2017-03-18 23:43:54 更新

概要

男の子と、女の子の、いつかのお話。


前書き

初めてこういうの書きます。優しい目で見てくださいまし。



男の子「いつか、僕は有名になる」


女の子「うん」


男の子「それで、お父さんとお母さんを楽にさせるんだ」


女の子「うんうん」


男の子「それで、女ちゃんも楽にさせる」


女の子「わたしも?」


男の子「うん」


女の子「そっか。楽しみにしてるね」


男の子「うん!」


女の子「それで、どんなふうに有名になるの?」


男の子「え」


女の子「え?」


男の子「……アイス食べてこよっと!」


女の子「あ、待ってよー」





男の子「いつかさ」 女の子「うん」




男の子「いつか、運動神経をよくするんだ」


女の子「うん」


男の子「それで、先生に褒めてもらう」


女の子「うん」


男の子「あとお父さんとお母さんと、弟と、おばあちゃんと」


女の子「うんうん」


男の子「……」


女の子「どうしたの?」


男の子「女ちゃんも、褒めてくれる?」


女の子「うん。わたしが最初に褒めてあげる」


男の子「ほんと!?だったら、僕がんばるよ!」


女の子「わたしも応援がんばるね!」





男の子「いつかさ」 女の子「うん」





男の子「いつか、あのいじめっ子に勝ってやる」


女の子「うん」


男の子「それで、もう皆をいじめないように僕が教えてやるんだ」


女の子「うん」


男の子「そしたら、皆で仲良くする」


女の子「うんうん」


男の子「あいつ狸っぽい顔してるしきっとすぐ仲良くなれる」


女の子「ふふ」


男の子「よーし、がんばって勝つぞー!」


女の子「がんばってね」





男の子「いつかさ」 女の子「うん」





男の子「いつか、今日みたいに卒業する時が来るんだよね」


女の子「うん」


男の子「それで、何年も一緒だった皆と離れ離れになるのかな」


女の子「うん」


男の子「……女ちゃんは」


女の子「私はいるよ」


男の子「え?」


女の子「私はずっと、男君のそばにいるよ」


男の子「……そっか。じゃあ、僕も」


女の子「ほんと?」


男の子「うん。約束」


女の子「ふふ、約束」






少年「いつかさ」 少女「うん」






少年「いつか、同じクラスになりたいね」


少女「うん」


少年「それで、お昼とか一緒に食べようね」


少女「うん」


少年「友達ちゃんと作るんだよ?皆と仲良くね?」


少女「うんうん」


少年「……そろそろ教室に戻らないとだから、手、離してくれないかな」


少女「だーめ」






少年「いつかさ」 少女「うん」





少年「いつか、球拾いから成長してバッターになるんだ」


少女「うん」


少年「それで、ホームランを打ちまくる」


少女「うん」


少年「体力はまだまだだけど、小学校と比べたら少しは成長したし、いけるはず」


少女「うんうん」


少年「だからまずは球拾いを極める!見てて、ここに落ちてる球全部拾ってくるから!」


少女「はい。全部拾ってきたよ」


少年「僕の話聞いてた?」






少年「いつかさ」 少女「うん」





少年「いつか、僕にもモテ期が来ると思うんだ」


少年「うん」


少年「それで、僕と付き合うことになる子と一緒に遊んだり、ご飯食べたりする」


少女「うん」


少年「その時の為に色々準備してるんだけどね」


少女「うんうん」


少年「女ちゃんと一緒に居ると女の子どころか、皆どっか行っちゃうんだ」


少女「不思議だね」


少年「そうだね。……あ、狸君!一緒にご飯でも……何で逃げて行ったんだろう」


少女「不思議だね」


少年「そうだね」







少年「いつかさ」  少女「うん」





少年「いつか、バッターになるって言ったよね」


少女「うん」


少年「それで、ホームラン打ちまくるって言ったじゃん」


少女「うん」


少年「なんと」


少女「うんうん」


少年「見事ベンチ入りしました!」


少女「わー、おめでとう」


少年「驚いた?ねぇ驚いた?」


少女「そうそう、私も野球部のマネージャーになったよ」


少年「」


少女「驚いた?ねぇ驚いた?」


少年「」







少年「いつかさ」 少女「うん」





少年「いつか、同じクラスになろうねって話したよね」


少女「うん」


少年「それで、僕たち二年生になったよね」


少女「うん」


少年「同じクラスになったね」


少女「うんうん」


少年「嬉しいんだけど僕の隣の席はヤンキーちゃんの席だから女ちゃんの席じゃ」


少女「うんうん」


