ドラゴンボールヒーローズ ビクトリーミッションX 02
ドラゴンボールヒーローズ ビクトリーミッションX 01の続きです
―――白の間・宮殿
カギュー「………」
ビート『消してやる!!』
ビート『オレが…この手で!!!』
カギュー「…ビートくん……」
[mission02︰ 新生タイムパトロールの再興 ]
―――翌日・朝
フローズ「」スタスタ
フローズ「! カギュー…」
カギュー「おはようございます フローズくん」
カギュー「…ゆっくり休めました?」
フローズ「ああ…それなりにな…」
カギュー「…そうですか」
フローズ「…ビートはどうした?」
カギュー「? いないんですか?」
フローズ「ああ」
カギュー「まだ寝ているのでしょうか…?」
スタスタ
コンコン
カギュー「ビートくん、起きてますか?入りますよ」ガチャ
カギュー「…! いない…」
カギュー「いったいどこに…?」
フローズ「カギュー…あの外にいるのは、ビートじゃないのか?」
カギュー「あ…本当ですね…」
ゼン「皆さんおはようございます …?、ビートくんはまだいないんですか?」
カギュー「…今呼んできます」タタタッ
ビート「………」
カギュー「ビートくん!」
ビート「…カギュー……」
カギュー「何してたんです?こんなところで」
ビート「…修行しようと思って」
カギュー「ビートくん…気持ちは分かりますけど、あれだけの戦いのあとです 今はゆっくりと休むべきですよ」
カギュー「……もし、ノートさんの仇を討ちたいのなら…尚更です」
ビート「……オレは…もっと強くならないといけないんだ…」
ビート「もっともっと強くなって…あいつらを…」
カギュー「…とにかく戻りましょう みんな集まっていますよ」タタタッ
ビート「分かった…」
ゼン「お二人とも戻って来られましたか、では紹介します 私の仲間のフェンとワイルです」
フェン「フェンです、よろしく」
ワイル「ワイルよ、よろしくね」
カギュー「カギューです、よろしくお願いします あの時はどうも」
ビート「ビート…よろしく」
カギュー「フローズくんは、自己紹介しないんですか?」
フローズ「オレはさっきしたからな」
ワイル「ゼン、準備はバッチリよ」
ゼン「…では、早速行きましょうか」スッ
―――シュン
―――時の広場
シュン
カギュー「ここは…?」
ゼン「時の広場と呼ばれています 私たちの拠点となる場所です」
ゼン「これから皆さんにはここに住んでもらうことになります」
フローズ「拠点か…」
カギュー「…それほど長い戦いになるんですね」
ビート「………」
ゼン「…はい」
ゼン「ではこちらへ 時の界王神さまがお待ちです」
カギュー「時の界王神さま…いったいどのような方なのですか?」
ゼン「その名の通り、時の概念を司る界王神さまです 様々な歴史を管理し、記録するのが時の界王神さまの務めなのです」
フローズ「そんな界王神がいたとはな…」
カギュー「そのような方が私たちにいったい何の話を…?」
ゼン「…それは後でお話しいたします」
―――ミーティングルーム
ゼン「ゼンです 彼らをお連れしました」コンコン
時の界王神「入っていいわよ」
ゼン「失礼します」ガチャ
時の界王神「ご苦労だったわ、ゼン、フェン、ワイル」
ゼン・フェン・ワイル「ありがとうございます 時の界王神さま」
カギュー「(あれが時の界王神さま…)」
フローズ「(想像と違うな…所々に界王神の意匠はあるが、どう見てもただの幼い少女だ…)」
ビート「………」
時の界王神「あなたたちが、ビート、フローズ、カギューね 話は聞いているわ」
カギュー「ど、どうも 時の界王神さま」ペコッ
時の界王神「いいわ、そんな形式ばったことしなくても あなたたちを呼んだのは私なんだから」
フローズ「…事情を説明してもらえると聞いたが」
時の界王神「その前にあなた達に会わせたい人たちがいるの いいわよ入って」
ガチャ
