2024-04-27 23:41:13 更新

概要

前のアカウントのドラえもんSSの続きです。更新はほぼナマコです


【第二部】第十三話(裏北条家編)家族の証


ー恭介編ー


時代(現代)


花音を救出に向かったメイさんを助ける為にユウさんそしてカイさんとで救出に向かった


途中信号が消えてしまい場所が分からなくなるが、ユウさんとカイさんのおかげで三通りに道を絞り手分けして探した


その後合流して花音達を追う


途中洋子さんに会うが頑なに協力を嫌がった


洋子さんは洋子さんでノビスケくんの為に動いているのは分かるけど今はその行動も怪しいと思ってしまう


結局説得は出来ずに一度逃げられてしまう


二度目に会った時に再び説得を試みるが二人を囮に使おうとした洋子さんをこれ以上好きにはさせられない


説得(物理)で着いて来てもらう事にした


洋子さんは気絶してるので俺が背負っている


戻ってきた時に屋敷の庭にはたくさんの人達が倒れていた


襲撃されたようだ


優香達が危ない!


恭介「人がたくさん倒れてる襲われたんじゃ!」


ユウ「ちっ!やられたか!優香は無事か!」

 

カイ「お嬢様!」


花音「これやばい感じ?」


メイ「そうね・・ん?案外そうでもなさそうですよ」


花音「え?そうなの?死屍累々だけど?」


メイ「みんな生きてますよ」


花音「だとしてもこれだけ倒れてるのはやばいんじゃ?」


メイ「いえ、大丈夫そうですよ。これ倒れてるの全部敵だから」


恭介「へ?」


ユウ「これが全部敵?まじかよ・・」


メイ「カイも落ち着きなさいよ」


カイ「だが・・そうだな、まずは状況の確認だ。倒れてる奴を調べよう」


ユウ「あぁ、焦るなんてらしくないな俺も・・・手伝おう」


メイ「そう簡単に突破は出来ない筈だし大丈夫よ。きっと」


恭介「それでも心配です。急ぎましょう」


花音「ここは静かでも中ではやばいかもしれないし」


ユウ「こいつら・・濡れてるな」


カイ「あぁ、血じゃないなそれにみんな死んではいないな」


ユウ「匂いは・・いい香りだ」


カイ「味は・・紅茶だ」


ユウ「なんで紅茶が?」


カイ「分からんが余程好きなんだろう」


花音「なんか倒れてる一人の男に二人の男が囲んでつついたり匂いを嗅いだり舐めてみたりしてる光景はなんだろ・・あ、脱がし始めた」


花音「流石に止めたら?」


メイ「これは・・良い」鼻血


花音「あ、そっちの方でしたか」


メイ「そして二人は禁断の恋に・・ぐへへ」


花音「自分の世界に入っちゃったよ。帰ってこーい」ツンツン


メイ「ふぁ〜〜」


花音「ババアのふぁ〜とかいらんだろ歳を考えろ」


メイ「ふぁ〜〜」


花音「重症だ・・・」


恭介「それにしてもかなりの数だ。これだけの数を相手にして一人も味方がやられていないなんて余程の数の暴力で押し切ったのか?それともトラップか?どちらにせよ尋常じゃない」


洋子「うぅ・・・」


恭介「あ、起きそうだ。今起きられたら・・このおぶっている状態ではスリーパーホールドを決められて絞め落とされる未来しか見えない!どうしよう!」


恭介「そうだ!ユウさーっ!!」


ユウさんを呼ぼうとした時屋敷から人が出てきた


その人は片手に紅茶カップを持っている執事で


あの時セイナさんと一緒にいた新人執事さんだ


俺は一旦洋子さんを下ろして彼に駆け寄る


恭介「あ、おーい!無事だったかい?」


新人執事「・・・・・・・」


恭介「新人執事さん?」


瞬間寒気のようなものがした瞬間顔面に蹴りを入れられー


ユウ「恭介!避けろ!!」


ドゴッ


ユウ「ぐああ!!」


ユウさんは俺を庇って蹴られた


恭介「ユウさん!」


また、さっきの寒気がした


咄嗟にしゃがむとそのすぐ上から風を切る音がする


今俺は新人執事さんに攻撃されている


拳銃を取り出し威嚇をしようとするがすぐに蹴り落とされその際に何発か蹴りをもらう


恭介「ぐっ!・・新人執事さんやめてください!敵じゃありません!」


新人執事「丁重におもてなしを・・おもてなしを!紅茶でもいかがですか?」バシャ


恭介「あつ!!」


新人執事「おもてなし!!」ドゴッ


恭介「ぐはっ!」


花音「てめぇ!何やってんだ!」


新人執事「もう一人・・」シュッ


恭介「花音よせ!!」サッ


いくら花音でもこいつはやばい!


庇うために二人の間に入る


花音「邪魔じゃああああ!!」


新人執事「おもてなし・・おもてなし!!」


二人の攻撃が俺に当たる


恭介「がはっ!!」


あれ?俺が敵だったかな?


敵は一旦距離を置こうと退がる


花音「ちっ!逃がすか!」ドン


恭介「うげっ!」


倒れかけている俺を踏み台にして高く飛び上がった花音の踵落としが新人執事の丁度後退地点に降りかかる


花音「逃げられると思うなよ!ふひゃははは!!」


新人執事「っ!」


更に後ろへ逃げようとするが


後ろからは既に


ユウ「ぶっころぉおおおす!!!」


鬼の形相で振りかぶるユウの姿が


前方の空中からそして後方の地上からのダブル攻撃


避けられる筈もなく


そこからの二人によるリンチ攻撃


ユウ「おもてなし?なってねぇな!俺のおもてなしを見せてやるよ!」ドゴッバキッゴキッ


花音「紅茶勿体無いだろうが!いくらすると思ってんだ!」メキッゴキッガコッ


数秒後新人執事は倒れた


これを見た千人が千人満場一致でユウさん達が悪人だと言うだろう。そう思えるほどの形相をしていた


花音「あ〜スッキリした」


ユウ「まぁ、これくらいにしてやるか恭介大丈夫か?」


恭介「新人執事さんにやられた分はなんとか・・」


花音「ん?」


恭介「痛かったですよ・・・」


花音「ごめんごめん」


恭介「はぁ・・・」


全く気にしないタイプだ。そしてこういう人は怒ると抑えが利かなくなる


花音はユウさんと同じだ


実に厄介だ


新人執事「」ピクピク


恭介「あ、良かった・・・」


新人執事さんがピクピクしている姿を見て良かった生きてると喜んでいると


カイ「すまん調べるのに夢中で気付かなかった。何があった」


ユウ「遊んでた」


カイ「は?」


メイ「ごめんなさい少し意識が別世界に行ってた。何があったの?」


花音「遊んでた」


メイ「え?」


新人執事「」ピクピク


二人は声を揃えてピクピクしてるのを指さして言った


ユウ、花音「「これと」」


恭介「今説明しますから!」


カイ「ん〜なんとなく分かった。こいつが仕掛けたんだな」


メイ「この子暴走すると止まらなくなる時があって・・大丈夫だった?」


恭介「あ、はい、俺たちはなんとか、でも新人執事さんは」


カイ「そいつはすぐに起きるから心配するな。それより調べた結果此処の奴等は全部そいつがやったようだ」


恭介「ええ!この人数を!」


カイ「北条家の執事なら当たり前だ。そこらの寄せ集めの傭兵とはわけが違う」


メイ「私達を見てもそう思うでしょ?」


恭介「・・・そ、そうですね」


正直凄いとは思うけどそこまでではないという感じだった


新人執事さんのは正直凄いと思ったけど


この二人は・・・ね


いや、凄いとは思ってるんだよ?


カイ「ん?ユウと花音はどうした?」


恭介「あれ?さっきまでいたのに」


ユウ「おい、逃げようとしてたから捕まえておいたぞ」担ぎ上げ


洋子「離しなさい!変態!このこの!恭介くん助けなさい!」


花音「恭介、ちゃんと見てないと駄目だぞ。とりあえず縛っとく?縄ならあるでしょ?」


ユウ「だな花音頼む」


花音「やらないの?結構可愛いとは思うけど」


恭介「ちょっ!」


ユウ「タイプじゃない。てか、そう言うのでも冗談言うなよ?本気にする奴はいるぞ?」 


花音「え?それは失礼」


恭介「冗談だったんですね。良かった」


洋子「なんかムカつく」イラッ


花音「なら仕方ないね。亀甲縛りでいいよね恭介も見たいでしょ?」


恭介「えっ!そ、それは・・」


花音「どう?」 


恭介「きょ、興味はありーいえ、ないです!」


花音「ほう、これはあるな」


ユウ「恭介お前・・・」


花音「そういうの嫌いじゃないけどね。場所をわきまえないとね」


洋子「恭介くん・・・・・」


カイ「性壁なんて人それぞれだ。良いだろ」


ユウ「なんだ?お前も興味あるのか?」


カイ「縛る事に関してはな。男女とか関係なく」


ユウ「もっとやばい奴いたぞ」


カイ「縛ろうか?てめぇを」


ユウ「お?やるか?」


カイ「おうよ!」


花音「アホか」


メイ「恭介さん・・腰には悪そうだけど・・優しくしてくれるならいいかも」


恭介「だから違いますって!」


俺は変態という称号を貰った


そして俺の大人としての僅かな威厳はボロボロに落ちていったのであった


カイ「バカやってないで中に入ろう。こいつが中から出てきたなら中は無事だろ」


ユウ「こいつが敵だったら?」


カイ「こいつは新人だが信用出来る人間だ」


ユウ「俺はどうも気になるがな」


カイ「なら見張っとけよ」


ユウ「あぁ、だが、もし優香に何かあったら、その時は覚悟しておけよ。恭介受け取れ」洋子ポイ


洋子「きゃっ!」


洋子さんが宙を舞う


恭介「え?ええ!!」アタフタアタフタ


恭介「おもっ!」洋子さんキャッチ


洋子「・・恭介くん」イラッ


恭介「あ、ご、ごめんなさい!重くないです!」


ユウ「次は逃すなよ」


恭介「は、はい!」


洋子「信用されないわね・・・」


恭介「・・・・・」


その後一通り屋敷内を探すが見つからず


探している間は洋子さんは玄関ホールに人が吊るせる紐があったのでそこに吊るしておいた


まさに吊るしてたんだろうなと思える程に専用感ただよっていた


その紐にはハル専用と書かれていたが気にせず使った


かなり使い込んでいる事から闇を感じた


少しお借りしますよ。ハルと言う人


洋子「・・・・・・」吊るされ中


恭介「痛くないですか?」


洋子「なんで慣れてるのよ・・」


恭介「ま、まぁ、警察ですし縄の使い方は練習しましたから」


洋子「はぁ・・しっかり縛ってるわね」


恭介「はい、しっかり縛ってます。しっかり過ぎて脆いかもですが」


洋子「自分が何してるか分かってるの?」


恭介「すみません。でも、今はこうするしかないんです。洋子さんが知ってる事を話してくれるなら話しは早いんですが」


洋子「・・・・・・」プイッ


恭介「ですよね・・巻き込んですみません。」


洋子「っ・・・・」


カイ「一階も二階もいないか・・」


ユウ「優香!何処にいる!」


メイ「声も聞こえない・・」


花音「屋敷から出てはいないよね新人執事って奴がいたし」


恭介「地下室とかはないんですか?」


カイ「地下室か・・あるかもしれない」


ユウ「自分の屋敷だろうが把握してろよ」


カイ「今はそうだが昔ここはセリナお嬢様が使っていた屋敷でな、北条家が崩壊した時残ったこの屋敷を使わせてもらってるって状態だ」


花音「・・・・・ここが」


カイ「だから全てを把握してるわけじゃない。それこそ隠し部屋とかあるなら詳しくは探ってないからな。あまりここに来た時と変わらないようにしてくれとセイナお嬢様に言われてる。ここはセリナお嬢様の帰るべき場所だからと」