少年「聞いてる?」


少女「うんうん」







少年「いつかさ」 少女「うん」






少年「いつか、運動神経良くなりたいって話したでしょ?」


少女「うん」


少年「それで、昨日体力測定あったじゃん」


少女「うん」


少年「小学生の時と比べられないくらい成長しててね。びっくりしちゃった」


少女「うんうん」


少年「ひょっとしたらさ、本当にレギュラーになれたりして……なんてね」


少女「……」


少年「どうしたの?」


少女「なれたりして、じゃなくて、なろうよ」


少年「え?」


少女「男君ならできるよ。私は男君の事全部知ってるからわかるもん」


少年「……うん。そうだね。なる。僕、なるよ。レギュラー取る!」


少女「うんうん」


少年「でも本当に全部知ってるの?流石に僕の昨日の晩御飯は」


少女「オムライス」


少年「え?」


少女「その前の日は親子丼」


少年「え?」


少女「その前の日は野菜炒めで、その前は」


少年「待って。ねぇ待って」








少年「いつかさ」 少女「うん」






少年「いつか、女ちゃんが休んだ時にヤンキーちゃんが教科書を忘れちゃってね」


少女「うん」


少年「ちょっと怖かったけど机くっつけて教科書見せたんだ」


少女「うん」


少年「そしたら、ヤンキーちゃん意外と面白い子でね。二人で話してたら先生に怒られちゃって」


少女「うんうん」


少年「怖い子だと思ったけどとってもいい子だったよ。だからその振り上げた腕をね」


少女「うんうん」


少年「ヤンキーちゃんも対抗しないで。待って止まって。狸君どこ行くの待って僕を置いていかないで」







少年「いつかさ」 少女「うん」






少年「いつか、馬鹿は風邪引かないって話したじゃん」


少女「うん」


少年「それで、僕は馬鹿だから風邪引かないなって思ってたんだけど」


少女「うん」


少年「見事に引いちゃったね。ごめんね?宿題持ってきてもらっちゃって」


少女「気にしないで。大丈夫?」


少年「うん。ありがとう」


少女「良かった。こっちこそありがとうね」


少年「うん。何に対してのありがとうかわからないけど、とりあえずその落ちてた僕のシャツカバンにしまうのやめようよ」


少女「ふふ」


少年「怖い怖い怖い」






少年「いつかさ」 狸「」





少年「いつか、狸君と仲良くなった時に話したと思うけど」


狸「」


少年「それで、女ちゃんはほんといい子だったんだよ。いや今もいい子だけどね?」


狸「」


少年「でも最近というか、入学してから何か変わったというか」


狸「」


少年「狸君、何か知らない?僕には検討もつかなくて」


狸「」


少年「狸君?」


狸の中から少女「うんうん」


少年「」


少女「びっくりした?」


少年「」





少年「……ハッ!?夢か……」






少年「いつかさ」 少女「うん」






少年「いつか、レギュラー取るって言ってたじゃん」


少女「うん」


少年「それで、昨日監督に呼び出されてね」


少女「うん」


少年「……レギュラー、なっちゃった」


少女「おめでとう」


少年「あはは、ありがとう。でも、これからだね。これからがスタートだ」


少女「うんうん」


少年「ねぇ」


少女「うん?」


少年「ありがとね」


少女「……私も、ありがとう」







少年「いつかさ」 少女「うん」






少年「いつか、モテ期が来るって話したじゃん」


少女「うん」


少年「それで、昨日練習してたらさ」


少女「うん」


少年「後輩の女の子に声かけられてね。告白されちゃった」


少女「うんうん」


少年「でも今は野球に集中したいからちゃんと断っておいた」


少女「うん」


少年「?」


少女「うん?どうしたの?」


少年「いや、なんていうか、嫉妬?みたいにならないかなーって」


少女「大丈夫だよ」


少年「うん?」


少女「男君が絶対断るって、私知ってたから」


少年「」


少女「ふふ」


少年「」







少年「いつかさ」 少女「うん」






少年「いつか、試合に出れるかもって思ってたんだ」


少女「うん」


少年「それで、明日試合じゃん」


少女「うん」


少年「緊張しすぎて眠れない」


少女「うんうん」


少年「だからと言ってね、一人で眠れないとは言ってない」


少女「うんうん」


少年「電話で眠れないんだって言っただけなのに、わざわざお泊り道具持って家に来るとは思わなかった」


少女「大丈夫」


少年「僕としては大丈夫じゃないかなぁ。両親の視線が痛い」







