2018-01-17 06:46:01 更新

【第3話】挨拶回りは計画的に(前編)





秋の風が段々と肌を刺すような冬の風に変わっていく幻想郷。

村を歩く人々達の服装も厚くなり、冬の訪れを益々感じさせる中、紅魔館の主レミリア・スカーレットはある一大決心をし、朝食の時間を借りてその事を使用人や友人を含めた者達に話そうとしていた。


レミリア「星矢の事を他の連中に伝えようと思うわ」


咲夜・パチュリー・小悪魔「はい?」


唐突に新たに紅魔館の使用人として雇った星矢の事を幻想郷に住む者達に紹介すると宣言するレミリア。そして、何の脈絡もなく彼女にそう切り出された他の者達は首を傾げ怪訝そうな表情を浮かべる。


フラン「これ美味しー!」


そんな中で、唯一彼女の妹であるフランドール・スカーレットだけが星矢の作った朝食を摂る事に集中しており、場違いな反応を見せていた。


星矢「あの、お嬢様?紹介とは一体どういう…」


すっかりレミリアの左後ろが立ち位置となった星矢は、身を屈めて彼女の顔に自分の顔を近付けると、先程発した言葉の意味を彼女に問う。


レミリア「こ、ここっ…言葉通りの意味よ…あ、貴方の事を霊夢達に自m……紹介する…それだけよ…」


急に顔を近付けられ、動揺を隠し切れず焦った様子を見せるレミリアは、顔を真っ赤に紅潮させながら何故か一瞬言葉を詰まらせ、視線を逸らした後言い終える。


パチュリー『今、霊夢達に自慢しようとって言いかけたわね…』


小悪魔『星矢さんの事、自慢したかったんですね…お嬢様…』


咲夜『おぜう様可愛い❤︎』


彼女の反応で付き合いの長い者達は大凡の当たりをつけ、自己の中で完結するとパチュリーと小悪魔は溜息を、咲夜は頰を染めたまま鼻血を垂れ流して無駄な指摘はしないよう口を紡ぐ。


レミリア『ふふ…散々私の事を馬鹿にしてきた霊夢達を見返すチャンスよ』


親しい友人や使用人が反応を示す中、レミリアは星矢に見えぬよう細心の注意を払いながら悪魔的な笑みを浮かべ、悔しがる霊夢達の姿が脳裏を過ると無意識の内に笑いが溢れ出る。


星矢『何だかレミリアの様子が…まぁ、可愛いからいっか!』


それを隣で見守る星矢も、彼女の様子がおかしいという事には気付いたものの、結局【可愛い】の一言で全てを片付けてしまい、胸に手を当てて吐息を漏らす。


レミリア『それに、もう直ぐ忘年会も控えてるし、その前に私の将来の旦那様として紹介しておくのが定石よね』


人間達の世界で言う所の元旦。それが幻想郷にも刻々と近付いており、レミリアはその忘年会に彼を参加させる為にも、先ず博麗の巫女である霊夢に紹介をし、認めて貰おうと考えたのだ。

因みに、やはりというか何というか、この理由はあくまで後付けであり、本当の理由はただ単に彼を自慢して彼女達を羨ましがらせようとしているだけなのは言うまでもない。


レミリア「星矢!命令よ!今直ぐ出掛ける支度をして、エントランスまで来なさい!」


逸らしていた視線を星矢の方に向け、右手人差し指で彼を指差しながら命令と称し、レミリアは支度をするよう呼び掛けた。すると…


星矢「御意。お嬢様」


彼は両足の踵を付けて姿勢を正し、右手を自らの胸に当てて主人であるレミリアの意向に従う事を誓い、彼女の命令通り出掛ける支度をする為か踵を返してダイニングルームを後にした。


レミリア「う〜❤︎やっぱり、星矢は素敵だわ❤︎」


右手を頰に当て、トロけた表情を晒して彼の背中を熱い眼差しで見詰めるレミリア。そんな彼女からは、嘗て幻想郷で恐れられていた紅魔スカーレットデビルの姿では無く、異性に恋い焦がれる1人の少女と成り果てていた。


咲夜「くっ…お嬢様とお出掛けなんて、何と羨ましいっ…」


彼が出て行く姿を見送るレミリアを見詰め、咲夜は歯軋りをしながら彼女からお出掛けの誘いをされた事を羨ましいと口にし、拳を握り締める。


パチュリー「でも意外ね。まさかレミィからデートの誘いをするなんて」


咲夜の恨めしそうな態度を他所に、パチュリーは朝食を食べ終えたのかティーカップを手に持つと、口元に運んで特に理由もなくデートという単語を言い放つ。


レミリア「で、デートっ!?」


パチュリー『ふふっ…予想通りの反応ね…』


親友の口から唐突に飛び出したデートという単語に過剰な反応を見せ、途端に顔を真っ赤にしながら焦りを見せ始めるレミリア。

それを見て、パチュリーはティーカップの中の紅茶を口内に流し込むと、不敵な笑みを浮かべてコースターの上にティーカップを置いた。


フラン「にぇーにぇーでーとってはに?」


咲夜「あの…妹様?口の中に食べ物を入れながら喋るのはどうかと…」


そして、過剰な反応を見せるレミリアの妹、フランもデートという単語に食い付き、目の前に座る咲夜にその言葉の意味を問う。

しかし、フランが何を言っているのかも分からず、加えて行儀の悪い喋り方をしている彼女を、紅魔館メイド長の十六夜咲夜は優しく窘める。


フラン「んぐっ…デートって何?」


咲夜の優しいお説教を素直に聞き入れ、口の中に溜め込んでいた食べ物を飲み込んだフランは、改めて疑問を解消しようと首を傾げながら咲夜に質問をぶつける。


咲夜「そうですねぇ…簡単に言うと、好きな相手とお出掛けをする事をデートと言うんですよ」


デートの意味を尋ねられ、口元に手を当てて少しばかり考える素振りを見せた咲夜は、特に難しい言い回しをせず目の前のフランに笑顔を見せながら簡単な説明をした。


フラン「ふ〜ん…じゃあ私、星矢とデートしたい!」


レミリア・咲夜・小悪魔「っ!?」


パチュリー「あら」


すると、デートの意味を理解したのか何度も頷き、口の端から八重歯を覗かせるとフランは何故か勢い良く挙手をし、今この場には居ない彼とデートがしたいという意思を口にして周囲の者達に驚きをもたらす。


レミリア「だ、駄目よ!星矢は私とデートを…」


フラン「それはお姉様の言い分でしょ?私には関係無いもーん」


妹の発言に戸惑い、テーブルを叩いて席を立ったレミリアは何かを言おうと口を開いたが、フランがそれを遮るように言葉を紡ぎ、互いに睨み合って火花を散らし始める。


咲夜「お嬢様だけでは飽き足らず妹様まで…許すまじっ…」


先程よりも強い歯軋りで、目を血走らせて星矢に対して結構な憎悪を抱く咲夜は、視線を移して言い争いを繰り広げるスカーレット姉妹を視界に入れるとガクッと項垂れ、ティーカップへと手を伸ばした。


