ドラゴンボールヒーローズ ビクトリーミッションX 03
ドラゴンボールヒーローズ ビクトリーミッションX 02の続きです
作中の一部に他作品の展開を真似た描写がありますが、前向きに考えていただきますと幸いです
―――トキトキの森で相対するタイムパトロールと暗黒魔界軍
―――そして現れた謎の敵
―――それぞれの思惑が、この森でぶつかり合う
[mission03︰ 届かない想い ]
―――トキトキの森・東
フェン「(…おかしい…)」
フェン「(何故あいつは、僕を殺さなかったんだ…?)」
シャメル「フェン…何か考え事か?だが今は任務に集中しろ まだルートも見つけてないし、敵も倒してないんだからな」
フェン「うん…」
フェン「…そういえば、僕の所に来るとき2人はあいつと会わなかったの?」
カギュー「ええ…一旦目の前に現れたんですが、私たちを見るなり何処かへ行ってしまって…」
カギュー「その時、動きを止めようとしたのですが、私もシャメルくんも少し攻撃を受けてしまって…」
フェン「え!?大丈夫なの、2人とも?」
シャメル「ああ、オレもカギューも何ともない ただオレのリングは壊れちまったけどな ここまで壊れやすいなんて思わなかったぜ」
シャメル「とにかく、オレたちもそろそろ任務を果たさないとな」
フェン「(……………)」
―――トキトキの森・中央街道跡
ゼン「フェンたちの方にいったい何が…」
フローズ「…もしかしたら別の敵と戦ったんじゃないのか…?」
ゼン「別の敵…?」
フローズ「カギューたちの方に別の気が感じられない以上、そう考えるしかない」
ビート「気の読めない敵がいるってことか…」
ゼン「それでは近づかれても分かりませんね…」
フローズ「(…もしそんな敵がいるとして…カギューたちを襲ったということは、やはり目的はドラゴンボールか?それとも…)」
フェン「(………!!)」
カギュー「とにかくこのドラゴンボールを守りきらなくては…」
フェン「…いや、あいつの目的はドラゴンボールじゃない」
カギュー「え…?」
シャメル「…どうしてそう思うんだ?フェン」
フェン「あいつが暗黒魔界の仲間だと、そう仮定した上での話になるけど…」
フェン「さっきあいつはシャメルやカギューを見ても下手な攻撃はしようとせずに、その場から離れようとした…もしドラゴンボールが目的ならカギューを攻撃していたはずだ」
フェン「それに…僕の時もカギューたちのときも、あいつはまず僕たちのことを確認した 確認したうえで攻撃しなかった なら目的は僕たち3人じゃない…」
フェン「あいつの目的は…多分ビートだ…!」
フェン「前にカギューたちが暗黒魔界軍と戦ったときに、ミラが執拗にサイヤ人であるビートを狙っていたことを考えると、筋は通る…」
シャメル「ビートだと?ビートなら…くそ、リングを壊されちまったんだった…」
シャメル「あいつは今どこにいるんだ?」
フェン「…どうやらこの森の中央、僕達の西にいるみたいだね」
フェン「僕達と下手に戦おうとしなかったのは…おそらく奇襲を掛けるつもりだったからなんだろう」
カギュー「……なら、私たちで食い止めませんか?」
フェン「あいつの力は強力だ…僕達で敵うかどうか…」
カギュー「確かに、そうかもしれませんけど…」
カギュー「私は…私たちに想いを託してくれた仲間たちに…がっかりされたくないんです」
カギュー「…これが私たちが選んだ道じゃないですか…だから…力を貸してください!!」
フェン「……!」
フェン「作戦を考えた…!」
フェン「高速移動であいつを囲むんだ 僕が合図をしたらその人が攻撃してくれ!」
フェン「奇襲を仕掛けたいと考えているのなら、あいつも下手に攻撃出来ないはずだから…!」
シャメル「なるほどな…即席の作戦にしては上出来…成功に期待しようか…!」
カギュー「いきましょう!!」バシュッ
???「……」ヒューン
バッ ヒュンヒュンヒュン
???「!」キキィッ
カギュー「」ヒュンヒュンヒュン
シャメル「」ヒュンヒュンヒュン
フェン「」ヒュンヒュンヒュン
???「………」
フェン「(よし…いいぞ)」ヒュンヒュンヒュン
フェン「(やはり自分からは攻撃してこない…これなら…いける!)」ヒュンヒュンヒュン
フェン「(……あとは…)」
???「…………」
フェン「(…………)」
フェン「(よし!今だ!)」ヒュンヒュンヒュン
フェン「キング!今―――」
ヒュッ バキイッ
カギュー「がはっ…」
フェン「!!?」
シャメル「っ!カギュー!!」
フェン「(そ…そんな…読んでいたのか…?)」
フェン「(…あの速さ…わかっていたとしか…)」
フェン「くっ…!」バシュッ
フェン「はあああっ!!」グワッ
???「」サッ
バキイッ
フェン「がっ…!」
ズザザザザザザザザ
フェン「う…うう…」
カギュー「ぐっ…フェンくん!!」バシュッ
カギュー「(やはり…やはり甘かった…!)」
カギュー「(パワーもスピードも今までの敵の比じゃない!)」
カギュー「(おしまいだ…全滅してしまう…!)」
???「………」ザッザッザッ
フェン「(…やっぱり…こいつは…)」
シャメル「はあっ!!」バシュッ
ギュオオオオオ
カギュー「(シャメルくん!?直接攻撃するつもりか?)」
カギュー「(いや…いける!フェンくんに気を取られている今なら!)」
???「」バッ
シャメル「ぐ……!」
???「……」スッ…
グ オ ッ
シャメル「ぐ…!?」
カギュー「な…なんだあれは?シャメルくんを球体に閉じ込めた…!?」
フェン「!?(あ…あれは…時の広場を封印したのと同じ…!)」
???「……」キィィィ…ン
シャメル「ぐ…ああ…!!」シュウウウ…
フェン「(あの様子…まさか…体力を吸収されているのか!?)」
カギュー「シャメルくん!!」
シャメル「ぐ…はああああ」キュイイイ…ン
シャメル「はあっ!!!」
ドドドドドドドドドド パキィン
ギュオオオオオ…
フェン「!!」
カギュー「す…すごい、同じ箇所への気弾の連射で球体を破壊した…!」
シャメル「ぐ…」バッ
シャメル「」ガシッ
フェン「…あ!」
シャメル「もう限界だろう!気付かれる前に急いでここから離れるぞ!!」バシュッ
シャメル「ドラゴンボールが目当てじゃなけりゃ、オレたちを追ってきたりしないはずだ!」
???「………」
???「」クルッ
???「」バシュッ
シャメル「見ろ!あの野郎、オレたちの力にビビって逃げちまうようだぜ!」
フェン「!!!」
フェン「(そんな…!どうして…!)」
フェン「(あっちは西…中央街道跡…まさか…ビートたちの方へ…!)」
