超ブラック鎮守府に空戦の神様が着任しました ~元がひどすぎて何やっても好感度上がる鎮守府~
人類で唯一深海棲艦を沈めた男、関内。元帥によって提督が解任されたブラック過ぎる鎮守府に着任する。
しかしそれは思ったよりひどく、関内は常識でないものを常識だと認識している艦娘に頭を悩ませるのだった。
これは、そんな関内と、残酷な扱いを受けた艦娘達の物語。
※艦娘は今までひどすぎる境遇に置かれていたので、関内が大したことしなくても惚れます。そういうもんです。
思い付きで書いてみました。基本は登場人物同士の会話を「」。考えていることを()で書きます。
大体は会話だけで進めていきます。たまに補足で天の声入るかも。あと「」の後に続くのは、その人物が取った行動だと思っていただければ幸いです。
大本営 会議室
一人の男が、何人もの軍の重役に囲まれ元帥の話を聞いていた。
元帥「-----そういうことで、関内くん。君には先日空いた鎮守府の提督になっていただきたい」
提督「......なんでやねん」
提督(わざわざ面倒なことをする意味なくね?)
外野「「「「「......」」」」」ざわつき
元帥「静まれ、言葉遣いは気にせん。関内くん、あの鎮守府はね。規模が莫大だ」
提督「それで?」
元帥「それでってな......あのなぁ、君はもう少し野心というものを持ったらどうかね?普通の人間ならば喜んで飛びつく案件だと思うが」
提督「普通の人間なら、な。あいにくちょっと変わり者みたいでな。なんなら今ここに居る元帥以外はオレのことを人と思ってないだろう?」チラ見
外野「「「「「......」」」」」
元帥「よせ。とりあえずどうかね、関内くん。頼まれてはくれぬか?」
提督「......今まで、軍に所属している身分だが自分のために勝手に動いてきた。たまには、恩人の頼みも聞くさ」
元帥「うむ。感謝する」
提督「まあどうせすぐ死にそうだし、今のうちに手柄を上げておいてオレが元帥に......」
元帥「あと十年は最低でも現役稼働してやるわい馬鹿者!......だが、そのくらいの心意気で頼む。特にあそこは、な」
提督「おうよ」
提督(元帥が含みのある言い方をする理由もわかってる。今からオレが着任する予定の鎮守府、そこは特にブラックで有名だしなぁ......本当は行きたくねえけど、艦娘なんてもんは軍に所属してても見かける機会ほっとんどないし......噂では麗しい乙女とのこと。まあオレは二次元にしか興味ないけどな!がはは!!)
元帥(なぁんて考えているんじゃろうなあこいつは......)
提督「よし、それでいつからだ?」
元帥「今からじゃ」
提督「は?」
元帥「いまから。よろしく頼むぞ」
提督「な、ちょおい!放せ!くっそ、このアホじじいぃぃぃ!!」黒服に連れ去られ
提督が去った後の会議室
提督A「......よろしいのですか、元帥?」
元帥「ああ。ここに居るみな、関内くんのことは理解しているだろう。あいつはそういう男じゃ」
提督B「しかし、いくら空戦の神様である彼でもあの鎮守府を任せるのは少々荷が重いのでは......」
元帥「そういうときこそ盛り上がるんだろう。人類で唯一、深海棲艦を撃沈させた男はな」
提督A「そういうものですか......尊敬に値します」
提督B「そうですね。彼の姿勢には学ぶことが多いです」
元帥「......君らのぉ、そういうのは本人の前で言ってあげたらどうかね?海軍の三大華の御二方さん達や」
提督A「不名誉です。その呼びは」
提督B「軍務にはふさわしくないですね」
元帥「そ、そうか......」
元帥(関内くんの近くに居るときは完全に女の顔をしていることに気づいておらんのかね......)
鎮守府 会議室
長門「......新しい提督が、着任するそうだ」
加賀「そう」
大和「どのようなお方かはわかりますか?」
陸奥「私が耳に挟んだ限りでは、若い男性だそうよ。なんでも、人類で唯一深海棲艦を轟沈させたとか」
赤城「気になりはしますね。もしかして艦載機でですか?」
加賀「仮にそうだとしたら、航空戦隊のことを指揮してほしいですね......失礼、おこがましい話でした」
長門「まあ......どちらにせよ、人間である提督を怒らせるわけにはいかない。今まで通りだと思おう」
大和「......また、ですか......」
長門「ああ。期待しすぎるのも良くない......裏切られるとわかっているならばなおさらな」
武蔵「......」決め顔爆睡
そのころの提督
提督「海だ!海がある!」
護衛「海くらい、見慣れているのではありませんか?」
提督「いやそうだけどさ!訓練は普段内陸のところだったし、空を飛ぶときも海って感じがしないんだよ。高いから青い草原みたいな感じだし」
護衛「なるほど。これから向かう鎮守府は孤島全体を利用した大規模な鎮守府ですので、海水浴なども楽しめるのではないでしょうか」
提督「だと良いなぁ~。カナヅチだけどさ」
護衛「......あれ、パイロットって確か墜落の時のために泳法を学びませんでしたか?」
提督「できな過ぎて教官にもうやめろって言われた」てへぺろ
護衛「は、はぁ......」
数日後
護衛「つきました。では私たちはこれで」
提督「ああ。寝る間も惜しんでくれたこと、感謝する」
護衛「いえ。それでは、ご武運を」敬礼
提督「そっちもな」敬礼
提督「......さて」
提督(ここに居る艦娘のことは大体頭に入れた。まずはファーストコンタクト。失敗しないようにしよう)
提督「入り口は......お」
長門「お待ちしておりました、提督様」敬礼
長門(噂通り若い殿方......気を引き締めなければ)
提督「え?ああ、おう」
提督(事前情報とかなり違うな。主に態度というかなんというか......だがまあ個人差というものもあるだろう。うん。ここがブラック鎮守府だなんてことは関係してないはず)
長門「それでは、行きましょう」馬になる
提督「ぁ~......なにやってんの?」
長門「人間である提督様を歩かせるわけにはいきません。私が馬になりましょう」
提督「それは......君の趣味?」
長門「なっ!そ、そんなことはございません!できることならば提督様のお隣を......あ」
長門(し、しまった!私としたことが、出すぎた真似を......!この鎮守府を代表して出迎えているんだぞ!?このようなことをすれば......!!)