小悪魔「でも、あれだけ高スペックだとしょうがない気もしますよね?パチュリー様?」


パチュリー「こあ…貴女、高スペックなんて言葉何処で覚えてきたのよ…」


一方、此方の2人もスカーレット姉妹の言い争いには介入せず、主人と使い魔の関係とは到底思えないような和気藹々とした空気で会話をし、朝の時間を過ごしていた。






フラン「えへへ〜❤︎星矢とデートだぁ❤︎」


星矢『なん……だと…』


結局、あの言い争いは着替えが終わり様子を見に来た星矢によって止められ、話し合いの結果3人で挨拶回りをするという事で決まった。

勿論、星矢は彼女達の真意には気付いておらず、このフランのデートという発言に大層驚き、心臓の鼓動を必死に抑えている。


レミリア『うー…せっかく星矢とデートをするチャンスだったのに…』


彼の腰に抱き着き、擦り寄る妹に鋭い視線を向けながら軽く頰を膨らませ、不機嫌そうな紅魔館の主、レミリア・スカーレットお嬢様。

本来ならば、私事に関係無く幻想郷でも1.2を争う危険な能力を持つフランを外出させたくないのが本音なのだが、間に入った星矢に執拗に頼み込まれてしまい、渋々意見を飲む形で彼女の同行を許してしまったのだ。


咲夜「お嬢様。大丈夫ですか?妹様は…」


レミリア「貴女の言いたい事は分かるわ、咲夜。万が一の時は姉の私が責任を取るから、此処は身を引いてちょうだい」


この予想外の展開に、事実上紅魔館を取り仕切っている咲夜も気が気ではないらしく、レミリア自身もそれを重々承知しているのか最悪の場合を想定している考えを示し、その意思を彼女に伝える。


フラン「ねぇねぇ星矢!その籠の中、何入ってるの?」


そんな大事な会話をしているとはつゆ知らず、危ぶまれているフランは星矢が手に持っている籠の中身に興味を示し、彼にその中身を尋ねた。


星矢「これですか?これは挨拶の際に渡すお菓子ですよ」


彼女に尋ねられるまま、星矢はこれから挨拶に伺った際に手渡すお菓子が入っていると伝え、籠を開けて中身を見せる。


フラン「お、お菓子がいっぱい…美味しそう…」


すると、籠の中には大量のクッキーやパウンドケーキなどが綺麗に並べられており、その光景を目の当たりにしたフランは香ってくる甘い匂いを嗅いで涎を垂らし、人差し指を加えながら真紅の瞳をこれでもかと輝かせた。


星矢「フランお嬢様はついさっきケーキを食べたばかりなのでお預けです」


フラン「ぁ…」


彼女の視線で何を考えているのか一瞬で理解した星矢は、朝食のデザートを食べた事をフランに告げると籠の蓋を閉め、お菓子が並べられた光景と甘い匂いを断って彼女の誘惑を断ち切ろうと試みる。


フラン「う〜…」


星矢「くっ…」


ウルウルと瞳を潤ませ、上目遣いで星矢の事を見詰めるフランの周りからは、目の錯覚なのだろうが煌びやかなオーラが溢れ出ており、彼は堪らずグラついてしまう。


星矢「ぐぐっ……ひ、1つだけなら…」


フラン「っ!わーいっ!星矢大好きー❤︎」


心の中で凄まじい葛藤を繰り広げた末、星矢が下した決断はフランを甘やかしてしまう結果となってしまう。


星矢『嗚呼っ…至福っ……でも、俺って結構甘いよな…』


しかし、彼からすれば彼女に抱き着かれて尚且つ好感度も上がり、結果オーライなのだろう。それでも、自分の甘さには一応思う所はあるらしく、素直に喜べないといった複雑な心境を抱えていた。


レミリア「うーっ…またフランに甘えられて鼻の下伸ばしてっ…」


咲夜との話し合いに区切りを付け、星矢の方に視線を移したレミリアは、自分の妹に擦り寄られて鼻の下を伸ばす彼の姿を目にし、可愛らしく頰を膨らませてヤキモチを焼く。


星矢「それではそろそろ行きましょうか。天気は曇りですが、念の為にと日傘をご用意させて頂きましたので、此方をどうぞ」


フラン「わーい!ありがとーっ!」


餌付け&至福のひと時を終え、今回のお出掛けの為だけに用意したフラン専用の日傘を手渡すと、フランの元気な声と共に扉の方へと歩き出す。


レミリア「それじゃあ行ってくるわ」


咲夜「お気を付けて」


それを受け、レミリアも出掛けの挨拶を咲夜に述べると2人の後を追って歩き出し、フランとは真逆の右側の位置に陣取って歩調を合わせる。


星矢「さて、と…レミリア。先ずは何処に挨拶しに行くんだ?」


扉から出て周囲には自分とレミリア、そしてフランしか居ない事を確認した星矢は、レミリアの言い付け通り素の喋り方に戻り、彼女に行き先を問う。


レミリア「そうね…先ずは博麗神社よりも近い永遠亭に行きましょ」


吸血鬼の弱点である太陽の光を避ける為、入念に天気の確認をしながら彼の問いに答えたレミリアは、どうやら行き先を永遠亭に定めたようだ。


星矢「と、いう事は…魔法の森を抜けるって事か?」


レミリア「そうなるわね。さぁ、行きましょ」


現実の幻想郷の地理に全く詳しくない星矢は、咲夜やパチュリーから聞かされていた地理を元に魔法の森を抜けて行くのかとレミリアに問い、彼女はそれに答えると自然な流れで彼の手を握り、歩き出した。


星矢「れ、れれ…レミリアっ…」


レミリア「な、何よ…ほら!早く行くわよ!」


選択肢も出現しないいきなりのイベント突入に焦り、額に汗を浮かべながら彼女の名前を呼ぶ星矢。すると、レミリア自身もかなり勇気のいる行動を起こした為か、頰を真っ赤に紅潮させて彼に早く歩くよう促す。


星矢「う、うっす…」


彼女が声を荒げ、星矢は力無く返事を返すと手を引かれるまま歩みを始め、美鈴が守る正門の所まで歩いて行く。

こうして、星矢とスカーレット姉妹の挨拶回りの幕が上がる。だが、この後彼等には数多の試練が待ち受けていたのだ。主に、紅魔館の主であるレミリア・スカーレットに…



幻想郷(魔法の森)



フラン「デート❤︎デート❤︎星矢とデートっ❤︎」


レミリア『う〜❤︎いつか、星矢と2人きりで夜の幻想郷を歩き回りたいわ❤︎…』


幻想郷の憂鬱そうな天気とは裏腹に、いつの間にか彼に肩車をして貰い、適当な音程で今の気持ちを表現するフランと、彼の右手をしっかりと握り、既に今後の妄想で頭がいっぱいなレミリア。

この2人の共通点と言えば、彼を強く想いながら永遠亭を目指しているという事だけだろう。しかし、それは彼女達だけではなく彼も同じようで、星矢はだらしのない表情を浮かべながら存分にスカーレット姉妹とのデートを楽しんでいるようだった。


星矢『ていうか…今思えば1ヶ月以上幻想郷に滞在してはいるが、こうして幻想郷を回るのって初めてだな…』


木々の生い茂った豊かな自然に触れ、改めて自分が幻想郷に来ているのだと実感した星矢は、同時に幻想郷を見て回った事が無かったと思い、物珍しそうに周囲を見回す。


フラン「ねぇ星矢!お外って楽しいね〜?」


星矢「そうだなぁ…まさか空気がこんなに美味しいとは思わなかった…」


彼の頭をポンポンと軽く2回叩き、初めて出た外の世界に大興奮といった様子で問いかけるフランに対し、息を吸って幻想郷の澄んだ空気を肺に取り入れた星矢は彼女の意見に同調する。


