たとえば比企谷八幡と葉山隼人が入れかわったら
【休日】
八幡(さてと、今日は学校もなくて1人でも楽だな。毎日が日曜にならないものか。オールサンデークラブだよホントにもう)
タタタッ ガチャ
小町「お兄ちゃん!小町はプリンが食べたいです!だけど受験生なので勉強しなければなりません!お兄ちゃんはどうする!?」
八幡「家でのんびりする」
小町「お兄ちゃん。それは小町的にポイント低いよ?プリン食べないとどうなるかわからないの?」
八幡「どうなるんだ?」
小町「勉強やる気でない=高校受からない=お兄ちゃんとの仲良し高校LIFEがenjoyできない。OK?」
八幡「後半ルー大柴みたいになってきてんぞ。まぁプリンくらい買ってきてやるよ」
小町「ありがと!ぷっちんできるやつね!」
八幡「へいへい」
【コンビニ】
イラッシャイマセー
八幡(最悪だ。いきなり雨が降ってくるとは……ん?あいつは……)
葉山「……!こんなところで奇遇だな」
八幡「そーだな」
葉山「何しているんだ?」
八幡「妹に頼まれて買い物だ」
葉山「そうか」
八幡「ああ」
葉山「……」
八幡「……」
葉山「君は何してるのかは聞かないのかい?」
八幡「まぁな。特別お前の休日に興味があるわけでもないしな」
八幡(お前も別に聞いてもらいたいわけでもないだろ)
葉山「棘のある言い方だな」ハハ
八幡「いつも同じ部室に刺々しい言葉しか言わない奴がいるしな。知らない間に感染してきてんだなきっと」
葉山「雪ノ下さんのことか」
八幡「まぁな。お前もよく雪ノ下姉妹と幼馴染なのにそんな性格良く育ってきたな」
葉山「その言い方はあの2人に失礼だぞ」
八幡(別にいいだろ。俺なんかいつも失礼されてんだぞ)
八幡「それじゃ俺は買うもの買って帰るわ」
葉山(雨…雷………)
葉山「…途中まで一緒に帰らないか?」
八幡「なんでだよ…俺はプリンと傘買って帰るんだ………あっ」
葉山「どうしたんだ?」
八幡「………財布忘れた」
葉山「君は変なところで抜けているんだな。いくらだ?」
八幡「いや大丈夫だ。知らん奴に金を出させるわけにもいかん」
葉山「知らない仲でもないだろ……妹さんに怒られるんじゃないか?」
八幡「……………すいません貸してください」
【帰り道】
葉山「雨強いな」
八幡「雷もうるせーしな。俺たちに落ちてくるんじゃないのってくらい近いところで鳴ってるし」
葉山「さすがに落ちてくることはな………
ピカッ ゴロゴロ ズドーン バタッ
〜数分後〜
葉山[八]「いってーな…」
八幡[葉]「まさか本当に落ちてくるとは思わなかったよ。雷って当たって死なないんだな」
葉山[八]「普通死にそーなもんだけどな」
八幡[葉]「ははは。運が良かったんだな俺たちは……って?え?」
葉山[八]「どうした葉…山?だよな?えっ?俺?」
葉山[八]「どうなってんだ?」
八幡[葉]「どうなっているんだ?」
〜2人とも落ち着いて〜
【公園】
八幡[葉]「どうやら信じられないが俺と君の体が入れ替わった…いや、中身が入れ替わったと言った方が正しいのだろうか?」
葉山[八]「こんな状況で正しいもなにもないだろ。非常識すぎるぞこんな事」
八幡[葉]「非常識だが信じるしかないだろ。実際に俺たちが今入れ替わりとやらを体験しているんだ」
葉山[八]「どーすんだよこれ?早く小町にプリン渡さないと仲良し高校生活の危機なんだが」
八幡[葉](なぜプリン一つで高校生活の危機が??)
