2018-02-09 20:16:01 更新

概要

春雨が料亭にやって来て・・・


前書き

参考までにキャラ紹介、

村雨:料亭”村雨”で働く女将、普段は料亭の女将だが、最先端武器と艤装で出撃を行う
    裏の顔も持っている。

海風:村雨と同じ白露型の艦娘、主に村雨に「依頼書」などを届ける補佐的艦娘。

提督:元料亭の大将で現在は村雨の旦那。 村雨とは別の依頼で各地を転々と旅をしている。
    物語ではほとんど出てこないが、村雨の応援の時のみ凄い装備で駆け付けてくるため、一番頼りになる。

春雨:村雨と同じ白露型の艦娘で村雨の妹、村雨の事が大好き。

のんびり更新していきます。


「今日も1日問題なく終わったわね。」


料亭で切り盛りしている村雨、


「最近、依頼もあまり来ないから店の経営がスムーズにできるわね。」


鎮守府から寄せられた複数の「依頼」、最初は週4,5回ペースでの依頼が最近では1か月に数回のペースまで下がった。


「まぁ、「依頼」が無いってことは「平和」ってことだからいい事なんだけどね。」


暖簾を下げ、明かりを消して部屋に戻り布団を敷いて、就寝までの少しの時間に読書をする村雨。


「・・・・・・」


村雨が毎晩天井を見ながら思っていた事、それは提督。


「提督はどこかで「依頼」をこなしているのかしら?」


無線でやりとりしているので、安否は確認できるが声だけではやはり不安な村雨・・・姿を見たい、それが村雨の一番の願い。


「・・・考えても仕方のない事ね、そろそろ寝ますか。」


明日の事を考え、明かりを消して就寝した。


・・・・・・


「さて、今日も頑張りますか!」


暖簾を掛けて、店を開く。


「あらいけない、材料を切らしちゃってたわ。」


今日調理する予定の食材の一部が切れていたことに気付いた村雨。


「店を開けているけど、少しだけならいいかな。」


と、立札(留守中)を扉に貼り、近くの食料品店に向かった村雨。


・・・・・・


「え~っと、確かこの陳列の上の段に・・・あった。」


買い物慣れしているのか、目的の商品の位置を把握している村雨。


「よし、後はいつも頑張っている村雨用にデザートでも買って行きましょう♪」


そう言って、デザートコーナーに立ち寄る。


「あら、春雨じゃない!」


偶然にも、春雨と出会った。


「あ、村雨姉さん!」


久々の再会に春雨も喜ぶ。


「お久しぶりです、元気でしたか?」


春雨は現在白露がいる鎮守府に所属している。


「うん、春雨も相変わらず元気で何より♪」


少し会話した後、


「そうだ春雨、私が開いている店に来ない?」


「いいんですか、姉さん?」


「うん、そんなにお客さんも来ていないから私は歓迎するわ。」


「そうですか、では春雨ついていきます、はい♪」


村雨と一緒に店まで歩いていった春雨。


・・・・・・


「ここが村雨姉さんの店ですか~。」


春雨はわくわくしつつ、店の中に入っていく。


「カウンター席! ここに座っていいですか?」


「いいわよ、水を出すわね。」


春雨がカウンターの椅子に座り、村雨がコップに水を注いで差し出す。


「ありがとうございます。」


出された水を飲む。


「材料も買って来たし、調理に移りますか。」


そう言って、村雨は手際よく野菜を切って行った。


「今日はシチューを作る予定だけど、春雨は食べる?」


「いいんですか、ではお願いします!」


春雨は元気よく答えた。


・・・・・・


「村雨姉さんはお1人なのですか? 司令官はいないのですか?」


村雨が提督とケッコンしたことは本人から知らされているが、当の提督の姿が見えない・・・どうしたのかと思い、


「提督なら、「依頼」のために出張に行ってるわ。」


「そうなんですね。」


「なるほど。」と思った春雨。


「でも、最近はなかなか帰って来れなくて・・・少し、寂しいかな。」


少し寂しそうな表情をして、


「でも、「困った人を助ける」のがあの人の仕事、私が横から言う事でもないけどね。」


と、また笑顔で答える村雨。


「・・・・・・」


先ほどの哀しげな表情が気になる春雨・・・


・・・・・・


「さぁ、出来たわ。 村雨特製「じっくりコトコト煮込んだシチューよ♪」


春雨の前に温かいシチューが出された。


「おいしそうです、はい♪」


匂いを嗅いで喜ぶ春雨。


「では、いただきます。」


スプーンですくって口に運ぶ。


「はふ、はふ・・・おいしいです、村雨姉さん!」


「そう、良かった♪」


春雨の笑顔を見て喜ぶ村雨。


・・・・・・


「はい、今日は村雨姉さんと一緒にいます、はい♪」


春雨が電話を借りて鎮守府に連絡を入れた。


「どうだった、春雨?」


「はい、いいそうです♪」


どうやら春雨は今日村雨の店でお泊りがしたかったようだ。


「そう、じゃあお風呂湧かしているから先に入って。」


「はい、姉さん。」


村雨からタオルを受け取って、入浴しに行った春雨。


・・・・・・


「村雨姉さん・・・」


1つの布団に村雨と春雨が入っていて、


「春雨はいくつになっても甘えん坊さんね♪」


そう言いつつ、春雨の頭を撫でる村雨。


「村雨姉さんの手、温かいです、はい♪」


手を握りながら、話す春雨。」


「ふふっ、じゃあ明かりを消すわね・・・おやすみなさい。」


「はい、おやすみなさいです。」


2人は就寝をした。


・・・・・・


「・・・?」


深夜、春雨は目が覚める。


「提督・・・提督・・・」


それは村雨から発した言葉であった。


「村雨姉さん?」


春雨は心配になって声を掛けるが、


「提督・・・提督・・・」


村雨は眠っている、どうやら夢の中で提督と一緒にいるようだ。


「提督、お願い・・・どこにも行かないで。」


村雨の瞳から涙が滴り落ちる、春雨はその光景を見ていた。


「村雨姉さん・・・」


側で眠っている村雨は何の夢を見ているのだろう、提督に捨てられた夢? それとも、提督がどこかへ行ってしまう夢?