フラン「星矢の髪って長いのにサラサラしてるね?お手入れとかしてるの?」


星矢「い、いや…特には…」


次にフランが振った話題は、肩車をして貰った故の必然とも言える髪の毛についての話題であった。

しかし話題を振って貰った上に褒められたにも関わらず、肝心の星矢は何故か頰を染め、素っ気ない答えを返すだけだった。


星矢『フランの胸が後頭部に…』


彼がフランに対して素っ気ない態度を取ってしまった理由。それは、フランが自分の頭を抱き抱える度に訪れる柔らかい感触の所為であり、決して鬱陶しいとか思っての事ではない。


レミリア『う〜っ!またフランにばかり現を抜かしてっ…それ位、私だって…』


再び妹に甘えられて鼻の下を伸ばす最愛の男性に、怒りと嫉妬がぶつかり合い化学反応を起こして狂化してしまいそうになるレミリア。

だがそこは大人の淑女。無闇矢鱈に声を荒げて品格を落とすような真似はせず、彼女は妹であるフランと同じ土俵に立って勝負しようと思い立つ。


レミリア「せ、星矢❤︎…その、もっと私の近くに寄りなさい❤︎…」


星矢「えっ…あ、あぁ…」


自分の胸を押し当て、手を握るのではなく星矢の腕に直接抱き着くという大胆なアピールで、レミリアは彼の心を揺らしに掛かる。


星矢『れ、レミリアの体…何だかプニプニしてて気持ちいいな…いや、別に太ってるとかそういう意味じゃないが…』


レミリア『お、おかしいわ…もっと動揺してくれてもいい筈なのに…』


レミリアの思惑通り見て分かる程の動揺ぶりを発揮する星矢であったが、彼女の期待していたものとは少し違ったらしく、やや不満そうに口を尖らせる。そして、彼女はある1つの仮説に至った。


レミリア『……もしかして私…フランよりも胸が…』


自分のすっとんとんでぺったんこな胸を見詰め、普段のフランから体型を予想し始めたレミリアは、自分の胸が妹よりも劣っているのではと急に不安と焦りを募らせた。


レミリア『だ、大丈夫よ…私だってまだまだ成長期だし、これから大きくなる筈だわ…』


吸血鬼の成長期が何百年単位であるかは定かではないが、レミリアは自分に言い聞かせるように心の中で呟き、鼓舞する。

しかし、仮に彼女が成長して夢の豊満ボディを手に入れたとしても、その時には彼が寿命で亡くなっている可能性が高いだろう。


レミリア『でもその前に、私の実力で何とか星矢を私だけのモノに…』


自分の体型云々の前に、先ずは彼を自分だけのモノにしようと画策するレミリアは、永遠亭に到着する前に関係を良好にするべく、新たな作戦を実行に移す。


星矢『さっきから無言で抱き着いてるが…これは一体どう捉えればいいのか…』


身長差が倍以上ある自分の腕に抱き着き、無言を貫くレミリアのこの行動を受け、どう捉えたらいいのかと困り果てている星矢は、楽観的な発想などはせず敢えて慎重になり、思考を巡らせる。


レミリア『ま、先ずは…私の指を星矢の指に絡めて…』


星矢「ッ…」


そんな彼の思考を乱すレミリアの新たな作戦。それは、自分が彼を異性として強く意識している事を知らせる為の作戦であった。

そして彼女のこの作戦を受けた星矢は、一瞬体を跳ねさせると体を強張らせ、途端に動きがぎこちなくなる。


レミリア『次は、このまま星矢の腕に何度か頬擦りを…』


星矢「っ…ッ!」


愛おしそうに何度も柔らかい頰を彼の腕に擦り付け、大胆且つ猛烈なアピールを仕掛けていくレミリア。すると、彼女が頬擦りに星矢は堪らず体を反応させ、彼の肩に乗るフランにも影響が出始めた。


フラン『うぅ…星矢の首がお股に当たって、えっちな気分になっちゃう…』


星矢が体を跳ねさせ、その振動によって段々と頰を赤らめていくフランは、気恥ずかしさと後ろめたさの板挟みに遭い、複雑な心境を抱く。


フラン『それに、星矢って髪の毛もいい匂いだし…こうやって抱き着いてると、抱き締められた時の事思い出しちゃって…』


だが、彼女はこの高揚感が以前自室で星矢に抱き締められた時のものと似ている事に気付き、ふとその思い出に浸りながら彼の頭を抱き抱えて俯いてしまう。


星矢「ふ、フラン?どうかしたのか?」


先程からずっと足をパタパタ、羽をパタパタさせていたフランが急に大人しくなった事で違和感を覚えた星矢は、やや心配そうな表情で上を向きながら質問をぶつけた。


フラン「えっ!?べ、別に何もないよ!?元気いっぱいだよ!?」


突然声を掛けられた事に驚き、両手を勢いよく振って焦りを露わにするフランは、その反応とは真逆に特に何もないと告げて何とか彼を安心させようとする。


星矢「そ、そうか…ならいいんだ…」


妙に挙動不審な動きをしている。そう怪しむ星矢であったが、此処でも彼はフランに対してそれ以上の追求をしようとはせず、グッと言葉を飲み込み自己の中だけで完結を終えた。何故なら、嫌われたくないからである。


レミリア「星矢!貴方の主人は私の筈よ!もっと私に構いなさいっ!」


星矢「そ、そう声を荒げるなよ…」


レミリア「う〜❤︎」


妹に星矢を取られてしまうと焦り、彼の腕に抱き着いていた力を咄嗟に強めたレミリアは、声を荒げてはいるものの無意識の内に自分の気持ちを素直に伝え、見事彼から撫で撫でをして貰う事に成功する。


レミリア『ふふ❤︎…やっぱり星矢の手は暖かいわ❤︎…』


大きな手の平が髪を掻き分け、頭皮で彼の温もりを堪能するレミリアは、頰を染めながら自然と顔を綻ばせ、自分の心が満たされていくのを感じていた。


フラン『ふんっ…いーもんいーもん!私は星矢の頭に抱き着くからっ!羨ましくなんかないもんっ!』


幸せそうな姉の表情を目の当たりにし、頰を膨らませて一気に不機嫌そうな表情に変わったフランは、今の自分の立ち位置が恵まれていると自分に言い聞かせ、先程よりも強く彼の頭を抱き抱える。


星矢『俺、こんなに幸せでいいのだろうか…』


憧れの存在であるレミリアにこれでもかと強く抱き着かれ、それだけではなく自分から頭まで撫でてしまっている現状。

更に、フランには肩車をしている為首には彼女の柔らかい太腿の感触が伝わり、オマケに後頭部には微かではあるがこれまた柔らかいモノが押し当てられている。

そんな満ち足りた状態で、星矢は天にも昇る心地を味わいながら地面に置いた籠を手に取り、再び3人で永遠亭に向かって歩き始めた。


星矢「此処が迷いの竹林か…中々雰囲気がある場所だな…」


あの後実に15分程。彼等3人は更に歩き続け、永遠亭があるとされる迷いの竹林へと到着した星矢とレミリア、そしてフランは、竹が生い茂る道を見詰めながらその場で立ち尽くしていた。


