もしも、覚醒したときに風鳴翼と出会わなかったら…
もし少女を助けて、風鳴翼と出会わずに避難所に向かっていたらどうなっていたかの話しです
立花響の逃亡劇が始まる…
立花 響
リディアン学院に通う高校一年生 過去にツヴァイウィングのライブ会場でノイズの襲撃に合い、心臓に聖遺物の破片が刺さり重症を負う
その時に助けてもらった風鳴翼が本人だったかを確かめるためにリディアン学院に入った…が、………
小日向 未来
リディアン学院に通う高校一年生 響の日だまり、響とってかけがえのない存在、未来にとっても響はかけがえのない存在
響のことを一番理解してるものでもあり、響を大切に思っている存在でもある保護者的存在
響が翼に狙われているのに不満を抱き、響を絶対的に守っている
風鳴 翼
リディアン学院に通う高校三年生 シンフォギア奏者【アメノハバキリ】を扱う防人 アイドルとしての一面もあり、世界では人気度の高い人物
響が元奏のシンフォギア装備【ガングニール】奏者だと知り、響のことを二課まで連れていこうとしている
…わたしは、逃げ遅れた小さい女の子を連れてノイズから逃げていた
辺り見渡す限りノイズに囲まれ 川に入ってノイズから距離を取り、シェルターから離れてしまったがどこかの工場だろうか?なんとか高い所まで登りたどり着いた
制服は川に入った時の汚れや転んだ時の汚れなどで汚くなっていた…でも、それでも なんとか逃げ切った
体力を使い切った響と少女はその場で倒れ込み 息を切らしながら助けが来るのを待った
小さい女の子は心配そうに、…しんじゃうの?、と語りかけてきた
立花響は首を横に振って、だいじょうぶだよ、と少女に返答して安心させた…だが、少女を見ると同時に後ろには大量のノイズが待ち構えていた
ノイズはまるで気づいてもらえるのを待っていたかのように音無く静かに響たちを見ていた…響たちはそれに気づき、せめて少女だけでもと自分の元に抱き寄せ この場を逃れる方法を考えた
考えている間にもノイズたちはジリジリと一歩一歩、響たちに近寄り 無感情だがまるで恐怖に怯えている子を落として楽しんでいるように見えた
そんな窮地の中でも響は最後まで諦めなかった 生きる希望を捨てなかった
今この状況でできることは…
できることがきっとあるはずだ!
立花響 「生きるのを諦めないで!!」
Balwisyall nescell gungnir tron…
頭の中で…歌が流れ込んできた なぜこの状況で?なんで歌?なんで……?
…だが、これが 立花響の運命を変えることになった
第一章 覚醒
特異災害対策軌道部二課ではノイズが発生したことにより慌ただしくなっていた
ノイズが発生した場所を探知して調べ 住民の避難などが完了した後に風鳴翼の出動を待ち構えさせていた
住民の避難が終わらない以上、ノイズ対策部隊は出ることができない なにしろ国家機密にされている部隊なため、一般的には公開されていないからだ
公開して、なぜ助けなかった、だの、お前のせいで家族がノイズに殺された、などと文句をつける輩がいるからだ
ノイズと戦うことができる者は今はたった一人のみ…風鳴翼だけしかいないのだ
翼一人では全ての場所を守ることはできない 一箇所だけに出てくるなら一人でも行けるのだが、ノイズは複数体現れては数箇所に別れて出てくる
離れたところでノイズが現れたらそれこそ時間がかかってしまう その間にも何人もの命が失われる…
それで失われた命の子の親などが特異災害対策軌道部二課に文句を言いに来るのは目に見えていた こちらも一人で動いてくれている翼に全てを守れとは言えない
こちらもできる限りの事はしているがやはり、シンフォギア奏者不足により苦難していた
