第1巻 第161話 ワガシヤ
2017年10月4日 PM:14:00
京都の町
千棘 「良かったわね、楽!
蒼也君から交際半年記念プレゼントに、
あんたに合った武器を貰えて!」
楽 「ああ、蒼也には感謝しなきゃな。」
千棘 「ところで、その刀を持ち歩いたまま、町を周るの?」
楽 「そうだな………重たい以上に、こんな物持ち歩いてたら変な目で見られかねないし、
事実、俺は武器として買ったから、
確かにあぶねーな。」
千棘 「そうね………。
一回、黒百合旅館(くろゆりりょかん)の私たちの部屋に置いてくる?」
楽 「そうだな………お?」
千棘 「小咲ちゃん!」
楽と千棘は、和菓子屋から出てくる小咲を見つけた。
小咲 「あ、一条君に千棘ちゃん。
また会ったね。」
千棘 「小咲ちゃん、ここの和菓子屋で食べてたの?」
小咲 「うん。午前中に寄った茶道屋もそうだけど、
京都の本格的な和菓子を春に買ってあげてきたいの。」
千棘 「なるほど………さっすが小咲ちゃん!
偉いわね!」
小咲 「別に、そんな偉い事じゃ無いよ………」
千棘 「あ!そうだ!
楽、あんた悪いけど一人で旅館にその刀置いて来てくれない?」
楽 「え?」
千棘 「私は小咲ちゃんと、少しやりたい事があるから。
ここからなら、1時間もあれば往復できるだろうし、
私は1時間後にこのお店の前であんたを待ってるから。」
楽 「分かったよ。
じゃあな、小野寺、千棘。」
タタタ………
小咲 「………ねえ千棘ちゃん、私とやりたい事って?」
千棘 「ウフフ………実はね………」
5分後、その和菓子屋から近くの団子屋
千棘 「うーん、このみたらし団子、みたらしが染み込んでて美味しーー!」
小咲 「美味しいね、千棘ちゃん。」
千棘 「私、小咲ちゃんとまた、和菓子屋巡りしてみたかったんだ。
最近は全然して無かったし、
ちょうど2年くらい前に凡高の修学旅行で京都に来た時は、楽に縁結びの矢を当てに行っちゃって、中断しちゃったからね。」
小咲 「ああ、あったねそんな事………」
次は大福屋(だいふくや)
千棘 「美味しいーー、もっちもちぃ~~♪」
小咲 「この豆大福(まめだいふく)、2つ下さーい。」
更に、茶菓子屋
千棘 「いや~~。美味しかったね、小咲ちゃん!」
小咲 「うん、春へのお土産がたくさん出来たし、
千棘ちゃんと周ったから、一人よりスッゴく楽しかったよ!」
千棘 クスッ
小咲 「?どうしたの、千棘ちゃん?」
千棘 「アハハ………いや、何だか小咲ちゃんとこうして楽しい時間が過ごせるなんて、凄いなぁって………」
小咲 「え?」
千棘 「だって私たち、つい一年ちょっと前は、どっちが楽と結ばれるかで、
私が逃げてアメリカに行っちゃったじゃない。
あの時私、「楽の事で小咲ちゃんと取り合ったり、仲がこじれる様な事にはなりたく無い」って、思ってたのに、
楽と結ばれて、小咲ちゃんとも前と変わらずに楽しく過ごせるなんて………」
小咲 「………そんなの関係無いよ、千棘ちゃん。」
千棘 「え?」
小咲 「確かに一条君………いや、楽君(らくくん)は今でも私の大好きだった大事な初恋の人だけど、
千棘ちゃんももちろん、るりちゃんと同じくらい、私の大事な親友だよ。
同じ人を好きな人と、友達になっちゃいけないなんて決まりは無いもの。」
千棘 「こ…小咲ちゃん………」
小咲 「楽君は、
私にとっては大事な初恋の人、
千棘ちゃんにとっては大事な今の恋人。
でも、私たちの友情も、全然変わら無いよ!」
千棘 「うん……うん!
小咲ちゃん、もしこの先、私と楽が結婚する様な事になっても、私たちずっと大事な友達だよ!」
第1巻 第161話 完
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