提督「(なんで顔青ざめてんのこの人。表情豊かだな)......そうか」
長門「っ......お許し、ください」提督の靴を舐めようとする
提督「ちょなにやってんの!?汚いってば!!」
長門「も、もうしわけありません!私のようなものが提督様の靴を舐める程度で許してもらおうなどと!!」
提督「いやそっちじゃねー!と、とにかくほら。歩くぞ!案内よろしく!!」長門立ち上がらせ
長門「あっ、は、はい!」
長門(バカな、人間である提督様が私の肩に触れた!?いかん、なぜ顔が熱く......!)
提督「あ~疲れた......」
長門「す、すみません。やはり私が馬に......」
提督「アホか。女性を馬にするほど趣味が悪くねえわ。っていうか、前はやってたのか?」
長門「?、は、はい。普通私たちのような兵器は人間である提督様の足元を歩いたり、お荷物持ちになったりするものでは?」
提督「......」頭抱え
長門(何かおかしなことをしてしまったのだろうか......?)
提督(こりゃ深刻だぞ......)
鎮守府 執務室
長門「ここが、提督様の執務室になります。ですが、執務は私達がやりますので、提督様はお気になさらず」
提督「いややるわ。やらないけんだろ普通」
長門「で、ですが!」
提督「あーはいはい、じゃあ手伝ってもらうから。秘書艦ってやつ?まあオレも初めは当たり前だけどなんもできないし、教えてもらうような感じで」
長門「......わかりました......」
陸奥「長門?提督様は......!?」
提督「お、君は陸奥か。どうし」
陸奥「長門!!」
長門「......」
陸奥「何してるの貴女!早く跪きなさい!もうしわけありません提督様、どうか長門の行動は......」跪き
提督「......陸奥?」
陸奥「は、はい」
提督「あのな、オレはむしろ逆にそうやって跪くと怒るぞ?普通に立て。っていうか立ってくださいお願いします。美人さんを足元にとかメンタルががが」
陸奥「しかし」
提督「しかしとかじゃない。長門もそんな感じだったけど普通に立ってくれてるぞ?だから陸奥。頼む」
陸奥「......わかり、ました......」立ち上がり
提督「さて、今日はもう遅い。オレは寝るから二人も早く寝るように」
長門「ね、眠って良いのですか?」
提督「そう来たか......寮、あるだろう?」
陸奥「あります」
提督「んじゃそこで寝れ。もう夜戦とかも訓練とかも全部なし!一週間なし!あ、でも自主練は良いぞ!どんどんしてけ!資源使っても良いから!!」
長門 陸奥「「はい」」寝ころび
提督「......そういうことじゃなくってなぁ......」
結局その後、なんとか長門と陸奥を戦艦の寮へと押し込み眠らせた。
その前に長門に頼み、艦隊全体に一週間完全休暇。ただし自主練は許可、資源の使用も許可という趣旨を伝えた。あと次いでに寝ろということも。
それから元帥に連絡、詳しい事情聴取。まあ、いろいろ聞かされたが......そりゃ性格も変わるわな、うんって感じ。
おまけにオレが主に使用するという執務室や私室、仮眠室など。なんか知らんけど全部破壊して作り直したってさ......どんだけだよ。だがとりあえず、明日からは忙しい。まずは艦娘の意識改革からだ。満足なもん食ってねえらしいし。
翌日 執務室
提督「む、なんだこの書類......まあ後で良いか」
長門「よし、今日も頑張......」扉明け
提督「あ、おはよう長門」
長門「て、提督様!?なぜこんな早い時間に!?」
提督「いや、執務はやったことがないからな。なるべく早くからやっておきたいと思って」
長門「申し訳ありません!私がもっと早い時間にきていれば!!」土下座
提督「いや今でも十分早い時間だと思うけどね!?まだ日の出前だぞ!」
長門「しかし!」顔上げ
提督「......長門。少し休め」
長門「え?」
提督「目のクマがすごいぞ。ほら、嫌だと思うがそこのドアを開ければ仮眠室だ。オレも不甲斐ないことに二度寝で使ってしまったが......それでもかまわないなら使うと良い。ってか寝てくださいお願いします」
長門「は、はぁ......」
提督「ほらいったいった!」押し込み
長門「な!ちょ!!」
提督「じゃ二時間くらいしたら鍵開けるから!お休み~」ドア+カギ閉め
長門「!......!」
提督「よし、たぶんしばらくしたら眠ってくれるだろう。とりあえずこれだけやってしまうか」
数時間後
長門「提督様......」ドア開け
提督「おはよう。よく眠れたか?」
長門「は、はい。申し訳ありません」
提督「良いさ。時に長門。鎮守府内の放送ってどうやればできる?」
長門「全体放送ですか?すぐに準備いたします!」走り出し
提督「......元気になったかなぁ......」
長門「準備完了しました!」
提督「はやっ!?」
長門「こちらを。この受話器に向かって話しかければ、それが放送されます」
提督「お、おう」
長門「......」期待の眼差し
提督「(あかん、長門から犬の耳としっぽが見える......)ありがとう、助かった」
長門「いえ......!」
提督「さて、それじゃあ......んん、あー、マイクテストマイクテストー。......艦隊に告ぐ。今から名前を呼んだ者は執務室に来てほしい。あ、急がなくて良いぞ。まず、間宮さん。続いて加賀さん、赤城さん、陸奥さん、大和さん、武蔵さん。以上」
長門「何をなさるのですか?」
提督「ちょっと、な。......あれもう今ドアの前にみんないることない?」
コンコン
加賀「......失礼します、提督さm」
提督「あーみんな立った状態で良いよ。入って入って」
呼び出し組「「「「「......」」」」」
提督「さて、ここに呼んだみんなにはあることを頼みたい。もちろん嫌なら断ってもらっても良いが」