フラン「へぇ〜これがタケノコが成長した姿なんだぁ…凄くおっきいね」


夕食として出されるタケノコは目にしても、成長した姿を生で見るのが初めてなフランは、物珍しそうな表情を浮かべる。


レミリア「道は私が覚えているから安心しなさい。さ、行くわよ」


幻想郷の聖地巡礼の旅をしているかのような錯覚に囚われる星矢と、初の外出で様々な物を見て興奮するフラン。そんな2人を見て、先を急ぐレミリアは彼の手を引っ張ると、そのまま躊躇うことなくズカズカと竹林へと足を踏み入れた。


フラン「ウィーンガシャン!ウィーンガシャーン!」


星矢『なるべく髪の毛は引っ張らないで貰いたいんだが…』


レミリアに手を引かれるまま迷いの竹林を歩いて行く星矢。そして、そんな彼に肩車をして貰っているフランは、遂に変わり映えのしない風景に飽きたのか両手で彼の長い髪を掴み、まるでロボットを操縦するかの如く上下左右に動かす。


レミリア『フッ…やっぱりフランはまだまだお子様ね。そんなんじゃ星矢は落とせないわ』


妹の幼稚な振る舞いに余裕のある笑みを溢し、レミリアはそのような振る舞いをしていては彼を落とさないと心の中で呟く。


星矢「フランは元気だなぁ。やっぱり外に出られたのが嬉しいのか?」


顔を僅かに上へ向け、未だに髪の毛を操縦桿代わりにしている上機嫌なフランに疑問を投げ掛けた星矢は、やはり好意的に見ている女性の機嫌が良いからか口が緩み、自然な笑みを浮かべている。


フラン「うんっ!あ、でも…星矢は五月蝿い女の子とか、その…嫌い?」


彼の質問に右腕を大きく伸ばして元気良く答えるフランだったが、彼女はふとこれまでの自分の行動を振り返り、嫌われてしまったのではと急にしおらしい態度になる。


星矢「まさか。フランみたいに元気一杯な女の子、俺は好きだぞ?」


フラン「っ❤︎…え、えへへ〜❤︎」


しかし、星矢の好きなフランはあくまで無邪気で元気良く振る舞っているフランである為、彼は自分の気持ちを素直に曝け出すと、左手を伸ばして肩に乗る彼女の頭を優しく撫で、同時にフランも幸せそうな表情を浮かべる。


レミリア『そ、そんなっ…』


彼の衝撃的なカミングアウトによって、脳天に雷が落ちたかのような錯覚に囚われたレミリアは、歩みを止めてその場で立ち止まると、小さな口を開けたまま放心してしまう。


レミリア「う、う〜…う〜…」


星矢「ど、どうしたレミリア?大丈夫か?」


妹に星矢を取られてしまう。その警報音が頭の中で鳴り響き、唸り声を上げながら力無く左右に揺れ動くレミリア。

そんなレミリアの異変に気付き、自分の発言が元でこうなってしまったと知らない星矢は、自分の手を握る彼女に優しく声を掛ける。


フラン「お姉様がポンコツロボットになっちゃった…」


星矢『実の姉をポンコツ呼ばわりするとはっ…何て恐ろしい妹だっ…』


影で実の姉を彼奴呼ばわりしている妹、フランドール・スカーレットは、レミリアが放心状態なのをいい事に彼女をポンコツと呼び、その言葉を聞いた星矢は一昔前の少女漫画の如き顔でリアクションを取る。


星矢「こうなったら仕方ないな…少し危ないが、レミリアを抱っこしながら行こう…」


レミリア「う〜…」


未だユラユラと小さく体を揺らし、動揺しているレミリアを右腕のみでゆっくりと抱き抱える星矢。

すると、彼の体にはレミリアの幼い体が押し付けられ、一瞬顔を赤らめて心を揺さぶられる錯覚を起こす。


星矢「よ、よしフラン…しっかり掴まってろよ?」


フラン「はーい♪」


右腕でレミリアを抱え、左手にはこれから訪れる先に居るであろう者達の為に用意した差し入れを持ち、星矢は自分にしっかり掴まるようフランに注意を促す。


星矢「せー…のっ!」


フランの元気な返事を聞き、口の端を僅かに吊り上げる星矢。すると、彼は何を思ったのか深く腰を落すと両足に力を込め、そのまま一気に驚異的な跳躍力で上空へと飛び上がった。


フラン「わーい!高い高ぁーいっ!」


澄み渡る青空。では無く、太陽の光など微塵も感じさせない曇り空を舞う星矢と気絶するレミリア。

そして、長年空を飛ぶ感覚を忘れていたフランはとても楽しそうな表情で周囲に目を向け、心ゆくまでその情景を堪能しているようであった。


星矢「おーいフラン。何かソレっぽい建物とか見えないか?」


右腕のみで抱き抱えるという不安定な状態の為か、星矢はレミリアから目を離す事が出来ず、代わりに周囲を見回しているフランに永遠亭捜索の任を預ける。


フラン「う〜〜ん……あっ!あったよ星矢!そのまま真〜っ直ぐ行った所にお化け屋敷みたいなのがあるっ!」


その時、先程まで自分達が歩いていた道の遥か前方に、雰囲気のある純和風な建物が目に入り、フランは彼の頭を両手で叩きながらその事を伝えた。


星矢「よし…このまま真っ直ぐだな…よっ!」


彼女の指示を受け、落下に身を任せていた星矢は迷いの竹林を覆う竹に着地すると、自分達の重さで竹が折れる前に次の竹まで飛び移り、それを何度も繰り返して永遠亭を目指し始める。


フラン「わぁーっ!!星矢すっごい!かっこいー!忍者みたーいっ!」


そんな彼の驚異的な身体能力が織り成す移動方法を目の当たりにし、フランは彼を忍者みたいだと称しながら褒め、体を密着させる抱き着き方をする。


星矢『YESっ!これでフランの好感度も上がったぁ!』


フランに抱き着きながら褒められ、鼻から勢い良く息を吐く星矢は、自分に対する彼女の好感度が上がった事を実感し、満ち足りた気分に浸る。

しかし、彼女の好感度が既にMAXに近いという事に、彼自身はまるで気付いていないのであった。



幻想郷(永遠亭前)



星矢「到着…っと…」


レミリアとフラン、そしてお土産を抱えたまま迷いの竹林から勢い良く飛び出した星矢は、永遠亭の前に無事着地し、目的地への到着を果たす。

今、彼等の目の前にある建物は先程フランが見付けた純和風の建物があり、近くで見ると中々に不気味な雰囲気を醸し出していた。


フラン「あー面白かったぁ!」


星矢「ふ、ふふ…」


星矢の大胆で軽快な移動方法が余程気に入ったのか、未だに笑顔を見せるフランは満足そうに彼の肩から降り、思い切り背伸びをする。

その姿を横目に、星矢は彼女の太腿の感触を思い出して鼻の下を伸ばすと、気持ちの悪い表情と声を漏らした。


星矢「っ!!?い、痛てててっ!?」


だがその時、突然右の頬に激痛が走り、星矢はお土産の入った籠を離す訳にもいかず声を上げながら体を揺らして痛みを露わにする。


レミリア「う〜っ…何鼻の下伸ばしてるのよっ…」


星矢「れ、れみひあっ…ごはいだっ…」


右の頬に訪れた激痛の正体。それは、気絶した筈のレミリアによるもので、彼女は自分の頰を目一杯膨らませて抱っこをして貰ったまま彼の頰をこれでもかという位の勢いで抓っていたのだ。


