは・・・もしかして」


大津田「俺はお前と一緒に行く。海原の下で働くよりもお前と一緒にいた方が面白そうだ」


優しい笑みをこぼしながらそう言った


あきつ丸「心配でありますなぁ~大津田殿は果たしてこれから先翔誠殿を守れるのでありますか?」


大津田「・・・守ってやるさ」


あきつ丸「これから先は憲兵にいた頃とは比べものにならない位の修羅場や戦場をくぐることになるのでありますよ?」


大津田「それがどうした。脅してるつもりか?」


あきつ丸「警告でありますよ。翔誠殿がここを抜けるとなると必然的に海原が手を出してくるでありますよ」


大津田「関係ない。俺は仕えるなら海原よりも翔誠の方が良い」


翔誠(マジか)


あきつ丸「ふぅ・・・そうでありますか。警告はしたでありますからな。恨んだりしないでくだされよ」


大津田「当たり前だ」


翔誠「それで?これからどうしますか?」


あきつ丸「とりあえず追っ手は来ないのでありましょう?」


大津田「おう。全員気絶させといた」


翔誠「全員?本当ですか?」


大津田「?本当だが?」


翔誠「ここのイカれ獄長も?」


大津田「・・・あいつはいなかったな」


あきつ丸「いなかった?」


翔誠「どういう事ですか?」


大津田「まず初めに獄長室に乗り込んだんだがな?あいつはいなかったんだ。だからそのままスルーして起きてる奴らだけ締めておいた」


翔誠「・・・もしかしてあいつこの辺にいるんじゃないですか?」


あきつ丸「確かに考えられるでありますな・・・」


大津田「だとしたら早く出ちまおうぜ!」


翔誠「そうですね。そう言えばさっきから春雨ちゃんが静かですね」


あきつ丸「確かにそうでありますなぁ」


大津田「春雨?ピンク色の髪の毛の娘か?」


翔誠「そうです。春雨ちゃーん?」


春雨「んんーーー!!!」


翔誠「春雨ちゃん!?・・・と誰だお前!」


翔誠達の後にはタコのような鎧を纏った男が春雨を捕まえていた


???「これはこれは・・・私の顔をもう忘れたんですか?加賀美殿」


翔誠「・・・イカれ獄長か。悪趣味な鎧纏いやがって」


獄長「悪趣味とは人聞きの悪い。耐久性に優れた鎧なのですよ?まぁもっとも加賀美殿のロングソード程度の切れ味では貫くことはできませんがねぇ?」


翔誠「・・・春雨ちゃんを離せ」


獄長「そんな両目を光らせた所でこの娘を離すとでも?そんなに返して欲しければ私を倒してみてはいかがですかな?まぁ最も?私も馬鹿ではありませんから1人で相手する気なんてありませんけど」


翔誠「あぁ?」


獄長「あとは頼みました。海原様」


海原「おう」


その場にいた獄長以外の全員が思った。いつでも殺されていたと。


翔誠「海原!テメェなんでここにいやがる!」


海原「護衛の依頼を受けたからなぁ・・・ふぅ・・・まぁ何からこいつを守るかまでは教えてもらっていなかったがな」


翔誠(でも何で今日なんだ?)