せめてもう一人居れば…行動できる範囲が広がる 翼ともう一人の奏者が別々の場所まで行って、さらに多くの命を救うことができる
…奏がいなくなったのが非常に痛い 二年前…ツヴァイウィングのライブ会場で奏は絶唱を歌い ノイズを消滅させたと引き換えに 自分の命を犠牲にした……
今ここに奏がいれば、すぐにでも救助にいけたのに…誰もがそう思っていた ほんとに…奏が生きていれば……救われない命が救われたかもしれないというのに
…だが、そんな心も一瞬にしてバラバラに粉砕された
探知機が異常な数値を表して ノイズとは異なる反応を確認した
探知及び反応、情報処理を管理をする友里あおい、藤尭朔也、シンフォギア及び聖遺物を研究する櫻井了子がその反応を確かめすぐに調べた…その結果、ありえないことが起きていた
その反応はノイズとは違うためすぐに判明した 判明した結果、アウフヴァッヘン波形だということがわかった
しかもその波形は…死んだはずの天羽奏のシンフォギア ガングニールの反応だったのだ 判明されて一同目を限界まで開かせて驚いた
その中でも風鳴弦十郎は声まで出して驚きを表し、天羽々斬の奏者 風鳴翼も言葉を失うほど驚いた 唯一心を開かすことが出来た人物で弱気の自分をいつも支えていてくれた人物が生きてる…そんなはずがない!!だってあの時、奏は目の前で灰になったのを目撃した。奏なはずがない!!
翼は急いで現場に向かい走り出した。まだ民間人の避難は完了していない 今出撃すれば民間人に見つかる恐れがある。
だが指揮官である風鳴弦十郎は止めなかった むしろ自衛隊に奏者が現場に向かうことを伝えて民間人の避難を優先させた
翼が命令を待たずに出撃した理由は言わずともわかっていた 弦十郎も同じことを思っていたからなおのことわかっていた。
死んだはずの天羽奏が所持していたガングニールの反応が今あるのだ 本人なわけがないと分かっているが少しでも希望を持ちたかった。
もしこれで奏だったらどうする?なぜ生きてるかどうかを聞く?死んだはずなのにどうして?そんなことを頭に過ぎらせたがすぐさまその思いを捨てて今の現状をどうにかすることを優先した。
その他の部下たちも風鳴司令の命令に従い民間人の避難を遂行した…だが、ただひとり アウフヴァッヘン波形を確認できたことで笑を浮かべていた人物が一人だけいた。まるで新たなおもちゃを見つけた子供のような目で興味を湧かせていた。
その人物、櫻井了子はだれにもバレずにすぐさま表情を変えて 皆と同じ急いだ表情で仕事を遂行した。
工場の屋上ではシンフォギア奏者となった立花響と少女、多数のノイズが立ち尽くしていた。
響はなにがなんだか分からず、自分の姿に戸惑っていた。胸の傷がいきなり光だし 体全体に機械みたいなものが生えて取り付けられ、頭からは勝手に口に出してしまうほどの歌が流れ込んできて歌っていた。
隣にいる少女は響のことをかっこいいと口にすると焦っていた気持ちが落ち着き、この少女を連れて助けることを改めて決心した。
少女の手を取り、ジリジリと近づいてくるノイズから逃げるために走り出した…だが、走り出したにしては勢いがありすぎてその場から飛んでしまった。
通常の人間ではありえないほどの脚力で踏み込んでしまい響は操作不能になり少女を抱きかかえたまま体から地面に不時着した…だが、体から不時着したのにも関わらず 痛みどころかむしろ地面に落ちた衝撃でヒビが入っていた。もちろん少女も無傷だった。
死んでないどころか痛みもない状態でさらに響は混乱した。あんな高いところから落ちたのになぜ生きてる?いやそれ以前に痛みがないのもおかしい この変な機械みたいなものが抑えてくれたのだろうか?