フローズ「…やはり、カギューたちのところは何かあったようだな…」
ゼン「一瞬シャメルくんの気が感じられたところを見ると…少なくともシャメルくんはリングを破壊されてしまったみたいですね…」
ビート「見つからないといいけど…」
フローズ「…今は気を消しているから大丈夫だろう」
ゼン「!!!」ハッ
ゼン「気が…すぐ近くに!」
フローズ「な…なんだと!?どこに!?」
ゼン「すぐ後ろです!!」
「…やっと見つけたぜ」
フローズ「く…!」バッ
ハルハル「やっぱりお前らか…さぁ大人しくドラゴンボールを渡しな!!」
ゼン「く…くそ!気を取られていて接近に気が付かなかった…!」
ビート「………」スッ…
フローズ「…ビート?」
ビート「…雑魚に用はない ミラという奴と仮面の奴を呼べ」
ハルハル「…なんだと?」
ハルハル「ち…まぁこっちもそういう作戦だから仕方ない…だけどこれでお前らはおしまいだ」
ハルハル「ミラに敵うわけがないんだからな」
ハルハル「はあっ!」ドドドドドド
シュンシュン「!!」
サイアックマン「合図の気弾…!」
キョアックマン「見つけたか…!」
ボーン将軍「へっへっ…いよいよか」
仮面のサイヤ人「今度こそ消し去ってやる…サイヤ人」
ミラ「…………」
???「………」
ハルハル「へっ…これで私以外の6人が集まってくる…大人しくドラゴンボールを渡せば逃がしてやるぜ?」
ゼン「だ…誰がそんなことを…」
フローズ「(…正体不明の敵のことも気になるが、『私以外の6人が』と言っているところを見ると、少なくともこいつは知らないようだな…)」
フローズ「(こちらもカギューたちのことは知られたくない…余計なことは言わない方が懸命だ…)」
ビート「………!」
ハルハル「来たな」
ギュン
シュンシュン「また会ったわね…」
サイアックマン「あの時の借りを返させてもらうぜ」
キョアックマン「そしてドラゴンボールは我々に渡してもらうぞ」
ボーン将軍「へっへっへっ…今さら後悔しても遅いぜ」
仮面のサイヤ人「消し去ってやる…」
ミラ「………」
フローズ「ち…」スッ
ゼン「そう簡単にやられはしない…!」スッ
ビート「……フローズ、ゼン…手を出さないでくれ」
ゼン「え…?」
ビート「あいつらは、オレが倒す」
フローズ「…何故だ、ビート 3人で戦った方が勝てる可能性が高いのは明白なはずだぞ」
ビート「…いや、オレが1人で戦った方が勝てる」
ゼン「…私たちが一緒では足手まといになる、ということですか…?」
ビート「…………」
ゼン「あれだけ一緒に修行したじゃないですか!」
フローズ「オレたちを信じないのか…ビート」
ビート「…………」
フローズ「…もういい」
フローズ「ゼン、オレたちはここから移動するぞ」
ゼン「そ…そんな…」
フローズ「ビート…お前の選択が正しいのかどうかオレには分からないが…」
フローズ「その考えをこのまま続けていくのなら…いつかお前は後悔することになるぞ」
フローズ「…今のお前は戦士でもヒーローでもない 自分よがりの考えで戦う…ただのがきだ」
ゼン「フローズくん…」
ビート「………」
フローズ「…いくぞ、ゼン」
バシュッ バシュッ
ハルハル「なんだ、仲間割れか?」
サイアックマン「はっはっはっ!逃さんぞ!」
ビッ
ビート「…………」
サイアックマン「な…なんだと!?」
ハルハル「…は…速え…!」
シュンシュン「ま…全く見えなかったわ…」
ミラ「……ほう」
サイアックマン「く…くそ!」バッ
ビート「……」スッ…
サイアックマン「!!!」
ビート「はっ!!!」ズァオッ
サイアックマン「な…ぐああああ……!!!」ゴオォォォ…
ボ ン ッ
パラパラ…
ハルハル「な!?」
ボーン将軍「う…うそだろ」
キョアックマン「ば…ばかな…」
シュンシュン「そんな…一瞬で…」
ビート「さあ来い お前たちはオレの手で―――」
ビート「―――この世から消してやる」
ビート「(………ノート…)」
ゼン「…フローズくん…いいんですか、あそこまで言ってしまって」
フローズ「安心しろ…あいつが間違いに気付けるよう言ったつもりだ」
フローズ「あいつが本当に最強英雄を目指すつもりならきっと気付くはずだ」
フローズ「仲間を信じなければ勝てない、とな」
ゼン「フローズくん…」
フローズ「…オレたちはここで待機だ」
ゼン「え?」
フローズ「あいつが危なくなったら助けにいくぞ…いいな」
ゼン「! …はい!」
ハルハル「だりゃりゃりゃりゃ!!」
シュンシュン「はあああああ!!」
ボーン将軍「おらおらおらおら!!」
キョアックマン「うおおおおお!!」
ビート「」サッ スッ バッ
ハルハル「(くそ!どうなってんだよ!)」
シュンシュン「(4人がかりでも掠りもしないなんて…!)」
ボーン将軍「(オレたちの力が通じねぇ!)」
キョアックマン「(いったいこいつに何が…!?)」
ビート「……はあっ!!!」
ド ン ッ !
ハルハル「ぎゃあっ!」
シュンシュン「うあっ!」
ボーン将軍「ぐあっ!」
キョアックマン「ぎあっ!」
ドサドサドサッ…
ミラ「…爆発波か」
ハルハル「うう…くそ…」
キョアックマン「ま…負けるわけには…!」
ビート「遊びはここまでだ…さぁ、来い」
ミラ「…行け」
仮面のサイヤ人「」バッ
仮面のサイヤ人「…少しは出来るようになったようだな」
仮面のサイヤ人「それでこそ…サイヤ人だ」
ビート「…おまえはカブラたちの仇だったな…」
ビート「はあっ!!!」
ド ン ッ !
SS2ビート「必ず…仇は取る」バチバチ…
仮面のサイヤ人「面白い…来い!」
SS2ビート「……」ザッ
SS2ビート「はあっ!!」グワッ
仮面のサイヤ人「はっ!!」グオッ
カッ―――
ゼン「ビートくん、す…すごいパワーですよ!」
フローズ「…あいつは修行のときも一切超サイヤ人にならなかった…通常時のパワーを上げ、より強力なパワーを持った超サイヤ人に変身するためだったんだろう…」
ゼン「すごい…そこまで計算していたなんて…!」
フローズ「(だがビート…おまえは何故一人で戦うことにこだわる…?プライドか…?それとも…他に何か…)」
仮面のサイヤ人「ぐあっ…!」ドサッ
SS2ビート「どうした?あの時の力を出してみろよ」ザッザッザッ
仮面のサイヤ人「く…くそ」
SS2ビート「オレの狙いはお前じゃない これで終わりにしてやるぞ」キュイイイン
仮面のサイヤ人「ぐ…くそ…」
SS2ビート「かめはめ…波ーーっ!!!」
ズ ア ッ
仮面のサイヤ人「ぐっ…!」ググッ
SS2ビート「無駄だ…」
SS2ビート「カブラたちの仇…くらえーっ!!!」
ド オ ン !