獄長「何故今日なんだって顔ですねぇ。あきつ丸の襟の裏をよく見てみなされ」


あきつ丸「・・・自分としたことが不覚でありましたなぁ・・・こんな三流のやり方で情報を抜き取られていたとは・・・お恥ずかしい」


襟の裏には小型の盗聴器が仕込んであった


獄長「では海原様。よろしくお願いいたします。」


海原「2度も言わねぇで良い。速く行け」


獄長「では失礼」


春雨「きゃあ!!」


翔誠「春雨ちゃん!」


海原「おめぇの相手は俺だ。クソガキ」


翔誠「クッソ!邪魔するんじゃねぇ!クソ親父!」


海原「それはこっちの台詞だクソガキが!テメェをここまで仕上げるのにどんだけ時間かかってると思ってんだ?20年だぞ。そりゃ流石の俺でもキレるわ」


翔誠「知るか!俺には関係ねぇことだ!」


海原「テメェは俺の息子だ。関係ねぇことねぇだろうが!」


翔誠「ふざけろ!テメェを親父だなんて俺は認めねぇ!俺を半殺しにしといて今更何言いやがる!寝ぼけてんのか!」


そう叫ぶ翔誠はロングソードを投影し海原に斬りかかった


海原「寝ぼけてるのはテメェだろうが!テメェは対艦娘用に作った深海棲艦だ!それなのにテメェは艦娘側に付いた!何なら話は早えだろうが!脳みそイジってこっちに付かせるのが手っ取り早ぇだろうが!」


翔誠がロングソードを投影したタイミングで海原は日本刀のような物を投影し翔誠の斬撃を受け止めた


翔誠「俺には深海棲艦の大将のテメェの血より無名で顔も知らない艦娘の母さんと最強の戦艦の姉さん2人の血の方が濃かったみてぇだな!今度俺みたいなのを作る時は純度300%位の深海棲艦の方が良さそうだなぁ!」


海原「クソガキが!ナメんじゃねぇ!」


響き渡る鉄を打ち合う音。その音を打ち消す声が聞こえた


剣崎「やっと見つけたぞ」


大津田「剣崎!?」


翔誠(このタイミングで剣崎さんが来たってことは・・・ヤバい)


鍔迫り合いを交わしながら翔誠は何かを察した


海原「剣崎!お前に命令を下す!裏切り者の3人を今すぐぶっ殺せ!」


翔誠「やっぱりか!」


その場の3人が圧倒的劣勢を感じていたその時


剣崎「は?俺はあんたの命令を聞きにここまで来た訳じゃねぇぞ?」


一同唖然。無理も無いであろう。一応海原がまとめる中央憲兵の部下であるにも関わらず命令を堂々と無視した瞬間であるのだから


剣崎「大津田」


大津田「な・・・なんだ」


剣崎「何となく状況は理解した。あきつ丸がいるって事も大体予想は付く。そこでお前に提案がある」


大津田「提案?」


剣崎「俺とお前で海原を抑えて翔誠とあきつ丸を逃がす。正直艦娘のあきつ丸の方が俺やお前よりも翔誠を守れる。どうだ?」


大津田「・・・乗った」


翔誠「大津田さん!?ぶっ殺されますよ!こいつは深海棲艦の大将ですよ!」


剣崎「話聞いてたからわかる。それにお前誕生日だろ!二十歳になったばっかりだしそれに童貞だろ?そんなんで死ぬのは流石に可愛そうだ」


笑いながらいう


翔誠「それがどうしたって言うんですか!こいつに勝てるのはこいつの遺伝子を受け継いでる俺だけです!剣崎さんや大津田さんじゃ文字通り一捻りです!」


剣崎「それでもなぁ・・・はぁ」


大津田「こんな時にため息なんてどうした?」


剣崎「お前のが移ったわ。俺も翔誠のことを弟みたいに思ってたからよ・・・だから・・・せめてもうちょい長く生きてくれ!」


海原「ハッ!傑作だぜ!こいつを弟みたいに思ってた?こいつは人間でも何でもねぇ!化け物なんだぞ?それなのに弟って・・・ハッハッハ!」


あきつ丸「それが何だって言うのであります」


カキン!


海原「あ?」


翔誠と海原の鍔迫り合いに割り込んだあきつ丸の顔は普段のふざけた感じは一切なくなるただにじみ出る殺意が雰囲気だけで無く顔にまで表れていた


あきつ丸「自分は悪くないと思うであります。それに・・・自分は翔誠殿と春雨殿・・・それからそこの2人とこの後誕生日パーティーをやりたいであります。だから」


あきつ丸は大津田、剣崎の方を向いた