2016-03-14 15:48:57 更新

概要

前作で敵の主力部隊を破った提督と駆逐艦達!今度は熱海に出張!?温泉旅行じゃないんやで!?予定ではシリアスなこともやる予定です!


前書き

SS二作目。というか一作目の続き。前作を読んでない方は下のリンクからどうぞ!前回かなり不穏な雰囲気がありましたが当分無視します。ほのぼのしたい!それでは第二章『米帝編』スタート!!


このSSは続き物です。前作『てーとくちく!』をご覧になってから読むことをお勧めします。


一作目『てーとくちく!』こちら







番外編 ドキッ!駆逐艦だらけの温泉スペシャル!ポロリはないよ


提督「リフォーム!?」


明石「ええ!」


時は巻き戻ってフラヲ達との戦いから一週間後。全員の傷も治り、一時の平和を味わっていたある日、


明石「この鎮守府はこれからも活躍するだろうから設備の質を向上させる必要がある。しかし現状、深海棲艦に襲撃されたら即吹き飛ぶくらいボロい。なので全面的にリフォームしてしまえ、と元帥が。」


提督「なるほど、あの元帥が…いやな予感するな…」


時雨「でも、設備が整うならいいんじゃないかな。」


本日の秘書艦は時雨。


提督「そうなんだよなぁ…全体的に旧式なんだよな…ちなみに工事ってどのくらいかかるんですか?」


明石「高速建造剤も使うので二週間くらいで済むと思います。」


時雨「その間、私達は他の場所に行かないといけないんですか?」


明石「いえ、普通に生活出来ますよ。」


時雨「良かった…」


提督「それでは工事、お願いしていいですか?」


明石「りょーかいしました!」




トントン拍子で進んだときはうまくいかない。


暁「りふぉーむ?」


夕立「するっぽい?」


提督「そう。設備が古いし、全体的にボロいらリフォームしてもらうことになった。」


雷「…確かにここ、全体的に古いわよね。ここの給湯器もチッチッチッチッ、ボッ!のタイプだし。」


本日の会議in執務室withお昼ご飯。本日のメニューは雷お母さんのカニクリームコロッケ。


時雨「もうだいぶ少ないよね。その給湯器。」


提督「この前ここでトレーニングしてたら床抜けたしな。」


夕立「ところで工事は勝手にやってくれるっぽい?」


提督「ああ、金もあっち持ちだ。」


夕立「良かったっぽい。DIYとか言いそうで怖かったっぽい。」


提督「それほどの技術はない…」


雷「ご飯できたわよ~!」


暁「はーい!」


夕立「ぽーい!」


時雨「みんな手洗ってからね。」


提督家の食卓。今日も平和でございます。





提督「それじゃあ皆さんよろしくお願いします。」


明石「了解しました!」


夕張「了解です!」


建造妖精「!」ピシッ!


特注家具職人「!!」ピシッ!


提督「それではちょっと遠征して来ますんで」


一同『行ってきまーす!』





明石「それじゃあ作業始めましょうか!」


夕張「はーい。」


明石「妖精さん、クレーン持ってきて!」


ウィィィィィィン


建造妖精「な、ブレーキが利かない!?」


明石「ええっ!?」


建造妖精「逃げろお嬢ちゃん!!」



ドンガラガッシャーーーーン!!





ここは執務室…だった場所。古びたフローリング…は跡形もなくなり、窓など原型をとどめていない。デスクは大きめの瓦礫、椅子は小さめの瓦礫。明らかに鎮守府に見えないが門には確かに鎮守府と書いてある。そんな鎮守府の主である提督は瓦礫の前で俯いていた。


提督「どうしてこうなった…」



提督「なんでスタートより酷くなってるのかな!?」


明石「申し訳ございません。」


提督「リフォームのはずが跡形もなく崩れてるんですけど!?」


明石「返す言葉もございません…」


~提督自己喪失中~


提督「…まあ過ぎたことを言っても仕方ありません。怪我はありませんか?」


明石「え、ええ。あの、私達洒落にならないレベルの失敗したんですけど…その、もっと怒らないんですか?」


提督「はい。そんなに怒ったところで鎮守府が直るわけじゃ無いですし。あ、もちろん怒ってますよ?でも、大切な物は無事でしたし。」


提督は手に持ったアルバムとコルクボードを見せた。


明石「…」


時雨「まあ、そこが提督が提督たらしめる由縁だよね。」


提督「ところでこの鎮守府を建て直すならどの位の時間がかかるんですか?」


夕張「ええ、と…高速建造剤使いまくって1ヶ月くらいですかね…」


明石「…それまでに私達クビからの解体エンドですけど…」ズーン


提督「…うーん。」


プルルルルルルル


暁「司令官!元帥から電話!」


提督「お、おう。ありがと。」ナデナデ


暁「ちょっと!?撫でないで!」


提督「はい、お電話替わりました。絶賛軟禁中の提督です。」


元帥「恨まれてるな。」


提督「恨まないわけがない。それで何の用ですか?」


元帥「ああ、こちらの不手際で君の鎮守府が全壊したって聞いてな。ご愁傷様だ。」


提督「嫌みなら切るぞ。」


元帥「ああ、敬語が消えた…。そうではない。1ヶ月失業するんだろう。仕事先を提供しようと思ってな。」


提督「…何か裏しか見えないんだが。」


元帥「裏などない。ただ場所が特殊なだけだ。」


提督「場所が特殊?」


元帥「ああ、かなり特殊なところだ。」


提督「…太平洋のど真ん中でサバイバルとかないよな?」


元帥「もっと普通だ。」


元帥「君には熱海鎮守府に行ってもらう。」


提督「あたみぃ!?聞いたことないんだが!?」


元帥「だから特殊と言っただろう。」


提督「あそこ温泉街だろ?」


元帥「ああ、温泉旅館を改装して鎮守府にした。」


提督「なんで!?」


元帥「敵に基地だとばれないように偽装してあるんだ。今も表向きには温泉旅館として営業している。」


提督「なぜそこに俺達を?」


元帥「最近、熱海鎮守府が敵の偵察部隊に見破られたという情報が入った。元々熱海鎮守府は入渠の研究を目的に作られた場所だ。戦闘目的でないのであまり戦力がない。よって君達を派遣したい。君たちは見た目はただの駆逐艦と人間だから警戒されにくいのだ。」


提督「言っておくが、俺達はもう何の準備もなく主力部隊と戦いたくないぞ。」


元帥「安心しろ。もう君達を死地に送る気はない。」


提督「…もう?」


元帥「言葉のあやだ。突っかかるな。」


提督(むむう……あ、そうだ。)


提督「…その任務に手当てはつくか?」


元帥「ああ、もちろんだ。三食つきで手当てもつく。最高の環境だと思うが?」


提督「手当てはいらない。そのかわり、今回の工事に関わった面子の身柄を預からせろ。」


元帥「どういうことだ?」


提督「うちの工廠には妖精が少ない。技術もない。技術が欲しい。」


元帥「…まあいいだろう。それではよろしく頼むぞ。」


提督(これで明石たちがクビからの解体エンドもなくなっただろう。)





提督「これでクビはなくなったぞ?」


明石「本当ですか!?」


夕張「……はっ!まさかそう言って私たちにやらしいことする気でしょう!?同人誌みたいに!」


提督「えっ!?」


時雨「!?」


夕立「提督っ!?」


暁「どーじんし?」


雷「やだ司令官!そんなに困ってるなら私がいるじゃない!」


提督「お前ら勘違いするな!そんな気ないから!そして雷!お前やめろ!」


提督「とーにーかーくー!変なことしないから!そのかわり工廠で働いて!?それだけでいいから!」


夕張「ほんとにそれでいいの?」


提督「うん。ちゃんと働けよ?」マッスグナマナザシ


夕張「は、はい!!」





提督「というわけで作戦会議!」


ちゃぶ台会議in野外


提督「熱海と言うのはいわゆる温泉街。この鎮守府建て直す間に俺たちはここに派遣される。」


暁「しれーかん!バナナはおやつに入りますか?」


提督「入らない!夕張に渡してこい!」


時雨「…同人誌みたいなことさせないで。」


提督「というわけで旅行の準備!必要な物は支給されるらしい。が、持って行きたい私物もあるだろうし各自荷造り!解散!」


ちなみに艦娘の寮は無事だった。



妖精「支給品だよ~。」


提督「お、割とちゃんとしたスーツケース。」


妖精「着替えとかは熱海が用意してくれるらしいからね。その中に艤装を入れて持ち運んで。」


提督「え、マジで…」


妖精「安心して。艤装は展開するまでそんなに重くない。」


提督「なにその謎技術。」


妖精「日本の変態技術は伝統。」


提督「まあ熱海なら新幹線だろ。ゆっくりしていけるかな…」


妖精「……これが切符な。」


提督「ああ、サンキュー。」


妖精「ほなさいならー!!」


提督「ああ、さいな……待て!!お前!!」




提督「なんで青春18キップなんだよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」


説明しよう!青春18キップとは、安い値段でJR乗り放題という金をかけない貧乏旅行をする人たちの切り札である!しかし乗り換えが多く、面倒。乗り換えまでの時間がギリギリだったりもする。体力と判断力、一流の18キッパーになるにはこの2つが必要となってくるのだ!ちなみに18歳以下じゃなくても買えるぞ。




