2017-03-08 01:05:23 更新

概要

勤務態度に問題があり鎮守府を転々とする駆逐艦、時雨には大きな心の闇が潜んでいた…


という、重い設定ですがコメディ多めでやっていきます。
おそらく短めで終わると思います。
元ネタはエクスペンダブルズ3のガルゴです。


前書き


こんにちは!
ssは2作目になります!

1作目がまだ完結してないのですが、良い案が浮かんでしまったので書いていきます。
向こうはがっつりシリアスなのでこっちはある程度ネタを入れながら気軽に書くのでご了承を…

地の文あります。

また、史実に軽く触れていくのですが自分はあまり詳しくないのでほぼネットにあるものを噛み砕いて書いていきます。
なので間違っている解釈もあるかもしれません、見つけたらご指摘お願いします。

あと、主に時雨がキャラ崩壊しますので注意を…

まだまだss初心者なので至らない部分もあると思いますがどうかよろしくお願いします!



災厄着任



コンコンと扉を叩く音がする。

提督は少し上擦った声でどうぞと答える。



??「失礼するよ」



入って来たのは紺色のセーラー服に赤いネクタイ。

おさげがとても可愛らしい少女であった。



時雨「僕は白露型駆逐艦2番艦、時雨。これからよろしくね」


提督「こ、こちらこそよろしくお願いします…」




さて、たった今到着した時雨だが着任した理由がちょっと複雑で…

彼女は建造でも海域で邂逅した訳でもなく他の鎮守府から転属してきた。

まあ、簡単に言えば飛ばされてきたのだ。



自分はまだ着任してから1ヶ月のド新人で未だに書類作業でヒイコラ言っている。

艦娘もまだまだ少なく最近、第1艦隊を編成できる6人がやっと揃った所だった。

比較的安全地域の鎮守府とはいえ艦娘がいて損ということはない。


そんな時に大本営から連絡があった。



偉い人『時雨という駆逐艦の艦娘が1人居るのだが…』


提督「是非、お願いします」



上層部の意図がどうであれ、仲間が増えるのならばと一瞬で快く引き受けた。

その時のお偉いさんの嬉々とした声は鮮明に覚えている。


すぐに大本営から駆逐艦の資料が届いた。

練度は高く、すでに改二。

戦果もかなり挙げていた。

が、下の方の経歴の欄に目をやると仰天した。

かなりの数の鎮守府を転々としていたのだ。


…怪しい。

当然ながら何故こんなにも優秀な人材を手放そうと思ったのか疑問が浮かぶ。


すぐ様、大本営に電話をかけた。



提督「あの、時雨に関してなのですが…」


偉い人『う、うむ、どうしたのかね?』


提督「何故うちに?」


偉い人『え、ああ、うん。時雨は優秀なのだが少し、うん、ほんの少しだけその、勤務態度に問題があってだな…あ、いや、その他は全く問題ない…というか素晴らしい成績なのだが…あー、期待の新人の君なら上手くできると思ってだな…』


提督「…はぁ、でもこの鎮守府の数はちょっと異常じゃないですか?』


偉い人『…あー、あー、どうやら電波が、悪…ようだ。また…を改め……連絡し…』


ブチッ


提督「…!?」



あぁ、畜生め!

この時、厄介者を受け入れたのだと初めて気付いた。

次の日また大本営に連絡したが時すでに遅く、時雨はこちらに向かっているらしかった。



で、今に至る。



提督「じ、自分がこの鎮守府の提督をやってます。まだまだ新人だから迷惑をかけることもあると思うけどこれからよろしく。で、こっちが初期艦の叢雲」



横では叢雲が少々怖い目付きで時雨を睨んでいる。

叢雲にはよく怒るけどそれは全て鎮守府の事を思ってのことだ。

今も、おそらく時雨という新たな危険分子の事が気になってしょうがないのだろう。



叢雲「…書類を見たけど中々やるようね。ま、せいぜい頑張んなさい?」


提督「ちょ、その言い方は…」


時雨「うん!こう見えて練度も高いし秘書艦の経験も豊富だからね。どんどん僕を頼ってよ」


提督・叢雲「!?」


あれ?

2人共、鳩が豆鉄砲を食らったような顔になる。

なんだ、想像してたよりも全然いい子じゃないか。



叢雲「…早速鎮守府を案内するわ。付いて来て」


時雨「うん、よろしくね…それじゃあ行ってきます」


提督「お、おう」



さっきまで戦々恐々としていたが時雨の感動すら覚える態度に手の平を恐るべき速さで返した。

大本営ありがとう!大本営万歳!

これから鎮守府の運営は楽になるだろう!





1時間後に2人は帰って来た。

時間も遅く、長旅ということもあり時雨には自室での休養を命じた。



提督「いい子で良かったなぁ、本当」


叢雲「…そう、ね…」



舞い上がっていた提督は案内が終わった後の叢雲の顔が少しやつれていることに気付かなかった。



立てば芍薬座れば牡丹喋る姿はマシンガン



次の日、時雨を他のみんなに紹介した。

みんなと言っても5人しかいないのだが全員歓迎しているようだった。



叢雲の提案で能力を見るために時雨を秘書艦に任命することにした。

一応、勤務態度の監視も含めているのだが昨日からの態度を見る限りあまり気にしていなかった。

秘書艦交代する時、叢雲に


叢雲「グッドラック」


と言われたのが気になる所だが、何とかなるだろう。



提督「よし、まずは書類の片付けから…」



と、机に山のように積まれた書類を指差す。

とんでもない量で気が滅入る。

でも今日は最強の助っ人がいる!