ビート・フローズ・カギュー「!!!」
「…久しぶりだな」
ビート「…そ…」
ソラ「ビート」
ビート「ソラ!!!」
ビート「ソラ!ホントにソラなんだね!」
ソラ「オレだけじゃないぞ」クイッ
よしとくん「元気だったかい?みんな」
ツバサ「また会えたな ビート、フローズ、カギュー」
ももちゃん「邪悪龍の時以来ね」
フローズ「ツバサ…!」
ビート「よしとくん!…それにももちゃんまで…!」
カギュー「皆さん…無事だったんですね!」
ビート「ソラ、どういうことなのかちゃんと説明してよ!」
ソラ「もちろんだ、ビート だけどその前に…」
ソラ「フェン、ワイル 彼らを連れてきてくれ」
ワイル「分かったわ、フェン 行こう」
フェン「うん」
カギュー「彼ら?」
フローズ「オレたちの他にも誰かいるのか?」
ソラ「ああ、お前たちの新しい仲間だ」
ビート「仲間……」
ガチャ
ワイル「連れてきたわ」
フェン「入っていいよ、入ったらみんなに挨拶して」
スタスタ
シャメル「シャメルだ よろしくな」
ローラ「…ローラ」
モルネー「モルネー、よろしく…」
フローズ「(この3人が…新しい仲間…)」
カギュー「(私たちと年は同じくらいでしょうか)」
ビート「(この人たちが仲間……仲間…か…)」
ビート「…ビート、よろしく…」
フローズ「フローズだ」
カギュー「私はカギューです」
ソラ「よし…みんな揃ったな ゼン、頼むぞ」
ゼン「はい…私の口から説明させていただきます」
ゼン「私たちは以前からある世界と戦い続けてきました」
ゼン「その世界の名前は『暗黒魔界』」
カギュー「(暗黒魔界…たしかダーブラやバビディたちがいた世界…)」
ゼン「私たちは時の界王神さまのもと、歴史の改変を続け時空に悪影響を与える暗黒魔界軍との戦いを続けてきたのですが、もともと拠点としていたトキトキ都や、時の巣までもが敵の手に墜ちてしまったのです」
ゼン「暗黒魔界軍はそこに暗黒魔界と私たちの世界を繋ぐゲートを作り出し、さらに攻め込んで来たのです」
ゼン「タイムパトロールと呼ばれる戦士たちも私たち3人を除き全滅してしまい、私たちの勝ち目は無くなったも同然でした」
ゼン「しかし私たちはここに新たな時の広場を創り、拠点をここに移しながら戦いを続けていったのです」
ゼン「私たちの切り札はドラゴンボールでした ドラゴンボールに願い暗黒魔界と戦うことができる強い戦士を呼び出すのが私たちの目的でした」
ゼン「しかし過去に行きドラゴンボールを集めようとしたのですが、本来あるべきはずのドラゴンボールがその歴史から消えていたのです …おそらく何者かが時間を移動しドラゴンボールを持っていってしまったのでしょう」
カギュー「ま…まさか!その時間を移動したというのは…!」
ゼン「そうです Dr.オートという科学者がその歴史にあったドラゴンボールを未来に持ち去ってしまったのです」
ゼン「そしてそのドラゴンボールのうち6つを暗黒魔界軍に奪われてしまい、私たちは残りのドラゴンボールをなんとしても暗黒魔界軍から守ろうと思ったのです」
ゼン「そんな中見つけたのがあなた達でした あなた達の力ならきっと暗黒魔界と戦うことができると思った私と時の界王神さまは、私たちの世界とあなた達の世界を繋げ、あなた達に協力を依頼するために、この世界に来たというわけなのです」
フローズ「なるほどな…つまり自分たちだけの力ではどうにもならないから、関係のないオレたちを勧誘するため、オレたちの世界に無理やりお前たちの世界を繋げた、ということなんだな」
ゼン「……そうです」
カギュー「フローズくん!そんな言い方は…」
フローズ「…確かに酷な言い方かもしれないが、そのせいでオレたちが7人も仲間を失ったということに変わりはない」
フローズ「本来お前たち自身が解決しなければならない問題に、オレたちの世界を巻き込んでしまったせいで、オレたちの世界も暗黒魔界の襲撃を受けることになった…そうだろ?」
