SS冒険者。どうしても媚薬が必要で、3回くらい襲われている魔女に会いに行く
しかも襲われ方が秀逸で、少し苦手なタイプ。
玄関まで来る。意を決して呼び鈴を鳴らす。
しばらくしても誰も来ない。
「いないか...」
「何しているの?」
「うわぁああ!」
「なによ、人をお化けみたいに」
「ごごご...申し訳ない」
「入るの?」
玄関先...では解決しないよな。うん。そりゃそうだ。
「あ、えと...はい。お邪魔します」
ーーー片目隠れヴァイオレット爆乳的魔女
ーーー客室へ通される、ようはリビング。ガラス張りで外の景色がよく見れる。お花とかもかいまみえて、加えて一つ一つがとても綺麗に整理されている。
彼女は黒色の魔女帽子を壁掛けのフックに引っ掛ける。
「それで?」
「あの...そうですね...」
「...」(じーーー)
「はい」(メガネ外す)
...
「実は、人魚用の媚薬を頂きたくて、ここへ来ました」
...
...
「ふぅ...そう」
「はい」
(バツが悪い、俯く俺)
「気づいたら目の前にいる」
っあおい!
「ふーん」
「...」
(隣にお座りなられる)
いやもう敬語がめちゃくちゃ。
ーーー
この方と相対すると、自身の女性経験のなさもそうあまって、自信をなくす
「はい、紅茶」
一応おもてなしはしてくださるようで。
「あ、ありがとうございます」
俺そもそもなんでこんな任務(クエスト)受けたんだっけ。いざ目の前にするとすごい失礼なこと言っているよね俺。まぁ確かに2回襲われているけどさ...彼女なりの美学があるんだろうし、傷つけられたりしていないし...やっぱなんかこう、この依頼もずうずうしい気がしてきた。なんて思っている時点俺は後の祭り。
「いいわよ...」
「え? あぁ...え? あ、ありがとうございます」
「...」
「えっと...」
「やっぱりあげない」
「え?」
「...」
「あぁ、えっと、はい」
「どっちなの?欲しいの?欲しくないの?」
「なんか申し訳無くなって」
「そんなのまとめてからここへ来てよ。煮えたぎらないわね」
「すいません」
「そんなんだから...面倒ごとに巻き込まれるのよ」
「うぐう」
ぐうの音も出ない。
「ごもっともです」
(イレーネさんは紅茶をスプーンで混ぜながら)
「冒険は楽しいの?」
「え? あぁ、まぁまぁですね」
「ほんと...はっきりしない子ねぇ」
「あ...はい」
「私の気持ち...分かってやってるわけ、ないわよね?」
「え!? え、っと...ええ。分からないです」
「...ふぅ...」
「...」
「ワザとの方がどんなにいいか...」
「あ...えっと...すみません」
「ねぇ、誘ってるの?」
「え!? いいえ、とんでもない」
「そんなシュンとした顔して、俯いて、わざわざ襲われた魔女のところに何も考えずノコノコ来て。何を考えているの?」
「あ、えっと...任務を頂いて...ですがそれも、イレーネさんだったら、詳しいなと思って...楽できるなぁ、みたいな感覚で来ました。それってやっぱ、まぁ...失礼ですし、なんか冒険者としては失格だなとは思っています...」
(うわぁ...我ながら酷い文章だ。相手のことを一才考えていない文章。そりゃ怒るわ相手も。と思いつつ匙は投げられた。本音が出てこない)
「ふぅ...勝手な子」
「はい...」
(仰るとおりで...)
ーーーー
はい、二つ。
「え、ありがとうございます」
二つ?
「一つはあなた用のよ」
「ん?」
「あげる代わりに、一つ飲んで」
「...え?」
「人魚に使うんでしょ? まさか効果も把握せずに使うつもり?」
「あ...なるほど...ありがとうございます」
()
「ここで飲みなさいよ」
「え?」
「ここで」
「ここで?」
「ええ」
「ええぇ?」
「彼女は紅茶を飲む」
「俺も喉が渇いてきた」
「ここで?」
「えぇ、ここで」
「お外じゃダメですか?」
「いいけど、知らないわよ」
(どんだけすごいんだこれ。てか今更ながらここへ来たのは軽率だよな。もらえる手前、断るわけにもいかないし...ん?もらう?)
「あぁ、そうか。そういえば...これって...おいくらするんでしょうか?」
「いいわよ、値段なんて」
ハンパねぇ。
「あ...はぁ...ありがとうございます」
(じゃあもう飲むか...なんか申し訳無くなってきた。すんげぇ失礼なこと連発して聞いてるし、優柔不断な自分が嫌になってきた)
「まぁ...無理にとは言わないけど...」
(すんげぇ意思尊重してくるやん。俺の意思がブレる笑)
「飲んでいいんですよね」
「えぇ」
「ただでもらえるんです、それくらいさせてくださいな」
(瓶を持つ。ボンとちっこい蓋をとる、口元に持っていく。...意外と無臭)
「やっぱり、いいわ」
飲む瞬間に彼女の綺麗な手が瓶と俺の唇の間に割って入る。
「え?」
「やっぱり、大丈夫」
「えっ? なんでぃ」
「ふっ、何その言い方」
(少し笑ってくれた)
「なんか、すいません」
「いいわ。あなたのせいではないから...」
...