そんなことを悩んでいるとノイズが姿形を変形させて響たちに襲いかかってきた。体を渦巻き状にさせて工場の屋上から飛んで地面に不時着した響たちに目掛けて突っ込んでいく
襲いかかってきたノイズから逃れるために響は急いで立ち上がり、操作の慣れない動きで少女を抱えて走り出した…だがやはり加減がわからず 踏み込んで飛んでしまい、地面に着立しようと足をつかせるがよろめいてしまい転けそうになった
なんとか転けずに済むのもも ノイズは響たちにめがけて容赦なく突っ込んでいった。響は今走っては間に合わないと思い つい手が出てしまった。
ノイズ相手に重機は効かない 生身の体に触れた瞬間、灰と化す…響の手がノイズに触れるとノイズが炭と化して消滅した。
響はその光景を見て『わたしがやっつけたの…?』と思った。本来なら人間側が消滅するはずなのにノイズが消滅したのだ 驚きを隠せないのも無理はない。
その様子を少女も目撃していた。まだ小さいから細かいことまでは分からないが響のことをヒーローだと思い込んだ。
だがやはり数が多すぎる 戦えることがわかったとしても少女を守りながら戦うのは厳しい…そう判断した響はなんとか今の身体能力をコントロールして避難所のシェルターへと向かった。
その後を追いかけようとしたノイズはこちらに向かってくる光に目を向けて追うのをやめた。
光が向かってきた物の正体はバイクで少女が操縦していた。少女はバイクから飛び降りてノイズに目掛けて発信させた。
ノイズはバイクと衝突同時に灰と化して多数やられた 多数やられたのを目視で確認するとバイクに乗っていた少女 風鳴翼は赤色のクリスタル型に作られたペンダントを手に持ち口を開かせた
Imyuteus amenohabakiri tron
響とは異なる歌声…これは詠唱と呼ばれるもの 翼は響とは異なる装備およびシンフォギア奏者になることができる
立花響はガングニール、風鳴翼は天羽々斬 聖遺物の破片を使用してノイズと対抗できる唯一の武器なのだ。
シンフォギア装備になると同時に右手に刀を装備させた その武器はアームドギアといい、その奏者に定められた装備が身につけられるものだ
もちろん聖遺物の種類によってギアは異なる 翼は刀だが奏は槍、他にも種類はあるが今のところ知られている聖遺物はそのふたつだけ
翼はここら辺に反応していたガングニール奏者を探したが見当たらなかった 辺りを見渡すが夜ということもあって視界は悪く見つけることができなかった
辺りを探索したかったが目の前にはノイズの大群が待ち構えているため、それを放っておいて探索することはできなかった
ガングニール奏者も気になるが民間人の避難も終わってないのにノイズを放っておくわけにはいかない 探索は後回しにしてノイズを退治し始めた。
…一方響は少女を抱き抱えてシェルターに付いた 出入口には誰もいなく、自衛隊の人もいなかった。
でも何度も避難したことがあったため入り方はわかっていた。シェルターのドアを開けようと手を伸ばした瞬間、体が再び光りだして機械みたいなものが取れて着ていた制服に戻った。
戻ると同時に一気に力が抜けてその場に座り込んでしまった 少女を落とさないよう残された力を振り絞って勢いを殺し下ろさせた。
響は完全に体力の底が尽きてしまいその場から動けなくなってしまった。先程の装備の反応だろうか あまりにも身体能力が上がったせいで、その反動が今襲ってきたのだろうか?
