エイリアン・エイリアン(エステリア)
次の日は特に夢は見なかった。
薬を買ったその日、
相変わらず古びた鉄の階段を俺は登り家の前へと着く。鍵を響かせる。ドアをあける。
中を見る。
さっとドアを閉める。
何...今の?
ちゃのまにミアとはまた違う宇宙人がいた。
(とりあえず逃げよ)
『ギャチャァ』
と唐突にドアが開く
俺は逃げる。
すると粘着性のある何かが体に巻きつく。部屋の中へ引っ張られ、俺はそのままおかえり。
【その後、彼を見たものは誰もいなかった】
なんか腹たってきた!何で俺ばっかにこんな目に遭うんだ!見せてやる凡人の本気。俺だってやる時は根気、死んでも蘇ってゾンビ、死に際に爪痕くらい残してやる!!
ふざけんなあああああああああああああああさああっq!!(狂った笑)
「勝手に殺すなぁぁあ!!」
「オ、オマエが、コノヘヤノヌシカ」
どっちかっていうとオマエがヌシ。
「んだよ、手荒い歓迎だな!そうだよ!だったら何だってんだよ!あぁん食うぞこらぁ!」
拘束が解除される。なんかベタベタする。
すかさずファイティングポーズ。心だけは、負けてはいけない。いつだって戦う姿勢は忘れてはいけない。かかってこいヤァ!!
口が二つ。口内には細かい歯がワームのようにびっしり。頭は後ろに大きめで、ザ・エイリアン、エイリアン。ほんで歯ぁとかめっちゃ鋭利やん。
そのエイリアンが目の前で、座布団の上に正座している。話せるだけ運がいい。
「オ・チツケ」
「オ・ッケー...って落ち着いていられるかぁ!見た目!怖い!怖いんだよ!」
「フム、ナルホド、ミタメカ」
そう言ってゴボゴボし出すエイリアン。
「お、おいおい、ゴボゴボすな!部屋の外でやってくれ」
「ゴボォォ」
「え...」
肌色の泡が溶けて消えて、見た目が変わりエイリアンではなくなる。落ちた泡は床を濡らさず溶けて無くなった。
「コノミタメナラどうだ?」
その見た目にドキリとする。
「そ、その姿は...」
「どうだ?」
棒人間に唇を頭に乗っけたみたいなフォルム。
「どういうお笑いなの?」
トウホウシネマかよ。
「どうだ?」
「、」
「どうだ?」
めっちゃ意見求めてくる。
「どうって...ちょっと? 変」
「どう?」
喋るたびにすごい唇動く...これはこれでなんか愛嬌がある。
「怖くはない」
「そうか」
「だが...変」
「どう変だ」
「どうって...人ではない」
「人とはなんだ?」
てか言葉うまくね? 宇宙人だよな、多分こいつ。
「俺みたいなやつ」
人とは。
「フム...」
「な、なんだよ...」
これ俺に扮する流れじゃね?大学とか代わりに行ってもらえんじゃね?
「オマエに扮しても意味がない」
転ける。
「な! なんでだよ」
「オマエの生物的生命情報が欲しい」
(???)
「ん? なにぃ どうするんだよ」
髪の毛とか渡せばいいの?
「オマエが遺伝子を残す際に行う粘液が欲しい」
「...な、な、な、何で渡さなければならないのだ」
「...ジツハダナ」
説明 生命の危機・・・
「はぁ...そうだったんですね」
「トイウコトダ。他の生命の生命情報がホシイ」
「唾液とか?」
「それは何だ?」
「こっから出る粘液」
「そうか。くれるか?」
「別にいいけど...どう渡せばいいの?」
「ワタシの中に入れてくれ」
エイリアンはお腹を叩く。
「...」
「フフクカ?」
難しい言葉知ってんな。腹部だ。
フクブニか?
「どうやって入れんの?」
「接種する入り口は何箇所か作れるが...」
どういう事?
「あ、じゃあ手とかでいい?」
「イイガ...そんなにすぐ出せるものなのか?」
「ん?どういう事?」
「オマエの遺伝子を冠する物なのだろう?もっと時間がかかるのでは?」
ていうかそんなすぐ手から接種できるの?
