2016-05-02 14:10:17 更新

概要

提督と艦娘たちが鎮守府でなんやかやしてるだけのお話です

注意書き
誤字脱字があったらごめんなさい
基本艦娘たちの好感度は高めです
アニメとかなんかのネタとかパロディとか
二次創作にありがちな色々
長い


前書き

31回目になりました
楽しんでいただければ幸いです お目汚しになったらごめんなさい
ネタかぶってたら目も当てられませんね

以下、ちょっとしたプロフィール。長いので、興味ない人はスルーする?

提督
練度:神頼み 主兵装:刀
「にひひひ。やはり、可愛いは正義だな」
長髪で黒髪、何時も気だるげな表情をしてる
一応、白い制服を着けてはいるが、上から羽織っている浴衣が全てを台無しにしている、不良軍人
そもそも、軍人どころか人ですら無い、元土地神様
覚えている人もいなくなり、ようやく開放されたと思えば、深海棲艦が湧いてきて…
3食昼寝付きの謳い文句も手伝って、提督業を始めだした
性格は、ほとんど子供。自分でやらないでいい事はまずやらない、明日できることはやらないで良い事
悪戯好きで、スカートめくりが好きなお年ごろ
また、結構な怖がりで、軽度は人見知りから始まり、敵は全て殲滅する主義

皐月ー愛称:さつきちゃん・さっちゃん・さっきー
練度:棲姫級 主兵装:12・7cm連装砲(後期型 好感度:★MAX
「え、司令官かい?そりゃ…好き、だよ?なんてな、えへへへ♪」
初期艦で秘書艦の提督LOVE勢。提督とは一番付き合いの長い娘
その戦闘力は、睦月型どころか一般的な駆逐艦の枠から外れている程…改2になってもっと強くなったよ
「ボクが一番司令官の事を分かってるんだから」とは思いつつも
まだまだ照れが抜けないせいか、ラブコメ時には割とヘタレである

睦月ー愛称:むつきちゃん・むっつー・むっつん
練度:褒めてっ 主兵装:12・7cm連装砲(後期型 好感度:★MAX
「提督っ、褒めてっ!」
わかりやすい提督LIKE勢、「ほめて、ほめて~」と、纏わりつく姿は子犬のそれである
たとえその結果、髪の毛をくしゃくしゃにされようとも、撫でて貰えるのならそれもよしっ
好感度は突っ切っているが、ラブコメをするにはまだ早いご様子

如月ー愛称:きさらぎちゃん・きさら
練度:おませさん 主兵装:12・7cm連装砲(後期型 好感度:★9
「司令官?ふふ…好きよ?」
やらかした提督LOVE勢。一昔前、司令官と仲良くなろうと色々頑張ったが
振り返ってみると、かなりアレだったことに気付き、思い出す度に悶絶する毎日
しかし、一度派手なことをやった手前引くに引けず、ラブコメをする度に黒歴史が増えていく毎日

弥生ー愛称:やよいちゃん・やよやよ・やーよ
練度:固い 主兵装:3式爆雷 好感度:★7
「司令官?好きだよ、普通に」
感情の読めない提督LIKE勢。瑞鳳に卯月が取られて、手が空いた反動か結構好き勝手やりはじめた
最近は ゆーにあることないこと吹き込むのがお気に入り
「もちろん、いい娘に育てるよ?」私のようにねっ
ラブコメはするより見るのが好き…て、思ってたんだけどなぁ

卯月ー愛称:うーちゃん・バカうさぎ
練度:ぴょんぴょん 主兵装:超10cm高角砲★MAX 好感度:★7
「司令官?そんなの大好きに決まってるぴょんっ」
ぴょんぴょんする提督LIKE勢。毎日ぴょんぴょんと、あちこちで悪戯しては怒られる毎日
主な対象は瑞鳳、「だって、からかうとおもしろいだもん」なんのかんので構ってくれる瑞鳳が好き
ラブコメというより、騒がしい妹

文月ー愛称:ふみ、ふーみん
練度:ほんわか 主兵装:12・7cm連装砲(後期型 好感度:★8
「しれいかん?えへへー…なーいしょっ♪」
ふんわりとした提督LOVE勢。空気を読んでいたつもりが空気に飲まれたここ最近
司令官を見てドキドキするのは、きっと姉や妹の影響だ、きっとそう
そうなってくると、いつものスキンシップでさえ気恥ずかしい上に
弥生お姉ちゃんが変な道に突き進んでいるのを止めたりと、最近は忙しい

長月ー愛称:なつき、なっつん、なっつ
練度:頼りになる 主兵装:5連装酸素魚雷 好感度:★8
「司令官…いや、まあ…いいだろ別にっ」
おでこの広い提督LOVE勢。司令官に ちゅーしてこの方
自分の感情を見ない振りも出来なくなり、最近は割りと素直に好意を見せてくれたりもする
自分の感情に振り回されるくらいにはラブコメ初心者。あと、シスコン(菊月)

菊月ー愛称:菊ちゃん・お菊さん
練度:威張れるものじゃない 主兵装:12・7cm連装砲B型改2★MAX 好感度:★7
「司令官か?好きだが?」
箱入り提督LIKE勢。おもに長月に過保護にされてるせいでラブコメ関連はさっぱり
しかし、偶に見せる仕草はヘタなラブコメより攻撃力は高い。やっぱり如月の妹である
大艦巨砲主義者、主兵装は夕張に駄々を捏ねて作らせた。それとシスコン(長月)

三日月ー愛称:みつき・みっきー
練度:負けず嫌い 主兵装:12・7cm連装砲(後期型 好感度:★9
「し、しれいかん…そ、その…好きですっ!」
おませな提督LOVE勢。どこで仕入れたのか変な知識は一杯持ってる
そして、変な妄想も結構してる。すぐ赤くなる、可愛い
提督と望月に、からかわれ続けたせいで、たくましくなってきたここ最近
ラブコメモードは基本に忠実

望月ー愛称:もっちー、もっち
練度:適当 主兵装:12・7cm連装砲(後期型  好感度:★MAX
「司令官?あー、好きだよ、好き好き」
適当な提督LOVE勢。とか言いつつ、好感度は振り切ってる
だいたい司令官と一緒に居られれば満足だし、司令官になんかあれば不言実行したりもする
ラブコメには耐性があるが、やるとなれば結構大胆

球磨ー愛称:ヒグマ
練度:強靭・無敵・最強 主兵装:46cm…20.3cm(3号 好感度:★MAX
「提督?愚問だクマ」
突き抜けてる提督LOVE勢。気分は子グマの後ろに控えている母グマ
鎮守府と提督になんか有ろうものなら、のっそりと顔を出してくる、こわい
積極的にラブコメをすることもないが、昔は提督と唇を奪い合った事もある
大艦巨砲主義者。最近、私製46cm単装砲の命中率があがった、やったクマ

多摩ー愛称:たまちゃん・たまにゃん
練度:丸くなる 主兵装:15・2cm連装砲 好感度:★6
「提督?別にどーとも思わないにゃ?」
気分は同居ネコ。とか言いつつ、なんのかんの助けてくれる、要は気分次第
絡まれれば相手もするし、面倒くさそうにもするし、要は気分次第
特に嫌ってるわけでもないし、いっしょに昼寝もしたりする、要は気分次第
ラブコメ?何メルヘンなこと言ってるにゃ

北上ー愛称:北上様・北上さん
練度:Fat付き 主兵装:Fat付き酸素魚雷 好感度:★7
「提督?愛してるよん、なんちって」
奥手な提督LOVE勢。気分は幼なじみだろうか
このままゆるゆると、こんな関係が続くならそれで良いかなって思ってる
最近の趣味はFat付きをばら撒いて海域を制圧すること

大井ー愛称:大井さん・大井っち
練度:北上さん 主兵装:北上…53cm艦首(酸素)魚雷 好感度:★8
「提督?愛してますよ?」
分かりにくい提督LOVE勢。そうは思っていても口にはしない、絶対調子に乗るから
足と両手が埋まったなら、胸…艦首に付ければいいじゃない、おっぱいミサイルとか言わない

木曾ー愛称:きっそー、木曾さん
練度:悪くない 主兵装:甲標的 好感度:★7
「提督?まあ、アリなんじゃないか?」
カッコイイ提督LOVE勢。提督に赤くさせられたり、提督を赤くしたりと、まっとうなラブコメ組
そういうのも悪くはないが、本人はまだまだ強くなりたい模様
インファイター思考だけど、甲標的を使わせたほうが強いジレンマ

金剛ー愛称:こう・こうちゃん・こんご
練度:Burning Love 主兵装:Burning…46cm3連装砲 好感度:★9
「提督?もちろん、好きですっ、大好きですっ、愛してますっ、Burning Loveデスっ」
分かりやすい提督LOVE勢。提督の為ならたとえ火の中水の中
クリスマス以降、ちょくちょく愛情表現されるようにはなったけど
自分の許容量の低さに、毎回パンクしそうになっている
球磨曰く「使いもんにならなくなるから、やめるクマ」

瑞鳳ー愛称:ずいほー・づほ姉ちゃん
練度:卵焼き 主兵装:99艦爆(江草 好感度:★6
「だれがお姉ちゃんよっ」
気分は数ヶ月早生まれな幼なじみ。ラブコメルートもあった気がしたけど、何処行ったかな
卯月にからかわれて、追っかけまわすのが日課
だからって、別に卯月を嫌ってるわけでもなく実際はその逆である

夕張ー愛称:ゆうばりん
練度:メロン 主兵装:軽巡に扱えるものなら何でも 好感度:★6
「ゆうばりんって…気に入ったのそれ?」
気分は一個上のお姉さん。卯月や菊月の駄々に付き合ったり
球磨や提督の無茶振りで、アレな兵装を作ったりと、信頼と安心の夕張さんである
特に決まった装備は無く、戦況次第でなんでも持ち出すびっくり箱、安心と実績の夕張さんである

大鳳ー愛称:大鳳さん
練度:いい風 主兵装:流星改 好感度:★9
「提督、愛してるわ」
素直な提督LOVE勢。金剛見たいにテンションを上げるでもなく、息を吐くように好意を伝えてくる方
ラブコメに悪戯にと我慢強い方だが、許容量を超えると…
その落ち着いた物腰からは、艦隊の保護者っぽくなっているが、内心は見た目通り歳相応だったりもする

U-511ー愛称;ゆー、ゆーちゃん
練度:ですって 主兵装:WG42 好感度:★5
「はい、Admiralの為にがんばりますって」
助けてもらったご恩返しに今日も頑張る ゆーちゃんです
主兵装は球磨の悪戯 「まさか本気にするとは思わなかったクマ」別に反省はしていない
最近は、弥生に色々と教えてもらって賢くなってきた、不安しかない
今日も順調に鎮守府に馴染んできています

ーそれでは、本編をはじめましょうー


↑前「提督とバレンタイン(2年目)」

↑後「提督と海外艦(伊」



提督と改2


ーキッチンー


提督の目の前には、グダグダと鍋が湯気を上げていた


提督「はぁ…」


物憂げな溜息、それにつられて一緒に上がってきたような灰汁を適当に掬いとっていく

正直、自分で食べるならこんな七面倒な作業なんてしないのだけど

一応にしたって、バレンタインの、ホワイトデーのお返しという名目なのだから、丁寧には作っておきたい

だが、溜息の原因はそれとは別であったりもする


多摩「溜息を付くか、カレーを作るかどっちかにしたらどうにゃ?」


小さな椅子に腰掛けて、手持ち無沙汰に提督を眺めていた多摩

これみよがしに吐かれた溜息に、とりあえず言葉を返してみる


提督「いやでもさー、皐月に執務室を追い出されたよ」


ゴロゴロしてるならさっさとカレー作ってこーい、だってさ?


多摩「そりゃ…提督が仕事もせんと寝っ転がってたら邪魔だろうにゃぁ」


まったくもって正論だった


提督「ネタにマジレスカッコ悪い」

多摩「ただの事実だにゃ…」

提督「まさか、提督嫌われた…」

多摩「かもにゃ?」


あの皐月が「提督なんて嫌いっ」とか言ってる絵なんて想像も出来ないが

偶には、釘を刺すのもいいだろうと、意地の悪いことを言ってみる


提督「…」

多摩「…」


一瞬の空白地帯、会話の切れ目。長い事一緒にいれば良くあることだけど

口元に手をあて、何か考えこむ提督…あ、これは本気にしたにゃ


多摩「冗談にゃ、本気にすんなって…」

提督「冗談かぁ…」


ほぅっと、最初とはまた違った感じの溜息を吐く提督

まったくもって、吹けば飛ぶようなメンタルをされてらっしゃる




ゆー「ねーねー、Admiral?」

提督「ん?」


不意に袖を引かれてそちらを見ると

つま先立ちで鍋の中を覗き込んでいた ゆーが、不思議そうな顔を浮かべていた


ゆー「おいも は?Kartoffel(カルトッフェル)が入ってません…」

提督「あー…必要か?」


ご飯の上にかけて食べるのに、じゃがいもって…炭水化物に炭水化物って

ゆーはお好み焼きを おかずに出来るタイプなのだろうか


ゆー「…え?」


途端、ゆーの表情がなんか凄いことになった

白い顔がさらに白くなり、ありえないと、んなバカなと

なにか信じられないものを見るような視線を提督に向けている


提督「必要?」

ゆー「はい、絶対、必ず、確実に、です、はい」


もの凄い強調のしかただった


提督「そこにあるから、好きなだけ切って入れなさい…」

ゆー「ん、お手伝いしますって…♪」

提督「お手伝いねぇ…」


そんな事より自分の好きな物が入ることの方が重要そうにみえるけど


卯月「はいはいはいはいっ」

提督「今度は何?」


と思えば、今度は卯月が横合いから手を上げて、自分もとアピールを始める


卯月「うーちゃんはっうーちゃんはねっ、りんごが良いぴょんっ、りんごを入れたいぴょんっ!