八幡[葉]「状況を考えると多分雷に当たった時に入れ替わったとしか考えられないな」
葉山[八]「ならもう一度雷に当たっちまえばいいんじゃないか?」
八幡[葉]「簡単に言うなよ。命の危険だってあるんだぞ?」
葉山[八]「それもそうだな。しかも雨も止んじまって雷に当たるってことも不可能だしな」
八幡[葉]「すぐに戻ることは不可能と考えた方がいいな。この姿のままやり過ごすしかないな」
葉山[八]「えっ?それってもしかして住むとこも学校での立場とかも逆になっちまうの?」
八幡[葉]「そういうことになるな」
葉山[八](絶対無理だ。俺があんなキラキラしてて気遣いだらけと上辺だけの関係をしろだなんて。それに葉山が小町と一緒に住むってのも無理だ。だけど………)
葉山[八]「まぁ愚痴を言っても始まらねーよな。仕方ないからこの姿のまま頑張ってみるか」
八幡[葉]「驚いたよ。君はもっと嫌がると思ったけど」
葉山[八]「嫌に決まってんだろーが。それにさっきも言ったとおり愚痴を言っても何も変わんねーしな。それよりお前は嫌じゃないのか?」
八幡[葉]「…………嫌に決まってるだろ?」
葉山[八](今なんか?……気のせいか)
葉山[八]「嫌々ながらお互い頑張るしかねーな。ただし…」
八幡[葉]「??」
葉山[八]「妹に馴れ馴れしくしたり手を出したりするんじゃねーぞ」
八幡[葉]「大丈夫だ。そんなことはしないよ」
葉山[八]「……………」ジロー
八幡[葉]「信じてくれよ」
葉山[八]「人を信じたりすんのはあまり好きじゃねーけど、今はお前だけは信じとかねーと始まらねーよな」
葉山[八]「時間も遅くなってきたし帰るか。………上手くやれよ」
八幡[葉]「君こそな」グイッ←拳を突き出す
八幡[葉]「絶対に戻ろうな」
葉山[八]「………ああ」ガッ←拳を合わせる
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
葉山[八]八幡[葉]
てするの少しめんどくさいので名前そのまま書きますけど入れ替わってると思ってください
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
【比企谷家】
葉山「………ただいま」
小町「お兄ちゃん遅いー!プリン一つに何時間待たせるの!?小町と一緒に高校行きたくないの!?」
葉山(比企谷は確かシスコンだったって聞いたな……)
葉山「お、遅れてごめ…すまんな。一緒に高校行きたいぞ」
葉山(こんな感じか?)アセアセ
小町(……なーんかおかしいな?いつもなら軽く流されそうな気もするけど)
小町「まぁいいや!それよりプリンプリン!」
葉山「はいはい」つプリン
小町「……ありがと!」
小町(やっぱり変だ!変な例えもしてこないお兄ちゃんになってるよ!!)ジロー
葉山(あやしまれてるなぁ……もっと捻くれた感じでいかなきゃだめだな)
【葉山家】
八幡(疲れた。俺史の中でも特に疲れた1日だ)
八幡(でもこれからの学校生活がもっと大変になるんだろーな……)
八幡「学校行きたくねーな」ハァ
葉山母(隼人が不登校宣言……?)
【翌日 学校】
八幡(学校に着いてしまった。今週やっていけるのか俺?)
八幡(まだ1週間で友達の記憶が無くなる設定の方が楽にやっていけそーだ。1週間フレンズだなそれは。しかも友達いない俺には関係がないなうん)
八幡(自分で言ってて悲しくなった)
由比ヶ浜「やっはろー、隼人くん」
八幡「うおっ!?」
由比ヶ浜「どしたの?変な声だして?ビックリしちゃった?」
八幡(ゆ、由比ヶ浜…あいつ確か下の名前で呼んでたよな?さっそくぼっちに試練を与えるのだな神よ)
八幡「お、おはよう。結衣」
八幡(うわなんだこれ//恥ずかしくて死にそうだ……恥ずか死ぬ)
由比ヶ浜「教室まで一緒行こっか!」
八幡「お、おう」
テクテク
八幡(さて。今日1日どうやってやり過ごそうか)
テクテクテク
八幡(葉山になりきるんだ比企谷八幡。自分に嘘をくのだ)
由比ヶ浜「あっ、隼人くん…」
テクテクテクテク
八幡(葉山隼人です。キラーン。youのnameは何て言うのかな?)
八幡(自己紹介はこんな感じか?だからルー大柴混じってんなこれ)
由比ヶ浜「隼人くんあぶな……」
ゴンッ
八幡「いでっ!!」
由比ヶ浜「隼人くん大丈夫?扉に頭ぶつけるなんてらしくないよ?」
ザワザワザワザワ ジロー
八幡(やべ!注目浴びてる)
八幡「だ、大丈夫だ。」
由比ヶ浜(…………)
戸部「隼人くん朝からボーッとし過ぎっしょ!」
八幡(うげっ!戸部と絡んでやらなきゃいけないのか……葉山。お前はすごいな)
八幡「ははは」
八幡(やべー。普段会話とかそんなしねーからなに言えばいいかわからねー)
ガラッ テクテク スタ
八幡(よし。ひとまず落ち着こう。冷静になるんだ比企谷八幡。特技の人間観察で葉山がどういう人間かは理解してるはずだ。、そこから…………)
由比ヶ浜「は、隼人くん?そこヒッキーの席だよ?」
八幡「…………」シコウテイシ
葉山「葉山。そこは俺の席なんだが」
八幡「あっ、ああすまない。間違えたよ」
八幡(何こいつ?なんでこんな感じで当たってくるの?俺っていつもこんな感じなのか??)