JRどっかの駅


提督「あのクソ元帥…新幹線くらい用意しろよ…歩く軍事機密四人いるんだぞ…。」


提督は今日は制服ではなく動きやすい服装だった。オールユニクロ。


時雨「まあまあ。そう怒らないで…皆楽しそうだよ。」


艦娘達も今日は普通の服。


暁「旅行!旅行!」


ちなみに暁には提督と時雨、夕立、雷(つまり全員)によってネコミミフードのかわいいパーカーを着せられている。


夕立「ぽいっ!ぽいっ!」


雷「こんな所で暴れないで!人様の迷惑になるでしょ!」


提督「まあな…」


提督「よーし皆!はぐれないようについてこいよ!前の人のリュック掴んですすめ!」


四人『はーい!』


提督「いくぞー!」






JR熱海駅


提督「…疲れた…。」


そこには疲れて眠ってしまった夕立を背負い、暁を抱っこしている提督の姿があった。


提督「なぜ外見年齢中学生の娘をだっこひもで背負わねばならんのだ…」


時雨「提督、僕も流石にこれは堪える…」


雷「…沈む…私、陸で沈む…」



それもそのはずである。乗り換えに次ぐ乗り換え、休めない状況、


電車が脱線したのを無理やり戻したり、未曽有のバイオテロを未然に防いだり、過去最大の世界戦争を食い止めたり、恐怖の大王の降臨を力ずくで止めたり、地球が崩壊するレベルの隕石を宇宙空間で破壊したり、


すればこれだけ疲れるだろう。


提督「……早いとこ目的地行って休ませてもらおう…」


暁「すぅ…すぅ…」


夕立「んん…もう食べられないっぽい~ニヘヘ」


時雨「………」


雷「……」


ボロ雑巾御一行、熱海に無事到着。




『熱海温泉 旅館橘』


提督「ついたぞ…起きろ。」ペチペチ


暁「う、ううん…」


夕立「ぽ、い…」


時雨「提督、本当にここ、鎮守府?…旅館にしか見えないんだけど…」


雷「老舗感すごいわね…」


提督「合ってる…はず。」


四人『ゴクリ…』


提督「とりあえず、入ろうか…」


四人『…コクリ』




ガララララ

提督「ごめんください。」



??「いらっしゃいませ。ようこそ旅館橘へ。」


30歳後半から40歳前半といったくらいの美人な女将さんが迎えてくれた。


提督「え、あ、お……あ、XXXXX鎮守府から来た…」


提督(未だかつて無い高級感!?)


??「ああ!あなたが噂の『駆逐提督』さんですね。」


提督「くちくていとく?」


女将「あら?ご存知ありませんの?あなたは最近そう呼ばれてるのですよ?」


提督「俺が?」


女将「ええ。過去に鉄パイプで深海棲艦に立ち向かい、つい最近、駆逐艦だけで敵主力部隊を撃破したと聞いております。」


提督「あ、ああ。…それで駆逐提督。」


女将「それに、提督同士で呼び合う場合は○○提督と、あだ名で呼び合うしきたりですよ?」


提督「え、そうなんですか?」


女将「屋号みたいなものですね。」


提督「はぁ…」


女将「というわけで改めてご挨拶させていただきます。熱海特務鎮守府司令、女将提督でございます。1ヶ月間よろしくお願い致します。」


提督「え、女将さん提督だったんですか!?」


女将提督「ええ。よく驚かれます。まだまだ女性提督は少ないので…。それではまずはお部屋にご案内いたします。」


翔鶴「お荷物お持ち致します。」


提督「あ、どうも。」


翔鶴「旅館橘若女将、そして熱海特務鎮守府旗艦、翔鶴です。皆様、よろしくお願い致します。」


全員『よ、よろしく…』


多摩「こちらのお荷物もお預かりするにゃ。」


多摩「多摩にゃ、よろしくにゃ。」


全員『よろしく…』


提督「あの、女将提督さん…俺たち、その…客じゃないんでそんなに丁重にもてなさなくても…」


女将提督「いえいえ、あなた様方は私達の鎮守府を助けて下さる立派なお客様です。しっかりとおもてなしをしなくては。」


提督「いえいえ、そんな。」


女将提督「それに、折角熱海にいらっしゃったのに仕事ばかりではつまらないでしょう。シフト外の暇な時間なら観光をする許可も頂いておりますしね。」


提督「観光していいんですか!?」


女将提督「ええ。」


提督「ありがとうございます!!」


女将提督「いえいえ。」





女将提督「こちらでございます。」


提督「おお…」


暁「広…」


時雨「畳のいい匂いがするね。」


夕立「高そうな部屋っぽい。」


雷「掃除のしがいがありそうね!」


提督「いきなり掃除する気か…」


女将提督「それでは後ほど、鎮守府の仲間の紹介、決まり事、警備シフトの説明、作戦の会議などを行いますので一時間後受付までいらっしゃって下さい。」


提督「り、了解です。」


女将提督「それではごゆるりと…」


全員『…………………』


暁「提督っ!テーブルの上のお菓子食べていいっ!?」


提督「食えっ!食うんだっ!!」


夕立「司令官!このテレビCSが見れるっぽい!!」


提督「見ろ!見尽くせ!!ただし、エロいチャンネルは見るな!」


雷「司令官!畳に寝そべりたい!」


提督「思う存分寝そべれ!俺も寝そべる!!」

ズサーーーー!


時雨「はしゃぎすぎっ!!」


疲れなど吹き飛ぶ。それが旅行というもの。




一時間後、一旦冷静になった提督たち。


提督「とりあえず受付いこう。」


暁「うん……はしゃぎすぎたね。」


雷「障子破りそうになったときは肝が冷えたわよ…」


夕立「司令官温泉饅頭買いたい!」


提督「後でな。」


時雨「…すごく自然に受け入れてるけど君達は提督と同じ部屋ということに抵抗は無いのかい…?」


夕立「一応襖で分かれてるっぽい。」


暁「というか私達結構執務室で一緒に寝たりしてるわよ?」


フラヲ決戦の日の夜とか他いろいろ執務室でみんなで寝てたりする。


時雨「夕立なんて一回提督襲ってるしね…」ボソッ


夕立「しっーーー!!」


雷「…?」




憲兵「…はっ!今どこかで危険な会話がっ!」




提督「すいませーん。」


多摩「にゃ、駆逐提督さんにゃ。」


提督「女将提督さんに呼ばれたのですが…」


多摩「タメ口でいいにゃ。さあこっちに入るにゃ。」


受付の内側に手招きされる。


提督「え、あ、うん。」


受付の内側に入ると奥に廊下があった。


多摩「突き当たりを右に曲がると階段があるから降るにゃ。私も受付交代したらいくにゃ。」


提督「わかった。」


暁「ありがとー!」ロリスマイル!


雷「ありがとっ!」元気っ子スマイル!


多摩「にゃ!どういたしましてだにゃ。」


ズキューーーーン!!


提督「…」カシャ!カシャ!カシャ!カシャ!


時雨「カメラしまって。早くいくよ。」


提督「了解。」



ゴゴゴゴゴゴゴゴ


地下室への階段だった。間違いなく地下室への階段だった。


提督「地下室に憧れる。地下室への階段に憧れる。このなかでこの気持ちが解る者。」


四人『………』シーン


提督「…降りようか…」


同意を得られなかった提督、ちょっと悲しい。




柔らかそうな椅子。マッサージ機、自動販売機、卓球台。


提督「さっきの地下室感何だよ!!」





女将提督「お待ちしておりました。」


そこには既に女将提督とその艦娘が数人いた。


提督「あ、はい。ここは一体…?」


女将提督「会議室です。どうぞお座り下さい。」


とりあえずソファーに腰掛ける。


女将提督「それでは紹介いたします。」


女将提督「旗艦は先ほど紹介しましたね。」


翔鶴「よろしくお願いします。」


若葉「若葉だ。よろしくな。」


女将提督「若葉はうちの従業員も兼ねています。まだまだ新人ですが…」


初霜「初霜です!皆様、よろしくお願いします!」


暁&雷「………」ジー


若葉&初霜「………」ジー


提督(似てる…)


ガシッ!


提督(力強い握手!!)


夕立(なにかが通じ合ったっぽい!)


女将提督「今手が空いているのはここにいる人達です。鎮守府としての仕事や会議は全てここで行います。ここの存在は機密ですからね。」


提督「了解です。」


暁「ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛」


夕立「ぽぽぽぽぽぽ」


提督「…君達なにやってるの?」


雷「マッサージ機ぃぃぃぃ」


時雨「…………んんっ!」


提督「…いいけど。」


女将提督「それではこの鎮守府での基本的な決まりを説明します。」


~女将提督説明中~


提督(あんまりうちと変わらないな…強いて言うなら旅館内では大きな声で作戦の話とかしないことかな。)


提督「全員了解?」


暁「わかった!」


時雨「了解。」


夕立「ぽいっ!」


雷「りょーかい。」


女将提督「それではここでの制服をお渡しします。」


提督「せいふく?」


女将提督「ええ。ここで軍服でいる訳にも行かないでしょう。」


提督「お、おお。」


提督「浴衣と、半纏?」


夕立「浴衣っぽい!」


雷「かわいいわね!」


暁「レディーにぴったりね!」


時雨「暁はサイズ的にこっちの小さい方だよ。」


暁「…」シュン


全員(かわいい…)


提督「これは…?」


女将提督「郷に入っては郷に従え、です。」


~一同着替え中(提督は追放)~


提督「…」パシャッ!パシャッ!パシャッ!