少女は動けなくなった響を見てだいじょうぶ?と呼びかけたが辛うじて返事をするものの少女は心配した表情から戻さなかった
少女はシェルターの硬い扉を弱い力でなんとか開け、体力を使い果たした響を引っ張って入れようとした
響も少女の頑張りを見て自分も頑張らないとも思い、再び体力を搾り取ってシェルターの中へと入っていった。少女は響が中に入ると扉を閉めて響の元に駆け寄った。
だが響は完全に体力を使い果たし、その場で動けなくなってしまった 動けないところか気を失い深い眠りについた……
少女は意識を失った響を見て慌てて奥へと進み誰かいないか探しに行った 自分一人ではどうにもならないと思ったのか10もいかないような少女が思いついた最高の考えだった。
幸い、出入口近くにいた自衛隊を見つけ 響の救助はすぐに行われた。完全に体力が失い意識を失った響は自衛隊におんぶされて民間人が避難してる部屋へと運ばれた。
そこには響のクラスメイトたちが居て、響が救助されたことがわかるとみんなは安心して涙を流した。
その中でも一番心配していたのは白い大きなリボンの髪飾りをつけた少女、小日向未来は響に駆け寄り すかさず抱きしめた。
未来は響に取って大切な友達、逆に響にとっても未来は大切な友達 他の誰よりも大切に思っている人物だ
未来は響がけが人などが集められてる場所に運ばれると着いていき、自ら響の手当てを手伝った。
幸いにも未来は陸上部で何度かケガした時に自分で治療を行っていた為、初心者よりかは手際良く傷の治療が出来た
治療をしていると響と一緒にいた少女が歩み寄ってきて響の安否を尋ねてきた 未来はこの少女と一緒に響が来たのを目撃していたため、おそらく避難中に響が連れていた子だとすぐにわかった
未来は少女にだいじょうぶだよと返答すると少女は不思議なことを話してきた。「お姉ちゃんかっこよかったんだよ!あのノイズをやっつけちゃったんだよ!」
…っえ この子はなにを言ってるのだろうか?響がノイズをやっつけた?そんなありえない
ノイズは人類では倒す事が出来ないと教えられている。重機は効かず 生身の人間がどこかに触れた瞬間、灰になって死んでしまうはず
でも少女が嘘をついてる様子はない ましてこんなにも小さい子が嘘をつけるなんて思えない…でも信じられなかった ノイズをやっつけたなんてありえない 今までノイズをやっつけたなんて情報はない………
……ない?いや待って ないのは変じゃないか?
重機が効かず、ノイズを倒す手段がないのに なぜノイズはいなくなる?自衛隊たちが対応してると聞くが重機は効かないのに倒すことはできてないはず
自己犠牲してノイズと共に死んでるなら話はわかるが、わざわざ自衛隊員を犠牲にして民間人を守らせるか?優先順位としては民間人より自衛隊員の方が生かすことを優先するはず
それをしないということは…なにか対策があるということじゃないだろうか …そういえば響が言っていた。二年前、ツヴァイウィングのライブ会場で大ケガをした時 風鳴翼と天羽奏がノイズを倒しているのを目撃したと
人間がノイズと対向できるなんて聞いたことがない そんなのありえない、見間違いじゃないかとその時は答えた。
…だが、今思うとそれは可能じゃないかと思ってきた。もし少女の言うことが本当なら響もノイズと対向できるひとりに……?
幸いにもその話しは未来にしか聞こえておらず、他の人はノイズ騒ぎで落ち着きがなく未来たちの話は聞いていなかった。未来はすかさず少女にこの話しは誰にも言わないことを言いつけた。
少女はなんで?と頭にハテナを浮かべていたが未来はお姉ちゃんの身の為でもあると教えた 少女は未来の言ってることがよくわからなかったがわかったといい頷いた。
未来もいろいろと混乱しているが今は響の傷を手当する方が先決、意識を取り戻したら話を聞くことにした。
…だがやはり、そう思っても脳裏に響がノイズと対向できると知られたらどうなるか心配でいた もし国にそのことがバレたら?ノイズを倒すことができる人がいたら放っておくはずがない 確実に利用してくるはず!
響の性格上、世界の人たちを守るためなら無理してでもその案を受けると思う 人助けが趣味な響なら断るわけがない
…だけど未来はそんなことはさせたくなかった 響は一度、死にかけたことがあるのだ しかも私のせいで……!!
もうあんな思いはさせたくない、響を戦わせるなんて そんなことさせたくない!!例えそれが国を敵に回したとしても!!