テクテク
葉山(さっさくやらかしてくれてるな比企谷………)
葉山(俺は比企谷らしくボーッとしとくか)ボケー
由比ヶ浜「ねぇねぇ、ヒッキー?」
葉山「ボケー」
由比ヶ浜「ヒッキーってば!」チョップ
葉山「いてっ!ゆ、結衣……」
由比ヶ浜「えっ///」
葉山「……ヶ浜」
葉山(あ、危ない危ない。それにしてもヒッキーって呼ばれるのも少し悲しいな。比企谷も苦労してそうだ)
由比ヶ浜「い、いきなり名前で呼ばれたのかと思ってビックリしたじゃんか!」
葉山「す、すまん」
由比ヶ浜「べ、別にいいんだけどさ///」
由比ヶ浜「にしても今日の葉山くんなんかおかしくない?なんかボーッとしてるって言うか……少しヒッキーっぽい?」
葉山「ビクッ」
葉山(比企谷お前……)
葉山「そうか?俺とあいつは似てないだろ?」
由比ヶ浜「それもそだよね。葉山くんに失礼だ!」
葉山(結衣は素でこれだからな。比企谷もかわいそうだ)
葉山「そろそろ先生もくるし席に着いとこうか」
由比ヶ浜「??う、うん?」
〜1日終わって放課後〜
八幡(つ、疲れた)
葉山(暇だったな)
三浦「隼人今日部活休みだよね?帰りどっか寄ってこーよ」
戸部「いいねそれ!優美子キテるわー!」
三浦「だっしょ!どこ行こっか?」
八幡「す、すまない。今日は少し用事があって……」
葉山(…………)ジロー
三浦「用事?なんかあんの??」
八幡「あ、ああ。今日はその…………」
葉山「葉山。早く用事すませよーぜ」
八幡「あ、ああ。今行く!」
三浦「何?用事ってヒキオとなんかあんの?」
八幡「ちょっとな」
三浦「ふーん」ギロッ
葉山(優美子ってこんな風に人を睨んでいたのか……初めて睨まれたよ)
葉山「行くぞ」
八幡「ああ」
由比ヶ浜「ヒッキー部活は?」
葉山「……行けたら行く」
【屋上】
八幡「ダメだ。疲れた。文化祭実行委員の事が霞むくらい疲れだぞ1日だけで」
葉山「比企谷…君は俺になりきるのが少し下手くそ過ぎるぞ」
八幡「お前は1日、ボーッとしとくだけでいいから羨ましいよ」
葉山「久々に学校が暇で仕方なかったよ」
八幡「お前は俺になりきるの簡単そうだな」
葉山「あんなに冷たい感じで当たってるから、心は痛むんだぞ」
八幡「そうですかい」
葉山「誰か気づいたやつはいると思うか?」
八幡「どーだろうな。状況が状況だし入れ替わりとか、非現実的な事にたどり着く考えのやつなんていないだろ」
八幡「由比ヶ浜はアホだし、戸部もまぁアホだし、三浦が1番危ないかもな」
葉山「結衣と戸部の理由が酷いな…多分優美子も大丈夫だ」
八幡「なんで言い切れる?」
葉山「俺が見てたからさ。これで理由にはならないか?