時雨「いきなりだね!」


提督「お前らが可愛すぎるのが悪いっ!!」カシャカシャカシャ!!


暁「いきなり可愛いってそんな…///」


夕立「そういうことを普通に言えちゃうのが提督っぽい。」


雷「私、暁見てると愛くるしくて姉萌えに目覚めそうだわ…」


提督「これが暁の萌え力だ。気を抜くと一気にもってかれるぞ!」


時雨「何をもってかれるんだい?」


提督「…恋心?」


時雨(なるほど、ロリコンの気あり…か。)


夕立(これなら駆逐艦の私達でも狙えるっぽい?)


雷(暁を甘やかす司令官を甘やかしたい…)


暁(ドキドキドキドキ)





多摩「…面倒くさそうな奴らだにゃ…」


提督「??」


時雨「ところで提督の格好は?」


提督「ああ、似合ってるか?」


暁「うん!」


提督「そりゃ良かった。」


女将提督「こちらに半纏も用意してありますからね?こちらです。」


提督「どうも。」


女将提督「じゃあ残りの仲間も紹介しましょうか。それでは上に行きましょう。」




旅館橘厨房


女将提督「こちらが板前の二人です。」


天龍「オラオラオラ!」トントントントントントントントン!!


龍田「ふふふ。切り刻まれる気持ちはどうかしら?」ズバババ!ジューーーウ!


提督「……本当に板前さんですか…。」


女将提督「少なくとも料理の腕は保証します。」


四人「………」


天龍「どうした?怖くては声も出ねぇか?」


暁「…綺麗…。」


天龍「へ?」


暁「すごーい!人参が綺麗な星形だ!盛り付けもすごい!」


雷「やり方教えて!!」


天龍「お、おう…。調子狂うな…」



時雨「これ、龍田揚げ?」


龍田「そうよ~。龍田揚げは…」


夕立「在りし日の龍田で生まれたっぽい!」


時雨「当時貴重だった小麦粉の代わりに片栗粉を使ったんだよね。」


龍田「え、ええ。」


夕立「おいしそうなっぽい!」




女将提督「馴染むのは早そうですね…」


提督「人の心を掌握するのが得意なので、この子たち。」



天龍「見てろよ?俺様の包丁さばき!!」

ズバババババババ!


暁「は、速い!!」


雷「速すぎて視認出来ないわ!」



龍田「このときはこのくらいの分量で…」


時雨「ふむふむ。」


夕立「なるほどっぽい。」


女将提督「…なるほど。すぐに仲良くなりましたね。」


提督「これも、この子たちの強さですよ。」





女将提督「さて最後の艦娘ですが、今お座敷に上がっているので見ていきましょうか。」


提督「お座敷…」




女将提督「ここです。一般のお客様もいらっしゃるのでお静かに。」


提督「暁、夕立、気をつけろ。」


暁&夕立『なんで私!?(っぽい!?)』



 滑らかな音と声が流れてくる。三味線だろうか。その三味線の音に合わせて舞っている女性がいる。


暁「…綺麗…あれこそレディーだわ。」


時雨「本当にすごいね。僕は日舞とか全くわからないけど、それでも美しさが伝わってくる。」


提督「確かに…なんかわからんけど凄いことは分かる。」


女将提督「あの子がこの鎮守府の最後のメンバー。那珂です。」



ナカチャンダヨー、ナカチャンダヨー、ナカチャンダヨー、ナカチャンダヨー、ナカチャンダヨー、ナカチャンダヨー。



全員『嘘だっ!』


女将提督「嘘じゃないです。正真正銘、那珂です。」


提督「でも他の鎮守府の那珂って、なんというか…もっと『キャハッ☆』みたいなキャラですよね!?」


暁「那珂ちゃんはアイドルみたいな歌は歌うし、踊るけどあんな踊りはしない!」


 実は海軍の広報誌に那珂ちゃんがちょくちょくアイドルとして出てたりする。


女将提督「最初はあの子もアイドルみたいな感じだったんですよ。」


提督「ですよね。」


女将提督「ここに入った直後はあの子もアイドルみたいな子だったんですが、ここで日本舞踊を見て憧れたようで、それで練習を重ねて今では熱海のアイドルですよ。」


提督「結果的にアイドルになる那珂ちゃんすげぇな。」


 どうやら旅行者がわざわざ見に来るくらい有名らしい。結構な人数が座敷で那珂ちゃんの演舞に魅入っている。


暁「…」ポケー


時雨「…」


夕立「…」


雷「…」


提督「見事に引き込まれてるな。」


~演目終了後~


女将提督「那珂、XXXXX鎮守府の皆様です。」


那珂「あら、川内型三番艦の那珂です。まだまだ弱輩ですがご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いします。」シズシズ


提督「よ、よろしく。」


提督(これは那珂ちゃんじゃない。那珂ちゃんのような何かだ…)


暁「あなたっ!凄いわっ!」


那珂「えっ!?」


 暁が目をキラキラさせながら那珂に詰め寄る。


暁「踊り、態度、歌声、全てがまさに、レディーね!」


那珂「あ、ありがとう。」


暁「私にもレディーになる秘訣教えて!」


那珂「え、えー。那珂ちゃん、そんなに言われるほどレディーじゃないと思うけどなぁ…」




提督「…暁がしばらく那珂を拘束します。すみません。」


女将提督「いいんですよ。あの子、今日はこれ以降お座敷に出ませんから。」


提督「良かったです。」




女将提督「これでここの艦娘は全て紹介しました。」


提督「なるほど、わかりました。」


時雨「提督、暁はいいのかい?」


提督「気が済んだら戻ってくるだろ。」


 暁は那珂にべったりである。


女将提督「それでは今日はお部屋でお休み下さい。長旅で疲れたでしょう。夕食は部屋にお運びします。」


提督「どうも。」


女将提督「それでは、あ。」


提督「どうしたんですか?」


女将提督「…あなた、どうしたの?珍しいわね、奥から出てくるなんて。」


そこには50歳後半位の男がいた。


??「…なんとなくだ。」


提督「あの、彼は?」


女将提督「ああ、旦那です。」


提督「旦那さんですか!」


旦那「……」


提督「XXXXX鎮守府から応援に来ました。よろしくお願いします!」


旦那「…ああ。」


旦那さんは去ってしまった。


女将提督「すみません、無愛想なもんで。」


提督「いえいえ。」


女将提督「それでは、お部屋はこちらです。お夕食は七時にお運びしますので。」


提督「了解です。」





提督「…」モグモグモグモグモグ


暁「…」モグモグモグモグモグ


時雨「…」モグモグモグモグモグ


夕立「…」モグモグモグモグモグ


雷「…」モグモグモグモグモグ


 黙々と普段食べられない懐石料理を頂く5人。会話している場合ではない。


提督「米がうまいっ!」


暁「…」(ハンバーグたべたい。)


時雨「…」(これは…飾り、それとも食べれるの?…苦っ!)


夕立「…」(お品書きの料理名が読めない…ぽい。)


雷「…」(これ、どうやって作るのかしら…)


 考えていることは違ったが。





~皆様お待ちかね、お風呂のシーンがやってまいりました。前回は不自然な湯気に阻まれて上手く描写出来ませんでしたが、今回はなんと露天風呂!不自然な湯気も野外ならば発生しないでしょう!ああ、なんという好条件!全国の紳士の皆様、さあ、刮目してご覧下さい!~



暁「わぁ!」


夕立「広いっぽい!」


 暁と夕立は露天風呂の広さに驚き、はしゃぐ。


翔鶴「あまり暴れると転んでしまいますよ?」


 今日は警備中の艦娘以外は、熱海の皆さんも一緒に風呂にはいります。


初霜「皆様、身体をしっかり流してから湯船に入って下さいね。」


天龍「お前らまだまだお子様だな!」


暁「お子様言うな!!」


夕立「ぽいぽい!」プクー


天龍の、実は豊満な~不自然に積み上げられた桶~を揺らしながら言った。


時雨「…軽巡と駆逐なら差は少ないはずなのに…」


 時雨は自分のまだまだ発展途上の~手に持った桶~を見てため息をつく。


翔鶴「…?雷さんどうしました?」


雷「…これが胸囲の格差社会ね。」


翔鶴「え!?」


 翔鶴は、普段はよくわからないが実はなかなかのモノを持っている。先ほどから歩く度に翔鶴の~不自然に積み上げられた桶~が揺れる。


夕立「揉むと大きくなるとか聞いたことあるっぽい。」


暁「…」モミモミ


雷「逆に脂肪が燃焼されて萎むらしいわよ。」


暁「うひゃあ!」


多摩「…無駄な抵抗はよすにゃ。ただ、自分の可能性に期待するにゃ。」


雷「多摩さん…」


多摩「健康的に生活していれば道は開けるにゃ。」


 多摩が~不自然に積み上げられた桶~を見せつける。


暁「…反応しにくい…」


夕立「可もなく不可もなく…ぽい。」


多摩「にゃ!」グサッ


天龍「多摩、まあそう落ち込むな…」


バイーンバイーン


多摩「…お前はそれを言っちゃいけないにゃ!!」ドーン


天龍「おわっ!」バシャーン


多摩が天龍を突き飛ばす!