「...え?もしかして。そういう事?」
「それは何だ?」
「一回...唾液でいい?」
「一回? まぁそれが遺伝子情報であるのならありがたくいただく」
俺は一回唾液をコップに入れようとして、
「マテ」
「なんだよ」
「それは何だ?」
「コップ」
「それは必要なのか」
「別に必要か必要ないかで言われたら必要ないだけど」
「じゃあ直接ホシイ」
じゃあて。
「...」
「やっぱり不服か?」
こいつさっきよりも不服の発音綺麗だな。
「まぁ、そりゃね...」
「オマエたちは一卵性なのか、それとも子孫を残す際は2人か?それとも無性生殖か?複数か?」
「あのぉ...パートナーと...子孫を残します」
「パートナーとはなんだ?」
「あのぅ、女性です」
「女性とはなんだ」
「じぶんが男性なんですけど人間は大まかに女性と男性に別れるのですが、その自分ではないもう一つの種別?性別のことです」
「唾液は生殖する時に出るのか?」
「うーん、生殖する時にも出るけど...メインは生殖じゃないね...」
「メイン? 生殖メインの粘液があるのか?」
「うーん...うん」
「...だいたいワカルゾ。なんとなくイヤなのだろう」
「まぁ、そりゃ」
「他の種族も相場はそうであった。戦って獲得した遺伝子もある」
「うぅ」
身構える
「だがそういった遺伝子はエテして生存データが劣悪であったり破損していた。やはり最高の状態で最高の遺伝子を頂く方が良い。生殖や継承、無性分裂に伴う行為にはなんらかの快楽物質が伴うことが多い。その際に、命に関わる場合や、羞恥、気分の悪さ、緊張状態、嫌悪状態になってしまっては緻密なものも壊れ、作れるもの作れなくなってしまう。逆に気の緩…まぁいい、どちらにせよ個体になんらかの異常や変化を生み出す行動の割合がタカカッタ」
ホッとする。多分俺の解釈は合っている。
てかよく喋るなこいつ。
「まぁそうっすね、あんま初対面の人に、唾液を渡したいと思うものではないから...」
「どうしたら気持ち良く出せる?」
「言い方...」
「言い方で変わるのか?」
「いや違う。まず種別は違うから、無理だと思う」
「ム。聞き捨てならないな。ワタシはエステリア。星の世界からキタノダ。ワタシが遺伝子を入手する上で、不可能はない」
「...ホントに?」
すごいこと言ったな...
「可愛い子だったら...やっぱりこっちはテンション...気持ちは上がるな。見た目がね...やっぱり違うから、今回は諦めて」
「ミタメカ。どういうことだ」
俺はベットの下から肌色が多めの本を取り出そうとして恥ずかしくなってやめる。
「えっとね...」
写真もない...
俺は当たりを見渡して
本をしれっと取られる…
「うわぁ返して!」
「返したほうがいいか?」
「...うん」
「ナラカエス」
「...うん...ありがとう...返してくれて」
優しく受け取り、エロ本は大切にしまう。
「ああいうのがパートナーという者カ?」
「あー、見たのね?」
「見えたからな」
「...」
「パートナーなら興奮するのか?」
「そ、そういぅわけじゃないけど...」
「...ナントナク、イヤなのであろう」
「...んーん」
「...」
「星の危機...というのはホントなんだよな?」
「ソウダ。だからワタシがスクウノダ」
「本当にこんなんで救えるの?」
「ワカラナイ...ガ、ヤレルコトハヤルダケダ」
その発言がやたらリアルで、とてもじゃないけど嘘をついているようには思えなかった。
「一応...こういう見た目だったら...コウフンする」
身長高めの、切長眼のボンキュッボンオネェさんのページを見せる。
「興奮するとどうなんだ?」
「えっとね...恥ずかしいことがしたくなる」
「そうするとどうなる」
「えっとね...多分あなたが求めているものが出る」
「ホントウカ。ありがたい。興奮させレバイイノダナ」
ゴボゴボ...ゴボ...
==========
目の前には黒髪ロングのお姉さんがいた。完全に人間にしか見えない。
「ガチじゃん」
「どうだ?」
「うん...いい感じ...」
「良いということか?」
「うん...そう...」
「そうか、では早速クレ」
なんか謎の罪悪感が芽生える。
「えっと、よかったらこれ着てもらってもいい?」
俺は引き出しから黒のニットセーターを取り出し渡す。
てか、引き出しの服がやたら左右に偏ってんの何なん?
「これは何だ?」
「俺らは温度調整機能が貧しいから、みんな着ているもの」
「こんなものがカ?」
「うん」
「こう着ればイイのか?」
足から履こうとするのをニット。
「あ、ごめん。上からで」
笑う。片脚をあげた時に下半身の秘部が見えたが超リアルで照れる。だが全く興奮しないのは何故だろうか?前きた血の匂いがするお姉さんとは大違い、しかし相手は同じく鋭利な種別。
よく作られている、ものだからか。
ダイナマイトな胸がつっかえる。
「壊してもいいからちょっと下まで持っていって」
「ムゥ...手伝ってくれ...」
「...うっす」
ちょっと強めに下にセーターを引っ張る。
「い、痛くない?」
「...窮屈ダ」
「我慢...できそう?」
「まぁ支障はない。これがいいのだろう?」
切長な鋭い目がこちらを射抜く。
「あ、はい」
やべ、びっくりした。
「何ださっきから...」
「あ、はい」
「...そんなにこの見た目がイイのか?」
巨乳全裸に正座崩して、上半身黒ニットだけ着させた状態。
「あ、はい」
「クククク、面白いな、お前たちは。見た目が変わっただけでオレに対する接し方まで変わるのか」
あはは、お前たち?