響には悪いけど起きたらすぐノイズを倒したかを聞き、もしその話が本当なら黙っておくように言わなくてはいけない…
もう響にひどい目にあって欲しくない 痛い目にあって欲しくない寂しい思いをさせたくない…なんとしても、響を守らないと!!
ノイズ殲滅後、翼は自衛隊と特異災害機動部二課と共に被害状況とガングニール奏者を探していた。自衛隊には主に被害状況を把握してもらい、翼と特異災害機動部二課の作業員はガングニール奏者がどこへ行ったかを衛星カメラを使い探した…
…だが衛星カメラで映っていた人物は奏ではないことがわかった。姿形もそうだが、まずなにより動きが明らかに素人だった 奏は翼と同様、訓練をして完璧にシンフォギアを使いこなしていた。
では一体だれなのか?ガングニールを扱うこの者はどういう人物なのかを調べるために衛星カメラで正体を暴こうとしたがタイミングが悪く、ガングニール奏者にカメラを向けた時には動いた後だった。顔や服装などを確認することができず、ガングニールを身にまとって少女と共に飛んで走っている映像しか捉えられなかった。
幸いにも少女の顔は映し出すことに成功していた。服装も全て把握して、この少女を重要参考人として記録付けた。
その場から飛んで走って行った先は避難所のシェルターがある場所だった。おそらくわけもわからず混乱して急いで避難したのだろう。隣に少女がいたからなおのこと安全な場所に行きたかったに違いない
だが今からシェルターに行って探すのは効率的ではない ノイズに怯えて、皆落ち着きがない状態でいる。そんなところに今から行ったとしてもまともに探せない…探すなら落ち着いて家に帰ってからの方が効率的だ。
特異災害機動部二課作業員の友里は司令に少女を重要参考人として認めてもらい、住所や身元を調べる許可をもらった。
翼はガングニール奏者を探すのをやめ、特異災害機動部二課の車に寄りかかり身体を休めた…正直、がっかりしていた もしこれで奏だったらどんなに嬉しかったことか
死んだはずの奏はが本当は生きてました。なんて思っていたがそんなことはなかった 変な期待を抱いていた自分が馬鹿らしく思えた…
逆にガングニール奏者にイラつき始めていた 奏のシンフォギアを使ってる奴がだれなのか、なぜ奏のシンフォギアを持っているのか そんなことを思い始めてくると苛立ちが込み上げて……
そんなとき、翼の目の前にはあたたかい飲み物を持ったスーツ姿の男性が立っていた。その者は表は風鳴翼のアイドルマネージャー 裏は特異災害機動部二課の裏仕事をこなす小川賢司だった。
元々は忍者の里で生まれ育ち、ありとあらゆる忍術を身につけている現代忍者 身体能力などは非常に高く、暗殺のプロでもある
翼は差し出されたあたたかい飲み物を受け取りすすった…我に返ったのか落ち着きを取り戻し 眉間にしわを寄せていたのが徐々になくなっていった
小川も翼がイラついていた理由はなんとなくわかっていた。だがあえて口にしなかった 口にしたところで翼は話さないからだ
奏が死亡して以来、誰にも悩みなどを話さず 完全に一人でどうにかするようになってしまったからだ。いつも相談に乗ってくれていた天羽奏はもういない…小川では相談に乗れない 小さいときから見ていたが孤立している翼から話を聞くとはできなかった…
小川はこれ以上沈黙状態を維持するわけにもいかないので翼を車に乗せて帰宅することにした。もうここからの仕事は自衛隊や友里の管理に当たるため、翼はいてもやることがない なら早く帰らせて休ませた方がいい…そう判断した。
友里に翼を帰らせることを話して車を走らせた。まだ自衛隊の人達が作業していたが、そこらに散らばっている灰を見て小川は悔しい思いをした
もっと早く救助に来ていれば、ここにいた人たちは助けられていたはず 怖い思いをして死んでいった人達のことを思うと胸が痛くなった
後ろに座る翼をの様子を伺ったがやはり無言を崩さず外に目を通していた…おそらく奏のことを思いながらガングニール奏者のことを考えているのだろう。
新たなガングニール奏者…一体誰なのか 一応民間人を助けてた辺り、味方の可能性は高いと思う…もし見つけたら ノイズを倒すために協力してもらわなければならない
ただでさえ、ひとりでは回らないから素人でも二人になるのは大きい しばらくは操作練習などに時間かかるが戦力が上がることには違いない
…だが、もし勧誘できたとしても翼はどう思うだろうか 奏じゃないガングニール奏者を受け入れるだろうか?
