2019-02-06 23:12:56 更新

概要

整備士のいる鎮守府の物語… 

今回は『整備士の過去』などをお送りします。
謎多き整備士が整備士になった理由や、固い信念の原因となった出来事がわかってきます。


前書き

お待たせしました。整備士と鎮守府の物語 5の続きになります。

整備士と鎮守府の物語 1・2・3・4・5の続きです。
整備士と鎮守府の物語 1.2・3・4・5を読んでない方はそちらから読んでいただくと話が分かりやすいかと思います。もちろんこの回からの読みはじめでもOK!


[整備士の過去]

提督「………………整備士さん……彼は一度、死んでることになってるんだよ。」


大鳳「え?整備士さんが死んでいることになってる?」チラ


整備士「………………」


ー大鳳は提督の言っている意味が理解できなかった。整備士さんは意識不明ながらも目の前にいる。そして、倒れるまでみんなと同じように生活していたのだ。


提督「言い方が悪かったかな。」


提督「それより青葉。そこにいるんだろ。出てこい。」


青葉「ばれてましたか。」ヒョコ


提督「バレバレだ。それより青葉。部屋のカギをしめてくれ。この話はあまり大勢に話したくはない。」


青葉「わかりました。」ガシャン


提督「よし。」


提督「二人も知っているとは思うが、深海棲艦が表れた時に襲われた島があるのは知ってるよな。この島からそう遠くないところだ。」


提督「その深海棲艦のせいで島は占領された。艦娘が出てくる直前の話だからな。当時の防衛手段もないに等しかった。」


提督「占領された島の住民は、深海棲艦に虐殺された。奪還後、その後の調査でも生き残りはいないと大本営は発表したんだ。」


大鳳「ええ。その話なら聞いたことがあります。」


提督「その奪還作戦の拠点となったのがこの島だ。そしてその時、指揮を務めていたのが俺だ。」


提督「奪還作戦の拠点を確認するために俺は、前確のため先にこの島に入った。海岸線を歩いてた時だ。」





ーー

ーーー

提督「奪還作戦か…。あの島の住人は無事なんだろうか。」ザクザク


提督「ん?」


ー提督は海岸線に横たわる影を見つけた。提督は所持していた拳銃を手に取り影に向かう。深海棲艦である可能性もあるからだ。


提督「……………」ザクザク


ー提督が近づいても何も反応がない。一気に詰め寄った提督が見たものは、ひとりの青年だった。


提督「おい!大丈夫か!おい!」


ー揺さぶっても反応がない。体を見てみると、あざや傷だらけの体だった。提督は急いで島の診療所へ駆け込んだ。診察員はじいさんだったが、腕は確かであった。


じいさん「おやおや、この体は酷いの。全身が傷だらけであざも酷い。背中なんか切り裂かれたようになっておる。」


じいさん「かなりの圧力が背中からかかったんだろうの。」


提督「かなりの圧力?」


じいさん「おお。例えば爆風とか。お前さん、この住所に覚えはあるかい?」


ーそう言ってじいさんはあるカードを見せた。そこにはこの付近の住所が書かれていた。


提督「いえ。」


じいさん「そうかね。そうかね。この住所は今、深海棲艦に占拠されている島の住所じゃよ。」


じいさん「彼は、そこの住人で島から逃げ出したんじゃなかろうか?」


提督「じいさん。彼の意識が戻ったら呼んでくれ。」


ーーー


青年「…………(やめろ……やめてくれ………………)はっ!」ガバ


青年「ここは………どこだ。俺はいきてるのか………………」


青年「…」


じいさん「おやおや。気が付いたかい。」


青年「あなたは?」


じいさん「年老いた医者じゃよ。君の話を聞きたいものがおってのう。連れてくるわい。」


ーーー


提督「どうも。奪還作戦の指揮にあたる提督です。あなたにいくつか質問したいことがあるのですがいいですか?」


青年「ええ。いいですよ。」


提督「ではまず、あなたはあの島の住人ということで間違いないですか?」


青年「はい。深海棲艦に襲われたあの島の住人です。」


提督「良ければ襲われた経緯などの話を聞かせてください。」


青年「はい…」


青年「異変が起こったのは、深海棲艦に襲われる数か月前でした…………」


ー青年は当時のことを話し出す。


ーーー


島漁師A「おい。今日の海なんだかいつもより暗くねえか?」


島漁師B「お前さんもそう思ったか。実はな俺の網にも変なものがついてたんだよ。」


島漁師A「なんだこれ?タコの足にしては色も違うし気持ち悪いな。深海魚なんかか?」