ゼン「……そうです すみません…」
フローズ「謝ってすむ問題か?そのせいで暗黒魔界のやつらもこの世界に来れるようになってしまいそいつらにオレたちの仲間が…」
フローズ「(それに…ビートまで…)」
ソラ「…フローズ…7人もやられたのか…?」
フローズ「…ああ」
フローズ「カブラ、エリト、バサーク、ヴィオラ、フォルテ、アブラ、それに…」
ビート「……ノートも…」
フローズ「(……ビート)」
ソラ「…そうだったのか」
ももちゃん「ノートちゃん…」
ツバサ「カブラたちまで…」
フローズ「…悪いがオレたちの力が奴らに通用するとは思えない お前が助けに来なかったらオレたちもあそこで死んでいたんだからな」
ゼン「…いえ、あなた達の力が必要なんです!!特にビートくん!あなたの力が…!」
ビート「…オレが…?」
ゼン「そうです、あなたはあの時世界を救ってくれたじゃないですか!」
ビート「………」
ゼン「あなたは…私たちの最後の希望なんです!!」
ビート「!!」
ノート『大丈夫よ…ビートくんがいれば…きっと…みんなの…希望に…』
ビート「オレが…希望…?」
ビート「オレは…オレには…無理だ…」
ビート「今のオレじゃ…何も守れない…何も守れないんだ…!!」
ソラ「…だから諦めるのか?」
よしとくん「…ソラ」
ソラ「お前は最強英雄を目指してきたんだろ?途中で諦めるヒーローがどこにいる?」
ソラ「仲間はお前を信じてる お前の力を仲間が必要としているんだ」
ソラ「だったらやることは一つだろ?ビート」
ソラ「仲間の仇を…ノートの仇を討て」
ソラ「お前が世界を救うんだ」
ソラ「立ち上がれ!!!ビート!!!」
ビート「そ…ソラ…」ビリビリ…
ビート「……」
ビート「……分かった」
ビート「オレも戦う オレが暗黒魔界を…必ず倒す!」
シャメル「………」
カギュー「私ももちろん戦います 私たちの世界は…私たちの手で守ります」
フローズ「…まぁDr.オートはオレたちの世界の問題だからな 全く関係ない話でも無い…オレも戦うぞ 今度こそ負けはしない…」
ゼン「…皆さん、ありがとうございます!!」
ワイル「ゼン…良かったね…!」
フェン「僕たちも頑張ろう!!」
ゼン「…ああ!」
ローラ「……くだらない…」
モルネー「ローラ…」
よしとくん「…新しいドラゴンボールヒーローズが生まれたな、ソラ」
ソラ「…ああ」
ソラ「(頑張れよ…!ビート…!)」
時の界王神「…じゃあこの9人が新たなタイムパトロール隊になるわね」
時の界王神「早速で悪いんだけど、あなたたちには修行をしてもらうわ この建物の奥に精神と時の間、という部屋があるわ」
時の界王神「そこは一日で一年分修行ができるという場所なの」
カギュー「時間の流れが違うということですか?」
時の界王神「そういうことになるわね」
時の界王神「とにかくしっかり修行して、暗黒魔界との戦いに備えるようにしてね」
時の界王神「詳しいことはゼン、あなたが話してあげて」
ゼン「はい」
時の界王神「それじゃあ私は引き続き結界の補強に専念するから あとはよろしくねゼン」
ゼン「分かりました」
ゼン「では行きましょうか」
ビート「(オレは強くなる…強くならないと駄目なんだ…!)」
シャメル「………」
―――精神と時の間
フローズ「な…なんだ…ここは?」
カギュー「白い…何もない…」
ビート「それに体も重いし…息も苦しい…」
フェン「ここは重力が10倍で、空気も薄いんだ」
ワイル「前に私たちが入ったときは一ヶ月も持たなかったわ…」
モルネー「そ…そんなところで一年も…」
シャメル「どうした…尻込みしたのか?モルネー」
モルネー「い…いや、そんなことはないけど…」
ローラ「………」
ゼン「早速始めましょう」
ビート「はああっ!!」グワッ
カギュー「」サッ
ビート「はっ!でやあっ!だりゃあ!」
カギュー「」サッ サッ サッ
