2016-04-01 22:02:01 更新

概要

大人になったメンバー達のssです!


前書き

ハッピーエンドで終わるので
最後までお付き合いくださいm(_ _)m





────────────────



タッタッタッ...



穂乃果「はっ、はあっ...はあ...」



穂乃果「...あっ!」



バタン!!...



穂乃果「いててて...こけちゃった...」



穂乃果「...?」



穂乃果「海未ちゃんと...ことりちゃん?」



穂乃果「...!?」



穂乃果「ま、待ってよ〜!...なんで逃げるの!?」



穂乃果「穂乃果だって、走るの速いんだからね!!」



穂乃果「こらっ、まて〜!!!」



─────



───────────



────────────────




穂乃果の住むマンション





穂乃果「...zzz」



コケコッコ---!!



穂乃果「...」



穂乃果「...はぁ...朝だね。」



穂乃果「んっ...んんんー」ノビ-



穂乃果「(変な夢見た気もするけど...)」



穂乃果「(今日も大学とバイトか。)」



穂乃果「.,.」



穂乃果「(早く行かないとなぁ)」




────────────────



────────────────



和菓子屋



穂乃果「お買い上げ、ありがとうこざいました〜!」



穂乃果「...ふぅ。あれで最後のお客さんかな?」



店長「穂乃果ちゃん、ありがとうねぇ...給料少ないのにこんなに働いてもらって。」



穂乃果「いえいえ!こういう接客は馴れてますから!!」



店長「穂乃果ちゃんが美人だから、お客さんも来てくれるんだよ。」



穂乃果「ま、またそんな事言って〜。店長さんもお綺麗ですよっ!」



店長「私はもうおばあさんだよ...」



店長「穂乃果ちゃんは偉いよ。バイトもしっかりしてくれて、大学にも行ってるんだから」



穂乃果「そ、そんなことないですよ...」



店長「ともあれ、いつもありがとね!」



穂乃果「は、はい...」アハハ




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帰り道



テク...テク...



穂乃果「...」



穂乃果「(バイトの疲れはもう慣れたけど)」



穂乃果「(こんな生活、いつまで続けられるんだろうなあ...)」



穂乃果「...!」





繁華街の大きな広告には


スクールアイドルらしい写真が大きく貼られていた。





穂乃果「...」



穂乃果「(スクールアイドル...懐かしいなあ。)」



穂乃果「(あの頃は楽しかったなあ...辛かったけど、その分努力が報われて)」



穂乃果「...」





高校を出たら、私は音楽の大学に入った


歌を歌って皆に元気を分けたかった


でも、待っていたのは現実だった





穂乃果「(...あの頃の私が今の私を見たら、何て言うだろう)」



穂乃果「...」



穂乃果「(早く家に帰ろう...)」




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──────────



この日の昼



穂乃果「(ふぅ...講義も終わって、お昼ご飯だね)」



???「高坂〜」



穂乃果「(やっとパンが...美味しいパンが...!)」



???「おい、高坂!」



穂乃果「は、はいっ!?...き、教授?」



教授「...お前、ちょっと用がある」



穂乃果「な、なんでしょうか...?」



──────────



──────────



教授「...」



穂乃果「...」



教授「なんで呼び出されたか...分かるか?」



穂乃果「わ、分からないです...」



教授「お前の成績だよ。前の英語のテスト、手応えは感じた?」



穂乃果「え、英語...」



穂乃果「...」



教授「予想している以上に悪い出来だよ。このままじゃ留年まっしぐらだぞ」



穂乃果「...」



穂乃果「で、でもっ。そんなことより歌の点数とかどーなんでしょうか!?」



教授「...それは私の専門外だけど、そんなにいい結果でも無いらしいぞ。」



穂乃果「...」



教授「本当にお前、ちゃんと勉強してるのか?そもそもなんでこの大学に入れたんだ?」



穂乃果「...」



穂乃果「勉強...してますよ,..」



教授「...」



教授「とりあえず、英語科に関してはこのままだと次はないと思え。」



教授「じゃあ、それだけ。」



スタスタスタ...



穂乃果「...」




私は本気で勉強して、何とかいい音楽の大学に入った


でも、私なんて井の中の蛙だった




穂乃果「(毎日、勉強も沢山してるのに...)」



穂乃果「...」



穂乃果「(もうどうなっても...いいのかな)」




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テレビ局



にこの楽屋




ガチャッ




にこ「...はぁ、疲れたわ。」



花陽「にこちゃん、おかえり〜♪」



にこ「あの番組、どれだけ私に気を使わせたら済むのよ」



花陽「た、大変だったね〜」アハハ



花陽「でもにこちゃん、可愛かったから大丈夫だよ!」



にこ「...」



にこ「...なんであんた、私のマネージャーになったの?」



にこ「あんたも可愛いんだから、アイドルになってデビューしたらいいのに」



花陽「...にこちゃん、いつもその質問してるよね。」アハハ



花陽「そもそもマネージャーにならない?って誘ったのはにこちゃんだよね?」



にこ「た、確かにそうだけど、断るっていう選択肢もあるじゃない」



花陽「...う〜ん」



花陽「にこちゃんだったから...かな?」



にこ「...えっ?」



花陽「大学で勉強してた時、たまにね?」



花陽「...小さい時からずっと、アイドルになりたかったのに。っていうのを思い出してたんだ。」



にこ「...それで?」



花陽「でもその夢は、高校の時に叶った。と思ってた...」



花陽「けど...にこちゃんを見てると、夢に終わりがないんだ。って思って...」



花陽「だからにこちゃんがマネージャーにならない?って誘ってくれた時は、すこく嬉しかったよ♪」



にこ「...」



花陽「ま、真面目に答えちゃったけど...駄目だったかな?」



にこ「あんたはバカねぇ...」



にこ「じゃあなんで、あんた自身がアイドルにならなかったわけ〜?」



花陽「...私は近くでにこちゃんを見れれば、それで充分かな...って。」



花陽「アイドルになっても、にこちゃんみたいにすごい人にはなれないし」アハハ



にこ「...それは馴れたら何とかなるでしょ。」



花陽「そ、そうなのかな...?」



花陽「でもやっぱり...にこちゃんは気づいてないかもしれないけど」



花陽「にこちゃんと私って、やっぱり越えられない壁があると思うんだ...」



にこ「...」



にこ「なにそれ、私の胸の大きさに対する嫌味?」



花陽「ち、違うよ?」アハハ



花陽「近くでこうやってにこちゃんを見てると、私には無理かな...って。」



にこ「...あんたらしいわね。」



にこ「...で、でも...」



花陽「?」



にこ「あんたがアイドルになったら...誰が私のマネージャーをするのよ」



花陽「...」



花陽「に、にこちゃん♪」



花陽「これからも私、頑張るね!」



にこ「...そうよ?今からもっと忙しくしてやるんだからね。覚悟しときなさいよ!!」



花陽「うんっ!!!」



にこ「...じゃあ、私は一仕事してくるから。あんたも後で来なさいよね。」



花陽「は〜い!」



バタン...



花陽「...」



花陽「(そろそろ...言わないといけないのかな)」



花陽「(でも、あんな話をしたところで...)」



花陽「...」



花陽「(...言うしか、ないんだよね。)」





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とある病院





看護師「西木野さん〜。そこのお薬とって!」



真姫「はいはい、わかりましたよ〜。」



看護師「あと、あそこの患者さんのカルテも探しといて〜」



看護師「できればその薬も届けてくれると嬉しい!」



看護師「あっ、この患者さん前にもうちの病院に来てるらしいからカルテのチェックも...」



真姫「もう、なんで手伝いなのにこんなに忙しいのよ〜!!!」



───────────



───────────



レストラン



真姫「...」ムス-



看護師「ご、ごめんなさいね?...お手伝いなのに、色々やってもらって。」



看護師「でも、みんなは助かったって言ってたわ。」



真姫「お父さんがお世話になってるみたいだし、医大生だから看護師のお手伝いはいい勉強になるって思って来たけど...」



真姫「カルテとって〜とか、雑用ばっかりじゃない!」プク-



看護師「(聞いてた通りのお嬢様だ...)」アハハ



看護師「でもお昼ご飯奢ってあげるから、これで勘弁して♪」



真姫「...」



真姫「オムライス...?」



看護師「(...オムライスは流石に子供っぽかったかな?)」



看護師「でも、ここのオムライスってすごく美味しいって有名で...」



真姫「...」モグモグ



真姫「...案外美味しいじゃない。」



看護師「(き、気に入ってくれたみたい)」



真姫「でも、もう二度と手伝わないわよ!!お父さんがお世話になってるらしいから、許してあげるけど」



看護師「あ、ありがとうございます〜」



看護師「(私の方が年上なのになんで敬語使ってるんだろう)」



真姫「...ちょっとお店のオムライスが美味しいからって、調子に乗らないでね!!」



真姫「(にこちゃんと一緒にまたこのレストランに来ましょう)」



真姫「食べ終わったし...私は家に帰るから。」



真姫「...仕事、頑張りなさいよ?」



スタスタスタ...



看護師「(い、意外と優しい?)」



───────────



───────────



真姫とにこの家



ガチャ



真姫「...ふぅ。ただいま」



真姫「って、にこちゃんは仕事で居ないわね...」





私は今、にこちゃんと一緒に暮らしてる



新しい家を建てて。



にこちゃんは本物のアイドルで、私は医大生。





真姫「...ふぅ。」ドサッ



真姫「にこちゃんが帰って来る前に、ご飯作らないとね」



真姫「電子レンジで温めたら出来るものを大量に買って来たから、これで完璧ね。」ドヤア



真姫「(...それにしても)」



真姫「(最近、ほんとよくテレビで、にこちゃん見かけるわね...)」



真姫「(...私も頑張って料理作らなきゃいけないわね)」



真姫「(今日のレストランも、にこちゃんと一緒に行きたいわ...って)」



真姫「...ゔぇぇ!?」



真姫「で、電子レンジが、すごいことになってる...」



真姫「....」



真姫「たまごって、電子レンジで温めたらいけないのね」




────────────────



───────────



翌日



真姫「...zzz」



チュン...チュン



真姫「(...朝ね。)」



真姫「...んん〜。はぁぁ」ノビ-



真姫「おはよう、にこちゃん...って」



真姫「にこちゃんが居ない...?」



真姫「(いつもはにこちゃんの帰りが遅くて私が寝てても、勝手にお布団に入ってくるのに...)」



真姫「(...探さないといけないわね)」



────────────



────────────



リビング





ドタバタ...





真姫「(昨日リビングに作ったご飯を置いたから、リビングにいるかもしれないわ)」



真姫「...あっ」



真姫「に、にこちゃん!!」



にこ「...zzz」



真姫「...ねえ、にこちゃん?リビングで寝たの??」ユサユサ



にこ「...な、何ぃ...?」ガバッ



真姫「もうっ、今日はお布団に入ってこなかったから心配したのよ?」



にこ「...」



にこ「...ご、ごめん」



真姫「...ご飯も食べないで、そのままリビングのソファーで寝ちゃったの?」



にこ「うっ、うん...」



真姫「そ、そうなの」



にこ「...わ、私、今日も仕事あるから。」



真姫「忙しいのね..」



にこ「う、うん。仕事、行ってくる...」



スタスタスタ...



真姫「...」



真姫「(にこちゃん、ちょっと冷たい...?)」



────────────────



時は戻り...




飲食店




にこ「...今日もお疲れ様。」



花陽「お疲れさま♪」



にこ「さっき真姫から夜ご飯作ってるってメールあったから、あんまり食べないけど。」



花陽「」ビクッ



花陽「そ...そ、そうなんだ...」



にこ「...?」



花陽「と、とりあえず、何か頼まなきゃ...」



にこ「...」



にこ「...花陽?」



花陽「!?...な、何かな?」



にこ「...何か、言いたいことがあるんでしょ?」



花陽「...」



にこ「あんたはすぐ焦るから分かり易いの。...それで、何の話をしたいの?」



花陽「...」



花陽「全部バレバレだね...」 アハハ



にこ「当たり前じゃない!高校の時からずっと見てきたんだからね。」フフフ



にこ「...それで、何?」



花陽「そ、そのっ」



花陽「...真姫ちゃんに...ついてなんだけど...」



にこ「...意外ね。何かと思えば真姫?」



花陽「に、にこちゃんは...本物のアイドル。だよね?」



にこ「...」



にこ「そうだけど?」



花陽「だから...真姫ちゃんと一緒に暮らすってのは...」



にこ「...」



花陽「にこちゃんは、これからどんどん人気が出てくるし...これまではそんな事、意識しなくて良かったけど」



花陽「事務所の社長さんが、一緒に暮らすのはやめといた方が良いって...」



にこ「...」



にこ「ば、バレなければいい話じゃない...気をつけるわよ」



花陽「...」



花陽「...にこちゃんは本当に、そう思ってるのかな...?」



にこ「...」



花陽「にこちゃんは本当に、これからずっとバレずにやり過ごせると思ってる...かな?」



にこ「...」



にこ「私と真姫に別れろって言ってるの?」



花陽「...」



にこ「嫌に決まってるじゃない...」



にこ「あの子はね...私が全然売れなかった時から支えてくれた家族みたいなもんなのよ...?」



にこ「それぐらい、花陽にも分かるじゃない...」



花陽「...」



花陽「もしそうなら...真姫ちゃんは、分かってくれるんじゃないかな?」



花陽「真姫ちゃんも、にこちゃんのためなら...別居した方が良いって思うんじゃないかな?」



にこ「...」



にこ「い、嫌よ...私が嫌なんだから」



にこ「私は絶対に...そんな事したくないんだから!!!」ガバッ



花陽「に、にこちゃん!!」



タッタッタッ...