島漁師B「いや。違うだろ。今までこんなのとれたことないぜ。それに海が暗くなってから取れだしたもんだし。」


島漁師A「でも、まあ。そのうち治るだろ。」


青年「漁師さんこんにちは。漁船のメンテナンスにきました。」


島漁師A「おう。整ちゃんじゃねーか。ちとエンジン回り見てくれや。」


整備士「はい。」


整備士「そういえばさっき何を話してたんです?」カチャカチャ


島漁師A「いや。最近海の様子が変だと話してたんだよ。」


整備士「海の様子が変?」カチャカチャ


島漁師A「ああ。いつもより海が暗いし、変な魚の一部みたいなのが網に引っかかったりしてるんだ。」カチャカチ


整備士「なんかの予兆ですかね。」カチャカチャ


島漁師A「そうじゃないといいけどよ。」


整備士「はい。終わりました。エンジンに煤がよくついてるんであんまり無理な運転とかしないでくださいよ。」


島漁師A「わーってるって!でも壊れそうになったら整ちゃんが直してくれるしいいだろ」ハッハッハ


整備士「その時は、倍の値段を払ってもらいますからね!」


島漁師A「こんにゃろー!言うようになったな!」ハッハッハ


整備士「では。」


ー数日。


島漁師B「おい!応答しろ島漁師A!おい!」


整備士「どうしたんですか?」


島漁師B「わからん。島漁師Aの緊急信号を受け取ってから応答がない!」


整備士「! 近隣海域に他の漁船は!」


島漁師B「今数隻向かってる!」


救助漁船A「ーこちら救命漁船A。現場海域に到着しました。島漁師Aの船は見当たりません。ー」


島漁師B「何か海には浮かんでないか!」


救命漁船B「ー海には何もありません。ただ、海の色がおかし………………」


島漁師B「どうした。救命漁船B!応答しろ!」


救命漁船A「ーこちら救命漁船A!救命漁船Bが原因不明の爆発で沈没!ー」


救命漁船A「ーあ!あれは!ー」


島漁師B「どうした。救命漁船A!」


救命漁船A「ー悪魔だー」


救命漁船A「………………」


島漁師B「おい!応答しろ!救命漁船!」


救命漁船「………………」


整備士「GPSやレーダー上から救命漁船の反応をロストしました。」


整備士「付近に軍艦や武装艦などの船は見当たりません。」


整備士「いったい何が………………」


ードゴォーーーーーーーーン


島漁師B 整備士「!」


島漁師B「なんだ!何が起こった!」


島漁師C「連絡です!正体不明の物体が海の上から砲撃を行っています!」


整備士「しかし!レーダーやGPSに船の反応は!」


島漁師C「船ではありません!」


島漁師C「奴らは人型で海の上をスケートをするように滑っています!」


島漁師B「そんな馬鹿話があるか!」


島漁師C「ですが、私もこの目で見たんです!」


島民「漁師さん!なんかよくわからない飛行機が島の上をぐるぐる回ってるだけど!」


島漁師B「なに!」


ーヒューーーーー             ドゴォ―――――――ン


島民「なんだ!爆発か!」


島民「何が起こってるんだ!」


島民「こっちへ逃げろ!」


島民「死にたくない!」


ーーー


提督「そんなことが………………それ以降は」


整備士「それ以降は悲劇の連続です。島のほとんどは空爆や艦砲射撃され。通信手段もなくなりました。」


整備士「はじめの奇襲攻撃で島の住人のほとんどは逃げ遅れて死にました。」


整備士「生き残った者も、漁船で逃げようとしましたが攻撃にあって死にました。」


整備士「深海棲艦の存在や攻撃だって知ったのも、向こうからアクセスがあったからでした。」


ーーー


島漁師B「奴らの目的はなんだ!どうやって対抗すればいい!」


整備士「それには、まず相手を知るしかないです。」


島漁師B「どうやってだ!海に出た連中はことごとく沈んだぞ!残ってるのも俺たち数人だけだ!」


整備士「これを使います。」


ー整備士は洞窟から水上バイクを出した。


整備士「これにカメラをつけて撮影します。」


島漁師B「でも、それじ沈められたら意味ないじゃないか!第一、どうやって運転する!」


整備士「ラジコンの原理で行けばいいんですよ漁師さん。」


整備士「大規模な電波施設は破壊されましたが、それでも使用できる隠れた小さな電波塔はあります。そこを介していけば、撮影された映像をこっから見ることも可能です。水上バイクは小型で小回りも効くので、何とかなるでしょう。もちろん片道切符ですがね。」