提督「…」

多摩「人参じゃないのんにゃ」

卯月「うーちゃんはそんなベタな事はしないぴょんっ!」


ビシっと、多摩に指先を突きつける卯月

りんごも大概だとは思うけど、まあなんでも良いか


提督「そこにりんごがあるだろう?」

卯月「ぴょんっぴょんっ、うーちゃんもお手伝いするぴょんっ!」

提督「あいあい…」

多摩「今日のカレーは甘口だにゃ…」

提督「そうなりそうね…」


流石にりんごを好きなだけとは言えないけど


提督「で?弥生は何を入れるの?」

弥生「ん?まだ何も言ってないよ?」


自分に話を振られたのが意外だったのか、小首をかしげる弥生


提督「変なこと考えてたろ?」

弥生「そんな、司令官じゃないんだから…」

多摩「ぷふっ…」


真顔で一緒にしないでと伝えてくる弥生に、思わず吹き出す多摩


弥生「けど…」


少しの間を開け、考えこむように口元に手を当てた後


弥生「せっかくだから納豆を…」


ごろっ…ごろごろごろ…ぼとっ

途端、何かが作業台の上を転がり流しに落ちる

よくよく見てみれば、それは皮のむけたじゃがいもで

その先を辿れば自然と ゆーの姿が目に入る。ただ、包丁を片手に固まってはいるが


ゆー「やーよ…いけませんって、なりませぬって、ダメ、絶対」


全力否定だった

まあ、そうだろう。外国人の嫌いな日本食ランキングを開けば、上位に食い込むこと請け合いの品だ

日本人でさえダメな人がいるくらいだ。カレーに入れるとなると、その数は更に増えるだろう


弥生「ゆー…好き嫌いはダメだって、お姉ちゃん教えたはず」


妹に、年下の子に、ダメっとする様に眉根を寄せる弥生

その発言自体は概ね間違ってはいないのだけど


ゆー「はい、しってます。けど、やーよ…」


それは聞いたし、何でも食べられるのはいいことだとも思いもする

けど、だが、しかし、艦娘には得手不得手が有るように、ゆーにだって限度はある

あれは食べ物ではない、繰り返します、あれは食べ物じゃありません

だから、こう言うことにしました


ゆー「それ、シュールストレミングの前でも同じこと言えるの?」

弥生「…っ」


「あ、珍しいな」と、多摩と顔を見合わせる提督

ゆーが反論してるのもそうだし、それが突き刺さって弥生の表情が曇ったのもまたそうだった


ゆー「どうなのかなって?」

弥生「ぅぅぅ…」


可愛らしく小首を傾げる ゆー。でもなぜか、どことなく、勝利を確信したような余裕が滲んで見えた

もしかしたら、内心ほくそ笑んでるのかもしれない


どうしよう?と頭を回転させる弥生

好き嫌いはいけない、けど、弥生にだって限度はある

シュールストレミング、生ごみをドブの中でさらに腐らせて凝縮したような…いや、それは言いすぎか

食べている人に失礼だろう。実物を見たことだって無いのだから…

でも、だ。そこまで言われている食べ物を前に私は、弥生は、好き嫌い云々言えるのだろうか

しかし、姉として ゆーには手本を…いや、でもなぁ…もう良いんじゃないかなぁ…


提督「弥生、お前の負け」

弥生「むぅ…」


弥生の肩に手を置く提督

助け艦ではあった、お陰で此処は素直に引いておける


提督「だから納豆は無しな」

弥生「美味しいのに…」


ぽつりと呟くと、ふいっとそっぽを向く弥生。どうにもむくれてるようだった

だからといって、それを認める訳にはいかない

唐揚げに掛けるレモン以上の戦争が待ってるのは請け合いだ


卯月「たっ、いってぇぇぇっ、ゆびきったぁぁぁっ!」


突然上がる悲鳴、そこには彼女の宣言通り

赤い赤い…りんごの皮と、白い指先にちょろっと血が滲んでいた


ゆー「ふふっ、うーちゃん姉さん、へたっぴですって」


言うだけあって、ゆーの側には無駄なく綺麗に皮を向かれたじゃがいもの山

しかも包丁で、というのだから年季の入りようが違っていた


弥生「もぅ、卯月ったら…」


まったくもう と、息を吐きつつ卯月の傍に駆け寄る弥生


球磨「ったく、ぴょんぴょん言わんと、誰だか分からんな」


そんな騒ぎを横目にしながら、どすっと球磨が抱えてきた荷物を作業台に降ろす


多摩「にゃしししし…球磨にだけは言われたくないにゃ、それは」

球磨「くまくまくまくまくま♪多摩とてその一人だクマ」


何言ってるにゃ と笑う多摩に、馬鹿言ってんじゃないクマと、笑う球磨

にゃししししし、くまくまくまくま…どっちも大概だろうとは思う


提督「で、それは?」


作業台に置かれた荷物を指差す提督

まあ、だいたい中身の想像は付くけども、聞かないわけにもいかない


球磨「肉だクマ」


即答だった。だよね と、答える気すら起きない程、予想通りの中身だった


提督「肉のカレー焼きにする気は無いが…」


明らかに、メインが入れ替わるようなそんな分量の肉塊だった

野生の熊だって、そんな肉ばっかり食べないと思う


提督「そんなに腹減ったならリンゴでも食べてろよっと」


戸棚にあったリンゴを球磨に向かって放り投げる提督


球磨「おっと…」


なんてこともなく、それを受取ると、続く音は…バリっ


提督「…」


むしゃむしゃ…


多摩「…」


ばりばり…むぐむぐ…


提督「おい、多摩…お前の姉だろ、もう少しなんとかさ…」

多摩「自分の艦娘だろうに、何とかするのは提督の方にゃ…」


ごっくん…


球磨「うむ。悪くないクマ…どしたクマ?」


リンゴを飲み込んだ後、軽く引いてる妹と提督に首を傾げる球磨

いやだって、皮を向かないのも、丸かじりまでも分かるけど…芯ごといったよ、この娘

女子力とか云々以前の問題だと思うんだ


そうして、しばらくの後、漂ってくるエスニックなカレーの匂い

その日のカレーは、やたらと固形物が多い甘口のカレーになりました


北上「肉だな…肉が多いな」

提督「お前の姉に言ってくれ…」

大井「ってこれ、リンゴじゃないの…擦りなさいよ、なんで丸ごと…」

提督「あそこの兎がな」


それでも食べれるんだから、カレーって凄い

そんなホワイトデーの一日でした



ー鎮守府・玄関ー


皐月「んーっ、よしっ」


朝食の後、散歩がてらに鎮守府を回ったあと、玄関の前でぐーっと伸びをする皐月

今日も良い一日になりますようにと、なんとなく思いながら扉に手をかける


妖精「もし、そこなお方?」

皐月「ん?」


不意に声を掛けられ振り向いてみれば、郵便屋さんの格好をした妖精さんが立っていた


妖精「おてがみです」


ガサゴソと、黒いバックから一枚の便箋を取り出し、さっと皐月に差し出す


皐月「ありがとう…これは、大本営から?」

妖精「ですな」

皐月「何だろ?」


なんとなしに陽の光に翳した所で中身が見えるわけもなく

結局開けてみるしかなさそうだった…しかし、なんだろう

嫌な予感がする…あの人、用があれば自分で来るのに、わざわざ手紙だなんて


妖精「あずかりしらぬ。それよりも、はんこかさいん…なければけっぱんでもよろし、これおすすめ」

皐月「…うん、判子あるから」


血判って…拇印の事でいいんだよね…


妖精「さよか…では、たしかにわたしましたです。よまなかったらただではおかぬ…ではの」

皐月「…こわい…」


なんでこう表現が物騒なのだろうか…

しかし、わざわざ念を押されたのだ、余程重要な内容なのだろうか?

そんな好奇心も手伝って、さっさか封を切る

どうせ、司令官に渡してもボクが読むことになるだし…さて、内容は…


皐月「え…うそ…そっか…でも…」


手紙の内容、それ自体は喜ばしいものだと思う

ついでに、小難しい説明の後、添えられたコメントには…


「こっそり改装(着替えて)あいつを驚かせてやりなさい」


司令官が読まないことも織り込み済みだった

その気遣い自体は嬉しくも思うのだけれど


皐月「どうしよ…」


小難しい内容に、小難しい視線を落とす皐月

だって、いきなりそんな事言われても困る、というのが正直な所だった



ー執務室ー


朝、何だと思う

というのも、さっきまで静かで薄暗かったのが

扉を開ける音を皮切りに、人の気配がうろつき始め、さっとカーテンが開かれた


提督「まぶしい…」


朝だった

どうもこうもない、朝日は寝起きの目には辛い


三日月「ほーら、司令官。そろそろ起きてください」

提督「むぅ…」


重いまぶたを擦りながら、なんとか上半身を持ち上げる

ぼやけた視界、対面のソファには毛布にくるまってる望月

そして、机の向こう側、窓の方へ目を向けてみれば


三日月「おはようございます、司令官」


今日も1日頑張りましょうねっと、愛らしい笑顔が迎えてくれた

と、そこまでは概ねいつもの朝だったのだけれど、少々物足りなさを覚える


提督「あれ…皐月は?」

三日月「え?あぁ…っと、ちょっと今日は用があるからって、はい」

提督「?」


用があるから、それ自体は別にいい、良いんだけど…

そういった三日月が、視線を外したのは何故だろう?

おまけに何か歯切れが悪い…隠し事?


提督「ふーん…」


そりゃまあ、一緒に生活してても隠し事の3つや4つ…あるいはもっとか、合って然るべきだろう

しかし、隠されると気になるな…そう、スカートの中みたいなもんだ

己の全存在を賭けてまで見たいわけでもないけれど

隙あれば、見えるのなら、見ておきたいっという程度だ


望月「ふぁぁぁ…んだよ、あたしらだけじゃ不満かい?」


大きなあくびを隠しもせず

いかにも私は眠いですアピールをしながら、望月がゆっくりと体を起こす

とはいえ、さっきから起きてはいたのだろう

あくびの後に続いた言葉は、提督をからか様であった


不満は無い、有るわけがない、むしろ大満足まであるけども

合って当たり前のものが無いという違和感か…

これが初めてというわけでもないが、そうそう馴れるものでもない


提督「…よっこいせ」

望月「ちょっ…せまいっての…」


などと考えていたら、寝ぼけた体は勝手に望月を膝の上に乗っけていた


提督「あら?構って欲しかったんじゃないの?」

望月「そりゃ、司令官だろ…」

提督「そうですが?」

望月「開き直るし…」


なんて唇を尖らせながらも、何処か嬉しそうな望月


三日月「ふふっ。そういう訳だから二人共?今日は手伝ってくださいね?」


珍しく照れてる妹を、微笑ましく思いながらも仕事を始める三日月だったけど


二人共「zzzz…」

三日月「ちょっとっ!?寝ないでよっ!」


皐月がいない分色々と大変そうだった



ー睦月達のお部屋ー


睦月「まことかっ」


ちゃぶ台から ぐいっと身を乗り出し、皐月に顔を寄せる睦月

その笑顔は 喜び一杯夢一杯で、妹の改2の報を素直に喜んでいた


如月「良かったじゃないの?」


それは如月とて同じことなのだけれど

いまいち浮かない皐月の表情に首を傾げていた


皐月「それはそうなんだけど…なんていうか、さ?」

如月「不安?」

皐月「うん…」


なるほど、とは思う

確かに行きなり、「やったね皐月ちゃん改2になれるよっ!」なんて言われても

はいそうですか、とはいかない部分も有るだろう


睦月「どうしてっ、すっごくなってっ つっよくなってっ、提督に褒めてもらえるんだよっ!」


いったい何が不安なのだろう?

改2になる、強くなる、提督の役に立てる、褒めてもらえる、やったっ!