仮面のサイヤ人「ぐ…ぐあああああ…!!!」ゴオオオオ…
ド ド ー ン …
SS2ビート「……」スタッ
ミラ「(…やつの力の飛躍…その根底にあるのはやはり怒り…)」
ミラ「(オレもその力を手に入れられれば…オレが最強の存在になれるはずだ…)」
ミラ「(だが同時に最も警戒しなくてはならないのも怒り…)」
ミラ「(この前の戦いで得たキリはオレに取り込まれている…パワーアップを果たしたのはオレも同じ…)」
ミラ「(やつの怒りのパワーをオレが上回ることが出来れば…オレが最強になれる…)」
ミラ「(やつを怒らせるには…)」
ハルハル「うう…」
キョアックマン「ぐう…う…」
ミラ「(…………)」
SS2ビート「…あとはお前だけだ」
ハルハル「う…ミラ…頼む…勝ってくれ…」
ミラ「………」
ズ ア ッ
SS2ビート「!?」バッ
ハルハル「み!ミラ―――」
ド ド ー ン
SS2ビート「な…なんで…仲間を…?」
ミラ「…仲間だと?」
ミラ「勘違いするな こいつらも、あの仮面で洗脳した男も、ただの捨て駒だ」
ミラ「弱いやつなどこの世に必要ない…あの女もそうだろ?」
ミラ「所詮は弱いから死んだまでだ」
SS2ビート「な…なんだと…」
SS2ビート「ゆ…許さない…ノートも…自分の仲間たちまで…」
SS2ビート「お…お前は…お前は…」
SS2ビート「もうお前は…絶対に…絶対に許さないぞ!!!!」
SS2ビート「うおああああああーーっ!!!!」
ド オ ン !
ミラ「…!」
SS3ビート「お前は…必ず殺す…!」バチバチ…バチバチッ
ミラ「(…やはりあの時と同じだ…一瞬だけこいつの戦闘力が分からなくなった…妙な現象だ…)」
ミラ「(だが…これならオレの勝ちだ)」
ミラ「…オレは激昂によっていとも簡単に凄まじいパワーを手にすることができる、お前が許せない…」
ド オ ン !
超ミラ「今度こそ塵一つ残さず消してやる…サイヤ人…!」バチバチ…バチバチッ
SS3ビート「うあああーっ!!!」グワッ
超ミラ「はあああーっ!!!」グオッ
ド ン ッ ! ! !
SS3ビート「だりゃりゃりゃりゃ!!!」シュシュシュシュッ
超ミラ「」ササササッ
超ミラ「は!!!」グオッ
バ キ イ ッ
SS3ビート「ぐあっ…」
超ミラ「激昂しては理性的な戦いは出来ない…怒りなどやはり…オレの敵ではない」
SS3ビート「ぐ…うあああーっ!!!」グルン
超ミラ「何!?」
バ キ イ ッ
超ミラ「が…」
超ミラ「(ば…ばかな…!!…何が…こいつをここまで駆り立てる…?)」
SS3ビート「はああああ!!!」キィィィ…ン
SS3ビート「消え去れ!!!ミラ!!!」
ボ ウ ッ ! !
超ミラ「ぐ…バリヤー!!」ブゥ…ン
超ミラ「ぐぐぐ…!」
SS3ビート「オレに力を貸してくれ…ノート…!!!」
SS3ビート「お前のような…仲間を捨て駒に使うようなやつに…オレは絶対に負けてたまるか!!!」
ズ ァ オ ッ ! ! !
超ミラ「ぐ…な…何!?」
SS3ビート「ノートは…オレの…オレの…!」
バキィンッ
SS3ビート「大切な仲間なんだーーっ!!!」
ズ オ オ ッ ! ! !
超ミラ「う…うおあああああああ……!!!」
ギュオオオオオオオオオオオ
ビート「はぁ…はぁ…」フッ…
ビート「…!!!」
超ミラ「ぐ…お…おのれ…」
超ミラ「最強でなくてはならないオレが…こんな醜態をさらすとは…」
超ミラ「お前だけは絶対に許さんぞ…!」
ビート「く…くそ…全力の一撃だったのに…」
超ミラ「ゆ…許さんぞ…!この森もろともお前らを消し去ってやる…!」
ビート「な…なにっ…!」
超ミラ「があああ…!」グッ
超ミラ「…消えろ…サイヤ人!」グワッ
―――ガシッ
超ミラ「何!?」
ビート「…?」
ダーブラ︰ゼノ「落ち着け、ミラ」
超ミラ「ぐ…何しに来た…」
ダーブラ「今回はもういい、戻るぞ」
超ミラ「そうはいくか…あのサイヤ人と決着を着けるまでは…」
ダーブラ「…この私に力尽くでお前を連れ帰らせる気か?」
超ミラ「…!」
超ミラ「…分かった」
超ミラ「覚えておけよ…次に会ったときは…必ず…!」
―――シュン
ビート「はぁ…はぁ…い…今のは…ダーブラ…?」
ビート「ま…また…トドメを刺せなかった…くそ…」
バッ
ビート「!?」
???「……」
ビート「(な…なんだあいつは…ローブで顔は隠れて見えない…気も分からない…)」
ビート「(ま…まさか…!こいつがカギューたちと戦ったやつか!?)」
ビート「(ま…マズい…オレだけじゃ…フローズたちを…!)」
フローズ『その考えをこのまま続けていくのなら…いつかお前は後悔することになるぞ』
ビート「!!」
ビート「(いや…必要ない…オレ一人で…)」
ビート「(そうだ…一人でだって戦えるじゃないか…!)」
ビート「…誰だか知らないが…オレは負けないぞ」
???「………」
フローズ「…とてつもなく邪悪な気が1つ現れたと思ったら、もう1つの気とともに突然消えた…どうなっている…」
ゼン「ビートくんは…まだ戦っています!相手の気が感じられないということは…まさか!」
フローズ「カギューたちの方から来た謎の脅威…か…」
フローズ「ビートの所へ向かうぞ、ゼン」
ゼン「はい!」
ビート「はあああ!」バババババッ
???「」サササササッ
ビート「(くそ…力が…出ない…!)」
ビート「だけど負けるわけには…オレが強くなれば…!」
???「………」
ビート「はあ!!」バキィッ
???「………っ」
ビート「だあっ!」ドカッ
???「………!」
ビート「(よし…こいつも疲弊してる…!)」
ビート「(いける…勝てる!)」
ゼン「ビートくーん!!!」
???「…!」
ビート「ぜ…ゼン!?ダメだ、近づいたら…!」
???「……」ブ…ン
ギュアッ
ゼン「!?」
フローズ「!! ゼン!!」
ビート「くっ…!!」ボウッ
ビート「はっ!!」ギュオッ
ギュオオオオオ
ドドーーーン
???「」シュン
ゴオオオオ…
フローズ「あ…危ないところだった…」
ゼン「あ…ありがとうございますビートくん 助けていただいて」
ビート「(……くそっ…)」
ビート「何しに来たんだよ…ゼン」
ゼン「え?」
ビート「なんで来たんだよ!」
ゼン「なんでって…助けに来たのですが…」
ビート「…オレ一人でやるって言っただろ!」
ゼン「そ…そんな!ビートくん一人では危ないと思って…!」
ビート「それが余計なんだよ!!」
ゼン「!!!」
ビート「あと…もう少し…もう少しで…!」
フローズ「…………とにかくもうこの森に他の気はない…カギューたちと合流して時の広場に戻るぞ」
フローズ「……いいな、ビート、ゼン」