島漁師B「そんなことできるのか、あんたに。」


整備士「なめてもらっちゃ困りますよ。これでも整備士です。ある程度の知識はありますよ。」


整備士「明日には動かせるようにしときます。あの森林の電波塔を使いましょう。」


ー翌日出来上がった張りぼてな、水上バイクにエンジンかかけられ陸上では遠隔操作している整備士と、それを見守る人々がいた。


整備士「ではいきましょう。片道切符のクルージングです。」


島漁師B「おう。」


整備士「まずは島を外周してみますね。」


整備士「特にといったようですが、島の全体の数キロ先で海の色が変わってますね。」


島漁師B「海の色っちゃ、救命漁船も言ってたな。そこで沈んだよな。」


整備士「ええ。つまり敵がいるところに近くには、海の色が違うってことになりますね。」


整備士「あと、レーダーにも映っていはいませんがあそこの先に何か浮いてますね。」


島漁師B「俺には見えん。」


整備士「では、サーモカメラで見てみましょう。」


島漁師B「んん?明らかにあそこの一部だけ色が違うな。」


整備士「島漁師Aや救命漁船が沈んだ時も、レーダーに反応はありませんでした。」


島漁師B「つまり、敵は我々のレーダーには映らない?」


整備士「そういうことですね。」


島漁師B「ん?なんか、やつの周囲が赤く染まんなかったか?」


整備士「そして、何かが一直線にこちらに向かってますね。とりあえず回避しましょう。」


整備士「あれから、数回回避しましたがわかったことがあります。奴らは不用意に海岸線に接近してこないこと。そして、砲弾はミサイルのようなものではないということ。ですね。」