少なくとも、睦月の頭の中はこうなっている。とてもわかりやすい


睦月「睦月ならどこまでも有頂天になれるよっ!」


などと、人差し指を天井に突きつけ、放っておいたら何処までも昇って行きそうだった


如月「はいはい、昇りっぱなしは危ないから降りて来なさいね」

睦月「はーい」


そんな姉の手を引いて、隣にちょこんと座らせる如月

いつもなら、そんな光景を微笑ましくも思うけど、今の皐月にそんな余裕は無く

騒ぎが一段落すると、ぽつりぽつりと話し始める


皐月「でも、だってさ?容姿とか…制服とか、変わったりするじゃん?」

如月「ええ、そうね…でもだからって、そんな極端には…」


そりゃまあ、背が伸びたとか胸がどうこうとかは聞くけども…いや実際、体験したけども


皐月「でもっ木曾さんなんてっ、マント付けて、刀持ってさ…」

睦月「かっこいいじゃんっ」

皐月「やだよぉぉ…」


皐月改2…マント付けて刀持ってって…そりゃ、菊月とかは喜びそうだけど

…いや、司令官も喜びそうだけどさ…そういう喜ばれ方は、ちょっと微妙だ


如月「木曾さんはだってほら?艦種ごと変わっちゃったから、多少はね?」

皐月「そうかもだけど…姉さん達は、不安じゃなかったのかい?」

睦月「????」


「不安じゃなかったの?」そんな妹の問いに、睦月の頭に疑問符が飛び交う

目を丸くして、小首を傾げ「なんで?どして?」と言いたげだ

それはだって、先の宣告どうり、すっごくなってっ、つっよくなってっ、提督に褒めてもらえるのだ

不安なんか有りはしないし、不満なんてもっとない


如月「ふふっ、睦月ちゃんはそうよねぇ」


睦月の傾げすぎた首が、梟の様にねじ曲がり

こてんっと、如月の肩を叩く

まあ、この娘の場合はそうでしょうね。というか、ちょっと極端かもしれないけど

聞いた相手が悪いという良い見本だ


如月「んー…でも、そうね。その気持ちも分かるんだけど…」


それはだってそうだろう、自分だってそうだったのだ

木曾さん見たいにガラっと変わってしまったり

北上さん達みたく、おそへがきゃーってなってしまったり

では、自分はどうなるのだろうと、良くも悪くもいろんな想像をしたものだ


皐月「でしょっ!」


ようやくと言っていいほど待ち望んだ同意の言葉に皐月が食いつく

誰かの同意を得られるのは嬉しい、特に自分が不安なときは

それじゃあ、その不安を解決する方法を教えてあげるのも姉の努めかしら、ね?


如月「そうね、不安を解消する方法が一つだけあるわ」

皐月「…」


ごくりと、喉をならす皐月

気づけば背筋を伸ばし正座をしていた

聞く準備は完璧だ、姉の言葉を今か今かと待ち望んでいる


如月「皐月ちゃん…」


音もなく立ち上がる如月

皐月の手を取ると、ずるずると部屋の扉の方へと引っ張っていく


皐月「え、なに?ちょっと、如月?」


無理やり引っ張られ、慌てて立ち上がり

どうにかバランスを取った頃には、ぽいっと部屋の外へ放り出されていた


如月「良いから、司令官にあってくることっ」


ビシっと皐月に指を突きつける

「ちゃんと工廠で着替えてくるのよ?」と、付け加えるのも忘れずに


皐月「いやいや、それが出来ないって話だったじゃん」


不安やら気恥ずかしいやらで躊躇して

埒が明かなくなったから、こうやって話を聞きに来てるのに

さっさと着替えてこいとは随分と強引な


如月「だーかーらっ、さっさと会ってこいって言ってるのよ?」


そういうのは、要らぬ心配というのです

自分で思ってるほど大げさな問題じゃないのです


如月「それが終わるまで、家の敷居はまたがせませんからねっ」


「それじゃ、がんばってっ」


ばたんっ


閉じられる扉、残される皐月


皐月「ぇぇぇぇぇ…」


皐月の口から声が漏れる

いや、漏らさずにはいられない

それが、溜息なのか、呆れなのか、不満なのか、不安なのかは分からないし、どうだっていい

ただただ、やり場のない感情を吐き出しただけだ


そりゃだって、そうだけど、そうするしかないけども、そうしたいんだけど


皐月「如月のばーか…」


ぽつりと呟き、扉に背を向け歩き出す

ちょっと背中を押して欲しかっただけなのにさ

「大丈夫だよ、心配ないよって」言って欲しかっただけなのに…

蹴りだすんだもんなぁ…はぁ…お姉ちゃんのばーか…


べーっと心の中で舌を出して、とぼとぼ歩き出す皐月だった




睦月「にししししし」

如月「何笑ってるのよ…」


皐月を放り出し、部屋に戻ってみれば

にやにやと何か言いたげに笑っている睦月に出迎えられる


睦月「なんでもー。如月ちゃんとそっくりだったにゃーって」

如月「…そうだったかしら?」


知らぬ存ぜぬ覚えてませぬと、そっぽを向く如月

しかしその実、心当たりはありまくりだったりもする


睦月「にゃしー…」


ほぅ、白を切るか。それもいいが…睦月の特技はね、如月ちゃんの真似っ子なんだよ?

どれだけ一緒にいると思っているのだ、どれだけ見てきたと思っているのだ

妹の手癖口癖など、自分のもののように扱える


睦月「ねぇ、睦月ちゃん似合ってる?」(←如月の真似

睦月「これ、おかしくない?変じゃない?」(←如月の…

睦月「司令官は喜んでくれるかしら?」(←きさら…


上着の裾を摘んでみせたり、あまり気味の裾引っ張って見たり

その場でくるくる回ってみせたりと、いつぞやに妹がやっていたそれを

一挙手一投足まで再現してみせる睦月


如月「ちょっ、やめっ、忘れてっていったじゃないっ」


恥ずかしい思い出を突きつけられ、見せつけられて、「きゃー」っと睦月に飛びつく如月

如月にだって覚えはある、初めて改2になった時

概ね、睦月がやっていたことをしていたし、皐月の様にオロオロとしたりもした

でも、それは昔のことだし、知らんぷりをしていたいし、忘れたつもりでいたかった

だって恥ずかしいじゃないっ!


しかし、見栄張って皐月にああも言ってしまった以上

知られたくないし、知られる訳にはいかない

だって恥ずかしいじゃないっ!


良いでしょっ、お姉ちゃんだもん、カッコくらい付けたいじゃない

お姉ちゃんカッコイイって言われたいじゃない


睦月「嫌だとも言ったねっ。妹との思い出を忘れてなるものかっ!」


そんな如月の心情等お構いなしに、未来永劫語り継ぐつもりの睦月

今は何とか抑えているが、その内に他の娘達の耳に入るのも時間の問題そうだった


睦月「あの時のことだってっちゃんと覚えてるんだからっ」

如月「あ、あの時って…」


覚えがあるようなないような

自分にとって何がアウトでセーフなのかと、睦月の言葉に身構える如月


睦月「そう、如月ちゃんが「お姉ちゃん、お姉ちゃん」言って、睦月の後をついて回って…」

如月「いつの話よっそれっ!」


ほんとに知らない話だった、いやマジでほんと


睦月「思い出は作るものだよっ如月ちゃんっ」

如月「捏造っていうのよっそれはっ」

睦月「捏造の何が悪いっ!」

如月「どうして良いと思ったのよっ!」


もはや思い出でもなんでもなく、睦月がやりたいだけだった


睦月「皐月ちゃん…ちゃんとお着替えできるかにゃ?」

如月「ん?」


ひとしきり騒いだ後、ぽつりと呟く睦月

じっと、皐月が出て行った扉の方を見つめる横顔は

どこか優しく不安気で、妹を見守る姉のようであった


如月「ふふっ、平気よ。だって、私達の妹よ?」


理由になってないと言われればそうだろう

姉より優れた妹なんて…そんな言葉もあるくらいだ

姉にできるからとて、妹にもできるなんて道理はないが


睦月「にゃふっ。で、あるな」


笑顔を見せ、それもそうかと、是非もなしと、愚問であったなと、鷹揚に頷く睦月だった


「だからいい加減忘れてちょうだい」

「嫌だねっ」

「ぶーっ」



ー北上様のお部屋ー


皐月「て、訳なんだけどさ…北上さんたちはどうだったのかなって」


しかたないので、他に改2になった人に話を聞いてみようかと

北上様達のところへ来ていた皐月


北上「どうって…そうねぇ」


ちゃぶ台を挟んで向こう側

一通り話を聞き終わった北上様が、何をそんな大げさなと首を傾げていた


大井「普通に強化されて嬉しいってくらいね…」


隣に座っていた大井さんからは素直な感想

空きスペースに魚雷を満載していた状態から

それを更に先鋭化させて、よくも悪くもわかりやすい装備になったとは思う

中途半端に色々出来るくらいならこれくらいの方が使いやすいことも有るだろう

使いづらい所が目立つのは否めないが


北上「何いってんだい、大井っち。ここだって、こんなに強化されてるじゃないかっ」

大井「きゃっ」


わしっ、もにゅっ


大井「ていっ」

北上「あいたっ」


北上様のおでこに、大井さんの手刀が落ちる


大井「何をしてるのよ、貴女は…」


実におっさんくさい


北上「一度やってみたかった、今は満足している」

大井「ていっ」

北上「あいたっ」


2度目の手刀が振り下ろされる


大井「だいたい、これは改2関係なく、自前です。じ・ま・えっ」


それを庇うように体を抱いて、半身身を引く大井さん


北上「みなよ、皐月。あれは自慢よ、じ・ま・んっ」


口元を手で隠し、コソコソしてる振りをしながらも

割りかしと大きな声の北上様


大井「ちーがーいーまーすーっ」

皐月「あははは…ま、まぁ大井さんのは大きい、よね…」

大井「はいはい、そりゃどうも…」


この場に置いて大きいと言われても少々悩ましい

皐月達駆逐艦に ゆーと姉妹達、夕張に瑞鳳と大鳳と…

比較対象になりそうなのが金剛さんくらいなものだ、でかいも何もあったものじゃない

もしかしなくても、あの人の趣味なのかと勘ぐりたくもなるが…いや、半分はそうなんだろう、ぜったい

でもだからといって


大井「皐月が改2になった所で、いきなりこうはならないでしょう?」


垢抜けたり、背が伸びたりと、大人っぽくなる娘もいるけれど


皐月「それは…わかんないじゃんか…」

大井「私達だって、ちょっと防御力が下がったくらいよ?」


冬服が夏服になっただけとでも言えばいいか

お腹周りがちょっと すーすーするけれど、良くも悪くもその程度


大井「それとも、それが嫌だったりするの?」


確かに、スカート短くなったり、おへそやお腹周りが見えてるのは、気になる娘もいるかもしれないが

履いてるかどうかも怪しい娘もちらほらいる業界だ、そこは諦めろとしか…


皐月「いや…それくらいだったら、べつに…」

大井「だったら良いんじゃない?」


気にせず着替えてきたらいいと

なにを悩んでいるのか、いまいちピンと来ない


北上「むふふ…。ちがうな、違うんだよ大井っち。そうじゃないんだよ、大井っち」

大井「じゃ、なんだってのよ?」


二人の話を横で聞いていた北上様が、訳知り顔で微笑んでいる

分かってるなら、さっさと教えてあげればいいのに

意外と意地が悪いところがあるのは提督の影響だろうか


北上「結局さ。自分がどうなるか不安なんじゃなくて、提督に…」

皐月「わーっ!?」


言葉を続けようとする北上様を遮って、声を上げる皐月

ちっちゃい体を目一杯広げて、すとーっぷと、やめてーとアピールしている


北上「…」

皐月「…」

北上「提督に…」

皐月「わーっ!?」

北上「て…」

皐月「わーわーわーっ!?」

北上「…」


やだ、ちょっとおもしろい


大井「やめて上げなさいな…」

北上「にっしししし…いやぁ、ついね…」


確かに、こういう反応をされれば、提督の悪戯っ子もよく分かるというものだ


大井「にしても、提督ねぇ…」

皐月「ちがうっちがうからっそんなんじゃないからっ」


そんな顔赤くして、手をパタパタ振って、違う違うと言われても


北上「一体何が違うんですかねぇ…」

大井「だいたい違うんなら、さっさと着替えてこいって話よ…」

皐月「うっ…」


まったくもって正論だった


皐月「もう、わかったよ。ありがと…ちょっといってくる」


席を立ち、トボトボと部屋を出て行く皐月

分かったと、そう言う割には全然不満そうだったけど




皐月が部屋を出て行った後

顔を見合わせて、北上と大井、二人で笑みを交わす

まったく、可愛らしいを絵に描いたようだ


大井「そんなんで嫌われるわけないのにねぇ」


多少容姿が変わったくらいで、どうやったらアレが皐月のことを嫌いになるのか

意外と信用ないのかしら?