加賀「その心配は及びません、提督様」
提督「ならありがたい。まず初めに、間宮さん」
間宮「は、はい!」
提督「この鎮守府には食堂という設備があるようだが、前任がやめてオレが来るまでの間。食事はどうなっていた?」
間宮「そ、それは......」
提督「正直に言ってほしい」
間宮「......人間様と同じような食材を用い、料理をしていました......」
提督「......マジ?」
間宮「はい......」
提督「あぁあ~良かったぁ~」脱力
間宮「え?」
その他「「「「「......?」」」」」
提督「いやてっきり君たちのことだからさ、白湯と米だけとかそんなんかと思って心配してたよ。間宮さん、あなたに頼みたいことというのは、食堂の管理及び料理長だ」
間宮「料理長......?」
提督「ああ。今日から一週間ごとに、できる限り大量の食材を仕入れる。その食材の調理を先行してほしいんだ。なんていうか......こう、日替わり定食って感じでも良いし、オーダーをとるレストラン型でも良いし」
間宮「日替わり定食......」
提督「ああ。ぜひ頼みたい。どうだ、受けてくれるか?」
間宮「......今まで、私たちの食は満足なものではありませんでした......」
提督「......」
間宮「時には艤装と同じで良いだろうと、弾薬や燃料を渡されることも」
提督「......」
間宮「ですが、艦娘は人間様よりもエネルギーを多く消費します......なので、より多くの食べ物が必要に......それが叶うなんて......!」
提督「ああ、そういうことだ。まずオレは根本的なことから変えていきたい。君達艦娘を人間として扱うつもりだ」
その他「「「「「!!」」」」」
提督「間宮さん。あなたを呼んだのはそのためでもある。だがしかし、それだけじゃないんだ」
間宮「......というと?」
提督「一度大本営のパーティーがあっただろう?あの時からあなたに惹かれていたんだ」
その他「「「「「!?」」」」」
間宮「え、え......?」
提督「あの料理をもう一度食べてみたい。仲間と分かち合いたい、とな。それがこんな形で叶うとは思わなかったが......なんにせよ、君達艦娘が食べるものはオレも食べる。オレが食べるものは君達だって食べて良い。またおいしい料理、期待しても良いか?」
間宮「まっ、毎日......」
提督「ん?」
間宮「毎日......わ、私が提督様のためにお味噌汁を作らせていただいても良いですか!?」
その他「「「「「!?!?」」」」」
提督「ああ。むしろそのほうが嬉しい。頼むな」
間宮「......はい!」
提督「さて、そろそろ妖精さん達が食堂に食材を運んでくれてるだろう。今日のお昼から頼むな。もし人手が足りないならオレも手伝うし、妖精さんたちも手伝ってくれるそうだ。もちろん、皆もな」
間宮「感謝いたします!」
提督「それはこっちのセリフだ。引き受けてくれてありがとう。さ、食堂に行ってやりたいようにやってきてほしい」
間宮「了解しました!」敬礼→走り出し
長門「て、提督様」
提督「んお?」
長門「良いのですか?その......間宮の発言」
提督「あ~、味噌汁がうんぬんってやつね。いや最初はちょっと驚いたけどさ......そういう意味で言ったとは限らないでしょ。少しでも信頼してくれてるってことならうれしいが」
長門「そ、そうですか......」
その頃の間宮
間宮「やってしまった......」パンク
伊良湖「ま、間宮さん。大丈夫でしたか?」
間宮「伊良湖ちゃん......」
伊良湖「はい?」
間宮「この歳で初恋をしても、おかしくないですよね?」
伊良湖「?......!?!?」
提督「さて、次にほかの者たちだ」
提督「みんなにやってもらいたいのは、寮長というやつだな」
長門「寮長......?」
提督「ああ。ここは大規模だからな、駆逐艦寮、軽巡洋艦寮、重巡洋艦寮、戦艦寮、空母寮の五つに分けようと思う。海防艦はまだ所属していないが、来た場合は駆逐艦の寮に入ってもらおうと思う。あ、間宮さんや伊良湖さん、明石さんとかは好きなところに入ってもらおう」
赤城「提督様」
提督「なんだ?赤城さん」
赤城「その......さん付け、というのは......」
提督「あ~、ないほうが良かったか?」
赤城「いえ決してそのようなことではなく!その、つけるべきではないのではと」
提督「え~、わざわざ戦場に行ってくれてるあなたたちのことを雑に扱うのはちょっと......長門は長門って感じだけどさ」
陸奥「どういう感じですかそれ......」
提督「まあまあ。じゃあ、皆がオレに対して敬語でなく、姉妹同士や友達同士で話すときと同じような感じで接してくれるようになったら良いぞ。他人行儀さはなくしたいからな」
大和「なるほど......」
武蔵「......」立ったまま爆睡
提督「よし、寮長の任命だが......まずは空母。これは赤城さんと加賀さんに任せる」
赤城 加賀「「はい」」
提督「それに加えて、重巡洋艦寮の寮長も任せたい。二人で分担してほしいのだが」
赤城「お任せください、提督様」
加賀「一航戦、必ずや役目を果たしましょう」
提督「助かるよ、そんなにやることが多いわけではないけれどね」微笑
赤城 加賀「「......」」
提督「(やっべ、笑い顔キモかったか?)んん、次に戦艦組。どうやら戦艦の子たちは個性豊からしいからね。四人を呼んだんだ」
提督「駆逐艦寮に半分の戦艦寮を担当するのは、長門。陸奥さん」
長門 陸奥「「はい」」
提督「大和さんと武蔵さんが悪いというわけではないが、二人のほうがなじみ深い子が多いだろうから、君たちに任せる。それに、執務をオレが来るまでこなしてくれていた二人なら人数の多い駆逐艦寮でも大丈夫だろうし」