ビート「………」
ゼン「……はい」
―――時の広場
時の界王神「お疲れ様、みんな」
ワイル「みんな、大丈夫?」
ワイル「フェン!?そのケガは大丈夫なの?」
フェン「あ…ああ、大したことないよ」
ワイル「ゼン、あなたもケガはない?」
ゼン「…………」
ワイル「…ゼン?」
ゼン「え?ああ、大丈夫だ…」
ゼン「…………」
ワイル「そう…良かった…」
フローズ「…お前も大したことがなくて良かったぞ、カギュー」
カギュー「ええ…あの後、ビートくんたちの方に敵が集まっていったので、樹上で休んでいたんです」
カギュー「トキトキ都へのルートも見つけて、敵もほとんど倒すなんて…さすがビートくんたちです でも残念でしたね、取り逃がしてしまって…」
フローズ「…ああ」
ビート「…………」
モルネー「無事で良かった、シャメル」
シャメル「ああ…だが結局任務は果たせなかった…」
モルネー「…次があるさ」
フェン「ワイル…ローラはどこ?」
ワイル「え?ゼンたちが行ったあと、修行するって言ってたけど…」
フェン「…そう」
フェン「……………」
時の界王神「とにかくみんなお疲れ様 今日はゆっくり休んで、次の戦いに向けて体力を回復させるようにね」
―――夜・ビートの部屋
ビート「……………」
コンコン
ビート「……!」ムクッ
フローズ「オレだ、入るぞ」ガチャ
ビート「…何か用?」
フローズ「………」
フローズ「あの場で決めつけるのは早計だったが…お前の今の様子を見る限り、間違いではなかったようだな…」
フローズ「お前は何故あんなことを言った?」
フローズ「以前のお前だったら…あんなことは絶対に言わなかったはずだ」
ビート「あんなこと…?」
フローズ「…とぼけるな」
フローズ「お前を助けに来たゼンに対してのあの言い草だ!」
ビート「…本当のことじゃないか」
ビート「ゼンが来たから…オレ一人で戦うって言ったのに…そのせいで…」
フローズ「…お前が仲間の仇を討ちたい気持ちは分かる…だがお前のしていることは、オレたちの連携の動きを悪くするだけなんだぞ」
ビート「…違う…オレ一人で戦ったほうが…」
フローズ「足手まといがいなくて戦いやすい…か?」
ビート「!!!」
フローズ「お前は…強くなった…だが強くなって力を手に入れたかわりに大切なものを失ったんだ」
フローズ「…今のお前を見たら、あの世にいるカブラたちや……ノートはどう思うんだろうな…」
ビート「…………」
フローズ「…オレはお前とは信じあえていたと思っていたんだがな…がっかりだ…」ガチャ
―――バタン
ビート「…………信じる……仲間を…」
ビート「ちゃんと信じてるよ…フローズ…」
ビート「フローズだけじゃない…カギューも…ゼンも…シャメルも…みんな…」
ビート「…でも……オレは……戦うときだけは…」
ビート「戦うときだけは……一人で…戦いたいんだ……」
ビート「そうした方が………オレは…」
―――四日後・時の広場
ワイル「おはよう シャメル、モルネー」
シャメル「おう、ワイル」
モルネー「……あれ、みんなは?」
ワイル「今日はこの前とは別の6人での連携を試すためにバトルフィールドにいっているわ」
シャメル「ん?ってことはローラか あいつに連携が出来るのかどうか疑わしいな」
モルネー「シャメル…よしなよ…」
シャメル「冗談だよ、冗談 さぁオレたちはさっさと朝飯食って修行でもしようぜ」
ワイル「………」
―――バトルフィールド・市街地
フローズ「…バトルフィールドに来るのは久しぶりだな…」
カギュー「ええ 世界間が繋がっているからこそ来ることが出来るんですね」
ゼン「今日はここで修行です 入り組んだ市街地での戦いは、トキトキ都での戦いに備える上では重要になりますから」
フェン「………うん…そうだね」
ビート「………」
ローラ「………」
フローズ「…それで、どんな内容なんだ?」
ゼン「設定してある目的地点に全員で向かいます 強襲作戦の修行ですね」
フローズ「なるほどな…全員が迅速に行動しないと駄目ってことか」
カギュー「じゃあ早速はじめましょう」
ゼン「では…行きます!」
フェン「…………」
バシュッバシュッバシュッ
ビート「…………」
―――
――
―
ゼン「…見えて来ましたね」
カギュー「ふぅ…着きました」スタッ
フローズ「入り組んでいて面倒だったな」スタッ
ゼン「…フェン、大丈夫だったか?」スタッ
フェン「あ…ああ…大丈夫だ…」スタッ
ビート「…………」スタッ
カギュー「これで全員着きましたね」
ビート「いや…まだだ」
ビート「そこで…何やってるんだ?」
ビート「…どうしたんだよ 早くこっちに来いよ」
ビート「ローラ」
―――二日前・深夜
よしとくん『ふわぁ…いったいなんだい?こんな夜中にみんなをミーティングルームに集めて』
ソラ『いま話します …界王神さま』
時の界王神『…トキトキの森で交戦した謎の敵と思わしき人物を見つけたわ』
カギュー『え!?』
フローズ『なに!?』
ビート『……!?』
ゼン『え!?いったいどうやって…?』
時の界王神『このことを私に伝えてくれたのはフェンよ』
カギュー『フェンくんが?』
ゼン『フェン…いったい誰なんだ?あの敵の正体は…』
フェン『うん…』
フェン『最初あの敵は第三勢力だと考えていたけど…』
フェン『あの敵はこの時の広場を封印したと思われる能力と同じ力を使っていた』
フェン『つまり…暗黒魔界側の勢力だ』
ツバサ『あの時の封印の力…』
ももちゃん『そんな力が使えるなんて…』
ビート『…そいつの正体は?』
フェン『その敵の正体は―――』
カギュー『…え?』
ゼン『そんな…』
ワイル『う…うそよ…そんなのって…』
ビート『…なんで…』
ビート『……なんで…あいつが…』
ビート「…どうしたんだよ、目的地点はここだぞ 早く降りてこいよ」
ローラ「…そっちには行けない」
ビート「ふざけたこと言ってないで降りてこい これじゃ修行にならないだろ」
ローラ「いや…そっちには行かない」
ビート「ぐっ…ふざけるなよ!!」
ゼン「ビートくん!落ち着いて下さい!」
ローラ「落ち着くのはビートだけじゃないでしょ?…ゼン」
ローラ「分かるよ…あんたたち全員…殺気を纏ってるから」
ゼン「…!!」
ローラ「全く… こんな手で私を嵌めようとするなんて…」
ローラ「フェン…あんたが考えたの?」
フェン「…そうだよ でも…ローラも、あの時僕を殺さなかったから…こんなことになったんじゃないの…?」
ローラ「そうだね…あの時…」
ワイル『私はただ…もう誰にも死んでほしくないだけだよ…』
ローラ「なんで…だろうね…」
フェン「話してよローラ!何かの間違いだって…証明してよ!」