「行かないで・・・お願いだから。」


春雨の腕を強く握りしめながら、必死で訴える村雨。


「・・・姉さん。」


春雨は何も言えずに、そのまま就寝した。


・・・・・・


翌朝、


「春雨、朝ですよ! 起きて!」


村雨が元気よく声を掛けた。


「う、う~ん・・・あ、村雨姉さん、おはようございます。」


寝ぼけた春雨は欠伸をしながら挨拶をする。


「朝ごはん出来てるわよ、早く起きて着替えをして来てね♪」


村雨は部屋から出て行った。


・・・・・・


「・・・いただきます。」


2人の朝食が始まり、


「やっぱり村雨姉さんの作るお味噌汁はおいしいです! はい♪」


「そう? 嬉しいなぁ♪」


村雨は上機嫌である。


「・・・あの、村雨姉さん。」


春雨が気になって尋ねた。


「? どうしたの春雨?」


「あの・・・し、司令官とは上手く行ってないのですか?」


「提督と? 何でそんな質問を?」


村雨は首を傾げて、


「昨日の夜、姉さんが「提督」と呼んで泣いていたからです。」


「・・・・・・」


村雨は無言になる。


「そう・・・。」


村雨は視線を外に向けて、


「なるべく表に出さないようにはしていたけど、意外と出てしまうものなのね・・・」


「? 村雨姉さん?」


春雨は心配になって村雨の名を呼んだ。


「提督とは上手く行ってるわよ。 私の事を大切にしてくれるし、帰ってきたら一緒に買い物に行ったり外出したり・・・


 とても幸せな生活が出来ているわ、でも・・・」


村雨が急に悲しい表情になって、


「提督はいつも「依頼」と言って、しばらく返って来ないの。 私としては「ここにいて欲しい。」と思っているけど。」


「村雨姉さん。」


「提督のやっている「依頼」は危険が伴う仕事、死ぬかもしれないし昔みたいに障害を持ってしまうかもしれない、


 それでも提督は「助けるため」と言って自分を顧みないの。」


「・・・・・・」


「また何かあったら、私はとても悲しいし見ていて辛い。 それだったらいっそこの店で「一緒に生活しましょう!」


 って伝えたいけど・・・」


そこまで言って、顔をそらすが泣いていることが春雨には分かった。


「村雨姉さん・・・」


春雨は何も言えずにその光景をただ見ているしかなかった。


・・・・・・


「ありがとうございました、春雨は鎮守府に戻ります、はい。」


「うん、分かった。 時間が合ったらいつでも遊びに来てね♪」


「はい、村雨姉さん!」


そう言って、春雨は店から出た。


「さてと、私も今日1日頑張りますか!」


いつもと同じように、暖簾を掛け店を開いた。


・・・・・・


「村雨姉さん・・・」


村雨の事が心配で下を向く春雨。


「!? ああっ!」


持っていたペンダントを落とし、斜面を転がっていく。


「早く拾わないと!」


慌てて拾おうとする春雨に、


「ほい、次からは気を付けて持つんだぞ。」


1人の男がペンダントを拾い、春雨に渡した。


「あ、ありがとうございます!」


春雨は頭を上げた、


「あっ! し、司令官!!」


村雨の提督がそこに立っていた。


「おや? 確か君は村雨の妹の・・・」


「はい、春雨です。」


春雨は提督に対して敬礼をした。


「いや、オレはもう提督じゃないから敬礼はいいよ。」


と答えた。


「ああっ、す、すいません。」


春雨はすぐに謝り、


「あ、あのっ! 司令官!」


春雨が急に叫び、