提督「そして、もう半数の戦艦寮と軽巡寮の寮長が大和さん、武蔵さんだ」
大和 武蔵「「はい」」武蔵覚醒
提督「二人はビッグネームだから任せた。異論があれどすべてオレが覆そう。頼んだぞ」
大和「感謝いたします」
武蔵「胸が熱いな」
大和「こ、コラ武蔵!すみません提督様、武蔵は提督様がいらっしゃる数日前に配属されたばかりでして......」
提督「なに、気にしないさ。それは先ほどから武蔵さんが眠っている時に注意をしなかったことで察してくれていると思ったんだがね」
武蔵「む、気づいていたか。さすがだな」
提督「そりゃ気づくさ。だが、オレとしてもそのほうが嬉しい。これからもその調子で頼むぞ?武蔵さん」
武蔵「ああ、提督......いや、相棒」
提督「相棒、か。うむ、良いな。武蔵」
その他「「「「「!!」」」」」
武蔵「おや、認めてくれたのかい?」
提督「もちろん。命を預け預けられる関係だ。認めずしていったいどうしろというんだ」
武蔵「ははは!それはありがたい。今度はこの主砲。存分に撃たせてくれよ?」
提督「もちろん。期待しているぞ」
武蔵「ああ。期待してくれ」
提督「よし、では寮長の主な役割を発表しよう。とはいえ、本当にあまりやることはないんだよ」
提督「大体やることと言えば......そうだな......いや、やっぱないかも」
赤城「......というと、いかがなさいますか?」
提督「う~ん......あ!やっぱあった!これからさ、各寮の共有スペースと個人部屋に欲しいものや、してほしいことなどの希望ボックスを設置しようと思ってるんだ。悪いけど、毎日その箱を持ってきてほしい」
加賀「つまり、艦隊の望みをかなえてくださると?」
提督「そう。オレにできることならな」
武蔵「それはどのようなものでも良いのか?中には、外出をしたいものなども居るだろう」
提督「そういうのは、オレ個人に申請書を出してほしいと思う。ほとんど確実に許可は出すが」
長門「鎮守府の外に出るようなことや、特別なものに関しては提督様を通せばよろしいのでしょうか?」
提督「ああ。そうなるな」
陸奥「なるほど......ほかに役割などはありますか?」
提督「本当は就寝時間や起床時間でも設けて、それの確認をしてほしかったんだが気が変わった。寝る時間、起きる時間。この二つは好きにしてもらって構わない」
大和「ですが、そうなると艦隊の運営に支障が出るのではありませんか?」
提督「え?......で、出ちゃう?支障」
大和「艦隊は常時出撃していましたから、もし誰一人としておきないと......」
提督「いやさすがに常時出撃はさせないよ!そうだな、言っていなかったっけ。出撃、演習。この二つのシステムを変えたい」
長門「具体的にはどのようにするのですか?」
提督「いろんな子たちがいるから、皆がみんな同じくらいのペースで出撃と演習に出てもらうようにしたい。時間もできるだけずらすし、姉妹同士やこの子と一緒が良いといった要望はなるべく適用しよう。オレが作ったスケジュールをみんなに配るから、変更希望があればぜひ言ってほしい。ああ、あと出撃や演習も通常は午前か午後のどちらかだけ、一日一回か二回までだ。訓練は自由。遠征後には距離に応じて最低丸一日からの休みだ」
陸奥「至れり尽くせりでは......」
提督「なに、戦ってくれているんだからこのくらいするさ。ほかの要望や休み希望もできるだけ聞く。しかし、訓練で手を抜いたり、出撃で自らや仲間の身を危険にさらすようなことをするならしっかり叱らせてもらうがな」
提督「何か、異論はあるか?」
艦娘「「「「「......」」」」」
提督「よし、では解散。部屋割りの変更も認める。意見ボックスは後でオレが置きに行くから、自由時間だ」
艦娘「「「「「はい」」」」」敬礼
-----二週間後
執務室
提督「戦果は......上々だな」
長門「そうでしょうか?」
提督「ああ。そりゃあ鬼の出撃を繰り返していた過去に比べればあれかもしれないが、一度の出撃で上げられる戦果は確実に上がっているさ」
長門「強度の高い出撃を繰り返すことができている、ということですか」
提督「そうだ。強度の低い出撃をやみくもに行うくらいならば一度にやってしまったほうが良いだろう。さて、時に長門」
長門「はい」
提督「今朝君が持ってきてくれた駆逐艦の意見ボックス。その中にこんな紙が入っていた」
長門「......」
提督「というわけで、この紙の持ち主のために今からは時間を使おうと思う。勇気を振り絞ってくれたんだ。必ず望みをかなえよう。手伝ってくれるか?」
長門「もちろんです。この長門、粉骨砕身でお手伝いさせていただきます」
提督「そんなに重く受け止めなくても......さて、では開くぞ」
司令官様
まず初めに、このような方法でお伝えさせていただくことをお許しください。
司令官様が来てからというもの、私はある不安に駆られています。それは、自らの存在意義の有無です。
今まで繰り返していた出撃が、途端に少なくなった。その事実がとても重くのしかかります。
司令官様。私は必要がないのでしょうか?必要がないのならば、どうか最後に戦果を挙げさせてください。よろしくお願いいたします。
朝潮
提督「......」
長門「朝潮......」
提督「長門。今日朝潮は非番だよな?」
長門「はい」
提督「わかった。探してくる。その間は任せた」
長門「かしこまりました」
提督(と言って執務室を飛び出したものの、どこにいるだろうか......。時間も時間だ、食堂に行くか)
提督「」食堂入り
間宮「あ!提督様!こんにちは!」
伊良湖「こ、こんにちは!」
提督「ああ、こんにちは間宮さん。こんにちは、伊良湖さん」
間宮「昼食をおとりになられるのですか?」