花陽「...」



花陽「(にこちゃんの気持ちも...分かるんだけど...)」



──────────────────




希と絵里の家



ガチャッ



希「...ふぅ、ただいま。」



希「(今日もお店にお客さん沢山来てくれたね...)」



希「(おかげで今月の生活も何とかなりそうやね♪)」



希「...絵里ち、部屋にいる〜?」



希「ってあれ、まだ帰ってきてないね。」



希「(結構時間も遅いし、外は暗いし、まさか!?)」



希「(...また大学まで迎えに来て〜とか言ってくるのかな。)」アハハ



希「(まあ、絵里ちも大学ですごく勉強してる上、バイトもしてくれてるから...文句は言えないね。)」



希「(今から絵里ちの大学に向かう準備を...ん?)」



ガチャッ



絵里「の、希!!!」



希「絵里ち?...よく暗い中帰ってこれたね」アハハ



絵里「それより、大事な話があるの。」



希「...えっ?」



希「(す、すごい真剣みたいやね。)」



絵里「...」



絵里「私ね、大学辞めてきたの。」



希「...えっ」



希「辞めちゃったの!?」



──────────



──────────



絵里「大学を辞めて、別の大学を受験するの。」



希「...何かあったん?」



絵里「私ね、医者になりたいの。」



希「医者に...?」



絵里「...私もよく分からないの」



絵里「世界には病気で死にそうな人が沢山居るのに...私は悠々と勉強してる」



絵里「そう思うと、自分はなんでこんなに楽に生きてるんだろう。って思うの。」



絵里「だから、役に立ちたいの!!...私は小さい力だけど、それでもいいの!!!!」



絵里「私の力は小さくても...私が頑張れば、きっと沢山の人が力になってくれると思うの。」



絵里「だから...私はお医者さんになって...世界中の人を助けたいの!!!」



希「...」



絵里「の、希...?」



希「...ふふっ。」



絵里「...どうしたの?私は真面目に言ってるのよ??」



希「...絵里ちの好きなようにしたら、いいと思うよ!」ニッコリ



絵里「...」



絵里「で、でも私、アルバイトも辞めないといけないから...お金が...」



希「お金のことは大丈夫!...両親を頼ればなんとかなる!」



希「うちのお店のお客さんも増えてきたし...絵里ちは自分の事を頑張ればええと思うよ♪」



絵里「...」



絵里「の、希...」ウルウル



絵里「...っ...ひぐっ...私、頑張るからっ...」ダキッ



希「うん、頑張ってな♪」ヨシヨシ



絵里「本当に...っ...ありがとう...ひぐっ」



希「もう、泣き虫さんやな〜」アハハ



絵里「...ひぐっ...」



絵里「...」



希「...落ち着いた?」



絵里「大学にカバン...忘れてきちゃった。」




──────────────────



とある和菓子屋




穂乃果「...」



穂乃果「...ふぅ。これで、明日の分の仕込みも完璧!」



穂乃果「(ちょっとだけお菓子、もらって帰ろ)」



穂乃果「(家の和菓子とは違った美味しさがあるからね。)」



店長「...穂乃果ちゃん?」



穂乃果「(あっ、これ美味しそう...)」



店長「ほ〜のかちゃん?」



穂乃果「...えっ?、あ、店長さんっ!!!」



店長「...お菓子の仕込み、終わった?」



穂乃果「はっ、はい...!」



穂乃果「(ちょっとだけお菓子もらったのはバレてなさそう)」



店長「...この後ちょっと話があるけど、時間は大丈夫かな?♪」



穂乃果「えっ!?...わ、わかりました!」



穂乃果「(私、何か悪いことしたのかな...?)」




────────────



────────────



レストラン




穂乃果「...」



穂乃果「オムライス...?」



店長「そうなの♪...ここのお店のオムライス美味しいから。食べちゃって!」



穂乃果「で、でも...店長さんにお金を出してもらうなんて、申し訳ないです....」



店長「いいのいいの!...ささ、食べて食べて♪」



穂乃果「は、はい...」



穂乃果「い、頂きます〜」パクッ



穂乃果「(お、おいしい...!)」



店長「それで穂乃果ちゃん。...本題に入っていい?」



穂乃果「...もしかして、バイトをクビになったりします?」アハハ



店長「...そう思う?」



穂乃果「最近、大学も上手くいってないんで...そんな気がして」



店長「そうなんだ...」



店長「とりあえず...これ、どうぞ。」



穂乃果「...?」



穂乃果「名刺?」



店長「うちの和菓子屋は支店営業で、本店が別にあるってことは知ってる?」



穂乃果「は、はい!...もちろんです!」



店長「それで本店の方が、人手不足でね...」



店長「うちみたいな支店にも、本店に人材派遣して欲しいって要請が来て...」



店長「その名刺は、うちの社長さんの名刺。」



穂乃果「...」



店長「うちの店としてはね?」



店長「本店から要請があったから...良い人材を送らないと面目が立たないってこと。」



穂乃果「そ...それって」



店長「うん。...穂乃果ちゃん、本店でしっかりとした社員として、働く気はない?」



穂乃果「...」



店長「...毎年、ものすごい数のバンドや歌手がメジャーデビューをしてる」



店長「でも一年後二年後...名前が残ってる歌手って、両手で数えられるほどしかいない。」



店長「穂乃果ちゃんはそんなこと、私より分かってるだろうけどね。」



穂乃果「...」



店長「...どうするか、考えてみないかな?」



店長「今すぐってわけじゃないから...いつでもいいから、返事聞かせてね。」



穂乃果「...」



穂乃果「わかりました...。」



────────────



────────────



帰り道





穂乃果「...はぁ〜。」



穂乃果「...」





「...穂乃果ちゃん、本店でしっかりとした社員として、働く気はない?」





穂乃果「...」




嬉しくなかった。


自分の認めて欲しい才能ではなかったから。




「一年後二年後...名前が残ってる歌手って、両手で数えられるほどしかいない。」




穂乃果「...」



穂乃果「(それぐらい...分かってるのに)」






────────────────




真姫とにこの家





真姫「...」



真姫「(にこちゃん、どうしたんだろ。)」



真姫「(あんなに愛想が悪いなんて...ご飯が美味しくなかったかしら?)」



真姫「 (...そもそも、ご飯を食べてくれなかったから味は分からないわね。)」



真姫「(やっぱり、ご飯の見た目が良くなかったかしら?いつもよりは上手く作れた自信あるのに)」



真姫「...」



真姫「(大体にこちゃんは、ご飯に文句つけたりしないわ。)」


真姫「(...忙しいのね。にこちゃんも)」



真姫「(きっとそうよ。忙しかっただけじゃないの。そんなに気にすることないわ)」



真姫「(...昨日のオムライス...美味しかったわね)」



真姫「(予約して食べに行きましょう)」



真姫「(...予約が終わったら、今日は大学のレポートをやりましょ)」



───────────



───────────



真姫「...ふぅ。」



真姫「(結構レポートも進んだわ。)」



真姫「(...もう夜だけど、にこちゃん帰って来ないわね)」



真姫「(...不安になってきたわ。昨日も帰ってくるの遅かったし)」



真姫「(何か隠してるようにも...見えたけど...)」



真姫「...!」



真姫「(に、にこちゃんを疑うのは良くないわ。)」



真姫「(でも心配だから、花陽に電話してみましょ?)」携帯ポチッ



真姫「(...にこちゃんに電話かけて仕事中だったら嫌だからね)」



プルルルル...プルルルル



────────────────



───────────




同じ日の昼



とある駅前






ワイワイガヤガヤ...







花陽「...」



花陽「(...昨日レストランで、にこちゃんが怒って帰っちゃったすぐ後に)」



花陽「(明日はここで待ち合わせっていうメッセージが来てたね...)」



花陽「(にこちゃんにとって辛いことだったから、受け止めるのに時間が掛かったのかな...)」



花陽「(それより...)」




ワイワイガヤガヤ...




花陽「(人が多いね、にこちゃん、小さいから...私のこと見えるかな?)」






にこ「...あっ、花陽〜!」





花陽「に、にこちゃん!」



花陽「(人混みに流されかけてる...!)」





にこ「ち、ちょっと花陽...助けて〜!」




花陽「に、にこちゃ〜ん!」




──────────



────────────────




花陽の住むマンション





にこ「...」



花陽「結局、私の家に来ちゃったね」アハハ



にこ「予想以上に混んでたからね」



花陽「...何処か行きたいところがあったの?」



にこ「その辺の喫茶店で話そうと思ったけど、混んでるの嫌いだし」



花陽「確かにいつもより多かったね...何かあったのかな?」



にこ「さあね。...というか、花陽のマンションに来るのも久しぶりね」



花陽「よくよく考えたら、にこちゃんが来るのは久しぶりだね!」



にこ「...」



にこ「相変わらず、炊飯器が五個もあるのは奇妙な光景だけど...」



花陽「これが無かったら生きれないからね...!」



にこ「...他は意外と質素ね。高校の時の希の家みたい」



花陽「...希ちゃん...か。」



にこ「絵里と一緒に住んでるんだっけ、懐かしいわね...」



花陽「そうだね!まだ4年前なのに」



にこ「...4年で随分変わったわね」



花陽「長いような、短いような...」



にこ「そうね。」



にこ「凛とか...どうしてるのかしら?」



花陽「凛ちゃんとは、たまに一緒に遊んだりするよ!前と全然変わってないよ」アハハ



にこ「そうなの?...まあ、凛は高校生でも小学生みたいな感じだったからね」



花陽「にこちゃんにも会いたがってたよ!」



にこ「ミューズが一時期解散した時に三人で活動したのを思い出すわね。」



花陽「そうだね!あの頃は...」







───────────



────────────────




にこ「あの時花陽が、泣きながら電話して来たのを思い出すわ」



花陽「えっ、そんなことあったっけ...?」



にこ「あんた、自分に都合の悪いことは忘れるのね...真姫とあんた達がケンカした時よ?」



花陽「あっ、あの時!...にこちゃんに私が電話したんだよね!」



花陽「にこちゃん、すごい頼りにしてたのは覚えてるなぁ」



にこ「でしょー?」フフン



にこ「あの頃は、楽しかったわね...」



花陽「そうだね...」アハハ



にこ「..」



花陽「...」



花陽「(...昨日の続きのこと、話さないといけないよね)」



花陽「...に、にこちゃん」



花陽「そ、その...」



にこ「...分かってる。私と真姫のことでしょ?話さなくていいわ」



花陽「ご、ごめん...」



にこ「謝らないの。...どうしても、離れないといけないのよね。」



花陽「...うん。」



にこ「...」



にこ「あのね?」



にこ「...分からないの。この事を言ったとして、真姫がどう反応するか」



にこ「...離れたくないって意地を張るかもしれないし」



花陽「素直に離れるかもしれない」



にこ「...私は」



にこ「...」



花陽「にこちゃんの気持ちは...私もよく分かるよ。」



花陽「どれだけ辛いかは、分かってるつもりだけど...」



花陽「上からの指示だし、にこちゃんのアイドルとしての未来もかかってると思うんだ。」



にこ「...私が変に事務所の指示に逆らったら、花陽も大変ね」



花陽「...」



花陽「わ、私のことは考えなくていいから、にこちゃんがどうしたいか...」



にこ「あんたの事を考えない訳にはいかないでしょ」



花陽「...ご、ごめん」



にこ「謝らなくていいのよ...とりあえず、真姫から花陽に何か聞かれても何も答えないで。」



にこ「別居しないといけないことを言うなら...私の口から伝えたいから」



花陽「...わかった。」



にこ「...こんな話してたら、もうこんな時間ね」



花陽「うんっ、そうだね...」



にこ「でも...今日は楽しかったわ。昔の話をしてたら、時間があっという間で」



花陽「うんっ!私も楽しかったよ♪」



にこ「それに...こうやって話し合えて、良かったと思ってる。落ち着くことが出来たわ」



花陽「私も良かったと思ってるってるよ♪」



にこ「じゃあ私は帰るわ。もう遅いし、送ってもらわなくて大丈夫よ」



にこ「家には口うるさいお嬢様も待ってことだろうし」



花陽「ち、ちゃんと一人で帰れる?」アハハ



にこ「か、帰れるわよ!...じゃあね〜」



花陽「じゃあね〜!」




ガチャッ





花陽「...」




花陽「(私がグズグズ考えても...仕方ないよね)」




花陽「(よし!...今日はお風呂に入ってご飯食べて、さっぱり忘れちゃおう♪)」



花陽「(早速お風呂を掃除しようかな...っと)」




プルルルル...プルルルル




花陽「(あっ、携帯に電話だね!)」



花陽「...」



花陽「(真姫ちゃんから...)」



花陽「...すうぅ〜...はぁー。」



花陽「(落ち着いて深呼吸してから...!)」ポチッ



花陽「も、もしもし!」



真姫「『あ、花陽?にこちゃんどこにいるか知らない?』」



花陽「に、にこちゃんは...今日は私と一緒に話してたよ!」



花陽「(い、言って良かったかな?)」



真姫「『...そうだったのね。今はにこちゃん居ないの?』」



花陽「うん、もう帰っちゃったよ!」



真姫「『にこちゃんから仕事って聞いてたから...』」



花陽「!?...う、うん。お仕事の話とかしてたからね!」



真姫「『そう...じゃあ、にこちゃんにその話は詳しく聞いておくわね』」



花陽「う、うん!」



真姫「『じゃあ、急に電話悪かったわね。ありがと』」



花陽「じ、じゃあね〜!」



ポチッ



花陽「...」



花陽「(にこちゃん...大丈夫かな!?)」




────────────────



真姫とにこの家





真姫「じゃあ、急に電話悪かったわね。ありがと」



花陽「『じ、じゃあね〜!』」



ポチッ



真姫「...」



真姫「(にこちゃん帰ってくるってのは分かってるし...夜ご飯を作っておきましょう)」



真姫「(夜ご飯...なににしようかしら...って)」



真姫「そ、そういやレストランを予約してたわ...!」



真姫「(に、にこちゃん早く帰ってこれるかしら...って時間もぎりぎりだわ)」



真姫「(と、とりあえず行きましょう!)」



真姫「...」



真姫「(リビングの照明はつけておきましょう)」




────────────────




穂乃果の住むマンション




穂乃果「う〜ん...」カキカキ



穂乃果「...」



穂乃果「はぁ〜。」バタン



穂乃果「やっぱり私、作詞には向いてないな...」



穂乃果「(というか、音楽自体が向いてない気がしてきた...)」



穂乃果「...」



穂乃果「(普通の勉強も、しないといけないのに...)」



ピコピコーン♪ピコピコーン♪



穂乃果「電話?誰から...」



穂乃果「...」



穂乃果「お、お母さん...?」



──────────




テクテクテク...



