2019-03-08 00:16:31 更新

2017年 10月3日(火) AM:11:00


京都府京都市 守山 黒百合旅館(もりやまくろゆりりょかん)


1階 食堂ラウンジ


山中 「お客様方(おきゃくさまがた)のほんじつの昼食メニューは、懐石料理(かいせきりょうり)になりまーす。」


ガチャガチャ………


鶫 「………!おお!

これが日本の食文化に古くから伝わる、

「懐石料理(かいせきりょうり)」、ですか!

いや〜〜、派手な味は無いですが。

質素な味でこれはこれはいいですね〜〜。」


蒼也 「………味、うっす。

やっぱり日本の食い物は口に合わねーや。」


集 「あっれーー?山中さん、可愛い舞子さんの踊りは無いのー?

確かHP(ホームページ)には、

食事中に舞子さんが踊りを披露してくれるって書いてあったのにーー?」


山中 「ああ、それはね。

夕食の時どす。

昼食ではウチの日本料理人がこしらえた自慢の懐石料理(かいせきりょうり)を、

存分に振舞わせて貰いますさかい。」


集 「へぇ〜〜、そりゃ夕飯が今から楽しみだな〜〜♪」


るり 「………集君、部屋でも行ったけど、

写真や動画を盗撮したり、舞子君が舞子さんに変な事したら、許さないわよ?」


パクッ パクッ ムシャムシャ


ゴゴゴ………


小咲 「アハハ………るりちゃんったら、

たくさん食べながら舞子君に怒ってるよ………」




パクパク ムシャムシャ


羽(ユイ) 「あら〜〜、この焼物美味しー♪」


小咲 「あ、羽先生(ユイせんせい)、こっちの煮物も美味しーですよー。」


ワイワイ ガヤガヤ


千棘 「みんな、楽しそうに食べてるわねえ〜〜」


楽 「そうだな………」


パクッ モグモグ



楽は、千棘が懐石料理(かいせきりょうり)を食べる食べ方を見ていた。



千棘 「?どーしたのよ楽、人が食べてるところ、ジロジロ見て。」


楽 「あっ、いやわりぃ。

何か、この前ファミレスでメシに行った時も思ったけど、

お前、食べ方随分上品になったよなぁ………」


千棘 「ふふーん♪すごいでしょ?

去年のスミレさんとのファッションデザイナーの修行時代に、

ファッションデザイナーの修行の合間に、

淑女としてのマナーは幾つも覚えてからね。

日本式のテーブルマナーもお手の物よ♪」


楽 「そ…そうか………」


千棘 (………ホントは、少しでもあんたに釣り合う女の子になりたかったから、

ファッションの修行だけじゃ無くて、

そういう事も幾つか頑張ったんだけどね。)


千棘 (楽は、私の事少しは、女の子らしくなったって意識してくれてるのかなあ………)


従業員A 「はーい。次のメニューは、弱めのお酒でーす。どうぞー。」


楽 「ああ、どうも。」


千棘 「ありがとうございま………」


スッ


パリンッ


楽 「わわっ!」


千棘は楽の事を考えて恥ずかしがる余り、

力加減を間違えてコップを割ってしまった。


千棘 「ご…ごめんなさい!」


フキフキ


楽 「ったく、何やってんだよお前は………

仕方ねーな、ほら。」


ゴクゴク


スッ


千棘 「え?」


楽は自分のお酒を一口だけ呑んで、千棘に差し出した。


楽 「ほらよ、俺の分呑め。

まだ昼だし、集の話じゃあ夜にはもっと本格的な酒も出るらしーから、俺は一杯で十分だ。」


千棘 「あ…ありがと。」


ゴクゴク………


千棘 (やっぱり楽は優しいなぁ………)


千棘 (ハッ………そういえばこのコップ、楽がさっき一口飲んだんだよね?

コレっていわゆる………間接キス?)


千棘 (………本当の恋人になってから、キスは私からも楽からも何回かしたけど………

間接キスって、普通のキスとはまた違った感じがする………

何だか、直接キスしてる訳じゃ無いから、

逆に恥ずかしい………)


楽 「?どうした千棘。顔真っ赤だぞ?」


千棘 「ドキッ!べ…別に何でも無いわよ!」


楽 「?そうか………」


間接キスの普通のキスとはまた違った感じを噛み締めながら、京都での昼食は幕を閉じました。


第1巻 第144話 完


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