伊良湖「わ、わた、私も腕によりをかけて作ります!!」
提督「ああいや、違うんだ。だが気持ちはうれしいよ。ありがとう」
間宮「もったいないお言葉です......」
伊良湖「......」歓喜
提督「そうだ、伊良湖さん。先日は夜食を作ってくれてありがとう」
伊良湖「な、なぜそれを知って......間宮さん!?」
間宮「伊良湖ちゃんの頑張りを知ってもらいたくて。おいしかったですか?」
提督「もちろん。ただの塩むすびと沢庵だと言ってしまえばそれまでだが、伊良湖さんの気持ちが伝わってきた気がした」
伊良湖「そんな......」
提督「伊良湖さんの手はきっと美味しいんだろうな(何度も言うが、ありがとう)」
伊良湖「え、え?」
提督「む?」
間宮「提督様......伊良湖ちゃんの手を舐めたいのですか?」
伊良湖「ええええええ!?」
提督「いやいや勘違い!ちょっと間違えただけだから!ごめん、もう行くわ!また夜に!!」ダッシュ
提督「やれやれ、朝潮を探すだけがやらかしてしまったな......」
朝潮「私がどうかいたしましたか?」
提督「うおぉおい!?」
朝潮「申し訳ありません。驚かせてしまいました」
提督「い、いや......ああそうだ、朝潮。君に話があるんだ」
朝潮「意見箱の件についてでしょうか」
提督「そうだ。君は自分の存在意義を見いだせていないと。そういうことだな?」
朝潮「はい......」
提督「立ち話もなんだ、座って話そう」
朝潮「はい」
鎮守府 中庭 ベンチ
提督「(随分雰囲気が暗いな......)さて、単刀直入に聞こう。最後に戦果をあげさせてほしい。これは、どういう意味だ?」紙読む
朝潮「......私は、駆逐艦です」
提督「おう」
朝潮「空母や戦艦の方々にはもちろん、巡洋艦の皆様には単純な火力、防御力で劣ります」
提督「駆逐艦だからな」
朝潮「雷撃も、得意ではありません」
提督「みたいだな。今までの戦果的に」
朝潮「かといって優れた速力で敵の陣形を崩すこともできません」
提督「まあな」
朝潮「ほかの駆逐艦よりも、単純火力で劣ります」
提督「時代だ時代」
朝潮「......私が、出撃する必要はあるのでしょうか......」
提督「ん?」
朝潮「多くない資源を削ってまで、私が出撃する意味はないと。そう思います」
提督「そうか」
朝潮「もっと他に、私よりも性能が良い子が出るべきかと。私が出て、他の子が沈むくらいなら......」
提督「朝潮。......それは、自分が沈む、自分のせいで他の人が沈む。それが怖いから戦場から逃げたい。そういうことか?」
朝潮「っ、決してそのようなことではありません!」
提督「......」
朝潮「だから、だから......ここに残って資源を無駄に使うくらいなら、敵艦に単艦突撃させてください!」
提督「はい?」
朝潮「司令官が死ねというのなら、この朝潮。いつでも死ぬ覚悟なんです!!」
提督「それは......よく、わからないな」
朝潮「......」
提督「もったいない。オレはそう思う」
朝潮「なぜ......」
提督「この戦いが始まったばかりのころ。オレはまだ二十にも満たない若造だったさ」
朝潮「......」
提督「それが、深海棲艦の出現により、国によって徴兵され、訓練を受けて今ここに居るんだ」
朝潮「それと......なんの、関係が」
提督「まあまあ、最後まで聞いてくれ。当時はまだ、君達艦娘の存在を理解していなかった。ゆえに、当時の最新鋭であった戦闘機にオレは乗っていた。だがある時。偵察の最中に深海棲艦に遭遇した」
朝潮「......」
提督「朝潮は今こう思っただろう?奴らに遭遇して、なぜ生き残っていられるか、と」
朝潮「い、いえ......」
提督「遠慮はするな。オレだってよく生き残っていると思ったさ」
朝潮「はい......」
提督「だが、オレが生き残った要因としては、当時の部隊。その上官によるものが多いんだ。オレのいた部隊は特に結束力が強くてな。先輩が後輩を。上司が部下を守るという意思が強かった」
朝潮「......」
提督「そのせいというかおかげというか、オレは生き残った。オレ含め五人いた部隊のうち、四人の死者を出して」
朝潮「っ......」口を隠す
提督「先輩はな、オレに言った。最後まで生きて、奴らとの戦いに勝利した世界を見てくれと。だが当時はオレも若かった。早く先輩の後を、戦果を。今の朝潮みたいなことばかり考えていた」
朝潮「司令官......」
提督「朝潮。君はもしかすると、オレより多くの人を見送ってきたかもしれない。だが、オレとて命が消える瞬間を何度も見てきた。その中には、尊敬する人物の後を追って単機特攻し、墜とされたやつもいる。オレはそういうのはもったいないと思う」
朝潮「もったいない、ですか?」
提督「ああ。結局それは、自らの仲間の期待を裏切っているのと同じなんだ。自分に期待して、自分のために命を落としてくれた。そういう人たちの期待にこたえるには、生きて生きて。戦い続けるしかない。そう思わないか?」
朝潮「......」
提督「オレもな、本当ならこんな当たり前のことは言いたくないさ。だけど、君たちはあまりにも追い込まれすぎている。これは、上である大本営に所属していたオレの責任でもある。すまなかった」土下座
朝潮「し、司令官!お顔を上げてください!!」
提督「いや、上げるわけにはいかない。それに朝潮が戦果をあげれていないとなると、それも上官であるオレの責任だし」
朝潮「え、ええと......」オドオド
提督「だから頼む。どうか、オレにチャンスをくれ!!」土下座からの三転倒立
朝潮「え、えええぇぇ!?」
朝潮(な、なんと素晴らしい三転倒立......!すらりと伸びた背中に足。足先まであんなに高く......!)
