2017-10-04 23:51:24 更新

概要

 提督の何時もの日常を切り抜いた何処にでもある話である。


前書き

 思い付きで書きました。
 反省も公開もしてません。
 下ネタ注意、なのかな?


 提督の朝は早い。


 六時に一分前に起床し、三百六十度何処から迫ってくるか分からない金剛の突進を回避することから始まる。


金剛「提督~!!!」


 如何やら今日の金剛は窓を突き破ってきたようだ。

 提督は何時ものように、金剛に背負い投げをかまし、食堂に足を運んだ。

 敷きっぱなしにされた布団は金剛が匂いを嗅ぎながら片付けてくれる。

 虫唾が走るが、これを争い、一日を無駄にしたことのある提督は既に諦めていた。

 提督は大人なのである。


大井「提督、だらしないですよ。(北上さんにその姿を見せて悩殺か、ああんっ!? そんなこと絶対にさせないからな! 落とされるのは私だけでいいんだよ!!!)」


提督「・・・(ガクブル)」


 そのまま通り過ぎた大井の忠告を無視し、そのまま食堂に向かった。

 拗ねたのではない。

 面倒だからだ。

 提督は大人なのである。

 大人、なのである。




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 食堂に付くなり、提督は鳳翔さんに朝ご飯を頼む。

 いつもの、である。


鳳翔「いつもの、ですね。(提督さん、毎朝いつものと言うけれど、何をお出ししても何も言わないのよね・・・いつものと、言いたいだけかしら?)」


提督「・・・(コクリ)」


 今日の朝食はご飯とみそ汁、後瑞鳳が馬鹿みたいに作った卵焼きの山である。(十段)

 ご丁寧にそれぞれの卵焼きの味が違い、二段三段と食べ進めていった。

 そして山ほどあった卵焼きは完食した。


鳳翔「お粗末様です」


提督「・・・(コクリ)」


 七時一分前。

 後ろから跳びついてくる比叡をあえてキャッチする。


比叡「ひ、ひえぇ~~~~~~~!?」


提督「・・・危ないぞ、気を付けろ」


 そう言って提督は比叡の頭をぽんぽんする。

 比叡は顔を真っ赤にし、ふら付いた足取りで、名残惜しそうに、提督の下を去ろうとする。

 突如振り返り、提督を指さし、大声で叫ぶ。


比叡「こ、この比叡! お姉さまを手に入れるために提督を手籠めにしようとしているんですからね! 他意は・・・無いんですからね!!!」


提督「・・・(コクリ)」


 提督の返答を期待していなかったのか、比叡はその場を逃げるように立ち去って行った。




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 提督はそのまま、駆逐艦達の宿舎に入っていった。

 まだ眠っているかも知れない艦娘を起こすためだ。


雷「あ、司令官! もう、皆を起こすのは私がやるって言ったのに」


提督「・・・すまんな、だが、もう癖みたいなもんだ。勘弁してくれ」


雷「別に起こってるわけじゃないわよ。司令官が嫌ならってだけで」

提督「嫌じゃない」


 提督はいつの間にか、雷に近づき、その目を合わせながら頭を撫でた。

 雷の顔が赤くなっていくのを確認し、叫ぶ直前で撫でるのを止め、立ち上がる。


雷「あっ・・・。・・・し、司令官。私、朝ご飯食べてくるわね!」


 雷は小走りでその場から逃げて行った。

 提督はその後姿を視界から外れるまで見送り、ある一部屋の前でノックする。

 するとノックと同時に扉が開き、艦娘が提督に抱き着いてくる。


???「提督! 昨日より遅いじゃない! どういう事よ!」


提督「・・・すまない、曙。少しそこで雷と会ってだな」

曙(・・・あのちゃっかり)


