歴史から消えた英雄Ⅳ(最終回)
奴が目を開け、飛び込んで来たのは…。
ただただ真っ白な空間だった。
「なっ…。何だよ…。ここ…。」
「ここは神様の神殿のとこにある“精神と時の部屋”という所だ…。」
悟空は、感情が込もっていない声で呟いた。
(デンデ…。デンデ…。聞こえるか?)
(あ…。悟空さん…。はい…。聞こえています。)
(よし。ならあの準備に入ってくれ。オラたちはもうあの部屋に入ったから…。)
(はい。分かりました。)
「ポポ。ドラゴンボールを…。」
「分かった。」
ゴソ…ゴソ…。ゴト…ゴト…ン…。
ポポは、袋の中からオレンジに鈍く光るドラゴンボールを取りだし、床に置いた。
「これで、良いんですよね…。」
「大丈夫だ。神様、自信を持って。」
「ありがとう。ミスター・ポポ。」
その頃悟空たちは…。
「よし…。こっちも始めるか…。」
「なにブツブツ言ってんだよ。あのなぁ、お前がなにをするか知らねぇけど…。」
「俺をこんな所に閉じ込めておいても無駄だからな…。」
「俺は不死身だから、気を高めればこんな所すぐに脱出できるんだぞ?」
「分かってんのか?」
ザッ…ザッ…ザッ…。
悟空は奴の言葉にも反応せず、この部屋でたった1つの扉の前に立ち止まった。
そして…。
「……波あああああぁぁぁぁ!!!」
ドゴオオオオオォォォォン!!
破壊した…。
「オメェはもうこれでこの空間から出られなくなった…。」
「この部屋は向こう側の世界とは次元が違う…。そして、向こう側の世界とここの世界を結ぶたった1つの扉を壊した…。」
「…さっきオメェが言ってた“気でこの次元に穴を開ける”事だけど…。」
「それは無理だ…。」
「何でだよ?」
「さっきデンデに頼んで、この次元の厚さをより分厚くさせた。」
「だからオメェがいくら頑張ったところで無駄だ…。」
「じゃあ、お前はどうするんだよ…。」
「俺を殺せる力も無ぇお前が、ここに残ってどうするつもりだ…。」
「こんな状況になってもまだ、分かんねぇんか?」
「殺る事と言ったらたった1つしかねぇだろ…?」
「なにっ!?」
シュン!ガシッ!
悟空は奴の背後に周り、羽交い締めの状態になった。
「これだけくっついてりゃオメェもただじゃ済まねぇだろうな…!」
「ベジータとの闘いに、ファイナルフラッシュくらってその上オラの…。」
「自爆攻撃喰らえばな…。」
「チッ…。さっきの戦闘の傷で…思うように動かねぇ…。クソッ!」
「覚悟しろ…。カカロット…。」
「…出でよ神龍!そして願いを叶えたまえ!」
ブウウウゥゥゥゥン…。
バシューーーーーーー!!!
床に置いたドラゴンボールからまばゆいばかりの光を放ち、光の筋が暗黒の空へと伸びていった…。
そして…。
“さぁ…願いを言え。どんな願いも叶えてやろう…。”
蛇より数倍巨大な龍が現れた。
これが、どんな願いも叶えてくれると言う、神龍である…。
「……。」
デンデは、意を決して口を開いた。
「この世に住むすべての人間からーーー…。」
「はああああああぁぁぁぁ!!!」
ブウウウゥゥゥゥン…。
悟空は最大限に気を高め、奴を跡形もなく無くす程のパワーにするまで気を高め続けた。
(オラ…。今思えばこの地球に来られて良かったな…。いろんな仲間に会えたし、家族も出来た…。)
(オラにとっちゃ、最高の人生だったな…。)
(サンキュー。皆…。サンキュー。オラの……
(たった1つの…。)
(故郷…。)
「うっ…。ううっ…。」
「…はああああああぁぁぁぁ!!!」
ズオオオオオオォォォォォ!!!
「あ…あぁ…。ぎゃああああぁぁぁ!!」
悟空は最後に一粒の涙を流した。
英雄が最期に見せた…涙である…。
「……。」
「神様、早く言わないと…。」
「…分かって…います…。」
「この世に住むすべての人間から…孫悟空の記憶をすべて…すべて…。」
「消し去ってください!」
「……承知した…。」ポウッ
ブウウウゥゥゥゥン…。
第7宇宙の太陽系の中にある青い星“地球”…
この星は今まで幾度の死と生の連鎖を繰り返してきた。
だがそんな悪夢も今やっと解放された。
そして長い年月をかけて手に入れた…。
“永遠の平和”…。
だがその平和はある1つの命を犠牲にしてのものだったことを人々は知らない。
ーEnd…。
やっと完結したーーー!!
長い!とにかく長かった!
もう疲れたので当分の間は長編作品はやらないな…。
さぁ~て、疲れたので、すぐ近くにあるベッドで寝ますか。
では、次の作品で。
おやすみなさい。
めっちゃ感動しました!
ドラゴンボール好きの自分にしては新しい展開で、でもなんかありそうで、とてもワクワクしました。
始めはYouTubeで見ていたのですが、最終回の部分が見つからなくて、こちらまできてしまいました。
感動をありがとうございました。
これからも頑張ってください!!