提督(ど、どうだ?ギャグに走ってしまったが、大丈夫だろうか......?)
朝潮「司令官......この朝潮、どこまでも付いていきます!!」
提督「え、あ、うん。ありがとう」
提督(なんか信頼を得た気がするけど......大丈夫かこれ?依存になってないか?......まあ、可愛いし良いか......)
提督「じゃあ朝潮、執務室に行こう。君がどれだけこの艦隊に必要な存在なのか、わからせるために」
朝潮「そこまでしていただけるなんて......」
提督「これでもパイロットだ。連携の重要さや数字に出ない実力もわかる。わかったなら行くぞ~」
朝潮「は、はい!」
執務室
長門「あの......」
提督「良いか?ここでこの囮の動きができるからほかのやつらが魚雷を......なんだ?」
長門「いつまでこのお話を......?」
提督「朝潮がわかるまで続けるかな。まだほかにもあるし」
長門「そ、そうですか.....」
提督「とはいえ、少し熱中しすぎたかな。もうわかってくれたか?朝潮」
朝潮「は、はい......でも」
提督「でも?」
朝潮「まだわからないので、もう少し教えていただきたいです......」
提督「そうか?なら、また今度かな。いや、秘書官やってみるか?それならほかにも朝潮の良いところがみつかるし」
長門「なっ」
提督「どうだ?長門。できると思うか?」
長門「そ、そうですね。朝潮は優秀なのでできるかと......」
提督「だろう?まあ、まだ朝潮が慣れるまでは長門も手伝ってもらうけどな」
長門「ほっ......」
朝潮「はい!やってみたいです!!」
提督「うし、なら朝潮の意見ボックスはこれで解決だな!ここにサインをくれ」
朝潮「朝潮、と......どうぞ」
提督「うむ。これにて今日のお仕事終わり!動いたら腹減ったなぁ。長門、朝潮、飯食い行こうぜ飯!」
長門「はい」
朝潮「司令官がそうおっしゃるのなら、この朝潮。お供させていただきます!」
提督「(朝潮の信頼が痛い......)れっつらごー!」
食堂
艦娘s「「「「「......」」」」」ヒソヒソ
提督「ん~、皆何をこそこそと話しているんだろうなぁ~」
朝潮「......やっぱり、気になりますよね」
提督「そりゃあなぁ。提督として、命を預かっている身として。気遣うのが当たり前だからな。根性論なんてくそくらえだ」
長門「朝潮。何か、知っているのか?」
朝潮「実は......司令官が来てから、この食堂というシステムが始まりましたよね?」
提督「せやなぁ」
朝潮「それに関してなんですが、なんでも司令官が食堂の食材に対して毒薬を持っているんじゃないかという噂が流れてまして」
長門「何?」
提督「落ち着け長門。んで、それは誰が流した噂か。ハッキリはしているのか?」
朝潮「いえ......ただ、おそらく誰かひとりというよりも、何人もが思っているんじゃないかと。そう思いますけど」
提督「そうか。まあ確かに、今まで駄目だと言われたものをいきなり良いよ!って言われたら、そう思ってしまうのも不思議ではない気がするな......」
長門「提督、気にしないでください」
提督「やっと長門が様なしで呼んでくれたから気にしないことにするよ」
長門「それは......」
朝潮「司令官。私は初めから様をつけていませんでしたよ」
提督「(なんかしっぽと耳が見えるな)おう、そうだな。ありがとう朝潮」
朝潮「いえ!」
提督「さて、何はともあれ食堂の信用がないのは間宮さんに申し訳ない。ここはオレだからこそのやり方で信用されるようにしよう」
長門「具体的には?」
提督「曲技飛行だ。長門、オレは準備してくるから、皆に......そうだな、五分後くらいに空を眺めるように言ってくれ。方角はこの食堂の窓だ。あ、あと食器の片づけも頼む。じゃ!」
長門「曲技飛行......」
朝潮「楽しみですね、長門さん。いったいどんな風にアピールなさるのか」
長門「まあ、予想外のことなんだろうな。だが見て損はないことは確実だろう。むしろ、これが無償で見られるならありがたい。そんなものを期待しよう」
朝潮「はい」
一方 提督 格納庫
提督「妖精さ~ん、あれ出して~」
妖精「了解!了解!」
妖精「格納庫扉開けー!」
妖精「準備おーけー!」
提督「さんきゅ。なまってないか心配だけど大丈夫だろ」
明石&夕張((ななな、なんで提督様がここにぃ~!?))