提督「ん? ・・・どうかしたか?」


曙「いいえ! 何でもないわ! さ、早く入って!」


提督「・・・分かった」


 提督は引っ張られるように部屋に入れられ、曙の布団の上に座る。


提督「それで、・・・容体はどうだ?」


曙「・・・もう、無理だと思うわ。思い出すことも、今の心を、忘れることも」


提督「・・・・・・そうか」


 曙は昔、護衛任務中に襲撃に合い、護衛艦を守るために頭部に被弾。

 何とか一命はとりとめたもの、過去からその時に至るまでの記憶が消し飛んでおり、完全な記憶喪失になっていた。


曙「だからいいのよ。そう悲観しなくても。・・・どうしてもって言うんだったら、せ、責任を」

提督「俺がかなえられる範囲の願いは叶えてやる。きちんと、考えろよ」


曙「・・・分かってるわよ。冗談よ、冗談。アンタから、その気にさせてやるんだから!」


提督「・・・」


曙「どうしたの? 上見上げて?」

榛名「榛名は大丈夫ですっ!!!」


 姿を確認した提督はすぐさま立ち上がり、曙の部屋を後にする。

 勿論とばかりに榛名もそれを追う。


榛名「提督ー! 榛名は何時でも何処でも大丈夫です! 榛名、戦え(夜戦)ます!」




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 榛名との鬼ごっこは、若干目がギラついた重巡洋艦が追加され、提督は本気で貞操の危機を感じ始めていた。