フローズ「…いや、もういい」
フローズ「話し合いはもう不要だ」
フローズ「今度こそ必ず取ってやる 仲間たちの仇を」
ローラ「…フッ……フフフ……」
ローラ「…あんたたちは…自分たちの目的を果たすために選んだ道を進み続けてる」
ローラ「仲間の仇を取るためだったり…元の世界へ帰るためだったり…」
ビート「………」
カギュー「………」
フローズ「………」
ローラ「…だから私もあんたたちと同じ」
ローラ「私は私の目的の為に…進み続けるだけだから!!!」バッ
グ オ ッ
フローズ「!?」
カギュー「封印の力!!」
フェン「し…しまった!!」
ローラ「」バシュッ
ゼン「くっ…逃げられてしまう…!」
ビート「みんなどいて…はっ!!」
SS2ビート「」ドンッ バチバチ…
SS2ビート「はあああっ!!!」
ド ン ッ パ キ ィ ン
カギュー「や…やった!」
フェン「…!」
ゼン「す…すごいです! ビートくん!」
SS2ビート「はあっ!!」バシュッ
フローズ「よし、オレたちも追うぞ」
カギュー「はい」
ゼン「…………」
フェン「ゼン?」
ゼン「…いや、ここはビートくん一人に任せて、私たちは逃げられないように街の出口を固めましょう」
フェン「そうか!この街の出口は1つしかないから…!」
フローズ「…ゼン…いいのか?」
ゼン「ええ…私たちは私たちの出来ることをしましょう」
フローズ「…了解だ」
ゼン「(ビートくん…)」
ローラ「(ドローがこんな簡単に破られるなんて…)」
ローラ「(やっぱりサイヤ人は…)」
ギュオオオオオ
SS2ビート「待て!!」
ドギュッ
ローラ「…!?」
SS2ビート「逃がさないぞ」
ローラ「あの時も今も…本当にしつこいんだね、サイヤ人ってのは」
SS2ビート「…オレは…お前を逃がす訳にはいかないんだ!!」
ローラ「…あんたに出来んの?」
ヒュッ ドゴォッ…
ビート「ぐはっ…!?」フッ…
ドサッ
ローラ「…平穏な世界で仲間ごっこに興じてきたあんたには…出来るわけない」
ローラ「あんたがいくら他人を信じても…他人があんたを信じてくれてるなんて限らないんだよ」
ローラ「本当に甘いよ…あんたは」
バシュッ
ビート「…ぐっ……待て…!」
ビート「(くそ…オレは…オレは…)」
―――
――
―
ビート『な…なんで…なんでローラなんだよ フェン』
フェン『まず…僕らがトキトキの森に行っている間にアリバイがなかった人物が1人いる それが修行をしていたというローラだ』
ビート『そ…それだけで?』
フローズ『…とりあえず最後まで聞け、ビート』
フェン『決定的だったのは僕らが実際に戦ったとき、僕らの中でしか知らない「キング」という言葉に即座に反応しカギューを攻撃したんだ』
フェン『あれは読んでいたとかそういう速さじゃない…知っていたとしか考えられない…』
ビート『そ…そんな曖昧な根拠で!』
フローズ『…もしローラじゃなかったら、敵は別にいる…それだけのことだ』
ビート『で…でも、オレたちの仲間を…』
ソラ『…フローズの言う通りだ ビート』
ビート『ソラ…』
ソラ『その甘さは今の内に捨てておくんだ、ビート』
ソラ『でないとお前が…お前が傷付くだけだ』
ビート『…オレは…オレには…一緒に戦ってきた仲間を疑うなんて…』
フローズ『だったら実際に証明すればいいだけのことだ』
フローズ『ローラがオレたちの仲間だってことを』
フェン『…作戦はこうだ』
フェン『修行と称してバトルフィールドのある地点に結界を張っておく 邪悪な者には強く反応し身動きを封じる結界を』
フェン『そこにローラを誘い込めば作戦は成功だ …だけどもし勘付かれたり逃げられたりした場合は…』
フェン『ローラと戦うことになる』
フェン『僕らの中で一番戦えるのはビート…キミしかいない』
ビート『…オレが?』
ビート『オレが…ローラと…仲間と戦う…?』
フローズ『…いいか、ビート 戦う時はもう仲間じゃない 敵であり暗黒魔界軍であり言うなれば』
フローズ『ノートたちの仇だ』
ビート『…ノート…』
ビート『…オレは…オレは…』
ビート「(そうだ…オレは…ノートの仇を…暗黒魔界を…消してやるって…)」
ビート「(あの時…決めたんだ…)」
ビート「(なら…このまま…信頼してるとか…そんな綺麗事で終わらせてたまるか!!!)」
ビート「はあああっ!!!」
ド ン ッ
SS3ビート「………」バチバチ…バチバチッ
SS3ビート「消してやる…」
バ シ ュ ッ
―――市街地・出口
ゼン「なんとか間に合いましたね」
フローズ「ああ」
カギュー「ビートくんは大丈夫でしょうか…」
フローズ「誰か来るぞ! あれは…!」
フェン「ローラだ!!」
ローラ「」ギュオオオ
ローラ「!」キキィ
ローラ「そうか…あんたたちもいたんだったね」
フローズ「お前…ビートはどうした」
ローラ「さあ…今頃仲間の夢とかでも見てるんじゃないの?甘い夢をさ」
フローズ「ち…逃げられると思うなよ…!」
カギュー「ビートくんの想いは無駄にしない!」
ローラ「…くだらない友情ね…」
フローズ「いくぞ!!」
みんな「おう!!」
ローラ「本当に…くだらない…」
SS3ビート「(オレは…信じたかっただけだった…仲間を…)」
SS3ビート「(その方が…正しいと思ったから…)」
SS3ビート「(でも…現実は違った そうだ…)」
SS3ビート「(あいつは…ノートたちの仇だ…オレたちの…敵なんだ)」
SS3ビート「(なら…甘さを…捨てろ)」
ドギュッ
ゼン「はぁ…!はぁ…!」
フローズ「く…くそ…!」
ローラ「こんなもんで私を倒せると思ったの?」
カギュー「ぐっ…やはり…強い…!」
ローラ「あんた達と私とじゃ覚悟が違う」
ローラ「自分の選んだ道を進む覚悟がね」
フェン「に…逃がしてたまるか…!」
ローラ「残念だけどここでさよならね」
ローラ「もう二度と会うことも無い」
フローズ「ち…ちくしょ…」
フローズ「!!」ハッ
フローズ「…フン」
ローラ「…何がおかしいの?」
フローズ「本当にルーズなやつだな…お前は」
フローズ「ビート」
ドギャウッ
ローラ「!!!」
SS3ビート「逃がさないぞ、ローラ」
ローラ「ち…本当にしつこい!!」バッ
グオオオッ
ローラ「(最大パワーのドロー!!これで捕らえる!!)」
ゼン「マズい!ビートくんが!」
フローズ「いや…大丈夫だ」
SS3ビート「……」グッ
SS3ビート「かあっ!!」
バ キ ィ ン ッ
ローラ「!!?」
ゼン「す…すごい!」
フェン「(…やっぱり…そうか…!)」
ローラ「ぐっ…はあああっ!」ドドドドドド
SS3ビート「はあああっ!」ドドドドドド
SS3ビート「はあっ!!」バキイッ