提督「ああ、そうだ。二人とも、たまには格納庫を出て食堂に行ってみろよ。窓を見たら面白いものが見れるかもな」
明石&夕張「「!?」」
提督「さてと、妖精さん。メンテナンスは?」
妖精「!」サムズアップ
提督「おーけー、ならさっそく飛びますか!」
提督(まさか、鎮守府の横にある山を挟んで滑走路をこの短期間で作ってくれるなんて、感謝しか無いな。それに、ここまでこの九六式艦戦を運んでくれた元帥にも。まあ、それを提督になる条件に出したんだけどな。本当は零戦が良かったなんて言えん)
提督「お~し、寿二型改一、点火! ブルルルルル」
妖精s「「「「「......」」」」」
提督「な、なんだよ......たまにはハメ外しても良いだろ。空飛ぶ時くらい」
妖精「それは構いませんが、そういう人だと勘違いされてしまうのでは?」
提督「むしろそれくらいだと思ってくれてるほうが、オレとしては距離感が縮むと思うけどな」
妖精「それは一理あるかもしれません」
提督「だろ? さて、色煙の量は?」
妖精「機体の動きをできるだけ阻害しない量とのことなので、おおよそ五分程度全力で出し続けられます」
提督「なるほど。じゃあ行ってくるわ」
提督(五分か......それに加えて煙の落ちを計算すると、零戦よりも小回りが聞くこいつのほうが正解かもしれない。風防が前面だけで髪の毛がぐしゃぐしゃになるのを除けば)
一方、食堂
長門「(そろそろ五分か......)注目! 食事中や休憩中にすまない。この窓を見てくれ」
吹雪「なんだろ......」
夕立「ぽい?」
間宮「......」
瑞鶴「どうしたんだろ、長門さん」
翔鶴「まあまあ、見てみましょう」
長門(みんなの視線が綺麗に集まっているな。この視線が無駄にならないことを祈ろう)
朝潮「......」ガン見
秋月「......っ! 窓の方向! 所属不明の機体が一機!!」
艦娘s「「「「「!?」」」」」
龍驤「あれって......九六式艦戦やないかい!? 誰の艦載機や!?」
加賀「空母に限らず、夕張と明石以外の全艦娘が今は食堂にいるのだけれど」
秋月「パイロット......あれ、提督様じゃない!?」
長門「なるほど......」
大和「なにか、ご存知で?」
長門「ああ。おそらく面白いものが見れるぞ」
明石&夕張「「もう始まってる!?」」ドアバン
長門「ああ、まだだぞ。もうそろそろだろう」
提督側
提督「さて、そろそろスモーク炊いてと。行きますか」
吹雪「す、すごい旋回してる......」
瑞鶴「......」
翔鶴「瑞鶴、口を閉じなさい。はしたないわよ?」
長門「文字か。なになに......ご飯安全」
一方提督
提督「やべ、気持ちわりい......スモーク落ちると思って急いで旋回しすぎた......妖精さん、特別仕様のスモークなら教えてくれよ......うえっ」
大和「どういうことでしょうか?」
長門「どうやらこの食堂の料理に毒をもられているという噂が一部で流れていたようだ。しかし、それは決して事実ではない。安心したまえ、あれが提督なりの伝え方だ」
長門「そして、あそこでちょうど9食目を食べ終えた赤城も、ここの食材の安全。それを証明してくれているだろう」
赤城「む......ごくん。とっても美味しいですよ、皆さん。食べないなんて勿体ないです!!」
赤城の声のあとに、食堂内がわっと盛り上がる。
「間宮さん!おかわり!」
「もっとたくさんください!!」
「おすすめはありますか!?」
少量しか食べていなかった艦娘も、口をつけていなかった艦娘も、皆一様に間宮と伊良湖のもとへ向かった。
長門「うむ、これは成功だろうな」
大和「ええ。まさかあんな奇想天外な方法でだなんて......」
加賀「あの飛行をするのに、一体どれだけの努力があったのでしょうか。私達もまだまだですね」
提督「どうだった!?」ドアバン 髪ボサボサ
一同「「「「「......」」」」」
提督「あ、あれ?」
加賀「素晴らしい飛行でした、提督様」
提督「え、本当?」
一同「「「「「はい!!」」」」」
提督「おおう、響く響く。ありがとう」耳抑え
瑞鶴「て、提督さん!」
提督「うん?君は......確か瑞鶴か。どうしたんだ?」
瑞鶴「あ、あの、もしよければ、私の飛行隊の指導をしてほしいの!あ違う、してほしいです!!」
提督「はっはっは!お~もちろん良き良き!敬語なしで良き良き!指導も良き良き!」
瑞鶴「本当!?」
提督「もちろんだとも!!」
加賀「提督様、なんだか雰囲気が変わりましたか」コソコソ
長門「ああ、やはり同じ目線で話せる相手がほしいらしい」コソコソ
葛城「せ、先輩が受けるなら私も!」
提督「おお、君は葛城だったか。もちのろんだ、よろしく頼むぞ!敬語つけたら指導しないけど!!」
葛城「なっ、ま、任せなさいよ!」
提督「ああそうだ、良いな。実に良い。さて、二人共!これより第一回、関内航空隊指南を行う!では行くぞお!」
瑞鶴&葛城「「......」」
提督「行くぞお!」
瑞鶴&葛城「「お、おー!!」」
提督「よおし!!」おもむろに走り出し
瑞鶴&葛城「「あ、ちょ!!」」後追い
長門「......」頭抱え
陸奥「ねえ長門、貴女秘書艦よね? いつも......?」
長門「ああ、あんな感じだ。確かにとても良くしてくれているが、やはり前までの扱いがどうしても頭をよぎってしまうな」苦笑い
陸奥「......」
長門「しかし、問題ないだろう。あの人は本物だ。私達を本当に大事に思ってくれている......。だからだろうか。やはり、捨てられてしまうのかと考えると、悲しいな」目伏せ
陸奥「大丈夫よ、長門。貴女が一番良くわかっているじゃない。提督は、そんなことはしないって」
長門「ふ、そうだな。すまない陸奥、弱気なところをみせたな」
陸奥「姉妹だもの。頼ってくれて構わないわ」
長門「心強いものだ。して、提督と呼ぶの。今度はあの方の目の前で言って差し上げろ。きっと泣いて喜ぶだろうから」
陸奥「あっ」口押さえ
翌日 執務室
提督「さて、長門。今日の作戦だ」
提督「まずはじめに、この作戦はオレが今まで行ってきたものからすれば大規模と言えるだろう。しかし、おそらく君たちからすればそうではないかもしれないということだけ言っておく」