北上「それも違うなぁ…提督に嫌われる心配なんてしてないんよ?」

大井「?」


やれやれと首を振る北上に、「じゃあ、なによ?」と首を傾げて先を促す大井


北上「結局さ…」


提督に喜んでもらえるかどうか、これが不安なんよ



ー執務室ー


三日月「ごめんなさい大鳳さん。手伝ってもらっちゃって」


提督と望月が狸寝入りをし、仕方なく三日月が仕事を初めてしばらく

3人だけだった執務室には大鳳が加わっていた


大鳳「ううん。今日は皐月も忙しいみたいだし、ね?」


申し訳無さそうに瞳を伏せる三日月に、微笑んで見せる大鳳

廊下ですれ違った皐月の様子が気になって、執務室を覗いてみれば案の定

提督たちの遊び相手に、書類整理にと三日月が目を白黒させていた


三日月「それで、えっと…どうでした?皐月の様子は?」

大鳳「ふふっ、そうね。重傷…だったわね」

三日月「あははは…だめかぁ…」


多少なりと時間も経って、すこしは落ち着いたかと思えば

未だに鎮守府内を彷徨い歩いているらしい

今朝方、不安そうな顔して「秘書艦代わって?」何て言われた時には何事かと思ったけど

意外と家のお姉ちゃんはヘタレらしい

これは、今日一日使いものにならないと思ったほうが良さそうだ


大鳳「ああいうのは、頭では分かってても中々ね…」

三日月「くすっ…経験者は語る…ですか?」

大鳳「そうよ?」


つい先日、勢い余ってやらかして

誰も気にしてないのに、一人でどう取り繕うかと悶々としていたことを思い出す

こんなもの、過ぎてしまえば、振り返ってみれば大したことはないのに

その場にいる限りは、それが世界のすべてのように思えてしまうものだ


望月「良いわ…鬼は鬼らしくしないとね」(←大鳳の真似

大鳳「…」

提督「きっくづきちゃんっ、あっそびましょ?」(←大鳳の…

大鳳「…」


やっぱり失敗だったかもしれない

特に、提督にからかう取っ掛かりを与えたのは…

人の噂もなんとやら…飽きるまで耐えるか、がんばれ私


三日月「もう、二人とも。あんまりからかっちゃダメなんだから」

大鳳「三日月…」


三日月にかばってもらえた事に、ちょっと感動を覚える大鳳さん


三日月「良いじゃない、大鳳さんがたまにはしゃぐくらい…」


たとえ、大豆まみれで皆を追いかけ回したり

結果として、豆だらけになった鎮守府の掃除も大変だったけど


三日月「ねっ大鳳さんっ♪」

大鳳「あはは…そう、そうよね…」


きっらきらの笑顔を大鳳に向ける三日月

笑顔が眩しい、突き刺さるくらいに…まるで真夏の太陽のよう

そんな笑顔を直視できず、苦笑いを浮かべてそっと目を逸らす大鳳さん


望月「…すげーな、あたしら踏み台にしてトドメ刺しにいったぞ」

提督「誰に似たんだかなぁ…」


姉の成長に染み染みとしつつも、どこか末恐ろしく感じる二人


大鳳「…」


皐月ちゃん早く戻ってきて…おねがい

ちょっと挫けそうだった



ー食堂ー


鎮守府内を彷徨っていた皐月

食堂の前を通りかかると、お茶を飲んでいた金剛さん達に誘われて席に着いていた

浮かない顔の皐月に、どうかしたのかと問いかけてみれば


瑞鳳「改2ねぇ…」

皐月「うん、瑞鳳さんだったら、どんなのが良いのかな…」

瑞鳳「まぁ、私なんかもある意味改2みたいなものだけどさ」


とは言っても、高速給油艦をやったことなんて結局なかったけれど

でも、どうせなるならどんなのがいいかな?

逆戻りはアレだけど…でもそう…せっかくだし


瑞鳳「補給もできる軽空母…とか?」

金剛「んー…面白くはありますが…」


ただでさえ、航空魚雷に爆雷にと危険物が満載の空母に

さらに燃料を満載して危険箇所を増やすこともないでしょう…

おまけに補給用の燃料にスペース取って搭載数減らして…


金剛「良いことある?」

瑞鳳「…だよねぇ」


あったとしても、補給艦が要るほど大遠征をする機会なんて

ちょっと先祖返りも夢見たけれど、空母は空母で有る方がよさそうだ


瑞鳳「そいえば、金剛さんはどうだったのよ?」

金剛「どうって?どうもこうもありませんよ?」


何でそんな事を聞くの?なんて、首を傾げる金剛

提督の期待に応えられるんですもの、打たない手は無いわ


皐月「流石だね、金剛さんは…」


予想通りの答えだけど、なんの淀みもなく言い切るのは凄いと思う

ボクもあれくらい言い切れたらと羨ましくもあった


金剛「ん?」


流石か…そう言われて悪い気はしませんが

そんな羨ましがられても嬉しくはないね

皐月、いつもの貴女なら、そんな見上げるようにじゃなく

同じ所から流石だと言ってくれるのに

そんな不安だらけの顔じゃ、提督に合わせられませんね…


そこで、カップに口をつけて一呼吸

紅茶の良い香りが鼻から抜けて、代わりにお菓子の甘い匂いが心を満たす

さて…


金剛「皐月、一つ聞きます」


カップを置くと、姿勢を正し、真剣な面持ちで皐月に問いかける金剛


皐月「ん、な、なに?」


それにつられて、居住まいを正す皐月

聞くことは一つだけ、たった一つのシンプルな…


金剛「貴女は、改2になりたくないの?」

皐月「そういう訳じゃ…ただちょっと…」


真っ直ぐに見据えてくる金剛

それに視線を合わせられずに、口を濁らせる


金剛「煮えきりませんね…」

皐月「ぅっ…」


すっと、細くなる金剛の瞳

きつくなる視線の中に僅かながらに怒気が含まれる

それに気づきはしたものの、反抗も反論もできずに、射竦められる皐月


そう、選択はいつだってシンプルで、答えだっていつだってシンプルなものだ

YES or NO それだけよ…それでは、念を押してもう一度


金剛「なりたいの?なりたくないの?」

皐月「なりたい、です」


それはだって、そういう風に聞かれたら

なりたくないわけじゃないけれど…そういう聞き方はちょっとずるいと思う


金剛「OK。なら、いま貴女が居るべきは此処ではないわ。You Know?」

皐月「ぅぅぅぅ…わかってるけどさぁ…」

金剛「お・だ・ま・り。分かってるなら、about turn And Go Arsenal…ね?」


回れ右して工廠に行って来い、これに限りるね

不安に思おうがなんだろうが、その気があるならさっさと着替えてこいって話よ


皐月「えっと…」


ちらっと、瑞鳳の方へ視線を送る皐月

助けて欲しいというか…いや、助けて欲しいは欲しいけど


瑞鳳「…」


しかし、瑞鳳の方も、軽く肩を竦ませて首を振るのみ

概ね金剛と同意見のようだった




瑞鳳「ちょっと強引だったんじゃ?」


確かに、グダグダ言ってないで着替えてこいってのは、そうは思ったけども


金剛「no problem♪誰だって初めては怖いものよ」

瑞鳳「経験者は語る?」

金剛「Yes」


そりゃ私だって、不安がなかったといえば嘘になりますが

そんな心配より、提督の力になれないほうが万倍も兆倍もイヤだからね

とは思いもしたが、やってしまえばあっけないものだったし…ちょっとチクっとしたくらいか


しかしだ、何より,そんな事よりもっ


金剛「それより聞いてくださいよっ瑞鳳っ!」


提督ったら酷いんデスヨっせっかく改2になったのにどこが変わったかわからないってっ


瑞鳳「ああ…まぁ、あの人は…そうでしょうね」


その時の光景が目に浮かびそうだ

女の子が髪型変えても、余程じゃないかぎりスルーしそうだし、提督は


瑞鳳「で、実際何処が変わったのよ?」


私が来た時には改2になってたし…


金剛「これを見てっ!」


懐から写真を取り出すと、瑞鳳の前に広げてみせる


瑞鳳「…えっと、心霊写真?」


映っているのは金剛さんと…なんか、ぶれた人影のような?

その人影に抱きついて、自撮りの要領でカメラを向けてはいるみたいだが


金剛「違うよっ!提督が素直に写真に撮られないからっ!」


魂取られるとか何とか言って

心霊現象の親玉が何を言ってるかって話ですよっ


瑞鳳「…これでもよく撮れてる方なんだ…」


そんなブレブレの写真でも、わざわざ持ってるってことはそういう事なんだろう


金剛「デス…」


がーんと、一気に意気消沈する金剛さん


瑞鳳「で、これが改の時の?」

金剛「ですねっ。どうですかっ、わかりますよねっ」

瑞鳳「…」

金剛「…」

瑞鳳「…」

金剛「…」

瑞鳳「…」

金剛「なにか言って!」

瑞鳳「あ、ごめん…」


沈黙に耐えかねた金剛が、しびれを切らして感想を催促するが


瑞鳳「ちょっと、私もわからないかも…」


写真と目の前の金剛さんを見比べてみても

何時も通りな気しかしない


金剛「もっと見てっ、ちゃんと見てっ、私をっ、さあっさあっさあっ!」

瑞鳳「ちょっ、金剛さん、ちかいちかい」


ずいっと身を乗り出してくる金剛

そんなに近づかれたんじゃ、分かるものも分からないって…


金剛「むぅ…ほらぁ、カチューシャとかぁ、胸の飾緒とかぁ…」

瑞鳳「あぁ…」


観念した金剛から、答えを聞いてみてようやく納得する

しかしこれは、間違い探しのレベルじゃないか…

地味過ぎる、提督にそれを気づけというのはちょっと酷かもしれない


金剛「まったく酷いんですよ…自分で着替えてこいって言ったのに…」


どんだけ私が提督の周りをうろちょろしたと思いますか

皐月達には くすくす笑われるし、危うく目が回るところでしたよっ

あまつさえ、「あ、終わってたんだ」って、酷くないですかっ


瑞鳳「ああ、うん…紅茶冷めちゃうから、それ飲んで落ち着こ?」

金剛「ぶーぶー」


そうして、しばらく金剛の愚痴に突き合わせる瑞鳳

皐月の様子を見に行こうかとも思ったが、終わる頃には流石に着替え終わってそうだなと



ー工廠ー


皐月「…ゆうばりさーん…」


工廠の入り口からこっそりと、伺うように、顔だけを出して、中の様子を覗き込む皐月

密かに夕張さんが不在なことを期待してもいたりする


木曾「…」


なんだあれ?最初に思ったのはそんな感想

皐月が工廠の前にいることに不思議はないが

何をコソコソと中を覗き込んでいるのかという疑問が尽きない

ていうか、コソコソしてる割に周りに無警戒過ぎる程には余裕が無いらしい

提督じゃないが、後ろから脅かすなり、スカートまくりたくなる気も良く分かる


が、そこはぐっと我慢の子

用があるのに入りたくないというなら、とりあえず押し込んでみるかと


木曾「何やってんだ?良いからさっさと入れよ」

皐月「え、木曾さん?え、あ、ちょっ」


皐月の首根っこをひっ捕まえて、ズルズルと中に入っていく木曾さん

「待って、待って」と、皐月が暴れてるが、面白いからほっとこう


夕張「木曾さん?それに…なにそれ?」


騒ぎに気付いてみれば、木曾に首根っこ引っ掴まれてジタバタしてる皐月

これが、卯月や睦月あたりなら何とも思わないけども…なんで、皐月?

新しい遊びか何かなのだろうか?


木曾「いや、こいつが工廠の前でコソコソしてたからな、面白そうだから引きずってきた」


そういうと、ほいっと夕張の前に皐月を突き出す木曾さん


夕張「ふーん…で?」


御用はなぁに?と、わたわたと突き出された皐月に問いかけてみる


皐月「いや…ちょっと、その…これ、なんだけど」


珍しく歯切れの悪い物言いを不思議に思いながらも、渡された手紙に目を通す


夕張「あら…これは」

木曾「何だ?へぇ、改装か。良かったじゃねぇか」


その内容は、大本営からの第2次改装のご案内

なるほど、これで皐月がこっちに来た理由はわかった、けれど


皐月「…そう、なんだけどさ」

夕張「どしたのよ?」


やっぱり歯切れが悪い

卯月に見たく、ぴょんぴょん跳ね回れとは言わないが

もう少し喜んでもいいだろうに


皐月「こ、こころの準備が…ね、ね、木曾さんっ、痛かったりとかしないよね?」

木曾「は?」


見上げてくる金色が平時とは違って、ゆらゆらと揺れている

痛いかどうかと聞かれれば、そりゃ…


木曾「チクッとくらいするだろうが…なんだ、不安なのか?」

皐月「少し…ね?少しだけ、だから…」

木曾「…」


とても、少しという風には見えんが…まあ、そういう事にしとこうか


皐月「えっと、じゃさ…木曾さんはさ、その、改2になった時、ほら、司令官になにか言われなかった?」

木曾「いや?」


何を聞かれるかと思えば、なんだそりゃ?と言いたくなる質問だった

というか、今日はなんかコイツ変だな…改2になるのがそんなにアレなのか


木曾「…ああ、でも。マントとか刀見てはしゃいではいたか」


軍刀振り回して、◯突ごっことか…まあ、気持ちはわからなくもないが


夕張「あぁ、やっぱり好きなのね、そういうの…」


振り回して遊んでる様が目に浮かびそうだ

というか、◯突くらいなら普通に出来るんじゃないだろうか、あの人は…


木曾「子供かってのな?で、それがどうかしたのか?」

皐月「いや、どうもはしないけど…ただ、ちょっと、すこし、ね?」

夕張「…」


んー…やっぱり歯切れが悪いな。なんだ?