ローラ「がっ…!」
SS3ビート「だりゃあ!!」ドカッ
ローラ「ぐはっ!」ドサッ
ローラ「く…こんなところで…!」バッ
ローラ「!?」ピタッ
ローラ「な…なに?体が動かない…!」
ゼン「フェン!力を出し切るんだ…!」ググッ
フェン「分かってる…!」ググッ
ローラ「まさか…フリーズ…!!」
SS3ビート「か…め…」スッ
ローラ「!!!」
SS3ビート「は…め…」
ゼン「び…ビートくん…はやく…」
フェン「も…もう…抑えきれない…!」
ローラ「く……」
ローラ「や…やめて…」ボソッ
SS3ビート「……っ…!」
フローズ「……!」
SS3ビート「……波ーーっ!!!」
ズ ア ッ
ローラ「ぐ…うあっ!!!」グワッ
フェン「うわぁ!!」
ゼン「フリーズが解かれた…!!」
ローラ「……」シュアアア
グオオオッ
SS3ビート「…!!」
フェン「な…なんだ!?」
ゼン「また封印の力を使うつもりか!?」
SS3ビート「ぐっ…はあっ!!」
ズ ア ア ッ ド ド ー … ン
ゴオオオオ…
ビート「はぁ…はぁ…」
カギュー「いったい…どうなったんでしょう…」
ビート「ぐ…」ドサッ
フローズ「ビート!!」バッ
フローズ「体力を使い果たしたか…」
ゼン「ビートくん…」
フェン「………ビート…」
ゴオオオオオオオオオオ…
―――
――
―
―――同日・深夜
―――時の広場・ミーティングルーム
ガチャ
フローズ「…来たか」
ビート「遅くなってごめん」
時の界王神「別に構わないわ、あなたはまだ体力が回復してないんだから」
時の界王神「こんな深夜に呼び出してごめんね」
ソラ「よくやったな、ビート」
ビート「…ローラはどうなったの?」
ソラ「……界王神さま」
時の界王神「…ローラは、封印の力…ドローを自分自身に使って自分を封じ込めたわ…」
ビート「!? 自分自身を封じ込めた!?」
フェン「おそらく…自分から情報を引き出されることを阻止するためだろう…」
ビート「そ…そんな…」
ビート「あれだけやったのに…結局何も…」
フローズ「…だがそれでもオレたちが敵の一人を捕らえることが出来たことに変わりはない」
ソラ「…そうだ…ビート これは決して無駄なことなんかじゃない」
ソラ「オレたちの反撃が始まった瞬間なんだ」
ビート「…………」
フローズ「……あの時…」
フローズ「お前はかめはめ波を撃つ直前に一瞬動きを止めた」
フローズ「あれがなかったら結果は違ったかもしれないな」
ビート「……あの時…ローラの声が聞こえたんだ…『やめて』って…」
ビート「それを聞いたら…体が動かなくなっちまったんだ…」
ビート「やっぱり…オレには…」
フローズ「………」
時の界王神「…過ぎたことはもういいわよ」
時の界王神「ローラは今、時の広場の地下深くに結界で厳重に封じ込めているわ…情報を引き出すことは困難だけど…それでもみんなよく頑張ってくれたわ」
時の界王神「それに…希望も見えてきたことだしね」
ビート「…希望?」
時の界王神「そうなんでしょ?フェン」
フェン「…はい」
カギュー「何か分かったんですか?」
フェン「うん…なんで暗黒魔界軍がビートを狙うのかなんだけど…」
フェン「始めは仮面の男みたいに洗脳して戦力にするためだと思っていたんだけど…」
フェン「ビートがドローをすぐに解除できた理由が関係してると思うんだ」
ビート「…?」
フェン「ビートがドローをすぐに解除できたのは…」
フェン「ビートのサイヤパワーによるものだと思ったんだ」
カギュー「サイヤパワー…」
フェン「サイヤパワーというのはマイナスエネルギーに対抗できるプラスのエネルギー だから暗黒のエネルギーを持つローラのドローを相殺できたんだ」
フェン「暗黒魔界にとってサイヤパワーは危険な存在…だからビートを執拗に狙ったんだと思う」
フェン「いや…もしかしたらそのサイヤパワーを悪用するつもりなのかもしれない」
ビート「サイヤパワー…オレにそんな力が…?」
フェン「それだけじゃないんだ…そのサイヤパワーを使えば…」
フェン「暗黒魔界のゲートを塞ぐことが出来るかもしれない」
ビートたち「!!!」
ゼン「あ…あのゲートを塞げるのか!?」
フェン「うん…原理は同じはずだから…ビートの強力なサイヤパワーでマイナスエネルギーをプラスに変換出来れば…」
フェン「ゲートを塞ぐことが出来るかもしれない」
ワイル「今までゲートを塞ぐには有効な手段が無かったけど…これなら…!」
ゼン「や…やった…!希望が見えてきた!」
ゼン「やりましょう!ビートくん!」
ビート「…希望…オレのサイヤパワーが…」
ビート「(ノートの言った通り…本当にオレは…みんなの希望に…)」
ビート「(でも…オレには…あるのか?みんなの希望にふさわしい力と…覚悟が…)」
ビート「(ローラを仕留め損なったオレに…)」
時の界王神「はいはい、とりあえずそのことについては追って話すとして…」
時の界王神「大切な話があるの」
―――
―――
―――
時の界王神「みんな…分かってるわね?」
時の界王神「ローラのこと…これは今この部屋にいる者だけが知っている…最重要機密よ」
フローズ「…ああ」
カギュー「…もちろんです」
時の界王神「ワイル…どうだったの …彼らの様子は」
ワイル「特に変わったことはありません 疑わしいところも特には…」
フェン「ローラに関しても特に探るような動きはありません」
時の界王神「…そう」
時の界王神「…いずれにしても早い段階で、手を打つ必要がありそうね」
ビート「(そうだ…まだ終わったわけじゃない)」
ビート「(オレのこの戦いは…始まったばかりなんだ…)」
―――
――
―
時の界王神「…じゃあみんなくれぐれも気を付けてね」
時の界王神「解散するわ、おやすみなさい」
ゼン「お疲れ様でした」
フローズ「…やっと休めるな」
ソラ「ビート、ちょっといいか?」
ビート「……なんだよソラ、オレは今そんな気分じゃ…」
ソラ「だからこそ話しておかなきゃいけないことがあるんだ、ビート」
カギュー「(…ソラさんとビートくん……着いていってみるか…)」
ビート「…で、なんだよ…話って…」
ソラ「ビート…お前はノートたちが殺された時から変わったな」
ソラ「ひたすら力を追い求めるようになって…感情に従うことが多くなって…」
ソラ「…仲間を信じることもしなくなった」
ビート「………」
ソラ「…あの時のお前の心はどこにいったんだ?」
ソラ「…今のお前の心はどこにあるんだ…?ビート」
ビート「……仲間を信じるとか…力とか…希望とか…」
ビート「オレには…分からないんだ…」
ビート「ただ…仲間のことは信じたいって思ってる…あいつらのことも…」