長門「大規模......具体的にはどのような作戦でしょうか」
提督「簡単だ、鎮守府近海の島。そこを叩く」
長門「あそこはすでに制圧しているはずでは......」
提督「事前情報ではそうだったかもしれない。が、昨日瑞鶴と葛城の航空隊から影を見たと報告を受けた」
長門「それだけでですか?」
提督「それだけ、などではないさ。とても重要な情報だ。見間違えと言ってしまえばそれまでだが、あいにく石橋は壊れるギリギリまで叩いて渡る主義なものでな。さて、メンバーを呼びたい。放送をつないでくれ」
長門「はい!」
提督「あーあー、テスト・テストー。んん、瑞鶴、葛城、夕立、時雨、五十鈴さん。至急執務室に来てくれ」
数分後
提督「さて、集まってくれたな。今日来てもらったのは鎮守府近海、ここの島へ向かってもらうためだ」海図指し
瑞鶴「そこの島?」
提督「ああ。昨日瑞鶴と葛城の航空隊から報告が入っただろ? だからだ」
葛城「だけど、あれは曖昧なやつじゃないの」
提督「まあな。けど一応だ。とりあえずメンバーは君たち五人。役割を説明するぞ。まず瑞鶴と葛城」
瑞鶴&葛城「「はい」」
提督「二人は航空隊を繰り出してもらい、あとの三人の支援及び偵察だ。もし敵空母が現れた場合には、昨日の訓練の成果を期待している」
瑞鶴「任せて!」
葛城「全力で行くわ」
提督「そして夕立、時雨」
夕立「ぽい!」
時雨「こ、こら夕立! すみません......」
提督「いやいや、元気なようで何より、ありがたいよ」
夕立「夕立はいつでも元気っぽい!」
提督「ああ、見ていればわかるよ。オレも元気をもらっているさ。もちろん時雨からもな」
時雨「そ、そうですか?」
提督「ああ(距離感が遠いな......)」
提督「さて、二人には簡単に砲雷撃戦をやってもらいたい。サポートは瑞鶴と葛城に背中を任せるつもりで構わない。大型艦は出てこないだろうし、何より夜戦が得意らしいからな。夜戦に突入することはないとは思うが」
夕立「了解!」
時雨「わかりました」
提督「そして五十鈴さん、貴女には対潜装備と魚雷を持っていってもらいたい。影という報告で敵潜水艦が出てくるであろうことも考えている」
五十鈴「はい」
提督「一応夜戦になった場合、瑞鶴と葛城が航空隊を飛ばすことは難しいだろうからな。そのときは頼んだ」
五十鈴「お任せください」
提督「(いやまじで他人行儀すぎ)よし、そして旗艦だが......」
葛城「......」光り輝く目
提督「(葛城から期待の眼差しが......)よ、よし。葛城。任せた」
葛城「! ええ! まかせなさい、あなた!!」
提督「おう、期待しているぞ。さて、出撃は二時間後だ。それまでには何をしてもらっても構わない。指示は旗艦葛城を通してオレが直接贈ろう。各自最低限の緊張感を持ち、リラックスして挑み給え。では以上、解散!」
二時間後
提督「準備はできたか?」
艦隊「「「「「はい!」」」」」
提督「よし、では出撃」
葛城「機動部隊旗艦葛城、抜錨する!…くぅ~言ってみたかったんだぁ~」
提督(声色的にみんな過度な緊張も慢心もないな。しっかり訓練を積んでいるだろうから自信もあるんだろう。本当に敵艦がいるかはわからないが、しっかりとメンバーを選んで良かったな)
長門「提督」
提督「ん? なんだ?」
長門「お茶です」
提督「おお、ありがとう。助かるよ」
長門「いえ......」恍惚
提督「(もっと大きな問題があるのを忘れてたな......)よし、島に着くまで待とうか」
数十分後
提督「あーあー、葛城。聞こえてるか?」
葛城「ええ、聞こえてるわよ、あなた」
提督「よし、位置的にはもう島周辺を回っているところだと思うんだが、どうだ? 変わった様子はあるか?」
葛城「うーん......上から見ていても特にこれといって何もないわね」
提督「(ただの見間違いか?)そうか......」
葛城「念の為、もう少しだけ索敵をしておくわ」
提督「ああ、たの......いや待てよ」
葛城「?」
提督「この島、ちょうど向かい側はなにか膨らんだ形になっているな。葛城、索敵機の高度を下げてくれ。界面すれすれ、覗き込むような感じで」
葛城「え、ええ? でも、そんなことしたら艦載機が......」
提督「大丈夫だ。昨日はそうだっただろう? 波も穏やかだ。頼む、葛城達ならできる」
葛城「......うん。やってみる!」
瑞鶴「上空は任せて!」
葛城「ありがとうございます! 稼働全艦載機、発艦はじめ!」
提督(この読みがあたっていたとすれば、もしかせずとも......)
葛城「! あ、あなた! 彩雲より報告! 波が下がると同時に、謎の空洞を発見!」
提督「やはりか......夕立! 時雨!」
夕立「ぽい?」
時雨「はい」
提督「その空洞に向かって砲撃だ!」
夕立「了解っぽい!」
時雨「任せてください」
提督(どうだ......)
葛城「煙が......! これは!!」
提督「葛城、何があった?」
葛城「......資材、大量の。それと、空洞......」
提督「! 五十鈴!」
五十鈴「はい」
提督「ソーナー用意! 葛城と瑞鶴は艦載機で上空から、時雨と夕立は二人と五十鈴を守るようにして海中を警戒してくれ!」
艦隊「「「「「了解!」」」」」
提督(......雑な指示だった気がするけど、思ったよりすぐにしっかりと陣形を組んでくれてるみたいだな)
一年ぶりですね。時間ができたのでこれからは時たまにちまちま、二行くらいでも更新していきます。お待たせいたしました。
提督様!皆を大切にしてあげてくださいませ!
連携の大切さ、相互援護。すごくわかりゅ。無敵の連携だったんだけどなぁ…(飛行機ゲームの話
駆逐艦寮の寮長に長門と陸奥を指名した後に大和と陸奥に謝罪していましたが、大和と武蔵の間違いですか?
後、妖精さんがサムズアップしたあと元帥が減衰になってます。
PS.個人的には好きなSSなので完結まで書いて頂けると嬉しいです。更新されるのを楽しみにしながら日々過ごしています。
今まで見てきた中では一番好き
更新するんだよあくしろよ
前面が全面になってる気が・・・まあいいや面白かったです( ^ω^ )期待してマース
(´∇`)ケラケラ
面白いぃいぃぃぃいぃいいい!!