改2になりたくない?それはないな…手紙持ってここまで来てるんだ、それはない

ま、多少の不安は理解できるが、イヤに怖気づいてるわね、らしくもないといえばそうだが

艤装どころか、それに合わせて容姿も多少変わっちゃうし、分からんこともないか…

じゃあ、次だ…改2になった木曾さんに感想を聞くのは当然の流れだろう

痛いかどうか、それは確かに重要だ、死ぬほど痛いと言われれば覚悟もいるだろう

けども違うな。だって、次の質問の時と明らかに口の滑りが違うもの…本題はそこか

司令官に何か言われなかったか?

て、い・う・こ・と・は…


夕張「んー…つまり、あれだ。改2にはなりたいけど、提督に気に入ってもらえるかどうか分かんないし?」


みたいな?


皐月「いや、それは…ちが、わない、けど…」


何も間違ってはいない指摘に、おずおずと頷く皐月


夕張「うん、わかった♪ 木曾さん」

木曾「ああ」


なるほど、相わかったと、笑顔で木曾さんに呼びかける夕張

木曾さんも合点がいったのだろう、そこに頷きを返すと


皐月「え、あ、ちょっとっ!?」


二人で皐月の脇を抱え込み、ドッグの前まで引きずっていく

絵的には、よくあるリトルグレイの捕獲映像みたいになっているだろう

往生際悪く、皐月がジタバタ暴れてるが、二人がかりで掴まれてはそれも無駄な努力だった


夕張「そーら、ドックにほうりこめーい」

木曾「せーのっでっ」


「ぽーいっ!」


皐月「うわぁぁぁ…」


ざっばーんっ


「心配して損した」とは、概ね二人の感想だった




皐月「ぅぅぅ…酷いよ二人共…」

夕張「なーにが酷いもんですか。あのままじゃ日が暮れてたじゃない」

皐月「それは…そう、かもだけどさ…」


初めてだったのに…もう少し優しくしてくれてもいいじゃないか


木曾「で、どうだ?改2になった感想は」

皐月「あ、うん、えっと…変じゃない?」

夕張「うん、可愛い可愛い」


多少、背が伸びたかな?

うん、でも、提督のストライクゾーンの範囲内でしょ、むしろ真ん中に近づいたかもしれないし


皐月「にあって、る?」

木曾「ああ、似合ってる似合ってる」


でも、なんだな…そうやって、制服の前を開くとマント見たいに見えなくもない、か

その上…「武功抜群」か…まあ、あの刀はそういうんじゃないか

後で提督に言っとかないとな、オモチャにするようなもんじゃねーし


夕張「よしよし、後は艤装の確認ね…どうする?演習でもする?」

木曾「…いや、丁度いいのがいるな」


木曾さんが工廠の外に目をやると

丁度、長月達が歩いているのが目に入る

時間的には警備任務って所だろうか…ついでに引っ張っていってもらうか



ー執務室ー


大鳳「…あら」


窓の外、ふと 眩しさを覚える。波間の照り返しとはまた違う

気になって外を見てみれば、姉妹たちに背中を押され

やんややんや言われながら、港に向かう皐月達が目に入る


大鳳「…ふーん」


あの様子だと着替えそのものは終わったようだ

しかし、こっちまで来てないとなると…往生際の悪い

敵艦隊には1人ででも突っ込んでいくくのに、提督にお披露目するのはそれより難易度が高いようだ

案外と、妙な所でヘタれるのは提督に似たのか、元からなのか


三日月「大鳳さん?…あれ、ぁ」


窓の外を眺めながら一人微笑む大鳳

何を見てるのだろう?面白いものでもあったのかなと、つられて三日月が視線を追ってみれば

こそこそと、港に向かって行く姉の姿が目に入る

なるほどと…そして、名前を呼ぼうとした所で、大鳳の指先が三日月の口元に添えられる


大鳳「しー…」


同じように、自分の口元にも指先を当てて、お口にチャックの大鳳さん

心の準備が終わらないのか、提督へのサプライズでも考えてるのか…まぁ、9割方前者だろうけど

ちらりと視線を提督の方へ送る大鳳、それに三日月が小さく頷きを返してくれる

とりあえず、提督には内緒にしときましょうか



ー海上ー


長月「ふふふ。それで海に蹴りだされたと」

皐月「笑わないでよ…」


苦笑する長月。話を聞いてみれば何の事はない

着替えるのが恥ずかしくって、紆余曲折した挙句

大回りに大回りを重ねて、呆れた夕張達に海に放り出されたとそういう事だった


文月「可愛いなぁもぅ」

皐月「なーでーるーなーっ」


文月がニヤニヤと笑いながら、皐月に擦り寄り わしゃわしゃと頭を撫で回す


菊月「んで?艤装の具合はどうなんだ?」


何をそんなに恥ずかしがっているのかと、不思議に思いはするものの

まぁいい、今はそんなこと重要じゃあないし

どちらかといえば艤装の性能のほうに興味津々の菊月


皐月「え?あぁ、うん…動く分には問題無いみたいだけど…」


その場でくるりと回ってみせる皐月

言うだけあってか、文月にまとわり付かれたままでも、特に問題なく動けているようだった


長月「さて、どうするかな…」

文月「今日は海も静かだったしねぇ…」


警備任務のついでに艤装の調子も見てこいと言われはしたが

現在、領海の端っこ、特に深海棲艦の芽もなし

このまま帰ってもいいが、それだと皐月の艤装の確認がちょっと甘くなるな


菊月「どれ、それなら一つ私と」


主砲を構える菊月

その目はキラキラと輝き、体はワクワクと揺れている


皐月「ええ、今やるのかい?」


嫌ってことはないけど、勝っちゃったら勝っちゃったで

物凄い落ち込むしなぁ…せめて、鎮守府に戻ってからにして欲しいけど


「ぽーいっ、ぽいぽーいっ♪」


ふと、聞こえてくる聞き慣れた声

いや、声以上にその口癖のほうが耳に残りやすいかもしれない


皐月「あれ?夕立さんだ」


振り返ってみれば案の定、そして一緒にもう一人


時雨「やぁ、久しぶり」


パタパタと寄ってくる夕立に、小さく手を降っている時雨


長月「どうしたんだ?こんな所まで」


どちらかと言えば、輸送任務の護衛とかに忙しい方の二人が

領海の近くに来てるなんて少々珍しい


時雨「君たちと同じさ。任せっきりにするのもね?」


実際の所、ちょっと手が空いたから散歩に来た程度のものだけど

夕立一人じゃ何するか分からないから、一緒に来たが正しい所だったりする


菊月「こちらは別に構わんがな。遠出することなど滅多にないし」

文月「でもぉ、偶には遠出したいよねぇ…毎日毎日、お庭の草刈だとちょっと飽きちゃうし」


「まったくだな」と、菊月と一緒に軽く首を振る文月

その毎日の草刈りのお陰で、静かな海が保てているのなら、それ自体は悪いことではないが

変化が欲しいというか、若い体を持て余すというか、まあそういう事だ


時雨「それなら、今度みんなで遠征(えんそく)にでも行こうか」

菊月「是非っ」

文月「いくいくぅ~♪」


やったーっと、抱きついてくる文月を受け止める時雨

あの人は「えー」って顔をするだろうけど

あれはあれで扱いやすいから、言い訳は…そうだね、適当にでっち上げればいいだろうか

あとは、自分家の提督の首を縦に振らせる方法か…


長月「あんまり家の司令官を困らせないでくれよ…」

時雨「ふふっ、分かっているさ。君の大事な司令官、だからね?」

長月「…別に、そこまでは言ってない」

時雨「そうかい?ふふふ…」

長月「笑うんじゃない…」


照れくさそうに視線を逸らす長月に、微笑む時雨

しかし、そう言われてしまってはしょうが無い、多少難易度は上がったが

長月がヤキモキしない、言い訳をかんがえないと




夕立「ぽい?ぽいぽいぽい?」

皐月「え、な、なんだい?」


文月が離れたと思ったら、今度は夕立に絡まれてる皐月

金髪に金髪が合わさり、なかなか輝かしい光景になっていた


夕立「皐月ちゃん。背伸びったぽい?」


自分の頭の上から、皐月の頭の上へと手をスライドさせてみる

この間合った時は、もうちょっと隙間合った気がするっぽい


皐月「え、あー…うん、ちょっと、着替えをね」

夕立「ぽいっ♪お着替えしたっぽいっ、夕立達と同じっぽいっ…でも、なんか嬉しくなさそうっぽい?」


ぽい?っと皐月の顔を覗きこむ

おかしい…改2になったというのに、なんで浮かない顔をしているのだろう?

改2になる、強くなる、提督さんのお役に立てる、褒めてもらえる、嬉しいっぽいっ!

少なくとも、夕立の中ではその公式が成り立っている…まったくもって何処かの睦月型と思考回路が変わらない

だというのに、目の前の皐月ちゃんには公式が当てはまらない…


皐月「嬉しいんだけど…司令官、よろこんでくれるかなーって、思うと、ちょっと…」

夕立「ふーん…」


すぅっと、目を細める夕立。その瞳には、呆れのような不満が浮かんでいた

馬鹿な娘。貴女ともあろう娘が…少し、残念だわ

皐月、貴女は一つ勘違いをしている、提督さんが喜ぶかどうかは問題じゃないの

私が、私達が、提督さんを喜ばせるのよ、その為なら何だってするわ

そう、たとえ…晴れ着や水着のまま出撃することになっても、ねっ


夕立「じゃあっ、夕立と遊ぶっぽいっ」


一瞬、つまらなそうな表情をしたかと思えば、一転して笑顔を浮かべる夕立


皐月「へ?」

夕立「夕立と遊んだら、強くなってるのが分かるっぽいっ」

 

