【モバマス】小日向美穂「ふふっ……今日はいっぱい甘えてもいいよ……♪」
躍るFLAGSHIP実装記念。こっひがあることにチャレンジするSSです。
美穂「ね、私のこと、好き?」
美穂「もう、どうしたの、そんなに顔真っ赤にして。……あ」
美穂「もしかして、耳が敏感なんだ……じゃあ♪」
美穂「ふーっ、ふーっ……どう、かな?」
美穂「こっちの耳も同じように……ふーっ、ふーっ」
美穂「ふふっ、女の子みたいな声出してる……かわいい……♪」
美穂「もっと声、聞きたいから……耳、こしょこしょってしてあげるね♪ ほーらこしょこしょ、こしょこしょっ」
美穂「こういうのに弱いんだね。あなたの新しい一面が見れて、私、とっても嬉しいよ」
美穂「……ね、もっとくっつこう?」
美穂「――ひゃっ!? わ、そ、そこはまだ触れちゃ……!」
美穂「ダ、ダメええ〜〜〜〜〜っ!」
ホワホワァ
事務所
モバP(以下P)「という内容のASMRなんだが」
美穂「ダメです! 断固拒否ですっ!」
響子「えーっ、美穂ちゃんにピッタリな企画だと思うけどなあ」
P「ほら響子もこう言ってるし」
P「最近話題のASMR、俺も美穂が適任だと思うぞ」
P「タイトルはそうだな……『小日向美穂と添い寝ASMR~お休み前のひと時を~』って感じかな」
美穂「そ、そそ、添い寝……!」
P「ちなみにASMRってのはAutonomous Sensory Meridian Responseって言葉の略で、気持ちいい感覚って意味らしいぞ」
美穂「そ、そうなんですか……って感心してる場合じゃないです」
美穂「ど、どうして私にオファーを……? こういうのは、美優さんとかの方が合ってるんじゃないかと思うんですけど」
P「実は響子から提案されたんだ」
響子「この前、卯月ちゃんや美穂ちゃんとお泊まり会をしたよね。その時に美穂ちゃん、クマのぬいぐるみを抱えながら」
美穂『んむ……もう、近すぎだってばぁ……あぅ……ん、ふふ……♪』
響子「ってずっと可愛い寝言を言っていたから」
美穂「きょ、響子ちゃん!? それプロデューサーさんに話したんですかっ!?」
響子「ごめんね、あの時の美穂ちゃんが可愛くてつい」テヘペロ
P「たしかぬいぐるみの名前ってプロデューサーくんだったよな。誰とどんな夢見てたのかな〜?」ニヤニヤ
美穂「はうう……!」
美穂「わ、私はイヤですっ。そんな恥ずかしいセリフ、お芝居でも言えません……!」
美穂「それに、誰にどんな需要があるのかも全然わかりませんっ」
P「需要ならたくさんあるぞ!」
美穂「えっ?」
P「いいか美穂。現代人はな、みんな疲れているんだ。終わりの見えない仕事や複雑な人間関係、お先真っ暗な国内情勢……その他諸々に、な」
P「だから今の時代に必要とされているのは『癒し』とか『救い』だと思う。誰もが身体的、精神的な安らぎを求めているんだよ」
P「ASMRもそんな『癒し』を提供できるツールだ。美穂がこれをやってくれれば、ファンの人たちをどれだけ癒すことができるか」
P「聴いてくれた人を癒やして、救って、明日からまた頑張るための活力を与える……ASMRは、アイドルと似ている。そうは思わないか?」
美穂「そ、それは……」
響子(美穂ちゃんがうまく言いくるめられてる……!)
P「美穂なら、きっとできるさ」ポンッ
美穂「……わかりました……」
美穂「私の力でファンの皆さんを癒せるのなら……私、挑戦してみます!」
響子「美穂ちゃん、その意気だよ! 応援してるね!」
P「決まりだな。あ、響子もやる?」
響子「え?」
P「え?」
響子「すみません、うまく聞き取れませんでした」
P「いやだから響子もASMRやるかって――」
響子「あ、ちひろさん。聞いてください、実はプロデューサーさんに――!」
P「だーっ! すまんすまん、俺が悪かったからっ!」
後日 撮影現場
美穂「おはようございます、プロデューサーさん!」
P「ああおはよう。もうすぐ準備が整うってさ」
美穂「わかりました……あれ、ベッドの中になにか入っていますよ?」
P「これはダミーヘッドマイクだ。これを使って音声を収録するんだよ」
美穂「へえーっ!」
P「高感度のマイクを使っているから、臨場感のある音声が録れるらしい。色んな角度から話しかけることを心がけてくれ」
P「あと高いからあんまり雑に扱うなよー」
美穂「はい! なんだかマネキンみたい。ふふっ、今日はよろしくね♪」
P「本番までまだ時間はあるから、それまでにちょっといじって慣れておくのもいいかもな」
prrrrr
P「おっと電話だ。ちょっと失礼」
ガチャ
美穂「プロデューサーさん、行っちゃった」
美穂「……あれ? よく見たらプロデューサーさん以外にスタッフの人、いなかったんだ」
美穂「今なら、誰も見てない……」
ガサゴソ
美穂「じゃあちょっとだけ、リハーサル、しちゃおうかな……」
P「こちら別室からお送りしております」
P「お、美穂がベッドインしたな。うんうん、いい調子だ」
響子「プロデューサーさん、な、なんですかこれ……!」
