モモくぼなんですけど……。
森久保の話にモモンガが出てくるだけのお話。
ノリと勢いとモモンガで書いたお話。
アイドルマスターで最初に書くお話がこれとは一体。
こんにちは。森久保乃々です。
アイドルやってます。
事務所の中では一番弱いです。
親戚に騙されアイドルをやる羽目になりました。
騙されくぼなんですけど。
ふふふ。
思わず笑っちゃいました。
ごめんなさい。話がそれました。
それくぼです。
ふふふ。
あ、えと、続きですね。
それで、もりくぼはアイドルをやってまして……。
え?それは聞いた?
や、やってしまったんですけど……。
だ、大丈夫なんですか?
そうですか……。
な、なんか、大丈夫みたい……です。
うぅ、やっぱりもりくぼには辛いんですけど……。
辛くぼなんですけど。
ふふふ。
あ、えと、ごめんなさい……。
こ、このままじゃお話が進まないので、も、もりくぼが頑張って説明するんですけど……!
ま、まずですね、もりくぼはいつものように事務所に行きました。
それで、事務所にはいつも同じアイドルの誰かがいまして……。
あ、もりくぼと同じ扱いはアレですよね……。
もりくぼはそんな可愛いなんて、きゃ、キャラじゃないですし……。
他のアイドルの方とは比べ物にならないのが、もりくぼなので……。
い、いずれはもりくぼもアイドルから一般モブになるかもなので……。
も、もりくぼじゃなくモブくぼになっちゃうんですけど。
ふふふ。
あ、あぅ……た、叩かないで欲しいんですけど……。
ちゃんと説明してと言われても……もりくぼは帰って静かに暮らしたいんですけど……。
あ、わ、わかりました。わかりましたからそんな目で見るのやめて欲しいんですけど……。
じゃ、じゃあ、進めますね……。
そ、それでですね。
もりくぼは事務所について、いつも通りプロデューサーの机の下に入ってですね……。
……何で入るのかですか?
も、もりくぼが表に出ること自体珍しいことなので……。
こ、こうして狭いところに居ないと落ち着かないというか……。
あぅ……せめられくぼなんですけど……。
そ、それで、机の下に居るときにですね……れ、レッスンの時間が来まして……。
も、もりくぼ、今日はちょっと、気分じゃないというか……。
それで、もりくぼは見つかる前に、その、帰ろうと思いまして……。
お隣さんであるきのこさんに、あ、挨拶だけして事務所から出たんですけど……。
しばらくして、もりくぼの携帯に、め、メールが来まして……。
プロデューサーからのメールで、は、早く来いと……。
も、もりくぼは既に外に出てたので、も、戻る気になれなくて……。
それで、ふと、目に入った道を、あ、歩いたんですけど……。
そ、それが、この状況なんですけど……。
「ののちゃんと言うのか。良い名前だな」
森久保乃々の座る骨、モモンガが森久保の名前を褒める。
漆黒のローブに包まれたモモンガの体は肉や皮が付いておらず、あるのは骨のみだった。
巨大な体を持つモモンガの横で、ブルブルと震えていた森久保乃々。
お、おかしいんですけど……。
あの時、ふと、違う道を歩こうかななんて考えたもりくぼをビンタしたいんですけど……!
ど、どう見ても隣に居るこの人は、ひ、ひ、人じゃないんですけど……!
も、もりくぼが何度も話をそらした理由も、こ、これでわかったと思うんですけど……。
……え?ど、どうしてこうなってしまったのか、ですか?
き、聞きたいんですか?
も、もりくぼにそれを聞くんですか?
……い、いじわるなんですけど……。
わ、わかりました。わかりましたからほっぺぷにぷにするのや、やめてほしんですけど……!
で、では、せ、説明します……。
こ、このモモンガという人と会ったのは道に入って数分後のことでした……。
も、もりくぼがレッスンをサボろうと、時間つぶしにと歩いていたんですけど……。
ぜ、前方に体育座りしている人の姿が、あ、あったんです……。
き、気になったもりくぼは、その人の横を通り過ぎる時に、ち、チラッと見たんですけど……。
体育座りしていたその人がかぶっていたフードの隙間から、か、顔が見えてしまって……。
そ、そしたら、もりくぼの目に映ったのが、ほ、骨で……。
も、もりくぼは、パニックになって、えと、その……。
そ、そうです。と、咄嗟に声を出してしまったんですけど……。
その人が、もりくぼの声に気付いて、顔を上げてしまって……。
き、気付いたら、もりくぼはモモンガさんの隣に座っていたんですけど……。
……何で急に座ったか、ですか?
も、もりくぼにもわからないんですけど!
で、でも、ちょっと、悪くない心地よさがありまして……。
そ、それで座っちゃったのかもしれないです……はい。
も、もりくぼはちょろくないんですけど!!
ただ、その、なんとなく、隣に座っちゃっただけなんですけど……。
ふ、不思議な事に、怖い見た目しているモモンガさんから、な、何故か離れられないんですけど……。
お、おかしいですよね。そうですよね。
もりくぼが特別おかしいわけじゃないですよね。そうですよね。
そ、それで、その後どうしたかですか……?
も、もりくぼは普通に帰ってきましたけど……。
え?何もされていないかですか?
得には何も……あ。
な、なんでもないんですけど……。
ただちょっと、……や、やっぱり、なんでもないです……。
き、気になりますか……?
で、でも、ダメです。も、もりくぼは約束、しましたから……。
不思議な体験をしましたが……もりくぼは良い経験をしたと思うんですけど……。
……え?確かに、前と違って表情が違う……ですか?
そ、そうですか。も、もりくぼ、変わってますか。
……ふふふ。
な、なんでもないんですけど。お、乙女の秘密を聞こうとするのは、だ、ダメなんですけど……。
そ、そろそろレッスンの時間なので、も、もりくぼはこれで失礼するんですけど……。
で、では。
ば、ばいばい。
森久保の話を聞いた双葉杏が飴玉を舐めてさっき聞いた話を思い出す。
まぁ、話の内容からして作り話だろう。どう考えても、骨だけの奴なんていない。
多分乃々が見たのはコスプレの人。それも、かなり出来が良かったのだろう。
やれやれ。そう呟いて杏はお気に入りのうさぎのクッションから降りる。
そして同時に、うさぎのクッションの横に置いてある乃々のカバンを見る。
なんだ、乃々、こんなところに置いていっちゃったのか。
めんどくさーと呟きながら机の下に戻してやろうと思いカバンを持ち上げる。
しかし持ち上げた反動で、こてんと、カバンから乃々の携帯が落ちた。
携帯まで置いていっちゃったのか。しょうがない子だ。
杏は落ちた携帯を拾う。そして、なんとなく画面を見てみた。
そこには、目線を外しピースをしている乃々と、ニッコリと笑みを浮かべピースしている骸骨が写っていた――。
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