そしたら自信が付くっぽいっ、笑顔になれるっぽいっ皐月ちゃんが笑顔だと提督さんも嬉しいぽいっぽいぽいぽいぽいっ


皐月「ちょっ、夕立さんっ、ちかいちかいっ」


ぐいぐいと、頬ずりする勢いで体を押し込んでくる夕立

けど、そんなこと言われたって、今はそんなドンパチしてるような気分じゃ


夕立「ぶーっ…あっ♪」


乗ってこない皐月に不満そうに頬を膨らませるも、それも一瞬でぽふっと明快


夕立「安心して良いっぽい、今なら負け分は艤装のせいって言い訳を聞いてあげるっぽい」

皐月「…」


むかっ

艤装のせい?なんだいそれは…こっちは、朝からいろいろ大変だっていうのに

皆して、さっさと司令官に会いに行けばっかりで…人の気も知らないで

安い挑発なのは分かってるが、正直 虫の居所は悪かった

それに、憂さ晴らしの言い訳にはちょうど良さそうか、少なくとも菊月の相手をするよりは暴れられるし

そして、なによりだ…


腰に据えられた刀にそっと手を触れ、腰の後ろへと据え直す

【武功抜群】そんな銘の入った刀、懐かしいと思えるほど明確な記憶は無いけれど

これをバカにされて黙ってられるものでもない

あの時だって、今だって…これはボクの誇りだよ

形はどうあれ受け継いだ以上は、この銘に恥じぬ艦娘でありたいと…


皐月「そんな事言って、自分が負けた時の言い訳は出来ているのかい?」


すっと、スカーフの間に指を入れ首を振り、その拘束を緩める


夕立「安心して良いぽいっ。そんな必要は何処にもないわ…」


首に純白のマフラーを回し、ぎゅっと黒いグローブを装着する


皐月「んふ♪…そうかい?それじゃあ…」


風が吹く。白いシャツ、その上に開けた黒い制服が外套の様にたなびいている


夕立「言葉は不要ね…」


お互いの主砲がお互いに向き合う

そして、一発…金色の雫が空に舞い上がった




菊月「お、おい…止めなくて良いのか?」


鳴り響いた砲撃音に、慌てて目を向けてみれば

唐突に金髪二人がドンパチを始めていた


時雨「ん?気分転換にでもなればと思ったけど、お節介だったかい?」

文月「ぜーんぜん。そっちがやらねば、あたし達がやってたしぃ」

長月「相手にとっては不足はない、だろうが…」


相手が夕立ってのがなぁ…やり過ぎなければ良いが、なんて心配が拭えない


時雨「大丈夫さ。夕立の指輪はこっちにあるし?」


そう言って、銀色に輝く指輪を見せる時雨

だが、二人の戦闘が激しさを増していく中で

次第に銀色だった指輪に、ぼぅっと桜色の光が混ざり始める

おまけに、カタカタと震えだし始めた…その内、勝手に飛んでったりしないだろうか…


長月「お、おい…大丈夫なんだよな…」

時雨「え、えーっと…多分」


「ごめん。いざともなれば…」と、皆の顔を見渡す時雨

その時は、がんばって皆で止めようかと頷き合う娘達だった




夕立「あだだだだっ、痛い痛い痛いっ!!」


もうっ、なんなのよっアレっ、あの左手のっ

主砲が片手だけになって、攻撃力が下がったと思えばこれだ

踏み込んだ途端に、バカな見たいな機銃弾に晒されて堪らず後退させられる


夕立「ぐるるるるる…」


口惜しい…実に口惜しい…

機銃弾程度、一発一発は大したことないのに数がヤバイ

ヘタに突っ込めば、カスダメだけで小破、中破は覚悟しないといけないかもしれない


夕立「ちっ!」


おまけに、合間合間に飛んで来る主砲が確実に獲りに来てる

機銃を嫌ってヘタに動けばそこでアウト

なら射程外から撃てばって…


夕立「ちょーこーまーかーとーっ!」


牽制に、2発3発5発10発と主砲を撃ち返すが、それも全部ひらりと避けられる

魚雷で逆転も考えたが、近づいた瞬間に機銃で叩き落とされる…こっから投擲しても多分結果は変わらないだろう


夕立「だったらっ!」


頬から垂れてきた一滴を手で拭い去り、覚悟を決める

どのみち夕立に出来ることはそう多くないし。いや、むしろ、この手しか知らないし

なら、その手を打つ為にっ


皐月「へぇ…」


中々どうして機銃群と言うのは役に立つ物だと、素直に感心する皐月

そりゃ、一発一発は豆鉄砲かも知れないけども、装甲の薄い駆逐艦程度なら追い払う事は可能らしい

場合によっては、巡洋艦クラスだって当たりどころが悪ければ無傷とはいかないかも


しかし、あまり喜んでばかりもいられない

なにせ肝心の主砲が当たらない、本当に良く避ける

機銃弾で動きを抑えてはいるはずなのに、肝心の所はしっかりと避けてくる

鼻が利くといえばいいのか、ボクの動きを読まれてるんじゃないかと不安にもなるほどだ

おまけに、さっきからこの…


皐月「おっと、やっ、ほい、さっさっ!」


お返しにと、飛んできた夕立からの主砲を、首を曲げ、体をそらし、最小限の動きで避けていく

大きく動いてしまえば、カスダメも減らせはするんだけど

そうすると、穴の空いた所に夕立が突っ込んでくるのは目に見えてるし

避ける暇が小さくなって、その内当てて来るだろう

一発でも当てられたら、多分…あの娘と格闘戦は避けたいなっ


皐月「とっ、ふぅ…」


直ぐ側を砲弾が掠め、制服の一部が削り取られる

撃つ度撃つ度精度が上がって来てるのは、気のせいじゃないだろう

場合によっては、魚雷を先に使ってしまったほうが良いかもしれない、誘爆なんかしたら目も当てられない


皐月「むっ…」


だが、それより先に夕立が動く

いや、動いたというには余りにも強引だ


皐月「その度胸は何処から来るのさっ!」


とりあえず、機銃をばら撒いて追い払うと試みるも、歯牙にも掛けず突っ込んでくる

そんなことをすれば、その内に蜂の巣になるってのに

ほんとうに、頭のなかを疑いたくなる


皐月「まったくもうっ」


要は機銃弾さえなければ、突っ込めるんだ。それは分かる、分かるけどっ

駆逐艦にバルジでも積めたら、それで突破してくるだろう事は想像に固くないが

いま夕立が両手に構えて盾代わりにしてるのは、どうみたって魚雷発射管だ

いくら3連装の発射管が他のより頑丈に作られてるからって、それ盾に使うかなっ


皐月「とりあえずっ」


魚雷を進路上にばら撒いて、足を…止まるとは思わないけど、ないよりは良い

何とか、距離は保っとかないと…慣れない艤装で格闘戦なんてのはっ


夕立「あはははははっ!」


意外と持つものだと、少々感心する夕立

金属と金属がぶつかり、抉れて削れる、そんな嫌な音も慣れれば良いBGMだった

とはいえ、そろそろガタガタ言い始めてるから、早いとこ捨てたほうが良いだろう


夕立「とっ、魚雷かっ、けどっ!」


その場で海面に足を叩きつける

一直線に加速した勢いも相まって、皐月の方へ向かって一気に弾け飛ぶ


夕立「これも持ってけっ!」


盾代わりに構えていた発射管を、皐月の方へぽいっと放り投げる

当たればいいな?当たるわけはないし、そんな期待はしてないけど


皐月「げっ、まずっ」


ガタの来ていた発射管に穴が開き、中の魚雷が誘爆する

大爆発。両者の間で火の手が上がり、爆風と一緒に飛んできた破片が体を打ち付ける


夕立「っぅ!」


1発2発、体に破片がぶつかり顔をしかめる

けど、これでいい。これ幸いと機銃は止んだ、飛び込んだお陰で射程の中だ、この距離なら当てられる

派手な水飛沫を上げて、着水すると同時に主砲を構えて…


夕立「これで、とったっ…え…がふぅっ!?」


突然にぶつかって来た何かに、堪らず息を吐かされる

なに、なんだってのっ

機銃弾で怯むわけもないし、主砲にしたって重すぎる…ていうか、押し返されて…


夕立「ちょっとっ、あの娘っ、頭悪いんじゃないのっ!」


衝突の衝撃から立ち直り、夕立が顔を上げれば

目の前には船…ていうか大発動艇だった

それが、夕立のお腹の辺りにぶつかって、ぐいぐいと後ろへと押し返している


夕立「こんなもので、夕立をっ!」


大発に手をかけ、手が白くなるほどに大発を握りしめる

たかが大発の一つ、夕立が押し返してやるっぽぉぉぉいっ!

体勢を立て直した夕立が増速を始めると、おしくらまんじゅうの形成は直ぐに逆転する

押していたほうが押される方へ、押される方が押す方へ

後は跳ね除けてしまえばそれでっ


夕立「げっ…」

皐月「残念だったね」


だがそこまでだった。顔を上げ、その光景に蒼白になる夕立と違って、余裕の笑みを浮かべる皐月

夕立の目の前には、皮肉か何かか、敬礼をして海に飛び込んでいく妖精たち

残ったのは無妖精の大発と満載されたドラム缶…中身はきっと…


皐月「夕立さんの頑張り過ぎだよ」


押し合いなんてせずに、横に避けてればまだ分からなかったのに

ゆっくりと持ち上がる左手の機銃、そして…一発、続けて二発、さらにさらにさらにさらに…

やたらめったらに飛んでくる機銃弾が、ドラム缶に穴を開け、中の物を飛び散らせ、火花を散らし


夕立「ちぃぃぃっっ!!おぼえてろーっ!!」

皐月「それじゃ、今回はボクの勝ち、だね」


どっかーんっ!



ー大浴場ー


皐月「はぁ…つっかれた…」


湯船に深く体を沈め、大きく息を吐く皐月


あの大爆発の後

中破判定がでてもなお、やる気を歯を剥き出していた夕立さん

苦笑しながらも、時雨さんが何とか宥めて引きずりながら、帰っていったけども

大丈夫だったのかな、あれ…少々やりすぎた感も今更ながらに浮かんでは来る


皐月「ま、いっか…」


挑発してきたのはあっちだし…勝ったのはボクだし…うん

改2の艤装、期待以上に使えそうだった…ああいう使い方はあんまりしたくないかもだけど

これまで以上に、司令官の力になれそうってのが分かったのは良かったかもしれない


文月「んで?皐月ちゃんはいつ司令官に会いに行くのかな?」

皐月「いつって…もう、明日でいいよ…」


なんか疲れたし…

嫌な話題から逃げるように、口元まで湯船に浸かり、体を隠す皐月

どうせ、明日になったら執務室にいかないといけないのだし、その時にだって構わないじゃないか

なんか言われても、仕事がって言い訳もあるし…うん、そうしよう

ぶくぶくと、吐いた吐息で湯水を泡立たせながら、明日の言い訳を考えていると


文月「…いらっ」


え、なに?ふみ の聞き間違え?

明日にするーってどーゆーみー?

分けわかんないんだけど。いや、分かりたくもないんだけど


皐月「え?ちょっと、文月っ」


がしっと、皐月の手を掴み、湯船の中を引きずって歩き出す文月


皐月「ちょっ、ちょっとっ、引っ張らないでよってっ」

文月「うるさーいっ!」

皐月「ふへぇっ!?」


突然に上がる大声に、思わず身を竦ませる皐月

だが、そんな事はお構い無しだ、一度開いた口は止まらなかった


文月「もぅっなんなのっ!皐月ちゃんのバカっアホっおたんこなすっとーへんぼくのっこんこんちきのきんぱつまんじゅうっ!」

皐月「き、きんぱつまんじゅうって…言い過ぎじゃないかい…流石にボクだって…」

文月「言い過ぎじゃないやいっ!いつまでそうやってるつもりなのっ、惰性で会いに行くってどういうつもりなのっ」

皐月「うぐっ…」


皐月が反論しかけるも、それに言葉を重ねて圧殺する文月

もはや問答無用と言った感じだった


文月「そんなモジモジしてたってっ可愛いのは最初だけだよっ、いい加減鬱陶しいよっ!」


何時までそうしてるつもりなのっ!何時まで司令官を待たせるつもりなのっ!

何時もみたいに「可愛いねって」言われて、ちゅーでも何でもされてこればいいじゃないっ

たったそれだけのことじゃないっ!今更恥ずかしがってんじゃねーっ!

文月たちはそーゆーのがみたいのっ、そーゆーのが良いのっ!


皐月「へ、え、ちょ、ふ、ふみづき…どうしたのさ…」

文月「どうもしてないよっ、どうしかしてるのは皐月ちゃんだよっ、だーかーらーっ!」

皐月「うわっとっ、ひゃっ!?」


気づけば、既に湯船から引きずり出され浴室の入り口へ

そうして、ガラリと扉を開けた文月は皐月を外に放り出す


文月「朝まで帰ってくんなぁぁぁっ!!」


ぴしゃっ!


扉が閉まると同時に急に静まり返る浴室内


長月「ぁ…」

菊月「ぅ…」


いきなりの騒ぎに、どうして良いか分からずに呆然とする長月と

その後ろに隠れて、小さくなってる菊月


文月「ぁ…」


そうか、長月や菊ちゃんも一緒だったね

失敗失敗、つい勢いで騒いじゃったね

仕方がない、此処は何とか場を和ませて、いつもニコニコしてるお姉ちゃんの立場を回収しないと


文月「ふぅ…ぶいっ♪」


怯える長月達に振り返ると、腰に手をあてピースとポーズを取る文月だった


長月「…」

菊月「…」


言ってやったぜ,そんなを顔している姉に固まる妹二人

君は知るだろう、普段見ている表情が、その人の全てではないということに

あの時、私達は何を思えば良かったのだろう、何を言えばよかったのだろう

迫られた決断、選んだ選択、その答えは未だにでない


菊月「おねえちゃん…こわい」

長月「いや、うん…」


ほんとにどうしろっていうんだよ、これ…



ー執務室ー


日が落ちて、すっかり暗くなった執務室

電気も付けずに、ソファの上で一人呆けている提督


提督「そう言えば…」


今日は皐月の顔を見てない気がするな

今までだって、忙しいというより遠征でいない日も合ったけど

鎮守府にいるのに合ってないと言うのは初めての経験だった


提督「んー…」


なんか調子狂うな

寂しいのか?…そう言われれば、まあ否定はしない

とはいえ、結局 一日中 望月たちと遊んでた訳だし、そういう意味では別に寂しくもないのだが


提督「習慣か…」


結論としてはそんな所に落ち着いた

まあ、仕方ない…いつも顔を合わせてるのだし、そういう事もあるだろう

偶に白米を食べない日があると、物足りなさを感じるとかそういう奴だ

良いとか悪いとかの問題じゃない


提督「はっ…言い訳だな、これは」


アホらし…頭を振って思考を止める。一人でいると碌なこと考えんな

金剛にお茶でも淹れてもらおうか、からかうにしろ何にしろ話題には事欠くまいよ


そうして、ソファから立ち上がろうとした所で、先に扉のほうが開いた

自動ドア?なんてもの装備してるはずもなく

開いた扉の隙間からは、そっと皐月が顔を覗かせていた




後ろ手に扉を閉めると、かちゃりと特有の音が聞こえてくる


皐月「すぅ…はぁ…」


大きく深呼吸、目の前には司令官、扉は閉まって退路はなし

腹をくくるにはある意味では調度良かったかも知れない


皐月「あっ、あのねっ、司令官っ、どうかなっ、これっ」


意を決して、一歩、提督の前に踏み出し、両手を広げてみせる皐月

その表情は、緊張でガチガチになっていながらも頬が赤らんでいたりと、どうにも落ち着かない


提督「どうって…」


何を言えばいいっていうんだ…どう言えばいいっていうのだ

制服が変わったね、とか?

