2016-03-08 13:34:36 更新

第7宇宙の太陽系の中にある青い星“地球”…

この星は、今まで幾度の死と生の連鎖を繰り返してきた。

だが、そんな悪夢も今やっと解放された。

そして、長い年月をかけて手に入れた…。

“永遠の平和”…。

だが、その平和はある1つの命を犠牲にしてのものだったことを人々は知らない。


今から送るこの話はある1人の、運命を背負わされた悲しい物語である。


それは、約2年前の出来事…。

孫 悟空…またの名をカカロット。

この男はいつものように修行の日々を送っていた。

「でやあ!だあ!」ブンッ!ズババババッ!

「ハァ…ハァ…。」

「か…め…は…め…。」ブゥウウウウン…。

「波あああぁぁ!!」ズオッ!ドガアアァン!

「ハァ…ハァ…。今日はここまでにするか…。」

悟空は木陰に入り、腰をおろした。

「そういえば…あの日からもう20年か…。」

「よしっ!久しぶりにベジータと組み手でもするかぁ!」

「えーと…。ベジータの気は…ズキッ!

「っが!?」

「うがあああ…。あ…頭が…。」

悟空はベジータの気を探ろうとした瞬間、いきなり悟空の頭に激痛が走った。

悟空は嘆き、悶え狂った。

「まっ…まさか…この頭痛は…。」


“…ロット…。おい…。えるか…?”

“チッ…。聞こえるか!?カカロット!!”


「…ッ!?」

「そ…その声は…。な…なぜ口が聞けるんだ!

あの封印をしたら口は…。」


“ハハハハッ!さすがに、あの封印にも限界はあるもんさ…。”


「くっ…くそっ!こうなりゃさっさと外に追い出すしk…ズキッ!

「がっ!?」


“ハハハハッ!外に追い出されてたまるか!

テメェの内側からジワジワと苦しめていってやるぜ!!ハーハッハッハ!!”


「ぎゃああああ!!や…やめろ…!やめて…くれ…!!」


“ハッ!やめろって言ってやめる奴なんざいねぇよ…。”


脳内に奴の罵る声が響く。


「う…うぐぐ…。がああああ!!」

だだっ広い荒野に、悟空の苦しむ声が静かに響き渡った。


そして、海上では凄まじい程の水しぶきを上げながら、猛スピードで飛ぶ者がいた。

それは、誇り高きサイヤ人の王子ベジータだった。

悟空の気の乱れに疑問を抱き、様子を見に行く所だった。

「クソッ!何だ!?この胸騒ぎはっ!一体何が起こっているんだ?」

「カカロット…。」


「うがあああ…!?うおおおおお!!」

ズオオオオオオ!!

悟空はついに超サイヤ人になった。が…。

その様子がいつもと違った。

周りのオーラが金色ではなく、どす黒いオーラを放っていたのだ。


「かはぁ…。さっさと…出ろ…。」


悟空はいつもの明るい声ではなく、低く冷酷な声を放った。

まるで、地球全体に響くような声で…。

「さっさと…出てきやがれーー!!ちゃあああああ!!」ズオオオッ!

その時、悟空の背中からもう1人の背中が出てきた。

そして、悟空は更に気を高めた。

「ずりゃああああぁぁぁ!!」パァン!

瞬間、そこは凄まじい光に包まれ、辺りは何も見えなくなった。

だが、代わりにある1人の声は聞こえてきた。


“クックック…。プツリと切れてくれて感謝するぜ?”


“カカロットさんよぉ…。”


悟空の前に立っていたのは、見た目も格好も髪型も全く…いや瓜二つの奴が立っていた。

だが、ひとつ違ったのは相手に向けられた不敵な笑みの存在だけである。


「ハァ…ハァ…。くっ…!ヤベェ…こりゃヤベェな…。でも…。アイツを出しちまったのはオラだからなぁ…。」

「オラが最後まで面倒見ねぇとな…。」


“ふぅ…。久しぶりの外の空気だ…それに…体がよく動くぜ。”


“じゃあ早速…。”ニヤ…。


奴は殺人鬼のような笑みをみせ、悟空に向き直った。


“俺の準備運動を手伝ってもらおうか…!”


「な…何だって!?」

「オメェ…オラのあの事知っててそれ言ってるのか!?」


“あぁ。そうだ…。久々に貴様をなぶり殺しにできそうなんでなぁ!!」


「くっ!闘いは避けられそうにねぇな…。」


“フンッ!そういう事だ…。”


2人は身構え、睨み合い、お互いのスキを探った。

そして、悟空が飛び出そうとした時、見に覚えのある気を感じた。

目線を上に上げると、そこにはあのベジータがいた。


「べ…ベジータ!?」

「オ…オメェ…。何でここに?」

ベジータは下降しながら答えた。


「貴様の気が乱れていたのでな…。だから様子を見に来ただけ…と言いたい所だが…。これはどういう事だ!説明しろ!!」


ベジータはもう1人の悟空に指を突き付けて言い放った。


“ほぅ…。アイツがサイヤ人の王子のベジータか…。たいした事はなさそうだな…。”


「な…何だと!?貴様!誰に口利いてるのかわかって…うっ!?」

「カ…カカロット…。貴様そっくり…いや同じだな…。」

「あぁ。正直オラも気持ち悪ぃぜ。ここまでそっくりだと…。」


“クッ…クククッ…。ハハハハッ!!当たり前だろ!?俺は貴様の…“本当の姿”なんだからな!!”


「な…何!?」

ベジータは突然の奴の告白に頭が追い付かなかった。

「ど…どういう事だ…。カカロットの“本当の姿”…?訳が分からん…。」

「まぁベジータ落ち着けって。順を追って話するから…。」どさっ

悟空とベジータは荒野の土の上に座った。


「あとは…。」ジロッ

「…ブツブツブツ…。」

悟空は奴を睨み付け、一言二言呟き、それを奴の体めがけ放つ。

すると、どこから出てきたのか細身のロープが現れ、奴の体に巻き付いた。


“チッ!クソッ!体が!言うことを…!”


「これでいいだろ…。」

「な…!カカロット…。あ…あれは…?」

「あの事も、説明するから…。」

「いいか。ベジータ。これはまだ誰にも話した事がない話だ。しっかり聞いてくれ…。いいな。ベジータ。」

悟空は、いつものヘラヘラした顔はどこにもなく、1年に1、2回位しか見られない真剣な顔がそこにあった。

悟空の表情の中では、レアものである。

「あぁ。分かった。どんな内容でも受け止めてやる。」

「ハハハッ!さすがベジータだ。頼もしいぜ。」

「…そうだ。あれは…。」


悟空は小さく口を開き、ゆっくりと話し始めた。

そしてそこで、彼の意外な真実が明らかとなる。

未だかつて聞いたこともない孫 悟空の過去を…。


ーto be contenued…。


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