...
「え、いえいえ、流石にただではもらえませんよ!」
「なによ。あわよくばくれないかなみたいな雰囲気出していたじゃない」
「それは...誤解ですよ」
「してないと思う...」
「ふぅ...他に用がないなら、早くおいき」
「あ...えっと...」
「...何よ?」
「本当に、いいんですか?」
「いいわよ」
...
「では、本当に...ありがとうございます」
(深々とお辞儀)
「紅茶を飲んだ後、しばし静寂が流れた」
紅茶うまっ
ーーー
(渡しそびれていた王都の有名なお菓子屋さんのクッキーを渡す)
「あの...紅茶美味しかったです」
っふ...良かったわ。こちらこそクッキー...ありがとう。
(また来ますとは口が裂けても言えないが)
「あ、紅茶は、どこ産なんですか?」
「手作りよ」
「えぇ!?すごい。めっちゃ美味しかったです!」
「っぅ...そう、良かったわ」
(え、なんかまずいこと言ったかな)
「はい...ちょっと久しぶりに紅茶のんだので...すいません」
「いいわよ、紅茶も持っていく?」
「いえいえ、これ以上はもう...!」
「そう」
「はい...」
「生活は、順調なの?」
「え? えぇ、最近はなんとか、安定して来ました」
「そうなの...」
「はい、この前もちょっと、大物仕留めまして」
「へぇ...いいわね」
「はい...あ、すいません、どうでもいい話を」
「いいわよ、楽しそうで何より」
「...あ...えっと...ありがとうございます」
「何よ、またそんな顔して」
「いいえ、なんか、色々優しくしてもらっているんですけど...返せるもんがないもんで...ちょっと自己嫌悪しました」
「そう...」
「あ、なんか...金貨とか足しになりませんかね?」
「何かくれるの?」
「あ、はい!! 何か渡せるものがあればー
(失言)
「...え?」
「2回襲われている魔女のところに来て、あまつさえエッチなことを彷彿とさせる媚薬が欲しいって? でもそれを使う対象は私ではなく、人魚に対して...嫉妬するじゃない?」
「あ、え、」
(頬を撫でられる)
「ねぇ...私の気持ちは? どうなるの」
「あ...えっと...」
やべ、地雷踏んだ?いや違う。ここへ来た時点でもうこうなることは決まっていた。彼女に会いに来るといことは...ある種そう言うこと。
自分自身ももそうだ。本当にこうなりたくないのであれば、媚薬をもらった後すぐに帰るべきであった。しかし、それをしなかった。
「媚薬欲しい? 私も欲しいわぁ...でも我慢したわ、あなたをこれ以上傷つけたくないから。だから、意地悪したの、あなたが媚薬を飲んでくれれば、私の思うように動いてくれるかなって。私の気も知らないで平然としてるあなたが憎かったわぁ...でも、それも我慢したわ? あなたに迷惑はかけたくないからぁ...ねぇ、私ちゃんと我慢したわ?」
しかも貰うものが悪かった、媚薬...そりゃそう言う気分になるよな...
「あっ、さい、ですね」
「クッキーぃ...本当に嬉しいわっ、ねぇ、年甲斐もなくはしゃぎたいけど...みっともないから我慢しているのぉ...贈り物なんて...久しぶりだったから...」
頬を撫でられる。
「あ、あっす!」
「しかも男の子からなんてぇ...この紅茶ぁ、美味しい? 私のお気に入りなのっ、心が落ち着いてリラックスできるから...ねぇ、おいしかった?」
「あ、はい!」
「私も好きなの、それに自分で愛情籠めて育てたから...欲しい言葉、肯定、たとえ同性だったとしても嬉しいくらいなのよ? 誰にも共有するつもりはなかったけど、最近じゃあなたくらいしか来てくれないの、わかる? 来てくれるのはあなただけなの...」
真っ直ぐ見抜かれる。もう一方の魔眼が見え隠れし始める。
「は、はう!」
「でもあなたには生活がある、あなたの事情があって、あなたにもそう、きっと使命がある...分かるわ? でも、そこまで私は魔女できていないわぁ」
両頬を暖かい手で包まれる。手首についたモコモコの黒いシュシュがくすぐったい...