島漁師B「それ以外には?」


整備士「そうですね。最後に奴に向けて水上バイクを走らせます。回避はしますが、沈む覚悟で行きましょう。」


ー水上バイクは敵に向かい猛スピードで向かっていく。そして、通信が途絶えた。


整備士「沈みましたね。」


島漁師B「あんなんでなんかわかったのか?」


整備士「大丈夫です。映像は録画して残していますし。敵の位置や走行速度も座標で計算積みです。さっそく映像を見返してみましょう。」


ー整備士は録画された映像を見返してみる。そしてある部分で動きが止まった。


整備士「なるほど。」


島漁師B「どうした?」


整備士「確かにこれは悪魔です。救命漁船Aが言っていたことも納得ですよ。」


島漁師B「なんだ…こりゃ………………」


ー映像に映っていたのは、黒い肌や白い肌があり様々な色の目をした人型のものや、大きな歯を露出した悪魔みたいなものが映っていた。


整備士「見てください。出っ歯の方の口から砲身が出ています。人型からは、頭の上の帽子みたいなものからここを襲った飛行機と同じものが出てます。」


整備士「奴らで間違いないでしょう。」


整備士「そしてもう一つ気づいたことがあります。奴らに有効な武装が一つありました。」


島漁師B「なんだと!なんだそれは!」


整備士「銃ですよ。」


島漁師B「銃?」


整備士「実は水上バイクに銃を仕込ませておいたんです。通信が途絶える前に何発か発射しました。」


整備士「映像を確認すると、当たったと思われるやつがうずくまっていて周りはそれを守るように陣取っていました。」


整備士「現在の対抗手段はそれだけですね。」


島漁師B「どうするよ。接近戦じゃないと銃の意味がないぞ。ガトリング砲があれば別だが………………」


ーその日の夜、整備士は堤防に座っていた。今夜は満月で星もきれいに見える。敵の攻撃が今日は一切なかったので島も少しばかり平和になった。


整備士「敵の情報はつかんだ。あとはどうするか…………」


?「オマエカワレワレヲコウゲキシタノハ。」


整備士「!誰だ!」


?「ワレワレハシンカイセイカン。ワガナハ、ヲキュウ」


整備士「深海棲艦?ヲ級?」


ヲ級「オマエタチノイウテキダ。」


整備士「敵が何の用だ。殺しに来たのか。」


ヲ級「ナンダ。レイセイダナ。モットコワガレ。」


整備士「あいにく、一回見てるんでね。あと、君は人型だ。そこまで怖がる必要はない。」


ヲ級「オモシロイ。オマエハ、オモシロイニンゲンダナ。」


整備士「そんな、世間話をしに来たんじゃないだろ。目的はなんだ。」


ヲ級「オマエヲ、ナカマトシテスカウトシニキタ。」


整備士「なんで俺をスカウトするんだ。馬鹿なのか。俺はお前たちに恨みしか持ってないぞ。」


ヲ級「ソウイウトオモッタ。ダガウエノメイレイダ。コタエハアスヨルマデデイイ。」


整備士「上の命令?お前らもちゃんと統率のとれた部隊なんだな。」


ヲ級「バカニスルナ。アア、ソレトモウイクツカ。」


整備士「なんだ。」


ヲ級「オマエガナカマニナレバ、コノシマノコウゲキハヤメテワレワレハテッタイスル。」


整備士「拒否すれば。」


ヲ級「アサッテニ、コノシマヲソウコウゲキスルトウエガイッテイタヨウナキガスル。」


整備士「あいまいに収めておくとは、いい心理戦だ。」


ヲ級「ナンノハナシダカ。ソレデハヨイコタエヲキタイシテイル。」


ー翌朝、このことを整備士は生き残っている島民に話した。


整備士「ってなわけです。俺はみんなが助かるなら敵の方に行く。」


島民A「俺は死にたくない…だからあんたの考えを尊重するよ。」


島民BCD「俺も…私も…」


島漁師B「整備士さん。あんたはそれでいいのかい。」


整備士「なにがです?」


島漁師B「なにほざいてるんだ。わかってるだろう。」


整備士「ええ。」


ー整備士はわかっていた。自分がスカウトされるのは自分の持っている技術を流用して敵に使わせることだと。そして、その技術が他の人を殺すために使われるのだと。島民は救えても赤の他人を殺すことになるのだと。


島漁師B「俺は、そうなるくらいならここで死んでも構わん。お前さんを人殺しにさせたくはない。」


整備士「ありがとうございます。でもいいんです。みんなが救えるなら俺は人殺しにだってなる。」


整備士「そして、何もせずに敵の方に行くなんて思ってませんから。」


島漁師B「そうか…お前さんは頑固だからな。これ以上言っても変わらんだろう。」


ー夜


ヲ級「キマッタカ。」


整備士「ああ。あんたらに付いていくよ。」


ヲ級「イイハンダンダナ。」


整備士「それじゃいこう。」


ヲ級「ワカレノコトバハイイノカ。」


整備士「情になるからな。」


ヲ級「ソウカ。」


ー深海棲艦本部


ヲ級「ヨウコソ。ワガブタイヘ。」


整備士「上官はいるのか挨拶がしたい。」


ヲ級「ジョウカンハイナイ。」


整備士「は?誰が命令してんだよ。」


ヲ級「シラナイ。デモ、アタマノナカニチョクセツコエガキコエル。ツギハコレダト。」


整備士「あいまいだな。」


ヲ級「トリアエズ、カンゲイカイデモシヨウ。」


整備士「そんなのいらん。とりあえずこの本部の区画や弾薬の種類。整備所を教えてくれ。」


ヲ級「ナンデダ。」


整備士「なんでって、情報や道具がないと整備できないだろう。」


ヲ級「ワカッタ。」


ー翌日。


整備士「今日は何をする。」


ヲ級「オマエニミテホシイモノガアル。ソトヘデロ。」


整備士「なんだ。海の上じゃねーか。」


ヲ級「イマカラエンシュウヲオコナウ。モクヒョウハアノシマダ。」


ーヲ級たちが指をさした島は、整備士が来た島だった。


整備士「おい!何をするんだ!攻撃しないといったじゃないか!」


ヲ級「コウゲキジャナイコレハエンシュウダ。ジツダンダガナ。」


整備士「貴様!」


ヲ級「ゼンカンウテ!」ドガァーーーン!