少年「いつかさ」 少女「うん」






少年「いつか、ヤンキーちゃんと話しててさ」


少女「うん」


少年「僕に気があるのかなーって感じでいっつも近かったから緊張してたんだけど」


少女「うん」


少年「まさか狸君の事が好きとは思わなかった。しかも両思いと来た」


少女「うんうん」


少年「……お似合いだよねあの二人。いいなぁ」


少女「……羨ましい?」


少年「んー。そうでもないかな」


少女「?」


少年「だって、僕の側にはいつも女ちゃんがいるから」


少女「」


少年「えへへ。いつもの仕返し」


少女「」


少年「あれ?……息してない」








少年「いつかさ」 少女「うん」







少年「いつか、僕が活躍した試合を両親と弟に見せようとずっと思ってたんだ」


少女「うん」


少年「それで、今日僕は活躍した。皆、喜んでくれるって思ってた」


少女「うん」


少年「でもさ」


少女「……」


少年「生きて見てくれなきゃ、何の意味もないじゃん」


少女「……うん」


少年「……どうしてかな。どうして、今日に限って事故に遭うのかな」


少女「……」


少年「ねぇお父さんお母さん。弟。僕、取ったよ。ホームラン、取ったよ」


少女「……」


少年「僕頑張ったよね?ねぇ女ちゃん、僕、がんばって……うわぁぁぁぁぁぁ!!」


少女「……うん、頑張ったよ、男君は……」


少年「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」











男性「いつかさ」 女性「うん」






男性「いつか、僕がホームランを取った日があったじゃん」


女性「うん」


男性「それで、すごく嬉しくて、そしてすごく悲しい日だった」


女性「……」


男性「あの時思ったんだ。僕の知らないところで、僕の大切な人が亡くなっていくのは嫌だって」


女性「うん」


男性「だからさ」


女性「うん?」


男性「僕と、ずっと、ずっと、一緒に居てほしい。これから先も」


女性「……」


男性「ダメかな」


女性「……昔、約束した事覚えてる?」


男性「一緒にいるって約束?」


女性「うん。その時から、答えは出てたよ」


男性「……そっか」


女性「うん」


男性「……それじゃ、これからもよろしくね」


女性「うん。こちらこそ、宜しくお願いします」















お爺さん「いつか」 お婆さん「はい」






お爺さん「いつか、お前に聞きたい事があったんだ」


お婆さん「はい」


お爺さん「それで、お前は、私と居て幸せだったか?」


お婆さん「……」


お爺さん「こんな小さい頃から一緒に居て、ずっと一緒に歩んで」


お婆さん「……」


お爺さん「お前の好意に気付いたのもあの日以降で、鈍い男で、自分勝手で」


お婆さん「……」


お爺さん「成人してからもお前には苦労ばかりかけて……私との人生は、幸せだったか?」


お婆さん「……貴方」


お爺さん「ん」


お婆さん「かっこつけようとしてますけど、カッコ悪いですよ」


お爺さん「」


お婆さん「貴方だから、私はずっと一緒に居ました。貴方だから、私は今日まで生きてこれました」


お爺さん「そんな大げさな」


お婆さん「いいえ。あの日、私がいじめられているところを助けてくれた貴方。貴方がいなければ、私もここにいなかった」


お婆さん「ありがとう。男君」


お爺さん「……僕の方こそ、ありがとう女ちゃん」


お婆さん「ふふ、久々にその呼び方してくれましたね」


お爺さん「恥ずかしいからもうしないぞ」


お婆さん「うんうん」


お爺さん「そんな顔しても絶対に……待って待って女ちゃん待って怖い」


お婆さん「ふふ」


お爺さん「はぁ、昔と本当、変わらないな」


お婆さん「男君こそ」


お爺さん「……これからも、一緒に居よう」


お婆さん「ふふ……うん」










「いつか」 「うん」




「いつか、僕のお爺さんが昔話をしてくれてね」


「うん」


「それで、お爺さんとお婆さんはずっと一緒に居たんだって。小さい頃から」


「うん」


「すごいよね。僕、感動してね。僕もそうなりたいなって思ったんだ」


「うんうん」


「ねぇ」


「うん?」


「僕たちも、ずっとずっと、一緒に居ようね」


「……ふふ、うん!」





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2017-08-26 00:59:05

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