「随分と楽しそうね?良かったら私も混ぜて貰える?」


レミリアが星矢の頰を抓り、フランが姉の暴挙(?)を止めるべく奔走する最中、彼等3人の元へと歩み寄ってくる1人の少女の姿が在った。


星矢「おや…頭にウサ耳を付けた女性にお声を掛けて頂けるとは…指名料金と延滞料金はお幾ら程でしょうか?」


2人きりの時、若しくは自分とフランだけの時にはタメ口で会話をする。その条件が無くなり、自分達の方へ歩み寄って来るウサ耳少女に敬語で話し掛ける星矢は、妙に神妙な顔付きをしていた。


「料金?そんなの要らないよ。だって…」


顔を俯かせたまま言葉を紡いでいく少女。足元に届きそうな程長く、美しい薄紫色の髪を風に靡かせ、服装は丁度彼もよく知っている学生服のような格好をしていた。


「私は貴方が狂う姿が見れれば、それだけで満足なんだから!」


俯かせていた顔を上げ、吸い寄せられるかのような真紅の瞳を光らせた彼女は、右手の人差し指を突き出した状態で彼に向け、次の瞬間には指先から弾丸のような物が飛び出す。


星矢「フランお嬢様。申し訳ありませんがレミリアお嬢様を宜しくお願いします」


レミリア「うーっ!?」


しかし、目の前の彼女が顔を上げた時、戦闘の気配を逸早く感じ取った星矢は、フランに向かってそう告げると抱き抱えていたレミリアを優しく放り投げ、左手に持っていたお土産の入った籠も殆ど同時に地面へと置く。


フラン「えっ…ちょ!ふぎゃぅ!?」


宙を舞うレミリア。その姿が自分の方へ向かって来るのを、フランは緩やかな時間の中で眺めていた。

無論、その間は2秒にも満たない僅かな時間であった為、彼女は無残にも姉の体によって地面に押し潰されてしまう。


星矢「幻想郷の挨拶の仕方が、こんなにも物騒だとは知りませんでしたよ…」


以前、紅魔館の地下室の一室で保管され、フランから手渡された紅い刀身をした禍々しく、不気味な刀。

実はあの一件以降、星矢はレミリアに状況報告をし続けており、今もその刀を抜き放った状態で自らの前で構え、少女の指先から放たれた銃弾らしきものを見事に弾き飛ばしていた。


「へぇ〜…人間の男にもマシな剣使いって居たんだ…」


構えていた右腕を下ろし、関心したかのような表情でそう呟く彼女であったが、それはまるで皮肉を言っているように聞こえ、星矢は眉を動かすと顔を顰めて少女を睨み付けた。


レミリア「ちょ、ちょっと鈴仙!いきなり何するのよ!」


星矢に投げ飛ばされ、フランを下敷きにして事無きを得たレミリアは、そのまま実の妹を下敷きにした状態で彼の前に立つ少女を怒鳴り散らす。


鈴仙「何さとぼけちゃって。本性を現して幻想郷侵略に打って出た癖に」


レミリア「はぁ?」


下ろした右腕を再び上げ、今度はレミリアに向かって右手人差し指を構えた鈴仙は、彼女を睨み付けると幻想郷侵略に打って出たと口にする。

一方、唐突に身に覚えのない事を言われたレミリアは、呆れた表情で首を傾げながら声を漏らす。


鈴仙「大方、そこの人間を利用して師匠に何かの薬を作って貰おうって腹だろうけど…私が出てきたからにはそうはいかないわよ!」


どうやら、彼女は本気でレミリアが何かを企んでいると思ってるらしく、星矢とレミリアに人差し指を交互に向けながら言葉を紡ぎ、万全な戦闘態勢を取る。


星矢「レミリアお嬢様…どうやら彼方の方は少々頭が残念な方のようですね…」


自信満々の表情で盛大な鼻息を漏らし、此方を見詰めるウサ耳少女に対して、星矢はレミリアとダウンしているフランに近寄ると、レミリアの耳元で小さくそう呟く。


レミリア「そ、そそっ…そうねっ…ポンコツにも程度というものがあるわっ…」


彼の吐息が耳に当たり、声が優しく鼓膜に響くと、途端にレミリアは顔を真っ赤にしながら体を捩らせ始め、かなり動揺した様子で鈴仙を貶す。


鈴仙「しかもあの噂に名高い妹ちゃんまで連れて来るなんて、今度は本気みたいだね。吸血鬼」


地面に仰向けの状態で気絶するレミリアの妹、フランドール・スカーレット。どうやら鈴仙もフランの事は少なからず耳にしているようで、彼女は口の端を吊り上げると気絶したフランに指先を向けた。


レミリア「勘違いも甚だしいわね。此処まで来るといっそ清々しいわ」


幻想郷侵略などという馬鹿げた夢はとうに捨て去り、今では使用人である星矢を追い掛ける事に没頭しているレミリアは、鈴仙の考えを勘違いだと一蹴して鼻で笑って見せる。

無論、これで鈴仙の誤解が解ける筈も無く、彼女はフランに指先を向けたまま動かない。


星矢「即刻その物騒な人差し指を下ろして頂けませんか?見ていてとても不快なのですが」


未だフランに照準を合わせたままの鈴仙に対し、武力行使を辞さない考えの星矢は言葉を紡ぎながら左足を強く踏み締めると、左手で刀の柄を握り構えに入った。


レミリア「一応私も忠告しておくわ。鈴仙、星矢は貴女よりも遥かに強いわよ?」


星矢が構えに入った瞬間にその場を支配するナニカに、鈴仙が僅かに身を引くと、口の端を吊り上げたレミリアが自信満々の表情でそう言い放ち、彼女の精神に揺さ振りを掛ける。


鈴仙「ぷっ…あはははははっw!何その忠告、冗談が随分と上手くなったねw!」


ドヤァという擬音と共に自信に満ちた表情を晒したレミリアの忠告を、鈴仙は一笑に付すどころか涙を浮かべながら腹を抱え、大きな笑い声を轟かせ始めた。


レミリア「星矢…命令よ。あの兎を今直ぐバラしなさい…」


星矢「レミリアお嬢様…気持ちは分かりますがどうか落ち着きになって下さい…」


この態度に怒りを覚え、眉間に皺を寄せて目付きを鋭くしたレミリアは、体をプルプルと小刻みに震わせながら星矢に命令を下し、星矢は星矢で構えを解いて彼女を宥めに掛かる。


