第1巻 第78話 テイデン
楽 「千棘ーー、チェス盤はこの小型テーブルの上でいいか?」
千棘 「うん。暇な時、また2人でやろーよ。
はい、ペイちゃんエサだよーー。」
ペイル 「グエ」
2017年8月31日 8月最終日
カジノから帰って来た楽と千棘は、新しくガラスのチェス盤を部屋に置き、ペットの全身青色のオウムのペイルも加えて、住み始めたばかりは家具ばかりで殺風景だった部屋が賑やかになって来た
楽 「ペイルな。お前、自分で付けた名前くらいフルネーム覚えろよ………」
楽 「飼育係だった時から、あんたの付けた名前が長過ぎてめんどかったから癖になったんだもん。」
ガチャガチャ
千棘 「ねぇ楽、なんか良いよね。こういうの。」
楽 「あ?何だよいきなり………」
千棘 「いや何だかさ、最初は家具だけだった私たちの部屋にペイちゃんが来て家族が増えて、こうやって楽と始めて行ったカジノで買ったお気に入りのチェス盤も置けた。
何だかさ………2人の世界が少しずつ出来て行って、恋人同士の同棲生活が進んでるって感じで。」
楽 「…………まあ、そうだよな。面食らって言うのも恥ずかしいけど。」
千棘 「アハハ………確かにそーね。」
プツンッ
楽 「え!?何だぁ?」
千棘 「部屋の電気が切れたわ!」
楽と千棘の部屋は電気が切れて暗くなってしまった
千棘 「ダメだわ楽、テレビも付かないしキッチンの火も灯らないわ。」
楽 「ったく、停電かよ………この部屋、ブレーカーどこだっけ?」
お隣さん 「ちょっ、何よこれ?電化製品が何も使えないじゃない!」
マンションの主婦 「あら、ウチもよ〜〜」
楽 「………どうやら停電したのはウチだけじゃ無いみたいだな。」
千棘 「このマンションの電気全体が停電したのかしら?」
ドンドンッ
? 「一条楽!開けろ!」
楽 「?誰だよ、こんな時に………」
カチャ
楽は部屋の扉を開けた
楽 「はい。どちらさま………」
メガオン 「ふー、よかった。まだここにいたか。」
楽 「あれ!?お前は確かつぐみの星獣の………」
メガオン 「メガオンだ。」
停電中に楽達の部屋を訪ねたのは鶫の契約星獣、金星オオカミのメガオンだった
千棘 「どうしたの?ガオ君?」
メガオン 「誠士朗から伝言です、お嬢。」
楽・千棘 「え?この停電が星力犯罪(せいりょくはんざい)?」
メガオン 「ああ、今は凡矢理市内の町中が停電してる。
普通の停電ならケータイ会社がしっかりと管理してるケータイの電波すらも届かなくなるなんてありえない。」
千棘 「ホントだわ、ケータイも繋がらなくってる。」
メガオン 「本来なら誠士朗が担当する筈だが、誠士朗は今日は別の任務で他県にいる。
ケータイも繋がらないから私が蒼也の移の札(ウツリノフダ)で私をここに伝言係によこしたのだ。」
千棘 「でも、一体どうすれば良いの?犯人がどこにいるかも分かんないのに?」
メガオン 「それなんだが、凡矢理市内一帯を一斉に停電させるなど、凡矢理市内全体に電力を送っている発電所を狙わないと無理だ。
そこは………」
第78話 完
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