ビート「くっ…はぁ…はぁ…」
カギュー「ビートくん、ペースを上げ過ぎです ここは気温も高いうえに空気も薄い…重力にいたっては10倍なんです 普段と同じ戦い方をしていてはすぐに体力が無くなってしまいますよ」
ビート「わ…分かってるよ でも…まだまだ行くぞ!!」グワッ
ドドドドド
フェン「さすがキングだね」
シャメル「…キング?なんだ、それは?」
フェン「彼は…カギューは、キミたちの世界ではキングと呼ばれてるそうだよ 僕もソラから聞いたんだ」
モルネー「キング…」
ローラ「………」
フェン「そういえば、キミたちにも本当に済まないことをした こんなことに巻き込んでしまって」
フェン「もしかしたらキミたちの世界も崩壊してしまうかもしれないのに…」
シャメル「別に気にするな、ここに避難させてもらった以上、協力するのは当然のことだろ?」
ワイル「とにかくあなたたちも無事で良かったわ 暗黒魔界の襲撃を受けなくて」
モルネー「…運が良かっただけだと思う」
ワイル「それでも良かったわ無事で…」
シャメル「……優しいんだな」
ワイル「…そんなことないよ」
ワイル「私はただ…もう誰にも死んでほしくないだけだよ…」
ローラ「………」
フローズ「CAA バースト!!」ズオッ
ゼン「………はっ!」サッ
ピ タ ッ !
フローズ「!?」
ゼン「いきますよ…!」
ゼン「はああああああ!!」ガガガガガガ
ゼン「はあっ!!」ドガッ
フローズ「…?」
ゼン「」パチン
フローズ「!? ぐあああ!!」ガガガガガガ
フローズ「ぐあっ!!」ドザザザッ
ゼン「大丈夫ですか?フローズくん」
フローズ「くっ…あ…ああ」
ビート「ゼン!」バッ
カギュー「待って下さいよ、ビートくん!」
ビート「ゼン!今のは何!?必殺技?」
カギュー「金縛りのように見えましたが…」
ゼン「いえ、これは『フリーズ』と呼ばれている能力です」
フローズ「フリーズ…?」
ゼン「私たちは時の界王神さまの弟子です 時の界王神さまほどではありませんが、私たちも時を止めることができるのです」
ゼン「ただまわりの時間を止めるだけではなく対象の動きを止めることもできます」
ゼン「あなたたちを助けたときも時間を止め、その隙に瞬間移動したのです」
カギュー「そんな能力が…時を止めるなんて…」
ゼン「あなたたちの世界でいうカードアクションアビリティが私の場合フリーズなのです」
ビート「オレのチェンジやフローズのバースト、カギューの合体みたいなものか…」
ゼン「そうですね」
フローズ「そういえば時の界王神が結界を張ると言っていたが、結界とはなんだ?」
ゼン「話がさかのぼるのですが、私たちがソラたちと合流しあなたたちを助けにいこうとした時、突然時の広場が何者かの力によって封じ込められ、外部への出入りが不可能になってしまったのです」
ゼン「しかし何とか1人だけなら外部へ移動することができたため、私が単独で動いていたのです」
フローズ「なるほどな、それをさせないための結界か」
ゼン「そうです」
フローズ「その封じ込められる力というのは、今は無いのか?」
ゼン「ええ、もうありません ただそれを解除するのには、時の界王神さまでも相当な時間がかかってしまうため、やはりそれを阻止する必要があるのです そのせいでフェンとワイルと合流するのが遅れてしまったわけですから」
カギュー「あの時、白の間で待機していたのもそういうことなんですね」
ゼン「はい」
ビート「オレたちが転送装置で元の世界に帰れなかったのもそのせいなの?」
ゼン「いえ、それは世界間が繋がったことにより時空の歪みがあなたたちの世界にも影響を及ぼしていたため、転送装置が作動しなかったのでしょう」
フローズ「…つまりオレたちは、時の巣を奪還した後、暗黒魔界とのゲートを塞ぎ、時空の歪みを無くさないと、元の世界には帰れない…というわけか」
ゼン「そうです」
ビート「なら強くなるしかないよ」