 資材保管庫を曲がり、一人の艦娘を見つけ、そいつを抱きかかえ、海にダイブする。


???「きゃ!?」


榛名「提督ー! 榛名は何人一緒でも大丈夫ですからー!」


あしがら「ていとくー? どうしてわたしからにげるのー?」


 海中から、遠くに行く榛名と小っちゃいあしがらを眺めながら、一緒に潜った(強制)艦娘が人差し指で海上を指さしていた。


???「ぷはっ。 提督、急に海に沈めるのはやめるでち」


提督「・・・すまん。 かなり、危なかったからな」


伊58「榛名はともかくとしてあしがらちゃんは大丈夫じゃないんでちか?」


提督「・・・知りたいか?」


伊58「めんどそうだからパスでち」


 二人は陸に上がり、提督はこの後風呂に向おうと決意した。

 そんな提督のわき腹を伊58が突き、真剣な目を提督に向ける。


伊58「提督、ゴーヤの練度は99でち」


提督「・・・(コクリ)」


伊58「そして、最近は全く出撃していないでち」


提督「・・・いいことだろう」


伊58「良くないでち! 暇なんでち! 他の子と遊ぼうと思っても避けられるし、私以外の潜水艦は皆オリョールに出撃してるし、暇なんでち!!!」


 若干駄々っ子のように暴れる伊58を見て、提督は思わず笑みがこぼれる。


伊58 「何笑ってるんでち?」


提督「・・・オリョール行きたくないと駄々をこねていたゴーヤが、今度は行きたいって言っているんだ。おかしいだろう?」


伊58「・・・提督、あの時の労働環境と今の労働環境を比べてみるでち」


 提督は特に考えるまでもなく、比較し、答えた。


提督「・・・昔は単艦出撃、今では四人組にして疲れてきたら交代って感じだな」


伊58「そうでち!!! おかしいでち! 昔は地獄だったオリョクルも今じゃバイトみたいなもんでち!」


提督「・・・潜水艦が着々と着任しているからな。・・・最近だと、ルイージトレッリとか」


伊58「そういえば、何でうちの鎮守府にはしおいが居ない」

司令官「それ以上はいけない」


 伊58が呆然としているのを横目に見ながら、提督は浴場に向かう。


提督「・・・そんなに暇なら、鳳翔さんの所で料理でも勉強したらどうだ? 他の潜水艦の為に作ってやるのもいいかもしれないぞ?」


 伊58に背を向けながら去っていく提督を見ながら、伊58は薄ら寒い気配を感じていた。


伊58「今の、何だったんでち?」




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 提督は艦娘達も入浴する大浴場に足を踏み入れる。

 しかし、今の時間帯は艦娘は誰も入っていない。

 無論、提督がそういう時間帯を狙ったのである。


提督「・・・気持ちいい」


???「ええ、そうですね」


 独り言に返事が返ってくるとは思わず、提督は恐る恐る後ろに振り返る。

 そこには霧島が一糸纏わぬ姿で入浴していた。

 提督はため息を吐き、再び正面を向く。

 霧島は姉たちとは違い、跳びついて来たり、実際の行為に及ぼうとはしない。

 しかし、確実に提督が入浴するタイミングで霧島は風呂に入っているのだ。

 基本的に気配を消しているのか、居ることに全く持って気が付けないのだが。

 提督が風呂から上がるが、霧島は今だ悠然とお湯につかっている。

 表情は全く変わっていないが、この瞬間だけ、視線をひしひしと感じるのである。

 提督は逃げるようにして、浴場を後にした。




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 九時。

 提督は執務室の扉を開け、中に入る。

 既に中には加賀が居た。


加賀「お疲れ様です、提督」


提督「・・・今日は加賀か」


加賀「何か問題でも?」


提督「・・・いや」


加賀「そう・・・いいけれど」


 正規空母たちは毎朝、提督の秘書艦を誰がやるかを争っている。

 因みに今日の対決は誰が一番提督とのむねきゅんデート話を作文用紙(三十枚)に書けという事だ。


提督「・・・・・・聞いていないのだが」


加賀「知ってほしかっただけなので」


 加賀はそう言うと、微笑を湛えながら、此方を見つめていた。

 若干、背筋がゾワリとした。


提督「さ、さて、溜まってたはずの書類を終わらそうか」


加賀「全て終わっています。重要そうなものだけ、プロファイリングされております」


提督「・・・(読みやすいな・・・どれくらいの時間をかけたんだ?)」


 加賀の気の入れようがすさまじく、思わず苦笑いが浮かぶ。

 加賀の方に視線を向けると、待てと言われた犬のようになっていた。

 提督はため息を吐き、加賀に近づく。


提督「・・・加賀、よくやった」


加賀「・・・・・・やりました」


 提督が加賀の頭を撫でてやると、先程まで無表情だった顔がだらしなく綻ぶ。

 提督は苦い物を飲んだような顔になり、加賀の気が済むまで頭なでなでを止めることは許されなかった。


加賀「・・・提督、感謝します」


提督「・・・そ、そうか」


 提督はちらりと壁にかかった時計を見た。

 時刻は既に十二時を迎えそうになっていた。




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 提督は加賀と指令室で分かれ、食堂に向かった。

 この鎮守府では、昼は基本的に個々で用意することになっている。

 昼になると大半の艦娘は出撃しており、夕方ごろになるまで帰投してこない。

 なので昼に食堂は空いていないのだが、提督は食堂の裏口から入る。

 基本的に裏口は、調理をするために艦娘が入るのだが、提督はその料理を味見する役目を担っていた。


鳳翔「あら? 提督さん、今日はお早いですね」


提督「・・・秘書艦が加賀だったもので」


鳳翔「ああ、そういう事でしたか。提督さん、今日はここに来た子たちが多いですから・・・大丈夫そうですか?」


提督「・・・善処する」


 そう聞くと、鳳翔さんは提督を席に付かせ、どんどんカレーを持ってくる。

 具沢山なカレーや、具が溶けきっているカレー、ご飯にレトルトカレー(未開封)、卵焼きカレー、最後に見た目は普通だがいい匂い(洗濯物感)がするカレーが運ばれてきた。


提督「・・・(パクパク)」


鳳翔「ああ、提督さんも驚きますよね。形はどう見て卵焼きなのに、色がカレーですから」


提督「・・・(ブンブン、パクパク)」


鳳翔「あ、もしかしてレトルトの方でしたか? あ、そういえば島風ちゃんが自分で食べる用だったと思いますね。すいません提督さん。島風ちゃんにこれ渡しに行きますので、食べてください」


提督「・・・」


鳳翔「それでは(ニコッ)」


 扉は音もたてずに締まる。

 取り合えず他の二つを食べ、部屋から退出(撤退)しようとした提督だが、無情にもこんな張り紙がしてあった。


『カレーの皿に鍵が貼ってあります。驚きましたでしょうが、誰かが底に貼ってしまったようです。お茶目ですよね』


 がくりと、膝から倒れる。

 張り紙にはかわいらしくデフォルメされた鳳翔さんが描かれているが、それは死刑宣告を述べているようにしか、思えなかった。

 少なくとも、提督はそうだった。

 ゆっくりと起き上がり、元の席に座る。

 置いて有るのはいい匂い(レノ〇的な)なカレー。

 提督は震える手でスプーンを握る。

 口内に溜まった唾液を飲み込み、カレーをすくい、口の中に入れる。

 咀嚼はせず、一気に飲み込んだ――。


提督「・・・・・・・・・・・・直ちに人体に影響は無いのガハッァ!?」


 胃が焼けるような激痛を放ち、椅子から転げ落ちる。

 提督が意識を手放す瞬間、右手に握られていたスプーンは、色が変色していた。


提督(銀、は・・・毒物に、はん、の、う・・・する、な・・・)