フラン「ふみゅ〜…お姉様重過ぎ…まだ体が痛いよ…」


と、その時。先程からずっと気絶していたフランが漸く目を覚まし、頭を抱えながら上半身を起こして何やらブツブツと呟いた。


星矢「フランお嬢様!良かった…目を覚まされたのですね?」


自らが招いた惨劇の後ろめたさと、鈴仙に狙われていた事を受け、星矢は瞬時にフランの元へと駆け寄ると右手で彼女の背中を支え、声を掛ける。


フラン「星矢ぁ…抱っこしてぇ〜…」


星矢「ぎょ、御意ッ…!」


するとフランは、体の痛みと動く事が怠いのか、上目遣いで両手を広げながら彼に自分を抱っこして欲しいと甘い声で伝え、胸を高鳴らせた星矢は咄嗟に二つ返事でOKしてしまう。


レミリア「ちょ、ちょっと星矢!何してるのよっ!」


フランの要望に応え、抜き放っていた心の刀を鞘に収めた星矢。勿論、これをレミリアが受け入れる訳もなく、彼女は声を荒げて彼の方へと詰め寄っていった。


鈴仙「そうそう。人と戦ってる最中に抱っこなんて、相手ナメてるとしか思えない態度よ?」


この事については鈴仙もレミリアに同意見なのか、納得といった表情で両腕を組み何度も首を縦に振る。

何故なら、彼女は一応門番的な立ち位置で此処に存在している訳で、ナメられてしまっては元も子もないからだ。


レミリア「フランを抱っこするなら私も抱っこしなさいっ!」


しかし、レミリアが声を荒げた理由は彼の戦闘をする姿勢云々ではなく、妹だけに甘い顔をしている事に対してであった。


鈴仙「えっ!?そっち!?違うよね!?もっと指摘する部分あるよね!?」


これには鈴仙も驚きを隠せず、彼女は鼻の下を伸ばした星矢の空いた左腕によって抱き抱えられるレミリアに激しいツッコミをぶつける。


レミリア「他に指摘する所なんてないわっ!まさか鈴仙、貴女にはこれ以上に指摘しなければならない部分があると言うのっ!?」


鈴仙「え、えー…」


恋は盲目という諺を地で行くレミリアは、要望通り星矢によって抱き抱えられた事に満足すると共にツッコミを入れてきた鈴仙に激昂し、彼女は思わず力無く言葉を漏らした。


星矢「ご安心下さいお嬢さん。戦闘は変わらず続行という形を取らせて頂くので」


レミリアと鈴仙が言い争いを繰り広げる中、星矢は両手が塞がった状態でも尚戦闘続行の意思を伝え、満足感を得ているからか笑顔を見せる。


鈴仙「両手を塞いだ状態で私と弾幕対決?もう完全に私の事ナメてるね」


彼の両手が塞がった状態での戦闘続行の意思を受け、鈴仙は顔を痙攣らせながら額に無数の怒りマークを浮かべ、右手の人差し指を星矢の顔面へと向けた。


星矢「ナメているなどと言われるのは心外ですね。寧ろ、この状態が私の本気と言ってもいいでしょう」


鈴仙「は?」


彼女が憤りを露わにしていると、星矢はそう思われるのは心外だと口にし、更にはこの状態こそが自分の本気である事を告げる。

無論、彼が何を言っているのか到底理解出来ない鈴仙は、表情を崩さず首を傾げながら声を漏らす。


星矢「行きますよ?レミリアお嬢様。フランお嬢様」


レミリア「アレをやるのね?いいわ」


フラン「レッツゴー!」


すると、星矢は抱き抱えているレミリアとフランの名前を呼び、その声に応えた2人はというと、徐に片手を前に突き出して悪魔的な笑みを浮かべた。


鈴仙「ちょっと…まさか…」


突き出された手を見て漸く彼等3人が何をしようとしているのか理解した鈴仙は、額に浮かんだ汗が頰を伝って地面に落ちた瞬間、足を一歩後退させる。だが、時既にお寿司である。


星矢「GATE OF…BABYLON…」


清々しい程のキメ顔。何処かで聞いた事のある技名と共に、レミリアとフランは大量の弾幕を鈴仙に向かって一斉に放つ。


鈴仙「ちょちょちょ!ちょっとタンマっ!!」


弾幕が自身に被弾するその瞬間まで、鈴仙は決して諦めなかった。

しかし、2人の吸血鬼によって放たれた弾幕、巻き起こる土煙、凄まじい轟音によって、彼女の叫びは無情にも掻き消されてしまった。


星矢「レミリアお嬢様、フランお嬢様。もう大丈夫そうですよ」


やがて、1分に満たない僅かな時間が経過し、星矢がレミリアとフランに弾幕を放つのを止めるよう促す。

舞い上がった土煙に辺りは包まれ、先程まで叫んでいた鈴仙の声も今は聞こえず、何事も無かったかのように沈黙を貫いていた。


鈴仙「」


体から煙を上げ、黒焦げとまではいかないが大分焦げ付いてしまった鈴仙は、無言で地面に突っ伏し未だ沈黙を貫く。


レミリア『ふふふふ…星矢が私を頼ってくれたわ!他でもない、この私を!』


自分とは反対側で抱き抱えられる妹の存在を無視し、あくまで自分だけが頼られたと喜びを露わにするレミリアは、敗北を喫した鈴仙に微塵も興味を示すことなく、星矢の体に自身の体を預ける。


フラン「あースッキリしたぁ…弾幕対決ってやっぱり楽しいね!」


一方、彼女の妹様はというと、久し振りの弾幕放出によって更にストレスが発散されたのか、外を連れ出してくれた星矢にしっかりと抱き着き、此方も姉と同様に喜びを露わにしていた。


星矢「しかし、何で此奴は碌に話も聞かずに襲い掛かってきたんだ?」


レミリアとフランを抱き抱えたまま、星矢は返り討ちに遭い地面へと突っ伏し微動だにしない鈴仙を見下ろしながら口から疑問を溢す。


レミリア「吸血鬼は嫌われ者なのよ。それに、私と咲夜は以前此奴らの異変を止めから」


その疑問に対し、レミリアは彼と同じく地面に突っ伏す彼女を見下ろしたまま、確信に近い自分の見解を述べる。

どうやら、永夜異変の際には咲夜と共に異変解決へと乗り出していたらしい。


星矢「嫌われ者って…こんなに可愛いのにな」


すると、異変解決云々よりも嫌われ者という部分に反応を示した星矢は、自身の両腕で抱き抱える彼女達2人の愛らしさが分からないのかと心の中で嘆き、溢れんばかりの気持ちを正直に言葉にする。


レミリア「うー…面と向かって言われると恥ずかしいわ…」


フラン「えへへ〜❤︎」


星矢の正直な気持ちに心惑わされ、照れながらもしっかりと擦り寄るレミリアとフラン。

当然、2人にこんな事をされて彼が惑わされない訳もなく、星矢は唇を噛み締めながら必死に理性を保つ。


星矢「さて、門番的な立ち位置の奴がこの態度って事は…中の連中は相当だって事だよな…はぁ〜あ…」


目の前に聳え立つ純和風の奇妙な館。

それに向き直り、どうしたものかと頭を悩ませる星矢は、館内に居るであろう者達との戦闘を考え、思わず溜息を漏らしてしまう。


レミリア「何を悩んでるのよ。フランと互角に渡り合った貴方なら楽勝じゃない」


星矢「いや…そういう問題じゃなくてだな…」


あくまで平和的な話し合いしにこうして永遠亭へと赴いている星矢は、不思議そうな顔で覗き込んでくるレミリアに僅かながら呆れ、改めて幻想郷がどのような場所であるかを認識する。

