第1巻 第162話 ミッツノ
2017年10月4日 PM:15:00
京都の町
和菓子屋の前
約1時間に渡る小咲との和菓子屋巡りを終えて、小咲との昔と変わらぬ友情を確認し合った千棘は、1時間前に楽と一旦別れた和菓子屋の前で、楽を待っていた。
楽 「千棘ーー。わりー、待たせたなーー。」
千棘 「あ、楽ぅーー。」
そして楽と千棘は、再び京都の町を歩き出し………
千棘 「フンフフーン♪」
楽 「何だよ………えらく、上機嫌じゃねーか。
俺がいない間に何かあったのか?」
千棘 「ふふふ………それはね………
楽、私はあんたみたいなもやし君1人との恋愛だけが全ての、狭い世界の女じゃ無いって事よ。」
楽 「何だと?」
千棘 「アハハ………ゴメンゴメン………、
で、次はどこ行く?」
楽 「あ!そうだ、今度は寺に行かねーか?」
千棘 「お寺に?」
楽 「ああ、昨日寝る前に見といた旅館のパンフレットに書いてあったんだ、
恋愛成就に、スッゲー人気なんだって。」
千棘 「へぇ~~、そうなんだ。
それって、どんなところ?」
楽 「それが………3つもあるんだけど………
どこに行こっかな………。」
それから………
京都のお寺、青龍寺(せいりゅうじ)
楽 「恋結び、一つ下さーい。」
巫女A 「はーい、500円になりまーす。」
楽は巫女から、「恋結び」と書かれた赤いお守りを買って受け取った。
千棘 「まさか、京都にも恋結びを売ってるところがあったなんてね。」
? 「おや?あんた達は確か2年くらい前の………」
楽 「あ!あんたは!」
千棘 「神主さん!」
そのお寺で楽たちの前に現れたのは、2年前の凡矢理高校の修学旅行で出会った、神主の双子だった。
神主 「私は、あの神社だけじゃなくて、このお寺にも時々仕事に来るんだよ。」
楽 「へぇ~~、そうなんですか。」
神主 「ところであんた達、恋結びを買いに来たのかい?」
千棘 「はい!2年前とは違って、今は私たちは正式に付き合ってるんです!」
神主 「そうかい………それなら、
あんた達にはここの恋結びだけじゃなくて、
他の2つのお寺の恋結びも買う事をオススメするよ。」
楽・千棘 「え?他のお寺?」
神主 「ああ、この青龍寺の他にも、ここから北と南に1kmほど行った「玉林寺(ぎょくりんじ)」と「鳳凰寺(ほうおうじ)」にも、それぞれここのと色違いの恋結びが売っている。
そして、その3つの恋結びを3つとも全て変え揃えると、そのカップルはとても幸せな恋を出来ると言われている。」
楽 「へぇ~、それは是非とも3つとも買いたいぜ!」
千棘 「買いましょうよ!
楽、あんたは鳳凰寺(ほうおうじ)に買いに行って、
私は玉林寺(ぎょくりんじ)に行くわ!」
楽 「分かった!」
約10分後、青龍寺から北に約1km、鳳凰寺(ほうおうじ)
楽 「恋結び一つ下さーい。」
巫女B 「はーい、ありがとうございまーす。」
楽は青色の恋結びを手に入れた
その頃、青龍寺から南に約1km、玉林寺(ぎょくりんじ)
千棘 「恋結び、一つ下さい!」
巫女C 「はーい、まいどありー。」
千棘は黄色の恋結びを手に入れた
更に10分後、青龍寺(せいりゅうじ)
千棘 「楽ーー、黄色い恋結び、手に入れたわよー!」
楽 「俺も買えたぞー。
俺のは青色だ。」
神主 「買えた様だね。
黄色いのはお嬢ちゃんが、青いのは坊やが、
赤いのは2人の思い出の場所か家に置いておくと良いよ。」
千棘 「じゃあ、赤い恋結びはスペクトル凡矢理の私達の部屋に飾ろうよ!」
楽 「お!いいな、それ!」
神主 「気に入ってくれた様で、何よりだよ。」
楽 「あ!それと………
千棘、ちょっと黄色い恋結び、赤い恋結びの上に重ねて持ってくれ。」
千棘 「え?こ…こう?」
スッ
千棘は黄色い恋結びを赤い恋結びの上に差し出した。
スッ
楽はその恋結びに、自らの青い恋結びを置いた。
楽 「あの言葉を言おうぜ。」
千棘 「あの言葉?………あ!そうね、言いましょう!」
楽 「よーし、せーの………」
楽・千棘 「ザクシャ イン ラブ」
楽と千棘は、2人で集めた3つの恋結びをそれぞれ重ね合い、「ザクシャ イン ラブ」と、
再び永遠の愛を誓い合った。
楽 「お前と本当に付き合い出してからのこの半年間………ニセモノの恋人の時は少ししか感じなかった、
お前といる時の楽しさが、どんどん強くなってって、ホントに楽しかった。
そして、半年記念旅行に、
お前との思い出の品がまた一つ増えた、
これからもずっと一緒だぞ、千棘。
これからもっと、2人で楽しい思い出を作って行こうぜ!」
千棘 「うん!
これからもよろしくね、楽!」
第1巻 第162話 完
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