穂乃果「(私だって忙しいのに、なんで帰らないといけないんだろう...はぁぁ)」



穂乃果「(電車の駅もすごい混んでて大変だったし...何かあったのかな?)」



穂乃果「(とか考えてたら、もう実家の前だね)」



穂乃果「(実家に帰るの...すごい久しぶりだね。ほぼ一年ぶりかな?)」



穂乃果「(お店の入り口から入ってやろう...!)」



ガラガラガラ...



穂乃果「...ただいま〜。」



ほのかママ「思ったより遅かったわね...おかえり。」



穂乃果「駅がすごい人で...混んでたからね」



ほのかママ「雪穂ー!店番交代して〜!!」




|お姉ちゃん帰ってきたの〜!?




ほのかママ「うん。だからお願い!」




|分かった、今行く〜!




ほのかママ「...さて。店番は雪穂に交代してもらって」



ほのかママ「私達はじっくり話そうか♪」



穂乃果「そっ、そうだね...」




────────────────



穂乃果の家


リビング




ほのかママ「...」



穂乃果「...」ドキドキ



ほのかママ「...」



穂乃果「(ず、ずっと静かなんだけど...怒ってるのかな?)」



ほのかママ「...」



ほのかママ「...お土産は?」



穂乃果「...えっ?」



ほのかママ「だから、お土産は?」



穂乃果「そ、そんな事?」



穂乃果「お土産なんて買ってきてないよ?だってそんなに遠くもないし」



ほのかママ「...学校は、上手くいってるの?」



穂乃果「えっ?い、いきなり...」



穂乃果「う、上手くいってるかどうかは分かんないけど....まあまあかな?」



ほのかママ「体調は悪くなったりしない?」



穂乃果「わ、悪い時は悪いけど...そんなに大変な時は無いよ」



ほのかママ「...」



ほのかママ「...ふふっ」



穂乃果「い、いきなり笑って...どうしたの?」



ほのかママ「あんた、本当に変わったわね♪大学生らしくなってるじゃない」



穂乃果「そ、そうなのかな?」



ほのかママ「ええ。昔は元気?って聞いたら『当たり前だよ!』って即答だったじゃない」



穂乃果「そ、そんなの...昔の私が単に元気だっただけじゃん」



ほのかママ「ふふっ...そういう所、変わってるのよ」



穂乃果「そ、そんな気はしないけど?」



穂乃果「あっ!...そ、その、話しないといけないことがあるんだけど」



ほのかママ「なーに?」



穂乃果「そ、その...私のバイトでね?」



ほのかママ「他の和菓子屋さんでバイトしてるのよね?」



穂乃果「う、うん。」



穂乃果「そのバイトで、本店があるんだけど...そこで正社員として働かないかって誘われて」



ほのかママ「えっ!...ほ、穂乃果が?」



穂乃果「うんっ」




ほのかママ「...ふふっ、変な話ね」



穂乃果「な、なんで...?」



ほのかママ「穂乃果は...どうしたいと、思ってるの?」



穂乃果「...ここの和菓子屋は、お父さんが居なくなったらどうなるの?」



ほのかママ「う〜ん...ママ一人でのんびりやっていくわ」



穂乃果「じ、じゃあ、お母さんも死んじゃったら...?」



ほのかママ「...穂乃果、家の店のこと心配してるの?」フフフ



穂乃果「...雪穂も継がなそうだし、どうなるのかなって」



ほのかママ「ふふふっ...ちょっと前まではそんな事考えもしてなかったのに」



穂乃果「そ、そんな笑うことじゃないよ?」



ほのかママ「...それで、穂乃果はどうしたいの?」



穂乃果「...」



穂乃果「私は...」



ほのかママ「...うちの店のことなんて心配しなくて大丈夫よ♪」



ほのかママ「あんたは、あんたのやりたいことをすればいいの!」



穂乃果「...」



ほのかママ「...穂乃果らしくないわね。それも成長かしら?」フフフ



穂乃果「...高校生の時より、就職とか人生とか」



穂乃果「いきなり現実になったというか...だから、どうしたらいいか分からなくて」



ほのかママ「...それで良いのよ。じっくり考えることが大切だと思うわ♪」



ほのかママ「あ〜。懐かしいな!ママもそんな時代あったわね」



穂乃果「お、お母さんもこういうことで、悩んだりしたの?」



ほのかママ「当たり前よ。和菓子屋なんて、中々上手くいくものじゃないでしょ?」



穂乃果「そ、そうだけど...なんか意外だったよ。」



ほのかママ「そう思うのね♪...とにかく、穂乃果は穂乃果のやりたいことをやればいいから!」



ほのかママ「だからじっくり考えて、また話を聞かせて頂戴♪」



穂乃果「あ、ありがとう...」



ほのかママ「でも、当たり前だけど。当たり前だけど、月に一回でも電話かけてきなさいよ?」



穂乃果「す、すいませんでした...」




────────────────



──────────



穂むらの前




ほのかママ「じゃあ、ちゃんと電話かけてくるのよ〜!?」



穂乃果「はいはい、わかってる〜!」



ほのかママ「ご飯ちゃんと食べなさいよ!?」



穂乃果「はいはい、食べてるよ〜!」



穂乃果「じゃあ、もう帰るからね!じゃあね〜」



ほのかママ「帰ったら夜遅いだろうから、家に帰ったら電話しなさいよ〜!?」



穂乃果「は〜い!!」



テクテクテク...



穂乃果「(もうっ、過保護だようちのママは...)」



穂乃果「(昔の海未ちゃんの作詞ノート...私の部屋に置いてあったから、それが大きな収穫だけどね)」



穂乃果「(で、でも、開けてはいけないオーラを感じる...!)」



穂乃果「(...海未ちゃんに電話して、開けても大丈夫か帰ったら聞いておこ)」



穂乃果「(絶対ダメって言われるのは分かってるけどね。)」



穂乃果「(他に収穫というか...雪穂から謎のギターもらったんだけど)」



穂乃果「(『友達からギター貰ったけど要らないからあげる!』って...私も別に要らないよ)」



穂乃果「(お腹も空いたな...維持張って夜ご飯を実家で食べるの断るったのが悪かった)」



穂乃果「(...前に店長さんに連れてってもらったお店、大学から近かったから、そこに行こう)」



────────────────



────────────────




テクテクテク...



穂乃果「...」



穂乃果「(え、駅から歩いてお店に向かうのは間違いだったかな?)」



穂乃果「(思ってた以上に寒い...)」



穂乃果「(というか、雪穂から貰ったギターが邪魔なんだけど)」



穂乃果「(どうしよ...一旦マンション帰るのもありだね)」



穂乃果「(でもマンションに帰ってまた外に出るのも面倒だし、このまま行っちゃおか)」




────────────────




真姫「ふぅ...」



真姫「(タクシー捕まえたから、なんとか予約した時間に間に合いそうね)」



真姫「(ここら辺...前に手伝った病院の近くだけど、学校も多いのね)」



真姫「(...そりゃ、大学の付属病院だから当たり前だけど)」



真姫「...!」





真姫は、見え栄えのある大きな音楽大学を車窓越しから目にした




真姫「...」



真姫「(音大...か。)」



真姫「(そういや穂乃果が、どこかの音大に行ったのよね)」



真姫「(まあ穂乃果は...そういう道を進む人だけど)」



真姫「...」



真姫「(もうそろそろ...到着ね)」




────────────────





穂乃果「(そろそろお店に着くよね...って、もうお店が見えて来たね)」



穂乃果「(というか、前に店長さんに連れて来てもらった時、結構混んでたから大丈夫かな?...今日は休日だし)」



穂乃果「...」ジーッ



穂乃果「(...タクシーで店に来てる人も居るのか...けっこう良い店なんだね)」



穂乃果「(というか...タクシーから出て来た人、髪の色赤いんだけど...真姫ちゃん以外初めてみたよ)」



穂乃果「...」



穂乃果「(...というか、真姫ちゃんじゃないの?)」



穂乃果「...」ジーッ



穂乃果「真姫ちゃん...だよね!?」




────────────────



真姫「よし...予約時間に間に合ったわね」



真姫「(外から見た感じ、予約するほど人は居ないっぽいけど)」



真姫「...!」



真姫「(そういや...にこちゃんと二人で行くってことで予約してしまってたじゃない...!)」



真姫「(どうしましょう、これは店にものすごい迷惑をかけるんじゃないかしら)」オロオロ






おーい、真姫ちゃん〜!!