ユウ「セリナが使っていたという事はここはノビスケがいた屋敷か」


カイ「そうだ。ノビスケとメイド長、それに執事長と新人のメイドがいた。なるべく当時のままにしてる」


花音「・・・・・」


メイ「花音さん・・・」


恭介「詳しい話は後にしましょう。とにかく優香を早く探さないと」


ユウ「そうだな・・・」


カイ「おい、いい加減に起きろ!」バシッ


新人執事「うぎゃ・・あれ?ここは何処?私はだぁーれ?」


カイ「もう一回寝とくか?」


新人執事「っ!セイナお嬢様は!」


ユウ「さっさと案内しろや、じゃねえと今度はもっと痛い目に遭わすぞ?」


基本暴走状態の新人執事は元に戻った時暴走時の記憶はない


だが、それでも分かった。この人には逆らってはいけないと


ただでさえ一度やられているのにもう彼は暴走時と通常時両方に恐怖を埋め込まられている


正直ちびりそうであった


新人執事「こ、こちらです!地下の入り口が」


カイ「あったのかよ。メイ行くぞ」


メイ「あ、えっと・・・」チラッ


花音「・・・ここにお爺ちゃんが」


カイ「おい、メイどうした?」


メイ「当分地下は行きたくありません。私はここにいる洋子さんの様子を見ておかないと」


洋子「・・おかまいなく」吊るされ中


メイ「おかまいします。メイドですからね」


洋子「・・・バカね」


メイ「貴女もね」


ユウ「訳ありそうだな。花音どうする?」


花音「私もいる。ちょっと気になる事があるから」


ユウ「そうか、恭介行くぞ」


恭介「はい!」


カイ「おい、待てよ。俺も行く」


四人は地下へ向かった


ーーーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーー

ーーーー


洋子「行かなくて良かったの?」吊るされ中


花音「洋子さんも逃げなくていいの?縄外れそうだけど」


洋子「なんの事?逃げられないようにしてるのは貴方達でしょ?」


花音「ふ〜ん、ツンデレ?」


洋子「誰がよ!」


花音「まぁ、このまま逃げたら恭介はみんなに責められるだろうけどね」


洋子「っ・・好奇心か何か分からないけど安易に関わっていい事じゃないのよ。手遅れになる前に帰りなさい」


花音「もう戻れない所まで来てるのは私でも分かるからバカにしないで」


洋子「後悔するかもよ」


花音「それは後悔した事があるから?」


洋子「さぁ?」


メイ「・・・・・・」


花音「ねぇ、メイさん執事長の部屋って残ってるの?」


メイ「はい、メイド長、ノビスケ、新人のメイド、執事長、全ての部屋は私達は一切触れていませんそのままです」


洋子「花音!やめなさい。辛いだけよ」


花音「案内して」


洋子「花音!」


メイ「はい、こちらです」


洋子「ねぇ!私はこのままなの!ねぇ!無視しないで!」吊るされ中


洋子「なにやってんのよ私は・・」


ー執事長の部屋ー


メイ「ここです」


花音「・・ここが」


メイ「一応掃除だけはしていますけど私物には一切触れていません」


花音「気にならなかったの?」


メイ「気にはなりましたがセイナお嬢様からキツく触らぬように言われていたので見てもいません」


花音「そう・・気になると思うけど」


メイ「気になっても気にしてはいけないのがメイドなんですよ」


花音「ふ〜ん」


部屋はシンプルで余計な物がない最低限必要な物を収納しているだけだ


ベッドと机そして衣類を入れてるタンスだけ


お爺ちゃんがどれだけちゃんとしていたかが分かる。几帳面な性格なのだろう。自分とは真逆だ


私は一度だけ会ったことがあるらしい。まだ私が赤ちゃんの頃に


私は覚えていないけど


それから少し経ってお爺ちゃんが行方不明になったと連絡が入った・・らしい


母親も父親も凄く悲しんでいたと聞いた


でも、その全てを私は知らない


ここは、お爺ちゃんが大切にしていた場所


きっとここなら私はお爺ちゃんを知る事が出来る


現実を受け入れられる


いや、受け入れないといけないんだ


これからの為に


花音「メイさんは入らないの?」


メイ「私は部外者ですから掃除以外は入れません。気にせずどうぞ」


花音「気にしなくていいよ入れば?」


メイ「ですが・・・」


花音「孫の私が許可してるの」


メイ「では、失礼しますね」


花音「それにしても本当に何もない」


メイ「最低限生活に必要な物だけしかありませんね」


花音「つまらない・・なにかないの」


タンスの中を開けてみると


花音「同じ柄のパンツばかりだし妙に綺麗ね」


メイ「洗濯を一月に一度してます」


花音「使わないのに?」


メイ「はい、ほっとくとカビが湧くので」


花音「捨てれば良いのに」


メイ「出来ませんよ・・」


花音「これじゃあ何も分からない」


メイ「あ、ここに赤いのが一つ勝負パンツでしょうか?」


花音「誰と勝負するんだよ・・」


メイ「何か分かりませんか?」


花音「赤いパンツではなにも分からないよ」


タンスの中には衣類があるだけで、それも極端に同じ物ばかりであまり服装を気にしないのかな?


花音「私服もあったけど少な過ぎる。後は執事服ばかり」


メイ「基本執事は執事服しか着ませんから執事長は泊まり込みだったので他の服を必要としなかったのでしょう」


花音「それでも休みの日とかあっただろうに執事服じゃ目立つのに」


メイ「そうですね・・」


花音「メイさんはいつもメイド服なの?」


メイ「基本的にはそうですよ」


花音「動きにくくないの?」


メイ「慣れると逆にこれじゃないと素早くうごけません」


花音「へんなの」


メイ「ですね」


北条家っておかしな人ばかりなのかな?


花音「次は机ね。この様子だと机も期待できないけど」


やはり入っていたのは筆記用具やよく分からない書類などがあった


一通り見てみるけど個人的な物は何もない


本当にここは私のお爺ちゃんの部屋なのだろうか?こんなになにもないただの部屋にお爺ちゃんはずっと住んでいたの?


悲しすぎるよ・・


でも、一つだけ分かった事は・・・


お爺ちゃんは私の事なんてなんとも思ってくれていなかった


興味がなかったんだ・・


花音「・・・・・・」


花音「ねぇ、お爺ちゃんは他に別荘とかなかったりしないの?これで全部なの?」


メイ「私の知る限りではありません。私物があるなら此処か、花音さんのご実家でしょう」


花音「もう、あの家には何もないよ」


何を求めてるのかも分からずにがむしゃらに実家を探しまわったから


花音「出てくるのは終わってしまった思い出だけ・・」


メイ「花音さん少し私にも机を調べさせてもらっても?」


花音「いいよ、好きにして」


メイ「執事長は用心深いと聞きました。ですのでもしかしたら」


机の一番下の引き出し開けて底を調べる


メイ「やはり引き出しの大きさと比例してこの底は浅すぎる」


花音「え?」


メイ「ほら、ここ不自然でしょ?」


花音「そうかな?大きさと底も合ってると思うけど」


メイ「数センチだけですが、少しそこが上がってます」


花音「でも、底はビクともしないし取れないけど老眼じゃないの?」


メイ「失礼ですね。これでも北条家に仕える人間ですよ。それにまだそんな歳ではありませんよ」


メイ「簡単には分からないようにしているんですよ。これにはコツがありまして」


花音「えい」バキッ


メイ「あ・・力技でいくとは、ケガはありませんか?」


花音「脆くなってたし平気だよ」


確かに引き出しの底の下には数センチだけ空間があった


そしてそこには鍵があった


花音「なんの鍵?」


メイ「そこまで複雑な鍵ではなさそうですね」


花音「まさか、これから謎解き?屋敷中を探し周るの?」


花音「てか、ヒントとかないの?」


メイ「なさそうですね。誰かに見つけて欲しいという事でもないのかもしれませんね。それこそ人には見せられない危ない物とか」


花音「え?どう言う意味?」


メイ「北条家の人間なら汚い事に手を染めないといけない事もあります。それもあの執事長ですから何が出てくるか分かりません」


メイ「見てしまったらトラウマになる物もあり得ます」


花音「・・・・・・」


メイ「怖いですか?」


花音「いきなりそんな事を言われたら怖いに決まってるじゃん・・自分の家族が・・」


メイ「探しますか?それともやめますか?」


花音「・・・探すよ。折角ここまで来たんだし」


メイ「それで良いんですか?」


花音「なによ」


メイ「失礼ですが、今の貴女は仕方なくやっている様に見えます」


花音「っ!」


メイ「洋子さんが言っていた様に好奇心で知りたいなら知るべきではありません」


メイ「知ってしまったら苦しむのは貴女です」


花音「わ、私は・・」


メイ「先程の貴女は言いましたよね?もう戻れないところまで来たと」


メイ「約束します。今なら普通の生活に戻れる様にします。まだ戻れますよ」


花音「っ!」


メイ「まだ巻き込まれてしまった人ですから花音さんは」


メイ「ですが、知ってしまったら。花音さんは関係者になってしまいます。そして今から知る事に迷いは危険です」


メイ「心に大きな傷が出来てからでは遅いですよ」


花音「メイさん・・・」


メイ「もう一度聞きます。探しますか?やめますか?」


怖いけど・・だけど、もう後悔はしたくない!お爺ちゃんの事もノビスケの事も私は知りたい


もう逃げたくない!


花音「探す!ううん、探したい!やっと見つけた家族の手掛かりなんだよ。怖いけど・・でも、それ以上に知りたい!」


簡単な気持ちなのかもしれない


でも!


何故自分は此処にいるのか、何故自分はこんなにも胸が苦しいのか、何故こんなにも必死になっているのか


なんだろう・・凄く身体が熱い


好奇心では感じない事なんだ


今一度自分に問う


本当に知りたい事なの?心に大きな傷が出来たとしても後悔しない?