彼も一応それらを理解していた筈なのだが、彼が理想としていたのは殺伐なウキウキライフではなく、和気藹々としたほのぼのライフなのだ。


フラン「それじゃあ星矢。襲われる前にこのお屋敷、ドカーンってしちゃう?」


星矢「それは1番やっちゃいけない事だぞ?フラン」


と、その時。星矢が悩んでいるのを察知したフランは、やられる前にやるという精神の元、右手を永遠亭の方に向けながら爆撃体勢に入る。無論、これは一般常識的にナシな作戦なので、星矢は優しくフランを窘めた。


星矢「ま、取り敢えずこっちには戦う意思は無いって伝えるか…フラン、ちょっとそこに置いた籠取ってくれ」


フラン「はーい」


自分達に戦う意思がない事を取り敢えず伝え、それから行動を起こそうと考える星矢は、鈴仙との戦闘の前に置いたお土産入りの籠を取る為に腰を落とし、両腕が塞がっているからかそれをフランに取るよう呼び掛ける。


レミリア「既に門番とは一悶着あったけれどね」


星矢「それはそれ、これはこれだ」


前提条件が殆ど破綻してしまっている事を皮肉めいた口調で呟くレミリアと、僅かな希望に縋ってゆっくりと腰を上げた星矢は、2人を抱き抱えたまま永遠亭へと近付いていく。


星矢「ごめんください。紅魔館から伺いました者ですが、何方か居らっしゃいますか?」


思い付く限りの丁寧語を駆使し、永遠亭に住む者に素性を明かして面会を求める星矢。すると、扉の向こう側から足音が聞こえてきた。


「はいはーい…」


足音が止むと今度は扉の開く音が聞こえ、扉から姿を現したのは鈴仙と同じ、頭に兎の耳を生やした小さな少女だった。


星矢「因幡てゐさんですね?此方にお住いの八意永琳さんにお取り次ぎ願いたいのですが」


目の前の少女が名を名乗っていないにも関わらず、星矢はその少女の名前を口にし、更にはもう1人の人物の名前まで口にした。

これには目の前の少女は疎か、彼に抱き抱えられているレミリアとフランも驚愕といった表情を浮かべる。


てゐ「あれ?私達、何処かで会ったっけ?」


星矢「これはまた…使い古されたナンパの仕方をするのですね?」


面識の無い者に名前を言い当てられ、困惑した様子で何処かで会ったかと質問を投げ掛けるてゐだったが、それに対して星矢は笑顔を浮かべながら冗談めかしな台詞を発した。


レミリア「星矢をナンパするなんて…覚悟は出来ているのかしら?」


フラン「がおーっ!!」


すると、彼の発言の所為か否か、馬鹿正直に彼の発言を信じてしまったレミリアとフランの2人はてゐに対抗心を燃やし始め、あろう事か威嚇の構えを見せたのだ。


星矢「い、今のは揶揄い半分というやつですよ?レミリアお嬢様、フランお嬢様」


彼女達の体重は変わらない筈なのだが、対抗心を派手に燃やすレミリアとフランを両腕で抱えている星矢は、何故か重みが増したように感じて即座に2人を宥めに掛かる。


レミリア「そ、そうだったの?何よ…警戒して損したわ…」


フラン「あ〜よかったぁ〜…」


星矢に宥められ、彼のジョークだと分かった途端、レミリアとフランは安堵の溜息を漏らして心を落ち着かせていく。


星矢『この溜息は呆れの意味を込めた溜息?それともまた別の意味での溜息?』


そして、彼女達が既に自分に惚れているなどとは夢にも思わない星矢は、2人の吐いた溜息の意味が分からず困惑した様子を見せ、首を横に傾げていた。


てゐ「それで?あんたはお師匠様に用があるんだっけ?」


星矢「はい。遅ればせながら、幻想郷に住む方々にご挨拶をと思いまして」


誤解も解け、漸く本題へと話が進み始めた会話は、話の分かるてゐによって彼女の後ろを付いて行く形で3人は永遠亭への入場を果たす。

因みに、つい先程星矢等3人に叩きのめされた鈴仙はというと、寒空の下に放置されたのだった。


てゐ「それでわざわざ挨拶回り?殊勝な奴ね」


彼の表面上の礼儀正しさに感服し、殊勝な奴と称するてゐ。それは、星矢の内面を知らないからこそ口に出来る言葉であり、もしも真意を悟ったらこのような言葉は決して出てこない事だろう。


レミリア「星矢は私達の執事なんだから、これくらい当然よ!」


フラン「偶に変な事言うけどね!」


しかし、レミリアとフランの2人は彼の内面を知りながらも贔屓目で見ている事に変わりはないので、偶に変な事を言う以外には不信感を覚えていない様子であった。


てゐ「ま、別にいっか。吸血鬼2人だけなら兎も角、わざわざ挨拶しに来た人間を返すのは悪いしね」


星矢等3人を永遠亭に招き入れたてゐは、右手を軽く動かしながら自分に付いて来るよう促し、誰に言っている訳でもないが3人に聞こえるような声量でそう呟く。


レミリア「星矢…気を抜いちゃ駄目よ…?あの兎、隙があれば貴方に言い寄るつもりだわ…」


星矢「は、はぁ…」


500年間培ってきた勘からなのか、それとも女性特有の女の勘というやつなのかは分からないが、レミリアはてゐが星矢を狙っているのではと考え、彼に気を引き締めるよう強く言い聞かせる。


レミリア『星矢は絶対に…絶ぇ〜っ対に渡さないわっ…』


星矢『嗚呼っ…レミリアの柔らかい体がっ…甘い匂いがっ…』


未だに対抗心剥き出しのちびっ子おぜう様は、前を歩くてゐを鋭い目付きで睨みつけながらこれでもかと星矢に体を密着させ、思い切り抱き着く。

そして、そんな彼女の柔らかい肢体と女の子の甘い香りをモロに喰らっている星矢は、免疫力が無い為か足元が非常に覚束無い様子である。


てゐ「お師匠様〜?お師匠様にお客さんですよ〜?」


そうこうしている内にどうやら目的の場所に到着したのか、てゐが扉を覗く素振りを見せながら中に居る者をお師匠様と呼称した。


「こんな朝早くからお客?急患かしら」


てゐの声を受け、扉の向こう側から女性の声が聞こえてくると、足音がゆっくりと此方に近付き、その女性は扉を開けた。


永琳「あら…誰かと思ったら夜を統べるお子様吸血鬼ちゃんじゃない」


レミリア「お子様は余計よ」


扉から姿を現した妖艶という言葉が当て嵌まるであろう銀髪ないし白髪の女性。その美しく長い髪を腰まで伸ばし、三つ編みにしている彼女は早速レミリアの事を鼻で笑い、反感を買う。