真姫「...もうっ、ちゃん付で呼ぶのやめてって言ってるでしょ!?」



真姫「というか誰よ!?」





穂乃果「真姫ちゃん〜!」






穂乃果「はぁ...はぁ...走って疲れちゃった」





真姫「...えっ?」



真姫「ほ、穂乃果...!?」




────────────────



レストラン





真姫「じゃあ、私はこのオムライスとワインで」



穂乃果「じ、じゃあ私はオムライスと、ホットコーヒーで...」






穂乃果「...」



真姫「ふぅ...落ち着いたわね」



穂乃果「真姫ちゃん、20になったばっかりなのによくワイン飲めるね」アハハ



真姫「最近って言ってももう八ヶ月ぐらい前よ。穂乃果は飲めないの?」



穂乃果「飲もうと思えば飲めるけど、あんまり好きじゃないかな」アハハ



真姫「...穂乃果、ちょっとだけ大学生らしくなってるんじゃない?」



穂乃果「そ、そうかな?」



真姫「ええ。雰囲気が大人っぽくなってるわよ」



真姫「そのギターも...音大生っぽいし」



穂乃果「このギターはね、雪穂から今日貰ったんだよ」



真姫「...一人暮らしなの?」



穂乃果「うん。それで今日はお母さんに呼び出されて、実家に戻ってたんだよ」



真姫「へえ。雪穂とも久しぶりに会ってみたいわね」



穂乃果「雪穂も真姫ちゃんと会いたがってると思うよ!」



真姫「そ、そう?...まあ、会ってあげないこともないけどね。」



穂乃果「(変に照れ屋さんな所も変わってないなあ)」アハハ



穂乃果「真姫ちゃんは、昔から相変わらずだね」



真姫「...それ、褒めてるの?貶してるの?」



穂乃果「いやいや、昔と変わらず綺麗というか...」



真姫「そ、そうかしら...?」



穂乃果「...にこちゃんと一緒に暮らしてんだっけ?」



真姫「う、うん...」



穂乃果「にこちゃん凄いよね。テレビによく出てるの見るよ!」



真姫「」ビクッ



真姫「そ、そうよ。凄いでしょ?」



真姫「穂乃果は...穂乃果はどうなの?」



穂乃果「私?...私はダメダメだよ」アハハ



穂乃果「最近上手くいってなくて...学校の勉強も、音楽のほうも。」



穂乃果「あっ、ここのすぐ近くの大学なんだよ?」



真姫「そ、そうだったの?...相当レベルの高い学校じゃなかったかしら?」



穂乃果「うん、だから凄い人も沢山いるんだよ...」



穂乃果「そういう、才能がある人を沢山見てると、自分って何なんだろうって」アハハ



真姫「その気持ち、分からないこともないわ」



穂乃果「ええっ、真姫ちゃんが?」



真姫「...穂乃果?」



穂乃果「ど、どうしたの?」



真姫「大人っぽくなったというか...大人になったわね」フフフ



穂乃果「わ、私は、褒められてるのかな...?」



真姫「褒めてると同時に、貶してるのよ?」



穂乃果「...確かに高校生の時の私は、とんでもない事を沢山やってたけど...」



真姫「その通りね。ほんと何から何まで強引すぎるのよ。穂乃果は」



穂乃果「そうだったよね」アハハ



穂乃果「その時と比べたら、変わったとは思うね...」



真姫「本当に...あっ」



穂乃果「オムライス...来たみたいだね」




───────────



───────────






穂乃果「オムライス、美味しかったね」



真姫「...ワインはイマイチね」



穂乃果「そうなの?」



真姫「ええ。やっぱりいつも飲んでるワインのほうが美味しいわ」



真姫「あっ...今度、その店に一緒に行きましょ?穂乃果をワイン好きにしてやるんだから」



穂乃果「あはは...真姫ちゃんの行くお店って高そうなイメージが...」



真姫「別にお金の事なんて、気にしなくて良いんじゃない?」



穂乃果「...うちの家はね。すごいお金持ち!っていうわけでも無いから」アハハ



真姫「そ、そうだったの?」



穂乃果「私はすごい高いお金で音大言ってるし、雪穂も大学に行ってるから」



真姫「2人は...親も大変そうね。」



穂乃果「大変だと思うな...」アハハ



真姫「...そういや、海未やことりは?」



穂乃果「海未ちゃんは実家を継がないといけないから、大学に通いつつ色々頑張ってるよ」



穂乃果「私とは別の大学だけどね」アハハ



穂乃果「ことりちゃんは留学して...衣装のデザイナーになるらしいよ」



真姫「皆は皆で頑張ってるのね」



穂乃果「うん...」



穂乃果「真姫ちゃんは、医大に行ったんだよね」



真姫「ええ。そうよ」



真姫「それで色々あって、そこの付属病院の人からこの店を教えてもらったんだけど」



穂乃果「ああっ、あそこの!」



穂乃果「...皆すごいよね。真姫ちゃんもそうだけど」



真姫「...そう?」




穂乃果「そうだよ。自分の目標がしっかりあってそれに向かって突き進んでて」



真姫「...」



穂乃果「私は...ほんとダメだからさ」アハハ



真姫「...穂乃果、本当に変わったわね」



穂乃果「真姫ちゃん、何回もそれ言ってるよね」アハハ



真姫「だって本当に変わってるのよ。あなたは気付いてないけど」



穂乃果「あっ...お金、自分の食べた分だけ払えば良いよね」



真姫「そうね。」



穂乃果「そういや夜遅いのに...にこちゃんはどうしてるの?」



真姫「...」



真姫「家に帰ったら、ご飯作ってあげないといけないわ...」



穂乃果「真姫ちゃん、料理作れるの!?」



真姫「ええ。最近作れるようになったのよ?」



穂乃果「へえ。あの真姫ちゃんが...」



真姫「実家ではシェフに頼りっぱなしだったけど、もう違うからね」ドヤア



穂乃果「そ、そうなんだ...」



真姫「穂乃果も一人暮らしでしょ?ご飯とかどうしてるのよ」



穂乃果「自炊してるよ。和菓子作りだったけど、小さい頃から料理はしてきたからね」



穂乃果「そんなに上手くはないけどね...」アハハ



真姫「私も下手だから、にこちゃんに迷惑かけてばっかりなの」



真姫「というか...話してたらもうこんな時間ね」



穂乃果「22時だね...」アハハ



真姫「...穂乃果、明日は休み?」



穂乃果「休みだけど...ちょっとやらないといけない事があるから。」



真姫「それは大変ね。じゃあ、お会計済ませてさっさと帰りましょう」



穂乃果「うん...ごめんね?せっかく再会出来たのに、ちょっとしか話せなくて。もっとお話したかったな」



真姫「別に大丈夫よ...わ、私も、会えて良かったし...」



真姫「だから...また会いましょう?家もそんな遠くはないんだし」



穂乃果「そうだね!...にこちゃんとも久々に会ってみたいな」



真姫「そっ、そうね...」



────────────────



───────────



店の外




穂乃果「ふぅ...お腹いっぱいになったね!」



真姫「そうね。美味しかったわ」



真姫「...私はタクシーで帰るわ」



穂乃果「ここは家からそんなに離れてないから、私は歩いて帰るよ」



真姫「じゃあ、ここでお別れね」



穂乃果「うん。まさかこんな所で会えるとは思わなかったな」アハハ



真姫「本当に...私もびっくりしたわ」



穂乃果「また近いうちに会おうね!」



真姫「そうね。」



穂乃果「じゃあ、ばいばい!」



真姫「う、うん。」





テクテクテク...






真姫「...」




最近、にこちゃんとあまり上手くいってないこと



穂乃果に言えなかった




真姫「...」



真姫「(家に帰って...ご飯を作らないと)」




────────────────




穂乃果の住むマンション




ガチャッ




穂乃果「ふぅ...ただいま」



穂乃果「...」



穂乃果「(真姫ちゃんもにこちゃんも...すごいな)」



穂乃果「(...私も、頑張ってるつもりだけど)」



穂乃果「...」



穂乃果「(今日はもう疲れたけど...)」



穂乃果「(試験も近いし、勉強してから寝ようかな...)」



穂乃果「...」



穂乃果「(真姫ちゃん達は...どうしてるんだろ)」



────────────────




真姫とにこの家




ガチャッ




にこ「...ただいま。って」



シ-ン...



にこ「電気付けっ放しで、真姫は居ないわね」



にこ「(電気は消して出かけろって何回も言ってるのに...!)」



にこ「...」



にこ「(どうせお金出すのは真姫だから別にいいけど)」



にこ「(それより...お腹空いたわ...)」



にこ「(冷蔵庫...冷蔵庫にあるものを!)」パカッ



にこ「(何も!冷蔵庫に!無い...!)」



にこ「(...すぐに食べられるのは、このトマトスープぐらいしかないわ...)」



にこ「(はぁ...何か買いに行きましょう)」



にこ「(とりあえず財布と変装用のサングラスだけ持っていって...)」



ガチャッ



真姫「ただいま...あ、にこちゃん」



にこ「ま、真姫...」



真姫「...適当なご飯になりそうなもの買って来たから、それ食べる?」



真姫「私が作ってもいいけどね」



にこ「...早くご飯食べたいし、買ってきたものでいいわ」



真姫「ご、ごめんなさいね。私はご飯食べてきたの」



にこ「そ、そうなのね...」



真姫「でもね、穂乃果と久しぶりに会って食べたのよ。楽しかったわ」



にこ「穂乃果?」



真姫「ええ。たまたま遭遇したのよ。」



にこ「そ、それはすごいわね...」



真姫「...」



にこ「...?」



にこ「わ、私の顔を見つめて...どうしたのよ」



真姫「にこちゃん、私に何か隠し事してる?」



にこ「」ビクッ



にこ「そ、そんなことないわよ?」



真姫「...本当に?」



にこ「うっ、うん...」



真姫「私のこと...嫌いになったりしてない?」



にこ「...」



にこ「そんな事...あるわけないしょ」ダキッ



真姫「...」



真姫「最近ね?...にこちゃん見てると...」



真姫「...っ」ウルウル



真姫「私が追いつかないぐらい...遠い所に行っちゃうんじゃないかって心配なの...」



にこ「...」



真姫「どこにも行かない...?...ぐすっ...どこにも行かないって、約束してくれる...?」



にこ「...」



にこ「当たり前よ。」



にこ「真姫を置いてどこかに行ったりなんか...しないわよ」



真姫「...ぐすっ...そうよね...」



真姫「...」



にこ「...」



真姫「...じゃあ私、お風呂の準備してくるから」



にこ「う、うん...」



真姫「にこちゃんは...何もしなくて良いから。」



テクテクテク...



にこ「...」



にこ「(どうすれば...いいのよ)」



────────────────



───────────




絵里と希の家





希「すう...すぅ」



絵里「んんっ...ふぅ。」



絵里「希...朝よ。」



希「んっ...ん〜」ノビ-



希「ふぅ...おはよ。」



絵里「今日は...大学に行ってくるわ」



希「...あれ?大学辞めたんじゃなかったん?」



絵里「だ、大学にカバン忘れちゃったし...」



希「あ、あはは...そうやったね」



絵里「...昨日は勢いで辞めてきちゃったから、ちゃんと話さないといけないからね」



希「...」



絵里「...?」



絵里「...希、どうしたの?」



希「なんか絵里ち見てると...すごく遠くに行っちゃいそうで」



絵里「?」



希「...ウチはずっと絵里ちの隣に居たい。って思ってるけど、それは叶わない気がするなと思って」アハハ



絵里「そ、そんなことないわよ!...ずっと一緒よ?」



希「...もし絵里ちが立派なお医者さんになって、海外に行ったりして離れ離れになっても」



希「ウチはずっと...ウチはずっと、絵里ちを待ってるからね」



絵里「...大丈夫よ。そんな心配しなくても」



絵里「私と希は、ずっと一緒よ」



希「...そうやね♪変な事言ってごめんね?」



絵里「大丈夫よ!今日は私も一緒に朝ご飯作るわ♪」



希「ほんとに?...ありがと!」



絵里「希もお店、頑張ってね!」



希「うん!」



────────────────



───────────



大学





絵里「よし!...カバンを回収したわ」



先生「あっ...綾瀬〜!」



絵里「せ、先生...!」





先生「大学辞めるって...本当なのか?」



絵里「...はい。別の道に進もうと思って」



先生「そうは言っても、もう?...何とかならないのか?」



絵里「...いえ、時間が無いので。」



先生「...お前らしいな。何をしたいんだ?」



絵里「医者に...お医者さんになりたいと思って」



先生「...そうか。」



先生「...それなら、一ついい案がある」



絵里「?」



先生「私はな...他の大学の教授とも知り合いが多いんだよ」



先生「綾瀬に合いそうな大学を紹介してやれるかもしれない」



絵里「ほ、本当ですか...!?」



────────────────




希のお店





希「ありがとうございました〜♪」



ガラガラガラ...



希「(ふぅ...とりあえず、ピークは過ぎたかな?)」



ガラガラガラ...



希「(おっ、新しいお客さん来たやん)」



希「いらっしゃいませ!」



客「...」



希「(女の人...お一人様やね。)」



希「どうぞ!メニューから選んでくださいね♪」



客「...店長さんのおすすめは?」



希「お、おすすめ?」



希「...ビーフストロガノフは自信あるよ〜♪」



客「じゃあ、それでお願いします!」



希「はいはい〜♪」



希「まあ、ウチが作りやすいからオススメなんやけどね」アハハ



客「そうなんですね...」アハハ



希「じゃあ、しばしお待ちを!」



希「(オススメ聞いてくるなんて、変なお客さんやね)」



───────────



───────────



客「店長さん一人で経営なさってるんですか?」



希「そうやね♪」



客「1人って...大変じゃないですか?」



希「う〜ん...確かに大変やけど、楽しいからね!」



希「こうやってお客さんとお話出来るのが楽しいし...続けてこれてるんやろうね」



希「そんな事言っても、まだ一年ちょっとのカフェ屋さんやけどね」アハハ



客「そうなんですか...」



希「はい、ビーフストロガノフ!」



客「...頂きます。」



希「どうぞ♪」



客「...美味しいですね!」



希「ちょっと失敗しちゃったんやけどね!まあ、喜んでくれたから良かったかな♪」アハハ



客「...」



希「にしても、すごい質問してくるよね...まさか、テレビ局の人だったり?」



希「なーんてね♪ゆっくり味わって食べてくださいね!」



客「あはは...すごいですね」



希「...え?」



客「私、こういうものです。」スッ



希「?」



希「本当に...テレビ局の人!?」




───────────




希「...それで様子見って事で、わざわざお店に来てくれたんやね!」



客「最初は試したような感じで...申し訳なかったです」



希「いやいや、全然大丈夫やで♪」



客「やっぱり評判通り、この店はいい店でしたよ。」



客「ご飯も美味しいですし...店長さんもご綺麗ですし」



希「そ、そんな事言われるとなんか照れるね」アハハ



客「ネットの口コミで評判になっていたので、一度訪問させてもらいました。」



希「うち、あんまり仕事以外でネットとか見ないから...そうやったんやね!」



希「それで、テレビ局さんからやっぱりテレビで紹介する。とかいうお話かな?」



客「その通りです。」



客「『美味しくてオシャレなカフェを紹介する』というスタンスの番組で...」



希「...う〜ん」



客「悩んで...いらっしゃるのですか?」



希「うん。すぐには決められそうにないかな」アハハ



客「...分かりました。なら私の電話番号を教えるので、連絡をお願いしますね!」



希「はーい♪」



客「では、ご馳走様でした!」



希「はいはい。ありがとうございました!」



ガラガラガラ...



希「...ふぅ。」



希「とりあえず店じまいして...っと」



希「...」



希「う〜ん...」



希「(さっき言ったように、お客さんと楽しくお話し出来るのが楽しいわけで)」



希「(もしテレビで紹介されたら、沢山お客さんが来てくれるって事やから...)」



希「(忙しくなって、喋る暇なんてなくなるやろうね)」



希「(そうなると、今までの常連さんとかに申し訳ないかな?)」



希「(でも...う〜ん...家計的に...)」



希「(絵里ちのことも、考えないとね)」



希「(...というか、絵里ちの親から仕送りして貰えばいいのに...って)」



希「(絵里ちが変に維持張って『もう20歳だから仕送りは要らない!』って言ったのが発端やったね)」



希「(絵里ちの親さんも心配はしてるけど...絵里ちも頑固やからね)」アハハ



希「(うちのお母さんお父さんには、このお店の最初の費用とかをお願いしたから、これ以上は...)」



希「(かと言って絵里ちの親にお金を頼ったら...絵里ちにバレたらなに言われるか分からないし)」



希「(よくよく考えたらお金が全く足りないから、テレビに出ないと...?)」



希「(でも店の常連さんにも申し訳ないし、今の状態はなるべく変えたくないし...)」



希「(...困ったなあ)」



ガラガラガラ...