ビート「もう大切なものを失わないように…」
ワイル「…というわけなの」
シャメル「時を止める…か…お前たちも使えるんだろ?」
フェン「うん、時の界王神さまほどではないけどね」
モルネー「時を止めてその間に攻撃か…すごいな」
ローラ「…………」
ビート「ゼン、次はオレと組んでくれないか?」
カギュー「え…ビートくん?」
ビート「オレはもっと強くならないといけないんだ!頼むよ!ゼン」
ゼン「私は構いませんけど…いいんですか?カギューくん」
カギュー「…大丈夫ですよ 私はフローズくんと組みますから」
ビート「ゼン!じゃあはやくやろう!」バッ
ゼン「ちょ…ちょっと待って下さいよ、ビートくん!」バッ
フローズ「…………」
カギュー「……じゃあ私たちも始めましょうか」
フローズ「………ああ」
―――一ヶ月後
ビート「」スースー
ビート「ん…」ムクッ
ビート「よし…今日も…」
シャメル「…たまには朝早く起きるのもいいもんだな」スタスタ
「はっ!でりゃあ!」
シャメル「…?」
ビート「はっ!だあっ!」ブンッ ブンッ
シャメル「よう、ビート」
ビート「え!?」ビクッ
シャメル「朝早くから修行とは感心だな」
ビート「な…なんだ、シャメルか」
シャメル「なんだ、オレじゃいけなかったのか?」
ビート「いや…カギューだと思って 怒られちゃうからさ、ちゃんと休めって」
ビート「でもオレには休んでるヒマなんてないよ オレはもっと強くならないといけないんだ」
ビート「もっともっと…」
シャメル「………」
シャメル「………少し話さないか?」
ビート「いいけど…」
シャメル「ほら座れよ」
ビート「う、うん」
シャメル「…なんでお前はそこまで強くなりたいんだ?」
ビート「……力がなければ…大切なものを守れない そう気づいたからだよ」
シャメル「大切なもの……お前らの仲間か?」
ビート「そうだよ…オレは守れなかった…まともに戦うことすら…させてもらえなかったんだ」
シャメル「…だったらなおさら暗黒魔界の恐ろしさを知っているはずだ、なのに何故お前は立ち向かおうとする?」
ビート「オレは…消さなきゃいけないと思った あんなことを平気でするやつらを許しちゃおけないんだ…!」
シャメル「……そうか…それがお前の中にあるものなんだな」
シャメル「オレにもあるぜ…絶対に曲がらないものが」
ビート「絶対に曲がらないもの…それって?」
シャメル「…秘密だ」
ビート「なにそれ…ふふふ」
シャメル「はは…ははは…!」
シャメル「はは…ふぅ…」
シャメル「…お前にならきっと出来るはずだ…ビート」
ビート「ああ…シャメルもきっと出来るよ」
シャメル「頑張ろうぜ、お互いにな」
ビート「もちろんだよ!」
―――十ヶ月後
時の界王神「あと…一ヶ月ね」
ソラ「ほぼ毎日の様子を確認するなんて…気になりますか?彼らが」
時の界王神「それはそうよ 彼らがこの状況を打破する鍵になり得るんだから」
時の界王神「それに…私が指揮をとる以上、彼らのことを把握しておく必要があるわ」
時の界王神「でも、ここまで来ると大分みんなのスタイルが分かってきたわね」
ビート『いくぞ!フローズ!』
時の界王神「(ビート…どんなときでも諦めない心の持ち主 それに人一倍高い目的意識があるわね…でも…少し強さに固執しすぎかな)」
フローズ『…来い』
時の界王神「(フローズ…極めて冷静な戦士だけど…内には熱いものを秘めているわ 敵の動きを見るのに適したタイプね)」
カギュー『まだまだですよ!2人とも、もっとペースを上げて下さい!』
時の界王神「(カギュー…冷静に現状を認識できて視野も広い 性格的にも指揮官に最適だけど…非情な決断が出来るかどうかはまだ分からないわね…)」
シャメル『フェン どうする、少し休むか?』
時の界王神「(シャメル…精神的にも身体的にも優秀な戦士ね 周囲からも信頼されていて関係もいいわ)」