ビート「でも…オレは…もう…」
ビート「………っ…」
ソラ「……この話はもういい」
ソラ「…ゲートを塞ぐことについてだが…あれ程のマイナスエネルギーを相殺するのではなくプラスに変換するためには、今よりももっと強力なサイヤパワーが必要になる」
ビート「今よりも…強力なサイヤパワー…」
ソラ「そうだ…ビート」
ソラ「ついに来たんだ…超サイヤ人3を超える時が」
ビート「超サイヤ人3を…超える…!?」
ビート「それって…超サイヤ人4?」
ソラ「…いや、確かに超サイヤ人4は強力な変身だが、戦闘力が表面上に表れるようではダメだ」
ソラ「もっとクリアで静かな、それでいて強力な気が必要になる」
ビート「それって…?」
ソラ「その変身の名前は…超サイヤ人ゴッド」
ビート「超サイヤ人…ゴッド?」
ソラ「そうだ…神のサイヤパワー それこそが絶大なマイナスエネルギーをプラスに変換出来る唯一の変身だろう」
ビート「それはどうやってなれるのさ?修行?」
ソラ「…いや修行では無理だ」
ビート「え…?」
ソラ「超サイヤ人ゴッドは、正しい心を持った5人のサイヤ人が、1人のサイヤ人に力を注ぎ込むことでなれる…だが今サイヤ人はお前しかいない…」
ビート「そ…それじゃあ…!」
ソラ「ああ…だから困っているんだ…」
ビート「な…なんだよ…それ」
カギュー「い…いや、なれますよ!ビートくんは!」
ビート「うわっ!?」
ソラ「か、カギュー!?聞いてたのか?」
カギュー「は…はい…すいません…」
ソラ「…それより、なれるって?」
カギュー「はい…最初にミラ達と戦ったとき元気玉を作るために、ノートさんたち5人がビートくんにパワーを注ぎ込んだんです」
ソラ「ノートたち…エリト、バサーク、ヴィオラ、フォルテ、そしてノートか…」
カギュー「はい…その後、ビートくんがミラに激昂した時、一瞬だけビートくんの気が分からなくなったんです トキトキの森でもそうでした」
ソラ「気が分からなくなった…戦闘力が表面上に表れなくなったということか 確かにそれは神の気を纏っている証拠だが…」
ビート「じゃあオレはどうしてなれないんだ…?超サイヤ人ゴッドに…」
カギュー「それはわかりませんけど…でも超サイヤ人ゴッドになれる条件は満たしているはずです!」
ビート「じゃあやっぱり…オレの力が足りないから…なのか…?」
ソラ「いや…お前の力は限界にまで達しているはずだ」
ビート「じゃあどうしたら…」
ソラ「…実は今よしとくん達と開発している物がある…それを使えばお前はゴッドになれるかもしれない」
カギュー「それはいったい…?」
ソラ「…悪いがまだ教える訳にはいかないんだ 完成するかどうか分からないからな」
ビート「…なら…もっと強くならないと……」
ビート「強くなって…ゴッドになるんだ」
ソラ「だけどな、ビート…例えそれが完成したとしても…今のままのお前ではゴッドにはなれない」
ビート「っ!?なんで!?何が足りないんだ?ゴッドになるためならオレはなんだってする!オレはその力で暗黒魔界に復讐しないといけないんだ!!」
ソラ「…それだ…その怒りと憎しみに支配されたお前の心では…ゴッドにはなれない」
ソラ「ゴッドになれるのは正しい心を持ったサイヤ人のみ 今のお前の心は…復讐という悪の心が混じっている そのままじゃ無理だ」
ビート「!?」
ソラ「ビート…気持ちは分かるが、憎しみに支配されていては必ず命を落とす どんなに悔しくても…感情を抑制しなければ勝てない」
ソラ「感情でやる戦いは…また感情で命取りになるということを覚えておくんだ」
ソラ「感情に流されるな…ビート」
ビート「そ…そんな…」
ソラ「もし本当にノートの仇を討ちたいのなら…分かるだろ…ビート」
ビート「…!!」
ビート「…分かったよ…ソラ」
ソラ「…よし…話はこれだけだ 悪かったな疲れてるのに」
ビート「いや…いいよ別に おやすみ」スタスタ
ソラ「ああ…おやすみ」
カギュー「おやすみなさい、ビートくん」
カギュー「…あの」
ソラ「どうかしたのか?」
カギュー「いえ…一番最初の話ですけど…」
ソラ「…ビートが変わったことか…?」
カギュー「ええ…」
ソラ「オレだってあいつの気持ちは痛いほど分かる だけど今のあいつじゃ必ず命を落とすことになる…そんなことをさせるわけにはいかないんだ」
ソラ「仲間を信じていたころのあいつにはもう戻れないのか…?」
カギュー「…そのことなんですけど…」
ソラ「…え…?」
―――翌日
ビート「…」ムクッ
ビート「(…まだ体が本調子じゃないな…)」
ビート「(…当たり前か、あれ程の戦いの後だし)」
ビート「(憎しみを捨てる…か)」
ビート「(でも…ノートが殺された時のことを思い出すと…どうしても許せないって思うんだ…憎しみが湧き上がってしまうんだ…ソラ)」
ビート「…朝食食べにいくか」
ビート「」スタスタ
ビート「!」
シャメル「よう、ビート お前も朝飯か?」
ビート「あ…ああ、そうだよ シャメルとモルネーは?」
モルネー「シャメルも僕もこれからだよ」
シャメル「昨日は大変だったらしいな、修行」
ビート「…! あ…ああ…」
モルネー「お疲れ様、ビート」
ビート「…ありがとう、モルネー」
モルネー「早くいこうか、シャメル、ビート」
シャメル「そうだな、腹減ったし」
ビート「(…この2人は違う…そう信じたい)」
ビート「(もう仲間を疑うなんてことはしたくないんだ…)」
―――
――
―
―――昨夜
時の界王神『大切な話があるの』
ゼン『…大切な話?』
時の界王神『…ローラが敵ということは…ある2人が怪しくなってくるの』
ビート『ある2人…?』
時の界王神『その2人っていうのは…シャメルとモルネー』
ビート『え…?』
カギュー『シャメルくんたちが…?』
ゼン『た…たしかに彼らは3人でいたところをフェンとワイルが保護しましたけど…』
ゼン『そ…それはいくらなんでも考えすぎでは…界王神さま』
時の界王神『…ならいいんだけどね』
カギュー『彼らはあの時どこにいたんですか?』
フェン『…君達と同じバトルフィールドにいたんだ あの時バトルフィールド同士は繋がっていたからね…だから…』
フェン『…!』ハッ
ビート『いや…でも内向的なモルネーは置いておくとしても、シャメルはオレたちに好意的に接してくれていたし…だからその可能性は低いと思う』
カギュー『私もそうだと思います トキトキの森では、シャメルくんとフェンくんと私の3人で、あの敵と交戦しています』
カギュー『シャメルくんは危うく体力を吸収されるところで…』
フェン『い…いや…待って』
フローズ『…どうしたんだ?』