 提督は自分の平和ボケ差加減に、思わず苦笑いが漏れた。




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 目を開けると、そこは見知った天井だった。

 思わず昔を思い出しそうになるのを、抑える。


明石「ああ、気が付いたんだ」


提督「・・・明石、さん? 助けてくださったんですか?」


 明石は咥えていた煙草の火を消し、肩をすくめた。


明石「なわけ。あの殺人カレーを作った犯人があんたを担いできたのよ」


提督「・・・卯月、ですかね」


 明石は若干和らいだ視線を向け、軽く拍手を送った。


明石「流石だね。あいつはあのカレーを最初赤城に食わせたらしい」


提督「!? 赤城はどうなんですか!?」


明石「落ち着け。赤城はあれをうまいうまいって食ったらしい」


提督「・・・・・・正気ですか?」


明石「如何やら、マジらしい。それで提督にも喜んで欲しい―って感じ」


 提督は脱力するようにベットの上に横たわる。

 それを横目に、明石は新しい煙草に火をつける。

 提督はそれを非難めいた眼差しを向ける。


提督「・・・明石さん」


明石「ここからが重要な話だ。こーいうのが無かったら言えないね」


提督「明石さん・・・それは、煙草ですか?」


明石「安心しろ。ただの煙草だ」


 明石は空を見上げながら、煙を吹く。


明石「大本営からの発令。敵深海棲艦の発生を確認。なお以前よりも数は少ないが、それを補って余りある個々の強さがあるとのこと」


提督「・・・それって」


 明石は一度、煙を吸い込み、吐き出す。

 煙草に付いた火を消し、提督と向き合う。

 提督から見た明石の目には、何の感情も抱いていなかった。


明石「前回、深海棲艦を潰すときに出した、艦娘。・・・それで、沈んじゃった子たち、だろうね」


提督「・・・・・・まさに、鼬ごっこ、ですね」


明石「そんなかわいらしいもんじゃないんだけどね」


 明石は棚からウィスキーを取り出し、グラスに注いでいく。

 明石はそのまま一気飲みし、提督にもそれを進めてくる。

 だが、まだ時刻は昼だ。

 この後も仕事のある提督は酔っては居られなかった。

 明石は渋い顔をし、提督に進めていたグラスを持ちながら、話を切り出した。


明石「素面だと、いろいろキツイ。覚悟して聞けよ?」


提督「・・・・・・(コクリ)」


明石「はー。・・・各々の鎮守府は二十四時間警戒に艦娘を展開。輸送任務を敢行、常時出撃せよ。なお、敵軍艦を鹵獲した者には褒章を授ける。・・・以上よ」


提督「理解は、しました。ですが、うちの鎮守府は別の方針でやります。と、返答しておいてください」


 明石がグラスに残った酒を飲み干す。

 胡乱気な瞳を提督に向け、言葉を紡ぎだす。


明石「了解よ。けど、提督」


提督「・・・何だ?」


明石「・・・自分の体も、大切にね」


提督「・・・・・・」


 無言でベットから起き上がり、帽子を深くかぶり直す。

 提督は、入り口で軽く振り返り、自信をもって答える。


提督「その時は、全部、俺が何とかするさ」


明確な返事は返さず、提督は明石の私室を後にした。




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 十五時。

 提督は艦娘の寮とは反対側に位置する建物に入って行く。

 そこには部屋の名前も書いておらず、ただ重厚な鉄扉が通路を塞いでいるだけだ。

 提督はその扉を開けるのではなくノックする。

 二回、三回、二回と間隔を開けノックする。


???「テイトクッ!」


 鉄扉がまるで普通の扉のように勢いよく開かれる。

 提督は扉をノックした後、すぐさま後ろに下がっていたが、下がらなければ潰されていただろう。


???「テイトクッ! レップウッ、レップウワ?」


提督「・・・ほら、ほっぽ、持ってきたぞ」


ほっぽ「ワーイ! レップウ!レップウダー!」


???「コラ、ほっぽ。提督さんにアマリ、迷惑をかけちゃ、だめよ?」