天龍「おまえっ!コノヤロっ!」バシャーンバシャーン


天龍がお湯をかける!ボイーン


暁「…っ!多摩さんの仇!!」バシャーン


天龍「な、暁!お前もか!!」バシャーンボイーン!


暁「ううっ!」精神的に大破!


雷「あかつきぃぃぃぃ!!」


翔鶴「どうかしましたか!?」

バイーン!


雷「ぐふぅぅぅ!」


夕立「雷まで!くっ、こうなったら総力戦っぽい!初霜っ!」


初霜「私は気にしてませんよ!?」


夕立「時雨っ!」


時雨「…ふはぁ…いい湯だな。」


夕立「こ、この状況でくつろいでる!?」


多摩「シャァァァァ!!」


暁「多摩さんが野生化した!?」


天龍「おらおらおらおら!!」バシャバシャ


夕立「ぽいぽいぽいぽい!!」バシャバシャ


初霜「収束、出来そうにない!」


~不自然に積み上げられた桶~を揺らしながら戦いは激化していく。


ガラララ


那珂「…皆、なにしてるの…」




かぽーーーん

一旦皆さん落ち着いて、ゆっくりと入浴中。


一同『ふへぇ…』


夕立「気持ちいいっぽい…」


時雨「はぁ……極楽…」


雷「時雨、おじさんくさいわよ?」


時雨「おじっ……なんか気持ちいいからいいや。」


暁「お肌もツヤツヤするわね。」


確かに皆、お肌がツヤツヤ、というよりキラキラしている。


翔鶴「すごいでしょう。ここの温泉はお肌にいいだけでなく、この湯で入渠すると入渠時間がなんと二分の一!」


時雨「!?」


翔鶴「しかもキラキラ状態になる!」


時雨「それってかなりすごくないかい!?」


翔鶴「ええ、大発見ですよ!」


暁「じゃあこのお湯を他の鎮守府に持って行けば!」


天龍「そうは問屋が卸さないんだな、これが。この温泉の効果は熱海でしか機能しないんだよ。まだ理由は分かってないが、磁場とかの環境が関わってるとか言われてる。」


雷「残念ね…」


翔鶴「元々、この鎮守府は熱海温泉の機能を研究するために造られた鎮守府なんですよ。」


時雨「へぇ。」


初霜「まあ、熱海以外ではあまり有効じゃなかったので、それからは戦力も少なくされちゃったんですけどね。」


那珂「それでも温泉の効果で十分戦えるんだけどね!」


暁「そういえば、司令官がここが深海棲艦の偵察機に見つかったって言ってたけど、なんで?こんなに偽装は完璧なのに。」


夕立「確かに。どう見てもただの温泉旅館っぽい。第一、どこから出撃してるっぽい?」


翔鶴「普段は鎮守府を離れた港から出撃しています。しかし、その日は若葉が大破しまして、急いでいたので直接鎮守府に帰ってしまったのです。その時、偵察機に見られまして…。浅はかでした。」


暁「なるほど…」


翔鶴「すぐに潰したので伝わっていない可能性もあるのですが…」


天龍「たぶん伝わっただろうな。」


翔鶴「女将の推測では1ヶ月の間に攻撃がくるそうです。」


時雨「それで僕たちが呼ばれたんだね。」


翔鶴「駆逐艦なのに敵空母部隊を倒せるあなた達は戦力になりますし、それだけの力を持っているとは見た目ではわかりませんからうってつけだったのです。」


夕立「なるほどっぽい。」






暁「…んくっ…んくっ……プハー!やっぱりお風呂上がりはコーヒー牛乳よね!」


時雨「同感だよ。」コクコク


夕立「プハー!もう一杯!」


雷「こんな旅館にもあるのね、コーヒー牛乳。」


翔鶴「女将さんが無類のコーヒー牛乳好きで。」


 俺は温泉の前の休憩室で暁達と会った。ちなみにそのとき、手に持っていたフルーツ牛乳と女湯に忍び込んでいた記録妖精(気絶中)を袂に隠したのは秘密だ。やはり風呂上がりはフルーツ牛乳であると信じてやまない俺である。


暁「あ、司令官!司令官もお風呂上がりはコーヒー牛乳よね!」


提督「ああ、そうだな!」


嘘をつきました。話を合わせたい、ただそれだけのために嘘をつきました。


暁「♪~」


提督(それにしても、お風呂上がりの女の子は親でも惚れると言うが、これはヤバい。可愛すぎる。ここにいる人皆かわいいのだが、中でも暁と時雨。濡れた髪が綺麗すぎる。って待て待て待て待て!俺はロリコンじゃない!違う違う。


 いいか、よく考えろ…。ロリコンというのは幼い子供を相手にエロいことをしたい変態の話だ…。ただ子供を可愛いと思うのは子供好きというだけでロリコンではない。もう一度考えてみよう。例えば暁だ。はっきり言って可愛い。頭ナデナデしたい。そう、それだけだ。キスとかいらない。ただ愛でたい。愛でたい。抱き締めたい。まて、抱き締めるのはロリコンか?しかしアメリカではハグは普通に挨拶だ…。いやだかしかし!!だがしかし!それを言ってしまえば………)


暁「司令官…大丈夫?」


提督「…………」プシュー


時雨「ていっ!」


提督「はっ!」


時雨はどこからか出したハリセンで提督を叩いた。


時雨「大丈夫?」


提督「ああ、ありがとう。時雨がいなければ俺はメビウスの輪の向こう側に行ってしまって帰ってこれなかったかも。」


時雨「よくわからないけど、中二病…?」


提督「うぐっ!!」


 提督は自身も忘れかけていた中二病の過去を思い出した。提督、精神的に大破。


提督「……。」


暁「司令官が白くなってる!」


夕立「いきなり気絶したっぽい!」


雷「ここは私が人工呼吸…」


時雨「させないよ!?」


夕立「じゃあ私が」スッ


時雨「じゃあ僕が」スッ


雷「ならやっぱり私が」スッ


暁「わ、私が///」スッ


……………………………………………………………………………


暁「誰も譲らないの!?」



初霜「…なんというか。」


天龍「まあ、退屈はしなそうな鎮守府だな。」


那珂「那珂ちゃん、ちょっと入りたくないかも…」


提督「…なにしてるの?」


四人『誰のせい!?(よ!?)(っぽい!?)』


提督「え、俺のせい!?」




夜、部屋にて


暁「し、司令官…なにをする気…」


提督「おいおい、一つの部屋に俺とお前たち、ヤることはわかってるだろ?。」


夕立「そんな、心の準備が…」


提督「おいおい、なに言ってるんだ、誘ってきたのはそっちだろう?あんなことされたら俺もこうならざるを得ないだろ?」


雷「だからって…そんな…四人全員と…なんて…」


提督「俺の中ではこういうモノは大人数でしたほうが面白いんだがな」ニヤリ


時雨「…わかった…やるなら僕からにして。」


提督「ほう…大した勇気だな?だが、少し声が震えているぞ?」


時雨「う…」


提督「まあいい。望み通りお前からにしてやろう!!」


雷「待って!…こうなった責任は私にもある…提督が望むなら…私からにして。」


提督「自分から捧げるとは…いいだろう。まずはお前からだ!!」


雷「い…やめ…て…」


提督「もう遅いっ!!」


雷「きゃぁぁぁ!!」





提督「よっしゃ、UNO!」


暁「え、また!?」


提督「そしてあがりっ!」


時雨「強すぎるよ!」


ただのUNOである。え?どしたの?ただ楽しくUNOしてただけだよ?