そして答えは出た


花音「メイさん、お願いします。もう逃げたくないんです!どんな事があってもそれが家族の残してくれた物なら受け入れますから・・だから、一緒に探して欲しいです」


ちょっと泣きそうになりながら頭を下げた


メイ「花音さん・・」


花音「お爺ちゃんの事知りたいんです!もし最悪な事を知ってしまっても・・身内として家族として知っておきたいんです」


お爺ちゃんの歩いてきた道を誰も知らないなんて悲し過ぎる


せめて私だけでも


花音「お願いします!」


メイ「分かりました。私で良ければお力になります」


花音「ありがとう・・ありがとうございます!」


メイ「よく決断しましたね。大丈夫ですよ。私も側にいますから」


優しく微笑むメイさん


あ〜なんか母親みたいだなっと少し思ってしまった。歳的にもそのくらいかな?


母親はもういないけど胸に飛び込んで思いっきり泣いて良いかな?


ダメだよね。それをしてしまえばきっと立てなくなる


だから、今は泣いている暇はない


前を見る


花音「探そう!何時間かけても見つけてやる!」


メイ「ですが、そう時間は掛からないと思いますよ」


花音「え?」


メイ「執事長の性格を考えれば自分の近くに置く筈ですから」


花音「この鍵が使える場所はこの部屋の中にあると」


メイ「はい♪その通り」


メイ「と言うよりも見つけてますけどね」


メイ「上を見てください」


花音「ん?天井だけど」


メイ「天井の一部が不自然に色が違いませんか?」


花音「ん〜」


見てみるけど変な所はない


メイ「ほらここだよ」


指をさして教えてくれるけど、やはり違和感も何もない


花音「ごめん分からない」


メイ「実際に見た方が早いですね」


脚立を持ってきて天井の不自然だと言う所に触れると


そこだけが綺麗にパカッと取れて鍵穴が隠れていた


花音「へぇ〜よく分かったね」


メイ「この部屋に入った時から気にはなっていたので」


メイ「これでも盗聴器とか探すの得意なんですよ」


花音「最初から気付いていたとは・・ん?だったら鍵が見つかった時にすぐ言ってくれれば」


メイ「いくら孫であっても簡単な気持ちで見て欲しくなかったんです。なにがあるか分かりませんが、きっとそれは執事長にとって大切な物だと思いますから」


花音「・・・・・」


メイ「試すような真似をしてすみません。怖かったですよね」


花音「ううん、こちらこそ言ってくれなかったらいざって時に逃げてたかもしれない。受け入れられなかったかもしれない」


花音「ありがとう・・メイさん」


メイ「・・・抱きしめて良い?」


花音「え?」


メイ「あ、ごめんなさい。なんか凄くそうしたくなってしまって・・変ですね」


花音「ぷっはははは!」


メイ「もう笑わないでください!」


花音「ごめん。今抱きしめられると駄目になりそうだし、また今度ね」


メイ「今度もありませんから」


花音「ねぇ、全てが片付いたら一緒に遊びに行かない?」


メイ「え?私とですか?」


花音「うん、だめ?」


メイ「いえ、そうですね。その時は一緒にショッピングでも行きましょう。貴女の服は男まさりですし見てあげます」


花音「服はこれで良いけど、うん、行こうね」


メイ「はい、約束です」


それからして天井の鍵穴は持っていた鍵で開ける事が出来た


天井が開き天井裏へ入る事が出来た


ー天井裏ー


花音「結構広いね」


メイ「実はこの屋敷は天井から色んな部屋が覗けたりします」


メイ「実際に新人のメイドや執事の方が天井裏を縦横無尽に走り回っていたと聞きます」


花音「プライベートどうなんてんだ?ん?執事ってノビスケだったりとか?」


メイ「何かありましたよ」


花音「ん?行き止まりだけど」


メイ「いえ、この壁不自然ですよ。ほらよく見てください」


花音「ん〜やっぱり分からない」


メイ「よいしょ」パカッ


花音「また鍵穴が出てきた」


メイ「また鍵が必要ですね」


花音「探そう。なんとしても見つけよう」


メイ「♪〜」ガチャガチャ


花音「針金でなにしてるの?」


メイ「はい、開きましたよ」


花音「なんか有能過ぎてメイさんが怖くなってきた」


メイ「へ?」


中は棚の様になっており高そうな手帳が数冊とハガキと写真それに二つの梱包された小さな箱があった


花音「これが残された物」


メイ「仕事道具には見えませんよね?見ますか?」


花音「うん、どんな結果になっても後悔しないから」


手帳を手に取る。埃を払って文字が見えてくる


花音「この手帳は日記みたい」


メイ「このハガキは赤ちゃんが産まれた事を知らせるハガキですね。花音と書いてるので写ってる赤ちゃんは花音さんでしょう」


花音「写真は・・私とお母さんと・・この人は」


メイ「執事長ですね。凄く幸せそうに写ってます」


花音「お爺ちゃん・・初めて見た」


メイ「なにも思ってない人がこんな顔はしませんよ」


花音「この二つの箱は・・」


メイ「誰かへのプレゼントでしょうか?」


花音「誰のか分からないけど・・開けてもいいよね?」


メイ「それはあまりよろしくないと」


花音「だよね・・」


メイ「あ、勝手にだからとかではなく開けた瞬間にドカンとなる仕掛けがあるかもなので」


花音「お爺ちゃん怖すぎるよ!」


メイ「手帳の日記を読めば分かるかもしれませんよ?」


花音「なるほどそれは良い案だ」


メイ「ビッシリと書かれていますね。言っておいてなんですけど勝手に読むのに少し罪悪感がありますね」


花音「なに良い子ぶってんの?その歳でそんな事してもね・・気になるんでしょ?素直になりなって」


メイ「・・・・気にはなります。この歳でね!」イラッ


花音「なら良いでしょ?孫の私が許可する」


メイ「執事長・・すみません」


花音「手帳何冊あるんだよ・・・全部見るのは時間が足りないかもしれないし手分けして見てみよ」


メイ「良いんですか?」


花音「良いよ。ほら、手伝って」


メイ「はい」


それからお爺ちゃんの過去を色々知った


日記の大半がセリナお嬢様は可愛いなどと言う事を書いた日記ばかりで


たまに北条家関係の人達の事も書かれていた


それも、あいつはセリナお嬢様に変な目を向けたとか、あいつはセリナお嬢様に近づけんとか


そんな事ばかりだ。過保護にも程がある


そして、北条家の当主を賭けたゲームについても書かれていた


当主候補を殺せば殺した相手が当主候補になれる


それについてもお爺ちゃんは酷く怒っていた


お前達が勝手にやるならいいがセリナお嬢様を巻き込むなと


本当ならばこんな当主になれる権限など捨てたいがお嬢様がそれを嫌がった


セリナお嬢様はこの両親の残した屋敷を守りたいとそして・・・


お嬢様が決めた事なら・・・


それがたとえ望まぬ事でも


私は命に代えてもセリナお嬢様を守るそれだけだ


この文からは決意のような強さを感じた


きっと本気だ


お爺ちゃんは本気でこのセリナという人に命をかけている


花音「・・・・・・・」


メイ「大丈夫ですか?」


花音「うん、大丈夫」


あの時メイさんが言ってくれなかったら受け入れられてなかったかもしれない


花音「お爺ちゃんは立派な人だったんだね」


メイ「そうですね。立派な方でしたよ」


メイ「この手帳が最後みたいですね。恐らく北条家のゲームが本格的に動き始めていた時期だと思います」


花音「っ・・北条家って!クソね吐き気がする!」


メイ「・・・見ますか?」


花音「うん、お爺ちゃんの事知りたいから」


メイ「私もいますからね」ナデナデ


花音「ちょっと、やめてよ・・恥ずかしいじゃん」


メイ「ふふ」


そして最後の一冊を開いた


【◯月△日】


『いきなり変な奴がやって来た


そいつはお嬢様を人質にとり脅してきた


なのにお嬢様は奴を助けた


そして、お嬢様はなんと奴を雇うと言った


なにを考えているのだお嬢様は


反対だ!あんな何処の馬の骨かわからない奴絶対に認めない!


そう思っていたが、拷問を耐えきった事だけは褒めてやろう根性はあるようだ


名前をなんと言ったか?そう、ノビスケだ、ハルのお兄ちゃんだと言っていたが独自に調べてみたがそんな記録はない


だが、ハルの記録もないから嘘だとは断定出来ない


どちらにせよ二人はまだ信用出来ない


ノビスケ・・少しでも妙な真似をすればその時は・・』


花音「このノビスケって・・・」


メイ「はい、時期的に花音さんの知ってるノビスケさんで間違いありません」


花音「拷問って・・ノビスケは」


メイ「執事長の拷問は死ぬ方がマシだと思えるほどの苦痛を与えるらしいです。それを耐えきったのだからノビスケさんは凄いです」


花音「凄いとかそんな事じゃなくて!・・どうしてこんなひどい事を」


メイ「執事長をあまり責めないでください。守ろうと必死だったんです」


花音「それでも傷ついたのはノビスケなんだよ!何も悪いことなんかしてないのに!」


メイ「それでも起きてしまったんです。・・ですから私をー」


花音「代わりにメイさんを責めても仕方ないのは分かってるよ」


メイ「・・すみません」


花音「謝らないで」


メイ「・・・・・・・・」


花音「ノビスケ・・なんでそこに居ようと思ったの?」


もしかしてドMなの?


【◯月△日】


『奴が目を覚ました


あれだけの拷問をしたのにもう回復したのか


いくらなんでも早過ぎる


死なない程度にはやったつもりだがそれでも言い方を変えれば死ぬ寸前まで痛めつけた


こんなに早く回復するのはおかしい


身体はかなり頑丈のようだ。一層監視を強めねば


結局奴は雑用として雇う事になった。お嬢様の命令だ逆らう事は出来ない


お嬢様の考える事が分からない


これはお嬢様の為に言うしかないと思いその日の夜


ハルに奴の監視を任せてお嬢様、メイド長、そして自分を入れての三人で話し合った


何故かメイド長は奴を気に入っているような口振りだった


お嬢様もそうだが奴になにがあると言うのだ


何故そこまで信用出来る


思っている事を全て話すとお嬢様は対策を考えると言ってその日の話し合いは終わった


明日は仕事全般をメイド長に任せている。こっそり見張りボロが出るのを待つとするか』


花音「なにこれ?お爺ちゃんの小者臭が半端ないんだけど」


メイ「そ、そうですね・・ははは」


花音「とにかくお爺ちゃんはノビスケを嫌ってるってのは分かった」


メイ「そうでもないと思うけど」


花音「そう?もしかしてお爺ちゃんって好きな子に意地悪しちゃうタイプ?やめておいたほうがいいよ?嫌われるだけだし」


メイ「そうではないんですが・・まだページがありますし見ていたら分かるかもしれませんね」


花音「うげ・・まだあるの?これ以上見たくないかも」


メイ「気持ちは分かりますけどこれは貴女のお爺ちゃんが残した記録です。貴女しか見れる人はいないんです。辛いかもしれませんが」


花音「いやいや、そういう意味で言ったんじゃなくて、あまりにお爺ちゃんがあれだから、思ってた人と全然違うからなんか脱力しちゃってアホだな〜お爺ちゃんは」


メイ「執事としては立派でしたが・・」


【◯月△日】


『何故だ!奴から全くと言っていいほど何も感じない


お嬢様を人質に取った時のあの殺気が全く感じられない


奴は朝からハルと一緒に吊るされていた。妙な因縁はつけてきたがそれだけだ


それに隙だらけだ。何度か殺気を出して攻撃をしようとしても反応がない掃除を続けている


こちらも隙を見せても何もしてこない料理を続けてる


そしてハルの料理を食べて自滅する


あの凶器を食ったのも俺が助けるのも計算済みなのか?