提督「・・・気にするな、港湾。捕虜としての待遇は良くした方が、情報も吐きやすいだろう?」


港湾「そういう嘘は、ツウヨウ、しませんよ?」


 やれやれと言いたそうな表情で提督を見つめる女性は、敵艦、港湾棲姫である。

 先程の艦載機を受け取った幼女も、敵艦、北方棲姫である。

 何故彼女たちがここに居るのかは割愛するとして、この場所は敵艦を捕虜として受け入れる施設と称されている、大本営が用意した研究施設だ。

 研究対象は、勿論敵艦。

 どうすれば簡単に沈められるか、何処が弱点なのかを捕虜を捕まえ次第、実験せよと言われている。


提督「・・・どうして、そう思う?」


 提督は何度目か分からない質問を、港湾に返す。

 港湾はにっこりと微笑み、何時もの答えをいう。


港湾「大スキ、だからです」


提督「・・・何時も聞いている」


 提督が呆れたように返すと、港湾は頬を膨らませ拗ねた表情を作る。

 提督が港湾の表情を眺めて居ると、後ろから跳びつくように抱き着かれる。

 思わず目を開き、抱き着いてきた正体を見つめる。


ほっぽ「ホッポモ、テイトクサンノコト、ダイスキダヨ!」


提督「っ! ・・・・・・そうか」


 ほっぽの頭を撫でまわし、提督はそれまでの疲れを取るかのように、ほっぽ達と一緒に外に出て、日向ぼっこをしていると、いつの間にか艦娘が帰投する時間帯に入っていた。

 提督は急いで二人と別れを告げ、大急ぎで指令室に向かって走った。


港湾「相変わらず、キノ、抜けているカタ、ですね」


ほっぽ「ホッポ、オナカスイチャッタ! オネーチャン! ゴハン! ゴハン!」


港湾「はいはい、チョット、待っててね」


 二人は軽やかな足取りで、元居た部屋に戻っていった。


 一応の補足だが、彼女たちの存在は秘匿されており、この鎮守府の艦娘はほとんど知らない。

 だが、二人の生活水準は提督の力によって一定以上に保たれている。

 二人は、捕虜でありながら、平和な暮らしをしていたのだが。


青葉「・・・あ、青葉、み、見ちゃい、ました・・・。だ、大スクープです!」


 果たして、彼女たちの平穏な生活は続くのか、それはまた別の機会に。




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 十七時。

 提督は指令室の扉を開いた。


赤城「提督、お疲れ様です」


提督「・・・赤城? 加賀は?」


 提督が聞くと、苦笑を浮かべながら赤城は答える。


赤城「加賀さんは・・・現在他の方々が折檻しております」


提督「・・・・・・そうか」


 提督は、続きの言葉を促さす、その話題を無理矢理切った。

 提督が机に向かう前にノックが響く。

 提督は壁にかかった時計を確認し、少し早いと思いながら入室を促した。


提督「・・・入れ」


摩耶「第一艦隊、帰投したぜ」


提督「・・・ご苦労」


 提督がそう答えると、摩耶は提督の傍まで近づく。

 摩耶はにっこりと笑みを浮かべており、提督は呆れるように摩耶の頭に手を置いた。


提督「摩耶、ご苦労だった」


摩耶「・・・・・・オゥ! 勿論だ! 次はどの海域に向えばいいいいいぃぃぃぃ!?」


提督「・・・摩耶」


 摩耶が提督を見上げると、提督は摩耶の両肩に手を置き、じっと摩耶の目を見つめていた。

 摩耶は居心地が悪そうに、もじもじしながら少し睨むように提督を見返す。


摩耶「・・・何だよ」


提督「・・・ほら、間宮権だ。週末くらいは休め」


摩耶「・・・一人は、嫌だぞ」


提督「・・・そうか、何人誘うんだ? 間宮権ならまだ」

摩耶「提督、アタシと一緒にいこーぜ?」


 瞬間、指令室が凍り付くような錯覚を覚える。

 本棚の陰、窓の外、唯一の扉の外、植木の後ろ、そして、摩耶の真正面に居る赤城が、摩耶に殺気をぶつけていた。

 摩耶はそれに気が付かず――


摩耶(あああああ! 平常心平常心! てか、空母の人達の殺気がヤバい!? せ、戦場でもこんなのくらった事ねえぞ!?)