P「いやあ、美穂のことだから、誰かの視線があったら恥ずかしがってうまく演技できないと思ってな」
P「だからわざと一人にさせた」
響子「そうじゃなくて、どうしてプロデューサーさんはダミーヘッドマイクの音を聴こうとしているんですか!」
P「ちゃんとリラックスできてるか確認するためだよ。べ、別に、俺が個人的に楽しみたいってわけじゃ、な、ないかんね!」
響子「……へー、そーですか」
P「そういう響子もなんでここにいるんだよ」
響子「私はただ美穂ちゃんが心配で……」
P「とか言っておきながら、また美穂の甘え声が聞きたい――とか思ってたんだろ?」
響子「そ、そんなことありませんっ! 美穂ちゃんに変なことさせるようなら、今度こそちひろさんに言いつけますからね!」
P「そんなことさせないさ。お、美穂が話しかけはじめたぞ」
美穂『……こ、こんにち、は』
P「はヴァ!!??」
響子「どうしたんですかプロデューサーさん!?」
P「い、いや。別室にいるはずの美穂が、今俺の耳元にいる……!」
美穂『あの、今日はよろしく、お願いします……アイドルの、小日向美穂です』
P「やばいなこれ。やばい。そりゃASMR人気なわけだ」
響子「ええっ、なんだか私も気になる……!」
P「響子も聴いてみるか?」
響子「い、いいんですか!?」
美穂『えーっと、その……毎日、お仕事お疲れさまっ』
響子「ひゃあ!?」
P「な、スゴいだろ。本当に美穂が耳元にいるみたいだろ」
響子「……プロデューサーさん、これいくらで販売する予定ですか」
P「気が早えよ」
美穂「撮影、まだなのかなあ」
美穂「!」ピコーン
美穂「……ふふ、演技の方向性、これにしてみようかな♪」
美穂『……ねえ』
P「おい響子、また美穂がしゃべり始めたぞ」
美穂『……まだ、起きてるかな?』
響子「なんだかさっきよりノリノリですね」
美穂『ううん……思い出していたんだ。あの時、あなたに告白された時のこと』
美穂『仲はよかったけど、まさか私のこと好きだったなんて、ね』
美穂『私もあなたのこと、友達としては好きだった。でも異性として見られているなんて思ってもいなかったんだ』
美穂『だからすごく驚いちゃったし、すごく迷った。ふふっ、イヤだったわけじゃないよ』
P「これは……美穂が歌った曲のことか」
P「あの歌詞の続きを妄想してるのかな」
美穂『今は……うん、幸せだよ。あなたと恋人になれて、すごく幸せ』
美穂『……ね、今でも私のこと、好き?』
P「お、おお……」
美穂『もう、どうしたの、そんなに顔真っ赤にして。……』
美穂「えーっと、他になんて話しかけたらいいのかな」
美穂「そうだ、プロデューサーさんと見た動画を思い出して……」
美穂『もしかして、耳が敏感なんだ……じゃあ♪』
美穂『ふーっ、ふーっ……どう、かな?』
P「ぎゃああああ!」
美穂『こっちの耳も同じように……ふーっ、ふーっ』
響子「み、耳が……は、はわわわ……!」
美穂『ふふっ、女の子みたいな声出してる……かわいい……♪』
美穂(そうだ、耳の裏をくすぐるのもあった気がする……)
美穂『もっと声、聞きたいから……耳、こしょこしょってしてあげるね♪ ほーらこしょこしょ、こしょこしょっ』
P「うわああ、身体がゾワゾワする!」
美穂(あとそうだ、耳かき……小指でいいかな?)
カリカリ
響子「あわ、あわわわっ……!」
美穂『こういうのに弱いんだね。あなたの新しい一面が見れて、私もとっても嬉しいよ』
美穂『……ね、もっとくっつこう?』
P「ぜー、ぜー……こ、これはとんでもない破壊力だ」
P「やばいなこれ。これが発売されたらどうなるんだ? 何が起こってしまうんだ?」
P「……響子?」
響子「」チーン
P「響子をも戦闘不能にするとは、ASMR、恐るべし……」
P「だがこれで緊張もほぐれたみたいだな。よし、そろそろ収録を始めるか!」
美穂「あ……なんだか、頭がボーッとしてきちゃった……」
ガバッ
美穂「ふふっ……今夜は、一緒にもっとドキドキしようね……♪」
P「美穂ーそろそろ撮影始めるぞー!」ガチャ
美穂「……へ?」
P「ん、どうしたんだ美穂? ダミーヘッドに覆い被さって」
美穂「や、こ、こ、これは……その……」カアーッ
美穂「み、見ないでください〜〜〜〜っ!!」
響子(後日、健全な編集をした上で発売された美穂ちゃんのASMR作品は、大ヒットを記録しました)
響子(美穂ちゃんはかなり恥ずかしかったみたいで、「もう二度とやらない!」って言い張ってますけど……これだけ人気が出たら、第二弾とかもあるんじゃないかなあ)
響子(そして今日は! 美穂ちゃんを労うために、プロデューサーさんとP.C.Sの三人でスイーツを食べに行くことになりました!)
響子(食事代は経費で賄うそうです。このお金は美穂ちゃんが頑張ったおかげだから、感謝しないとね。ふふっ)
響子(それじゃ、行ってきまーす!)
おわり
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