八幡「…………まぁ、十分な理由だな」
八幡「それより、一応奉仕部には顔を出しててくれ。行かないのも怪しまれそうだしな」
葉山「わかった。部室では何をしとけばいい?」
八幡「特に何もしなくていい。本でも読んでてくれ。」
葉山「それだけでいいのか?今受けている依頼とかはないのか?」
八幡「ない。依頼なんて普段は全然こないしな」
葉山「そういうものなのか。わかったよ。君はもう帰るのかい?」
八幡「することもないしな。何かあったらメールでもしてくれ」
葉山「わかったよ」
八幡「それじゃーな」テクテク
葉山「あっ!比企谷!」
八幡「??」
葉山「明日は上手くやってくれよ?」
八幡「………はいよ」
八幡(それじゃ行ってみるか)
【奉仕部部室】
ガラッ
由比ヶ浜「あっ!ヒッキー遅い!」
雪乃「今日はもう来ないと思っていたわ」
葉山「すまんな」
由比ヶ浜「隼人くんと何かあったの?」
葉山「いや、なんもないぞ」
由比ヶ浜「ふーん……」
〜なにも起こらず時は過ぎ〜
雪乃「今日はここまでにしましょうか」
由比ヶ浜「だね!依頼もこなさそうだし」
葉山「ああ」
雪乃「それじゃあ、また明日」
葉山「ああ」
由比ヶ浜「またねゆきのん!」
雪乃「…………」
〜みんな帰ったと思いーの〜
ブブブ
由比ヶ浜「ん?ゆきのんからメール!?珍しい!」
由比ヶ浜「なになに?正門に来て、か。よく分からないけどいってみよう!」
【正門】
由比ヶ浜「ゆきのーん!」
雪乃「いきなり呼び出してごめんなさいね由比ヶ浜さん」
由比ヶ浜「全然大丈夫だよ!それよりどうかしたの??」
雪乃「比企谷君の事なんだけれど……少し気になって」
由比ヶ浜「え、え、ええっ!?ゆきのんヒッキーの事気になってたの……」
雪乃「??ええ。今日何かあの人おかしくなかったかしら?」
由比ヶ浜「き、気になるってそっちのことか。よかった……」ボソボソ
雪乃「由比ヶ浜さん?」
由比ヶ浜「あっ!な、なんだっけ??」
雪乃「はぁ……だから今日の比企谷君がおかしかったっていう話よ」
由比ヶ浜「ヒッキーはいつもおかしいよ??」
雪乃「そうなのだけれど。私が言いたいのはそうじゃなくて……いつもと違う感じだったわ」
由比ヶ浜「たとえばー?」
雪乃「屁理屈を言わないし、変に突っかかってこなかったじゃない」
由比ヶ浜「んー…本読んでたから集中してただけなんじゃないかな?」
雪乃「そうかしら……」
由比ヶ浜「きっとそうだよ!それじゃゆきのん、一緒に帰ろ!」
雪乃「いきなりね……まぁいいわ。行きましょうか」
由比ヶ浜「うん!」
【図書館】
ペラペラ
八幡(なかなか見つからねーな)
ボソボソ アノヒトカッコヨクナイ? ボソボソ
八幡(葉山はやっぱりモテるんだな)
〜入れ替わってから数日が過ぎ〜
【学校 教室】
八幡(入れ替わりにも少し慣れてきたな。別にこいつの生活に慣れてきたわけではないがな)
八幡(自分の体か恋しいよ………)
葉山(入れ替わってから1週間は過ぎたな……………)
三浦「隼人大丈夫?最近目が疲れてるように見えるけど??」
八幡「あ、ああ。最近少し寝不足でな」
八幡(葉山の体でも中身が俺だから、徐々に変化がでてきたのか?それにしても目が疲れてるって……完全に俺になってきつつあるなこれ)
三浦「心配だし保健室まで連れていこーか?」
八幡「大丈夫だ。心配してくれてありがとな」ニヤ
三浦「ビクッ」
八幡(やべ。葉山スマイルが八幡スマイルになっていたか)
葉山(……楽だな。今までの俺とはまったく違う生活だ)
葉山(誰とも深く接しなくて済み、周りの期待に応えず、自分のしたい事を出来る………)
葉山(比企谷が少し羨ましいな)
八幡(………………)ジロー
【放課後 奉仕部部室】
ガラッ
葉山「うーす」
雪乃:由比ヶ浜「…………」
葉山(えっ?何かおかしかったか??)
由比ヶ浜「ヒッキーどうしたの?いいことでもあった?」
葉山「えっ?」
雪乃「あなた自分で気づいていないの?目の腐り具合がなくなってきているわよ」
葉山「あ、本当だ……」
雪乃「気づいていなかったのね…あなたのチャームポイントがなくなってきているのだし、危機感を持った方がいいわよ」
葉山(比企谷のチャームポイントだったのか…少なくとも雪ノ下さんにはそう見えていたのかな?)
由比ヶ浜「あ、でもまだ髪の毛の跳ねてるとこがあるからセーフだよ!」
葉山(これもチャームポイントなのか。どうりで風呂に入っても跳ねてるわけだ)
雪乃「なにかあったのかしら?」
葉山「いや。別になんもないぞ。あれだ、早く寝ているくらいだな!」
由比ヶ浜「ヒッキーが早寝って意外!」
葉山(どんなイメージをもたれているんだ比企谷)
コンコン
雪乃「どうぞ」
ガラッ
葉山(ゆ、優美子!?)