夕立「大体、雷が司令官に勝負を仕掛けるから!」


雷「私だってこんなに司令官が強いとはおもわなかったわ!だからせめて順番的に司令官から攻撃されやすい司令官の次の順番を選んだのよ!」


暁「というかUNOに強いか弱いかなんてあるの!?」


夕立「でも五連勝っぽい!」


雷「なら、次はトランプでっ!」


提督「はいはい、明日は訓練もあるでしょ?トランプは明日の夜相手するから今日は寝なさい。」


夕立「ちぇ~。勝ち逃げっぽい。」


提督「明日やろうな?はい、電気消すよ?」


四人『はーい。』




提督「…一応、ここが境界線な。俺はここからそっちには行かないから。」


暁「なんで?」


提督「憲兵が来るから。この状況ですらギリギリなんだぞ!?俺と部屋同じって。」


雷「別に私の布団に入ってもいいのよ?」


提督「そういうこと言ったら…」


憲兵「呼んだか?」


提督「憲兵が来……って、ええええええ!?」




憲兵「ああ、久し振りの休暇とって、旅行してたら隣の部屋からヤるだのなんだの聞こえたから、覗きにきた。」


提督「なにもしねぇよ!あとお前今さらっと覗きに来たって言ったな?連行じゃなくて!?」


憲兵「…な、何のことやら。」


提督「憲兵さんコイツです!」


憲兵「俺が憲兵だ。」


提督「大本営に連絡だな。」


憲兵「やめろぃ!」


提督「てめぇまちやがれ!」


暁「…あの人は?」


提督「…気にするな。今日は寝よう。」


暁「…おやすみなさい。」


提督「ああ、みんなもおやすみ。」


時雨「おやすみ。」


夕立「Zzz」


雷「おやすみなさーい!」


提督(何だったんだあいつ…まあいいや。)


提督「おやすみ。」ボソッ




マルヨンマルマル


提督はなぜかかなり早い時間に目が覚めた。そして気づく。


提督(…なんで…。なんで俺の布団にコイツらが入ってるんだ。)


提督の布団に四人が入り込んで寝ている。しっかり浴衣を着ているので間違いは起こしていない。間違いは起こしていない。


暁「すぅ…すぅ……しれーかん…」


時雨「…んん。」


夕立「…間宮羊羹…食べたい…」


雷「…そうよ…もっと…もっと私に頼っていいのよ…?」


提督「…まあ、いいか。」


起床のマルロクマルマルまではまだ二時間くらいある。その間はこのまどろみのなかで温もりを楽し…


憲兵「………」ジィー


提督「……なにをしている?見ての通りなにもしていないけど?」


憲兵「いや、別に。ただマルマルイチマルくらいから、貴様が間違いを起こすところを観察しようと…ゲフンゲフン。間違いを起こさないよう監視しようとな。別に私は幼女を性的な目で見ていないぞ?」


提督「…」


変態憲兵「…」


提督「…艤装展開。」


変態憲兵「え、ちょ、待て、」


提督「『太刀風』!!」


憲兵「それは流石にマズイだろ!?ってうわっ!完全に殺る気で来やがった!?」


提督「うるせぇ!悪の芽は早めに摘み取る!!」


提督はぬくもりを楽しむことなく二時間ほど悪を滅するために戦った。



マルロクマルマル


暁「しれーかんおはよ~…ってどうしたの!?汗びっしょり!!」


時雨「ランニングでもして来た?」


提督「いや、ちょっとゴミ掃除をな!」


 窓の外で木に吊されている変態憲兵に、四人は気づかない。


提督「そんなことより、今日は演習だぞ!」


雷「そうね!私達の力、見せてあげるわ!」


 今日は昼から提督達と熱海特務鎮守府の演習がある。しかしこちらは人数が少ないので四対四で戦うことになる。他鎮守府との演習で提督が戦う訳にもいかないのだ。


提督「流石に俺が出るのは反則だよなぁ…」


ハヴォック「なら我が出ればいいのではないか?」


提督「お前は仮にも神様だ…えぇぇぇぇぇ!?ハヴォック!?」


ハヴォック「我が実体化して、ある程度力を抜いて戦えば公平だろう?」


提督「いや、相手混乱するから!昨日までいなかった奴いきなり出てきたらビビるから!というかお前よく出てこられたな?」


ハヴォック「なんというか、さっきの戦闘で貴様の能力が成長したらしく、普通に実体化するだけなら出来るようになった。戦闘するなら時間に限りはあるがな。」


提督「そりゃ良かった…」


提督(さっきの戦闘って…あの変態憲兵とのことだろうな…)



暁「し、ししししれいかん!?」


時雨「今…何にもないところから女の子がっ!」


夕立&雷「…」プルプルプルプルプルプル


提督「あー、説明めんどくさそうだな…」


ハヴォック「?」


~提督説明中~


提督「というわけでこいつに助けてもらったというわけだ!」


時雨「へぇ~。」


夕立「ほんとに神様?」プニプニ


ハヴォック「ほっぺたをプニプニするな!」


雷「よろしくね!ハヴォックさん!」


暁「それと…ありがとうね?私達を助けてくれて……お礼はちゃんと言えるし!」


ハヴォック「ああ、もちろんだ我が妹たちよ!」


提督(ところで、ハヴォック。)


ハヴォック(どうした?)


提督(心配かけたくないから言わなかったけど、俺が力貰うときに代償がうんたらかんたらって言ってたよな?あれ、なに?)


提督は時系列的にまだ代償が何かを知らない。


ハヴォック(あー……まだ知らなくていいんじゃないかな?)


提督(え、ちょっとお前それはない…)


ハヴォック「あー力が弱まってきたから少しの間戻らないとな~(棒)」


提督「え、待て待て。」


ハヴォック「じぁあの!」


ポンッ!


提督「…消えた。」


暁「よくわからない人だね…」


提督「同感だ…。」


提督「まあいいや!朝ご飯食べたら演習の用意!全員着替えろ!」


四人『はーい!』


~このまま、提督を交えた着がえシーン…には入りません。ご了承下さい。


提督「皆!準備はいいか!?」


暁「もちろんよ!」


時雨「何時でもいける。」


夕立「ぽいっ!」


雷「雷、司令官のために出撃しちゃうね!」


提督「よし!行くぞ!」


四人「おー!」




女将提督「来ましたね。」


提督「お待たせしてすいません。」


女将提督「それでは始めましょうか。」


提督「はいっ!」



間宮「これよりXXXXX鎮守府と熱海特務鎮守府の合同演習を始めます!審判は旅館橘、板前、補給艦間宮と妖精さんが勤めます!」


妖精さん2人「ファイトだよー。」


提督「間宮さん、いたんだ…。」


女将提督「昨日は別の鎮守府に出張していたんで。」


間宮「お互い弾はペイント弾を使用。魚雷、近接武器も同じ物とします!」


提督「近接武器?」


天龍「俺の武器のことだな。」ブン!


提督「なるほど。」


間宮「ペイント弾の塗料の面積によって小破、中破、大破、轟沈を判定します。また、砲にペイント弾が当たった場合、その砲は使用できません。今回の演習は四対四の演習とします。よろしいですか?」


提督「了解!」


女将提督「了解です。」


間宮「それでは両軍、前へ」


駆逐提督側

旗艦 時雨

   暁

   夕立

   雷


女将提督側

旗艦 天龍

   那珂

   若葉

   初霜


提督「翔鶴さんは出ないんですか?」


女将提督「今回は航空戦なしで行きましょう。条件を平等に。ですが、あまり舐めない方がいいですよ?」


提督「それはお互い様ですよ?駆逐艦といえ、手を抜いたら負けますよ?」


バチバチバチバチ!


間宮「気をつけ!」


全員『っ!』ビシィ!


間宮「礼っ!」


全員『よろしくお願いします!』


時雨「総員第一戦闘配備!」


天龍「天龍水雷戦隊、戦闘用意!」


暁「暁の出番ね!見てなさい!」


初霜「気を引き締めて、頑張ります!」


……………


間宮「…始めぇっ!!」バァン!


時雨「戦闘開始!行くよ!」


天龍「戦闘開始!いくぜ!」




時雨「砲雷撃戦用意、撃てっ!」


ドォンドドン!!


天龍「若葉っ!初霜!いけっ!」


若葉「了解。」


初霜「了解です!」


 二人は突撃した!


時雨「!?…追撃!」ジャキ!


暁「っ!」ジャキ!


天龍「おいおい?お前ら相手は俺様だぜ?」


二人「!?」


ブォン!ダンダン!


天龍「那珂っ!お前は雷を!」


那珂「了解だよ!」


雷「っ…」


夕立「二人相手っぽい!?」


若葉「恨むなよ?」


初霜「これが作戦ですから。」


時雨「暁、天龍さんを振り切って夕立の援護を」


暁「うん。」


ザァァァァ!


天龍「させないねぇ?」


シュタン!


暁「!?」


時雨「速いっ!?」


天龍「次、背ぇ向けたら容赦なく撃つぜ?」


暁「くっ!」


時雨「仕方ない…暁、天龍さんを先に倒すよ!」


暁「了解!」


時雨「喰らえ!」ドンドンドン!


天龍「遅い!」ヒョイヒョイ!

Miss!Miss!Miss!


天龍「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ァ!」


天龍が剣を振りかぶる!


暁「こっちよ!」


暁が砲を向ける!


暁「いけっ!」ドン!!


近距離からの砲撃!回避は不可能!



天龍「WRYYYYYYYYYYYYYYY!!!」


暁「!?」


スパァン!!!


天龍は弾を斬った。


天龍「無駄と、言っただろう!」


ザン!


暁「きゃあ!」




間宮「暁被弾!小破判定!」


暁「ゆ、許さないんだからぁ!」



提督「い、今のは…?」


女将提督「天龍はあの大戦の当時、既に旧式艦でした。だからか艦娘として転生した時、その力は他の軽巡と比べて劣るものでした。」


提督「…」


女将提督「しかし、彼女は艦艇ではなく艦娘。成長することが可能です。鍛錬を繰り返し、今では戦艦級の敵とも互角に戦うことが可能です。」


女将提督「その代わりに時々よくわからない言い回しが出てくるのですが…」


天龍「貧弱貧弱ゥ!」

ドンドンドン!