フェン『いいや、まだだ!ゼンやワイルには負けられない!』
時の界王神「(フェン…この子はあまり闘いが得意じゃないけど、発想に優れている…頭脳派ね)」
ローラ『…アンタの力はこんなもんなわけ?』
時の界王神「(ローラ…バトルスタイルである気弾の扱いに秀でているけど…無口で基本的に誰とも話さないから、連携には向かないわね…)」
モルネー『…ごめん』
時の界王神「(モルネー…潜在能力は高いと思うんだけど、いつも動きが良くないところを見ると、内向的な性格が災いしてうまく力を出せていないみたいね)」
ワイル『ほらほら、どうしたの、ゼン!』
時の界王神「(ワイル…高い運動能力と相手の意表を突く打撃のバトルスタイルを好んでいる…性格も明るく、献身的で周囲の場を和ませてくれるわね いいムードメーカーになりそうだわ)」
ゼン『今日こそ負けないぞ…!ワイル!』
時の界王神「(ゼン…あまり目立ったところはないけど、いつでも周りのことを考えていてくれてるわね 責任感も人一倍強いわ)」
時の界王神「がんばって…みんな…!」
―――こうしてビートたちは厳しい修行を続けていった
そして一年分の修行を終え、9人は部屋から出てきたのであった
―――ミーティングルーム
フェン「ふぅ…」
ワイル「体が軽いわね」
シャメル「そりゃそうだろ なんせ10倍の重力のところに一年間もいたんだからな」
モルネー「…ローラはどう?調子はさ?」
ローラ「別に…」
モルネー「そ…そう…」
カギュー「私たち…通用するんでしょうか」
フローズ「まだ分からないだろ、この段階では」
ビート「(いや…オレは必ず強くなっているはずだ!)」
ビート「…見ててよ…ノート」
ゼン「ただいま戻りました、界王神さま」
時の界王神「あなたたちのことはこちらからも見ていたわ ちゃんと修行してたようね」
時の界王神「それで修行を終えて早々悪いんだけど…」
フェン「何かあったんですか?」
時の界王神「時空の歪みが強くなっているポイントがあるの あなた達にはその場所を調査してほしいの」
ワイル「そのポイントというのはどこなんですか?」
時の界王神「…トキトキ都につながる森よ」
ゼン「!?」
カギュー「トキトキ都…確か暗黒魔界軍に奪われ、今は暗黒魔界からのゲートがある場所…」
フローズ「…そこへつながる森が何故…?」
フェン「それは…あの森を通らないとトキトキ都へは行けないんだ…つまりあの森が暗黒魔界の手に墜ちたら、トキトキ都奪還はさらに困難を窮めてしまう…」
フローズ「…それが狙いか」
時の界王神「いえ…でも逆にチャンスかもしれないわ これだけの邪悪な力があるということは、ビートたちを襲ったヤツらがいるかもしれない…」
時の界王神「…よし!タイムパトロールのみんな!初ミッションよ!」
時の界王神「あなた達は気配を消して、森に侵入、暗黒魔界軍に奇襲を仕掛ける」
時の界王神「可能な限りトキトキ都へのルートを模索してちょうだい」
時の界王神「奇襲を仕掛ける以上…全員で行くわけには行かないわね…志願者は名乗り出て」
ビート「オレは絶対に行く 仇を取るんだ」
フローズ「オレも行く この力がどこまで通用するのか知りたいからな」
カギュー「元の世界に帰るためには必然的にトキトキ都を奪還しなくてはならない…ならばこの任務、果たさないわけにはいきません」
シャメル「オレも行こう オレの中にあるもののためにな」
ゼン「戦い続けてきたものとして、逃げるわけにはいきません!」
フェン「僕も行く!みんなのお荷物にはならないって決めたんだ!」
時の界王神「…6人ね…頼んだわよ」
ワイル「ゼン…フェン…私…誰かが命を落とすところを…もう見たくないの…ごめんなさい…」
ゼン「…大丈夫だよワイル、そんなことはさせないから」
フェン「そうだよ、僕とゼン、それにみんなだってあれだけ修行したんだ きっと大丈夫だよ」
ワイル「ゼン…フェン…必ず、帰ってきてね」