「ぅ...」
「何か欲しいものがあれば? って聞いたわね」
「...」
「そんなのぼくちゃんに決まっているじゃない」
あ、やらかしたわ。
「あーっと」
「んふふ、大丈夫よ、悪いようにはしないから」
思っクソ深いドープキスが放たれる。
ズキューーーーーン!! ズルルルル、ジュルっ。
男の子ならこれ一発で落ちる、そんな威力を持った一撃。
だが、俺は3回目、そう簡単には飛ばない。
「ぅ!」
後2回。
「んはぁ...ねぇ、本当は誘ってたんでしょぉ?じゃなきゃわざわざここへ来ないわよね?」
「あのぅ...えっと...」
「もう...いいわ。どう思っているか身体に聞いてあげる...」
「ひゃぁ!!」
滑らかな動きで背後を取られる。ソファーに座りながら後ろからハグされている状態。
「ねぇえ...本当はしたかったんでしょぅ?」
耳元に熱い吐息がかかる、いつ甘噛みされるか分からない状況が自身の心拍数をあげる。
「こ、この前失礼なことをしてしまったので! 謝りにきました!」
あんまり動くと、背中に胸が当たる。
「んゅ...本当は媚薬が欲しかっただけなんじゃないのぉ」
胸を鷲掴みにされる。
「にゃぁ! あのっ、たまたま依頼されて、いく口実が出来て! もちろん謝罪もしたかったですが! 媚薬も欲しかったです!」
「はむ」
左耳を噛まれる。
「ひゃぁあああああ!」
噛み終了。
「媚薬はだれに使うのぉ?」
「ひっ、納品します!」
「本当にぃ?」
「は、はいっ」
「ねぇ...どう言う気持ちで来たのぉ?」
「ひゃぁわ...本当は罪悪感です」
「んふふ、ぼくちゃんカワイイ」
心臓が跳ねる。
「とんでもないですっ」
「じゃぁ交渉しましょぉ...」
「...」
「アナタの罪は浄化される。私は昇天すると...どう?」
「...」
「不満そうねぇ」
彼女の後ろからの吐息が、熱い...
「ふぅ」
「ちゅ」
首筋にこの世の物とは思えないほど柔らかい物が撫でられる。
「っ」
「ピクっとしたぁ...ねぇ、後悔してる? まーたどすけべな魔女に捕まってぇ...変な要求されてぇ、困っちゃってぇ...」
「感無量です」
「ぁん、快感」
ちょっと自己肯定。
もうどうしたらいいのか分からなくなっていい感じに思考が停止して来た。よっこらしょ、一発抱きついてやろと思ったところで...
「ぇ」
「動いちゃダメ」
「おっと汗」
「ねぇ...紅茶...美味しかった?」
「...はい」
「世間知らずの女性に...無闇矢鱈と褒め言葉を告げない方がいいわよぉ?」
「...」
「こうやって勘違いされちゃうからっ」
胸の先端をいじられる。
「にゃぅ、ひゃっ...ぐぅ」
さらにいじられる。
「これはぼくくんへの罰...でも安心してぇ、辛いのはぼくくんだけじゃないからぁ...んはぁ...」
彼女は片手を自身の股に持って行ったご様子...
「ひゃ、にゃっ、ちょと...イレーヌさん」
「ん〜?」
「いやぁ、やめてっ」
「んああぁん...いや〜っ」
「んうぐぅ...っ...ひっ」
「にゃぁ〜ぼくくんカワイイでちゅぅうっ!」
右耳に吐息があたり、次の瞬間耳にキスをされる。ジュルジュル!そして止まらない!
卑猥な音がダイレクトに鼓膜に響き渡る。防御力は零。
「にゃぁあああああああ!! イレーネさんぅ! それダメぇ!」
抱きつきが強くなる、胸がこれでもかと当てられる。紅茶の甘いいい香りがする、それ以外の匂いも充満してくる。
点滅する『DANGER』
「んじゅぅ、んふぅ、もうダメ! 好き! 言っちゃうもん、ぼくくん好き! 好き! んぐl可愛いぃぃイイっ」
もう一段階、心臓が飛び跳ねる。
「にゃぁあっは!」
首を曲げて逃げても、その唇からは逃れられない。追従される。
身体自体、後ろから抱きしめられているが故に、動くことができない。
振り解いても良いが理性が思考をバグらせる。それに後ろめたさもある。そもそも、イレーネさんが可愛いくて逃げようと言う気にならない。
どれくらいキスされ続けただろうか? ゆうに3回などとうに超えている。もうほだされてしまったようで...
「んぁ...イレーネさん...可愛いです...」
口が滑ると思いっきりソファーに押し倒される。
ハグを解放して、正面に来たかと思ったら肩を掴まれてそのまま倒れてくる。
「んんんんn!!!」
「んはぁ!! ぼくちゃんが悪いんですよ!! いっつも、いっつも! 我慢できない事を言うからぁ!」
「そのうんnnn「ちゅぅうう!!」」
言い訳すらさせて貰えない。
「///」
「んはぁ!! 我慢したのぉ、ほんとよぉ? 魔女はダメよね! 人間とは相容れない! わかってるのぉ! わかってるけど!」
今度は俺から手を出す。いっても軽くハグする程度だけど...
中途半端な優しさなのは変わりない。
この世界では、人間と魔女は相容れない。
ショタ少年
SS
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