希「...あっ、もう今日は閉店したんで、またの機会に...って」



絵里「希、ただいま!!」



希「...お店の入り口から入らないでって毎回言ってるよね」アハハ




───────────





絵里「こ、これ...」



希「ん?これって...」



希「医学大学の教授の...名刺?」



絵里「...今日、学校にカバン取りに言ったら、お世話になった先生に話しかけられて」



絵里「その先生が医大の先生を紹介してくれたの」



希「へえ!...さすが学力優秀な絵里ちやね!」



絵里「見て。その医大のパンフレットも持ってきたのよ。」



希「ふーん...って、結構家から近いやん」



絵里「明日ね?その大学に行って、色々見学させてもらうの」



絵里「入学するかは決まってないけど...医大ってどういうものなのか、知っておいた方がいいと思うの」



絵里「どっちにしろ、受験勉強はしないといけないと思うけど...」



希「...絵里ち、体調だけは崩したらあかんよ」アハハ



絵里「大丈夫。自分の限度ぐらい分かってるわよ。」



絵里「...それで、今日はお店閉めちゃったのね。」



絵里「夜ご飯は私が作るから...希は休んでていいわよ」



希「べ、別に無理して手伝わなくてもええよ?うちが料理担当やし」



絵里「無理なんかしてないわよ!料理は好きだからね。」



希「あ、ありがと...♪」



絵里「...あれ、調味料ってキッチンにあるんだっけ?」



希「うん、キッチンにあったはず!」




絵里「わ、分かったわ...!」



テクテクテク...



希「(お店の奥のキッチン歩いてっちゃったね...)」アハハ



希「...」



希「(医大...かあ...)」



希「(...パンフレット、読んでみよ)」ペラッ



希「...」



希「(ふ〜ん...さすが医大って感じのことはやってるね)」



希「(まあ、うちでも知ってるぐらい有名な大学やからね...って)」



希「(に、2000万!?)」



希「(2000万も...学費がかかるの!?)」



希「(...絵里ちのお母さんを頼ろう。絵里ちにバレないように)」



希「(...テレビも出ないと、これはやっていけないね...)」





────────────────



大学






真姫「ふう...」



真姫「(授業も終わったし...今日は帰りましょう)」



大学生「ねえ、真姫〜!」



真姫「...何よ?」



大学生「さっきさ、すごいカッコいい金髪の人が居たのよ〜!」



真姫「へえ。そんなの興味無いけど」



大学生「でもあんまり見かけない人だから...見学かな?と思ってるんだけど!」



大学生「というか、モデルさんみたいな綺麗な人だったから...外国のモデルさんなのかも!」



真姫「その通りね。私は帰るわ」



大学生「も〜。なんでそんな愛想悪いの?探しに行くわよ!」グイッ



真姫「は、はあ?」



大学生「じゃあ、れっつご〜♪」



真姫「もうっ、腕引っ張らないでよ!」



真姫「(金髪のモデルみたいな人...)」



真姫「(...まさか、ね。)」



───────────





絵里「...」ドキドキ



絵里「(大学の中には入れたけど...ここはとこなの?)」



絵里「(どうしよう、完全に大学の中で迷子になってしまったわ)」



絵里「(そ、そしてこの周りの医大生からの視線が...怖いチカ...!)」



絵里「(嘲笑ってるのね!?部外者の私を嘲笑ってるのね!?)」



絵里「...」



絵里「(...落ち着きなさいエリーチカ。貴方は賢い。そして可愛い。その二点を抑えたエリートよ)」



絵里「(幸い、まだ予定の時間までたっぷり時間がある。そして嘲笑うなんて自分の思い込みよ)」



絵里「(頑張って...やろうじゃない!)」



絵里「(...まずは地図を探しましょう)」




───────────





真姫「というか、その人は男か女どっちなのよ?」



大学生「おおっ、真姫も興味持ち始めた〜?」



真姫「ち、違うけど...聞いてみただけ」



大学生「女の人だよ!はああ、本当にモデルさんだったらサインもらおうかな〜♪」



真姫「というか、見た時になんで話しかけなかったのよ」



大学生「そりゃあ大金持ちの西木野さんのコネがあれば、写真撮影してもらえたり〜♪」



真姫「...あんた、頭良いのに考えることはバカね」



大学生「褒められちゃった〜♪」



真姫「褒めてないわよ!?」



大学生「あっ!...見つけた!」



真姫「...あの人?」






絵里「(いっそのこと勇気を出して、医大生の人に場所を聞いてみようかしら)」



絵里「(だ、ダメよエリーチカ!人類みな結局は孤独なのよ。孤独なHavenよ)」



絵里「(大学生から聞くのが怖いわけではないわ)」







大学生「道に...迷ってるのかな?」



真姫「えっ...」



真姫「え、絵里じゃない...!」



大学生「し、知り合い!?」



真姫「おーい、絵里〜!」





絵里「はっ、はい!...って」



絵里「...真姫!!」





────────────────




大学内の喫茶店





真姫「...何か用事があるんじゃないの?」



絵里「まだ大丈夫よ。あと...40分ぐらい」



真姫「そんなに時間があるわけじゃないのね」



真姫「...というか、何の用事で居るの?」



絵里「...私ね、今の大学を辞めたの。それで医者になろうと思って」



真姫「や、辞めちゃったの?...いい大学だったのに」



絵里「まだここの医大に入るとは決まってないけど...」



真姫「ちょっとした様子見ってことね。」



絵里「そんな感じね...にしてもびっくりだわ。真姫が居たなんて」



真姫「私もびっくりよ。前は穂乃果とも偶然会ったし、何なのよもう...」



絵里「真姫は、にこと一緒に暮らしてるのよね」



真姫「...え、絵里は、希と一緒に暮らしてるんでしょ?」



絵里「そうよ。希はカフェを一人で経営してるのよ」



真姫「へえ!すごいじゃない...ああもう、話したらきりがないわね」



絵里「そ、そんなに時間もないからね。」



真姫「というか...道迷ってたんでしょ?この大学無駄に大きいから、早めに行動しないと間に合わないわよ」



絵里「そ、そうね...この場所らしいんだけど分からなくて」



真姫「...ここから十分ぐらい歩くわよ」



絵里「そ、それは早く行ったほうが良いわ!」



真姫「そうね...道案内してあげるから、早速行きましょう?」




────────────────



───────────



帰り道




真姫「...最悪だった。なんで道案内したら絵里の講義にも巻き込まれるのよ」



絵里「ご、ごめんなさいね...」



真姫「別に良いけど。帰っても勉強しかやることないし」



真姫「それで...どうだったかしら?講義を受けた感想は!」



絵里「...すごく為になったわ。言葉では言い表せないぐらい。」



真姫「それは良かった。...あの先生も絵里のこと気に入ってたみたいだし」



絵里「そ、そうかしら?」



真姫「まあ、絵里は美人だからね。好かれない方がよっぽど稀だと思うけど」



真姫「それなりに頭も良いんだし、真面目だし」



絵里「真姫にしてはよく褒めてくれるわね♪」



真姫「お、思ったことを素直に言っただけじゃない。」



真姫「でも...大丈夫なの?希の事とか」



絵里「?」



真姫「絵里は、貧しい国に行って医者をやりたいんでしょ?」



絵里「そうよ?」



真姫「希は、飲食店を経営してるのよね?もし絵里がそうなったとして、希が絵里について行くのは...無理じゃない?」



真姫「そういう鈍感な所、昔から変わってないわよね。」



絵里「...」








もし絵里ちが立派なお医者さんになって海外に行ったりして...離れ離れになっても



ウチはずっと...ウチはずっと、絵里ちを待ってるからね





絵里「(そういうこと...だったのかしら)」



真姫「ちょっと、話聞いてる?」



絵里「き、聞いてるわよ?」



真姫「まあ、まだ医者になった訳でも無いからね、そんなこと考えるのも変な話だけど」



真姫「私なんかは、実家の病院を継ぐってもう決まってるけどね」



絵里「...音楽は、やったりしてないの?」



真姫「お、音楽?」



絵里「真姫って作曲も歌もできるし...そういうサークルとか入ってないの?」



真姫「...家も勉強も、忙しいから。」



絵里「作曲したいって気持ち、ちょっとはあるのね」フフス



真姫「もう、昔の話じゃない。」



絵里「そう言えばそうなっちゃうけどね!」



真姫「...そういや、絵里の家はどこにあるの?」



絵里「ここから結構近いわよ。電車で五駅ぐらい」



真姫「それは良いわね...穂乃果もここから結構近くなのよ?」



絵里「そうなのね...意外と実家から離れてるのね、みんな」



真姫「結構離れてるのに...絵里と穂乃果と会えるなんて、ほんとに腐れ縁ね。」



絵里「偶然にもほどがあるわね...またメンバーで集まりなさい。っていう神様のお告げかしら?」



真姫「メンバーみんなで希のお店に行くのも楽しそうね。」フフフ



絵里「それは良いわね...にこが忙しいなら、真姫だけでもお店に来てね♪」



真姫「そうね、行ってみたいわ。」



真姫「というか、希がカフェを一人で経営してるって意外なんだけど」



絵里「そ、そうかしら?」



真姫「希は怪しい占い師とかやるんじゃないかって、ずーっと思ってたのよ?」



絵里「...占いによく似てるらしいわよ?」



真姫「...え?」



絵里「希はね?お客さんの悩みを聞いたり、そして一緒に考えたりして...お客さんは友達みたいなんだって。」



絵里「占いっていうのは、占う相手の話す事をもとに相手をより良い方向に導いていく、話術みたいなものらしいの」



絵里「だから希はそういう仕事が出来て、幸せなんだって。」



真姫「ふぅん...なるほどね。」



真姫「さすが希と一緒に住んでるだけあって、希のことは何でも知ってるのね」



絵里「真姫も何か悩んでる事があれば、希の店に行けばいいと思うわよ♪」



真姫「わ、私は別に...」



真姫「...というか、絵里の行く駅はあっちの方向じゃないの?」



絵里「...そ、そうなの?」



絵里「この辺は来るの初めてだから、よく分からなくて...」



真姫「も、もう!私が居なければ、今頃絵里はどうなってたか知らないわよ?」



絵里「そ、そうね...ありがと」アハハ



真姫「(絵里って意外と方向音痴なのね)」



────────────────



────────────────



穂乃果の住むマンション






カリカリカリ...





穂乃果「...」



穂乃果「(勉強が...進まない...!)」



穂乃果「(もう試験まで一週間きってるのに...)」



穂乃果「(そんな事考えてる暇は無いね。勉強しよう...)」



穂乃果「...」カリカリ




ピンポ-ン




穂乃果「」ピタッ



穂乃果「...」



穂乃果「(またどこかの押し売り業者さんかな?面倒だなあ...)」




ピンポ-ン




穂乃果「はーい、すぐ行きます!」



テクテクテク...



ガチャッ



穂乃果「何かは知らないけど、もう間に合ってますので!って...」



海未「穂乃果...!」



穂乃果「うっ、海未ちゃん...!」



────────────────



───────────




穂乃果「はい...お茶どうぞ!」



海未「あ、ありがとうございます...」



穂乃果「...」カリカリカリ








海未「べ、勉強してるのですか...?」



穂乃果「うんっ。だってテスト近いからね」



穂乃果「...海未ちゃんは、何の用事で来たの?」



海未「そ、その...作曲ノートの事なんですが」



穂乃果「...ま、まだ海未ちゃんに言ってなかったのに...何で知ってるの?」



海未「雪穂から、穂乃果が作曲ノートを持っていったと言っていたので。」



海未「あのノートは、私が穂乃果の家に置いたままだったので...」



海未「...確か、その作詞ノートは何も書いて無かったはずですが、どうでしょうか?」



穂乃果「ほ、ほんとに?」



穂乃果「...このノート、だよね?」



海未「はい、そうです。」



穂乃果「...」ペラペラッ



穂乃果「ほんとだ...何も書いてない」



海未「代わりに、このノートを持って来ました...」パサッ



穂乃果「?...これ?」



海未「ちゃんと私の詞が書いてあるノートです...」



海未「私はもう使わないので、穂乃果に有効活用してもらえればと思って。」



穂乃果「う、嬉しいけど...その為のだけに、わざわざ来てくれたの?」



海未「...穂乃果の顔が見たかったというのもあります。」



海未「お互い忙しくて、一ヶ月以上会ってなかったですからね」フフフ



海未「雪穂とはよく会うのですが...穂むらの和菓子は大好きなので」



穂乃果「...」



穂乃果「...べ、勉強に集中しないと。」



穂乃果「...」カリカリカリ



海未「...穂乃果?」



穂乃果「...どうしたの?」



海未「穂乃果...ちょっと疲れてませんか?」



海未「昔からずっと見てるので分かります...元気が無いように見えます」



穂乃果「そ、そりゃ疲れてるけど...頑張らないとね。」



海未「二年生の文化祭の時、穂乃果が倒れてラブライブ出場を辞めたのを覚えてますか?」



海未「あの時みたいにならないように、体調管理だけは...」



穂乃果「もう...黙ってて!!!」



海未「...」



穂乃果「...」



穂乃果「気を遣ってくれるのは嬉しいよ。でも、今は目の前のことをやるしかないもん」



穂乃果「昔は昔の話でしょ?今はもう違うじゃん」



海未「ほ、穂乃果...」



海未「すいません。余計なことを...」



穂乃果「...」カリカリカリ



海未「...」



海未「で、では、用事も済んだので...帰りますね」



穂乃果「うん...じゃあね」



海未「は、はい...」



テクテクテク...ガチャッ



穂乃果「...」






海未ちゃんの作詞ノート



どうせ海未ちゃんの事だから、明るい未来の希望とか書いてあって



怖かった。



ノートを開くのが怖かった。



だから貰った海未ちゃんのノートも開けない



開けられなかった







穂乃果「...」



穂乃果「(海未ちゃんもきっと、私のことを考えて言ってくれてるのに)」



穂乃果「(自分に余裕が無いせいで...)」



穂乃果「(ごめんね、海未ちゃん)」




────────────────




テレビ局






希「うわぁ〜...」



希「(テレビ局って、こんなに大きい建物だったんやね)」






希「...」ドキドキ



希「(だ、大丈夫かな...?テレビに出るなんて、いきなり緊張してきた)」



希「(...まあ、緊張し過ぎても良い事は無いからね)」



希「(それなりに頑張ろうっと)」



希「(んーと、この地図に書いてる場所に行けば良いんやね)」



希「(...迷わないようにしないとね。どこかの医大に入ろうとしてる人みたいに)」





────────────────



───────────




希「(すごい!テレビでよく見る人の名前の楽屋が並んでる...)」



希「(というか、番組の収録に出演って...芸人さんとかにも会うってことやね)」



希「(芸人さんって変な人も多いらしいし、それなりに気を付けないとあかんね...って)」



希「...」ジーッ



希「(『矢澤 にこ』の楽屋...!?)」




────────────────



───────────



帰り道




ドホドボ...