提督(何かに影響されてる!?というかDIO様!)


時雨「貴様━━いったいどれだけの近代化改修をしてきた!」


提督(時雨まで乗り始めた…そういえば三日前位にジョジョの三部までは貸したな…)



天龍「お前は今まで食った那珂の人数をおぼえているのか?」



那珂「那珂ちゃんパン扱い!?」


酷い台詞である。


女将提督「他の鎮守府から廃棄される艤装を使って近代化改修してるだけなんですけどね…」


提督「…ただ言いたいだけだと思います…」


暁「?」


翔鶴「??」


多摩「にゃ?」


提督「うん、今の子ども達は知ってる人少ないよね…」



初霜「よそ見してる場合じゃないですよ!」


若葉「初霜、今度はぶつかるなよ?」


夕立「…!?」


若葉「最速で潰させてもらう!覚悟しろ!」ジャキ!


夕立「ちっ!」ジャキ!


二人は砲門が向けあう!




初霜「背後取りました!」ドォン!


夕立「なっ…」


夕立はギリギリで回避!


夕立「危な…」


若葉「次弾!」


夕立「速いっぽい!?」


若葉「いけぇ!」ドォン!


夕立「きゃあ!」




間宮「夕立、中破!主砲使用不可判定!」


提督「なにっ!?」


女将提督「若葉が敵を引きつけ、死角から初霜が撃つ。初霜に注意が行った瞬間に若葉が死角に入り込みまた撃つ。駆逐艦ならではの体の小ささを使って死角を突くのが彼女たちの作戦です。」


提督「なるほど…。」


女将提督「彼女たちの攻撃を破るのは容易ではないですよ?」


提督「…」




雷「それで、私の相手はあなたね。」


那珂「…」スゥ…


雷「そっちからこないなら私から撃っちゃうわよ!」


雷「…いけぇ!」ドォン!


那珂「───」ヒョイ!


Miss!


雷「まだまだ!」

ドォン!ドォン!ドォン!


那珂「 名にし負ふ月の武蔵野に───」スッスッスッ


MissMissMiss!


雷「これは…!?」ドォン!


那珂「 影清く霞を流す隅田川は─── 」


Miss!




提督「唄…ですか?」


女将提督「ええ。曲調は少し変えていますが。うちの那珂は唄にあわせて舞うことで回避力を上げます。彼女なら翔鶴の艦載機の攻撃を一身にうけても避けきるでしょう。」


提督「……なんて回避力…。」


女将提督「数は少ないですが、質ではどこに出しても恥ずかしくないくらいに鍛えてあります。どうですか?」


提督「…そうですね。恐ろしいくらいに強いです。……しかし」



提督「うちの子たちも負けてませんよ?」



女将提督「?」


提督「暁!時雨!準備はいいか!?」


暁「大丈夫!」


時雨「何時でもいけるよ!」


提督「よし!作戦開始!」




天龍「?」


天龍(こいつら…俺の周りを回りはじめた?)


暁「3、2……いくよ!」


時雨「うん!」


二人は回旋を止めると天龍の方向に突撃した!


天龍「二人合わせての特攻ってか?無駄だね!!」


時雨「甘いよ。」


二人は天龍の両脇目掛けて走る。


天龍「何のつもりだ?」


二人が脇を抜ける瞬間、


暁「てい!」


時雨「いけっ!」


金属のネットが現れた!


天龍「うっ!」


暁「掛かった!」


天龍「足止めのつもりか!?」


時雨「違うよ。よく見てごらん。」


ネットには所々黒い球がついていた。


天龍「これは…機雷!?」


暁「特製機雷ネット!」


時雨「敵に機雷巻きつけて爆発させるって性格悪いこと考えるよね…あの提督。」


天龍「やめろぉ!!」


暁「爆破!」


どおおおおおおん!




間宮「天龍!轟沈判定!」


女将提督「なっ!?」


提督「よしっ!」


女将提督「あんな物、一体どこから…」


提督「暁の足についていたんですよ。二人が天龍の周りを回っていたのは網を広げるためです。」


提督「敵を網に掛けるためには速力と器用さ、回避力が必要です。駆逐艦の艦娘にしか出来ない芸当ですね。」


女将提督「なるほど…これは一本取られました。」


天龍「ちっくしょーーーう!!」

ペイント弾の塗料でベットベトな天龍は叫ぶ。




夕立「…はぁ…はぁ…」


若葉「主砲が使えなければ反撃も出来ないだろう。」


初霜「覚悟して下さい!!」


夕立「嫌だっぽ~い!!」


夕立(どうするっぽい…?このまま逃げ続けてもジリ貧。なんとかして二人の意表を…)


初霜「終わりです!」


夕立(そうだっ!)




夕立「ぽぉぉぉい!!」


初霜「えぇぇ!?」


夕立の海面スライディングが初霜に直撃!砲撃を回避しつつの攻撃だ!


初霜「うわわわわ!」

なるほど…水玉か…ふむふむ。


夕立「主砲が使えなくても戦う手段はあるっぽい!」


なるほど…白か……あ、失礼。




提督「……なんかすいません。」


女将提督「……これも作戦の内ですか?」


提督(パンツは作戦に入ってないんだけどな…)


女将提督「まあ…それが作戦だとしたら間違いなく失敗でしょうね。」


提督「え?」




若葉「…よくも…よくも…」


夕立「…えぇ?」


若葉「よくも初霜を汚したなっ!!?」

ゴゴゴゴゴゴ


初霜「若葉!?抑えて下さい!」


若葉「貴様ァァァァァ!!!」


夕立「ええっ!?」


若葉「貴様の神の名を唱えろ!!」


夕立「!?!?」


若葉「っ!」シュタン!

若葉が夕立の視界から消えた。


夕立「え?え?」


若葉「後ろだぁァァァァァ!!」ドォン!


夕立「うひゃあ!」

夕立は上体を逸らし紙一重で避ける!


夕立「避けた…っていない!?」

声がした方には既に若葉はいなかった。



ガツン!


若葉「私は下だ!」


若葉は夕立の顎に砲門を突きつけた。


夕立「ぽいぃ…」


ドォン!




間宮「夕立、轟沈判定!」


提督「ええええ!?今のは!?」


女将提督「普段の彼女は正直に言いまして強いとは言えないのですが…なんというか初霜が関わるといきなり強くなりまして…。」


提督「だとしても強すぎでは!?」


女将提督「ええと…うちの若葉と初霜、他の鎮守府から転属してきたのですが…ある事件が起こったんです。」


提督「ある事件?」


女将提督「ええ、元の鎮守府の提督が持っていたんですよ…」


提督「?」


女将提督「初霜の同人誌を。」


提督「お、おう…」


艦娘はみんな可愛い女の子なのでオタクの皆さんに注目されてたりする。


女将提督「それで怒った若葉がそこの提督を半殺し…四分の三殺しくらいにしちゃいまして。なんとか解体されずにうちが引き取ったのですが…」


提督「初霜に何かあったらああなると。」


女将提督「そういうことです。」


夕立「…ぽ…い…」ピクピク



那珂「…」


雷「はぁ…はぁ…」


雷「全弾回避…?」


那珂「そろそろ攻めるよ!」


雷「くっ!」




那珂「 恋には身をもやつせども 言うた言うたよ言うた───」


雷「また唄!?」


ドォン!ドォン!ドォン!


雷「きゃぁ!」


那珂「まだまだだよ!」


雷「いったーい…」



提督「…動きが読まれていますね。」


女将提督「ええ。一歩先のところに砲撃をしています。」



天龍「お前ら頑張れぇ!」


夕立「ファイトっぽ~い!!」


轟沈した二人は応援中。



暁「うてぇ!」


初霜「こっちです!」


時雨「いけっ!」


那珂「当たらないよ!」


若葉「くっ、被弾!?…だが悪くない。」


雷「悪くないの!?」


ドォン!ドォン!ドォン!ダダダ!


大乱戦!!


暁「もらったぁ!」


若葉「当たらん!」



一進一退の攻防をする両チーム。しかしそこに忍び寄る影があった…


ドォン!


若葉「ぐはっ!」中破!


若葉「な!?誰だ実弾を使ったのは!」


時雨「え、僕たちじゃない!」


初霜「じゃあだれが…」


ドォン!ドォン!ドォン!


暁「なっ!?」


雷「どこから!?」


那珂「あそこ!」


ニ級「…」ドォン!ドォン!


初霜「ニ級1、ホ級1、リ級1、ヌ級1、

タ級1です!」


時雨「戦艦までいる!?」


那珂「私達の装備、訓練用なのに!」


初霜「どうします!?」


雷「撃ってくるよ!」


タ級「…」ドォン!ドォン!ドォン!


時雨「か、回避!」


雷「ぐっ!?」大破!!