ますます、怪しい・・・』


花音「この人は暇なの?仕事してる?ニート?」


メイ「遂にお爺ちゃんと言わなくなってこの人になってしまった・・」


メイ「監視と書いてありますよね?これも立派な仕事ではないですか?」


花音「そうかな?私には嫁いびりの酷い姑が必死で悪いところを探してるだけのように思えるけど」


花音「結局時間を無駄にしてるだけだと思うけど」


メイ「それも少しあるかもしれませんけど・・」


花音「少しって?」


メイ「8割くらい・・」


花音「・・・・・・」


メイ「・・・・・・」


花音「次、読もうか・・」


メイ「はい・・」


メイ(でも、なんだろう?この文面を見ると少し楽しそうな気が・・)


【◯月△日】


『昨日の夜お嬢様に起こされ三人が集まり緊急会議が始まった


勿論奴についてだ。お嬢様はなんとあんな奴の為に対策を寝ずに考えていたらしい


なんて事だ・・お嬢様が起きていたのに・・・自分は寝ていた!なんと情けない


切腹しようとして止められた


部屋が汚れると・・・


なんと!お優しい!!』


花音「マゾ?」


メイ「さ、さぁ?」


『お嬢様は明日本当に信用出来るのかテストをすると言いだした


そのテストで合格をすればみんな納得すると言った


内容は、奴を屋敷から追い出すようにしてその過程で逮捕させる


そして待機させてる警察に変装したボディガード達の車に乗せる


その時点で奴はこちらに対して憎む気持ちを持っている事が前提だ


そして、その警察に変装したボディガードが実は別の北条家の手先で高待遇を餌に仲間になるように迫る


その時奴はどうするか


簡単ではない演技がばれてしまえば逆に向こうに警戒されてしまい奴が本当に手先なら報告されてしまう


そうなればボロも出さなくなってしまう


お嬢様が必死で考えた作戦だ!必ず成功させる


作戦はあくまで慎重に焦らずやる


一応念のためにお嬢様は奴を庇う方にいくらしい


リアル感を出す為らしいが・・嘘でも奴を・・お嬢様の側にはいさせたくないが・・これで奴の正体が暴けるなら我慢しよう


演技は臨機応変にと上手くいくか・・』


メイ「一人の雑用にしては大掛かりな事をしますねセリナさんにしては珍しいかもしれません」


花音「ノビスケにはなんていうか変な魅力というかそんなのがあるから分かる人には分かるのかも」


メイ「へぇ〜花音さんもですか?」


花音「・・・知らん、それよりノビスケは結局合格したの?茶番に」


メイ「茶番って・・」


花音「茶番だよ。セリナって人がノビスケを庇う方を選んでる時点で分かるでしょ」


メイ「確かにこれではノビスケさんの恨む気持ちを出せるかと言われると微妙ですね。当主が味方なんですから」


花音「セリナはノビスケに居てほしかったからこんな茶番をしたんだよ。モテモテだね」


メイ「少し怒ってます?」


花音「怒ってない・・」


メイ「ふふ、続きがありますね」


花音「見せて」


『やられた!作戦が外部に漏れてしまったらしく本当の手先にノビスケが誘拐されてしまった


それにハルに作戦を言ってなかった事で部屋に引きこもってしまった


悪いが兄妹同士って事になっている今この作戦をハルには言えなかった


どうにかしたいが後回しだ


このままでは万が一ノビスケが仕返しに来るかもしれない


ノビスケは屋敷の中を知っている早急に見つけないと


ボディガード達も出動させての捜索が始まった


それから数時間後ノビスケは帰ってきた


挙動も何もかもが怪しい。これは確実に仕返しに来たとその時は思っていた


しかし、拳を合わせた時あの時の殺気とは違うそれをも凌駕する純水な心と情熱を感じた


ノビスケは裏切ってなどいないし信用出来る男だと


その時ハッキリと分かった


黒幕はノビスケを使いお嬢様を殺そうとした。つまり当主候補争奪戦を始めたのだ


だが、ノビスケの機転により皆怪我をした者はいたが無事だった


そして犯人が黒幕が分かった


従兄の野郎だ!お嬢様に色目を使って来た小僧だ


一応北条家の人間になるからと我慢していたが・・・


お嬢様そして大事な部下に手を出したんだ


許せるわけがない


最後はお嬢様、メイド長、ハル、ノビスケそして俺の手によって従兄は死んだ


当主候補争奪戦は勝ちで終わった


しかし、慣れている俺はいいがハルやノビスケそれにお嬢様には辛かったかもしれない


だが、これからそうなる事が多くなる


慣れてもらうしかない


その為に俺はノビスケにこれからビシバシと北条家の執事になる為の力を叩き込むと決めた


ノビスケを認めよう』


花音「ノビスケ・・人を殺して」


メイ「怖いですか彼が」


花音「怖いなんて思わないよ。ただ、辛かっただろうなって」


メイ「私も聞きましたがノビスケさんはかなりボロボロだったらしいです。精神もかなりきてる状態で寝込んでしまったと」


花音「何を考えていたのかな?誰も頼る人がいない状況で」


メイ「セリナさん達がいましたよ」


花音「どうだろ・・ノビスケの性格からしたら周りはみんな浮いて見えてたんじゃないかな」


メイ「浮いてみえる?」


花音「別に本当に浮いてるとかじゃなくて、自分以外はショーウィンドに飾られた物とか?かな」


メイ「近くにあるけど触れる事が出来ないって事ですか?」


花音「そう、ノビスケにとってセリナさん達は遠い存在で自分だけが取り残されてるそんな感じだったんじゃないかな?」


メイ「よくそこまで分かりますね」


花音「かなり勘に頼った推測だけどね」


花音「ああ見えて結構考えてるからね・・で、勝手に決めつけて飲み込んじゃう」


メイ「確かにそうですね・・」


花音「会ったの?話した?」


メイ「はい、何度かお会いする事はありました。あまり良い思い出ではありませんが」


花音「そう、どうだった?」


メイ「溜め込むタイプではあると思います。いつか爆発してしまいそうなほどに・・」


花音「だろうね・・早く帰ってこいよノビスケ・・飯の約束守れよ」


メイ「・・・・・・・」


花音「続き読もうか」


それからの日記は従兄の件以来日常が淡々と書かれていた


ボディガード達とのラジオ体操でメイド長が乱入してきて大変な事になった事


夜に度々メイド長の部屋を行き来するノビスケに対して強行手段をとったら逆にメイド長にやられた事


天井裏でノビスケと鉢合わせして気まずくなった事


結局なにをしていたか分からず


ノビスケが大変だと騒いだメイド長が救助隊を呼び出し結局なんともなくコーラを渡して帰ってもらった事


ノビスケに体術を教えようとしてギックリ腰になり笑われた事


ただ、ただ、お嬢様との距離が近いとか敬語を使え!などの愚痴が書かれていたり


楽しい日常を過ごしているのが分かる


最初の頃と違いお爺ちゃんはノビスケを認めているのが分かる


なにかと日記に書かれている


セリナの事ばかりの日記だったのがノビスケとその周りの人達の話しにばかりなっていた


本人は気付いていたのかな?


でも、便秘気味のようだとかは見てたりするのか?まさかね


認めているからこそなのかノビスケはお爺ちゃんやメイド長に何度も怒られては吊るされていたようだ


ページの端にはハルとノビスケの名前の横に数字が書かれている


花音「なんだろ?これ」


メイ「さ、さあ?」


この数字は日記を読み進めていく事で簡単に理解出来た


この数字は吊るされた回数のようでこの屋敷ではやらかした時にされるお仕置きのようなものらしい


二人の回数はかなりのものでお互い抜かしたり抜かされたりを繰り返している


花音「ねぇ、このハルって人は何者なの?ノビスケと良い勝負だね」


日記を見てると新人のメイドだというのはわかるけど


なんだろう・・・それだけじゃないというか


庇う為に妹の振りをしてくれたり


なにかお互い近い距離を感じる


このハルがノビスケに対してなにか特別な感情を持ってるのは確か


それも大きな・・・


私には分かるの・・分かってしまう


多分私と彼女では違う感情だと思う


それでも元は同じだから


知りたいこのハルって人を


花音「教えてハルさんの事を」


メイ「実は・・私は会った事があまりなくてそれにセリナさんに仕えていた期間が短かったのでよくは知りません」


花音「全く?」


メイ「そうですね・・噂も聞かなかったしセリナさんもハルについてはなにも言ってませんね」


花音「そうなんだ。なら仕方ないか」


メイ「あ、でも本当かは知りませんが二つほどハルの事で聞きました」


花音「聞かせて」


メイ「でも、事実かは分かりませんよ?」


花音「それでもいいからお願い」


メイ「はい、一つ目は彼女は狙撃を得意としてるらしく特殊部隊レベルの腕はあるとか」


花音「凄腕のスナイパーね・・軍人だったとか?」


メイ「軍人なら調べれば分かりますし、そう言った情報も全くないんですよ」


花音「全く?」


メイ「はい、生まれた日や場所に両親それに行った学校やら全てです」


メイ「まるでハルという存在がないんです」


花音「偽名とか?」


メイ「それも考えたのですが彼女はメイド養成学校を卒業した事になっていました。なのに該当する人もいません」


メイ「本来ならメイド養成学校を卒業するには本職のメイドについて勉強をして合格を貰わないといけません」


メイ「その中に私の所もありました」


花音「別の所とかは?」


メイ「全てあたりましたがそういう子はいなかったと」


花音「まさか・・」


メイ「そうです。本当なら納得などしてはいけないと思いますが、ハルもノビスケさんと同じ未来人なのかもしれません」


花音「ありえないでしょ仮にそうだとしたらなんのために」


メイ「それは分かりません本人に聞くしかありませんが彼女はノビスケさんと同じように戦争が始まる前に・・その・・消えてしまったので」


花音「結局は分からないって事か・・まぁいいや、二つ目は?」


メイ「はい、ハルが居た期間は一年とちょっとでその間に何度か病院へ行ってます」


花音「いや、行くでしょ風邪とか花粉症だとかで私もたまに行くよ?」


メイ「行ってる病院が問題なんです」


花音「なに?精神科とか?まぁ、今はそう言う病気になってしまうのも仕方ないと思うけど」


メイ「いえ、産婦人科です」


花音「おめでとうございます!」


メイ「私に言わないでください・・経験ないんだから」


花音「ごめんつい・・ないんだ」


メイ「問題ないですよね。まさか花音さんはあるんですか?もしあるなら少し話さないといけませんね」


花音「ないけど・・」  


メイ「そうなりそうな人は?」


花音「ないですよ。なんですか?」


メイ「なんか気になるんですよ。花音さんのそう言うところ」


花音「母親ですか?メイさんは」


メイ「ふふ、それもありかもですね」


花音「束縛が激しい母親は嫌だからねママ」


メイ「っ・・」


花音「メイさん?」


メイ「あ、えっと、話を戻します。ハルは産婦人科で入院をして退院もしています」


メイ「その産婦人科には記録が残っていましたので彼女は妊娠していた事は確かです」


花音「だとすると父親は誰なの?」


メイ「分かりませんがハルはほとんど屋敷から外へ出る事はありませんでした。あっても用事とかでプライベートで誰かと会う時間はなかったと思いますしそういう動きもありませんでした」