「はぁ、どうも。あんたらの世界に、固体に対しての魅力は感じなかったのか?」
「ん?昔はあったらしいがな。今では絶滅の危機でそんなことは言ってられんかったよ」
「なるほど」
「そんなことより、早くクレ」
「う...ういっす...」
俺は口に粘液を溜めていく。
「さぁ、イレロ」
彼女?は口を開く。
かすかに糸を引く。
「え?手とかじゃないの?」
「ん?お前たちの種族は手に穴が開くのか?」
「いやぁ、あかないけど」
「この生態に今は模しているが、おそらく口から、この上部のここから何かを接種するのだろう?どうだ」
ドヤ顔。
「あ、合っています」
「ならば、ここから摂取した方が、お前にとってもより自然なのであろう」
「仰る通りで」
「ならクレ」
四つん這いになって女豹のポーズでせがんでくる。わざとやってんのかよ。
半端ねぇな...
「他に摂取する箇所開いて、手とか、そこからがいい...」
「ン?なぜだ?」
「口には、特別な意味があるので...」
わがまま言っているのはわかっておりますが。
「注文が多いのだな? どんな意味があるのだ」
「すぅ...」
「?」
「好きな人としか、そのぅ」
「...」
「したくないといいますか」
「好きとはあれか?個体に対する好感のようなものか?」
「そ、そうです」
「なら問題ない」
「え?」
「オレはお前に対して、好感を持っているからな」
「...際ですか」
「では」
「お、俺は、まだちょっと...」
「何だ?見た目だけじゃ不服か?これ以上オレに何を求めているんだ?」
「...申し訳ございません」
「謝られても困るが...」
「...てか、何で一人称オレなんですか?」
「ん?オマエが使っていたからだ」
「なるほど。そちらの世界に性別とかあるのか?」
「ない」
「そっか...」
「なぜ先延ばしにするのだ?そういう種族なのか?」
眉間に皺がよる。完全に表情を使いこなしている。
言い得て妙ですな、確かに人間は先延ばしにする種族ですけど。
「そんな初対面の人物にポンポン好意を寄せる事はないのですよ」
「そうか...」
「いいよ、さっきのフォームに戻って。唾液渡すからさ」
「イヤだ」
「うん、え?何で!?」
「通常形態のオレが好きなのか?」
「んぅ、好きか嫌いかで言ったら嫌いだけど…アンタの事段々わかってきたから、怖いとは思わないよ」
「キライなフォームで良い遺伝子は渡せるのか?」
「...確かに」
ん?いや、別に関係ない気がする。
「シノゴの言うな、クレ」
ずいっと距離を縮められる。
肩を掴まれる。意外と人間ぽくて柔らかい...
まぁ...いっか...
目を瞑る。
彼女?の胸が俺の胸に当たる。
「ひゃぁ」
「これ、邪魔ダナ...」
彼女?は自身の胸にあたる部位を揉み上げる
「おっほん...まぁ待て」
やべ、直前になって緊張してきた。
「何だ。何が足りないのだ?言ってみてくれ」
「アンタのことを、俺は何も知らない」
「なにぃ?」
「アンタの情報が足りない」
「色々な種族を見てきたが、お前たちも変わっているな...」
「多分、俺がめんどくさいだけなのだと思う」
「...ちなみに、今無理矢理だえきを奪ったら、アンタは怒るか?」
「? まぁ、怒りはしないけど...やっぱ急いでるの?」
「いや、そういうわけではないが、もしかして無理矢理した方が良い種族なのかと思ってな」
「何だそれ」
「種族によっては、自分でそういうのを取り出せない者もいたからナ」
「へーぇ、そうなんだ」
「お前たちは違うのか?」
「自分で取り出せるよ」
「...そうか。では続けるか?」
「...えっと、まぁ、いいか。うん」
なんか待たせすぎて申し訳無くなってきた。
「...」
「じゃあ渡すからさ、口を開けて」
「...本当はどう受け取るのが正しいのだ?」
「...何、急に」
「これはオレのエゴだが、種族のデータをもらうというのは貴重で大切なやりとりである。そのような貴重な物を受け取るのであれば、せめて相手の礼儀と文化に則って交換をしたいと考えている」
なんだよ今更。
「じゃあ合ってるよ。口から口移しで渡すんだよ...」
「そうか...」
「じゃぁ」
「お前はそれでイイのか?」
「ウルセェな!いい訳ねぇだろうが!何だ初キスがエイリアンって!別に悪くはねぇけど良いわけねぇだろ...だが気にするな、俺がこの口を使う相手は、いないからな」
「なんかよく分からんが...ナントナク悲しいな」
やかましいわ。
続く
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