「少しだけ・・・お話しても、よろしいでしょうか?」


「オレに? 別に構わんが。」


「ここでは何だから。」と、提督は場所を変えて公園まで一緒に歩いて行った。


・・・・・・


「それで、話って?」


提督が質問すると、


「はい、あの・・・村雨姉さんの事です。」


「? 村雨がどうかしたのか?」


「村雨」の話題を振るわれて、首を傾げる提督。


「はい、村雨姉さんが・・・」


春雨は提督に素直に打ち明けた。


・・・・・・


「ただいま~。」


提督が店に帰って来た。


「あら、貴方・・・おかえりなさい♪」


村雨が駆け寄り、


「ちょうど今昼食を作る途中でしたので、少し待ってくださいね。」


村雨はカウンターに戻って調理を始める。


「あっ、それとも先にお風呂になさいますか?」


「ああ、少し待ってくれ。」


そう言って、提督は受話器を取って誰かに連絡を掛けた。


「ああ、明日から用事が出来てね。」


「依頼」の事であろうか、何やら提督は話をしている。


「まぁ、そう言う事だから・・・何、困る? 悪いがオレには関係のないことだ。」


電話を切る提督。


「あの、どうかしたんですか?」


村雨が心配になって尋ねると、


「ああ、明日から「暇を出す」と言っただけだ。」


「「暇を出す」・・・それって辞めるってことですよね?」


村雨は驚いて、


「どうしてそんな事言ったんですか?」


「うん、それはな。」


提督は無言で村雨に近づくと、そのまま抱き寄せた。


「!? 貴方!? 一体どうしたんですか!?」


状況が読み込めず、困惑する村雨。


「ごめんな。」


提督は謝る。


「えっ、どうして謝るんですか?」


ますます理由が分からない村雨、


「帰り道に春雨に出会ってな・・・それであの子に言われたんだ、「もっと村雨の事を大切にして欲しい」って。」


「・・・・・・」


「「依頼」で「人助け」をする前に「もっと身近な人を大切して欲しい」って言われた。」


「・・・・・・」


「それを言われた時、「依頼」とはいえ、村雨をずっと放っておいたことに気付いた、本当にごめんな。」


「貴方・・・」


「だからオレはもう村雨の側から離れない、この店の手伝いをして行きたいと思う・・・いいかな?」


そこまで言われて、


「ごめんなさい、私が春雨に言ってしまったばかりに・・・」


自分のせいで仕事を辞めることになり、申し訳なくて謝る、しかし本心は・・・


「でも、私はとっても嬉しいです!」


そう言って、村雨も提督を強く抱きしめた。


・・・・・・


「いらっしゃいませ・・・あら、海風。」


恒例の海風が来店した。


「村雨さん、「依頼」の事でご相談が・・・」


海風が村雨に「依頼書」を出す手前、


「あっ、提督! お疲れ様です!」


提督がその場に居合わせた。


「海風か、久しぶり。」


「お休みが取れたのですか?」


海風は提督が別の件の「依頼」を受けていることを知っている。


「いや、実を言うとな。」


提督が頭を掻き、


「? どうしたんですか?」


海風が首を傾げて、


「実は・・・依頼の仕事を辞めた。」


「!? そうなんですか!?」


海風は驚く。


「依頼側と大喧嘩してしまって、「勝手にやれ!」なんて言ってそのまま店に帰って来た。」


咄嗟についた嘘、しかし海風は状況を知らないため、その話を信じてしまう。


「じゃあ、提督はこれからどうするのですか?」