由比ヶ浜「あれっ!?優美子!どーしたの??」
三浦「ちょっと相談したいんだけど…いい?」
雪乃「構わないわよ。なにかしら?」
三浦「その、隼人のことで相談があって……」
由比ヶ浜「どーしたの??」
三浦「最近付き合い悪くってさ。なんかいつもの隼人じゃないみたいだし……もしかしたら彼女…とか出来て変わっちゃったんじゃないかって思って」
雪乃「??それで依頼内容はなにかしら?」
三浦「隼人に彼女が出来たか調べて欲しいんだ」
隼人「うげっ!」
雪乃:由比ヶ浜:三浦「??」
隼人「いや、なんでもない」
隼人(比企谷のやつ…少しくらい優美子たちと遊んでおけよ)
由比ヶ浜「なーんだ!そんなの奉仕部としてじゃなくても、あたしは手伝うよ!」
三浦「結衣……」
雪乃「つまり、葉山くんの恋愛事情を調べて報告する。これが依頼内容でいいのね?」
三浦「そんなとこ」
雪乃「どうしましょうか?」チラッ
隼人(なるほど…俺の意見、つまり比企谷がこの依頼を受けるか聞いているのか)
隼人(この状況がバレたらややこしい事態になる。それに……)
隼人「無理だろ」
三浦「!?」
三浦「なんで」ギロリ
由比ヶ浜「そ、そうだよヒッキー!進路選択のときだって手伝ってあげたじゃん!」
隼人(やっぱりあの時は優美子の依頼だったのか…………)
隼人「葉山が彼女作ってるとは思わないぞ。大体そんな事出来るやつじゃない」
由比ヶ浜:三浦「??」
雪乃「彼は自分の立場を理解している。もし、自分に彼女が出来たら周りは少しつずつ変わっていってしまう事もわかっている」
雪乃「と言いたいのかしら?」
葉山「そういうことだ。よくわかったな?」
雪乃「あなたの考えそうなことよ」
葉山(分かったのは比企谷八幡の考えであって、葉山隼人の事ではないってことか)
雪乃「それでも……」
葉山「??」
雪乃「あなたならこの依頼、受けると思ったのだけれど」
葉山「………」
雪乃「三浦さん」
三浦「なに?」
雪乃「この件だけど少し保留させてくれないかしら?」
三浦「別にいいけど…」
雪乃「ごめんなさいね」
三浦「いちお伝えたい事は言ったから。そんじゃあーしはもう帰る」
由比ヶ浜「あ、また明日ね優美子」
ガラッ バタン
雪乃「さて、どうしましょうか?」
由比ヶ浜「あの依頼を受けるか受けないかってことだよね?」
雪乃「ええ」
葉山「…………」
雪乃「はぁ…とりあえず、私と由比ヶ浜さんだけで探ってみましょう」
由比ヶ浜「あ、うっ、うん!」
雪乃「とりあえず、今日はここまでね」
〜その時比企谷は〜
【帰り道】
八幡(今日も調べに行くか)
八幡「はぁ…」
⁇⁇(あれって…でもなんか違う?まぁ行ってみよ!)
陽乃「はーやと!ため息なんてついてどーしたの!?」
八幡「うぉっ!?は、陽乃さん」
八幡(この状況の中、1番会いたくない人に出会ってしまった)
陽乃「今から何処かいくとこ?」
八幡「ええ。ちょっと図書館に」
陽乃「そうなんだ。よしならいこー!」
八幡(え、なに?この人ついてくるの?どんだけ暇なんだよ)
【図書館】
八幡(…………調べづらい)
陽乃「隼人は何しにこんなとこに来たの?」
八幡「ちょっと調べ物です」
陽乃「です??」
八幡「調べ物だよ」
陽乃「あははー!今さら敬語使ったりしなくていいのに!」バンバン
八幡(痛い痛い)
陽乃「それで?何調べてるの?」
八幡「ちょっとね……」
陽乃「いいから見せてってば」パシッ
八幡「あ、ちょっ!」
陽乃「なになにー?」
『体の入れ替わりについて』
『意識のあるべきところ』
『自分が自分でない感覚』
陽乃「…………」
