2019-04-25 01:08:20 更新

2017年10月14日(土) AM:9:00


キリオ・凡矢理店(ぼんやりてん)

映画館の前


楽と千棘は、今日は土曜日で休日の為、

キリオにデートに来ていた。


千棘 「久々ねーー、ここに来るのも。」


楽 「そうだな。

ニセモノの恋人の時の定期デートでは、

「デートと言えば、映画は基本」、

だからって、大体デートの初めに来てたけど、

本物の恋人になってからは、

お互いがホントに好きなところばっかり来てたからな。」


千棘 「で、どれを見る?」


楽 「んーー、そうだな。

「ニャック」の新作もまだだし………」


千棘 「あ!楽、アレなんてどうだ?」


楽 「え?「ジョンとメアリー」?

恋愛映画じゃねーか。

もう、「定期デート」じゃねーんだから、

クロードの監視もねーし、

無理に恋人っぽい、恋愛映画なんて見る必要ねーぞ。」


千棘 「いや、本物の恋人になった今だからこそ、今日はアレをみたいの。」


楽 「え?」


千棘 「だって、恋人同士で恋愛映画を見るなんて、

それだけでカップルっぽいし、

映画になる様なステキな恋を観たら、

私達も本当の恋を始めた今、

何か共感する事や、感動する事もあるかもしれないじゃない?」


楽 「なるほどな………よし、分かった!

今日はアレを見よーぜ。」



そして、楽と千棘はチケットを買って映画館の中へ


店員A 「はーい、お二人様でチケット2,000円になりまーす。」


楽 「よっこいしょっと。」


ドサッ


楽と千棘は、映画館の中の席に座った。


千棘 「まだ、映画始まらないのーー?

早く見たいわーー………」


ガサッ


モグモグ………


千棘は、高1の楽との初めての定期デートで食べていたのと同じ、

ジャイアントサイズのポップコーンを食べていた。


楽 「お前、またそれ買って来たのか。

よく1人で全部食えるよな………。」


千棘 「あ!見て楽、映画が始まったわよ!」


そして、映画は始まり………


メアリー 「キャアァァッ、助けてーー、

ジョンッ!」


悪役A 「へへ………叫んでも、誰も助けにはこねぇぜ。」


千棘 「キャアァァッ!」


ギュウウッ


楽 「いててててっ!

あんま、ひっつくなよ千棘!」


千棘は、ヒロインが悪役に襲われるシーンで、恐怖の余り、楽に引っ付いた。


千棘 「だって、だって、

ヒロインの人が襲われると、まるで私が襲われてるみたいな気持ちになるんだもん………。」


楽 「どんだけヒロインに感情移入してるんだよお前は………」


ギュウウッ………


楽 (千棘が俺にしがみついてくるから、

千棘のお尻の右っ側が、

俺の腰の左っ側に当たってくる………)


ムニッ


楽 (やっぱ、こいつのお尻、

柔らかくて弾力あって、気持ちいいな………

胸もスッゲー、柔らかい………)


千棘 「うう………」


ブルブル………


楽の頭の中をよそに、千棘は怯えきっていた。


そして、映画はクライマックスに進み………


ジョン 「メアリー………やっと、君と会えた………会いたかったよ!」


メアリー 「私もよ、ジョン!」


ジョン 「メアリー………僕と結婚してくれるか?」


メアリー 「はい、喜んで!」




パチパチパチ………


楽 「ふーー。

終わったな、千棘。」


千棘 「……………。」


楽 「どうしたんだよ、お前?

黙り込んで。」


千棘 「え?いや………私達も、あんなに素敵な恋を出来るのかなぁって………。」


楽 「え?」


千棘 「あんな大恋愛の末に結婚なんて、

スッゴく素敵だと思ったわ。

でも、私達もあんな風に、

素敵な恋をして、

最後にあんたと結婚できるのかなぁ、

って………。」


楽 「……………まあ、今からそんな事、

気にしなくてもいいんじゃねーか?」


千棘 「え?」


楽 「5月に滋賀県に旅行に行った時も言っただろ?

「先の事はまだ分からないけど、お前との今を楽しめれば今はそれで良い。」

って。」


千棘 「う…うん………。」


楽 「それに、

映画の中の恋愛なんて、美化された恋愛だろ?

俺たちは、最初はケンカばっかのニセモノの恋人だったのが、

お互いのおくのほうのいいところが分かって来て、本当に付き合い出したんだ。


そんな、理想的な恋愛じゃ無くても、

俺たちは気取らずに好きな様に付き合って、

恋をすれば良いと俺は思うぜ。


それに、俺はお前の、

気取らないところにも惚れたんだからな。」


千棘 「楽………うん、そうだね!」


第1巻 第190話 完


このSSへの評価

このSSへの応援

このSSへのコメント


このSSへのオススメ


オススメ度を★で指定してください