ちょっと背が伸びたね、とか?

あるいは…


提督「あんまり変わらんな」


皐月から視線を外して、適当に言葉を返す

それと同時に、頭に浮かんだ言葉からも目を逸らしていた


皐月「変わんないって…ちゃんと見てよ…」


不満そうに頬を膨らませる皐月

だって、変わらないなんてことはないじゃんか

背だって伸びたし、胸だって…ちょっとだけど…


提督「試してみる?」

皐月「試すって?…わわっ!?」


提督がニヤリと笑みを浮かべると

おもむろに皐月の手を引いて膝の上に押し込める


提督「こちょこちょこちょ…」


そうして、皐月の服の隙間に手を伸ばして

何時もそうしているように、その柔らかい横腹を撫で回し始めた


皐月「ふわっ、わって、くすぐったいよぉっ」


足をパタつかせ、もじもじと身を捩り、こそばゆさから逃げ出そうとする皐月


提督「な、変わんないじゃない?」


それはいつもの彼女の仕草で、その仕草に少しの安堵を覚える


皐月「…やだ」

提督「ん?」


ぽつりと呟く皐月

けれど、次の言葉ははっきりと、聞こえすぎるほど大きな声だった


皐月「それじゃやだって言ったのっ!」

提督「皐月?」


向き直り、しっかりと提督を見据える皐月


皐月「せっかく着替えたんだよっ、改2になったんだよっ!変わんないって何さっ!」


こっちは一日中、ドキドキしてモヤモヤしてソワソワしてっ

嬉しかったり、怖かったり、不安だったり、分けわかんなかったのに


皐月「なにか言ってよっ、好きでも嫌いでもなんでも良いからさっ!」


じゃないと…じゃないと…


皐月「ボク…どんな顔したら良いか分かんないじゃんか…」


肩に置かれた小さな手が、ギュッと少し痛いくらいに握られる

そこから伝わってくる微かな震えから、皐月の内心が伝わってくるかのようだった


提督「…」


これは…あれか、やらかした、んだよな

じゃあ、どうすればいい?そんなの決まってる、思ったままの感想を…

言うのかぁ…あんまり言いたくなかったんだけど…照れくさいし、気恥ずかしい


しかし…と、皐月を見つめなおす

服も変わった、背も伸びた…たぶんに、その膨らみはそうなんだろう

一日合わないと思ったらこれだ、女の子の成長は早いねっ、とかそんなレベルじゃない

なんで寝て起きたら、そんなんなってんだよ…なんでそんな女の子らしくなってるのかな

恥ずかしくて直視出来ない…けど…


不安そうに揺れる皐月の瞳、場合によっては泣きそうにも見える

けど…ここで何も言わないのは…余計に恥ずかしい、か…


提督「皐月…」


そっと、彼女を抱き寄せると、その耳元で素直な感想を口にする

それが皐月の望むものなのかは分からないけど、それ以上に掛ける言葉は見つからない


皐月「…ほんとに?」


疑う、というよりも。もう一回と催促するように、見上げてくる皐月


提督「ほんとに」


だが言ってやらぬ、サービスタイムは終了だ


皐月「む…ほんとにほんと?」


だが皐月も引かない、もう一度聞かないと気がすまなさそうだ


提督「ほんとにほんと」

皐月「むぅ…」


だんだんと、細くなっていく皐月の瞳

どんどんと、尖っていく皐月の唇

なんて具合に、ご不満もかくやといった感じだ


皐月「もっかい…」

提督「は?」

皐月「もっかい、いってってっ!」


こんだけ人を一日中やきもき させてるんだ

そのくらいの報酬は貰ってしかるべきだと、強気に出る皐月


提督「やだ」


けれど、提督からしたって

そんな小っ恥ずかしいことを、そう何度も口に出来るわけもなく

そっぽを向いて拒否を試みる


皐月「やだじゃないのっ、もっかいっもっかいっもっかいっもっかいいぃぃっ」


しかし、皐月も強引だった

普段はやりそうにもない駄々をこねまくる

だって、今言わせないと二度と言ってくれそうにないだもん

だって、今聞いとかないと他の娘にも聞かれちゃうかもしれないし

なんとなく、他の誰かに聞かれたくはなかった…恥ずかしいってのもあったけど

二人の秘密が欲しかった…とか、さ

だから…


皐月「もっかいだけだからっ!」


強引に司令官に顔を寄せて、もう一回と催促する皐月

じっと見つめては見つめ返されて、少しの後…


提督「たくっ…もっかいだけだからな」

皐月「うんっ♪」


たったそれだけの事に、満面の笑みを浮かべる皐月だった



ー執務室・扉の前ー


睦月「にゃふん♪」


良いぞ、実に良いぞ

皐月ちゃんが元気になったようで、お姉ちゃんは実に嬉しい


望月「…こりゃ、今日は部屋で寝るしか無いねぇ」


やれやれと首を振る望月

さすがの望月も、この空気の中に突っ込む度胸は無いらしい


文月「当然だよっ、皐月ちゃんには朝まで帰ってくるなって言ってるからねっ!」


そうだこれだ、文月がこういうのが見たかったのだ

まったく手のかかる、家のお姉ちゃんは変な所でヘタれるから困る


三日月「あ、あさまでっ!?」

如月「あ、あはははは…面白い冗談ねぇ」


朝まで、そんな単語に反応する二人

頭の中に咲いた桃色の妄想を必死で振り払っていた


弥生「はい、いま変なこと考えた人挙手」


変な事とはどんな事?

そんなの考えた人が一番良く知っているはず、だよね?

