真姫「犯人が…わかったわ」
合宿の1週間ほど前、花陽は突然言った。
花陽「真姫ちゃん、今度の合宿のことなんだけど…」
真姫「どうしたのよ?」
花陽「ちょっとサプライズしたくて…」
真姫「サプライズ? どうして?」
花陽「ほら…3年生ってもうすぐ卒業だから、今までの感謝を…ね」
真姫「あら、いいじゃない」
花陽「だから、部屋の鍵のスペアとかある?」
真姫「マスターキーが2個あるから1つ貸す真姫「犯人が…わかったわ」
穂乃果「いやー合宿っていいよね!」
海未「穂乃果、はしゃぎすぎです」
ことり「海未ちゃんもそんなこと言って、荷物多いけどね…」アハハ
凛「人のこと言えないにゃー」
海未「凛…? 一緒に山頂アタックしたいんですか? そうならそうと…」
凛「絶対嫌だー! かよちん助けて!」
花陽「あはは…花陽も山頂アタックはちょっと…」
真姫「あんたらうるさいわよ! 何時だと思ってるの?」
絵里「もう夜じゃないの…」
希「誰もおらんって言っても…なぁ」
穂乃果「そろそろ寝よっかー」
海未「そうですね、山には明日行きましょうか」
凛「か、勘弁して欲しいにゃ…」
花陽「明日も早いし…部屋戻ろ! 皆、おやすみ」
μ's「おやすみ(なさい)」
真姫「ん…もう朝、ね…」ガチャ
目が覚めたらもう太陽は高く上っていた。
何時だろう。…11時、だ。
昨日遅くまで騒いでいたから仕方なないわ…。
もしかして、最後…?
いや、穂乃果や凛がいるから大丈夫よね…?
そんなことを考えながらリビングへと向かう。
…そこには、凛以外の皆が揃っていた。
真姫「あら? 凛はまだ寝てるの…?」
花陽「さっきノックしたんだけど起きなくて…鍵もかかってるし…」
絵里「もう一度行きましょうか」
海未「ええ、そうですね」
穂乃果「凛ちゃーん? もう朝…ていうか昼だよー!」コンコン
にこ「返事…ないわね」
海未「…凛! 凛!」ガンガン
絵里「…おかしくない?」
希「これだけ叩けば起きるはずや…」
花陽「凛ちゃん…? もしかして、倒れてる…とか?」
真姫「凛! 開けなさい!!」ガチャガチャ
よく考えたらマスターキーを使えばいいじゃない…。
…焦りすぎよ、私。
真姫「下にマスターキーがあるから取ってくるわね」
もしかして、普通に寝てるだけなのかもしれない。
音楽を聞きながら寝てるのかも。
それなら…気付かないこともわかる…の?
そんなに大きな音で聞いてるなんてありえるかしら?
真姫「もってきたわ。 開けるわね」ガチャ
希「…ってあれ…凛ちゃんやん…」
ことり「床で寝てる…ね」
穂乃果「なんだ…心配したよー」
海未「まぁ凛ですからね…」
花陽「ほら、凛ちゃん早く起きてー」ユサユサ
花陽「ッッ!!!」
真姫「どうしたの…よ…!」
心臓がバクバクいってるのが聞こえる。
マラソン大会の後のような気分だ。
もしそうならどれほどよかったことだろうか。
しかし、現実は非情だった。
考えたくなかった。…凛が血を流して倒れていることなんて。
花陽「凛ちゃん…? 起きて…起きてよ…」ポロポロ
花陽が泣きながら凛を揺さぶっている。
本当ならここで私は動かなければならないが足に根が張ったように動かない。
言葉も喉のところでつっかえてうまく出せない。
私は、こんなに弱かったのか。
絵里「とりあえず、一旦出ましょう。まずは落ち着かないと」
にこ「花陽なんじゃ…ないの…?」
そんなわけない。そう言いたかったが、出なかった。しかし、代わりに絵里が声を荒げる。
絵里「やめなさい! こんな時に仲間を疑うなんて…そんなの…凛が…可哀想じゃないの…!」
海未「そうですよ。それに、鍵は閉まっていたんですよ? 窓が割れているのを見ると、犯人は外から入ったのでは?」
穂乃果「花陽ちゃんだったらわざわざ窓から入らなくても普通に部屋に入れてもらえると思うよ」
確かに窓が割れている。
おそらく窓の鍵を開けるためだろう。