暁「雷っ!?」


那珂「どうしよう!?」




??「うろたえるな!!」


全員『!?』


旅館の最上階のベランダから声がした。


女将提督「あなた…!?」


ダンナ「警備中の奴らに入電すぐ呼び戻せ。お前らはすぐに撤退して実戦用の弾薬を補給。」


一同「り、了解!」


雷「い、今撤退なんてしたら一気に攻め込まれるわよ!?」


ダンナ「…それまで俺が食い止める」


ジャキン!


ダンナは巨大な銃を取り出した。


提督「なっ!?」


提督(OSV-96!?)


OSV-96はロシアの対物ライフル。その威力は凄まじいものである。しかし、


提督(通常兵器じゃ深海棲艦には効かない!!)


ドォン!


それは銃声というより爆発音だった。


弾丸は寸分の狂いも無くタ級の額に進み、


ドン!


タ級がよろけた。


ダンナ「ダメージが通らなくとも威力で仰け反らせることなら可能だ。」


提督「…すごい。」




ハヴォック「おい!」


提督「ハヴォック!?」


ハヴォック「お前の部屋から艤装を持ってきてやった!さっさと出撃するぞ!」


提督「いつの間に!?よくやった!」


提督「艤装展開!」


女将提督「駆逐提督さん!?艤装展開は艦娘にしか出来ないはずでは!?」


提督(ああ、そうか。駆逐艦のみで主力を倒したっていう情報は伝わってるけど俺が直接戦ったっていう話は流れてないんだな。)


提督「まあ、色々あったんです。それより艦隊の指揮、よろしくお願いします!」


提督「出撃!!」


バシュン!!


提督は駆逐艦さながらのスピードで敵艦隊へと進んだ。



ダンナ『聞こえるか?』


つけておいた通信機からダンナの声が聞こえた。


提督「ええ、聞こえます……ええと」


ダンナ『ダンナと呼べ、ここの奴らは皆そう呼ぶ。』


ダンナ『それよりだ。最初に戦艦を潰す。隙を作るから俺のカウントで斬り込め。』


提督「驚かないんですね…俺のこと。」


ダンナ『この程度では驚かん。…いくぞ。』


提督は上段に構える。


ダンナ「3…2……今!」


提督「シッ!」


ドォン!


 銃声と重なって提督が走り出した。


タ級「…ッ!?」ズドン!


 またタ級の額に弾丸が当たり、大きく仰け反らせる。


提督「うらぁ!」


ズシャア!


 太刀風が肩口から大きく切り払う!


タ級「っ!」


タ級は反撃を試みるがこの至近距離で撃てば自分もただでは済まない。仲間の深海棲艦もタ級に当たる可能性があるので提督に攻撃出来ない。接近して攻撃し続けることが提督の防御なのだ。


ニ級「シャァ!!」


ニ級が砲撃をせず体当たりを仕掛けてくる。提督に当たればダメージを与えられるし、万が一タ級に当たってしまったとしても大したダメージにはならず尚且つ剣撃から逃がすことが出来る。


ニ級「ガァ!」


ドォン!


ニ級「ガ!?」


ダンナ『近づけさせねぇよ…』


ダンナの狙撃がニ級を捉える。


提督「うらぁ!」


提督がタ級を吹き飛ばす!


提督「先に…沈める!」


ザンザンザン!!


ニ級に容赦ない連撃を決める!


ニ級「がががが!」


ニ級轟沈!




リ級「……」


リ級はタ級とニ級が攻撃を受けている間に陸への砲撃の準備を始めた!


ダンナ『ちっ!リロードが間に合わん…』


提督の刀の届く距離ではない!


提督「…!」


提督(まだ…武器はある!)


提督は右腰にある武器を取り出した。


SIG-P220。シグ・ザウエルと呼ばれる自動式拳銃である。これは提督が鎮守府で見つけたものであった。


パン!パン!パン!


リ級「…?」


砲撃に比べて軽い破裂音が鳴る。しかし弾丸は命中し、隙を作ることが出来た。


ドォン!


リ級「!?」


その隙にダンナがヘッドショットを決める!


提督「らぁぁぁぁぁ!!」


提督が駆逐艦を凌ぐスピードに乗せて渾身の突きを放つ!


リ級「……っ…」大破!


ダンナ『…』



翔鶴「準備出来ました!艦載機の皆さん、発艦してください!」


天龍「名誉挽回といくぜ!」


夕立「ぽいっ!」


提督「よし!頼むぞ!」


提督はシグ・ザウエルを仕舞い敵に向き直る。そこには体制を立て直したタ級がいた。


提督(ニ級は撃沈、リ級は大破、ホ級とヌ級は交戦中…)


提督「撤退しろ。ここでウダウダしてる間に俺の仲間が準備を終わらせるぞ。」


タ級「…ソレハデキナイナ。」


提督「ならここで斬り捨てるぞ。」


タ級「…」


ドォン!


提督「シッ!」


提督は砲門を避ける。


タ級「…」ニヤッ


タ級は副砲を向ける!あくまで主砲はダミーで最初から副砲で止めを刺すつもりだ!


スブッ!


タ級「!?」


突然提督が海に沈んだ!


提督「ハヴォック!」


ハヴォック「ああ!」


突如タ級の背後にハヴォックが現れた!


ハヴォック「私が駆逐艦と言えど、この至近距離では無事ではすまなかろう!」


タ級「ナ!?」


ドォン!


タ級「…」


タ級撃沈!



種を明かすとこうだ。タ級の前でハヴォックを実体化、艦娘として攻撃させたのだ。そのとき提督が沈んだのは艤装としてのハヴォックの効果が失われたから。




 旗艦が撃沈したため敵艦隊は撤退を始めた。


ダンナ『追う必要はない。』


提督「ですね。」


提督は立ち泳ぎしながら、そして太刀風が錆びないように水面に刀を上げながら答えた。


夕立「…マヌケっぽい…」


提督「言うな…」


A勝利!



~その日の夜~


男湯にて


提督「は~…」


ひとりで寛ぐ提督。


ガラララ


提督(お、誰か来たか。)


ダンナ「…」


提督(ダンナ…)


ダンナが身体を流して湯船に入る。


提督「…」


ダンナ「…」


提督(…なんか…気まずい。)


……………………



ダンナ「お前さん、何者だ?」


提督「へ?」


提督(ナニモノ?)


提督「え、と。提督やってる者ですが…」


ダンナ「知っとる。そういうことではない。今日の戦いを見て思った。お前さん、ただの一般採用の提督じゃあないだろう。どうやって提督になった?」


提督「…たまたま酒の勢いで提督になるチャンス貰ったから大学中退して提督になったってだけですよ?」



ダンナ「…で、その大学が防衛大ってわけか。」


提督「っ!?なんでわかったんですか!?」


ダンナ「お前さんが拳銃を撃ったとき、構えが馴れていた。撃つ前に指が伸びていたし、抜いてからも落ち着いていた。この年で撃ち慣れてるとしたら警察学校か防衛大だと思った。そしてお前の剣術、突きを主体とした戦い方、銃剣格闘だ。警察じゃそれは教えないからな。」


提督「…全部正解です。」


しばしの沈黙。


その沈黙を破ったのはダンナだった。


ダンナ「…艦娘を沈めたことはあるか…?」


提督「え、ないです。」


ダンナ「そうか、それはいいことだ。」


提督「?」


ダンナ「俺はもう上がる。」


提督「え、ちょっと…?」


ダンナはそそくさと上がってしまった。




提督(あの質問、それに狙撃の技術…なにかあるな……少し探りをいれるか)


提督も上がり湯をしたあと風呂場を出た。




風呂を上がった提督はその足で地下室に向かった。


女将提督「こんばんわ。」


提督「やはりここにいると思っていました。」


女将提督「何か用ですか?」


提督「ええ、ちょっと。」


女将提督「…うちの旦那のことですか?」


提督「ええ。」


女将提督「そうですねぇ。……なら私にこれで勝てたら気になること全部教えてあげましょう。」


女将提督がテーブルに置いたのは花札だった。


提督「え…」


女将提督「こいこい、三回勝負、月見花見あり、四手くっつきあり、でいいですか?」


提督「…遊びたいだけでしょう。」


女将提督「相手してくれるのが翔鶴くらいなので。それに彼女失礼ですけど…弱いので張り合いがないんです。」


提督「…分かりました。親は譲りますね。」


女将提督「ありがとうございます。それでは始めましょうか」


女将がシャッフルして札を配る。


女将提督「それでは始めましょうか。」


~花札シーン書いたはいいけど無駄に長いくせに死ぬほど面白く無かったのでカット。かつての蕎麦打ちと同じ愚は犯さないのだよ!by作者~


提督「ギリギリ勝った…」


女将提督「あそこで調子に乗ってこいこいしなければっ!」


提督「慢心はいけませんね。」


提督「それでは約束通り、ダンナさんのことについてお聞きします。」


女将提督「…どうぞ……」


提督「単刀直入に聞きます。ダンナさんって何者ですか?」


提督「あの狙撃の精度、生身での深海棲艦との戦闘の馴れかた。普通の人間では無いですよね?」


女将提督「……」


女将提督「まずは彼の過去について話しましょう。」


提督「…」


女将提督「彼は元提督、『不沈提督』と呼ばれていました。」


提督「不沈提督…?」


女将提督「彼が提督だったのは5年前でした。」


提督「え!?待って下さい!深海棲艦が現れたのは約1年前ですよね!?」


女将提督「いえ、深海棲艦自体が発見されたのはもっと前です。当時、国民の不安を煽らないために秘匿されていましたが。一年前に奴らが攻撃を仕掛けて来てしまったので広まってしまいましたが。」