 否、気が付いていた。

 内心冷汗がだらだらの摩耶に対し、提督は気配に気が付いているのか、いないのか。

 何事も無いように、いいぞ、とだけ答えた。


摩耶「・・・えっ?」


提督「・・・何だ、冗談だったのか。すまないな、摩耶。冗談なのに本気にしてしま」

摩耶「明日ヒトマル、マルマルに鎮守府正門待ち合せな! 忘れんじゃねーぞ! じゃあなーーー!!!」


 顔真っ赤にし走り去っていった摩耶を呆然と見つめる提督。

 その後ろで空母たちが誘えば来るという事をそれぞれメモしていたことに気が付いたのは、誰もいなかった。




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 夕食の時間帯。

 提督が食堂に向かうと、既にカレーを頬張っている艦娘達も居た。


暁「ちょっと、まだ提督来てないでしょ? 食べるのやめなさーい!」


Верный「いや、丁度今来たようだね」


 えっ? っと、小さく呟きを洩らし振り返る暁に、Верныйは扉の前に居た提督を指さしていた。

 暁は帽子を深くかぶるようにして、表情を隠す。


提督「・・・暁、別に俺がいなくても食べ始めていて良かったのだが」


雷「提督! そんなんじゃだめよ! 皆には、もーっと提督を好きになってもらわなくちゃ!」


Верный「食べ物で釣るのはいい作戦とは言えないな・・・」


暁「ま、まあ。私達は待ってたんだし、一緒に食べましょ!」


提督「・・・・・・ああ、分かった」


Верный「・・・・・・提督、無理をする必要は」


提督「無理ではない。ただ・・・少し、複雑なだけだ」


 提督は少し俯いたように言うと、他三人もそれに合わせたかのように押し黙ってしまう。

 それに対して、何処か愛おしさを感じた提督は、一人一人の頭を撫でる。


提督「・・・ならば、頂こう」


暁「! ・・・提督、こっちよ!」


Верный「暁、気を付けて。下手すると転ぶ」


雷「良いじゃない。Верный、私達も食べましょ」


Верный「そうだな、それもいいか」


 提督は一つのテーブルに案内され、そこに腰掛ける。

 目の前にはカツカレーを出され、カレーから漂うスパイシーな香りが提督の食欲を掻き立てる。

 スプーンを掴もうとした時、前から声がかけられる。


暁「提督、」


三人「召し上がれ」


提督「・・・ああ、頂くとするっ!」


 ここは鎮守府。

 人々を守るために、日夜命を懸けて深海棲艦と戦い続ける艦娘達の最後の砦。

 そんな彼女たちを支える、一人の人間は今日も静かに、毎日を過ごす。


(おわり)




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 提督の一日が、終わりという事です。

 次週は多分青葉のサイドストーリーを投稿します。

 アンケート何てありませんでしたwww。


 こんな終わり方にしてしまったせいか、何か一人足りなくね? って思ってる方多いと思います。

 えっとですね、それに関しては下にスクロールしていったら分かると思います。

 ただですね、これを見て「〇ね」とか、暴言を吐きたくなっちゃうかもしれませんので、そういうのが許せる方。

 簡単に言うと本当に二次創作なんです。

 それを理解して見ていただきたいです。


 許せねぇよカスっって人は、ここまでの駄文見ていただきありがとうございました。

 また新しい作品で合いましょう。

 さようなら。


 あとがきはありません。


































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「戦争には勝ちたいけど・・・命は助けたいって、思っていました・・・」


 思い浮かびあがるのは、重巡エリートと軽空母たちとの戦闘。

 自分が居なくなってからの、提督に対する態度。

 そこには提督に対する慰めや同情と言ったものが大半を占めている。

 しかし、今の彼女には、提督をこの隙に取ろうとしている味方(敵)に再生されていた。


「守りたいものに、チカラをツカウ・・・それは、オカシイデスカ・・・?」


 蒼の電光を纏う少女は、次の瞬間、その場から消えていた。




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