穂乃果「...」



穂乃果「(何とかテストは...乗り切れた。ギリギリかもしれないけど)」



穂乃果「(ここ三日ぐらい、全く寝てないから...家に帰ったら寝よう)」



穂乃果「(...でも、テストが無い時もほとんどの時間は勉強してるのに)」



穂乃果「(なんで他の人は、あんなに...)」



穂乃果「(音楽も私よりずっと才能がある上に、勉強も出来て...)」



穂乃果「(...考えたら目まいがしてきた。早く家に帰って寝よう...)」



穂乃果「(...)」



穂乃果「(...め、目まいが...)」フラフラ



穂乃果「(ま、まともに歩けない...!)」



フラフラフラ...



...バタン



────────────────



にこの楽屋





にこ「ふふふ〜ん♪」



にこ「(鏡に写る私、それはスーパーアイドル矢澤にこ!)」



にこ「今日も張り切って、頑張るわよ〜!」



ガチャッ



にこ「ち、ちゃんとノックしてから楽屋に入るのは常識でしょ!?って」



希「うわっ。相変わらずにこっち小さっ」



にこ「の、希!?」



希「おー。このチョコ美味しそうやん」



にこ「ちょっと待ちなさい、それは私の為のお菓子なのよ!?」



希「え〜?別にええやん。こんな高級そうなの、食べる機会滅多に無いし...」



にこ「わ、分かったわよ...というか、何でここに居るのよ?」



希「うち、カフェ屋さんやってるんやけどね?それの取材で」



にこ「へ、へえ...にこは、スーパーアイドルとして番組に出るんだけどね〜♪」



希「はぁ、このチョコレート美味しいね...」



にこ「まあ?にこは本当に本物のスーパーアイドルっていうかぁ?」



希「でもうち、食べ過ぎたら太っちゃうから、あんまり食べないでおこ!」



にこ「人の話聞きなさいよ!?」



希「あっ、残ってるやつは家に持って帰っていい?絵里ちにもあげたいんやけど...」



にこ「べ、別に良いけどね...」



にこ「...希、待機場所もここの近くなんでしょ?ってことは、同じ番組じゃないの?」



希「えー。本当に?携帯で検索してみる...」



希「ほんとだ、にこっちも同じ番組に出るんや...!」



にこ「す、すごい...腐れ縁ね。本当に」



希「というか、出演する綺麗な女優さんとかモデルさんの中に一人だけにこっちが居るんやけど、面白ろ!」



にこ「ぬぁんで面白いのよ!?」



にこ「昔からなんっにも変わらないわね。あんた...」



希「にこっちも、本当に何も昔から変わってないね〜♪胸も。」



にこ「最後の二文字が心に響くわね...」



希「まあ、うちが出るのはちょっとだけやろうけど...変に他の人の足引っ張ったらあかんよ〜?」



にこ「そ、それはこっちのセリフだから!」




────────────────



───────────




病院





穂乃果「...」



穂乃果「...はっ!」ビクッ



海未「穂乃果...!」



雪穂「お、お姉ちゃん...!」



海未「良かったです、良かったですっ...!」ダキッ



穂乃果「う、海未ちゃんと雪穂?...な、なんで...」



海未「...穂乃果は道を歩いてる時に倒れて、救急車で運ばれたんですよ?」



穂乃果「そ、そうだったんだ...」



雪穂「私、看護婦さん呼んでくるね!」



海未「お願いします...」



タッタッタッ...








海未「...穂乃果のお母様は店番があって来れないらしいです。代わりに私が雪穂の付き添いで...」



穂乃果「う、海未ちゃん...わざわざありがとね。」



海未「いえいえ。穂乃果が無事で何よりです」



海未「...でも、前に言いましたよね。あんまり無茶をしてはいけない。と」



穂乃果「...」



海未「...こういう事が起こった以上、しっかり反省しないといけません。」



穂乃果「...海未ちゃんは良いよね。家を継ぐのも決まってるし、大学も問題なく通えてるし」



穂乃果「私は余裕が無いもん。だからこうなる事ぐらい仕方ないじゃん」



海未「わっ、私は...穂乃果のことを考えて言ってるのですよ!?」



海未「そもそも私だって...努力はしているつもりです!」



海未「そんなボロボロになって、大学に行き続ける意味って何ですか!?」



穂乃果「そんなの、将来が決まってる海未ちゃんには分からないでしょ!?」



海未「そっ、そんなこと...!」



海未「...」



穂乃果「...」



海未「す、すいません...私は、穂乃果の事など何も知らずに、口々に...」



穂乃果「...私も、ちょっと言い過ぎた。ごめんね...」



穂乃果「海未ちゃんは、私の心配をしてくれているんだよね。」



海未「...高校生までと比べて、穂乃果と会う機会はかなり少なくなりました。」



海未「もう口を出せる立場ではないのに、口出しを言ってしまって...」



穂乃果「ううん、大丈夫だよ。」



穂乃果「私が...私がもっと頑張らないといけないんだから...」



海未「...」



海未「(どうすれば...分かってくれるのでしょうか)」





────────────────



───────────



希のお店




希「ふぅ...お客さんも居なくなったし、今日はもう店じまいをして...っと!」



希「休日やし、今日は本当に大変やったね...」



希「(まさか店の食材が底を尽きるとはね)」



希「(テレビに取り上げられてからというものの...忙し過ぎる。)」


ガラガラガラ...



希「もうっ、絵里ち、何回お店の入り口から入らないでって言った?...って」



にこ「...残念、絵里じゃないわよ。」



希「...にこっち!!」



────────────────




希「ごめんね?料理作りたかったけど、もうコーヒーしか無くて...」



にこ「それって大繁盛じゃないの...」



希「本当に。テレビの効果って恐ろしいね!」



にこ「...」



希「...」



希「そーれーで!何で今日はお店に来たん?」



にこ「わ、私も休みだし、暇だったからよ...」



希「もしかして、何か悩み事の相談だったり?♪」



にこ「ちっ、ちちち違うって言ってるじゃない!」



希「ふ〜ん?」



希「...真姫ちゃんのことで、何か悩んでる?」



にこ「」ビクッ



希「それとも、仕事のこと〜?」



にこ「な、なんで分かるのよ...」



希「(にこっちの悩みのタネってその二つのどっちかしか無いやん)」



にこ「そ、そのね...」



にこ「...」



希「...」



にこ「あっ、あの...」



希「話しづらいなら、ちょっとお酒の力でも借りよか♪」



にこ「...コーヒーしか無いんじゃなかったの?」



希「大丈夫!安物のワインやけど...美味しいよ♪」



希「(絵里ちと飲もうと思ってたんやけどね)」アハハ



希「スーパーアイドル矢澤にこのお悩みだからね!しっかり聞かないと♪」



にこ「の、希...」



──────────



──────────




希「どう?意外とワイン美味しいでしょ?」



にこ「というか話聞いてたら、あんたも結構苦労してるのね...」



希「そんなことないよ。仕事も家も楽しいし!...大変なこともあるけどね♪」アハハ



にこ「あぁ〜...あんたは苦労しすぎ。ちょっとは遊びなさいよ...ふあぁ...」



希「(完全に酔ってる。にこっち)」アハハ



にこ「あのね?忙しくなかった時は真姫と一緒にワインバーに行ってたの。」



にこ「家から遠いから、もう行く気は無いけどね。」



希「へぇ...そうなんや!真姫ちゃんも忙しいのかな?」



にこ「真姫も忙しいけど、にこの為に頑張ってくれてるのは分かるのよ?」



にこ「でもね...致命的に料理が不味いの。」



希「真姫ちゃん、箱入り娘やからね...」アハハ



にこ「希は料理上手いんでしょ?はーあぁ...希、一緒に暮らさない?」



希「(お酒入ってるからちょくちょくすごい事言ってくるなあ)」アハハ



希「でも、にこっちは自分で料理作ったりしないの?」



にこ「作りたいわよ?作ろうと思ったら既に作ってるのが真姫なのよ...」



にこ「まずいって言ったら拗ねるし、褒めたらもっと得体の知れないものが来るし、勿体無いから食べないといけないし...」



希「た、大変やね」アハハ



にこ「それに...」



希「...それに?」



にこ「...」



にこ「その、にこの事務所からね?真姫と一緒に暮らすな。って言われてるの」



にこ「アイドルとしてそれはNGだ。マスコミにバレたらどうするんだ。って」



にこ「...有名になるまでには、そんなこと全く言われなかったのに...」



希「...なるほどね!」



にこ「まだ真姫にその話はしてないけど、真姫は私の様子がおかしいって思ったみたいでね?」



にこ「...にこが何処か遠くに行っちゃうんじゃないかって心配なんだって。」



にこ「そんな事...こんなに真姫のことを愛してるから、あり得ないのに」



希「...うちは真姫ちゃんの気持ち、分かるかも!」



希「絵里ち見てると、そう思っちゃうもん」アハハ



にこ「そ、そうなの...?」



希「それで...にこっち自身は、どうしたいか結論が出てないの?」



にこ「...」



にこ「最初は別居するのは嫌だったけど...別々になっても、好きなのは変わらないし」



にこ「だから...別居した方が良いんじゃないかって思うの」



希「...」



にこ「でも...でもっ、真姫がもし別居したくないって言ったら!!私はどうすればいいのよ...」



にこ「私も最初は受け入れられなかったから、真姫もきっとそうよ...」



にこ「真姫は、昔からずっと支えてくれた大事な人なんじゃない!そんな事言われたら...」



にこ「私は、私は...」プルプル



希「...」



希「...にこっち。」ダキッ



にこ「な、何よっ...だっ...抱きしめてこないで...!」ウルウル



希「にこっちはよく頑張ってる。それは高校

一年生の時からずっと見てきたつもりや」



希「...うちも将来のこととか、不安になることはよくある」



希「でも...自分を信じてこれまでやってきた。にこっちも、それはきっと同じだと思う。」



にこ「希...」ウルウル



希「...にこっちは何も怖がる必要も、怯える必要もないよ。」



希「自分が本当にやりたいって思ったことを...そのまま真姫ちゃんに、言えばいいと思う。」



希「これまで真姫ちゃんと、そうやってやってきたんやろ?」



にこ「ひぐっ...ぐずっ」



希「...だから泣いてる暇なんで無いで!まだまだこれからやん♪」



にこ「ぐずっ...」



にこ「...」



希「...ほら、元気だして!」



にこ「わ、分かってる...!」



希「おっ、ちょっとは泣き虫が治ってるみたいやね〜♪」



にこ「なっ、泣き虫じゃないわよ...!」





────────────────



───────────



希の店の前




希「じゃあ、またね♪」



にこ「うん...またね」



にこ「お金、払っとくわ...」



希「安いワインやし、うちからのプレゼントって事で大丈夫やで♪」



にこ「きっちりお金は払わないとダメなの。それぐらい分かるでしょ?...はい。」



希「...え、ええっ!?安物のワインやし、こんなに沢山のお金...いらないよ?」



希「(さ、札束やん...)」



にこ「いいのいいの。あんたもお金に困ってるんでしょう?」



希「そ、それはそうやけどね...」



希「はい!...こんなに貰うのはおかしいし、お金は返す!」



にこ「受け取らないわよ、あんたが持っときなさい」



希「で、でも...」



にこ「...確かにあのワインは安かったかもしれないけどね。」



にこ「あんたから今日もらったものは、いくらお金を払っても払えきれないの」



にこ「だからちょっとでもお金で払ってあげるって言ってんの!悪い?」



希「に、にこっち...」



にこ「それにあんた、絵里の為に働き過ぎ。それで贅沢しなさい。」



希「う〜...」



希「...分かった!」



希「(まあ、絵里ちの大学の貯金行きやろうけどね)」



にこ「はいはい...じゃあ、また時間があれば会いましょう」



テクテクテク,..





希「に、にこっち!」





にこ「...?」







希「このお金は、ちゃんと返すからね!」




にこ「...」




にこ「...あんたに散々働かせてる、絵里のお金で返してね〜!」



テクテクテク...






希「...」



希「(やっぱりにこっちは...)」



希「(いつまで経ってもにこっちやね♪)」





────────────────



穂乃果の住むマンション






穂乃果「ふう...ただいま。」



シ-ン...



穂乃果「...」



穂乃果「(三日ぶりの我が家だね)」



穂乃果「(...テストの成績。何とかはなってたけど、酷かったな...)」



穂乃果「(音楽のほうの試験も...どうだったんだろう)」



穂乃果「(...昔はあんなに楽しかった音楽なのに)」









そんなボロボロになって、大学に行き続ける意味って何ですか!?