今まで隣は奏だったのを別の人に代替えしようなんて思わないはず むしろ同じ奏者者を良い目では見ないだろう…下手したら邪魔者扱いして追い出そうとすることも考えられなくはない
翼はそれでいいかもしれないが市民を守るためには人手が必要だ 翼のわがままで貴重な人材を失うわけにはいかない
ひどいかもしれないがこればかりは我慢してもらうしかない 人類を守るためにはどうしても……
…
次の日
病院ー響の病室
響 「………」ベッドから起き上がって壁に寄りかかっている
響 「…」スゥ…ギュッ 自身の手に拳を作って昨日のことを思い出している
響 「(…昨日のはなんだったんだろう たしかに私の手はノイズに触れた…)」
響 「(…でも、触れたのに私は灰にならなかった 逆にノイズの方が灰になってバラバラになった)」
響 「(それに私の体から出てきたあの機械…あれは一体なに?急に胸の傷が光出したと思ったら身にまとってた)」
響 「(走ったと思ったら急にその場からジャンプしちゃったり コントロールできなくて地面に叩きつけられても痛くなかったし…わたし、どうしちゃったんだろう)」
響 「(頭に流れてきた歌と身にまとった機械…たぶん関係あるよね そしてノイズを倒したのも関係が……)」
…ガラッ
未来 「…ひびき ケガは大丈夫?お見舞いに来たよ」
響 「あっみく!だいじょうぶだよ ただの疲労困憊だって」
響 「少し休めば元気になるって言ってたからすぐに治るよ!心配かけてごめんねー」
未来 「それならいいんだけど…はい これ果物とかお菓子」タッタッタッ…コトッ
響 「おぉーっ!おいしそー いやーやっぱりじっとしててもお腹空くもんだよね!さっそくいただきまーす!」スゥ…ツカミッ 果物籠に入っているバナナを手に取る
未来 「………」カタッ…ストンッ 壁に立てかけられているパイプ椅子を組み立てて座る
響 「ん〜!!やっぱりバナナはおいしいよね みくも食べようよ!」モグモグ
未来 「いや わたしは別に……」
未来 「……ねぇひびき ちょっと聞いていい?」
響 「ん?なーに」モグモグ…ゴクンッ
未来 「………」
響 「……? みく?」
未来 「……ひびき シェルターに来る前、なにがあったか教えてくれる?」
響 「っ!!」ドキッ
響は果物を食べていた手を止めた それと同時に目を大きく開かせて冷汗を流した…
なにかあった…まさに図星だった 未来はどこで知ったかはわからない もしくはなにかあった事に勘づいているのかはわからない
なにかあったことにはちがいない シェルターに行く前、私は少女を連れてノイズから逃げていた ノイズに追い詰められたときに胸が光り出して体から機械が出てきてノイズを倒した。
自分でも詳しくはわかっていないがノイズを倒したことは覚えている たしかに右手がノイズに当たったのに消えたのはノイズの方だった
肉体的にも普段の数倍ぐらい出ていたことも覚えている…シェルターに着いたら効果が切れたのか体に付いていた機械がなくなって倒れた……
……これは話していいのだろうか 未来には隠し事はしたくない でもこんなことを話して信じてくれるだろうか?
アイドルの翼さんと奏さんがノイズと戦っていたことを話したことあるけど、結局信じてくれなかった 人類がノイズに対抗できるわけないと言われて打ち切られた
信じてくれなかったのにそんな話をして信じてくれるだろうか でも信じてくれなかったとしても、未来には隠し事はしたくない!