ゼン・フェン「ああ!」
ローラ「………」
モルネー「………シャメル…」
時の界王神「…じゃあみんな、このリングを着けて」
カギュー「これは…?」
時の界王神「これはあなた達の気が表面上に出るのを抑える効果があるの これならもし戦闘になっても他の場所にいる者には分からないわ」
シャメル「なるほどな、増援が来るのを阻止できるってわけか…考えられてるな」
フェン「それにこれなら歩かなくても済むね」
時の界王神「悪いけど急造だから6個しかないし、壊れやすいから気をつけてね」
時の界王神「これを着けているもの同士ならお互いの気は分かるから安心してね」
時の界王神「それとあなた達には2つに分かれて調査してもらうわ」
フローズ「3人ずつ、2グループか どうする?」
カギュー「なら、暗黒魔界のことに詳しいゼンくんとフェンくんは別々にした方がいいですね」
ゼン「でしたらカギューくんとシャメルくんはフェンと同じで良いですか?あなた達ならフェンも心強いはずです」
シャメル「オレは構わないぞ」
カギュー「私もです フェンくん、よろしくお願いします」
フェン「2人の足手まといにはならないように頑張るよ」
フローズ「ならオレたちは、ビート、ゼン、オレの3人だな」
ビート「オレが暗黒魔界軍の相手を引き受けるよ」
ゼン「頼みます、ビートくん」
フローズ「………」
時の界王神「…決まったみたいね」
時の界王神「それじゃあ、あなた達を転送するわ 場所は森の入り口 危なくなったら、ゼン、フェン、みんなをここに戻してあげてね」
ゼン・フェン「はい!」
時の界王神「じゃあ行くわよ…はっ!!」
ギュイイイイイン カッ
時の界王神「…行ったわね」
ソラ「…頑張れよビート」
ももちゃん「気をつけてね…みんな」
モルネー「シャメル…」
ワイル「…ローラ?どこに行くの?」
ローラ「……修行」
ワイル「え!?さっき終わったばかりじゃない!」
ローラ「…あいつらがいない今、あんたたちも差を広げるチャンスなんじゃない?」スタスタ
ワイル「…意外ね…」
モルネー「ローラ、頑張ってね…」
―――
――
―
―――トキトキの森・入り口
シュン
ビート「うわぁ!」
ドサッ
ビート「いてて…」
フローズ「…何やってんだ」
ビート「ごめんごめん…あれ?カギューたちは?」
ゼン「どうやら別々に転送されたようですね…」
ビート「!!」ハッ
フローズ「こ…この気は!」
ビート「…間違いない…あいつらだ…」
ビート「行こう…フローズ、ゼン」
ゼン「はい」
フローズ「…ビート、気持ちは分かるが…冷静にな…」
ビート「そんなの…分かってるよ…」
フローズ「………」
―――トキトキの森・東
フェン「…はぁ…はぁ…」
シャメル「…落ち着け、フェン まだ近くに敵はいない」
カギュー「でもとても大きな気が2つ…その他にも気が5つ…」
シャメル「それがお前たちを襲った奴らか?」
カギュー「ええ…恐らく」
シャメル「…そうか、それはまずいな…もし戦うことになったら…」
フェン「…大丈夫…!そのときは僕も戦うよ…!」
シャメル「え?…ああ、頼むぞ」
―――トキトキの森・最東端
???「…………」
???「」バッ
バシュッ ギュー…ン
―――トキトキの森・出口
ミラ「!」
ミラ「…空気が変わった…何者だ?」
ハルハル「どうした?ミラ」
ミラ「全員を集めろ、話がある」
ハルハル「! わかった!」バッ
仮面のサイヤ人「…感じるぞ、気配は分からぬがただならぬパワーを…」
―――トキトキの森・中央街道跡
ビート「…どうやら気の数は7つ…一つの場所に固まっているみたいだ…」
フローズ「恐らくオレたちが前に戦ったヤツらと同じだろう…」
ゼン「ビートくん、フローズくん、幸いここは街道跡です ここを辿ればすぐに出口に向かえますね」
フローズ「…これでトキトキ都へのルートは分かった」
ゼン「確かに簡単に見つかりましたけど…でも…」