と、当人たちに視線を送ってみれば

「し、しりませんっ」だとか「な、なにかしらねぇ…」なんて、視線を逸らすおませさん達


卯月「ねーねー長月…」

菊月「なぁ、長月…」


「変なことってなんだ(ぴょん」

二人で長月を取り囲み、二人で同じことを問いかける


長月「わ、私に聞くんじゃないっ!」

菊月「むぅ…」

卯月「ぶぅ…」


そんな風に扉の前で、こそこそと騒ぎまくる姉妹たち

ま、そうなるなと、ばかりに当然の光景ではあった



ーおしまいー



EX:その後の夕立さん


此処から先はオマケぽいっ

もうお腹いっぱいって人は気をつけたほうが良いぽいっ


ていうか、大発にドラム缶満載して突っ込ませるとか、皐月ちゃん何考えてるっぽいっ

おかげで服がボロボロっぽいっ、言い訳考えないと怒られるっぽいっ



ー□□鎮守府・執務室ー


彩華「で、俺は近海警備に行って来いって言っただけなんだがな…」


そりゃ、近海警備と言ったって敵は出るだろう

だがしかしだ、江風・海風あたりの練度ならともかく

時雨と夕立を出しておいて、その損害はなんだ

なぜ中破で帰ってきている、しかも夕立だけって…


夕立「そう聞いてはいたっぽいんですがっぽいぃぃ…」


ボロボロの服装のまま、頬には冷や汗を流し

指先をつんつんくるくるさせて、必死に言い訳を探す夕立


ホントの事を言うわけにはいかない、そんなの絶対怒られる

皐月ちゃんと喧嘩したら、ボコボコにされましただなんて言えるわけがなかった


由良「ねぇ、夕立…あんまり ぽいぽい言っていると、そこの窓からポイしちゃいますよ?」

夕立「ぽいぃぃぃぃっ!?」


あんまりにも まご付いている夕立に痺れをきらしたのか

提督の傍に控えていた由良が、夕立の前に立つと笑顔(威圧)でさっさと吐けと、脅しにかかる


時雨「まあ、落ち着いてよ由良さん。これは事故みたいなものでさ、その…あれだよ」


止めなかった僕にだって責はあるのだし、助け艦でもっとは思うけど

そう、あれだ…


時雨「野良駆逐姫が、ね?」

彩華「野良姫だぁ…」


提督からの疑念がグッサリと胸に刺さる

さすがに無理があったろうか、でも嘘は言ってない筈

あれはもう、駆逐姫のフラグシップみたいなものだろう


夕立「そうっそれっぽいっ、夕立頑張って倒したっぽいっ、むしろほめて欲しいぐらいっぽいっ」


時雨の言葉尻に乗っかる夕立

水を得た魚、我が意を得たりと、動揺から一転して、褒めろと要求する度胸は中々のものだった


時雨「まあ、独断先行は事実だしそこは謝るよ…ごめんなさい」


反対に、とりあえずはと素直に頭を下げておく時雨


彩華「ったく、だからってなぁ…そうポイポイ突っ込まれると こっちだってたまらねーんだよっ、なんかあったらどうすんだっ」

夕立「ぽいぃぃ…ごめんなさい、ぽいぃ」


彩華に凄まれると、今度はしょぼんと肩を落として涙に目になる夕立


彩華「ま、無事なら良い…さっさと入渠してこい」

時雨「ありがとう。それじゃあ、僕らはこれで…」


「ほら、夕立も…」と、夕立の背中を押して、退室していく二人


彩華「…」


しかし、ありえるのか…いや、年末の野良レ級よりはあるだろうが

ロイヤルストレートフラッシュが、ストレートフラッシュになった程度じゃないのか…

姫クラスを単独行動させるなんて、やっこさん達も何を考えてるんだか…いや、訳が分からんのは初めからだが


彩華「ん…由良、この書類」

由良「ああ、これですか…私たちにはあまり関係ないと思って…」


そこで、机の隅に置かれた一枚の紙切れに目が止まる

睦月型・改2、先行実装のお知らせ…

ああ、なるほど…駆逐姫な、大体わかった


彩華「なぁ、夕立…」

夕立「ぽい?」

時雨「…」


さりゆく二人に言葉をかける

一人はまだ怒られるのかと、不安そうに振り返り

一人は諦めたように肩を竦める


彩華「睦月型が改2になったって話、知ってるか?」

夕立「へーそうなんだ…さつきちゃんが改2になったとかはつみみぽいおめでたいっぽい」


ほぼ棒読みで、私知らなかったわ、まぁ凄い、なんて口にする夕立さん


時雨「はぁ…」


しかし、隣の時雨は「だめだこりゃ」と息を吐き首をふるばかりなり


彩華「ビンゴ…」

由良「あぁ…そういう…」

夕立「ぽい?」


ベタな手だが、バカには有効っぽいな


彩華「俺はな、睦月型って言っただけなんだが。なんで皐月だって知ってるんだ?」


先にあの書類を見た?バカな、夕立がまともに書類仕事をするはずがない


夕立「あ…えーっと…ゆ、夢で見た?」

時雨「うん、流石にそれは苦しいね」


白々しい嘘を付く夕立に、苦笑する時雨


彩華「時雨よぉ…お前一緒だったんだろ?」

時雨「ごめんよ、彩華さん…」

彩華「はぁ…まぁいい」


野良駆逐姫が出没してないだけまだましだと、思考を切り替える彩華

それならそれで大事なのはこれだ


彩華「んで、勝ったのか?」


なんにせよ、お互いの主戦力の殴り合いだ

今後のためにも結果は知っておくべきだろう


夕立「負けてないっぽいっ」


全力で、力いっぱい宣言する夕立


彩華「勝てたのか?」

夕立「負けてはいないっぽいっ」


時雨の判断で止められたけど、中破判定貰ってたけど

負けてはいない、夕立はまだ負けてはなかった、あの時点では


彩華「…時雨」


それから、2度3度と聞いてはみたが「負けてはないっぽい」の一点張りだった

埒が明かんと、質問の矛先を隣へ向ける


時雨「まぁ、僕が止めた時点ではまだ負けてはなかったよ、まだ、ね」


まだ、か。つまり、ほっといたら負けてたってことだろうな…


彩華「マジか…睦月型って…睦月型って…皮だけなんじゃないのか…」


椅子に体を投げ出し、頭を抱える彩華


時雨「うん、僕もそう思うよ」


その意見には素直に同意する

たしかに、改2の艤装性能は大分向上していたけれど

いままでだって、それを抜きに夕立と殴り合えてたんだ

鬼に金棒とはよく言ったものだ


夕立「ぶーっ次は勝てるっぽいっ、油断しただけっぽいっ」


悔しげに頬を膨らませる夕立


彩華「戦場で次があると思うなよ」


確かに、帰ればまた来られるからって言葉もあるが

その場で、全力を出さん奴に次なんか無いとも思う

それはまあいい、どのみちそんなものは時と場だ、ダメなときはどうしたってダメなものだ

それより何より、今やらんといけないことは


彩華「夕立、時雨、お前ら罰ゲームな」


他所の娘と勝手にドンパチやらかして、お咎めなしって訳にもいかない

そんな事をすれば、ドイツ娘が飛び出して行きそうだ…泣いて帰ってくるまで目に浮かぶ


夕立「うぅっ…」

時雨「仕方ないね」


涙目の夕立と、諦めて肩を落とす時雨だった



ー休憩室ー


ビス「あはははっ、美味しいわねこの ぼたもち」

夕立「がるるるるるる…」

時雨「はい、どうどう」


畳敷きの休憩室

ちゃぶ台の前では、ビスマルクが大口を開けてぼたもちを頬張り

部屋の隅では、殺気立っている夕立が時雨に抑えられていた


ビス「悪いわね、こんな美味しいの貰っちゃってっ♪」

夕立「後で覚えてなさいよぉぉ…」


おーほほほほほっ、なんて高笑いと、がるるるるる…と、響く唸り声


本日の罰ゲーム

おやつ抜き、かわりにお前の分はビスマルクにやる


オイゲン「お、お姉さま…そのへんにしとかないと後が…」


殺気立っている夕立と、愉快愉快とテンション上がっているビスマルクの間でオロオロとするオイゲン


ビス「んぐんぐ…ぷはぁ。オイゲン、私はね…目の前のチャンスは最大限に利用する女よ」


熱いお茶をぐいっと飲み干し、得意気に胸をはるビスマルク

いままでの屈辱を、いまこの場で晴らさないでどうするのっ


レーベ「そのチャンスが自分で掴んだものだったらよかったんだけどね…」

マックス「棚から牡丹餅…そんな言葉あったわね、日本には…」


明日が楽しみだと、二人でため息を吐いていた



ー翌☆日ー


「出てこいっビスマルクっ、出てきて私と勝負をしろっ!!」


朝一番、鎮守府中に響く夕立の声


オイゲン「あわわわわっ。ほらぁ、夕立さん激おこじゃないですかぁ」

ビス「ふふっ、落ち着きなさいオイゲン。せっかくのコーヒーが台無しになってしまうわ」


どうするんですかぁ、なんて慌てふためくオイゲンとは打って変わって、随分と落ち着いているビスマルク

遠目からは、優雅に朝のコーヒーを嗜んでいるふうにも見える


オイゲン「お姉さま…。流石ですっ、夕立さんにビビッてたお姉さまはもういないんですねっ」


夕立の名前を聞いただけで、ビクついてた姉の姿は過去のもの

夕立に呼ばれても、堂々とコーヒーを飲んでいるその姿は憧れていた姉の姿…


マックス「…よく見なさいオイゲン」

レーベ「ほら、コーヒーが波立ってるだろう?」

オイゲン「…お姉さま…」


なんてことはなかった、むっちゃ動揺してた

仕舞には、カチャカチャとソーサーとカップがこすれ合う音まで聞こえてくる


夕立「ビスマルクーっ!!」


バーンっと開かれる部屋の扉

そこを見るよりも早く、部屋の中に飛び込んでくる夕立

だが、それよりも早く…


オイゲン「あ、お姉さまが逃げたっ」


ビスマルクが窓から飛び出していた

それを追って、躊躇いなく夕立も窓から飛び出す


レーベ「やれやれ…だね」


あとで、ビールでも買って来ようかな

きっと今夜も泣いて過ごすだろうし


マックス「どうか武運長久を…」


でも、自業自得なのよね…


「エンッ、ゲェェェェェジっ!!」

「ちょっとっ!?バカじゃないのっ貴女っ!」

「バカは貴女よビスマルク。お前は私は怒らせた…」

「いぃぃやぁぁぁぁぁっ…」


その後、祥鳳に泣きつくまでが日常

そんな□□鎮守府だった


ーおしまいー


後書き

はい、というわけで最後まで読んでくれた方。本当にありがとうございました
貴重な時間が少しでも楽しい物になっていれば幸いです

それではこの番組は

如月「お早う皐月。今日も綺麗ね、うふふふ…」
皐月「おは…って、ふぇぇ!?」
望月「よー皐月、今日も綺麗だなっ」
皐月「ちょっとっ!?なんで知ってるのさっ」
弥生「どうしてバレないと思ったのか…」
睦月「にゃししし、皐月ちゃん子供みたいだったし…」
三日月「…やっぱり、朝帰りなんだ…」
文月「何してたんだろうねぇ?」
皐月「何もしてないよっ!」
卯月「でも司令官と二人きりだったぴょん?」
皐月「そ、それは…」
菊月「ふむ…長月」
長月「しらん」
菊月「まだ何も言ってないんだが…」

提督「よう、皐月。今日も…」
皐月「もうっ!うるさーいっ!って、あ…」
提督「がーん…皐月にうるさいって言われた…」
皐月「ち、ちがっ、今のは違くてっ、皆がからかうから」

金剛「ずるいっ!」
多摩「にゃ?」
金剛「金剛も綺麗って言われたいデス、てーいーとくーっ、金剛はっ、私は綺麗ですかーっ」
ゆー「ゆー知ってます、ああいうの口裂け女っていいます…」
北上「ぷふっ…くちさけ…ふふふふふ…」
大井「北上さん…どうどう」
瑞鳳「どこで覚えたんだか…」
夕張「大体想像はつくけどね…」

木曾「お、金剛が湯気吹いたぞ…」
球磨「ったく、使いもんにならなくなるから、やめて欲しいクマ」
大鳳「いいわ、代わりに私が出るから」

ー諸々のメンバーでお送りしましたー



ー以下蛇足に付きー


♪教えて皐月ちゃんのコーナー♪

皐月「で、どうかな、ボクの改2は…」
提督「ん、まあ…女の子っぽくなったんじゃない?」
皐月「具体的に」
提督「だから、綺麗になったんじゃん?」
皐月「えへへ、そっか、えへへ…」
提督「…」

♪皐月ちゃんラジオ♪ 

皐月「はいっラブコメおしまいっ。コメント返しをしようっ、ねっ」
提督「そう、ね…」


・私の脳を…
・大井さんは面白女
・大鳳さん
・弥生
・文月
・ゆー
・北上様
・皐月
・簡単プロフと好感度



皐月「それじゃ、上からいこっか」

・私の脳を…

提督「うぉっ、溶けてる…溶けてるぞ」
皐月「あはは…今回は、甘々だったからね、少しはね…」
提督「なんかで固めとくか…」
皐月「唐突に始まるシリアスシーンとか?」
提督「そんな事したら砕けそうだな…」

・大井さんは面白女

大井「ちょっと大鳳さん…面白お姉さんってなによ、面白お姉さんって」
大鳳「え、いや、言葉の綾っていうか…その…」
提督「ついうっかり」
大鳳「そう、それっ…じゃないわっ!?」
大井「おほほほほほ…そこまで言うなら、しょうが無いわね。面白くしてあげましょうか?」
提督「そんな事してるから、大浴場の時大人げないとか言われるだよ」
大鳳「大浴場?」
提督「大井さんさー」
大井「提督♪そろそろ口閉じましょうか♪」

皐月「時間かかりそうだし、次いこっか」

・大鳳さん

皐月「余裕のない大鳳さんが好きです、だってさ?」
提督「ギャップ萌え?」
大鳳「…気持ちは嬉しいのだけど。私までそっちにまわると、収集が…」
提督「良いじゃない、提督も可愛い大鳳さんが見たいわ」
皐月「ボクもボクもっ」
大鳳「あ、えーっと私…仕事が残ってるから…それじゃ」
皐月「あ、逃げた…」
提督「流石に簡単に自爆はしないね…」

・弥生

弥生「可愛さアピール狙ってます…」
皐月「自分で言う?」
弥生「自分だから言う…」
提督「実際可愛いから問題ない」
弥生「でしょ?」
皐月「ねぇ、文月…」
文月「うん、そろそろ慣れてきたよっ」

・文月

文月「あたしは最初から純情乙女だったよっ」
提督「純情乙女は無闇に抱きついてきたりしないと思う」
文月「そ、それはぁ…司令官が喜ぶかなーって…」
提督「そりゃ、悪い気はしなかったけど」
文月「でしょっ!」
皐月「でも純情乙女は無闇に抱きついたりしないと思う」
文月「もうっ、皐月ちゃんっ!」
皐月「あははは。ごめんごめん」

・ゆー

ゆー「はい、皆色々教えてくれますってっ」
皐月「不安しか無いんだけど…大丈夫かな」
提督「弥生が良い娘に育てるってんだから、大丈夫でしょ?」
皐月「それが一番不安なんだよ…」
ゆー「?」

・北上様

皐月「もうちょっとデレても良いんですよ?だってさ?」
北上「うーん、それじゃあ。へーいっ、ていとくー」
提督「北上様っ」
北上「ひしっ」(←抱きついてる
提督「だきゅ」(←抱きしめてる
北上「どうよっ」
皐月「いや、絶対違うと思う」

・皐月

提督「やっぱり皐月ちゃん可愛い」
皐月「もうっ、それは良いからって」
提督「でも、みんな改2おめでとうって」
皐月「それは、ありがとう…」
提督「やっぱり皐月ちゃん可愛いっ」
皐月「もうっ!」
提督「なははははは」

皐月「司令官は、改と改2と持ったりしないのかい?」
提督「一人でいいよ、私は」
皐月「ふーん…」
提督「好きって言ってるんだよ?」
皐月「わかってるよ…」

・簡単プロフと好感度復活

提督「追加してみたけど、どうだったかな?
バックナンバーの整理もーとか考えるけど、後でやるはやらないフラグだね、やっぱり
というわけで、これが今の艦隊状況だよ」



皐月「はい、それじゃあ、今回はここまでだよっ。ここまで読んでくれてありがとなっ」
提督「今回もたくさんの、閲覧、コメント、評価、お気に入り、応援と、オススメも誠にありがとうございます」
皐月「次回予告は?」
提督「ないよっ、お話が空中分解してるから何とも言えないよ」
皐月「あはは。それじゃ、次回はまだ未定だけど、よかったらまた遊ぼうな」
提督「花粉だとか、寒かったり暑かったり、転居があったりと忙しい時期ですが
    体調管理にはお気をつけて、お過ごしください、それではまた」


このSSへの評価

2件評価されています


SS好きの名無しさんから
2017-08-10 19:24:39

SS好きの名無しさんから
2016-03-30 14:40:17

このSSへの応援

3件応援されています


SS好きの名無しさんから
2017-08-10 19:24:41

SS好きの名無しさんから
2016-04-17 18:36:10

SS好きの名無しさんから
2016-03-30 14:40:21

このSSへのコメント

7件コメントされています

1: SS好きの名無しさん 2016-03-30 08:04:59 ID: 02boZWhY

皐月改二は可愛い。長月に早く実装してくれぇ……あと文月の本性現る

2: SS好きの名無しさん 2016-03-30 16:46:15 ID: SXDhb_d7

皐月改二&ホワイトデー話、読ませて頂きました。

提督に気に入ってもらえるかが不安で思い悩むさつきちゃんマジかわいい。
提督さんも男冥利に尽きますなぁ。

ビス子…まぁいつものことか。
個人的に衝撃だったのがマックスちゃんの『棚から牡丹餅』発言。あ、ぼた餅ってそういう字だったんだ、へ~…外国人の少女に日本語で負けたorz

簡単プロフと好感度の復活をお願いした者ですが、期待以上のものが出てきて驚き+喜びました(^o^)
これを読めばこの話からでも○○鎮守府に遊びに行けそうですね。ありがとうございます(^人^)
なつきの好感度が8止まりだったのが少し意外だったのと、そう言えばずいほーとゆうばりんは提督病をこじらせないなぁというのが主な感想です。

今回も大いに楽しませて頂きました<(_ _)>
次回は未定とのことですが、無理せずのんびり書き進めて下さいな。

3: SS好きの名無しさん 2016-03-31 16:30:11 ID: kwcho8hZ

よく菊月や卯月に、そっち方面の話題で頼られる長月...赤面して恥ずかしがっているところを想像すると、可愛いなぁ長月は...

4: SS好きの名無しさん 2016-04-09 06:29:25 ID: kV521Fq_

ん?間宮さんが2連続で出ていない...だと?

5: SS好きの名無しさん 2016-04-17 17:12:15 ID: v5cCPcMh

潜水艦がゆーちゃんだけだったり戦艦が金剛だけだったり、
それはそれで寂しい気がする。
自分勝手ですが、、、はっちゃん(伊8)が出てほしい!

6: SS好きの名無しさん 2017-08-10 19:27:06 ID: e6anYQWb

皐月改ニ可愛いですなぁ❤
今回のラブコメは本当にごちそうさまでした‼今一括で読んでるんですがこの話が一番好きです‼

7: SS好きの名無しさん 2017-09-15 16:29:33 ID: mdqUGZNE

皐月は天使(断言)
毎度楽しく読ませていただいております!
ドンパチカモン‼


このSSへのオススメ


オススメ度を★で指定してください