時雨「任せてよ!書類作業もお手の物だよ」


提督「ハハハッ、それは頼もしいよ。それじゃ始めよう!」




作業を開始してから20分程経過した。

提督がチラッと横目で時雨の様子を見ると驚くべき早さでどんどん書類を片付けていた。


本当に欠点なんて見つからないぞ…


そんな事を考えているとーー



時雨「…守るも攻むるも黒鐵の〜♪」


提督「?」



時雨が突然、歌を歌い始めたのだ。

静かだと落ち着かないタイプなのだろうか。

提督自身も音楽がある方が気分も乗って作業スピードが上がるので別に気にしなかった。

叢雲が聞いたら怒るだろうけど。



時雨「浮かべる城ぞ頼みなる〜♪」



その声は儚くもあり、力強くもあり、聴いてる者を惹き付けるような声だった。




時雨「浮かべるその城日の本の〜♫」


時雨・提督「皇國の四方を守るべし〜♪」


時雨「…!提督、この歌知ってるの?」


提督「ああ、提督育成学校で聞いたことがあるよ。一度聞いたら耳から離れないんだよなぁ…軍艦行進曲、だっけ?」


時雨「そうそう!通称軍艦マーチ……あ、ごめん、うるさかったかな?」


提督「いや、全然。むしろもっと聴いてたいよ」


時雨「!ありがとう……〜〜♪」


提督(…ホント、綺麗な声だな)



提督は作業の手を止めて聞き惚れていた。



時雨「…ふぅ、懐かしいなぁ。よく西村艦隊のみんなで歌ったなぁ…」


提督「西村艦隊?」


時雨「うん、西村艦隊。知らない?」



提督になれるのは妖精さんが見える極一部の人間のみである。

逆に言えば海軍の事を何一つ知らなくても見えれば素質があると判断されてスカウトされてしまう。

もちろん、育成学校で海軍、艦娘等の事について学んでいくのが史実に関してはそれほど触れずに終わる。

なので提督でも史実は興味があるかないかで知識の量が変わってくるのであった。



提督「あ、えーと、名前は聞いたことあるような?」


時雨「そうなんだ…」



時雨が一瞬、悲しそうな表情を見せる。

しかしすぐに目を輝かせて…スイッチが入った。



時雨「西村艦隊っていうのはね…」


提督「うん?」


時雨「第二次大戦中に海軍が編成した艦隊でね!指揮官は西村祥治中将。だから通称西村艦隊!正式には第一遊撃部隊第三部隊って言って戦艦2隻、重巡洋艦1隻、駆逐艦4隻で編成されたんだ。僕はその4隻の中の1隻として参加してたんだよ!」


提督「へぇ…」


時雨「で、なんで西村艦隊が編成されたのかって言うとこれがちょっと複雑でね…。大戦中の1944年。レイテ沖海戦っていうのがあったんだ。目的は簡単に言うとアメリカを食い止めることなんだ。当時フィリピンは資材物資運搬の関係ですごく重要な拠点だったんだ!これを失うと大変…だから日本はアメリカに打って出ることにしたんだ!これを捷号作戦っていってね。で、まずは部隊を分けたんだ。その時に西村艦隊が編成されたんだ!」


提督「…ぅん」



あぁ、なるほど…

一度喋り出すと止まらないタイプなのかな…

叢雲のグッドラックってこう言うことか。

でも、少し我慢すれば大丈夫だろう。


と、まだ提督は思っていた。

それも長くは続かないのだが…



時雨「それでねそれでね!その西村艦隊に扶桑っていう戦艦がいてね!」


提督「…ふそう?」


時雨「フッ、そう!扶桑!彼女こそ西村艦隊のリーダー的存在…あ、いや、旗艦は山城だったんだけどね。あ、山城は扶桑の妹で…その話は後にしようか。扶桑の話!扶桑は日本独自の設計の初の超弩級戦艦!姿はまさに大和撫子のすごい美人でね!特徴は何と言っても改装されて変な形になった艦橋!なんでかって言うと改装時にうっかり三番主砲を前向きにつけちゃったんだって。そんな所も可愛いよね!違法建築とか言われてるけど僕は大好き!海外でも人気があるんだ!あとね、35.6cm連装砲を6基12門も搭載してるんだよ!まあ、砲塔の位置にちょっと問題があって…でも火力はすごいんだ!それ以外にも魅力はたくさんあってね。例えばーーー」


提督「…叢雲ー!助けてくれぇええ!」



これ以上は持たないと、提督は我慢出来ずに内線で叢雲に助けを求めた。

叢雲が執務室に到着して見たのは半泣きの提督に扶桑の魅力をこれでもかと語り続ける時雨の姿であった。


…結局、扶桑の話は30分位続いた。





後書き

更新しました。
なぜかこういう軽い雰囲気の方が筆が進むんですよね…


はい、史実についてちょっと触れてみました。
間違ってたら指摘をお願いします。

自分は史実に関して初めて踏み込んで学びました。
…やっぱり艦これやってキャラクターを知ってから史実に入るとなんていうか、胸にくるものがありますね。

うーん…




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2017-04-29 19:23:52

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