昔、ガムテープを貼ればガラスを割っても音がしない、というのを聞いたのを不意に思い出した。
希「第一、花陽ちゃんが凛ちゃんを殺す理由があるん? …どう考えても、ないやろ。」
ことり「犯人だったらこんなふうに泣けない…んじゃないかな?」
にこ「…っ。 確かにそうね。…疑ってごめんなさい、花陽。」
花陽「…ううん…いいの…仕方ない、よね」
1つ、不可解な点がある。
やっと声が出そうだ。
真姫「ガラス…」
ことり「え? ガラスがどうしたの?」
真姫「ガラスの破片、外に落ちてる…」
海未「それがどうし…! 外から割ったのなら破片は中に落ちるはず!」
ことり「つまり…犯人は窓から入っていない…?」
希「フェイク、ってことやな」
絵里「部屋の鍵は閉まっていた…つまり! もし、犯人がいるなら…【この部屋の中にいる!?】」
ことり「嘘…!」
穂乃果「それって…すごく危険…だよね」
海未「…離れましょう。 できるだけ音を立てずに、リビングにいましょう。」
花陽「凛ちゃん…!」グスグス
希「…凛ちゃん」
穂乃果「凛ちゃん…」ポロポロ
にこ「凛…!」
ことり「凛ちゃん…なんで…」
海未「犯人は…一体…誰…?」
絵里「くっ…どうすれば…!」
みんな落ち着かないようだった。
そりゃあそうだ。もしかしたら…考えたくないけど、この中に犯人がいるかもしれないのだから。
私も、もちろんそうだ。
かといって、探偵の真似事をしたところで解決できるか? …可能性は低い。
お互いを疑い合うのなんて御免だ。
これ以上被害者を出さないようにすることを考えよう。
真姫「…今は、みんなリビングにいましょう。それが一番安全、だから」
絵里「ええ…そうね」
希「もし、犯人が来たとしても…包丁くらいならあるし…な」
海未「そんなことないのが一番ですけどね…」
犯人は…もしかしたら…いや、だめだ。
でも…でも、でも!
疑いたくないのに…!
こんなことができるのは…あの人しかいない。
でも、どうして?
何故、殺した?
昨日までいつも通りだった。
なのに、何故?
ことり「嫌だよ」
は? ことりが突然言った。
なにが、嫌なのよ?
ことり「この中に犯人いるんでしょ? なのに一緒になんていたくない」
ことり「私、部屋から出ないから。 じゃあね」
そういうと、ことりは行ってしまった。
何考えてるのよ、ここにいれば安全なのに…って、安全…?
そう言いきれるかしら?
そんなこと考えてたらきりが無いわよ!
やめよ、やめ。
絵里「部屋からでなければ…安全、かしら」
希「…なにかあったら大声出してもらえばええやんな」
みんな動かない。
そりゃあ動くのが怖いのは当然よね。
私もそうよ。…恥ずかしながら。
とりあえず、その日は無事に終わった。
無事、ではないけど…あれ以上は何も起こらなかった。
でも、朝。
花陽「ことりちゃん、遅いね」
花陽がボソッと呟いた。
みんながピタッと止まった。
真姫「部屋に、行きましょう」
みんな無言で進んだ。
まるで葬式のように。
怖かった。 もしもことりが凛のようになっていたら…!
絵里「ことり? 起きてる?」コンコン
…返事はない。
ノックの音が大きくなる。
絵里「ことり? ことり!」ドンドン
それでも返事がない。
絵里は必死にドアを叩く。
絵里「ことり!!!!」ガンガン
そこで穂乃果が気付いた。
穂乃果「鍵、閉まってるの?」
…鍵はかかっていなかった。
しかし、ドアが開かない。
向こうから押さえつけられてるように。
海未「…っ! みんな、引っ張ってください!」
ドアを引く。
ドアが開くと同時に、ドサッという音が響いた。
ことりが、倒れている。
…その胸には包丁が突き刺さっていた。
花陽「う…そ…」
穂乃果「こ…と…り…ちゃん…?」
ことりの顔は恐怖によってか引きつっていた。
この中にいる、のなら矛盾が生まれる。
…確かにみんなここにいた。
どうやって殺した?
