羅生蜘蛛
変なテンションで思い付くままに書きました。
何でもありな方のみ御笑覧下さいませ。
芥川作品はよく考えれば高度なシリアスギャグですよね。
はてはて?上様の御達しから妻に惜しまれながら腹を裂いた所までは覚えておるのだが...うーむ。
悩んでおります悩んでおります。
しかしこの暗がりが坊主共が熱心に言っておった浄土とは思えんなぁ。さては地獄か?。それならば赤鬼なり青鬼なり迎えに来ても良さそうだ。ところが二進も三進も歩んでおる実感さえ乏しいときた。
拝んでみるか?
考えております考えております。
南無阿弥陀仏!南無阿弥陀仏!...。
これも駄目か。愈々途方にくれたぞ。
そこへ人魂がそこへ人魂が。
なんと、固唾を飲む暇さえ惜しい怪しげな火の玉か人魂か。おや?これはどうした事か!人魂の中に上様の御城下が見えるではないか!
流行病の所為で民や臣下が次々に倒れてしまった故に上様は大層ご傷心の様子であったな...。
映ったのは妻映ったのは妻。
やや!これは拙者の妻ではないか!おい人魂、もそっと近う!そうじゃそうじゃ。
何やら白装束の様じゃな?
はっ!さては後を追ってくるつもりか!?
辞めろとあれほど言付けておいたではないか!
妻よ、早まるな!実家に帰ればまだ生きておれると言ったではないか!聞こえぬのか?これ!これっ!
人魂は消えた人魂は消えた。
嗚呼消えてしまった!こら人魂!もう一遍出てこぬか!
はぁ、心配じゃ心配じゃ。妻は出来たやつだったからなぁ...。
後ろから人が後ろから人が。
む、誰だ!
ま、待ってくれ!
お主は...見たところ浪人じゃな?
はい。ある日に老婆から逃げていたところを雷にうたれてしまって。
何故老婆なんぞという非力な者から逃げたのか?
実はその老婆、金欲しさに死人の髪を抜き取って鬘を作り売ろうとしておったのです。それを見て許せなくなりてその老婆の身包みを剥いで逃げたのです。
ははあ、するとお主は盗人に成り下がった訳だな?
ですが金の為に何をやっても良い訳ではありますまい!
武士は食わねど高楊枝と申すであろう!恥を知れ!
現れたのは未来人現れたのは未来人。
やあやあ、何か揉め事ですか?
なんじゃその珍妙ななりは?
兎も角話してご覧なさい
この浪人めが卑しくも苛立ち紛れに盗っ人に成り下がったのだ!生かしてはおけん!
こちらとて任を解かれ、生きる為でもあったのだ!金持ちの御前には分かるまい!
ご両人共落ち着いて。成る程、金と道徳を秤にかけたのですね?
その通り、あの老婆は死人が生前悪人だったから左様な事をしても構わんと言いおったのだ!
浪人さんはその貧しい老婆の為に誰もが豊かになれるよう、取り計らう事はせず唯怒りを打つけただけですよね?
そうじゃ、そちの言う通り!この浪人は矢張り間違いじゃ!
お侍さんも二の轍を踏むような事はなされないでください。
ではあの老婆を許せと言うのか!
浪人さんのずっとずっと後の世ではそういう時に話し合ったり諭したりするのが主流になっています。
射し込む光明が射し込む光明が。
おお!明るくなったぞ。さては此処が浄土だな?
浪人さんが居ませんね?
なあに、坊主が言うには誰でも来れるそうじゃから、大方道にでも迷っておるのかもしれん。
掌に突如糸が掌に突如糸が。
これはなんでしょう?
キラキラと光って美しいのう。
漂う芳しい香り漂う芳しい香り
実に良い香りじゃのう。どこから来ておるのやら...。
辿ってみましょうか。
池じゃ!蓮華の浮かんだあの池からじゃ!
そうみたいですね。
響く呻き声響く呻き声
何やら物々しい声が水底から聴こえるぞ。
覗いてみましょうか。
見えたのは地獄見えたのは地獄
これは...なんとも言えぬ酷い景色じゃ。
あっ!あそこにいるのは浪人さんではないですか!
どれどれ、正しく!なんとまあ可哀想に。刺々しい道を歩まされておる上に餓鬼や獄卒に追い回されておるではないか。
なんとか助けられませんかね?
光を増す糸光を増す糸。
おお、これなら斯様な暗闇でも明るく見えようて。そちよ、助けに行くぞ!
はいっ!
ドボン!ドボン!
お釈迦様「...」
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