提督「むぅ…」


女将提督「そしてうちの旦那は極秘に設立された海軍の初期の提督です。」


女将提督「そして、彼の秘書艦、響。最後の名前はヴェールヌイと共に一年前まで現役で提督をしていました。」


提督「ヴェールヌイ…」


女将提督「彼は不沈提督の名の通り誰も艦娘を沈めることがありませんでした。最終的には佐世保鎮守府の司令にまで登りつめました。」


提督「させぼっ!?」

佐世保鎮守府は呉や横須賀に並ぶ大鎮守府である。


提督「え…すご…」


女将提督「そして深海棲艦の陸地への攻撃が始まる前、ある大規模な作戦がありました。」


女将提督「真珠湾をご存知ですか?」


提督「ええ、“あの戦争”の始まりの場所ですよね。」


女将提督「ええ。太平洋戦争。海軍風に言うと大東亜戦争。そして偶然か必然か、海軍はあの戦争の始まりである真珠湾近辺に深海棲艦の基地を発見しました。当時アメリカは艦艇は豊富にあれど艦娘の技術はありませんでしたので日本の艦娘とそれを支援するアメリカの艦隊による大規模攻撃が行われました。」


女将提督「彼は佐世保鎮守府所属の加賀、飛龍、もちろん秘書艦のヴェールヌイや他の艦娘を真珠湾に出撃させました。」


提督「結果は?」



女将提督「一航戦、二航戦、赤城、加賀、蒼龍、飛龍沈没。その他艦娘も大部分が沈没もしくは大破。彼の秘書艦であったヴェールヌイは轟沈しました。」


提督「!?」


女将提督「“あの戦争”で大勝を収めた地で、ミッドウェー以上の被害が出たのです。しかも“あの戦争”で不死鳥と呼ばれた彼女までも沈みました。」


女将提督「海軍がこの戦いで主力である空母機動部隊を失ったことで深海棲艦の陸地への攻撃が防げなかったと言われています。」


提督「…」


女将提督「その責任で彼は軍を引きました。」


女将提督「しかし、軍を引いてからも彼は戦うことを止めませんでした。自分の部下の敵を取るために自分が戦うことを決意したのです。」


提督「…それであの狙撃。」


女将提督「それで私は彼を助けるために提督となりました。軍の関係者がいたほうが彼にとって何かと好都合だったので」


そういうと女将提督は部屋の奥から何かを取り出した。


女将提督「きっとこんな銃を手に入れたのも彼の秘書艦と関係してるのかもしれないですね。」


提督「…うわっ!」


それは大きな狙撃銃だった。


女将提督「デグチャレフ対戦車ライフル。彼が今使っているOSV-96と同じ国の銃です。」


提督「…ヴェールヌイと一緒に戦っているつもりなのかも知れませんね…」


女将提督「ええ…」





初霜『緊急連絡!鎮守府正面海域を哨戒中に敵の主力部隊を発見!鎮守府に接近中!』


けたたましいアラームと共に初霜の声が聞こえた




初霜「敵部隊の旗艦、駆逐棲姫の水雷戦隊です!」


提督「んなっ!?」


女将提督「…姫ですか…!?」


提督「急いで出撃準備を!!」


提督は階段を駆け上がった。



暁「司令官!」


提督「暁、話は聞いたな?他の皆は?」


暁「もう出撃準備に行ったわ」










おまけ


暁「司令官…これですき家来店は何回目?」


提督「…五回目…。」


時雨「……それで結果は?」


提督はホログラムカードを机に置く。



那珂、那珂、那珂、那珂、那珂。



夕立「……」


雷「……」


提督「なぁ、これって実は艦これコラボじゃなくて那珂ちゃんコラボなんじゃないかな?」



※実話です。助けて下さいby作者


後書き

更新したのに僅か数行で申し訳ございませんでしたぁ!リアルでゴタゴタしてて全く更新できなくて申し訳ございませんでいたぁ!いや本当に申し訳ございませんでいたぁ!落ち着いてきたのでこれからガンガン書くんで!見捨てないでぇぇぇぇ!

…この作品での赤城ってここで沈んだんだね。赤城…あれどっかで似たような奴見たような…

そう、あとね、この前鶴翼の絆読んでみたんですよ。設定被りまくってね?旅館だし。…パクったわけじゃないんだぁ!(被告人連行)


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2018-08-30 01:44:08

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2016-02-17 23:39:26

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2016-01-19 13:47:50

SS好きの名無しさんから
2016-01-18 22:19:36

みーさんから
2016-01-14 16:46:10

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matuさんから
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2016-01-13 10:46:09

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19件コメントされています

1: SS好きの名無しさん 2016-01-13 16:03:41 ID: Fhzxe-F1

楽しみにしてます!
続き頑張ってください!

2: matu 2016-01-13 19:16:13 ID: tVmvExjI

二作目キターーー

駆逐かわいいです

更新がんば

3: SS好きの名無しさん 2016-01-19 19:52:01 ID: VTyPnbIU

そういや他の駆逐艦は?
連れてきたのは4人だけ?

4: ストラップ 2016-01-19 20:35:01 ID: 5Y-qXaLp

時系列がフラヲとの戦いの一週間後に巻き戻ってるのでまだ四人です。ちなみに温泉編の後は『ぜかまし着任編』と『睦月型進撃編』の予定です。少しずつ増えていくから待って下さいね!(あくまでも予定。)

5: matu 2016-01-19 21:21:32 ID: L0uaVV3a

温泉旅行め

期待してたのにぃーーーーーー

なぜ 提督のぞk ゲフンゲフン いやなんでもない

6: ストラップ 2016-01-19 21:44:45 ID: 5Y-qXaLp

提督はそんなことしません!ただこの先不可抗力でゲフンゲフン、いえいえ、そんなことするはずないですもん!

7: SS好きの名無しさん 2016-01-22 20:32:20 ID: nBCEhFHs

あれ?WRYYYじゃないの?

8: ストラップ 2016-01-22 21:53:07 ID: LFCUNl8t

いいかい?君は何も見ていない。作者の打ち間違いなんて気にしちゃいけないんだ。

9: matu 2016-01-22 23:16:57 ID: FpLWetud

確かに時雨は可愛い(確信)

作者に質問です

艦これの中では誰が好きですか?何人でもいい←ここ重要

10: ストラップ 2016-01-22 23:37:37 ID: 7Vp12gl4

駆逐艦みんな!と言うと怒られそうなので真面目に答えましょう。やはり一番は暁ですかね。もう一日中遊んでいたい。嫁というより娘にしたい。そして第六駆逐隊はみんな大好きです。艦艇としても艦娘としても。六駆への愛は語るとコメントに収まらないのでいずれ。

時雨の可愛さには最近気づきましたね。なにあの大天使。

曙には毎日のようにクソ提督と呼ばれたいです。

初霜をはつしもふもふしたいです。

駆逐艦以外になると最上、鳳翔、天龍ですかね。最上を姉にして鳳翔を母とし、天龍と幼なじみになります。これなんてエロゲ?

11: みー 2016-01-23 15:12:50 ID: FZ9iHXJt

ここが楽園か...
目に留まったssをクリックすると、そこは駆逐艦しかいないという楽園でした。

12: matu 2016-01-29 16:25:40 ID: x2tY8Kfr

なんてゆうか 演習試合じゃなくね

元提督ちょっと殺ってくる(ニコ)

あれ 神様出て来てないよ?

13: ストラップ 2016-01-30 06:52:58 ID: GGtjxfhn

…作者の文才では陣形を組んでの砲雷撃戦を熱く書けないのだよ。1対1、1対2くらいが限界なのだよ…あと神様はそろそろ出てくるよ

14: matu 2016-02-01 16:46:33 ID: aI2IkVvf

対物ライフルとかカッコイイ

更新ガンバッテクダサイ

15: SS好きの名無しさん 2016-02-18 15:58:27 ID: x9ox0VlV

こいこい、親ゆずったら難しいぴょん月見酒花酒の阻止、いのしかちょうのとりあい、カス10まい いやはや熱くなるなー

16: SS好きの名無しさん 2016-02-19 06:21:40 ID: gLZ_OrAS

ごめんなさいぴょん、前回よけいなコメントしましたなのです。反省するぴょん。

17: matu 2016-02-26 23:37:16 ID: FBZD_WUc

シグザウエルいいですよね

18: ストラップ 2016-03-01 15:57:29 ID: Ff3iRHQf

文才ついたら花札シーンかくぴょん…

19: SS好きの名無しさん 2016-03-01 23:00:55 ID: J5AjsPb_

更新待ってたぴょん、楽しみにゃしい どんどん書くぴょん。ぴょんはきおつけないと私みたいに会社のメールに自動変換ついて大変な事になるからきおつけるぴょん。


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