八幡「…………」
陽乃「なにこれ??変なこと調べてるんだね比企谷君」
八幡「ええ。ちょっといろいろありま………………………は?」
陽乃「ニコニコ」
八幡「嘘だろおい…」
陽乃「詳しく聞かせてね」ニコッ
八幡「……場所変えましょうか」ハァ
【比企谷家】
隼人(優美子の依頼は、受けたいた方が怪しまれなかったのだろうか?実際調べられて気づくようなことでもないし)
隼人(雪ノ下さんと結衣はきっと依頼を受けて調べているだろう)
隼人(ここは俺も依頼を受けて比企谷だと思わせなければならないな)
隼人「よし!がんばるか!!」
小町「お兄ちゃんうるさーい!」
隼人(………………)
【翌日 学校 教室】
八幡(…………)チラッ
隼人「ボケー」
八幡「はぁ」
八幡(昨日陽乃さんが言っていたことが本当だとしたら……)
八幡「早急に手を打たなければな」
三浦「隼人??」
八幡「いや、なんでもないよ」
【昼休み 屋上】
葉山「昨日、優美子が依頼にきたよ」
八幡「どんな内容だ?」
葉山「君のことを調べて欲しいってさ」
八幡「なんでだ?」
葉山「君が優美子たちとの付き合いが悪いからだろ。もう少しなりきってくれよ」
八幡「すまんな。それで依頼は受けたのか?」
葉山「雪ノ下さんと結衣は受けるそうだ。俺は否定していたからあやしまれてるかもしれない。だから今日受けようと思っていたところだ」
八幡「そうか……葉山。お前はその依頼を受けるな」
葉山「なぜだい?」
八幡「最初に断っていて、今更依頼を受ける方が俺らしくない」
八幡「ひとまずその依頼終了の報告がくるまで奉仕部にも行かなくていい」
葉山「あやしまれないか?」
八幡「……俺ならそうするから言っているんだ」
葉山「わかったよ。何かあればほうこくしてくれ」
八幡「ああ。わかった」
八幡(これで今日から動ける。まずすることは……)
【放課後 奉仕部部室】
由比ヶ浜「ヒッキー来ないね」
雪乃「そうね…」
コンコン
雪乃「どうぞ」
ガラッ
八幡「失礼します」
由比ヶ浜「隼人くん!?どうかしたの!?」
八幡(そりゃ驚くだろうな。依頼で調べてる奴が部室に来たんだからな)
雪乃「何か用かしら?」
八幡「……一つ、依頼がしたい」
雪乃(この言い方、どこかで……)
雪乃「内容はなにかしら?」
八幡「簡単なことだと思う。次の土曜日。天気予報では雨だった筈だ」
雪乃「それがなにか??」
八幡「その日に比企谷を今から言うところまで連れて来てくれないか?」
由比ヶ浜「それくらい自分で出来るくない??」
八幡「ちょっといろいろあってな……」
雪乃「……分かったわ。任せて頂戴」
八幡「いいのか?」
雪乃「あなたが依頼にきたのでしょう?」
八幡「それもそうだな。それでは頼むよ」ガラッ バタン
由比ヶ浜「あっさり受けちゃったね!ゆきのんにしては意外って言うかなんて言うか……」
雪乃「少し確かめたいことがあってね」
由比ヶ浜「確かめたいこと?」
雪乃「土曜日になればわかるかもしれないわね」
【比企谷家】
葉山「ただいまー」
小町「およ?お兄ちゃん。今日は早いんだね!」
葉山「ああ。ちょっとな。飯になったら呼んでくれ」ニヤニヤ
小町(最近お兄ちゃん楽しそうっていうか、気が楽そうだな)
小町「あやしい…」
【葉山家】
八幡(陽乃さんの言うことが正しいかどうか分からないけど、信じるしかないか)
八幡(上手く行けば土曜には全て元通りだ)
八幡(それまでは大人しくしておくか)
八幡(さっさと戻ろうぜ。葉山)
八幡「土曜日が楽しみだな」
隼人母(やっぱり…隼人を不登校にしないようにしなきゃ!)