花音「詳しいんだね」


メイ「調べましたから・・こういうのは記録に残っています全て」


花音「プライベートもかよ・・趣味悪」


メイ「北条家に仕えるというのはそういうことなのです。プライベートもなにもありません。常に見られていると思わないといけません」


メイ「時期からして可能性があるのが・・・」


花音「あるのが?」


メイ「言いにくいのですがノビスケさんか執事長ぐらいかと・・」


花音「やめて!」


メイ「ですがそのくらいしか」


花音「ノビスケはそんな無責任な事は絶対しない!お爺ちゃんだって会ったことはないけど、いや、あるけど、日記を見てお爺ちゃんの事を少しは分かった・・お爺ちゃんもノビスケも絶対にしない!お爺ちゃんは多分・・」


メイ「花音さん・・・信用してるんですねノビスケさんを」


メイ「もしかして好きだったりしますか?」


花音「それはないよ。私がまだ諦めてない存在に執着してるだけでノビスケはお節介だからそれに付き合ってくれてるだけ」


花音「分かってる・・このままじゃいけないって・・だから次会う時までに終わらせるよこの気持ちを」


メイ「・・・・次見ませんか?」


花音「そうね、ハルって人がどんな人なのかはとりあえず後ね」


メイ「と言ってもあと少しですが日にちが少し空いていますね」


花音「そうだね、ん?もしかしてこれって・・」


メイ「あ・・・」


【◯月△日】


『先日ハガキが届いた


それは娘からのハガキだった。そこには可愛い赤ちゃんが写っており


その笑顔は見てるだけで癒されるほどに


そう、孫が生まれたのだ


俺は家族よりもお嬢様を選んだ。その事で娘とも喧嘩別れをしてしまい結婚式にも出席せず常にお嬢様の側にいた


これからもそうするつもりだ後悔もない


だけど・・花音か・・会いたい


そして抱きしめたい


でも、それは許されない


会わせる顔がないのもあるが今は外の人間に会ってしまえば弱みとして狙われてしまう


そうなってしまったら・・


なのにあの馬鹿は無理矢理娘の所へ連れて行きギリギリで放り投げやがった


慣れない言葉で慰めてからな


馬鹿が・・勇気を貰ってしまったじゃないか


ノビスケはまだ荒削りな所はあるし隠密行動がなってない


だけど・・・彼奴にならお嬢様を・・


花音を抱けて俺は・・思ってしまった


今まで思ったこともない


彼奴が立派な執事になった時それが俺の引退の時だ・・普通のお爺ちゃんとやらになるのも悪くないかもしれない


だが、それも無理だと言うのも分かる


彼奴もいつか歩き出してしまう・・そう、きっとそれは近い


せめてそれまでは・・・俺の部下で・・いや、もう一人の孫でありお嬢様の味方であってほしい』


花音「・・・・・・・」


メイ「・・・・・・・」


【◯月△日】


『今日はお嬢様とノビスケが遊園地へ遊びに行った。働き詰めのお嬢様に少しでも気分転換になってほしいと考えた


悔しいがノビスケになら任せても大丈夫だろうが・・


メイド長と共に変装して二人の様子を見る事にした


信用はしてるがお嬢様に欲情して襲いかからんとも限らん


チケット売り場の上にハルが狙撃体制で待機していた


ハルまで来ているとは休日を無駄にしよって


結果は上手くいったようでお嬢様も嬉しそうにしていた


あんな笑顔を見たのはいつぶりだろうか・・だが!お嬢様はやらんぞ!


だが、孫の花音ならいいかもしれない


簡単に渡す気はないがそこはこれから鍛え上げればいいし何処の誰か分からない馬の骨よりマシだ


歳の差?そんなの関係ない


うん、そうしよう!』


花音「あぁ?なに勝手に決めてんだ?このジジイは」イラッ


メイ「お、落ち着いてください。ほら、まだ続きがありますからね?」


『コーヒーカップ怖い・・


ジェットコースターはもういい・・


飲み物高くないか?


人混み疲れた・・・


何度か吐きそうになった・・こんな恐ろしい遊園地へなど二度と来ない!』


花音「愚痴ってるな無知にも程があるっての遊園地くらい知ってろよ。まったく・・・ページ的にこれで終わりなのかな」


メイ「いえ、まだありますよ見てください次のページです」


花音「ん?まだあるの?」


『でも、花音が大きくなって連れて行けというなら行ってやらん事もない


遊園地に慣れておかないとな・・今度ノビスケを連れて行くか


花音を連れて行く日が楽しみだ』


花音「お爺ちゃん・・」


『ノビスケに香水を買ってやると約束していたがいつ渡そうか・・渡すタイミングが分からない


普通に渡すのも面白くない。孫の件もあるし、今度はこっちが仕掛けてやるか。考えるのが楽しみだ』


花音「この箱は・・・」


メイ「一つはノビスケさんに渡す香水だったみたいですね。結局渡せずですが」


花音「きっと大きな事を考えていたけど出来なかったのかな・・妥協して渡すなんてお爺ちゃんしなさそうだし」


メイ「ですね。あと一つはなんでしょうか?日記には何か書いてますか?」


花音「もう日記はこれで終わり。あとは白紙で何も書いてない」


花音「もう開けるね」


中にあったのは


懐中時計だった


メイ「高そうな奴ですね。何処かで見た事がある様な?」


花音「これもノビスケにかな?」


メイ「いえ、違う様ですよ。裏を見てください」


花音「花音って彫られてる」


メイ「これは貴女の物みたいですね」


花音「はは・・当時赤ちゃんだったのに何で懐中時計?普通はぬいぐるみとかじゃないの?」


メイ「そういえば執事長も同じ懐中時計持っていましたよ。きっとずっと持ってて欲しかったんですよ。家族の証として」


花音「っ・・だとしても裏に名前掘るのもダサいし!そもそも懐中時計なんて今時持ってる同級生もいないし・・・今更家族の証って言われても・・言われても・・」


花音「ちゃんと言ってよ・・」


メイ「うん」


花音「ちゃんと来て渡してよ!そしたら・・ちゃんと持ってるから・・大事にするから!」ポロポロ


我慢していた感情が溢れた


ギリギリ我慢できていたのに最後で駄目だった


メイ「これらを見て分かりますよね。きっと執事長は貴女のお爺ちゃんは貴女の事が大好きなんですよ。ただの孫に甘いお爺ちゃんなんです」


花音「なら・・・なんでよ・・なんで!いつまで経っても渡してくれなかったの?遊園地に連れて行ってくれないの!ねぇ!どうして!」


メイ「そ、それは・・・」


花音「いつまで待てばいいの?まだ大きくならないと駄目なの?遊園地なんて子供っぽいから行きたくないってなるよ?彼氏とか出来たらお爺ちゃんとお出かけなんて嫌ってなるよ・・・」


