第1巻 第143話 ヘヤワリ
2017年10月3日(火) AM:10:00
2階 201号室 楽・千棘の部屋
千棘 「わぁ〜〜〜、見てよ楽!
この窓から見る景色、赤や黄色の葉っぱの木が沢山で、スッゴいキレ〜〜〜。」
楽 「ああ。やっぱり、この季節の京都の景色ってのはいいモンだよなー。」
千棘 「日本には昔から、花や木を綺麗に彩るのが盛んだっては聞いてたけど、
私、凡矢理高校の1年の時に日本(こっち)に来てから3年半で、始めてこんな景色見たわ〜〜。」
楽 「ああ、アメリカにはこんな木や花を彩る風習は無いんだっけ?」
千棘 「無い事は無いし、ガーデニングやお花が趣味の人はもちろんいるけど、
アメリカじゃあそういうのを扱っているのはお花屋さん位のもんで、
こんな風に景色そのものを木や葉っぱで飾り付ける事は殆どしないもの!」
楽 「そうか………」
千棘 「それにこの部屋も、襖(ふすま)や畳(たたみ)で出来てて、まさに日本の旅館って感じ。
こんな所で楽と3日も過ごすなんて、
私、スッゴく楽しみ〜〜。」
楽 「千棘。何だかお前、スッゲー楽しそうだな。」
千棘 「うん!
私にとっては初めての本格的な日本っぽい旅館で過ごせて、まだ私が知らない事や、
楽しみが一杯だもの!
しかも、そんな所で楽との交際半年記念旅行を過ごせるなんて………
5月の滋賀県の琵琶湖の旅行に続いて、
舞子君にはスッゴく感謝しなくちゃね!」
楽 「まあ集の奴は、多分また何か企んでるとは思うんだけどな。
あいつの事だし………」
ボソッ
千棘 「ん?何か言った、楽?」
楽 「いや。何にも………」
同じく2階 202号室 集・るりの部屋
集 「いやーー、和装のいい部屋に、
紅葉(もみじ)の彩るいい部屋だねー、るりちゃん!」
るり 「そうね。
私達が英会話講師と塾講師のバイトを頑張って、更にそのバイト代を余り使わずに、
計画的に貯金していた地道な努力の賜物(たまもの)だわ。」
集 「さーてと………」
ガサゴソッ
るり 「………集君、何をデジカメに大容量のSDカードを刺しているの?」
集 ドキッ
るり 「まさかあなた………それをこの旅館の舞子さん達の写真や、
夜にやる、踊りの動画で埋め尽くすつもりじゃあ無いわよね………?」
ゴゴゴ………
集 「ひいっ!
そ…そんな訳無いじゃんるりちゃん………
高校時代ならともかく、今の俺にはるりちゃんがいるってのに〜〜………」
ダラダラ………
るり 「………そう。
それならいいけど、もしさっき私が言った通りになったら、
そのデジカメとSDカードを叩き割るわよ?」
ゴゴゴ………
集 「ひいっ!分かりました、るりちゃん!」
2階の北の奥の部屋 203号室 鶫・万里花の部屋
万里花 「いや〜〜、綺麗で気品の溢れる、いい旅館と部屋ですわね〜〜。」
鶫 「全く、なぜ私が貴様と同じ部屋なのだ………」
万里花 「………まあ私(わたくし)は、鶫さんと2人きりの部屋でも別に悪くはありませんがね………」
フフフ………
鶫 「?」
鶫 (何だこいつ?てっきり………
「私(わたくし)は楽様と同じ部屋が良かったですわ〜〜〜!!」
とでも言うと思っていたんだが………)
2階の南の奥の部屋 小咲・羽(ユイ)・蒼也の3人部屋
羽(ユイ) 「綺麗(キレイ)な景色だね〜〜、
小咲ちゃん、蒼也くん!」
蒼也 「そうですね………」
小咲 「でも、私達だけ3人部屋になっちゃうなんてね………」
アハハ………
小咲 (しかも、羽先生(ユイせんせい)だけじゃなくて、双神君とまで一緒になっちゃうなんて………)
羽(ユイ) 「フフ………私は小咲ちゃんと蒼也くんにそれぞれ聞きたい事があったから、
むしろこの部屋の組み合わせで良かったけどね。」
小咲・蒼也 「?」
小咲と蒼也は同時に不思議そうに首を傾(かし)げた
蒼也 「………それはどう言う事ですか。
首領 羽(ドン ユイ)」
羽(ユイ) 「ああ、それはね………」
プルルルル………
羽(ユイ)が蒼也の質問に応えようとしたまさにその時、羽(ユイ)の中国製のAndroid(アンドロイド)が鳴った。
羽(ユイ) 「あ!ちょっとゴメンね蒼也くん。」
ガチャ
蒼也 「……………」
チッ
羽(ユイ) 「はいはーい、もしもーし………
あ!集ちゃん!?」
集 「羽姉(ユイねえ)〜〜、そろそろ昼食の時間だよーー、
1階の食堂ラウンジに小野寺と双神くんを連れて来てよーー。」
羽(ユイ) 「はーい。ありがとー集ちゃん。
蒼也くん、この話はまた後でね。
ご飯を食べに1階に行きましょー。」
蒼也 「チィッ………」
小野寺 「?双神君(ふたがみくん)………?」
第143話 完
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