【土曜日】
八幡「陽乃さん?」
陽乃「なーに比企谷君?」
八幡「あなたの言っていたこと本当に信じていいんですかね?」
陽乃「どうだろーねー」ニコッ
八幡「ええー。今そんな適当な事言われても…」
陽乃「嘘だって比企谷君!お姉さんを信じなさい」
陽乃「ほらっ、きたよ!!」グイッ
八幡「ぐえっ」
葉山「今日は一体なにするんだ?」
由比ヶ浜「いやー、あたしもよく知らないんだよね。なんかゆきのんがついて来てって言うし」
雪乃「いいから歩きなさい」
葉山「はいはい」
ザッ
八幡「よう」
葉山「……葉山?」
陽乃「ひゃっはろー!」
雪乃「……姉さん?」
由比ヶ浜「ほえ?なにこの状況?」
陽乃「あははは!葉山。じゃないでしょ!隼人」
葉山「!!」
由比ヶ浜「え?何言ってるんですか陽乃さん?ヒッキーに隼人って……?」
雪乃「……」
隼人「……比企谷」ギリッ
八幡「もういい加減戻ろうぜ葉山。いつまでも人の体だと、おかしくなっちまいそうだ」
由比ヶ浜「え?ヒッキーが隼人くんに対して比企谷って?それで隼人くんがヒッキーに対して葉山って?」
由比ヶ浜「なに?どういう状況??」
雪乃「おかしいとは思っていたけど、そんな事が起こっていたとはね」
雪乃「こんなの……非現実的よ」
陽乃「ありゃー。やっぱり雪乃ちゃんは薄々勘付いてたんだね!さすがはわたしの雪乃ちゃん」ニコッ
由比ヶ浜「なになに?ゆきのん説明してよ!」
雪乃「葉山君と比企谷君…………」
雪乃「彼等入れかわっているのよ」
由比ヶ浜「!!?」
八幡「まぁ、そういう事だ。それでそろそろ戻りたくてな。今日は天気も悪いしもってこいの日だろ?」
葉山「…………」
八幡「葉山。お前は元の自分に戻ることを嫌がっているだろ」
葉山「…なぜ?俺は自分の体の方が好きだし、戻れるなら戻りたいさ」
八幡「なら戻ろうぜ。入れかわった時みたいに雷にうたれてな!」
雪乃:由比ヶ浜「!?」
由比ヶ浜「はや…ヒッキー!そんなの危なくない?」
雪乃「そうよ。雷に当たって平気でいれる保証なんてどこにもないのよ」
八幡「でもそれしか方法はないんだよ。俺はいつまでも葉山のままだなんて嫌だ。だからそうする」
雪乃「あなたって人は…」
由比ヶ浜「ヒッキー…」
八幡「だがな問題があるんだ。それは葉山が戻ろうとしないと言うことだ」
葉山「……」
由比ヶ浜「なんで戻ろうとしないの??」
八幡「教えてやろう。葉山は戻ったらどうなると思う?」
由比ヶ浜「それはいつも通りみんなの人気者?」
八幡「そうだ。それが嫌なんだよそいつは」
由比ヶ浜「??」
八幡「人気者の自分に戻ったら、周りの期待に応え、みんなが憧れる存在にならなければならない。それが嫌なのさ」
八幡「人の期待に応えると言うことは、諦めることは許されない。憧れる存在になるのなら失敗も許されない」
八幡「そんなの周りの奴らは喜んでも、本人は喜べない。いい事なしだ」
八幡「それに比べて俺。比企谷八幡と言う人物はどうだ?」
由比ヶ浜「えっと……期待されない。憧れられない。他には…………」
八幡「うっ」
雪乃「由比ヶ浜さん。それ以上言うのは酷だわ。本当のことだからなおさ。ね?」
八幡「うるせーよ。まぁそんな感じだ」
八幡「俺のままでいたらそんな面倒くさいこと考えなくて済むしな」
雪乃「ちょっと待ちなさい。それなら葉山君は狙ってあなたと入れかわったとでも言うの?」
八幡「まぁそうだな。可能性は低かったけどな」
葉山「陽乃さんに聞いたんだろ」
八幡「…ああ」
陽乃「ふふふ」ニコッ
〜回想〜
【公園】
八幡「なんで中身が俺だって分かったんですか?」
陽乃「それはわたしが比企谷君のことを知り尽くしているからであーる!」
八幡「なにそれストーカーですか?」
陽乃「こんな綺麗なお姉さんをストーカーとは許せませんな」ウリウリ
八幡「それで……」
陽乃「分かっーてるって!なんで気づいたかでしょ?」
八幡「はい」
陽乃「それはねー……わたしも隼人と入れかわった事があるからであーる!」
八幡「……………はい?」
陽乃「だーかーらー!わたしも同じ体験した事あるって言ってるの!」
八幡「…気づいた本当の理由はなんですか?」
陽乃「もう!何回言わせればいいの?」
八幡「いやだって信じられませんよ」
陽乃「ならわたしも隼人と比企谷君が入れかわってるって事信じてあげなーい!」
八幡「いやいや。もうこんなに話してるじゃないですか」
陽乃「知らなーい。それじゃあもう話することないね。バイバイ隼人!」
八幡「あー!すいませんすいません!信じますから見捨てないで下さい」
陽乃「よろしい!それでわたしが隼人と入れかわったのは5歳位の時だったかな!」
八幡「はぁ…」
陽乃「でもわたしが入れかわったのは数分だけだったかな。またすぐに雷に当たって戻っちゃった」
陽乃「だからわたしも比企谷君の事分かっちゃったって訳!どうかな?」
八幡「どうかな?って言われても……なんですかそれ。それなら葉山はもう一度雷に当たったら戻れるって知っているんですよね?」
陽乃「知ってるだろうね」
八幡「なら俺が最初にもう一度雷に当たろうって提案に乗って来そうじゃないですか?」
陽乃「戻りたくなかったんじゃない?」
八幡「なんで……」
陽乃「比企谷君ならなんとなく分かるんじゃないかな?」
八幡「…………」
〜回想終了〜
八幡「だからお前の考えはもう分かってるんだよ」
葉山「…………」
雪乃「……葉山君」
葉山「なんだ…」パンッ
八幡「えっ?」
由比ヶ浜「へっ?」
陽乃「おおっ!?」
葉山「いって…」
雪乃「あなた最低ね。自分が自分に嫌になったからって、他の人に自分を押し付けるなんて」
雪乃「比企谷君は底辺な人間だけど、自分を嫌ったり押し付けようとしたりしないわよ」
八幡(ちゃっかり酷いこと言われた。でも庇ってくれてるんだよな?)