メイ「・・・・・・・」


花音「まだ・・間に合うから・・・」


日記は涙で濡れていた


所々が滲んで読めなくなった


でも、涙は止まらない


花音「お爺ちゃん・・何処にいるの・・・会いたいよ」ポロポロ


メイ「・・・・・・」


それから少し部屋では泣き声だけが聞こえていた


それを聞いている者はメイさんだけだった


洋子「・・・・・・」吊るされ中


洋子「耳も塞げないなんて・・」


洋子「過去を知ると言うのは・・辛いわよね」


少し時間を戻して


恭介達は地下へと向かっていた


新人執事が先頭でその後ろをカイさんとユウさん最後に俺と続いている


狭い通路で一列に進む


通ろうと思えば二列でも行けるが何かあった時の為に一列にしている


牢獄のような薄暗い通路が続き階段が見える


階段は石造りでその先は古びた石のレンガで造られた壁が続いている


例えるなら西洋の古い城のようだ


長年入っていなかったのか凄く汚い


新人執事「ふぇ〜暗いよ〜怖いよ〜」


カイ「一度通ったんだろうが情けない」


ユウ「一階とは違って不気味な所だな」


カイ「多分だがここは捕虜とかを収容しておく場所だったのかもしれない」


恭介「崩れたりしませんよね?」


カイ「造りは頑丈だから大丈夫だろう多分」


恭介「多分って・・・」


階段を下りると牢屋の様な鉄格子が見えてきた


カイさんの言うことがあっていたようだ。どう見ても客間ではない


いや、ある意味では客間か


鉄格子の奥に二人の人影が見える


一人は手枷の拘束具を付けられた優香とそれを真正面から見つめて古びた剣のような物を持ってるセイナさんだった


これは・・・・


恭介「なにをしてるんですか!」


ユウ「っ!優香!」ドゴッ


カイ「ぐぁ!!」


恭介「信じていたのに・・拘束します!」ガシッ


新人執事「あわわわ!」


瞬時に敵と判断し動き出したユウさんはカイさんを殴り倒した


俺も咄嗟に新人執事を拘束する


ユウ「恭介!二人を見てろ!」ダッ


恭介「はい!動かないでくださいカイさん、新人執事さん」ガチャ


新人執事を地面に押さえた状態で拘束して銃をカイさんに突きつける


本当に敵なのか


新人執事「いててて!!」


カイ「くっ!」


恭介「撃たせないでください!」


ユウ「セイナ!」


セイナ「あ、良かった無事だったんですね」


優香「ユウさん!」ダッ


拘束具は簡単に外れユウさんの元へ向かう


ユウ「無事か!怪我はないか?何処か痛くないか?なんか食ったりしてねぇよな?」


優香「う、うん(紅茶飲んだのばれたら怒られるから黙ってよ)」


ユウ「・・・・・・」


セイナ「どうやらどうにかなったみたいね」カラン


セイナさんは剣を捨てた


恭介「あれ?」


拘束具は鍵をかけられていなかった


そしてセイナさんはあっさりと優香を逃した


優香が怯えてる様子はない


恭介「どういう事だ?」


カイ「殴られ損だ!くそ!」


新人執事「拘束を解いてください・・痛い」


カイ「銃を降ろせよ」


恭介「あ、そうですね。すみません」


銃を降ろして拘束を解こうとした時


ユウ「恭介!まだ見張ってろ!」


恭介「え?」


ユウ「悪いな・・だが信用出来ないんだよな・・お前らは」ガチャ


セイナ「・・・・・・・」


カイ「誰に銃を向けてんだ!!」ダッ


恭介「あ、」


ユウ「恭介!ちゃんと見てろ!」


恭介「で、でも!」


カイ「余所見してんじゃねぇぞ!」


ユウ「俺とあいつらどちらを信じる!信じてくれないか?」ゴスッ


カイ「ぐはっ!」


恭介「それを言われると・・分かりました。カイさんセイナさんを想うなら大人しくしてください」


カイ「くそがぁあああ!」


新人執事「お嬢様!!」


優香「ユウさん・・セイナさんは悪くないよ?」


ユウ「優香俺から離れるなよ」


優香「ユウさん聞いてよ!セイナさんはね」


ユウ「それを確かめる為なんだ黙っていてくれるな?」


優香「・・・・分かった」


ユウ「よし、いい子だ」


優香「子供扱いするな!」


ユウ「という事だセイナ大人しくしてもらおうか抵抗するなら・・」


セイナ「最初から抵抗なんてしようとは思ってません。二人を解放してもらえませんか?」


ユウ「駄目だ。こいつらは人質だ」


カイ「情けねぇ・・・」


新人執事「離せ!離せ離せ離せぇえええ!!」


セイナ「私は貴方達の味方です。信じてください」


ユウ「ダメだ信用出来ないんだよ」


セイナ「先ほどの事を言っているのでしたら勘違いです」


ユウ「勘違いだと?俺にはどう見ても優香を殺そうとしてるようにしか見えなかったが?」


セイナ「はい、そう見えるようにしたので、そうすれば最悪優香さんだけでも・・」


恭介「っ!」


ユウ「はぁ?成る程・・・」


セイナ「分かってもらえましたか」


ユウ「あぁ、てめえは!余裕を見せつける為に煽っていたんだな!よっぽどの自信家だな!」


セイナ「ヘ?いえ、違います!ですから!」


ユウ「黙れ!その余裕な口聞けなくしてやるよ!」


セイナ「っ!」


恭介「ユウさん!待ってください!」


ユウ「邪魔をするな恭介!」


恭介「セイナさんを信じられない気持ちは分かります。ですけどなにか引っかかるんです」


ユウ「どういう事だ」


恭介「それでさっきのセイナさんの話しを聞いて分かったんです」


恭介「ユウさん・・セイナさんは無実です」


ユウ「お前敵を庇うのか?あいつは!優香を手にかけようとしていたんだぞ!」


セイナ「ですからそれはー」


恭介「セイナさん貴女のやり方にも問題はあるんです。黙っていてください」


セイナ「すみません・・・」


ユウ「こいつは信用出来ない!」


恭介「ユウさん・・その気持ちも分かります。ですけど俺を信じてくれませんか?」


ユウ「・・・・・・・・・」


ユウ「言ってみろよ・・」


恭介「セイナさんはきっと万が一に備えて先程のようにして待機していたんです」


ユウ「どうしてだ!どうしてそんな事をする!」


おかしい・・ユウさんならこのくらいの事は俺が気付く前に気付く筈なのに


試してるのか?いや、でもそんな感じではない


一つ言える事はいつものユウさんではない


なにか焦っているように思える


もしかしたら知ってて尚言っているのかもしれない


さらにその先を読んでおかしな所があるとか


でも、それでも、言っていない


ユウさんは言っていない


もしかしたらそのくらい知ってる!と言われるかもしれない


それでも言おう


言葉にしなければ分からない


ユウさんも人なんだ


恭介「セイナさんは身代わりになって優香を助けようとしたんじゃないんですか?」


ユウ「あぁ?恭介・・本気で言ってんのか?」


恭介「はい」


ユウ「話しになんねえな!敵の術中にはまってんじゃねえぞ!正気か?」


恭介「正気です」


ユウ「待ってろこいつを片付けたら正気に戻してやる!」


セイナ「ユウキさん!彼は狂ってなんかいません!」


恭介「セイナさんは黙っててください!」


セイナ「え?」


恭介「今貴女が何を言っても油に火を注いでるようなものです!今は黙っててください」


セイナ「あ、はい・・(火を注ぐ?油じゃなくて?)」


恭介「ユウさん考えてみてください!何故優香の手枷が簡単に外れたんですか?」


ユウ「それは・・・うっかり?」


恭介「真面目に答えてください!なんで優香は怯えていなかったんですか?殺されようとしていたんですよ?」


ユウ「優香は・・強い子だ」


恭介「っ!なら!何故殺せる隙はいくらでもあったのに!やらなかった!」


ユウ「目の前で殺るためだ」


このアホはぁああ!!


恭介「手枷が外れた時何故切らなかった!なんでなにもせずただ見ていた!なんで剣を捨てた!!」


ユウ「それは・・・」


恭介「言ってください」


ユウ「くっ・・チョコだ!チョコの件はどうだ!こいつはどう説明する!」


乱暴に投げられたチョコはセイナさんの足元へ


セイナ「これは?」


ユウ「そいつはどう説明してくれるんだ?あぁ?」


セイナ「・・・・・・」


カイ「それはもしかして!どー」


ユウ「黙ってろ!!」ドゴッ


カイ「ぐぁあ!!」


恭介「カイさん!無抵抗の人間に何してる!」


セイナ「やめなさい!今は私と話してるのでしょ!殴るなら私にしなさい!」


ユウ「なら余計な事喋らすなよ!」


セイナ「はい、カイ、新人執事、喋らないでください命令です」


カイ「ですが!」


セイナ「命令です!」


カイ「はい・・・」


新人執事「・・・・・」


セイナ「これでいいですね」


ユウ「あぁ・・」


セイナ「これは屋敷にあったチョコですね」


ユウ「美味かったぞ。だからお前にも分けてやろうと思ってな」


セイナ「それは嬉しいですけど・・うちにはたくさんあるので」


ユウ「まどろっこしい事はやめようや・・それ食えよ」


恭介「ユウさん!!」


ユウ「・・・・・食えよ。そしたら信用してやる」


優香「ダメだよ・・嘘は」


セイナ「本当ですか?」


恭介「もう我慢できない!セイナさんそれには毒が入ってます!食べないでください」


セイナ「・・・・・・」


恭介「セイナさん?」


セイナ「本当に食べれば信用してくれるんですね・・ここにいるカイ達を信用してくれるんですね」


カイ「っ・・・・」


ユウ「あぁ・・信用する」


セイナ「分かりました」


ユウ「本気か?」


セイナ「本気ですよ」


ユウ「そうか、なぁ」


セイナ「はい、なんでしょうか」


ユウ「信じるってさ、やはりお互いが信じる事で本物だと思うんだ。俺を信じてくれるか?」


ユウ「信じて死んでくれよ」


セイナ「はい」


カイ「くっ!」


ユウ「よし、ならさっさと食え後は任せろ。俺達が犯人を必ず見つける」


恭介「見損ないました・・・」


ユウ「・・・・・・」


包み紙が開けられ


セイナ「・・・・ふふ」


ユウ「何がおかしい」


セイナ「器用なんですね」


ユウ「さっさと食えよ」


セイナ「そうですね・・ですが悲しいですね・・」


ユウ「悪いな・・ごり押しはしたくないんだ。悲しむ奴がいるんでな」チラッ


優香「ん?」


セイナ「・・・・・・」


チョコが口へと運ばれる


セイナ「あの・・・・」


ユウ「あん?なんだやめとくか?」


セイナ「いえ、ノビスケさんに会ったら謝っておいてもらえますか?すみません力になれず貴方を困らせてしまい、そしてお帰りなさいって」


ユウ「・・・・・あぁ、伝えておく」


セイナ「あと・・・」


ユウ「なんだ」


セイナ「・・・いえ、なんでもありません」


ユウ「そんなに強く握りしめると溶けるぞ?」


優香「ほっ・・・・」


セイナ「あ、そうですね。私ったら・・ふふふ、では、頂きます」


セイナ「うん、やはり美味しいですね。もっとないですか?」


ユウ「ねぇよ。それより即効性だぞ?それ」


セイナ「あ、あ〜〜」バタッ


セイナさんは躊躇いもなくチョコを口へ運んだ


そして倒れた


恭介、カイ「「っ!」」


ユウさんならと考えたのに!なのに!


とにかく吐き出させないと!