フェン『あの時…シャメルは同じ箇所に気弾を連射してすぐ脱出したんだけど…その瞬間ローラは方向を変えて、ビートたちの方へ向かったんだ』
フェン『僕もビートの位置を話していたけど…ローラはその時いなかったし…』
時の界王神『…シャメルがビートの位置を気にしている素振りはなかった?』
フェン『…!!!』
『ビートだと?ビートなら…くそ、リングを壊されちまったんだった…』
『あいつは今どこにいるんだ?』
フェン『ビートの場所の話をしたのは…シャメルにそのことを聞かれたからでした…』
フェン『そ…それに…あの時…連射した気弾の方向で、ローラにビートの位置を教えることが出来たかもしれない…』
フェン『シャメルなら…』
カギュー『な…』
フローズ『…………』
ビート『な…なんで…なんでそんなことを…』
時の界王神『ビート!』
ビート『っ!』
時の界王神『ローラの正体の話のときも、今も、彼らを呼ばなかったのは私が彼らを疑っていたからなの』
時の界王神『もし…タイムパトロールの中に内通者がいたのなら…それを捕らえて情報を得るためにね…』
ビート『内通者…あいつらが…?』
時の界王神『みんな…分かってるわね?』
時の界王神『ローラのこと…これは今この部屋にいる者だけが知っている…最重要機密よ』
時の界王神『シャメルたちには、一切悟られないように振る舞って』
時の界王神『…いずれにしても早い段階で、手を打つ必要がありそうね』
―
――
―――
ビート「(…オレは仲間を信じたいんだ …だから…敵なんかじゃないよな、シャメル、モルネー…)」
時の界王神「!!!」ハッ
時の界王神「時空の歪みが…!!」
時の界王神「ソラ!すぐにみんなを集めて!」
時の界王神「…ということで、みんなにはすぐにその地点に向かってもらいたいの」
時の界王神「詳しいことはゼン、あなたから説明してあげて」
時の界王神「あと…あの2人の動向にはくれぐれも気を付けてね」
ゼン「…はい!」
―――バトルフィールド・荒野
ゼン「みなさん、着きました」
フローズ「…ここか、強い時空の歪みが発生しているという場所は」
カギュー「この場所は…あの時の…」
ビート「………」
シャメル「で、いったいどこに反応があるんだ?」
ワイル「…それが、着いた途端に反応が消えて…」
フローズ「…なに?」
フェン「とりあえず飛び回って付近を確認しよう」
モルネー「…………」
一時間後―――
ゼン「…おかしい」
ゼン「確かにこのバトルフィールドから反応があったはずなんですが…」
フローズ「辺りには何も見当たらないな…」
モルネー「…シャメル…これって…」
シャメル「…ああ…もしかすると…」
カギュー「…一旦引き上げるべきなんでしょうか」
シャメル「…いや、もう少し付近をくまなく調べてみようぜ」
シャメル「もしかしたら見落としがあるかもしれないしな」
ゼン「…ではあと30分ほど様子を見て、何も異常がなかったら時の広場へ戻りましょう」
フローズ「…了解した」
ビート「…やっぱり何も見当たらないな」ヒューン
ビート「…!」
シャメル「おう、ビート」
モルネー「何か見つかったかい?」
ビート「……いや、何も見つからなかったよ」
シャメル「そうか…オレたちもだ」
シャメル「…少し休むか、お前は特に疲れているだろう」
ビート「う…うん…」
シャメル「…こうやってお前と話すのも修行の時以来だな」
ビート「ああ…懐かしいね」
ビート「…ここはさ、オレたち3人の戦いが始まった場所なんだ」
ビート「それと同時に…大切な仲間たちを失った…」
モルネー「………」
ビート「…その時からオレは決めたんだ…暗黒魔界を消し去ってやる…って」
シャメル「………そうか、それがお前の夢だったな」
ビート「…そういえば、シャメルの夢ってなんだっけ?教えてもらってない気がするんだけど…」
シャメル「オレか?オレの夢は…そうだな、教える訳にはいかないが、もう少しで叶うんだ」
モルネー「…!」
シャメル「お前が協力してくれればな、ビート」
ビート「オレが…?いいよ、何をすればいいの?」
モルネー「…シャメル!急すぎる!」ヒソヒソ
シャメル「いや…考えてみろ、もう機は熟したはずだ それに今まわりにはゼンたちしかいない…チャンスはここしかない」ヒソヒソ
モルネー「…っ、分かったよシャメル」ヒソヒソ
ビート「…?」
シャメル「…じゃあビート…頼むぜ 大人しくしてろよ」スッ…
ビート「…え?」
シャメル「はっ!!!」バッ
グ オ ッ
ビート「ぐっ!!!?」
ビート「な…これは…!」
シャメル「モルネー!!」
モルネー「…はっ!!!」バッ
ビート「が…!?」ピタッ
シャメル「よし…そのまましっかり抑えておけ 金縛りで動きを封じればドローが破られることはない」
ビート「ぐ…シャメル…モルネー…!」
シャメル「…ビート、感謝するぜ…オレたちのことを信じてくれてな」
シャメル「お前のおかげで…オレたちの夢は叶う」
ビート「(そんな…!そんな…!本当にシャメルたちまで…!)」
モルネー「…シャメル!」
シャメル「…来たか、任せるぞモルネー」
フローズ「…ビート!!!」
カギュー「ビートくん!!!」
フェン「くっ…やはり…そうだったのか!!」
ゼン「逃がすか!!」
ワイル「そんな…2人とも…」
モルネー「はっ!!!」
グオオオッ
ゼン「!?」
フェン「し…しまった!!」
ワイル「ドロー!?」
フローズ「く…くそ!」
カギュー「…ビートくん…!!」
シャメル「モルネー」
モルネー「…ああ」バッ
ギュオオオオオ
フェン「あれは…ワームホール!?」
フェン「シャメルたちはワームホールを作れるほどの力を持っているのか!?」
ゼン「く…逃げられる!」
ワイル「ま…待って!」
モルネー「行こう、シャメル」
シャメル「…ああ 少しの間だが楽しかったぜ…お前ら」
グオオオッ シュン
カギュー「ビートくん!!!」
フローズ「ビート!!!」
ビート「(モルネー…シャメル…信じていたのに…)」
ビート「(仲間を信じようなんて…そんなの…意味無かった…オレの自己満足だったんだ…)」
ビート「(もうオレは…誰も…信じられない…もう…オレは…)」
―――仲間であるローラが敵という事実を乗り越え、再び仲間を信じようと心に決めたビート
―――しかし、信頼していたシャメル、そしてモルネーも敵だった
―――ビートはもう憎しみを誓うことも、仲間を信じることも出来ない…何故なら
―――ビートの心は…この時壊れてしまったのかもしれないのだから…
To be continued...
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