フローズ「あとは邪魔をしてくるヤツらの相手をするだけだな」
ビート「………」
―――トキトキの森・東
フェン「…!!」
シャメル「か…カギュー!!」
カギュー「…集まっていた気が一斉に散らばり始めた…!」
フェン「気づかれたんだ!」
シャメル「ち…どんだけ感がいいんだよ!あいつらは!」
カギュー「ですがまっすぐこっちに向かってこないところを見ると、やはりこちらの気は分からないようですね」
カギュー「幸いこの森は樹高の高い木ばかりです なるべく慎重に移動して、近づいてきたら身を隠しましょう」
フェン「う…うん」
―――トキトキの森・中央街道跡
フローズ「…ビート」
ビート「ああ…どうやら戦う時が来たみたいだ…」
ゼン「数ではこちらが不利です、近づくのはなるべく避け、可能な限りこちらから奇襲し各個撃破をしていきましょう」
フローズ「聞いたか、ビート」
ビート「………」
フローズ「ビート!」
ビート「…分かってるよ」
ビート「でももし戦闘になったら…全部の敵をここに引き付ける…そしてオレが相手をする」
ゼン「…わかりました その方がフェンたちも動きやすくなるでしょう」
フローズ「……ビート…」
―――トキトキの森・東
カギュー「少し近づいてきている…もう少し東に移動しましょう」
フェン「分かった」
シャメル「………」
フェン「良かった…うまくやり過ごせそ…」
カギュー「!! 危ない!!」
ギュオオオオオ
フェン「!!」サッ
ドーン メキメキ…ドシーン
シャメル「フェン!大丈夫か!?」
フェン「う…うん、なんとか…」
カギュー「そんなばかな…気は7つとも遠い場所にある…これはいったい…」
バッ
???「………」
カギュー「な…なんだ、あいつは…?」
フェン「ローブを纏ってて顔が見えない…!」
カギュー「そ…それに…気も分からない…近づかれても分からなかった!」
???「」キュイイン
ドウッ
シャメル「く…くそ!お前ら!逃げるぞ!!」
フェン「うわぁ!!」ドウン
カギュー「フェンくん!」
シャメル「カギュー!離脱だ!一旦離れるんだ!!」
カギュー「そ…そんなフェンくんが!」
シャメル「早くしろ!!全滅するぞ!!」
カギュー「くっ…」バシュッ
シャメル「大丈夫だ!必ず助けにいく、フェン…!」
フェン「う…うう…」
ザッザッザッ
フェン「!!」
フェン「(お…終わりだ…あれだけ修行したのに…僕は…うう…)」
???「………」ザッザッザッ
フェン「(僕も…ゼンやワイルみたいに強くなりたかった…なのに…なのに…)」
???「…」サッ
フェン「うう…ごめん…ゼン…ワイル…ごめん…」
???「…………」
???「……」スッ…
???「」クルッ
バシュッ キー…ン
フェン「……え…?」
フェン「な…なんだ…殺さないのか……?」
フェン「ど…どうして…?」
シャメル「フェン!!」ザザッ
カギュー「大丈夫ですか!?」ザザッ
フェン「カギュー…シャメル…」
カギュー「良かった…無事で…」
フェン「…僕は…」
シャメル「…とにかく、立て さっきの戦闘に気づいた奴らがこの辺に近づいてきてる」
シャメル「ここから離れるぞ」バシュッ
カギュー「フェンくん、行きましょう」バシュッ
フェン「……」バシュッ
―――トキトキの森・中央街道跡
フローズ「どういうことだ…カギューたちは誰かと戦闘したのか?」
ゼン「ですが…それらしい気はカギューくんたちの方には見当たりませんね…」
ビート「いったい何が…みんな無事なのか…?」
―――ついに始まった新生タイムパトロールと暗黒魔界軍との戦い
―――この森で今、対立する2つの世界がぶつかり合う
―――勝つのは、タイムパトロールか、暗黒魔界軍か
―――それは、まだ誰にも分からない…
To be continued...
最後まで読んでいただいたみなさんありがとうございました
続きはまた近日中に公開予定です
このSSへのコメント