ユウ「恭介見張ってろよ!」


恭介「何を言ってんだ!!」ダッ


カイ「お嬢様!!」ダッ


新人執事「お嬢様!」ダッ


ユウ「ふむ・・・・・」


恭介「吐き出してください!早く!胃を洗浄しなきゃ!」


カイ「解毒薬だ!新人執事!前に用意しておいた解毒薬を持って来い!」


新人執事「は、はい!」ダッ


恭介「セイナさん!しっかりしてください!セイナさん!」


セイナ「」


カイ「くそっ!こんな事になるなら無理矢理でも!」


優香「なんでみんな悲しんでるの?」


恭介「それは・・・・」


優香には言えないユウさんの持っていたチョコには毒があって


それでセイナさんは・・・


カイ「お嬢様・・すみません・・」


優香「ユウさんなんでみんな悲しんでるの?」


ユウ「さぁな、何処か痛いんじゃないか?」


冷めた言い方だった


まるでセイナさんが死んだ事など気づいてもいないかのように


カイ「ユウ・・・てめえ!!許さねえぞ!!」


ユウ「なにを怒ってる」


カイ「殺してやる!!」ダッ


ユウ「まぁ、いいだろう。もういいぞ」


恭介「・・・止めなきゃ」


ツンツン


恭介「ん?」


セイナ「ばぁ!」


恭介「っ!」


カイ「なっ!」


ユウ「お疲れさんよ色々悪かったな」


セイナ「いえいえ、どうでしたか?私の演技」


ユウ「俳優になれるぜ」


セイナ「あら、口の上手いこと」


セイナ「それで・・・」


ユウ「今いない奴だ。恐らく何かしらアクションを起こすだろう」


セイナ「そうですか・・・」


ユウ「信じられないか?」


セイナ「・・・・・・・」


ユウ「だろうな、なら見てろよ」


カイ「な、なにがどうなってんだ」


恭介「説明してください!」


ユウ「分ってるさその前に」


新人執事「薬を持ってきました・・っ!!」


セイナ「新人執事・・・・」


ユウ「あ、悪りい生き帰ったから要らねえは自分に使って良いぞ?」


新人執事「え?い、いえ・・そういうわけには」


優香「ねぇ・・・・その注射はなに?」


新人執事「え?解毒薬だよ?もう必要ないみたいだけど」


優香「ううん、中身の事だよ?それなに?」


新人執事「だから解毒薬だって」


優香「ん?人の話しは聞こうよ。それなに?」


新人執事「き、君こそ話しは聞こうよ。解毒薬だって言ってるだろ」


優香「もう一度言うね?そ、れ、な、に、?」


新人執事「だから!!」


ユウ「優香はな、そういうのには敏感なんだよ」


ユウ「俺やカイを騙せても無理だぜ?無臭だろうが気付くぞ?」


新人執事「な、なにを言って!」


カイ「おい説明しろよ」


恭介「完全に蚊帳の外だ・・・」


ユウ「あれは解毒薬じゃねえ!そうだろ優香」


優香「うん!嫌な感じが凄くする」


優香「ねぇ、それは持っていていいものじゃないよ?」


ユウ「それ入ってるんだろ?俺が車の中で見つけたチョコに入っていたのよく調べたら睡眠薬だった」


ユウ「強力な奴でな。それこそ死ぬかもしれない程に」


ユウ「念には念を入れたのか?その注射で」


カイ「なんだと・・・」


恭介「え!」


ユウ「間に合わなかったと嘘もつけるよな?」


新人執事「言い掛かりだ!これは毒じゃない!お嬢様こいつは裏本家の人間だ!きっとお嬢様の命を!」


セイナ「裏本家ってなんですか」


新人執事「っ!」


ユウ「裏本家なんて初めて聞くな」


カイ「なんでそんなのがあるって知ってんだよ」


恭介「裏本家・・・」


ユウ「とし、なんとかの爺さんが動いてるのは知ってるがそんな組織は知らんぞ?」


ユウ「それに、俺も優香もなにかとは聞いたりしたが毒とは言ってないぞ?」


新人執事「・・・・・ちっ」


セイナ「新人執事・・信じていたのに嘘ですよね?」


ユウ「おい・・面倒な事を言うな」


新人執事「信じていた?はっ!なにがだ!偽善者が!」


ユウ「あ、こいつ馬鹿だ。自白しやがった」


新人執事「そうだよ!俺は裏本家からの命令でお前を監視して必要なくなれば殺すように命じられてたんだよ!」


セイナ「そんな・・・・」


カイ「ふざけやがって!!」


新人執事「黙れよ!いつまでも無能の側にいやがってよ!ああ!可哀想に〜」


カイ「・・・・聞きたいことがたくさんあるからな!とにかく大人しくしてもらうぞ!」


新人執事「おおー!怖!」


ユウ「余裕だな男二人に一人で勝てると思うか?」


恭介「あ、俺戦力外ですか・・」


ユウ「恭介!二人を守ってろ!」


恭介「はい!セイナさん優香こっちへ」


新人執事「ふふふ、いいぜ?かかってー!にげろぉおおお!!」ダッ


カイ「あ、逃げた!」ダッ


ユウ「ちっ!上には花音達がいる!急げ!」ダッ


恭介「俺たちも行きましょう!」


セイナ「はい」


優香「うん」


地下から一階の玄関ホールへ向かった


途中で悲鳴が聞こえたがユウさんじゃないよな


と心配していたがそれは必要なかったようだ


ユウさん達が捕まえる前に既に新人執事は捕まっていた


ユウ「ははは」


カイ「まじかよ・・」


恭介「俺が一番足手まといじゃね?」


セイナ「凄い・・・」


カラン・・コロコロ


優香「・・ん?」


優香「これって・・やっぱり毒」注射器


優香「うっ・・」ズキッ


ノビスケ『食べ物が怖いんだよ!毒が入ってるかもって思ったら身体が拒絶するんだ』


優香「っ!何?私の知らない・・記憶?凄く辛そう・・」


優香「でも・・これがノビスケくんを苦しめているなら・・そんな人がいるなら」


花音「キャラ変わりすぎだろ。なに?イメチェン?それでもいきなり死ねとかはないよね?」


メイ「ババアって言った・・・ババアって言った!!」


洋子「ババアでしょ?間違ってないわよ」


メイ「っ・・洋子さんも殴られたい?」


洋子「無抵抗の人間を殴る趣味があるならどうぞ」


メイ「やな女」


洋子「貴女もね」


新人執事「こ、こいつら女じゃねえ」ボロボロ


花音「まだ足りないみたいだな」


メイ「ですね。もう一発いっとく?」


花音「賛成ーー!」


ユウ「まぁ待て俺に話しをさせてくれ」


新人執事「お前らはもう終わりだ!だが、今見逃せば命だけは助けてやる!」


ガシッ


新人執事「っ!」


ユウ「調子に乗るなよ?あ?もし、セイナがあの時チョコを食べなかったら俺はお前を殺してた」


ユウ「お前が気づく前にな・・」ギロッ


新人執事「っ!」ビクッ


ユウ「セイナが無能って言ったよな?そんな無能に助けられたお前は何なんだろうな?おい・・・」


新人執事「くっ・・・・・」


優香「っ!」ダッ


ユウ「それと俺にもだな感謝しろよ・・優香!」ガシッ


優香「いっ・・」注射器


新人執事「ひぃ!こいつ俺を刺そうと!」


ユウ「悪い強く掴み過ぎたな。だが、今しようとした事は駄目だ。お前にとって一番許せないのは分かる。だけど、こんなクズの為に手を汚す事は無い。もし、そんな時が来たら俺がやるからお前は綺麗なままでいてくれ俺の為にもノビスケの為にもな?良いな?」


優香「っ・・うん・・ごめんなさい」


ユウ「良い子だ。この注射は俺が預かる」


優香「・・・捨ててね」


ユウ「あぁ、当たり前だ」


新人執事「くそ・・くそ・・」


恭介「・・・・縛りましょう」


洋子「良い考えがあるわ私と交代して吊るしましょ」吊るされ中


セイナ「もう一つあるから大丈夫ですよ」


洋子「・・・セイナ」


セイナ「お久しぶりですね。洋子さんでいいんですよね?」


洋子「これが貴女のやり方の結果よ多くの犠牲者を出した」


セイナ「そうですね・・それでも後悔はしていられないのです洋子さんのように過去にすがって生きるのは見苦しいですよ」


セイナ「それにそうやって他人として生きるのはさぞ楽でしょうね」


洋子「・・・・・・・」


花音「・・他人な」


ユウ「ほ〜ら高い高い〜」吊るし中


新人執事「や、やめろ!高い所はダメなんだ!せめて低い所に」吊るされ中


優香「一番高くして」


ユウ「よし!任せろ」


新人執事「ひぃいいい!」


セイナ「さて、話を始めましょうかお互い知ってる事を全部」


ユウ「そうだな」


カイ「俺とメイは外を見張ってよう」


メイ「あいつババアって!」


カイ「もういいだろ行くぞ」


メイ「ババアって・・・・」


ユウ「おいおい、主人を一人にしていいのか?」


カイ「愚問だろ?頼んだぞ」


ユウ「信用してくれるのはいいが少しばかりな・・・」


セイナ「カイは用心深い人です。そのカイが大丈夫と思ってるならいいんですよ。私も貴方達の事は信用していますから」


洋子「確かに彼らは信用出来るし力もある。貴女は信用は出来ても力はないわね」


セイナ「・・・・そうですね本当に信用もされなくなった貴女とは大違い」


洋子、セイナ「「・・・・・・」」


洋子「ブス」


セイナ「ブサイク」


洋子、セイナ「「あぁ?」」


恭介「あ、あの、お二人さん?喧嘩はそのくらいにしてね?話し合いましょう」


セイナ「そうですね年増さんの相手は疲れます」


洋子「あらあら、もう疲れたの?お年を召されてるのかな?」


セイナ「ちょっと降りてきなさいよ」ピョンピョン


洋子「残念!降りれません〜ほら、ここよ触ってみなさいよ」


恭介「ど、どうしよう・・」オドオド


ユウ「とりあえず罰として優香お前帰ったら当分お菓子禁止な」


優香「そんな・・・」ガーン


恭介「助けてくださいよ!」


花音「はぁ・・・どっちもババアだろ」


洋子、セイナ「「っ!」」ガーーーン


セイナ「分かってたんですよ・・・」


洋子「それでもまだ・・・」


優香「ねえ!お願いなんでもするから!」


ユウ「ほう・・・じゃあ未来永劫お菓子禁止な」


優香「いやぁあああ!」


花音「ひゃははははは!」


恭介「うん、静かにはなったけど・・話し合い出来ないじゃないですか!!」


なんか心なしか花音さんが元気になっているような


そんな気がした


その後一時間経った後に話しは始まった


ーーーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーー

ーーーー


ーノビスケ編ー


時代(不明)


ペンダントを使い時代を移動した


何時の時代かはよく分からないがドラえもんの本来いる時代らしい


今からドラえもんの修理の仕上げをするようだ


そして僕は有無を言わさず部屋へ閉じ込められた


そして数日が経った


裏ノビスケ「だしてくれよ!なぁ!」ドンドン


ドアは開かないようにされている


僕はあいつの様に逃げたりしない!本物以上のノビスケなのに!


どうして!


ー少し前ー


まだ、ペンダントを使って時代を移動する前


裏ノビスケ「ぼ、僕はノビスケだ!信じてくれ!」


まみ「そう言うのはもう必要ないんでさっさとお兄ちゃんを返して」


裏ノビスケ「だから!僕だって!」


メイド「貴方は何者なんですか」


裏ノビスケ「ノビスケだ!当たり前の事を聞くなよ!」


アヤカ「ねぇ、さっきの事は冗談なんだよね?」


裏ノビスケ「本気に決まってるだろ!」


アヤカ「そう・・・・・」


三人とも更に僕を疑いの眼差しで見てくる


沈黙が続く


まみ「なら、聞きます・・これはお兄ちゃんしか知らない事です」


裏ノビスケ「あ、あぁ、それなら大丈夫だ!言ってくれ」


最近の事なら


僕が自我を持ち始めた頃なら


まみ「私は嫌いな人がいます・・誰ですか」


裏ノビスケ「え?」


僕が知る限りでは、まみは嫌っている人なんて・・いない


いや、一人くらいはいてもおかしくない


でも、僕はそれをまみから聞いていない


まさか、自我を持ち始める前の事なのか


だけど、まみ達と暮らし始めて少し経ってからだから


聞き逃しはないはずだ


あいつの記憶を探せば


駄目だ・・表に出てしまった僕はもう記憶を覗き見る事は出来ない


裏ノビスケ「えっと・・・」


まみ「どうしたの?お兄ちゃんなら言えるはずです」


メイド「まみちゃんの嫌いな人・・誰でしょうか?」


アヤカ「ノビスケくんしか知らないのよね?」


まみ「そうです」


駄目だ。全然分からない


僕はあいつのように逃げずにいた!


全ての言葉を受け入れ真剣に聞いてた!


いつか、表になれる事を夢見て


だけど、知らない・・・・・


考えろ・・・考えるんだ


もしかしたら別の意図があるのかもしれない


裏ノビスケ「・・・・・・・」


もしかして試してるのか?


そうだよ!それだ!


答えはいないなんだ!危うく偽物だと思われてしまうところだった


まみ「どうです?分かりました?」


裏ノビスケ「いないだろ?」


まみ「・・・・・・・・」


メイド「そう来ましたか」


アヤカ「え?なに?どういう事?」


メイド「試していたんですよ。まみちゃんはこれで名前を言っていたら間違えー」


まみ「違います。ちゃんといます。分からないならやっぱりお兄ちゃんじゃない」


裏ノビスケ「っ!」


メイド「だと言うつもりでもなかったんですよ私は最初から知ってました」


アヤカ「??」


裏ノビスケ「嘘だ!いないんだろ?分かってんだよ?な?知ってんだぞ?僕はまみのお兄ちゃんだー」


まみ「お兄ちゃんじゃありません!誰なんですか!」


なんで!なんで!信じてくれない!どうして!!