皆アリバイがある。
つまり…
花陽「十人目が…いる…?」
真姫「なんなのよ…一体…!」
にこ「なによ…! 何が目的なの?!」
希「こんなのって…!」
海未「ことり…」
絵里「…」
落ち着くためにリビングへと戻る。
絵里「なんなのよ! こんなのおかしいじゃないの!!」
絵里が拳を思いっきり机に叩きつける。
その拳には地が滲んでいた。
希「絵里ち…落ち着いて」
絵里「落ち着いていられないわよ! 仲間が二人も殺されたのよ?!」
海未「絵里…お願いです。 お願いですから黙ってください…!」
絵里「ことりがあんな怯えた表情してたのよ。 凛も殺されて。」
海未「絵里…もう…やめてください」
絵里「どれだけ私たちを馬鹿にしてんのよ?! なんなのよ! どれだけ…どれだけ…!!」
海未「やめてくださいって!」
絵里「二人が何をしたっていうのよ!」ガンッ
再び絵里の拳が机に叩きつけられる。
海未「仕方ないじゃないですか! もう亡くなってしまったんですよ! それを今更悔やんでいても進むことなんてできません!」
絵里「じゃあ二人のことは忘れろっていうの?!」
海未「そんなわけないでしょう?! いくらここで言っても二人は帰ってこないんですよ!!」
その言葉で絵里は何かが切れたように泣き崩れた。
虚勢の張り方が…下手なのよ、絵里。
μ'sのことを誰よりも愛している絵里だから人よりも辛いのだ。
μ'sのことを常に一番に考えている絵里だから虚勢を張るのだ。
絵里はきっとみんなよりも重い重い十字架を背負ってるんだ。
大人びてるといえど、所詮は女子高生。
…現実の非情さに耐えきれなかったんだ。
真姫「これ以上被害者は出ないわ」
海未「真姫…?」
真姫「犯人が…わかったわ」
にこ「誰だっていうのよ」
真姫「…花陽、あなたよ」
花陽「へぇ…どうして私だって?」
真姫「簡単なことよ。 まず、凛。簡単だったでしょうね。普通に部屋に入れてもらって、寝たところを殺した。 窓ガラスを割り、鍵をかけて部屋に戻る。それだけね。」
花陽「ふんふん、それで?」
真姫「そして、ことり。 夜中にトイレ行くふりして部屋に行ったんでしょうね。 きっと、こう言ったわね。【ことりちゃん、私見たんだ。…犯人を】ってね」
花陽「似てる似てる…なんでそんなとこまでわかるの?」
真姫「名探偵マッキーだからよ」
花陽「あはは…すごいねー」
真姫「そして、眠らせた。 首に紐を括りつけて、ドアに結んだ。」
花陽「なるほどなるほど」
真姫「そして、ドアを引いたときに引っ張られ、予め下に立てておいた包丁にことりが突き刺さる。ってとこかしら」
花陽「さすが真姫ちゃんだね! そんなことまでわかるなんて…」ニコニコ
花陽「感動しちゃった。…よし、何か聞きたいことは? 何でも答えるよ!」
海未「どうして、二人を殺したのですか? …一体何の恨みが…?」
花陽「恨み? そんなもんないよ?」
海未「では、何故!」
花陽「好きだからだよ」
にこ「は……?」
花陽「μ'sのみんなが大好きだから。いなくなってしまうのが嫌だから、殺した。それだけ。」
穂乃果「じゃあ…どうして凛ちゃんとことりちゃんだったの?」
花陽「まず、凛ちゃんね。 凛ちゃんは…愛してるから」
照れたようにえへへ、と笑う花陽。
もしこんな場面でなければすごく愛らしかったはず、なのに。
花陽「ことりちゃんはね、正直誰でもよかったの。 たまたま1人になってくれたから」
希「最後や。 これからウチらはどうするん?」
花陽「んー? ここで殺してもいいけど…部が悪いよねー。 私のこと、殺してもいいし…何しても、いいよ? ほら、二人の仇、取りたいんじゃないの?」
ほらほら、と挑発するようにニヤける花陽。
真姫「ごめんなさい」
花陽「真姫どうしたのー? らしくないね」ニコニコ
真姫「花陽が悩んでいることに気付けなくてごめんなさい」
花陽「…っ!」
真姫「あなたの責任ではないわ…私たちの責任よ」
花陽「真姫ちゃん」ポロポロ
真姫「花陽…」ギュッ
花陽「…なんてね」グサ
え?え?え? 何、なんなの?
お腹が熱い。怖い。痛い。
どうして?花陽?はなよ?ハナヨ?ハなよ?はナヨ?
希「絵里ち。…どう?」
絵里「わかってるのよ」
希「…うん」
絵里「私がんばってるのよ」
希「うん」
絵里「恨んだり、憎んだり、そういうの、もうやめようって」
希「うん」
絵里「でも…無理よ…! 忘れることなんてできない! …忘れたく、ないの。」
希「…忘れて欲しくもないんやろ?」
絵里「そうよ…忘れないで…お願い」
希「絵里ち…」ギュッ
おしまい
誤字
地→血
μ'sが2回ほどおかしくなっていますが、脳内変換してください。
花陽の、【真姫】呼び。ミスです。【真姫ちゃん】に脳内変換してください。
これってパクりじゃない? これと、もうひとつ良くできた作品があったよ
>>2
作者ですが、何かのssを真似たつもりは一切ありません。
>>2あったね、めっちゃ長いやつww
くっそつまんない
盛り上がりはない結末もない意味不明な作品
イミワカンナイ…ツマンナイ
才能ないから死んだ方が良い
花陽ちゃん怖い(´д`|||)
でも面白かった(^^)
せめて凛ちゃんが実は生きてて
花陽ちゃんとグルで犯行を行ってた
とかの方がまだおもしろいと思うんだ
動機とかも正直いまいち感情移入出来ないし。