ーヲ級の掛け声とともに随伴艦が一斉に射撃、航空機を発艦させ島は火の海になった。


島民「おい!攻撃を受けてるぞ!」


島民「どうなってる!撤退じゃなかったのか!」


島民「騙されたんだ!」


島漁師B「整備士…俺たちの分まで生きてくれよ。」


ードゴーーーーーーーーン


ヲ級「コレダケウテバモウダイジョウブダロウ。カエルゾ。」


整備士「………………」


ー帰投後


ヲ級「オイ。セイビシハドコイッタ。」


チ級「ウミヲミテイマス。」


整備士「………………」


ヲ級「コレデオマエモナカマダ。オナジニンゲンヲオマエハコロシタ。」


整備士「………………」


ヲ級「スベテノジンルイヲクチクスルマデワガテカラハハナサナイ。」


整備士「………………」


ー整備士はあるスイッチを取り出す。


整備士「ここにある全ての弾薬や爆弾が一気に爆発すれば、この島はどうなるだろうな。」


ヲ級「!ナニ!」


整備士「初めから信頼して区画を教えるからそうなるんだよ。」


ヲ級「ダガバクハツスレバキサマモシヌゾ。」


整備士「島のみんなが死んだんだ。俺も死ぬ。」


ー整備士は海を見つめる。


整備士「あんまり人間を舐めるんじゃないぞ。」カチャ


ードゴォーーーーーーーーーーーーーン



整備士「こんな感じです。」


提督「そうか………………」


整備士「なんで俺は生きてるんでしょうね。」


整備士「敵に回り、島のみんなを見殺しにした自分がなんで生きているんでしょうか。」


提督「それは。生きることに意味を感じたからじゃないのか。」


整備士「意味?」


提督「それがわかるまではもう少し時間がかかるだろう。ゆっくりでいい自分で考えなさい。」


整備士「ですが提督、これだけははっきり言えます。」


整備士「俺はもう大切なものや守るべき人を失いたくありません。もし失うくらいなら、自分が真っ先に死にに行きます。」


ーーー

ーー



提督「こんな感じだ。」


大鳳「整備士さんにそんな過去が……」


青葉「でも、なんで島の生き残りって言わなかったんでしょう。」


提督「そのことか。それは奪還作戦成功後に話したよ。」



ーー

ーーー

提督「整備士さん。周辺海域の制圧も完了し島にも上陸して確認した。」


提督「島の生き残りはいなかったよ。残念だ。」


整備士「そうですか。ありがとうございます。」


提督「俺は報告書を書かないといけない。その際に島の生存数は君がいるから1人と書くのが普通だろうが……………」


整備士「私の生存は書かなくても構いません。あの島を裏切って敵に入った男が敵本部で自爆した。そう書いてください。」


整備士「私は……死んだ人間でいいです。」


提督「………わかった。君の意見を尊重しよう。」


整備士「ありがとうございます。」


提督「そして君は、うちで預かろう。私が面倒を見る。その腕を我が艦隊に使ってくれ。」


整備士「ですが、艤装の整備なんて…………」


妖精さん「提督~建造できたよ~」


整備士「!?」


整備士「提督。このちっこいのは何ですか?」


妖精さん「ちっこい言うな!」


提督「整備士さん。こいつが見えるのかい!」


整備士「はい。」


妖精さん「ふん!」


提督「こりゃ……凄いぞ!整備士さん。やっぱあんたは整備士さんだよ!」


整備士「提督……言ってる意味が分かりません。」


ーーー

ーー



提督「てなわけで、整備士さんは死んだことになってる。そしてこの鎮守府にいる。これが整備士さんの過去だよ」


青葉「この話は記事にはしません。」


提督「珍しいな青葉。思いとどまるとは。」


青葉「人の過去でお金儲けをしようとは思いませんし。」


大鳳「それがいいかもね。」チラ


整備士「………………」




ーーーーーー

[整備士の生きる意味]

ー整備士が意識を失って1か月がたった。工廠の封鎖は解け限定的だが、出撃・遠征などが再開された。


医務妖精さん「お。大鳳また来たんかい。よく来るね。」


大鳳「少しでも整備士さんのそばにいた方がいいと思って。整備士さんは一人じゃないことをわかってほしくて……」


医務妖精さん「あついね~。やけどしそうだからわたしゃ出ていくよ。何かあったらボタン押してね~」


大鳳「はい。」


整備士「………………」


大鳳「整備士さん。今日の出撃で私、MVPとったんですよ!」


整備士「………………」


大鳳「でもその後の海域で開幕雷撃にあって、大破したんです!航空燃料庫付近にも被弾しましたけど、整備士さんが入れておいてくれた緩衝材で燃料漏れや、ガス漏れも起きなかったんですよ!さすが整備士さんです!」