穂乃果「...」



穂乃果「(海未ちゃんにはあんな事言っちゃったけど...)」



穂乃果「(ボロボロになって大学に行き続ける意味って、何なんだろう)」







プルルルル...プルルルル



穂乃果「...雪穂から電話?」



プルルルル...ピッ



穂乃果「もしもし...何の用かな?」



雪穂「『お、お姉ちゃん!大変、大変なんだよ...!』」



穂乃果「...お、落ち着いて、何が起きたか話して?」



雪穂「『お姉ちゃんの次は、お母さんが...!』」



穂乃果「...お、お母さんが?」



雪穂「『お母さんが、倒れちゃった...!』」




────────────────



病院




ほのかママ「...」



雪穂「お姉ちゃん、病院に着いたからもう来るって!」



ほのかママ「...そうなのね。」







タッタッタッ...



穂乃果「...お母さんっ!!!」ダキッ



ほのかママ「...穂乃果。」



穂乃果「ううっ、うゔ...良かった...ひぐっ」ボロボロ



ほのかママ「もう、大学生がそんな声あげて泣かないの。」



穂乃果「大丈夫?身体が痛かったりしない??」



ほのかママ「もう大丈夫よ...これからは、ちょっと身体に気をつけないとだけどね。」



雪穂「ほんとだよ!私も店番するからさ。休んだほうがいいよ?」



ほのかママ「...お父さんに迷惑かけちゃってるから、雪穂が頑張ってね?」



雪穂「う、うん!...頑張る!」



ほのかママ「いつもは店番嫌がるのに、今日は優しいわね」フフフ



穂乃果「わ、私は店番は出来ないけど...テストも終わったし、バイトも頑張るからさ?」



穂乃果「その分、お母さんはゆっくり休んでね?」



ほのかママ「...分かった。」



ほのかママ「でも、お母さんも心配だったのよ?穂乃果が倒れたって言うのはね。」



穂乃果「...」



ほのかママ「子供が親を心配してくれるのは嬉しいけど、子供が倒れたって言われた親の気持ちをちょっとは考えなさいよ。」



穂乃果「は、反省...してる...」



ほのかママ「二人続けて倒れられた雪穂とお父さんなんて、もっと大変でしょ?」フフフ



雪穂「わ、私は...そんなに気にしてないけどね!」



ほのかママ「...お母さんは大丈夫だから、二人とも帰っていいわよ。」



穂乃果「ほ、本当に大丈夫...?」



ほのかママ「大丈夫!だからさっさと帰りなさい。」



雪穂「で、でも...」



ほのかママ「お母さんは、あんた達の時間を取らせたくないからね。だから帰った帰った!」



雪穂「わ、分かったよ...ほら、お姉ちゃん?」



穂乃果「え、ええ〜?...もう、分かったよ。」



雪穂「じゃあ、私達は帰るから...何かあれば、すぐにお医者さん呼ぶんだよ?」



ほのかママ「分かってるわよ♪...じゃあね!」



穂乃果「じ、じゃあね...」



テクテクテク...








雪穂「...あのさ、お姉ちゃん?」



穂乃果「?」



雪穂「ちょっとだけ、二人で話したほうが良いんじゃないかな...?」



────────────────



───────────



穂乃果の住むマンション






雪穂「こ、これがお姉ちゃんの...家なんだね!」



雪穂「(整理整頓が出来てる...!)」



穂乃果「そういや雪穂、来るの初めてだよね。」



雪穂「うん...」



穂乃果「...はい、お茶。それで話って?」



雪穂「あ、ありがと。」



雪穂「...そんなに大したことじゃないんだけどね。」



雪穂「その...たまにはちゃんと家に帰ってきて欲しいな〜って」



穂乃果「...」



雪穂「お母さんが倒れちゃったから、これから私達が家のお店の事か頑張らないといけないなと思って。」



雪穂「お姉ちゃんも忙しいんだろうけどね?...出来れば週に一回ぐらいは帰ってきて欲しいな。」



雪穂「お母さんも、お姉ちゃんのこと気になってるし...」



穂乃果「...」



雪穂「どう...かな?」



穂乃果「分かったよ...雪穂、負担かけてごめんね?」



雪穂「そ、そんなことないよ...」



雪穂「...じゃあ、用も済んだし、私は帰るから...ほどほどに頑張ろうね。」



穂乃果「分かった。じゃあ、また...」



雪穂「うん!じゃあ、よろしくね。」



テクテクテク...ガチャッ



穂乃果「...」



穂乃果「(バイトの正社員の話...詳しく聞きこうかな)」



穂乃果「(そのあとしばらくして、実家を継げばいいし)」



ピロリン♪ピロリン♪



穂乃果「(...携帯にメール。)」ポチッ



穂乃果「...!」



穂乃果「(ふふっ...真姫ちゃんらしいメールだけど)」



穂乃果「(き、今日..?)」



穂乃果「(...ま、真姫ちゃんらしいね)」アハハ




────────────────

────────────────



真姫とにこの家





真姫「...よし。」



真姫「(穂乃果に今日一緒にワイン屋さんで飲みましょう。ってメールを送ったわ)」



真姫「(べ、別に...会いたい訳じゃないけど、一回会ったからにはちゃんとするのが礼儀でしょ?)」



真姫「...」



真姫「(にこちゃんは、まだ私を遠ざけてるような感じがするし...)」



真姫「(その事も、穂乃果に話せるかしら?)」



テクテクテク...



真姫「あ...」



にこ「...」



真姫「に、にこちゃん。お帰りなさい」



にこ「あのね、真姫?」



真姫「?」



にこ「...」



にこ「話さないといけないことが...あるの。」



真姫「...な、何?」



にこ「...」



真姫「...」



にこ「...あのね?」



にこ「私...事務所から、真姫と一緒に暮らすなって言われてるの」



にこ「それが大きく取り上げられたらマスコミに追いかけ回されたりするから...だって。」



にこ「私は...私は、やっぱり別居した方が良いと思うの」



にこ「わ、私は...ここまで来たから、もっと大きくなりたいの!」



にこ「本物の...スーパーアイドルに...!」



にこ「その為に、これまでやってきたから...!」



真姫「...」



にこ「どう...かしら?」








真姫「いつからなの...?」



真姫「にこちゃん...いつから私のこと嫌いになっちゃったの...?」



にこ「そっ...そんな事...ないわよ。」



真姫「じゃあなんで...っ...そんな事言うのよぉ...ひぐっ」ウルウル



にこ「...」







真姫「嫌よぉっ...にこちゃんと一緒に生活出来ないなんて、嫌に決まってるじゃない...」



にこ「で、でも...」



真姫「にこちゃんは仕事か私、どっちの事が大事なの...?」



にこ「...っ...」



真姫「...」



真姫「...今日は私、食べに行ってくる...」



にこ「...」



真姫「...」



テクテクテク...ガチャツ












にこ「...」









上手く言葉に出来ないけど



仕事より真姫のほうが大切に決まってる



でもそう言ったとしても



今の真姫には、きっと伝わらない









にこ「(これで、良かったのかしら...)」



にこ「...」



にこ「(...時間を置けば、きっと分かってくれるはずよ。...きっと...)」




────────────────



とある道






テクテクテク...



真姫「...」ウルウル



真姫「(にこちゃん...私のこと嫌いになったの?)」



真姫「(私...私はどうしたら...)」



真姫「...」



真姫「(...とりあえず...穂乃果の約束に行かないと。)」



真姫「(...この時間だと、待ち合わせ場所に早めに着きそうね...)」



真姫「(...)」



真姫「(にこちゃんの事もあるけど...切り替えなきゃね。)」




────────────────



───────────



駅前




真姫「ふぅ...着いたわ」




真姫「(...穂乃果、ちょっと場所間違えてるけど...あそこに居るわね)」



真姫「(でも...高校生と比べてちょっと大人っぽくなったというか)」



真姫「(...成長してるのね。穂乃果も)」







穂乃果「(だ、だいぶ早めに着いちゃったけど...真姫ちゃんと会う場所、ここであってるかな?)」



穂乃果「...あっ、真姫ちゃんからメール来てたね。」



穂乃果「(あはは...真姫ちゃんも早めに来ちゃったんだ)」



穂乃果「(私はもう待ち合わせ場所に居るから来てね...っと)」



穂乃果「...」



穂乃果「(真姫ちゃんとこれからワイン飲むって考えたら、楽しくなってきたかも!)」



穂乃果「(今の真姫ちゃんの事とか、色々聞けたらいいな!)」



穂乃果「(...というか、あれってどう見ても真姫ちゃんだよね...)」アハハ



穂乃果「おーい!真姫ちゃん〜♪」









真姫「ほっ、穂乃果...!」



テクテクテク...