未来は私にとって大切な友だち 唯一、私のことを理解してくれる陽だまり!そんな人に隠し事なんて……!!
未来 「…ひびき 難しく考えないで ひびきの言うこと、信じるから」
響 「……っえ」
未来 「今のひびき すごく悩んでるのわかるよ わたしに話していいのか…信じてくれるのか そう思ってるでしょ?」
響 「っ…」ドキッ
未来 「だいじょうぶ 信じるから…だから話して?ひびきがひとりで悩む姿を見たくないの」
未来 「例えそれが、みんなを敵に回すことだとしても わたしはひびきの味方だから!」
響 「…みく……」
未来が真剣な顔をして聞いている…いつもとは違い、眉間にシワを寄せて響の悩みを聞こうとしている
例えみんなを敵に回したとしても味方してくれるなんて、他に誰が言ってくれるだろうか 未来以外行ってくれる人はいないと思う……
…響は決心した。未来なら信じてくれる みんなを敵に回すことはしたくないけど、ひとりで悩むならふたりで悩んだ方が効率がいい
それに未来には隠し事をしたくない 私の陽だまりに隠し事をするのはやりたくない!!だから響はすべて話した
少女と共にシェルターへ向かい、ノイズに囲まれたときに自分の体に機械みたいなものが体から出てきて それでノイズに触れたらノイズが消滅したことも……
未来は少女が話していたことと一致して完全に納得した 少女が言っていたことは本当だった 響がノイズと対抗できるなんて思ってもいなかったが…でも響の口から聞くことができた そんなことで嘘をついても意味がない それ以前に響が嘘をつくなんて思ってもない
…ただ、これで響の悩みを聞くことができたことに安心を抱いたが 不安も一緒に込み上げてきた
ノイズと対抗できる…それは人類にとって貴重な人材だということに未来は気づいていた 今までノイズと対抗できるひとなんて存在しなかった それが出てきたということは人々を救うために国は響を利用するに違いない
響は過去に酷い目にあっているのに さらに危険な目に合わせるなんてさせたくない!いくら人類を守るためとはいえ、そんなことをさせたくない!!
でも響なら、みんなのためにその力を使えるなら手伝うと言うだろう 過去に酷い目にあっているというのに、響は優しすぎる……
………なら私が響を守らなくてはいけない 無理矢理かもしれないけど、これ以上危ない目にあってほしくない だから私は…
響 「…ごめん やっぱり聞かなかったことにして こんなこと言われても信じられないよね」
響 「私が翼さんたちがノイズと戦ってたことも信じてくれなかったのに…私が戦えるなんて」
未来 「信じるよ ひびきの言ってること」
響 「……っえ」
未来 「たしかにつばささんたちがノイズと戦ってたことは信じられなかったけど ひびきが戦うことができたことは信じる」
未来 「だってひびきは自分に嘘つかないでしょ?それを一番理解してるのはわたしだもん!」ニコッ
響 「…みく………」
未来 「…でもねひびき その力はみんなには秘密にしておいてね?このことは私たちふたりだけの秘密にして」
響 「っえ なんで…?」
未来 「なんでもよ いい?」
響 「……理由を聞かせて 私はみんなに話して、この力が役立てるなら役に立ちたい」
響 「ノイズと対抗できる手段はないって言われてるのに、その手段を持ってる私が手を貸さないでどうするの?」
響 「わたしはみんなを助けたい みくだけじゃなく、世界のみんなを!!」
未来 「助けられなかったらどうするの?前みたいにいろんな人から言われるかもしれないよ」
響 「ーっ!!」ビクッ!!