整備士「………………」ピク


大鳳「他にも整備士さんに褒めてもらいたい子たちたくさんいるんですよ!だから………だから………」


整備士「……そうだな。こんなところで寝てる場合じゃないな。」


大鳳「!整備士さん!大丈夫ですか!」


整備士「なんだよ大鳳。元気だよ。」


大鳳「良かった!」ガバ


ー大鳳は整備士に抱き着いた。


整備士「うお!」


整備士「悪いな。心配かけて。」


大鳳「そうですよ。どれだけ心配したか!」


整備士「だから悪いって。」


整備士「………………」


整備士「大鳳。俺、生きる意味が分かった気がするよ。」


大鳳「なんです?整備士さんの生きる意味って。」


整備士「生きて君たちを守るために俺の命はある。」


整備士「そして大鳳。僕にとって大切な人を幸せにするために生きる。生きて君の笑顔をたくさん見たい。」


整備士「ずっとそばにいてくれ大鳳。」


大鳳「整備士さん。それって………」


整備士「いや。悪い。俺にはこういうのは似合わないな。」


大鳳「似合わないとか関係ありません!」


大鳳「私も同じ気持ちです。」


ー病室。二人しかいないその冷えた空間はその時だけ熱く感じられ、二人の思いが形となった。


‐アオバミチャイマシタ


ーーー


ー翌日、食堂の掲示板に人混みが出来ていた。


大鳳「ん?なんだろう?」


【青葉見ちゃいました!新聞 特別号】


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整備士さん結婚宣言!とある装甲空母と熱いキスまで!

整備士さんは司令官のようなカッコカリ制度がないため、順調にいけば司令官よりも早く結婚するかも!


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大鳳「」


雪風「あ!大鳳さん!整備士さんと結婚するんですか!」


大鳳「え?ちょっとまだ決まったわけじゃ………………」


時津風「えー!じゃあ整備士さんの膝の上もう座れないの?」


整備士「そんなことないぞ!」


大鳳「!!」


大鳳「整備士さんなんで動いてるんですか!安静にしとかなきゃダメでしょ!」


整備士「いや~。病院飯はいただけなくてな。運動もしてないし。」


大鳳「駄目です!ご飯は私が持っていきますから、病室で横になっていてください!」


整備士「ったく。奥さんに言われたならそうするしかないな。」


大鳳「お お 奥さん!まだ、結婚してないんだからやめてください!」


整備士「ってことは、結婚してからならいいのか!」


大鳳「あああああ!もう!」////


雪風「なんか二人ともイチャイチャしてます!」


時津風「あれは、やけどするね。雪風あっちいこ!」


ーーー


青葉「いい絵がとれましたね~」


大鳳「青葉さん!あんな大々的に書かなくてもいいじゃないですか!」


青葉「いや~あれはクライアントの指示でして~」


大鳳「誰よそのクライアントは!」


青葉「整備士さんです。」


大鳳「全くあの人はーーーーーー!」




ーーーーーー

[工廠]

ーカーンカーンカーン  工廠に数か月ぶりの騒がしい音が聞こえる。


整備士「これで良し。」


ーコンコン


整備士「どーぞ」カチャカチャ


大井・霞・曙「失礼します。」


整備士「お!問題児姉妹。」


大井「今回はそういわれても仕方のないことをしてしまいました。」


霞「その。悪かったと思ってる。嘘までついて」


曙「ごめんなさい。」


整備士「もう過ぎたことだしいいよ。それに君たちの裏事情も取れたし。」


整備士「今度はこっちの番だよ」


大井・霞・曙「?」




ー整備士と鎮守府の物語 その後に続く


後書き

お待たせしました。更新が遅くなり申し訳ございません!

一月になりやることが多すぎて、執筆できない状況が長く続いていました。

さて皆さん。いかがでしょうか?
出来れば評価・応援やコメントしていただければありがたいです。

次回は 『その後シリーズ』 をお送りします。

更新は未定ですが一か月いないを予定しています!


このSSへの評価

9件評価されています


SS好きの名無しさんから
2021-01-16 16:46:43

丙提督さんから
2020-03-24 15:02:31

SS好きの名無しさんから
2019-05-03 00:16:18

SS好きの名無しさんから
2019-03-15 22:24:15

SS好きの名無しさんから
2019-03-08 09:24:23

ryuk・von・tepesiさんから
2019-02-25 23:18:41

暗闇(くらや)さんから
2019-02-16 22:43:10

SS好きの名無しさんから
2019-03-25 23:25:03

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2019-02-05 19:33:18

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2021-01-16 16:46:44

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2019-02-12 00:07:26

SS好きの名無しさんから
2019-02-05 19:33:19

このSSへのコメント

2件コメントされています

1: SS好きの名無しさん 2019-05-19 23:53:45 ID: S:dDWtaL

話が凄く気になった、次の投稿は何時に成るのか…(*´ノД`)

2: SS好きの名無しさん 2021-07-03 02:35:56 ID: S:3fuHLp


次回作生きてる間はずっと待っています


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