穂乃果「真姫ちゃんも早めに来ちゃったんだね...」アハハ



真姫「う、うん...色々あって。」



穂乃果「そうなんだ...それで、真姫ちゃんの言ってるバーってどこにあるの?」



真姫「...こっちよ。着いてきて」



穂乃果「うん!」



穂乃果「でも真姫ちゃん、思ったより変わってないというか...」



真姫「...何よそれ、どういうこと?」



穂乃果「昔から真姫ちゃんは、何かムスッとしてるし!」



真姫「は、はあ!?...あんたはそういう人に気遣いが出来ない所がダメなの!」



穂乃果「もう〜...ほんとは私と遊びたくて仕方ないくせにツンツンしちゃって〜♪」



真姫「う、うるさい〜!一回会ったら、もう一回会っとくのは礼儀だからってメールにも書いたでしょ!?」



穂乃果「分かった分かった!私のこと大好きなんだから〜♪」



真姫「な、なにも分かってないんだから〜!」








真姫「(...穂乃果に、にこちゃんのことを言えるといいけど)」



穂乃果「(真姫ちゃんに、今の私の事とか...話せるといいね。)」





────────────────



穂乃果の家



穂乃果の部屋




真姫「へぇ...懐かしいわね」



穂乃果「昔から何も変わってないでしょ?この本棚の漫画とかさ。」



真姫「べ...別に穂乃果の部屋が見たかったわけじゃないのよ?」



穂乃果「そんな事言って、私の部屋に入りたかっただけなんじゃないの?」フフン



真姫「ちっ...違うわよ!ちょっと...気になっただけ...」



穂乃果「気になって、入ってみたかったんでしょ?」フフン



真姫「で、でも良いじゃない。私好きなのワインを沢山買ってきたわよ?」



穂乃果「楽しみだけど、真姫ちゃんすごい勢いで高いワイン買ってたよね...!」



真姫「...別に、あれが普通よ?」



穂乃果「(お金持ちだなあ)」アハハ



穂乃果「そういや、にこちゃんはお仕事?」



真姫「...」



真姫「...そうよ、仕事。」



穂乃果「にこちゃん、すごく忙しそうだからね...」



真姫「...」



穂乃果「?」



真姫「そ、その...ワイン飲まないの?」



穂乃果「あっ...真姫ちゃんのおすすめのワインとか飲みたいな!」



真姫「穂乃果、あんまりワイン飲んだりしないのよね?...なら、このワインがいいわ」



穂乃果「へえ...じゃあそれで!」




────────────────




穂乃果「うん。このワイン美味しいよ!」



真姫「当たり前よ...まあ、ジュースみたいな優しいワインだけど」



穂乃果「そ、そうなんだね...」アハハ



真姫「私はもっとキツいワインを飲むわよ。よくワイン飲んでるし、酔ったりしないんだからね?」ドヤア



穂乃果「真姫ちゃんとワインを飲みながら家で話すなんて...昔は想像しなかったのにね。」



真姫「そうね...大人になってるわね。」



穂乃果「でも、真姫ちゃんのたまにデレデレする所は昔から変わってないかな?」フフフ



真姫「で、デレデレってなによ?」



穂乃果「...真姫ちゃんって、可愛いね!」



真姫「うっ、うるさいわね...いきなり何?」カァァ



穂乃果「そうやって褒められたら顔真っ赤になっちゃう所かな〜?」フフン



真姫「も、もう〜!もっとワイン飲んでやるんだから!!」




───────────




穂乃果「ま、真姫ちゃん大丈夫?...完全に酔ってるよね..:」



穂乃果「まだそんなに飲んでから時間経ってないけど...」



真姫「わ、私は大丈夫よ〜?酔わないに決まってるじゃない?...ひっく...」



穂乃果「(酔ってるじゃん)」アハハ



真姫「...穂乃果、彼氏とか居ないの?」



穂乃果「い、居ないよ...自分のことで精一杯だもん」アハハ



真姫「そんな綺麗な顔してるのに...勿体無いわよ〜?」



真姫「今の状態で私がもし男だったら、確実に穂乃果のことを襲ってるわよ?」



穂乃果「(真姫ちゃんは一体何を言ってるんだろう)」



穂乃果「というか真姫ちゃんも、彼氏居ないんじゃないの?」



真姫「あ、当たり前よ。居るわけないでしょ?」



穂乃果「あっ、真姫ちゃんにはにこちゃんが居るからね〜!」フフン



真姫「...っ...」



穂乃果「...?」



穂乃果「もしかして...にこちゃんと何かあった?」



真姫「!?...わ、わかるの?」



穂乃果「私もそこまで鈍感じゃないよ...どうしたの?」



真姫「そっ、そんな大した事じゃ...」



穂乃果「...」



真姫「...」



真姫「...」ウルウル



真姫「そ、その...っ...」



穂乃果「...だ、大丈夫?」



真姫「ひぐっ.....ぐずっ...」ボロボロ



穂乃果「...落ち着いて?大丈夫だから...」ヨシヨシ



真姫「...穂乃果ぁ...ひぐっ」ダキッ



穂乃果「真姫ちゃんは、よく頑張ってるよ...」



穂乃果「(抱きつかれると、すごいワインの匂いが...)」アハハ



真姫「にこちゃんはあっ...私の事なんてどうでもいいのよお...ひぐっ」



真姫「いつの間に...いつの間にこんな事になったのよ...ひぐっ...」



穂乃果「...真姫ちゃん?」



真姫「なによおっ...」



穂乃果「一回、深呼吸してみて...?」



真姫「...」



真姫「すぅ...はあぁ...」



穂乃果「...」



真姫「...」



穂乃果「...落ち着いた?」



真姫「...うん...」



穂乃果「(真姫ちゃん、顔が見えないように私に抱きついてきてる...)」アハハ



穂乃果「...具体的にどういう事があったか...話してくれると嬉しいな!」



穂乃果「人に話すだけでも、ちょっとは楽になるかもよ?」



真姫「...わかった。」



───────────



───────────



穂乃果「へえ...そうなんだね。」



真姫「...それで事務所から、一緒に過ごすのは止めろって言われたらしくて...」



穂乃果「...」



真姫「...最近のにこちゃんもね?私をどこか避けてるような感じがしてて...」



真姫「そう思ってたら、にこちゃんからこんな事言われて...」



真姫「にこちゃんは...私より仕事の方が大事なのよ...」



穂乃果「...」



穂乃果「(ずっと私に抱きついてるんだけど...そろそろ暑いね)」アハハ



穂乃果「あのね、真姫ちゃん?」



真姫「...」



穂乃果「...私はにこちゃんじゃないから...本当にどう思ってるかは分からないんだけどね?」



穂乃果「私はにこちゃんの事、今でも大好きだよ!」



穂乃果「ぱっと見ふざけてるようにしか見えないけど...真面目な時はすごく真面目で」



穂乃果「私はそんなにこちゃんが大好き!...真姫ちゃんは?」



真姫「...わ、私だって...」



真姫「にこちゃんに嫌われても...にこちゃんの事は好きよ...だって...」



真姫「...」




自分の夢を求めて努力し続けて...



そうやって頑張ってるにこちゃんを見てると



私も頑張らなきゃってなるから



真姫「...」





穂乃果「さっき言ったように、にこちゃんの本当の気持ちなんて私には分からないけど...」



穂乃果「にこちゃんは、何を考えて真姫ちゃんにそう言ったか...じっくり考えてみて欲しいな。」



真姫「...」



穂乃果「私はね?にこちゃんは、真姫ちゃんの事が大好きだからそう言ったと思うよ。」



穂乃果「もちろん、にこちゃんのお仕事よりも!」



真姫「... 」



穂乃果「もしここで真姫ちゃんと一緒に暮らし続けたら...にこちゃんのお仕事が無くなっちゃうかもしれないよね?」



穂乃果「にこちゃんは...スーパーアイドルのにこちゃんを、真姫ちゃんに見せたかったんだと思う。」



穂乃果「真姫ちゃんも、そんなにこちゃんを見ることが幸せなんじゃないかな?」



真姫「...」




にこちゃんは私の事が大好き



当たり前なのに



当たり前なのに、なんでそれに気づかなかったんだろう





真姫「...私は、どうしたら...」



穂乃果「とにかく...にこちゃんとしっかり話し合う事が大切なんじゃないかな?」



真姫「...」



真姫「...穂乃果?」



真姫「...あ、ありがと...私の思い込みで、何も問題は無かったのかもしれない。」



穂乃果「...ならまず、私の身体から離れる事から始めよう!」



真姫「は、はあ!?」ガバッ



穂乃果「ようやく離れてくれた...」アハハ



真姫「だ、だって...穂乃果が頭撫でてくるのが悪いの!」カァァ



穂乃果「(可愛らしいなあ)」



穂乃果「...私、普段はあんまり人の話を聞いたりするタイプじゃないのに...ちょっと酔ってるのかな?」



穂乃果「酔いすぎて雪穂に怒られるのも嫌だから、ほどほどにしておこう...!」



真姫「...そういや、穂乃果のお母さんは見かけなかったけど、どうしてるの?」



穂乃果「お母さんはね、今入院してるんだ...」アハハ



真姫「に、入院!?だ、大丈夫なの...?」



穂乃果「明日にはもう家に帰って来ると思うよ...仕事中に倒れたんだって。」



真姫「それは不安ね...ほら、私も昔はお世話になったし」



穂乃果「ええっ!真姫ちゃん、うちのお母さんと仲良かったっけ?」



真姫「いっ、いや...よく和菓子を貰ったりしたじゃない」



穂乃果「な、なるほどね...」



真姫「でもお母さんの身体の調子が悪いと...実家で暮らしてる雪穂にも、頑張ってもらわないとね」



穂乃果「...あのね?」



真姫「?」



穂乃果「私...実家じゃない和菓子屋でバイトしてるんだけどね?」



穂乃果「今、正社員にならないかって話を持ちかけられてるんだ」



真姫「...」



真姫「...それで?」



穂乃果「...その話、受けちゃおうかなって」アハハ



真姫「...音大はどうするの?シンガーになるんじゃなかったの?」



穂乃果「...」



穂乃果「音大に入るとさ...私なんて、全然才能が無くて」



真姫「勉強も出来る上に音楽も出来る人が集まる学校だし、仕方ないんじゃないの?」



穂乃果「...私は、高校生の時は自分は何でも出来る。って思ってたんだ。」



穂乃果「でも、そうじゃないって事が...大学に入って初めて分かって...」



真姫「...それで、音大は辞めちゃうの?」



穂乃果「うん...前に私が体調を崩して倒れちゃったんだけどさ」



穂乃果「そんなに身を削ってまで大学に行く意味って...何なんだろうって。」



真姫「...」



穂乃果「...」



真姫「...分かった。穂乃果のやりたい事はよーーく分かった!」



真姫「...私、ちょっと行きたい所があるの。着いてきて?」



穂乃果「...えっ?」



真姫「いいから!...ここから近いんだし。」



穂乃果「い、いきなりどうしたの...?」





────────────────



とある道






穂乃果「それで行きたい所って...どこなの?」



穂乃果「もうそろそろ日も落ちちゃうよ〜?」



真姫「いいから、ついて来なさいよ」



真姫「というか...ここまでずっとこの道通ってきたんだから、気づかないの?」



真姫「...はい、到着よ。ここ!」



穂乃果「...」



穂乃果「学校...?」



真姫「そうよ。懐かしいでしょう?」



穂乃果「あ、あはは...久しぶりに見たよ。」







真姫「...屋上、見える?」



穂乃果「お、屋上...?」ジ-ッ



穂乃果「...」



真姫「私も実家に帰る道でね、たまにこうやって屋上眺めてるんだけど....」



真姫「いつも見てると思い出すの...」



穂乃果「...」



真姫「穂乃果が悪ふざけをして、海未が追いかけまわして...」



穂乃果「...」



真姫「それでも、練習になれば穂乃果も本気で練習して...」



真姫「それで...あんな事までやり遂げて。」










ああ、そうだった



自分がどれだけ変わっても



過去の思い出は変わらないんだ



みんなとの楽しかった高校生活も



最後まで成し遂げたことも



ぜんぶ私だったんだ。














穂乃果「...」ウルウル



真姫「...穂乃果はそうなの。無茶をして、周りに迷惑をかけて」



真姫「それは今の穂乃果も変わらないのよ。...穂乃果は、ずっと穂乃果なの。」



真姫「穂乃果は他の人と比べて、才能が無いって言ってるけどね?」



真姫「無鉄砲で他人に迷惑を掛けちゃうけど...とにかく頑張って...」



真姫「そんな穂乃果は昔から何も変わらない...あなたにしか無い才能なのよ。」



穂乃果「ひっぐ...うぐっ...」ボロボロ



真姫「...自分に正直になれないことがあるのも、昔から何も変わってないの。」



真姫「本当は、音楽をしたいんでしょう?」



真姫「私も...私も、そういう気持ちは分かるんだから。」



穂乃果「...えぐっ......ひぐっ」



穂乃果「...ぐすっ...」



穂乃果「...」



穂乃果「...真姫ちゃん...?」



真姫「...なに?」



穂乃果「今からでも...大丈夫かな?」



真姫「...」



真姫「どうにでもなるわよ。それが穂乃果でしょ?」フフフ






────────────────




穂乃果の住むマンション




ガチャッ



穂乃果「...ただいま。」



穂乃果「...」



穂乃果「(真姫ちゃん...)」



穂乃果「(海未ちゃんもそうだけど...)」



穂乃果「(昔から、みんなには支えられっぱなしだね)」アハハ



穂乃果「...あっ!」



穂乃果「(せ、洗濯物をしないと...)」



穂乃果「...」



穂乃果「(勉強机の上...)」



穂乃果「(海未ちゃんから前に貰った、詞のノート...)」



穂乃果「...」




改めて手に取って表紙を見てみた


普通のノートなんだけど、海未ちゃんらしい綺麗な字で「作詞ノート」と書かれている





穂乃果「...」 ペラッ





穂乃果「...?」



穂乃果「表紙の裏なのに...何か書いてる?」



穂乃果「...!」



穂乃果「これは...」










このまま誰も見向きをしてくれないかもしれない



応援なんて、全然貰えないかもしれない




でも、一緒懸命頑張って



私たちがとにかく頑張って



とどけたい



今、私達がここに居る、この想いを。




───あの時のあの言葉。


私は、一度も忘れていませんよ



海未より









穂乃果「...」






自分には、何かが離れていた



その何かが、また自分の中に入ってきて



自分を取り戻せた



そんな気がした








穂乃果「...」



穂乃果「私は...」





────────────────



時は過ぎ...






穂乃果の実家






ドタバタ...



雪穂「お母さんっ、おかーさんっ!!!」



ほのかママ「もう、うるさいわね。どうしたの?」



雪穂「お姉ちゃんから手紙が届いたよ!」



雪穂「この手紙、やっぱり外国から来た匂いがするよ...!」



ほのかママ「そ、そう?...確かに分からないこともないけどね。」



雪穂「じゃあ中身、開けるね...!」



ほのかママ「...?」



雪穂「あれ、三行しか書かれてないけど!」



ほのかママ「...ふふふ。」



雪穂「...でも、そういう所お姉ちゃんらしいね!」



ほのかママ「そうね♪」



────────────────



海未の部屋





海未「...」



海未「(海外で暮らしてる穂乃果から...手紙が届きました。)」



海未「(こ、これは...嫌な予感がします!)」



海未「(外国で大変な目にあって帰りたいというお手紙でしょうか!?犯罪に巻き込まれてたり...!)」



海未「...」ハッ



海未「(な、何をバカなことを考えているのですか!?開けますよ?手紙を開けますよ?)」



海未「...」



海未「穂乃果...」





海未「(...私から穂乃果に言える事は、もう何も無いかもしれません。)」





────────────────



真姫の別荘





にこ「...」ソワソワ



真姫「...」



真姫「にこちゃん、何でそんなに忙しそうににしてるの...?」



にこ「だ、だって、落ち着かないじゃない。真姫の別荘っていうのも、真姫と会うっていうのも...」



真姫「...最近、にこちゃんも忙しかったからね。」



にこ「...ごめんね。もっと会える時間が取れればいいのに...」



真姫「お互い休みの日だけでも、こうやって会えるんだから...大丈夫よ。」



真姫「山奥の別荘なら、マスコミも追ってこないでしょう?」



真姫「...それに、にこちゃんも懐かしいでしょ?この別荘。」フフフ



にこ「...高校生の時を思い出すわね。」



にこ「久しぶりに、真姫のピアノも聴けたからね!」



真姫「なっ、何となく弾いてみたかっただけよ...」



にこ「え〜?にしては、熱唱しながら歌ってたわよね?」フフン



真姫「ど、どうせやるなら、きっちりした方が良いでしょ!?」



にこ「録音しといたから、後で希に送りつけてやろうっと。」フフン



真姫「な、何すんのよ!?そのデータは消しなさい!」



にこ「やだもんね〜!花陽にも聞かせててやるんだから!」



真姫「もうっ、いい加減にして〜!」



にこ「...」



真姫「...何よ。急に静かになって」



にこ「...私の仕事が落ち着いたら、また一緒に暮らしましょうね」



真姫「...うんっ。約束ね?」



にこ「当たり前よ!」



真姫「そういや、穂乃果から手紙が来てたの。」



にこ「へええ...大学辞めて、外国でよく頑張るわよね...ほんとに穂乃果は。」



真姫「にこちゃんと一緒に読もうと思って、まだ開けてなかったの。開けるわよ?」



にこ「うん...!」



真姫「...」



真姫「...?」



にこ「!」



真姫「ふふっ...」



にこ「本当に穂乃果は...いつまで経っても穂乃果なんだから」
















────



みんなで叶える物語は終わりません



わたしも、みんなも



これからも輝きを追い求め続けます



────












────────────────


穂乃果「小さくて重なるように」完


────────────────







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1: りんたそおおおおお 2015-08-24 00:28:57 ID: 1s0ZtWwM

ssのタイトルにもちゃんとした意味があります(。-_-。)それは最後に紹介しようと思います!

2: りんたそおおおおお 2016-04-01 22:06:11 ID: 1LchrCHK

絵里「私の力は小さくても...私が頑張れば、きっと沢山の人が力になってくれると思うの。」

作中の絵里ちゃんのこの言葉が、そのままタイトルに繋がってます(・ω・)

読んで頂き、本当にありがとうございました!!


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