前みたいにいろんな人から…響はその言葉にゾッとした
響は過去に行ったツヴァイウィングのライブ ノイズ騒動事件の唯一の生き残り…たったひとり、生き残ったことによっていろんな人から悪口や暴行を受けていた
なぜお前だけ生き残った…みんなは死んだのに、お前だけ生き残りやがって 税金泥棒…お前を死ねばよかったのに
妬みだとはわかっているが、それでもいろんな人から言われることはされたくなかった
たしかに未来の言う通り、助けに行った矢先に ひとりでも救えなかったらどうなる?またその家族から悪口や暴行を受けるかもしれない
背筋が凍るような冷汗が響に襲った みんなのためにこの力が役立てるなら役に立ちたい…でも、もし間に合わなかったらと思うと恐怖を感じた
助けたい…でもまわりから悪口や暴行を受けるのはいやだ もうあんな思いはしたくない!私のせいで家族は崩壊した 家族だけじゃなく、未来にも迷惑をかけた
誰かに迷惑をかけるならしない方がいい …でも、誰かを助けられるなら助けたい いったいどうすれば………
響 「ーっ…」プルプル…
未来 「…ひびき そんなに怯えなくても平気だよ わたしは誰にも言う気はないから」スゥ…ギュッ 響の手を握って安心させる
響 「っ! みく…」
未来 「ひびきが困ってる人を助けたい気持ちはわかる…でも それで自分の首を締めることはしないでほしいの」
未来 「過去にひびきは酷い目にあってるから もうあんな思いをしてほしくないの だからお願い…私の言うこと、聞いて?」ブル…
響 「………」
響 「(みくの手 震えてる…うれしいな こんなにも私のことを思ってくれてるなんて……)」
響 「(…これ以上みくに迷惑をかけられない 困ってる人を助けたいけど、みくがこんなにも心配してくれてるのに その思いを踏みにじるわけにはいかない!)」
未来 「っ…」プルプル…
響 「…わかった みんなには言わない ふたりだけの秘密にするよ」
未来 「っ!」
響 「ほんとはいろんなひとを助けたいけど、これ以上みくに心配はかけたくない だから安心して?」
未来 「…ひびき!」
響 「ただ、どうしても目の前で困ってる人がいたら その人たちだけでも助けたい それだけはおねがい!」
響 「目の前にいる人たちを見捨てるようなことはしたくない なるべくバレないようにするから!」
未来 「………」
響 「……だめ?」
未来 「……わかった そのときに私も一緒だったらいいよ わたしはノイズと対抗できないからひびきが戦ってる間にその人たちを安全な場所まで案内する もちろん見られないように」
未来 「それでいい?もしそれがいやならだめ ひびきがノイズと戦える人だってバレるわけにはいかないからふたりでいない時は助けちゃダメ」
響 「…なら出かけるときや学校に登校するときはずっと一緒にいて みくには迷惑かけるかもしれないけど…」
未来 「だいじょうぶ わたしも同じことを考えてたから」
響 「っえ そうなの?」
未来 「うん!だって私からひとりでいるときは助けちゃダメって行ったのに わたしが一緒にいないなんておかしいでしょ?」
未来 「さすがに四六時中ずっと一緒にはいられないかもしれないけど 基本的にはずっと一緒にいるから安心して!」
響 「…そうか うん わかった」
響 「それじゃこれからも 今まで通りよろしくね!みく」
未来 「うん!」
こうして、響と未来はお互いの気持ちを伝えあって和解した お互い制限をかけてふたりで一緒に行動していく…仲良し二人組ならそれぐらいいいかもしれない
いつまでそうしていけばいいかはわからない 密かに困ってる人を助けて、バレないように動いていく それがいつまで続くかも分からない
でもふたりでならいつまでもやって行ける 響と未来はそう思っていた ふたりの友情は決して壊れるようなものではない!
…でもふたりはこの先、いろんな人から追いかけられるなんて思いもしなかった 決して壊れることのない友情に亀裂を入れさせようとしてくる連中が襲いかかってくるなんて……
第二章ー逃走、お互いの手を取りながら
続きは以上の題名になります。ぜーったい読んでね!!
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