「うん、村雨の店の手伝いをしようかと思う。 村雨も「その方が助かる」と言ってくれてな・・・当面は店にいるからよろしくな。」


そう言って、提督は裏口へと歩いて行った。


「ごめんなさい、提督は今裏で「仕込み」をしてもらっているので。」


「そうですか・・・でも、しばらくは店にいるってことですよね? 良かったですね、村雨さん!」


「うん、提督が戻ってきてくれて本当に良かったわ。」


実は自分が原因で提督が「依頼」を辞めたことを敢えて言わなかった村雨、


「でしたら、村雨さんに「依頼書」を持ってきたのですが・・・提督が戻って来たことですし、しばらくは


 保留にしておきますね。」


海風は依頼書をポケットにしまう。


「私は構わないわよ、提督みたいに何日も帰ってこないわけじゃないから。」


「いえ、せっかく提督が戻ってきたのですから、「人助け」よりも「身近な人を大切にする」のが一番かと思います。」


「・・・・・・」


春雨が提督に言った事と同じ台詞を海風に言われた村雨。


「すいません、では海風は失礼しますね。」


そう言って、海風は店から出て行った。


「そっか、提督から見れば私も「行って欲しくない」と思っているかもね。」


本人には聞いていないが、自身で納得した村雨。


・・・・・・


夕方、


「貴方~、お風呂が沸きましたよ~。」


「ああ、わかった。 すぐに入る。」


提督は着替えとタオルを持って、浴場に入る。


「ふぅ~・・・久しぶりの家での入浴、やっぱりこの風呂が一番良い。」


出張先では設備のない建物や、人の踏み入れない箇所も多いため、家での生活は提督にとって極上なものである。


「ふんふ~ん♪」


村雨も入浴場に入って来た。


「何だ、村雨も入る気だったの?」


「はい♪ 私たち夫婦ですよ~♪」


そう言って、提督の許可を貰わずに湯船に入る村雨。


「本当はずっと心配で仕方がなかったんですよ。」


提督の胸に持たれつつ心境を語った。


「危険な仕事ですから・・・貴方に何かあったら私は、とても悲しいです。」


「・・・そうだな。」


「でも、提督がまたこうして戻ってきたのですから、村雨はとても幸せです。」


「うん、寂しい思いをさせて悪かった、ごめんな村雨。」


「もういいですよ、提督が無事で戻って来てくれたんですから♪」


村雨は笑顔で振る舞った。


・・・・・・


「てへへ~♪」


布団に入った村雨は上機嫌である。


「そんなににやけてどうしたのさ?」


「だって・・・提督と一緒に寝られるんですもの♪」


ずっと1人店で無事を祈りつつ待っていた村雨の気持ちは提督にはわからないのだろう。


「ふふ・・・提督と一緒♪」


「村雨も、やっぱり駆逐艦だなぁ。 夕立みたいに甘えてきてな。」


提督は村雨の頭を撫で、


「・・・もう、どこにも行かないでください、提督。」


急に改めて、真剣な表情で見つめる村雨に、


「ああ、もうお前を一人にしない・・・約束だ。」


お互いに約束を交わして、就寝した2人だった。


・・・・・・


翌朝、


村雨が店の扉に伝言書を張り付けた。



”少しの間、旅行に行って来ます。 5,6日後には店を再開します。”



「これでよし! それでは提督、行きましょう♪」


そう言って、荷物を持って2人は歩いて行った。











このSSへの評価

このSSへの応援

このSSへのコメント


このSSへのオススメ


オススメ度を★で指定してください