邪魔をする!


裏ノビスケ「まみ!!」


縛られているが立ち上がりまみへと走りだす


怒りのあまり自分でも止められなかった


メイド「ノビスケ・・・いえ!偽物!」ドゴッ


裏ノビスケ「ぐぉ・・・・・うぅ」


アヤカ「・・・・・・・・」


メイド「ノビスケはどんな事があっても家族に手を出す事なんてしません。貴方は誰なんですか?ノビスケは何処にやったんですか?」


まみ「返して・・返してよ!お兄ちゃんを返して!」


裏ノビスケ「うぅ・・・僕がノビスケだって・・・・・アヤカ・・助けて」


アヤカ「みんな、少しくらいちゃんと話しを聞いてみるのも・・・」


裏ノビスケ「アヤカ・・・・」


メイド「いえ、これ以上は時間の無駄です。とりあえず彼は時間移動をしたのち私が聞き出します。ノビスケの身体を痛めつけるのは嫌ですが・・拷問は得意です」


アヤカ「拷問って!やめて!そんな事させないから!」


まみ「拷問ってなんですか?」


メイド「ちょっとお話しするだけだからね」


まみ「それでお兄ちゃんは帰ってきますか?」


メイド「分からないけど方法はそれくらいしかありません」


まみ「なら・・・メイドさんに任せます」


裏ノビスケ「どうして・・・」


アヤカ「二人ともいい加減にして!こんなの・・ノビスケくんが可愛そうよ!」


メイド「では、このままで良いと言うんですか?」


アヤカ「それは・・・・・・」


アヤカは信じてくれる。そう思っていた


でも、悩んでいる。すぐに応えられない


それ信じてくれていないのと同じだった


裏ノビスケ「はは・・・・・」


結局誰も信じてくれなかった


アヤカもメイド達に色々言われ何も言えず


みんなから見放された


ー今ー


裏ノビスケ「はぁ・・・・」


こんな筈じゃなかった


僕が求めた世界とは違う・・違いすぎる


手を伸ばせば届きそうだったあの光景が今手に入ろうとしていたのに


出てきてみたらそんなのはなかった


僕は何の為に生まれてきたのかな?


思えば生まれた時は自我なんてものはなかったと思う


気付けばノビスケの中にいた


いつ頃生まれたかも分からない


でも、僕はずっとあいつの負を受け続けていた


苦しかった・・逃げたくても逃げられない


そう思い始めた時だったのだろう


自我を持ち始めたのは


いや、その時に負の感情から生まれてしまったんだ


僕が


僕は苦しさに耐えながら何時もあいつの見る世界を見ていた


充実した毎日とは言えなかったけど楽しそうだった


でも、不思議と外へ出たいとは思わなかった


その頃には負の感情を受けるのが当たり前だと思っていた


それ以外を考える余裕がなかったとも言える


でも、ある感情をしってしまった


恋をする気持ちだ


最初は少しだった負の感情から温かい何かを感じた


最初こそ気にしなかったけど次第にそれは強くなり


気が付けばそれの虜になっていた


あいつは恋する気持ちも負として捨てていたのだ


次第にあいつ以上にあいつの関わる子達に興味を持ち始めた


辛い中でこの温かい気持ちをドキドキするけど不思議と嫌じゃない


身体があるのかは分からないけど身体が熱くなるのが分かる


気持ち良い


もっと感じたい


僕をこの気持ちにさせる人達に会いたい


そう思うとあいつが憎くなってきた


彼女達の好意を捨てているからだ


僕ならみんな受け入れてやれるのに


こいつは最低な奴だ


その時からだ


こいつと入れ替わりたい外へ出たいと思ったのは


そしてそれは成功した


でも、ドキドキもしないし温かくもない


下手をすれば負を受け続けていた時より苦しい


僕はなにをしてるのだろうか・・・・


僕の求めていた温もりはドキドキなんて何処にもないじゃないか


近くにあったようで本当は遠くで見えない程向こうにあって


僕には行く事が出来ない


それを今気付いてしまった


もし、まだ裏の存在で気付けたなら表になりたいなんて思わなかった


僕は自分に都合の良いところしか見てなかった


悪い事から目を背けて・・これじゃあ


あいつと同じだ


あいつも苦しかったのか・・・


僕は馬鹿だ・・


裏ノビスケ「本当に僕は馬鹿野郎だ・・・」ポロポロ


苦しい・・こんなの耐えられない


裏ノビスケ「うぁあああ!!」ガンガン


壁に頭を打ち付ける


しかし、それでもまだ苦しい


もっと強く打ち付ければ楽になれるかな


ガチャ


アヤカ「何やってるの!」


裏ノビスケ「うぁあああ!!」ガンガン


アヤカ「やめて!ノビスケくん!」


裏ノビスケ「離してくれ!僕は!僕は!」


アヤカ「だめ!絶対に離さない!ノビスケくんは自分が何をしようとしてるか分かってるの!」


裏ノビスケ「僕は馬鹿だ!何も分かってなかった!分かろうとしなかった!苦しい!苦しいよ!」


アヤカ「ノビスケくん・・・・」


裏ノビスケ「僕は・・ノビスケなんかじゃないんだ・・偽者なんだよ・・もうほっておいてくれ・・」


アヤカ「・・・・・・・・」


アヤカ「ねぇ・・・逃げない?」


裏ノビスケ「・・・・え?」


アヤカ「私はノビスケくんは本物だと思う・・あの時は迷ってごめんね。もう迷わないから」


アヤカ「あんな酷い人たちなんて置いて逃げよ?二人で」


そう言ってペンダントを渡される時間移動の出来るペンダントだ


ただし場所は移動出来ない


裏ノビスケ「本気なのかい?」


ダキッ


裏ノビスケ「っ!」


アヤカ「もう大丈夫だから・・ね?」


裏ノビスケ「アヤカ・・アヤカ!」ギュッ


僕はもうハーレムなんて要らない裕福な生活も何もかも要らない


ただ、アヤカと共に居られればそれで良い


裏ノビスケ「行こう・・アヤカ!」


アヤカ「うん、ノビスケくん」


ペンダントが光る


何処の時代に行くかは分からない


それでも怖くない


アヤカ「ごめんね・・ノビスケくん」ボソッ


二人は光に包まれて消えた


その場に残るのは


心配そうにその様子を見ていたメイド達だった


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーーー

ーーーー


ー少し前ー


アヤカ「やっぱり私はノビスケだと思う!」


メイド「ですが、彼は前のノビスケと違い過ぎます」


まみ「そうなのです!あれはお兄ちゃんじゃ!」


まゆ「ねぇ、本当にノビスケじゃないのかな?」


ミニドラ「ほぅ?何か引っ掛かるのか」


まみ「お姉ちゃん!」


まゆ「ごめん、なんとなくの気持ちなんだけど」


スネ樹「そう言われると全てを否定して良いのか分からなくなります」


アヤカ「ねぇ、みんなはさ、ノビスケくんに期待し過ぎているんじゃないの?」


スネ樹「それはど言う意味で」


まみ「っ・・・・・」


まゆ「まみ、落ち着いて」


アヤカ「ノビスケくんも一人の人間なんだよ!そういう気持ちを持つ事もあるし、間違った事をしてしまう事もあるんだよ!」


アヤカ「人一倍責任感の強いノビスケくんなら出さない様に無意識にでも押さえ込んでいたかもしれない!」


アヤカ「そしてそれを爆発させてしまったのは私」


メイド「確信しているんですか?」


アヤカ「はい、私は彼に告白しました」


まみ、まゆ、メイド、スネ樹「「「っ!」」」


ミニドラ「ふっ、時代が違うのに馬鹿なことしたな」


アヤカ「分かってます。だから私に責任をとらせてください」


ミニドラ「責任?てめぇに何が出来るんだ?」


アヤカ「ノビスケくんがノビスケくんだと、今度は我慢じゃなくて彼自身が彼を受け入れられるように」


ミニドラ「だから、お前に何が出来る!」 


アヤカ「なんとかします!」


ミニドラ「だから!」


ドラえもん「おい」


ミニドラ「ど、ドラの兄貴」


ドラえもん「お前の目を見て分かる。その気持ちが本当だとな」


ドラえもん「簡単ではないぞ」


アヤカ「覚悟してます」


メイド「アヤカさんどうしてそこまで」


アヤカ「今でも好きですからノビスケさんが」

 

まみ、まゆ「「っ!」」


まみ「もしかして信じてあげられなかったのかな?」


スネ樹「これは何も言えませんね」


ドラえもん「ミニドラお前のポケットを」


ミニドラ「分かりました。アヤカこれを受け取れ」


アヤカ「これは・・」


ミニドラ「俺のポケットだ。小さいが機能は変わらない。使いこなしてみせろ。使い方はもうお前に教える必要はないよな?」


アヤカ「ありがとうございます。ミニドラさん、ドラえもんさん」


ドラえもん「一年だそれだけの時間でやってみろ。ミニドラタイムベルトの設定を」


ミニドラ「へい」


アヤカ「あ、最終日は私とノビスケくんとの冒険が始まったあの豪華客船の日にしてください」


ミニドラ「良いのか?最終日がそれで」


アヤカ「はい、私は本来の道を辿らないといけないから」


ミニドラ「分かった。設定する」


ドラえもん「アヤカ、ノビスケを頼んだ」


アヤカ「はい、でも、私がするのはちょっと背を押すだけです」


ドラえもん「それが一番難しいぞ?」


アヤカ「経験済みですか」


ドラえもん「のび太には世話をかけられた。それでもあいつは少し背を押せば簡単に予想を超えた」


ドラえもん「だが、そう言う奴は押し過ぎても押さな過ぎてもダメになる普通より難しいぞ」


アヤカ「分かってますよ。少なくともノビスケくんの事なら」


ドラえもん「ふ、そこまで分かってるなら、アヤカもそれを目の当たりにするかもな」


アヤカ「楽しみです」


ドラえもん「ありがとう」


アヤカ「こちらこそありがとう」


ーーーーーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーー

ーーーーー


ーアヤカとノビスケが旅立った後ー


メイド「これで良かったのでしょうか・・」


まゆ「・・・・・・」


まみ「・・・・・・」


スネ樹「信じましょうアヤカさんをノビスケさんを」


ミニドラ「あと、セリナって奴もだろ?」


ドラえもん「あいつがノビスケなら出来る筈だ。それより俺達は俺達で動くぞ!ミニドラ達急ピッチで修理を開始しろ!顔しか動かんぞ!」車椅子


ミニドラ達「「「イエッサー!」」」


メイド「・・・ノビスケ」


無事に帰ってきてください


ノビスケさん


続く


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