永琳「それと、今日は噂に名高い妹ちゃんも連れて歩いているのね?どういう風の吹き回しかしら」


レミリア「貴女には関係無いわ」


売り言葉に買い言葉といった様子で、徐々に場の空気が淀み、悪くなっていくのを星矢とてゐの2人は敏感に感じ取り、額に汗を浮かべた。

だが、それでも2人は決して口を挟もうとはしない。何故ならてゐは永琳を、星矢はレミリアを恐れていたからだ。


星矢「れ、レミリアお嬢様…此処は事を荒立てず穏便に済ませましょう…」


しかし、だからこそ星矢はレミリアに意見を述べた。これ以上話が拗れ、再び弾幕対決などといった野蛮な展開に発展しない為に…


レミリア「私は別に事を荒立てるつもりなんてないわ。でも、そうね…星矢が言うのなら、少しは言い方を改めても…」


すると、彼の顔を近付けてきた事で動揺を見せたレミリアは、頰を紅潮させながらモジモジと身を捩らせ始め、対立していた筈の永琳を完全に放置して星矢に意識を集中させた。


永琳「へぇ…そういう事…」


そんな彼女の反応に永琳は、何かを納得したかのように首を何度も縦に振り、口の両端を吊り上げながら意味深な笑みを浮かべる。

どうやら、彼女はレミリアが星矢に抱いている特別な感情を見抜いてしまったようだ。


永琳「貴女も恋愛に興味や関心があったのね。意外だわ」


レミリア「へっ!?」


口元に手を当て、必死に吹き出すのを抑える永琳は、包み隠さず単刀直入な物言いをしてレミリアを動揺させる。


フラン「ふにゃ〜❤︎」


星矢「フランお嬢様はお利口さんですね」


一方、永琳とのやり取りに極力干渉しないよう努めていた星矢はというと、他人が居ようとお構い無しに甘えてくるフランの甘えん坊振りに意識を持っていかれていたのだった。


永琳「妹ちゃんも手懐けられているみたいだし…貴女もそこの色男さんに手懐けられ口?」


そんなフランと手慣れた様子で笑顔を浮かべる星矢を横目に、ある意味で疑いを孕んだ眼差しをレミリアに向けた永琳は、最後にニコッと微笑む。


レミリア「わ、わわっ…私は、別にっ…手懐けられてなんかっ…」


てゐ「はぁ〜…」


何処ぞの地下で暮らす小五ロリに、自分の心の内を見透かされるような気分を味わうレミリア。

無論、彼女も一応否定はするが、余りの動揺振りに怪しさが募るばかりで、これには近くで傍観を貫いていたてゐも思わず溜息を漏らした。


永琳「あら、そうなの?私はてっきり貴女がこの色男さんが好きだからこうして連れて来t」


レミリア「それ以上言ったらその舌を引っこ抜くわよ!?」


含み笑いと共に核心を突く永琳に、流石のレミリアも我慢の限界を迎えたのか自慢の八重歯を覗かせながら怒りを爆発させ、今にも噛み付かんばかりの勢いを見せる。


星矢「れ、レミリアお嬢様!どうか感情を荒立てず落ち着いて下さい!」


レミリア「うー!うー!」


自らの腕の上で暴れる彼女を落ち着かせようと、星矢は必死にレミリアを宥めに掛かる。しかし、先程とは違い状況が状況なので、レミリアは星矢の言葉が耳に届かず声を上げ続けた。


永琳「そもそも、貴方は人間の癖にどうして吸血鬼の執事なんてしているのかしら?まさか脅されてるとか?」


レミリアを必死に宥める星矢に対し、永琳は彼を見た時からずっと疑問に思っている事があった。

それは、今も彼女が口にした通り、何故人間である星矢が吸血鬼のレミリアとフランに仕えているのかというものだった。


星矢「脅されているとは人聞きが悪い…私は望んでお嬢様方の執事をしているんですよ」


永琳の言葉に内心苛立ちを募らせた星矢だったが、彼は平静を装って自分から望んで彼女達の執事をしていると述べると、笑顔を浮かべた。


永琳「自分から望んで、ねぇ…物好きな人間も居たものね…」


彼の心中を知らない永琳は、何か企みを持った上で仕えているのではと余計な考えを巡らせ、星矢を見詰める。

当然、このような視線を向けられる事を不快に感じている星矢は、気を紛らわせる為に自分が抱き抱えているレミリアとフランに視線を移して心を癒す。


フラン「ぎゅ〜っ❤︎」


星矢「嗚呼〜っ…」


永琳やてゐといった面識の薄い者達に一切興味を示さず、星矢だけに全てを注ぐフランは、他人などお構い無しに甘え続け、結果的に彼の心を癒す役割を果たしていた。


フラン『えへへ〜❤︎星矢も嬉しそうだし、今夜は星矢と一緒のベッドで寝ちゃおっかなぁ❤︎』


嫌がる、振り解くなどといった素振りを全く見せず、寧ろ天にも昇るかのようなだらしのない表情を晒す星矢を見たフランは、兼ねてより計画していた添い寝大作戦の実行を目論む。


フラン『そ、そしたら…星矢とキスしたり、エッチな事したりするのかな……えへへ❤︎』


脳内で描かれるのは自分と星矢がベッドの上で引き起こす甘いひと時。それを思い浮かべるだけで、フランは心が満たされていくのを感じ、自然に頰が緩んで彼と同じような表情を晒してしまう。


レミリア『今のあの子…きっと録でもない事を考えてるに違いないわ。星矢とそういう事をするのはこの私よ!』


妹の表情を見て、彼女が今現在何を考えているのか、その大凡を察したレミリアは、同じ男性を取り合う者として闘志を燃やし、負けじと彼の体に擦り寄る。


永琳「私の調合した薬があれば一瞬で貴女の虜になるわよ…?」


レミリア『なん……だと…』


呼び掛けるように…否!まるで悪魔が囁くようにレミリアへ向けてそう発する永琳。そして、彼女の言葉に驚きを隠せなかったレミリアは、思わずキャラ崩壊を起こしてしまいオサレな反応を見せてしまう。


レミリア「ちょ、ちょっと詳しく話を…」


星矢『嗚呼っ…俺の至福の時間がっ…』


星矢の腕から降り、即座に永琳の元へと歩み寄って行くおぜう様。すると、彼女を抱き抱えるというラッキーイベントが終わってしまったと悲しむ星矢は、右の目尻から僅かに涙を零した。


永琳「詳しくも何も、私の能力で作った薬を彼に飲ませれば、忽ち貴女の虜になって毎晩のように…」


彼女の有する特異な能力。それはあらゆる薬を作り出す能力であり、この能力さえあれば風邪薬だろうが胃薬だろうが簡単に作り出す事が出来る。

つまり、惚れ薬も一応薬の一部なので、彼女にとっては朝飯前どころか昨日の晩飯前という事になるのだ。


レミリア『せ、せせっ…星矢と毎晩…こ、子作りエッチを……う〜っ❤︎』


自分にベタ惚れし、尚且つ毎晩自分の体を求めてくる星矢を想像するレミリアは、頭から煙を出した状態で顔を真っ赤に紅潮させ、モジモジと身を捩らせていた。


このSSへの評価

このSSへの応援

1件応援されています


SS好きの名無しさんから
2017-10-21 23:44:17

このSSへのコメント

2件コメントされています

1: SS好きの名無しさん 2017-10-22 22:22:35 ID: uCMLYSFo

息してるかー?

2: SS好きの名無しさん 2017-10-27 22:01:22 ID: hSHgm3lB

続き待ってます。


このSSへのオススメ


オススメ度を★で指定してください