葉山「……すまない」
雪乃「謝る相手が違うわよ」
葉山「すまない比企谷」
八幡「別にいいぞ。俺もいつもと違って人気者の気分を味わえたしな。まぁ、俺にも無理だなありゃ」
ザザー ゴロゴロ
八幡「あのー…あれだ。お前の気持ちもわからんではなかったからな。だけどもう勘弁だ」
葉山「はは。君らしいな。今回の件は本当に……」
八幡「だから言いって言ってるだろ。あんましつこいと材木座って呼ぶぞ」
葉山「勘弁してくれ……」
八幡「まぁ、なんだかんだで楽しかったさ」
葉山「比企谷……」
八幡「あん?」
葉山「ありがとな」
八幡「……ああ」
ピカッ ゴロゴロズドーン
【比企谷家】
八幡「ただいまー」
八幡(懐かしき我が家だ)
小町「おかえりお兄ちゃん!」
八幡「こ、小町……」
小町「どしたのお兄ちゃん?」
八幡「小町ーーー!」ダキッ
小町「ちょっ//なんでいきなり抱きつくのお兄ちゃん!!」
八幡「会いたかったぞ」
小町「まぁ、そんな大袈裟に喜ばれるながら抱きつかれると、小町も照れてれなんだけど。あ、今の小町的にポイント高い」
八幡「相変わらずだな。俺の小町ポイントはいつになったら溜まるんだ?」
小町「今のところ合計はマイナスだからー……」
八幡「ちょっと待て。なんでマイナスになってんだ?お兄ちゃん小町のためにいろいろしてるでしょ?ねぇ?」
小町「お兄ちゃんうるさーい」
小町(でもなんかいつものお兄ちゃんに戻ってるのは……)
小町「小町的にポイント高いよ」ボソ
【月曜日 学校 教室】
ワイワイガヤガヤドスコーイ
葉山「優美子!」
三浦「なに隼人?」
葉山「今日放課後遊び行こうか」
三浦「っ?いきなりなんで!?いやあーしは嬉しいけど」
三浦「その…彼女出来たんじゃ……」ボソボソ
葉山「何言ってるんだ?いるわけないだろ……それよりどこ行く?」
三浦「あ、ならアイス!今日はアイス食べたいし!」
葉山「なら放課後行くか!」
三浦「……うんっ!!」
比企谷(これで元通りだ。一件落着だな。俺史の中でも最大級のイベントだったな)
比企谷「はぁー」
由比ヶ浜「やっはろー!ヒッキー!」
比企谷「……よう」
由比ヶ浜「いろいろ大変だったね」
比企谷「まったくだよ。まぁ、もう終わったことだしな」
由比ヶ浜「あ、今日放課後すぐに部室きてね!」
比企谷「は?まぁ行くけどよ」
由比ヶ浜「絶対だよ!」
比企谷「お、おお」
【放課後 奉仕部部室】
八幡「うぃーす」ガラッ
由比ヶ浜「あ、きたきた!」
雪乃「遅かったわね」
八幡「まぁな。それよりなんかあんのか?」
由比ヶ浜「ふふふー」ニコニコ
雪乃「あの………」
八幡「??」
雪乃「比企谷君。おかえりなさい」
由比ヶ浜「ヒッキー!おかえり!」
八幡「…………おう」
完結
なかなか良いssだった
良かったです。
いいss
よかった。
長いのも楽しみが増えるが、やはり一話完結もスッキリしていていいな